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共有持分の売却方法を解説|基礎知識から特殊ケースまでこれ1本で理解!

共有持分の売却をゼロから攻略|基礎知識から特殊ケースまでこれ1本で理解!

夫婦や親子、知人などと同じ不動産を所有する共有名義において、自分の所有権の割合を「共有持分」と呼びます。

自分の共有持分だけであれば、民法第206条に基づき、他の共有者の同意なしで自由に売却が可能です。他の共有者全員の同意が必要な全体売却と比べると、単体売却は共有状態から迅速に離脱できるメリットがあります。

私自身、共有持分の売買についての相談を長年お受けしています。売却を検討される相談者様の悩みの種となることが多いのは、「他の共有者とのトラブル」や「固定資産税や維持管理費の負担」です。

共有持分を売却すれば、これらのリスクを回避できます。

実際にこれまで売主様からは、「共有状態から抜け出せてよかった」「こんなに高く売れるとは思わなかった」といった声をいただいてきました。

とはいえ、共有持分は特殊な不動産であるため、対策せずにそのまま売却しようと思ってもなかなかうまくはいきません。

共有持分の専門家として、過去の取引事例を通じて実感した売却成功のコツは、「どこに売却すればよいのか」「売却相場はいくらなのか」といった基本情報から具体的な売却方法までを、ゼロからしっかり確認しておくことです。

まず確認しておきたいのは、共有持分の主な売却先が「同じ不動産の他の共有者」と「共有持分専門の買取業者」の2つに絞られる点です。共有持分単体だけでは「建て替えやリフォームなどの行為が制限される」「他の共有者と争いになる」などのリスクがあり、第三者の個人からの需要がほぼゼロに等しいためです。

以下では、それぞれの売却先ごとの違いを紹介します。

他の共有者 買取業者
概要 買取意思や資金がある共有者に売却する 共有持分を専門に取り扱う買取業者に買い取ってもらう
売却する流れ 1.買取の意思があるか共有者と交渉する
2.個人間売買または不動産仲介会社を入れて契約する
3.代金決済と所有権移転登記を行う
1.可能であれば共有持分を売却することを他の共有者に通知しておく
2.査定価格と条件を確認する
3.買取業者と売買契約を締結する
4.代金決済と所有権移転登記を行う
売却相場 不動産価格 × 共有持分割合 不動産価格 × 共有持分割合 × 1/2~1/3
高く売るためのコツ 不動産鑑定士や仲介会社の査定書を提示して交渉する
「全体売却」を提案して市場価格での売却を目指す
第三者(業者)への売却も辞さない姿勢を見せる
複数の業者から相見積もりを取る
物件状況や権利関係の資料をできるだけ揃えておく
持分割合を増やしておく
注意点 安い価格で売却しすぎるとみなし贈与と判断され贈与税が課せられる
他の共有者に買取意思や資金がなければ成立しない
口約束で言った言わないのトラブルが発生する可能性がある
自分以外の共有者と買取業者が共有状態になる
内緒で売却して他の共有者から反発を受けるリスクがある
問題を隠して売却すると契約不適合責任免責が無効になって損害賠償請求される

他の共有者に共有持分を買い取る意思や資金があれば、まず他の共有者と交渉するのがおすすめです。「他の共有者に断られた」「早めに現金化したい」「話し合いが難しい」といった場合は、買取業者への売却を検討するのがよいでしょう。

ただし、売却先として他の共有者と買取業者のどちらがよいかは、個人の状況や希望によっても変わります。「どちらを選ぶべきなのか」「どのように売却すればよいか」といった疑問をお持ちの場合は、ぜひ当記事を参考にしてください。

本記事では、共有持分を売却するための基本情報や売却先それぞれの特徴、現金化するまでの流れ、売却のコツや注意点などを、共有持分の専門家が徹底解説します。

また、「共有者が所在不明・未登記といった特殊な状況下における対応方法」や「売却にかかる費用・税金」なども紹介します。

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共有持分の売却で押さえておくべき基本情報

共有持分を売却するうえで基本として押さえておくべき情報は、「自分の共有持分であれば、他の共有者の同意なしに売却できること」です。

相談者様からも「勝手に売却しても大丈夫なの?」とお問い合わせいただくことがありますが、自分が持つ持分のみであればまったく問題ありません。

そもそも共有持分とは、同じ不動産を所有する共有者1人あたりが持つ所有権の割合のことです。「200㎡の土地を1人100㎡ずつ」と物理的に区分しているわけではなく、「所有権を50%ずつ」といった権利の大きさを表しています。

共有持分とは、同じ不動産を所有する共有者1人あたりが持つ所有権の割合
共有持分割合は、「不動産購入時にどれくらい出資したのか」や「どの程度の割合で相続したか」などで決まります。

共有持分を誰かに売ったからといって、他の共有者が「2階部分が他の人に使われる」「使える土地が半分になる」といった物理的な制限がかかるわけではないため、その点は安心してください。

しかし、不動産の権利の一部を売却する以上、いくつかのポイントを押さえておかなければトラブルに巻き込まれやすいのも事実です。

共有持分の売却について、まずは法律上の決まりや実務上で気をつけておくべき点をお話いたします。

自分の共有持分だけなら他の共有者の同意なしで自由に売却できる

先ほども簡単にご説明した通り、自身が持つ共有持分だけであれば、他の共有者の同意なしで自由に売却できます。

まず前提として、同じ不動産を2人以上で所有する共有名義不動産を売却するには、自分を含めた共有者全員の同意が必要です。

自分の共有持分のみであれば、ほかの共有者の同意がなくても売却ができる

たとえ共有者が10人いて、そのうち9人が売却に賛成していても、1人が反対していれば不動産全体を売却できません。

なぜなら、共有名義不動産をはじめとする共有物の売却は、民法第251条における「変更行為」と解され、全員の同意が必要であると定められているためです。

(共有物の変更)
第二百五十一条 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。
e-Gov法令検索 民法第251条

正確に言うと、全体売却は変更行為ではなく「処分行為」に該当します。しかし、これまでのさまざまな学説や「売買時の押印や登記の共同申請のような法律行為は、結局のところ全員で協力しないと進められないよね」という実務の観点から、変更行為と同じ扱いがなされています。

一方で、各共有者がそれぞれ持っている共有持分は、他の共有者の権利が及ばない「自分だけの財産」です。そして、単独で所有する財産は、民法第206条にておいて「法律の範囲でなら自由に処分したり収益化したりできる」と定められています。

(所有権の内容)
第二百六条 所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。
e-Gov法令検索 民法第206条

以上のことから、共有持分の範囲内であれば、売却は自分の意思のみで行えると解されるのです。これは売却だけではなく、共有持分の贈与や放棄についても同様です。

実際に私も、共有持分の専門家として数多くの共有持分の売買取引に携わってきました。

共有持分の処分に関するご相談は、弊社でも非常に多いのが実情です。「共有持分だけの処分なら他の人の同意はいらない」という情報だけでも頭に入れておくと、何かトラブルがあったときに視野を広くして解決策を模索できるようになります。

ワンポイント解説

ここで注意しておきたいのは、「共有持分の売却を同意なしで行えるのは自分だけではない」という点です。他の共有者が他の共有者に一切確認を取らず、共有持分を勝手に売却するケースは当然にありえます。

共有持分を勝手に売却された場合に考えられるトラブルや対処法については、「共有持分を勝手に売却されたらどうなる?共有者の持分が第三者に渡った場合の注意点や対処法」の記事で解説しています。

実務上は自己持分の売却前に他の共有者に相談するのがおすすめ

法律上は同意なしで売却できるとはいえ、過去の取引事例や私の経験則からしても、実務上は自己持分の売却前に他の共有者に相談するのがおすすめです。なぜなら、勝手に売却することによる、他の共有者からの反発が懸念されるためです。

共有持分を売却すると、その分の所有権は買主に移転します。仮に買主が完全な第三者だった場合、他の共有者の立場で考えると、「顔も知らない人と急に共有状態になる」という事態に陥ります。

これを何の相談もなしにやられてしまうと、法律上は問題ないとしても、感情面で納得できなくても無理はありません。面識のない人と同じものを共有する状況は、人によっては大きなストレスとなるでしょう。

さらに、感情面の摩擦だけではなく、以下に挙げる物理的な問題が発生するリスクもあります。

  • 新しい共有者が敷地や建物内に無断で侵入してくる
  • 民法第249条に基づき、家賃を請求される
  • 売却やリフォームについていつまでも同意してくれない
  • 共有物分割請求を起こされる
  • 騒音や暴言、その他迷惑行為の被害に遭う

なお、事前に相談した場合であっても、上記の問題が必ず解決できるとは限りません。しかし、あらかじめ相談しておくことで、他の共有者も将来に向けた話し合いや心の準備を進められます。

「勝手に売却するなんて、自分たちは信頼されていない」といった、気持ちのすれ違いも防ぎやすくなるでしょう。

また、他の共有者と協議を進めるなかで「それなら不動産全体を売却しよう」「不満があるなら管理ルールを見直してみよう」といった、持分売却以外の建設的な解決策が出てくるかもしれません。

相談したほうがよいと申し上げましたが、なかには「他の共有者と関係が悪化しており、話し合いすら難しい」といった状況の人もいるかと思います。

どうしても協議が困難な場合は、「弁護士を代理人に立てて協議する」「内容証明郵便で通知してから売却する」といった方法を取るのも1つの選択肢です。

共有持分を第三者の個人に売却するのは難しい

共有持分を第三者の個人に売却するのは難しい

共有持分単体の売却は可能ですが、実際に買い手がつくかどうかは別問題です。結論から言えば、共有持分を第三者の個人に売却するのは非常に難しいのが実情です。

これまで見てきた取引の中でも、業者ではない第三者と共有持分の売買が成立したのは、「相手が持分専門の投資家だった」といった特殊なケースしか記憶にありません。元々知り合いだったり、投資家と出会える人脈を持っていたりしない限り、狙って投資家に売却するのは困難でしょう。

では、なぜ第三者の個人からの需要がゼロに等しいかと言えば、「購入してもメリットがほとんどない」という点に尽きます。具体的な理由は、次の通りです。

  • 売却・建て替えなどの変更行為(処分行為)、使用ルールの変更・一定規模以下のリフォームなどの管理行為を行うには、一定数の同意が必要になるため、自由に活用できない
  • 使用ルールや活用方法、費用負担、その他日常の運用について他の共有者とトラブルになるリスクがある
  • 相続が発生すると、共有持分がさらに細分化されて権利関係が複雑になる
  • 他の共有者が勝手に自己持分を売却して、知らない第三者と共有状態になる心配がある
  • 共有持分の購入に住宅ローンを利用するのが事実上ほぼ不可能であるうえに、将来的な転売先も限られる

「これでは、共有持分を売る権利があったとしても意味がないのでは」と思われるかもしれません。しかし、裏を返せば「共有持分を購入することにメリットがある」といった相手になら、売却できるということです。

次章からは、共有持分の主な売却先について紹介します。

ワンポイント解説

上記で述べた共有持分を購入するデメリットは、そのまま「共有持分を保有するリスク」と言い換えられます。これらのトラブルについてお悩みの場合は、共有持分の売却を早めに検討してもよいかもしれません。

共有持分を保有するリスクやトラブルの回避方法については、「共有持分のリスクは?トラブル回避策と発生時の対処法も解説」の記事をぜひご覧ください。

共有持分の売却先は主に2つ

共有持分の売却先となるのは、「同じ共有名義不動産の他の共有者」と、「共有持分専門の買取業者」の2つです。

共有持分の売却先 メリット デメリット
他の共有者 ・専門の買取業者よりも高値での売却を期待できる
・面識のない第三者と共有状態になることを防げる
・他の共有者に買取意思や資金がないと売却できない
・売買交渉がうまくいかないリスクがある
専門の買取業者 ・数日~1か月程度で現金化できる
・現状のままでの買取や、問題を抱える不動産の買取にも対応しており、売買サポートが充実している
・他の共有者に売るより売却価格が低い
・悪質な買取業者とトラブルになるリスクがある

私のこれまでの経験上、一般の人にとっての共有持分の売却先は、ほぼすべての取引で上記2つに絞られます。それぞれでメリット・デメリットが異なるため、選ぶ前にそれぞれの特徴を確認しておくのがよいでしょう。

以下では、まず売却先ごとの特徴について解説します。

他の共有者

共有持分の売却先①他の共有者

同じ不動産を共有する他の共有者が、共有持分を買い取ってくれるケースがあります。共有者に買取意欲がある場合は、買取業者よりも優先して売買交渉を行うことをおすすめします。

なぜ他の共有者からの需要があるかというと、購入することで以下のメリットがあるためです。

  • 自分の共有持分割合が50%超に達すれば、管理行為を行う要件である「共有持分割合の過半数の同意」を単独で満たせる
  • 自分以外の共有者から共有持分を買い取って集約できれば、共有状態を解消して単独名義で所有し、自由に売却・賃貸・活用ができる
  • 買取業者や投資家といった第三者が新たな共有者になるリスクを回避でき、不要なトラブルや訴訟リスクを減らせる

共有者に必ずしも売却できるわけではありませんが、少なくとも上記のメリットを交渉材料にして話し合いを持ちかけることは十分に可能です。

【他の共有者に共有持分を売却するメリット】
売却先として他の共有者を選ぶ大きなメリットは、買取業者よりも高値で買い取ってくれる傾向にある点です。

詳細な相場は「共有持分の売却相場」で後述しますが、買取業者が500万円で買い取る持分であれば、1,000万円~1,500万円での売却を期待できます。

また、残る共有者が面識のない第三者と共有状態になることを防げる点もメリットの1つです。

もし他の共有者が親族や知人といった親しい間柄の場合、共有持分を手放せたとしても、その後の人間関係の悪化や残された共有者同士でのトラブルを危惧する人も少なくありません。その点、他の共有者に売却すれば、自分が名義から抜けるだけで済みます。

【他の共有者に共有持分を売却するデメリット】
前提として、他の共有者に買い取る意思がなければ売却できません。

所有権の一部とは言え、共有持分は不動産の一種です。買取には数百万円~数千万円かかることも珍しくなく、他の共有者の立場からすると安易に手を挙げることは難しいでしょう。

また、先ほども少し触れましたが、基本的に共有持分の購入に住宅ローンは利用できません。共有持分は流動性の低さや売却に関する制約の多さが原因で、金融機関が担保価値を認めることがほとんどないからです。

そのため、買い取る意思があっても、買取資金が準備しづらいというデメリットがあります。そもそも購入意思や購入資金がある場合でも、交渉がうまくいかなければ売買契約は成立しません。

このように、売却を成功させるまでのハードルが高いことが、他の共有者に共有持分を売却する大きなデメリットと言えるでしょう。

もう1つ注意すべきは、「親族などに安く売りすぎると、贈与税が発生する可能性があること」です。市場価格から著しく安価で売ってしまった場合の「みなし贈与」については、本記事の「相場より著しく安い価格で売却してしまい「贈与税」が発生した」で詳しく解説しています。

専門の買取業者

共有持分の売却先②専門の買取業者

買取業者は、自身が買主となって不動産を直接買い取るサービスを提供する業者です。買い取った不動産にリフォームや修繕を施した後、転売や賃貸といった形で収益化します。

買取業者の大きな特徴は、そのままの状態では市場での需要が低い不動産でも買取対応してくれることです。独自の再生ノウハウや販売ルートを駆使して収益を出せるため、一般の人から敬遠されがちな訳あり物件も取り扱ってくれます。

とはいえ、共有持分は訳あり物件のなかでも特殊な不動産であり、取り扱い自体を断る買取業者も珍しくありません。

そこで、共有持分を専門にする買取業者であれば、むしろ積極的な買取を期待できます。

買取業者と他の共有者が共有状態になるのが不安」と思われるかもしれませんが、専門の買取業者は、売主だけではなく「他の共有者の利益や感情」も踏まえたうえで話し合いを進めます。

かくいう私も専門家の1人として、共有持分の買取事業に数多く携わってきました。これまでの実務のなかでは、相談者様以外の共有者様からも「よい条件だったので、安心して共有状態を解消できました」と、お言葉をいただいた経験が何度もあります。

しかし、買取業者の利用を決める前に、デメリットにもいくつか触れておかなければなりません。

買取実務上、避けられない部分でもあるため、デメリットも一緒に把握したうえで、買取業者を利用するかどうかを検討してください。

【専門の買取業者に共有持分を売却するメリット】
専門の買取業者に共有持分を売却する大きなメリットは、相談から現金化までがスムーズに進めやすいことです。

買取業者は、不動産仲介とは異なり仲介業務が発生しない(媒介契約を結ばない)ため、現地査定が終わり次第すぐに売買契約を締結できます。数日~1週間、遅くとも1か月程度で現金化が可能です。

また、専門の買取業者との取引は、原則として以下に挙げた「売主が安心して売買できるためのサポート」が充実しています。

買取業者による売買サポート 概要
現況有姿買取 不動産のキズやその他問題が残っている場合でも、リフォームや修繕をせずそのままの状態で売却できる
契約不適合責任免責 売主が知らなかった物理的な欠陥や権利問題が売却後に発覚しても、契約無効や損害賠償請求などの責任を負わなくて済む
士業事務所との提携 弁護士、司法書士、土地家屋調査士などの士業と提携する業者であれば、相続物件、借地権・底地、事故物件、未登記物件、再建築不可物件などにも対応できる
専門性を活かした取引 大手不動産会社や地元の有名業者から扱いを断られた共有持分でも、買い取ってくれる可能性がある

共有持分を売却しようと考える人の多くは、すでに不動産に関する何かしらの問題に悩まされており、トラブルのない早急な現金化を望んでいる傾向が見られます。

専門の買取業者であれば、多くの問題を抱える共有持分でも買取を期待できるでしょう。

たとえば、私が代表を務める訳あり物件専門の買取業者「クランピーリアルエステート」は、全国1,700以上の士業との提携により、数多くの法律トラブルを抱える不動産の共有持分買取を実現してきました。

「相続登記未了」「老朽化が進んだ再建築不可物件」といった不動産の共有持分でも、法律問題に応じた士業の先生と連携して問題を解消したうえで、買取対応しています。

【専門の買取業者に共有持分を売却するデメリット】
買取業者に売却する大きなデメリットは、他の共有者に売るよりも売却価格が低くなる点です。

買取業者の売却価格が低くなる理由は、以下に挙げた「買取実務に関するさまざまな費用」を考慮しているためです。

  • 買い取った不動産に行うリノベーション、リフォーム、修繕、測量などにかかる費用
  • 現況有姿買取や契約不適合責任免責に関するリスク負担分の費用
  • 買取業務における利益分

同じ共有持分を売却すると仮定した場合、基本的には他の共有者に売るほうが売却価格が高くなります。

また、信頼できる買取業者を探す必要があるのもデメリットです。

共有持分の取り扱いは専門性が高い分、取り扱える不動産会社がどうしても少なくなってしまいます。しかし、見つかったとしても、その買取業者が信頼できるところかどうかは別問題です。

焦って悪質な買取業者に依頼してしまうと、「市場相場よりも低い査定額を提示される」「買い取った後に他の共有者に対して強引な営業をかける」といったトラブルが発生するリスクがあります。

そのため、買取業者を探す際には、「公式サイトの実績や口コミ情報を精査する」「複数の買取業者に査定を依頼し比較検討する」といった工夫が必須です。

もちろん、悪質な買取業者はあくまで一部であり、多くの買取業者は信頼を第一に事業を行っています。

たとえば、私が代表を務める「クランピーリアルエステート」は、「笑顔を取り戻す」「不動産の価値を取り戻す」をモットーに、相談者様および他の共有者様の利益・生活を最大限に考慮した取引を実施しています。

「買取業者はどこを選べばよいのか」「具体的なトラブルについて知りたい」という場合は、以下の記事で詳しく解説しています。

共有持分の売却先は「他の共有者」と「専門の買取業者」のどちらにすべき?

他の共有者と専門の買取業者のどちらに共有持分を売却すればよいかは、売主の事情や希望などによって変わります。

2つの売却先のメリット・デメリットに、優劣はありません。

そのため、「自分がどうしたいのか」「共有持分を売る目的は何か」を明確にし、どちらが自分に合っているのかを慎重に判断することが大切です。自分の経済状況や精神的負担などを客観的に捉え、どちらに売却すべきか選択しましょう。

以下では売却先選びの参考情報として、一般的な解釈や私の実務経験を基に、それぞれに向いている人・向いていない人の特徴を解説します。

共有持分を他の共有者へ売却するのに向いている人

他の共有者が持分買取に前向きで交渉の余地があるなら、買取業者に相談するより先に、他の共有者を優先するほうがよいでしょう。第三者との共有状態を防げるのもそうですが、買取業者に対してよりも高値で売りやすいという点は非常に魅力的です。

また、「すぐに現金化できなくても問題ない」「他の共有者とのトラブルもないのでじっくり交渉できる」といった場合も、急いで買取業者に相談する必要はありません。

他の共有者との関係性が比較的良好な人、売却を急がない人は、共有持分を他の共有者へ売却するのに向いています。

共有持分を買取業者に売却するのに向いている人

「他の共有者に売却するのが難しい」という場合は、必然的に買取業者に相談することになるでしょう。先ほども述べた通り、共有持分は第三者の個人からの需要が皆無であり、一般的な不動産会社でも取り扱いが難しいためです。

もし「他の関係者と関係性が悪化している」「可能であれば数日以内に現金化したい」といった場合は、他の共有者との交渉の余地が少し残っている場合でも、買取業者の利用を検討してもよいでしょう。

また、不動産に関する権利・法律トラブルを抱える共有持分は、共有持分の専門知識と士業事務所との提携が揃っている買取業者の利用がおすすめです。複雑な問題を抱える共有持分の場合、個人間取引や一般の不動産会社の仲介では、後から法的な問題が出てくるリスクが懸念されます。

トラブルなく確実に現金化したい人、すぐに現金化したい人は、共有持分を買取業者に売却するのに向いています。

共有持分を売却する流れ

共有持分を売却する流れは、売却先によって手順や注意すべき点が異なります。

他の共有者に売却する場合、買取業者のサポートがない分、「売却価格の設定」や「契約内容や法律面のチェック」などについて、問題が生じないような工夫が必要です。

一方、買取業者に売却する場合は、「査定価格や対応の比較検討」「信頼できる買取業者選び」など、買取業者に関する判断が最大のポイントになります。

以下では、共有持分を売却する流れについて、売却先ごとに解説します。

なお、売買時に必要となる書類については、後述する「共有持分の売却における必要書類」で詳しく解説しています。

他の共有者へ共有持分を売却する場合

他の共有者へ共有持分を売却する場合、以下の流れで進むのが一般的です。

  1. 買取の意思がある共有者と交渉する
  2. 個人間売買または不動産仲介会社を入れて契約する
  3. 代金決済と所有権移転登記を行う

買取の意思がある共有者と交渉する

まずは他の共有者に、共有持分を買い取る意思があるかを確認します。

いきなり「〇〇万円で購入してほしい」と価格交渉から入るのではなく、「買い取る意思があるのか」「購入資金は用意できそうか」など、前提の部分から明確にします。意思や資金に折り合いがつかないにもかかわらず、強引に話を進めても人間関係が悪化するだけです。

「購入に少し興味がある」「お金は準備できそう」といった確認ができれば、おおまかな価格交渉に入ります。

ここで注意したいのは、個人間だけで具体的な価格や契約内容を決めてしまうことです。

共有名義不動産や共有持分の評価は、専門家でも難しい作業です。個人の主観で決めてしまうと、金額で揉めたりみなし贈与扱いで贈与税が発生したりするなどのリスクが想定されます。

税務面・実務面のトラブルを確実に防ぐ意味でも、共有持分の査定は専門家に依頼することを強く推奨します。

なお、不動産仲介業者や買取業者の査定は営業活動の一環であるため、原則としてどこに依頼しても無料です。また、査定を依頼したからといってその業者と必ずしも契約する必要はありません。

不動産の価格を調べたい場合、数十万円の依頼料を支払い、不動産鑑定士に鑑定をお願いする方法もあります。

とはいえ、一般的な住宅や土地の場合は、不動産仲介業者や買取業者の無料査定でも十分です。

一方で、不動産鑑定士の鑑定が適しているのは、事業用建物、相続や贈与予定の不動産、財産分与など、特殊な不動産の評価や税務署・裁判所への提出資料などが必要となるケースです。

個人間売買または不動産仲介会社を入れて契約する

他の共有者に共有持分を売却する際、いくら当事者同士の信頼関係が強かったとしても、個人間のみのやり取りで契約を進めるのはおすすめしません。

はっきり申し上げると、不動産売買の実務は非常に専門性が高いため、少しでも不備や行き違いがあると深刻な法的トラブルに発展してしまいます。

たとえば、私がこれまでお受けした相談のなかで、個人間売買によって発生したトラブル事例をいくつか紹介します。

  • 「自分がうまく経営して収益を出すから、今は安く譲ってくれ」と、長男から無償での譲渡を迫られた
  • 「お世話になったんだから」「親孝行しろ」と迫られ、売却相場よりも著しく安い金額を提示された
  • 売買契約書の内容チェックが不十分だったせいで、売買契約そのものが無効となり、契約が破談になった

上記に挙げたトラブルは、「適切な市場価格を把握していない」「不動産売買に関する法律知識や実務経験が不十分」「第三者のチェックがなく、抜け漏れに気付けない」といった、法律・実務の不備が原因です。

こうしたリスクを回避するためにも、気心の知れた共有者への持分売却であっても、第三者の専門家を間に入れることを強く推奨します。

たとえば、「不動産仲介会社に査定や売買契約書作成をお願いする」「弁護士に売買契約のリーガルチェックを依頼する」といった体制が整っていれば、法律・実務のいずれにおいても不備の発生を未然に防ぎやすくなるでしょう。

とくに、不動産仲介業者への依頼は、トラブルを回避するうえで重要です。不動産仲介業者であれば、以下のサポートを受けられます。

  • 共有名義不動産や共有持分の無料査定
  • 売主・買主間の話し合いの取りまとめ
  • 売却価格や売買条件の提案・整理
  • 売買契約書の作成や内容の確認
  • 決済当日の決済手続きや登記申請などのサポート

不動産仲介業者に依頼する際には、売却価格に応じた仲介手数料が発生します。仲介手数料については、後述する「不動産仲介を使うなら仲介手数料」の章で詳しく解説します。

代金決済と所有権移転登記を行う

他の共有者と売買契約を締結した後は、双方のスケジュールを調整して代金決済・所有権移転登記(持分移転登記)を行う日を決めます。

不動産売買の代金決済と所有権移転登記は、同日に進めるのが原則です。

これらが別々の日になってしまうと、「お金を振り込んだのに登記を進めてくれない」「所有権を移転したのに代金が振り込まれない」といったトラブルが起こるリスクがあります。

たとえば、不動産仲介業者に依頼していた場合、同日に売主、買主、仲介業者の担当者、司法書士が同席して手続きを進めるのが原則です。

共有持分に抵当権(住宅ローンなどの支払いが滞った際に、担保として現金化し優先的に回収できる権利)が設定されている場合は、金融機関などの債権者も同席します。とはいえ、共有持分単体の担保価値は非常に低くなるため、共有持分だけに抵当権が付いているケースは実務上そこまで多くありません。

最初に、売却代金の支払い、固定資産税の清算、仲介手数料の支払いなどの決済を行います。お金の振り込みを確認した後は、司法書士と協力して法務局に所有権移転登記を申請します。

その後、共有名義不動産に居住したり出入りしたりする予定がなければ、鍵の引き渡しや私物の撤去などを行いましょう。

所有権移転登記の進め方について確認したい場合は、以下の関連記事をご覧ください。

買取業者へ共有持分を売却する流れ

買取業者へ共有持分を売却する場合、以下の流れで進むのが一般的です。

  1. 可能であれば共有持分を売却することを他の共有者に通知しておく
  2. 査定価格と条件を確認する
  3. 買取業者と売買契約を締結する
  4. 代金決済と所有権移転登記を行う

可能であれば共有持分を売却することを他の共有者に通知しておく

実務上は自己持分の売却前に他の共有者に相談するのがおすすめ」の章で前述した通り、可能であれば、共有持分を売却することを他の共有者に事前に通知しておきましょう。

内緒で売却すると深刻なトラブルに陥るリスクもあるため、個人的な好き嫌いなんとなくの気分といった理由で相談しないのは、避けたほうが賢明です。

どうしても「話すと嫌がらせや邪魔が入る可能性がある」「どうしても秘密裏でないと困る」といった場合は、以下の関連記事で「他の共有者にバレずに売る方法」を紹介しています。

査定価格と条件を確認する

共有持分を売却する準備が進められたら、買取を依頼する買取業者を選びます。買取業者は、以下の部分に注目して選ぶのがよいでしょう。

  • 共有名義不動産や共有持分の取り扱い実績があるのか
  • 弁護士や司法書士などの士業と提携しているか
  • 現況有姿買取に対応しているのか
  • 契約不適合責任は免責してくれるのか
  • 不動産の所在地周辺での取引実績があるか(当該所在地の共有持分の買取に対応しているか)

上記の情報は、買取業者の公式サイトを閲覧したり、直接面談・電話面談を行ったりして確認できます。

たとえば、私が代表を務めるクランピーリアルエステートの特徴は、「共有持分などの訳あり物件専門」「法律が絡む不動産問題に強い」「現況有姿買取・契約不適合責任免責」といった、訳ありの共有持分買取に特化している点です。

調査して気になった買取業者があれば、まずは不動産の情報や写真などのみで簡易的に査定を受ける「机上査定」を依頼しましょう。

より詳細な査定結果を知りたい場合は、実際に現地に赴くなどして最終的な評価を行う「訪問査定(現地調査)」を受けます。

現地調査の査定価格や買取条件などを確認したうえで、本当にその買取業者に売却するかどうかを見極めましょう。

なお、当サイトでは共有持分の専門家としての目線で、「共有持分の買取業者おすすめ」を厳選しています。「選ぶときにはどこを見ればよいのか」「自分に合う買取業者はどこか」が分かるため、ぜひ一度ご覧ください。

買取業者と売買契約を締結する

買取価格や買取条件について買取業者と交渉し、内容に納得すれば売買契約を締結します。

売買契約書は、買取業者が作成し売主に提示してくれます。とはいえ、念の為に「協議した内容と相違がないのか」「こちらに不利な内容が追記されていないか」なども自分の目で必ずチェックしておきましょう。

代金決済・移転登記を行う

買取業者と売買契約を結んだ後は、他の共有者に売る場合と同じ流れで、代金決済や所有権移転登記を進めます。

弊社のように司法書士と提携している買取業者であれば、業者側が司法書士を紹介してくれます。

買取業者の立場からしても、提携済みの司法書士に依頼していただいたほうが、連携が取りやすいのも事実です。とくに指定の司法書士がいない場合は、業者に任せるほうが手続きは円満に進みます。

共有持分の売却相場

売却先が他の共有者か専門の買取業者かによって、共有持分の売却相場に違いがあります。ここからは、売却先別の相場を解説します。

ワンポイント解説

ここで紹介するのはあくまで大まかな相場であり、実際にどれくらいの金額で売れるかは、「共有名義不動産全体の資産価値」や「権利関係の複雑さ」などを総合的に判断して決められます。

共有持分の主な査定ポイントは、次の通りです。

・共有持分割合や共有者の人数
・占有者の有無や連絡の可否
・土地と建物の両方の共有持分を持っているか
・不動産の立地条件
・建物の築年数・構造や土地の状況
・共有名義不動産の住宅ローンの残債
・隣地との境界標の有無

他の共有者│不動産価格×持分割合

他の共有者に共有持分を売却する際の相場は、次の通りです。

共有名義不動産全体の価格 × 持分割合

1,000㎡の土地の価格が1,000万円、持分割合が30%であれば、共有持分の売却相場は300万円となります。

不動産価格×持分割合

難しい用語が出ていますが、単純に「売却する不動産の価格の30%」ということです。

買取業者の査定のように諸経費や利益分などが差し引かれないため、持分に応じた価格が基本になります。

共有持分をほしがる共有者の購入意欲は高い傾向にあることから、交渉次第では相場よりも高値での売却も期待できるでしょう。

ただし、「売却する共有持分の割合が小さい」「買い取っても単独所有や過半数所有ができない」など、購入しても権利関係に影響がない場合は提示額が下がりやすくなります。

また、売買取引に仲介業者に入ってもらっている場合は、仲介手数料の支払いも必要です。

専門の買取業者│不動産価格×持分割合×1/2~1/3

専門の買取業者に共有持分を売却する際の相場は、次の通りです。

共有名義不動産全体の価格 × 持分割合 × 1/2~1/3

1,000㎡の土地の価格が1,000万円、持分割合が30%であれば、共有持分の売却相場は100万~150万円となります。

不動産価格×持分割合×1/2~1/3

買取業者への売却価格は、諸経費や利益分が差し引かれる分だけ安くなる傾向があります。買取事業のビジネスモデル上、この減額部分をゼロにするのは難しいのが正直なところです。

私が携わってきた共有持分の取引の多くも、査定価格は「不動産価格×持分割合×1/2~1/3」の範囲に収まっています。

しかし、買取業者は無料査定や売買に関する事務、提携士業の紹介などさまざまなサポートを提供しています。査定額から諸経費が差し引かれる分、現金化までのスムーズさがあるのが買取業者のメリットです。

また、買取業者への売却が必ずしも安くなるかと言われれば、そうではありません。

共有名義不動産全体の資産価値が高かったり、高い収益性を期待できたりする場合、共有持分単体でも数千万円~数億円で売買が成立した事例は多数あります。

後述する「共有持分売却の事例」では、過去に私が実際に関わった共有持分の売却事例を紹介しています。

共有持分を少しでも高く売却するためのコツ

相談者様から共有持分の売却についてご相談を受ける際に、「もう少し対策すれば、今より高値が付くかもしれない」といった場面に出会うことも少なくありません。

実際に買取業者の立場から見ても、「これを準備していただけると正確に査定しやすい」「この情報があると他の共有者の反応が変わる」など、実務の現場だからこそ見えてくる売却のポイントがいくつもあります。

ここからは、共有持分の売買取引に長年携わってきた経験をもとに、数多くの相談者様へのヒアリング結果を分析して見えてきた、共有持分を少しでも高く売却するコツを売却先別に紹介します。

他の共有者に売却する場合

他の共有者に共有持分の売却について交渉する場合、鍵になるのは「専門家の査定や鑑定に基づく金額」を軸に交渉を組み立てることです。

説得力ある金額を基に、全体売却や競合相手などを交えて交渉を進めるのがよいでしょう。具体的には、以下の点を意識してみてください。

  • 不動産鑑定士や仲介会社の査定書を提示して交渉する
  • 「全体売却」を提案して市場価格での売却を目指す
  • まとまらなければ第三者(業者)への売却も辞さない姿勢を見せる

一番大切なのは、相手にも利益がある条件を考えたうえで話し合うことです。自分だけが得をする条件では、売買成立を目指すのは難しくなります。

不動産鑑定士や仲介会社の査定書を提示して交渉する

他の共有者と共有持分の売買について交渉する際、とくに重要になるのは、不動産鑑定士の鑑定や不動産仲介業者の査定を事前に依頼して査定書を取得しておくことです。

専門家の評価に基づく金額を基に交渉すれば、他の共有者も「専門家が言うなら適切だろう」と、納得してくれやすくなります。

不動産の査定書とは、評価価格や評価の根拠など、専門家が実施した鑑定や査定の結果をまとめた書類です。

原則として、不動産鑑定士への依頼は有料であり、不動産仲介会社への依頼は無料です。

「全体売却」を提案して市場価格での売却を目指す

持分割合あたりの売却金額を高くするために、他の共有者に全体売却を提案するのも1つの選択肢です。

他の共有者全員の同意を得られれば、共有名義不動産全体を売却できます。

そして全体売却のメリットは、売却価格が市場価格と同程度になる点です。他の共有者が全員所有権を手放すことになり、買主から見れば普通の不動産を購入することと同じになるためです。

全体売却であれば、原則として「売却価格 × 共有持分割合」で売却代金が分配されます。つまり、自己持分割合が少なくても売却価格が不利になりにくく、原則として割合に応じた利益を得られます。

また、全体売却なら持分だけの売却とは異なり、第三者の個人相手の取引が可能です。取引相手や交渉次第では、市場の相場以上の価格での売却も期待できるでしょう。

まとまらなければ第三者(業者)への売却も辞さない姿勢を見せる

「前向きだけどなかなか合意まで進まない」「こちらの損になる条件しか提示しない」といったケースで話がまとまらない場合は、第三者(買取業者)への売却も辞さない姿勢を見せるのも1つの交渉術です。

持分割合を増やせるチャンスがなくなる」「買取業者と共有状態になる」など具体的な状況を伝えれば、態度を保留にしていた共有者が買取を決断してくれるかもしれません。

ただし、強気の交渉は、一歩でも間違えると一気に破談になったり、脅迫・強要と捉えられたりするリスクがあります。

これらの交渉術は、嫌がる相手を脅す目的で使うのではなく、「合意を取り付けるにはあと一押し足りない」といったケースでの駆け引きに使うのがよいでしょう。

買取業者に共有持分を売却する場合

弊社「クランピーリアルエステート」をはじめとする買取業者の立場から見ると、「売主様側でこのような準備をしていただけると、査定や交渉が進めやすい」というポイントがあります。

具体的には、次の通りです。

  • 共有持分専門の複数の業者から相見積もりを取る
  • 物件状況や権利関係の資料をできるだけ揃えておく
  • 他の共有者から共有持分を買い取るなどして持分割合を増やしておく

上記の売却のコツを押さえておくと、買取業者側も、より適切な査定価格を提示しやすくなるかもしれません。以下では、詳細を解説します。

共有持分専門の複数の業者から相見積もりを取る

共有持分専門の買取業者の選び方のコツは、複数の業者から相見積もりを取ることです。各業者の「査定額」「担当者の対応」「共有持分の専門性」「返信スピード」を比較検討し、自分に合う買取業者を選びます。

相見積もりを取る主な目的は、「共有持分の適正価格を見極めること」です。

共有持分専門とは言えども、各買取業者ごとに査定するポイント・基準保有する取引・地域市況データ対応地域などが異なります。そのため、同じ共有持分を査定しても、各社で査定価格に数百万円の差が出ることも珍しくありません。

そこで、複数の業者の見積もりを取り、「査定結果が相場と比べて低すぎないか」「大まかな相場感はいくらか」などを調べることで、適切な価格を提示する買取業者を選びやすくなります。

相見積もりによるもう1つのメリットは、買取業者との価格交渉時に、他社の査定結果を交渉材料として使えることです。たとえば「〇〇社は100万円ほど高めに査定してくれている」と交渉すれば、買取価格を上げてくれる可能性があります。

買取業者は安く仕入れること以上に、収益性のある不動産かどうかを重視して買取を実施します。買取業者が「この物件を買い逃すのは困る」と判断すれば、多少の値上げを交渉しても積極的に買い取ってくれるはずです。

なお、相見積もりと併せて進めておくと効果的なのは、自分でも売却相場を調べておくことです。

国土交通省の不動産情報ライブラリ」や「不動産流通機構のREINS Market Information」、不動産ポータルサイトなどで相場を把握しておけば、買取業者が著しく低い金額を提示していないかを自分でも判断しやすくなります。

ワンポイント解説

「複数の不動産会社に査定依頼するのは失礼にあたらないか」と心配する必要はありません。

弊社「クランピーリアルエステート」をはじめとする買取業者は、基本的に他社でも見積もりを行っていることを前提にご相談をお受けしています。

仲介業のルールではありますが、他社の利用を堂々と認める「一般媒介契約」などもあります。不動産業界全体として相見積もりは当たり前の商習慣であるため、罪悪感を持たなくても大丈夫です。

物件状況や権利関係の資料をできるだけ揃えておく

共有持分は、権利関係や人間関係が複雑になりやすい不動産です。通常の不動産の査定と比較しても、特殊な専門性や評価基準が必要になります。

そのため、「不動産がどのような状況か」「共有名義関係やその他の権利関係がどうなっているか」がわかる資料を、できるだけ揃えていただけると、買取業者としても現在価値や将来性を正しく評価しやすくなります。

物件状況や権利関係の資料に関しては、後述する「共有持分の売却における必要書類」の章をご覧ください。

他の共有者から共有持分を買い取るなどして持分割合を増やしておく

可能であれば、先に他の共有者から共有持分を買い取っておき、自分の持分割合を増やしておくのもおすすめです。持分割合が大きいほど買取業者側の負担が減り、その分だけ査定価格への上乗せが期待できるからです。

削減できる実務面での具体的な負担は、次の通りです。

  • 共有者の人数が減るため、協議回数や交渉コストを削減できる
  • 共有者間の意見対立が少なくなるため、トラブルのリスクを大きく減らせる
  • 買い取った持分が多いほど、他の共有者との交渉を進めやすくなる

とはいえ、共有持分は「購入しよう」と思ってすぐに行動に移せるほど、安い買い物ではありません。また、どの程度上乗せできるかは、不動産の状態や市況などに左右されます。

十分な購入資金と、売却代金で回収できる見込みがあるかを確認しておきましょう。

事前に持分を増やすべきか迷った場合は、実際に買取業者に相談することを推奨します。

「まとめて売却すれば、査定価格に〇〇万円の差が出る」「この価格なら単体売却でもそこまで変わらない」といった見通しを確認してから、慎重に判断してください。

共有持分の売却査定にプラスになりやすい要素

共有持分の売却査定は、不動産そのものの資産価値に加えて、「共有持分だからこそ考慮すべき要素」が大きくかかわります。

共有持分の買取実務において、共有持分の売却査定にプラスになりやすい要素は次の通りです。

  • 自分の持分割合が過半数を超えている(管理権がある)
  • 都心部など不動産需要が高い地域にある
  • 共有不動産に共有者が住んでいない
  • 共有者が少ない・意思決定における対立がない物件

自分の持分割合が過半数に達している(管理権がある)

自分の持分割合が過半数に達する場合の共有持分は、売却査定でプラス評価になります。

過半数さえあれば、共有名義不動産における民法第252条の「管理行為」を、自分の意思だけで実施できるためです。

(共有物の管理)
第二百五十二条 共有物の管理に関する事項(次条第一項に規定する共有物の管理者の選任及び解任を含み、共有物に前条第一項に規定する変更を加えるものを除く。次項において同じ。)は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。共有物を使用する共有者があるときも、同様とする。
e-Gov法令検索 民法第252条

管理行為に該当するものは、次の通りです。

  • 軽微変更(形状や効用に著しい変化が伴わない)に該当するリフォーム、改修、改良など
  • 共有名義不動産全体の管理・使用ルールの策定、追加、変更など
  • 共有宅地の整地
  • 共有物の使用貸借や賃貸借契約の解除
  • 3年以下の短期賃貸借契約の締結

上記の軽微変更としてよく挙げられるのは、「砂利道のアスファルト塗装」「外壁や屋上の防水工事」「間取りの変更のないリフォーム」などです。

リフォームや使用ルールの策定などは、プライベート・ビジネスに限らず、不動産を使用するうえでよく検討される行為です。これらを他の共有者の同意に左右されずに行える管理権を持てることから、共有持分としての価値は上昇する傾向があります。

少し裏話をすると、管理行為の解釈については法律・実務の両面で、現在も判断が難しいのが正直なところです。実際の裁判例でも、案件ごとに判決結果にばらつきが見られます。上記に挙げたのは、法改正で明記されたものや、裁判で管理行為と判決が出たものです。

都心部など不動産需要が高い地域にある

共有持分も通常の不動産と同じく、不動産需要が高い地域にあると、売却査定で評価が上がります。一般的に、不動産需要が高い地域とされるのは次の通りです。

  • 東京圏や政令指定都市周辺などの都市部
  • 鉄道駅が多い、新幹線駅が近い、高速道路が通っているなど交通利便性がよい地域
  • 都市の再開発計画やインフラ整備などの計画が進んでいる地域
  • 観光・リゾート需要が高まっている地域
  • 周辺に物流施設がある地域

ただし、不動産需要は国内・国外の経済状況、政策、トレンドなどで大きく変動します。

過去には、「数年前よりも価値が大きく下がったので、もっと早く動けばよかった」と後悔されている相談者様もおられました。

一方で、「このエリアは来年、再開発計画が本格始動しそうなので地価が上がるかもしれません」と助言したところ、1年後には査定額が大幅に上昇し、その状態であらためて買取した事例もあります。

とはいえ、不動産の「売り時」について、一般の人が正確に見極めるのは至難の業です。

地域の不動産需要について知りたい場合は、まずはその地域の特性に詳しい不動産会社や、専門の買取業者に相談してみてください。

共有不動産に共有者が住んでいない

共有名義不動産に他の共有者が住んでいない場合、その不動産の共有持分はプラス査定とすることがあります。買取業者の立場から見ると、以下のメリットがあるためです。

  • 買取後のリノベーション・リフォームや全体売却を進める際に、共有者の引越しを待つことなくすぐに着手できる
  • 他の共有者の居座りや立ち退き拒否のリスクを回避しやすい

共有者が少ない・意思決定における対立がない物件

共有者が少なく、意思決定における対立がない物件の共有持分は、買取後に共有者同士のトラブルのリスクが低くなります。

買取業者から見ると、買取後の紛争解決や意見の調整などの手間が少なくなるため、それらを考慮して査定に反映させていただくことがあります。

よくある共有持分の売却トラブルと対策

他の共有者の同意が必要ないとはいえ、共有持分の売却は、他の共有者の権利関係や使用状況、人間関係に密接にかかわっています。

これらをしっかりケアしてから売却を進めなければ、売却に関するさまざまなトラブルに巻き込まれます。

以下では、買取実務でよくある共有持分の売却トラブルと対処法について、買取業者と他の共有者の2ケースに分けて見ていきましょう。

買取業者に共有持分を売却する場合のトラブル

買取業者に共有持分を売却する場合によくあるトラブルは、契約内容の確認不足他の共有者への情報共有不足などが原因になりやすいです。

具体的なよくあるトラブルは、次の通りです。

  • 複数の業者を比較せず相場より安く売ってしまった
  • 内緒で売却したことが他の共有者にバレて関係が悪化した
  • 業者が他の共有者に対して強引な交渉をした
  • 売却後に「契約不適合責任」を問われ損害賠償を請求された

複数の業者を比較せず相場より安く売ってしまった

複数の業者を比較せず、1社だけの話を信用してしまった結果、相場よりも安く売ってしまうトラブルがあります。

共有持分専門の複数の業者から相見積もりを取る」の章で前述した通り、買取業者ごとに査定基準や所有データが異なります。

もし依頼した1社との査定の相性が悪いと、数百万円以上低い査定額になることも少なくありません。査定に専門性や経験が求められる共有持分なら、なおのこと業者ごとのブレが大きくなるでしょう。

そして、1社の査定しか受けていない場合、その査定額が適切かどうかの判断ができなくなります。

上記のトラブルを避けるためにも、共有持分の査定は複数の業者に依頼することを推奨します。

内緒で売却したことが他の共有者にバレて関係が悪化した

共有持分を他の共有者に内緒で売却した結果、そのことが他の共有者に知られて人間関係が悪化するトラブルがあります。

理由は「実務上は自己持分の売却前に他の共有者に相談するのがおすすめ」で前述した通りですが、買取実務に携わるなかでも、私がとくによく遭遇するトラブルの一つです。

実際に、売主様から共有持分を買い取った後、「勝手に売られて迷惑している」「負担や管理を押し付けられた」と、共有者様との協議のなかで話されるケースが何度もありました。

上記のトラブルを避けるには、やはり他の共有者への事前の相談が大切です。少なくとも、「一言も相談しなかった」といった感情面の摩擦を軽減できます。

業者が他の共有者に対して強引な交渉をした

買取業者のなかには、共有持分を買い取った後、他の共有者に対して強引な交渉を仕掛けるケースがあります。

流石に、暴力・暴言や詐欺といった違法行為に発展する案件は、実務上ほとんど聞きません。しかし、以下に挙げた違法ギリギリの行為や、適法の範囲内での働きかけに悩まされる場合があります。

  • 「早く売らないと損をする」「こちらもノルマがかかっている」など、圧力をかけられる
  • 早朝や深夜に営業電話をかけられる
  • 住居や勤務先などに直接訪問される

あからさまな犯罪であれば、警察に相談できます。犯罪行為までは至らなくとも、過激なものは「宅地建物取引業法施行規則」に違反する可能性があるため、法律違反であるとしっかりと伝えてみましょう。

強引な対応が続くようであれば、弁護士に代理交渉や内容証明郵便での警告などを依頼することも検討します。

一方で、適法範囲内の営業行為であれば、基本的にはきっぱりと断るしかありません。

このトラブルを根本的に解決するには、そもそも悪質な買取業者への依頼を回避するのが効果的です。「複数の業者を比較検討する」
「買取業者の評判を見る」「国土交通省ネガティブ情報等検索サイトで過去の行政処分歴を見る」などで、依頼すべき買取業者を見極められるようにしましょう。

売却後に「契約不適合責任」を問われ損害賠償を請求された

買取業者との売買取引は、売却後に雨漏り、シロアリ被害、欠陥などが発見されても、売主に責任が問われないよう契約不適合責任を免責とすることが一般的です。

しかし、売主側が不動産に問題があることを認識したうえで故意に隠した場合は、契約不適合責任の免責が無効になります。無効になる旨は、民法第572条に定められています。

(担保責任を負わない旨の特約)
第五百七十二条 売主は、第五百六十二条第一項本文又は第五百六十五条に規定する場合における担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない。
e-Gov法令検索 民法第572条

契約不適合責任に問われると、売主側に以下の責任が発生する可能性があります。

契約不適合責任 概要
買主の追完請求権 雨漏りやシロアリ被害などの対応を行う
代金減額請求 発覚した問題に応じて取引価格が減額される
損害賠償請求 与えられた損害に対して損害賠償請求を起こされる
契約の解除 売買契約そのものが無効になり売却代金を返還する
契約不適合責任とは売買した土地や建物が 契約内容に適さない場合に売主が負う責任を定めたもの

「査定額を下げられる」といった私的な理由で、不動産の問題を買取業者に隠す行為は絶対に止めましょう。

他の共有者に共有持分を売却する場合のトラブル

共有持分を他の共有者に売却する際に起こるトラブルは、実務上ほとんどのケースで「他の共有者との争い」が原因になります。

とくに、共有者が親族など近しい間柄であるほど、問題が発生しやすい傾向が見られます。

よくある具体的なトラブルは、次の通りです。

  • 「タダ同然で譲ってくれるはず」と期待された結果、価格交渉が決裂した
  • 口約束で売却を進めてしまい「言った言わない」の争いになった
  • 相手に資金がなく、住宅ローンの審査も通らず共有持分の売却が頓挫した
  • 相場より著しく安い価格で売却してしまい「贈与税」が発生した

「タダ同然で譲ってくれるはず」と期待された結果、価格交渉が決裂した

共有者同士が親しい間柄の場合、距離が近いからこその甘えや暗黙のルールがまかり通るケースが少なくありません。

過去の取引事例のなかには、以下の理由で価格交渉が決裂し、買取業者への売却を検討する人がおられました。

  • 子どもに共有持分を譲渡しようと思ったものの、相手がタダでもらえると勘違いしていた
  • 育ててくれた恩があるなら、父親である自分に安く譲るべきと言われた

上記のトラブルを防ぐには、価格交渉前に「これは正式な売買取引であること」「親しいからといって、大幅な値引きはしないこと」を、はっきりと明言しておきましょう。

上記の条件を相手が飲んでくれない場合は、難しい交渉を継続するよりも、買取業者に早めに相談したほうがよいでしょう。

口約束で売却を進めてしまい「言った言わない」の争いになった

共有者同士の個人間売買で話を進めると、売買契約書を作成せずに口約束のみで契約を締結してしまうケースがあります。

法律上、口約束でも契約は成立します。しかし、口約束では「いくらで売ることになったのか」「売却条件は何か」といった部分が文章で残らないため、口約束で決めた契約内容を客観的に証明するのが非常に困難です。

そのため、口約束だけでは、後から言った言わないの争いになるリスクが非常に高くなります。

上記のトラブルを防ぐには、個人間売買であっても必ず間に不動産仲介業者を入れるようにしましょう。

相手に資金がなく、住宅ローンの審査も通らず共有持分の売却が頓挫した

他の共有者の購入意欲が高かったとしても、購入資金が準備できなければ売却は頓挫します。

共有持分は通常の不動産よりも価格が低くなりやすいとはいえ、数百万円~数千万円単位で取引されるのが基本です。加えて、共有持分は金融機関の担保評価が低いことから、購入に際して住宅ローン審査のハードルは非常に高くなります。

上記のトラブルに直面した場合でも、住宅ローン以外の審査に通過することも非常に難しいのが実情です。また、分割払いを提案したとしても、みなし贈与や滞納などの新しいリスクを抱え込む可能性があります。

そのため、上記のトラブルが発生した際には、買取業者への売却を検討しましょう。

相場より著しく安い価格で売却してしまい「贈与税」が発生した

親子・兄弟といった親族の共有者に対して、相場より著しく安い価格で売却した場合、贈与税が発生するリスクがあります。

たとえば極端な例を出すと、親から子に「1,000万円の土地を1円で売る」という契約を認めてしまうと、ほとんど無償で1,000万円の財産を取得させているにもかかわらず贈与税の課税を回避できてしまいます。

上記の税負担の回避を防ぐための規定が、「みなし贈与」です。みなし贈与とは、双方に「あげた」「もらった」という贈与の意図がなかったとしても、実質的に贈与と同様の利益を得たとして贈与税を課税する税法上の仕組みです。

このみなし贈与の仕組みを知らないまま、「共有持分1,000万円を親から子に1円で売却する」という売買を行うと、999万9,999円が贈与税の対象になる可能性があります。

みなし贈与となるのを防ぐには、たとえ親族間の取引であっても、市場相場に基づいた適切な価格で売買を進める必要があります。共有者間の独断ではなく、不動産会社といった専門家の査定額を基に決めるようにしましょう。

弊社の共有持分売却の事例

共有持分は売却できると事実として知っていても、「実際の取引はどうなっているのか」「本当に売却できる事例は存在するのか」と気になる人も多いのではないでしょうか。

私が代表を務める買取業者「クランピーリアルエステート」では、さまざまな権利関係やトラブルが存在する共有持分の買取を行ってきました。

ここからは、実際に弊社が担当した共有持分売却の事例を紹介します。

  • 全員の意向を無視してリフォーム工事を強行され交渉が決裂した
  • 土地7筆・建物3棟・そのほか多数の権利関係で複雑化した資産法人を所有していた
  • 離婚を期にマイホームの持分を手放したかったが住宅ローンが残っている
  • 収益性のある共有名義アパートの運用について姉妹で対立した
  • 一等地にある共有持分が高額すぎて買取業者から取り扱いを断られた
  • 査定額が低すぎて「うちでは買取対応できない」と断られた
  • 他の共有者に売却を反対され続けているうえに同意なく駐車場として賃貸に出されている

全員の意向を無視してリフォーム工事を強行され交渉が決裂した

項目 概要
共有持分割合 75/100(3/4)
物件の所在地 東京都世田谷区
買取価格 4,600万円

土地の活用について共有者同士で意見が合わないまま時間が過ぎ、相手側の不法行為をきっかけに、共有持分の売却を決心した相談者様の事例です。

相談者様は、共有者様と一緒に建物と土地を相続しました。建物が古かったこともあり、相談者様は建て替えや全体売却について相談していましたが、その結果、他の共有者と意見が対立しました。

ここから大変だったのが、反対者が誰からの同意も得ることなく、建物の大規模リフォームを無断で強行してしまったことです。明らかな民法上の違法行為だったこともあり、相談者様は「ここまでされるなら、これ以上の共有状態の継続は無理だ」と判断し、売却を決意しました。

「争いがあるとは言っても、流石に法律違反はしないだろう」と考えるかもしれませんが、場合によってはこの事例のように、違法トラブルが実務の現場で起こり得ます。

本事例では、弊社と提携する弁護士が間に入って話し合いを取りまとめ、あらためて弊社が共有持分を買取しました。共有持分買取の実績と法律関係への強みを持つからこそ、法律問題にもしっかりと対応できます。

土地7筆・建物3棟・そのほか多数の権利関係で複雑化した資産法人を所有していた

項目 概要
共有持分割合 1/2
物件の所在地 東京都杉並区
買取価格 1億5,000万円

過去の買取事例のなかには、共有名義だけではなく他の権利関係が複雑に絡み合ったものがいくつも存在します。

本事例は「土地7筆」「建物3棟」「借地契約」と、規模の大きさや権利の多さなどから、とくに権利関係や査定が困難だったものです。加えて、「相続によって叔母と資産法人を共有」「叔母が敷地内の建物1棟を単独で所有し、さらにその建物を家族と共有」という状態でした。

地上権の仮登記、無償の借地、多くの所有権などが混在しており、相談者様自身も「権利関係を正確に把握できない」と、大変困っていらっしゃいました。正直なところ、専門家である弊社から見ても、管理するだけでもかなりの労力を要する共有名義不動産です。

おそらく、通常の買取業者では取り扱うことすら難しいでしょう。そこで法律問題に強いクランピーリアルエステートでは、提携先の司法書士・弁護士と連携して登記の整理や意見すり合わせを進め、資産法人の共有持分として1億5,000万円と査定し、2週間で現況有姿買取をいたしました。

離婚を期にマイホームの持分を手放したかったが住宅ローンが残っている

項目 概要
共有持分割合 1/2
物件の所在地 神奈川県相模原市
買取価格 1,500万円

共有持分の売却を検討するタイミングでよくあるのは、離婚を機に夫婦で共有していた不動産を処分するケースです。

マイホームが夫婦の共有名義になるのは、「夫婦の共同出資で購入する」「ペアローンを組んで購入する」といったケースです。本事例の相談者様も、夫婦で1/2ずつ共同出資して購入したマンションを、離婚をきっかけに処分することを検討していました。

今回の事例で1つ懸念点があったのは、住宅ローンが払い終わっていなかったことです。住宅ローンが残っている不動産は、ローン残債の扱いを整理しないと査定価格が低くなる傾向があります。

クランピーリアルエステートは、「好立地に所在していること」「アンダーローン状態(売却代金>ローン残債の状態)であれば残債を返済できること」を考慮して査定を行いました。

売却代金、または売却代金 + 自己資金で住宅ローンの残りを完済できるのであれば、住宅ローンが残っている不動産の共有持分でも売却が可能です。

収益性のある共有名義アパートの運用について姉妹で対立した

項目 概要
共有持分割合 1/2
物件の所在地 鹿児島県姶良市
買取価格 1,750万円

一般の個人が売却する共有持分は、マイホームといった住居だけではありません。アパートなどの賃貸物件の共有持分が売却された事例は、過去にいくつも存在します。

本事例の相談者様は、亡くなった父親が所有していた土地に、姉妹で出資し、共有名義のアパートを建てていました。

父親とともに黒字化を達成するほど順調に運営していたものの、父親が亡くなったことをきっかけに姉妹が対立。姉妹仲も悪化しました。

相手から「自分で経営するから共有持分を500万円で買い取らせてほしい」と持ちかけられたものの、500万円であれば買取業者のほうが高額になるのではと、弊社に相談された経緯があります。

弊社では今後のアパートの収益性、立地条件、築年数などを総合的に考慮し、共有者が提示した金額の3倍以上にあたる1,750万円で買取いたしました。

一等地にある共有持分が高額すぎて買取業者から取り扱いを断られた

項目 概要
共有持分割合 1/2
物件の所在地 東京都渋谷区初台および国分寺市光町
買取価格 2億1,000万円

不動産の買取実務において、「査定額が高すぎると買取業者の資金が足りない」というケースが実は少なくありません。私のこれまでの経験では、5,000万円を超える不動産は高額物件として扱われ、資金力に自信がない買取業者であれば、取り扱いを断ることがあります。

本事例は「東京都渋谷区の一等地」にある共有持分であり、弊社が査定したときも2億1,000万円という超高額となりました。

しかし、弊社に相談する前に利用した2社からは、「査定額通りだと買い取れないので、買取価格を下げてもらえないだろうか」と持ちかけられ、大変困っていたとのことです。

クランピーリアルエステートは東京都を中心とした都市部の訳あり物件に強みを持っており、豊富な資金力を活かして査定額通りに買取いたしました。

査定額が低すぎて「うちでは買取対応できない」と断られた

項目 概要
共有持分割合 1/3
物件の所在地 千葉県千葉市若葉区みつわ台
買取価格 250万円

前述した高額すぎる共有持分に加えて、低額すぎる共有持分も、買取業者から対応を断られるリスクがあります。手続きに必要な手間や諸経費に対して、利益を得るのが難しくなるためです。

本事例の相談者様は、共有者である兄弟と更地の駐車場を所有していました。少ないながらも収益が出ていましたが、収益分配について兄弟と揉めてしまい関係が悪化。それならば売却しようと動いたものの、最初に相談した買取業者が査定額150万円で、「その価格だとうちでは買取対応できない」と断られたとのことです。

クランピーリアルエステートでは、本事例の共有持分について、駐車場の収益性や面積、他の共有者との協議対応などを考慮し、250万円の査定額を提示しました。弊社は低額の共有持分も買取対応しているため、そのまま売却いただきました。

他の共有者に売却を反対され続けているうえに同意なく駐車場として賃貸に出されている

項目 概要
共有持分割合 1/3
物件の所在地 埼玉県さいたま市
買取価格 4,000万円

共有名義不動産の全体を売却したくても、他の共有者様からの同意を得られず、自分の意思に反して共有持分の所有を続けることも珍しくありません。

お客様のなかには、過去に自分自身が売却に反対した経緯があったことも影響し、自分が売却を希望しても他の共有者様が反対していることでお悩みの方がおられました。さらに、その共有状態の土地はお客さまの同意なく駐車場として不動産業者へ賃貸されているという複雑な状況です。

クランピーリアルエステートでは、他の共有者様との協議をトラブルなく重ね、お客さまが所有する1/3の共有持分を4,000万円で買取いたしました。

ここまで紹介した以外にも、相続問題の最中にあるもの、他社で買取拒否されたものなど、さまざまなトラブルを抱える共有持分の買取実績があります。より詳しい買取事例は、以下の「【最短12時間査定】クランピーリアルエステートの共有持分・共有名義不動産の買取実績」をぜひご覧ください。

特殊な状況下における共有持分の売却

共有名義不動産の買取実務においては、共有名義であることに加え、さまざまな問題を抱えた不動産を取り扱うことも珍しくありません。

実際に、「共有名義不動産がこのような状態だから、共有持分も売却できないのでは」と相談を受けることもあります。しかし、法律面・実務面の双方で適切な対応を行えば、共有名義不動産全体も売却できます。

弊社のほうでも、提携する士業と連携することで、いくつもの特殊な状況下にある共有名義不動産を買い取ってきました。

また、相談者様の共有持分を買い取った後、他の共有者様にも協力いただき、適切に対応したうえで共有状態を解消したことも何度もあります。

ここからは、買取実務において見られる、以下の特殊な状況下における共有名義不動産の売却方法について解説します。

共有名義不動産が特殊な状況下にあるケースの売却 解決策
他の共有者が所在不明で連絡が取れないケース 「所在等不明共有者持分取得制度」や「所在等不明共有者持分譲渡制度」などの制度を利用する
夫婦の共有名義不動産で住宅ローンが設定されているケース 売却前に住宅ローンを完済して抵当権を抹消する、任意売却といった方法で対応する
私道の持分が絡んでいるケース 通行掘削等承諾書の取得、セットバックなどによる再建築不可状態の解消など、権利関係を整理しておく
共有名義不動産が未登記建物だったケース 現在の所有者の名前で登記する
共有名義不動産が底地だったケース 借地人への共有持分売却や、同時売却などで対応する
共有者が海外に住んでいるケース 代理人を立てる、売却時に必要な書類を準備する
夫婦の別居中に共有持分を売却したいケース 別居中と離婚後のどちらのタイミングのほうが売却のメリットが大きいのか考える
共有名義不動産を共有者に占有されているケース 家賃請求や明け渡し請求を検討する
その他、物件自体に何らかの訳あり要素があるケース リノベーション・リフォームでの対応や再建築不可状態の解消などで対応する

共有者が所在不明で連絡が取れないケース

共有者が所在不明の状態だからといって、全体売却に必要な「共有者全員の同意」の要件が緩和されることはありません。

つまり、共有者の一部が所在不明である場合、何らかの対応をしなければ全体売却が原則としてできなくなります。

連絡が取れない場合は、まず登記情報や共有者の親族・知人の連絡先などを調べ、所在が掴めないかを確認しましょう。

それでも所在がわからなかった場合は、民法上の制度を使うことで、共有者が所在不明状態のままで全体売却ができるようになります。

共有者が所在不明の場合に使える民法上の制度は、以下の4つです。

共有者が音信不通になっている場合に使える制度 概要
所在等不明共有者持分取得制度 不明の共有者がいるとき、不明の共有者の共有持分を他の共有者の共有持分割合に応じて取得させるため、裁判を申し立てることができる
所在等不明共有者持分譲渡制度 不明の共有者がいるとき、不明の共有者以外の共有者の持分を第三者へすべて譲渡することを条件に、不明の共有者の持分を譲渡する権限を与えるよう、裁判を申し立てることができる
不在者財産管理人選任 所在不明な人に変わり、その人の共有持分を含む財産の管理・処分を任せる代理人を裁判所が選任し、裁判所の許可を得て同意や契約などの法律行為を代わりに行う
失踪宣告 所在不明な人の生死が7年間明らかでないとき、または戦争、船舶の沈没、震災などに遭遇しその危難が去った後も生死が1年間明らかでないときに、裁判所に申し立てて法律上死亡したものとして扱う

参考:e-Gov法令検索「民法第262条
参考:裁判所「不在者財産管理人選任
参考:裁判所「失踪宣告

共有者が認知症で判断能力がないケース

共有名義不動産に関する実務でよく遭遇するトラブルの1つが、共有者が認知症になってしまい、売買契約や同意行為ができなくなるケースです。

民法第3条の2にて、「意思能力が欠けた状態だと法律行為は無効になる」という規定があります。重度の認知症は判断能力が認められず、法律行為をしても意思能力がないとして無効になります。

そのため、他の共有者の認知症が進むと、その共有者から全体売却についての同意が得られなくなります。

共有者がすでに認知症になった場合は、成年後見制度のうち「法定後見制度」を利用し、家庭裁判所の審判により選任された成年後見人から同意を得る方法があります。

成年後見制度とは、判断能力が不十分な人を 保護・支援する人を選任する制度のこと

しかし、法定後見制度は、手続きに手間がかかること、後見人を自由に指名できないこと、本人が死亡するまで継続することなどの問題があるのが難点です。

「まだ認知症ではないが、あらかじめ対策しておきたい」という場合は、成年後見制度の「任意後見制度」や「家族信託」といった制度を利用しましょう。

住宅ローンが残っている共有名義不動産のケース

共有名義不動産の住宅ローンが残っている場合、「アンダーローン」か「オーバーローン」かで、対応が大きく変わります。

ローンの種類 概要
アンダーローン 不動産査定価格>ローン残債の状態 不動産査定価格1,000万円
ローン残債500万円
オーバーローン ローン残債>不動産査定価格 ローン残債1,000万円
不動産査定価格500万円
オーバーローンアンダーローン

アンダーローンの場合は、売却代金で住宅ローンを完済できるため、住宅ローンを融資している金融機関も原則として売却を認めてくれます。ローン残債を支払った後に残った現金を分け合えば、トラブルなく不動産を処分できるでしょう。

一方で、売却代金で住宅ローンを完済できないオーバーローン状態の場合、そのままでは金融機関が抵当権を抹消してくれず、売却ができなくなります。

オーバーローン状態の場合は、まず売却代金と自己資金を合わせれば住宅ローンを完済できるかどうかを確認しましょう。

難しそうであれば、「任意売却」を認めてもらえないかについて、金融機関と交渉します。

なお、任意売却は不動産全体の売却になるため、共有者全員の同意が必要です。また、住宅ローンに連帯債務者や連帯保証人を設定している場合は、その人たちからの同意も必要です。

任意売却については、以下の関連記事をご覧ください。

私道の持分が絡んでいるケース

個人や法人が所有する「私道」を共有名義で所有している場合、通常の不動産売買とは異なる以下のトラブルが想定されます。

  • 他の共有者から通行掘削等承諾書を取得しておかないと、購入者が新築・建て替えやライフラインの整備を行う際に、他の共有者と揉めるリスクがある
  • 土地と隣接する私道が建築基準法の接道義務を満たしていないと、土地が再建築不可物件となり新築や増改築などができなくなる
  • インフラ工事以外が可能かどうかの判断が難しく、買い手側から敬遠される可能性がある

私道の共有持分を売却するには、必要に応じて通行掘削等承諾書の取得や、セットバックなどによる再建築不可状態の解消といった対策を地道に進めるのが効果的です。

所在等不明者に関する対策は、前述した「所在等不明共有者持分取得制度」などの利用がよいでしょう。

なお、共有私道の共有持分は単体では利用価値がほとんどなく、そのまま取引されるケースは実務上ほとんどありません。原則として、私道と隣接する土地や建物とセットで売買されます。

私道の持分については、以下の関連記事にて詳しく解説しています。

未登記建物の共有持分を売却するケース

未登記建物の共有持分を保有している場合、まず行うべきことは、登記を完了させることです。

法律上の所有者であることを示せない状態であるため、未登記の状態でいくら「これは自分の建物だ」と主張しても、第三者に対して法的に対抗できません。

(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
第百七十七条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
e-Gov法令検索 民法第177条

未登記のままでは、少なくとも第三者である個人や買取業者に対しては、売却が難しくなります。司法書士や土地家屋調査士などに早急に相談し、登記手続きを進めるようにしましょう。

弊社のように、司法書士や土地家屋調査士と提携している買取業者であれば、未登記の共有名義不動産でも対応してくれる可能性があります。

たとえば「クランピーリアルエステート」では、共有名義に精通した提携司法書士を紹介し、連携して対応したうえで買取が可能です。

未登記建物については、以下の関連記事にて詳しく解説しています。

底地の共有持分を売却するケース

共有名義不動産の買取実務で意外と多いのが、共有名義の「底地」を取り扱うケースです。

底地とは、借地権(借りた土地の上に建物を建てる権利、および建物を使う権利)が設定された土地です。底地の所有者は地主と呼ばれ、借地権を行使している人から定期的に地代や更新料などを受け取って収益を挙げています。

共有名義の底地は、いわば「複数の共有者」と「地主・借地人」という二重の権利関係が存在している状態です。どちらか一方だけでも取り扱う買取業者は少ないのですが、両方が重なると対応できる業者はさらに少なくなります。

しかし、それでも弊社のように、共有名義の底地について買取実績のある業者は存在します。底地の共有持分を売却したい場合は、共有持分と底地のそれぞれに売買実績がある買取業者をまずは探しましょう。

もし他の共有者全員および借地人と協力できるなら、共有名義不動産全体と底地・借地権をセットで「同時売却」する方法もあります。こちらは全員の意思を統一する難易度が高いものの、実現できれば市場価格と同等の価格での売却に期待できます。

その他、共有名義不動産の底地を売却する方法については、以下の関連記事にて詳しく解説しています。

共有者が海外に住んでいるケース

共有名義不動産全体を売却する場合、原則として売買契約時には共有者全員が立ち会わなければなりません。つまり、共有者が海外に住んでいて立ち会いが難しいときは、代理人を立てる必要があります。

また、海外に住む共有者は在留証明書やサイン証明書などを準備する必要があります。

なお、他の共有者が海外に住んでいても、自分の共有持分のみを売却する場合はとくに手順が変わりません。買取業者や他の共有者の同意があれば、そのまま売却できます。

代理人の立て方などについては、以下の関連記事で詳しく解説しています。

夫婦の別居中に共有持分を売却したいケース

別居中であっても、夫婦の片方がマイホームの共有持分を売却することは可能です。通常の共有持分の売却手続きと変わりはありません。

しかし、夫婦が別居している間の売却で注意したいのはタイミングです。たとえば住宅ローンが残っている場合は、離婚後にローンを持ち越さないためにも、別居中に売却しておくのがおすすめです。

別居中の共有持分の売却については、以下の関連記事で詳しく解説しています。

共有名義不動産を共有者に占有されているケース

共有名義不動産で多いトラブルとして、特定の共有者による占有が挙げられます。厄介なのは、違法行為や権利濫用などが認められない限り、占有行為自体が合法となる点です。そのため、明け渡し請求訴訟などの法的手続きをもってしても、追い出すことは困難です。

しかし、共有者が「鍵を勝手に変更して入れなくしている」「勝手に増改築などの変更行為をしている」などの行為に及んでいる場合は、明け渡し請求に正当事由があるとして、明け渡しが法的に認められる可能性があります。

また、正当事由が認められない場合でも、占有している共有者に対して、その分の家賃を「不当利得返還請求」により請求できます。とはいえ、弁護士費用などを考えると収支をプラスにするのは難しいことから、自分の共有持分を手放したほうがスムーズにトラブルから抜け出せるでしょう。

その他、物件自体に何らかの訳あり要素があるケース

上記で紹介したもの以外にも、物件自体に何らかの訳あり要素がある共有持分は、売却がより難しくなります。訳あり物件かつ共有持分の不動産だと、買取業者のなかでも取り扱っているところはさらに絞られてしまいます。

買取業者に買い取ってもらえる可能性を上げるには「訳ありの原因を解消できる見込みがある不動産か」「訳あり物件の買取実績を持つ業者か」などを確認しておきましょう。

以下では、訳あり物件の主な種類と解消方法などをまとめました。

訳あり物件の種類 解決策など
再建築不可物件 ・接道義務違反などが原因で新築や建て替えなどができなくなった不動産
・接道義務違反ならセットバックや隣地の一部の買取などで解消が可能
事故物件 ・「過去に自殺があった」「知っていたら契約していなかった」など、買主や借主が心理的抵抗を覚える事案が存在する不動産
・売却の場合は告知義務が消えないものの、徹底したリフォームや清掃の実施、長期間経過後の売却などの工夫で売りやすくなる可能性あり
物理的瑕疵のある物件 構造的な欠陥、雨漏り、シロアリ発生など物理的瑕疵が存在する物件
・物理的瑕疵を修繕・改善すれば売却しやすくなる
建ぺい率・容積率オーバー ・建築基準法で定められた建築面積や延床面積をオーバーしたことで違反建築物になっている
・減築する、容積率の緩和を適用するなどで対応するなどの方法がある
・法改正によって既存不適格となった場合は直ちに違法にはならない
建物の老朽化 ・築年数が経過したりメンテナンスせず放置していたりなどで建物が老朽化して人が使うのが難しい不動産
・再建築不可物件になっていなければ更地にしたり、リノベーション・リフォームで対応したりする

共有持分売却時に発生する費用や税金

共有持分を売却する際には、さまざまな費用や税金の支払いが発生します。あらかじめ費用や税金について確認しておき、「手取りが想像より少なくて混乱した」「必要なお金を支払っていなかった」といった事態を避けられるようにしましょう。

共有持分売却時に発生する費用や税金は、主に次のとおりです。

共有持分売却時に発生する費用や税金
  • 売却益にかかる譲渡所得税・住民税
  • 登録免許税や司法書士報酬など登記関係の費用
  • 売買契約書にかかる印紙税
  • 不動産仲介を使うなら仲介手数料
  • その他雑費など

売却益にかかる譲渡所得税・住民税

譲渡所得税とは、建物を売却した際に得られる利益に かかる税金のこと

共有持分を売却して売却益が出たら、その売却益に対して譲渡所得税(復興特別所得税含む)と住民税がかかります。以下の計算式で算出された譲渡所得に税率を乗じ、その金額分の譲渡所得税や住民税を支払います。

【譲渡所得税の計算】
・譲渡所得=共有持分の売却価格-(取得費※+譲渡費用)-特別控除
・譲渡所得税・住民税=譲渡所得×税率
※取得費は共有持分割合に応じた金額になる

譲渡所得に乗じる税率は、その共有持分の所有権が発生したときからの所有年数に応じて決まります。

  • 売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以下:39.63%(譲渡所得税30.63%・住民税9%)
  • 売却した年の1月1日時点で所有期間が5年超:20.315%(譲渡所得税15.315%・住民税5%)

譲渡所得税・住民税が発生したら、確定申告によって税務署(住民税は自治体)に譲渡所得や納税額を申告しなければなりません。確定申告後は、金融機関での窓口支払いや振替納税など、任意の方法で納付します。

もし売却する共有持分が「マイホーム(居住用財産)」や「被相続人の居住用財産(空き家)」に該当する場合は、最大3,000万円の控除が適用されます。

マイホーム(居住用財産)の特別控除

出典:国税庁「No.3308 共有のマイホームを売ったとき

共有持分の売却は、共有者ごとに3,000万円ずつ適用できるケースがあるため、マイホームの共有持分を売却する際は、特別控除が使えないか確認しておきましょう。

参考:国税庁「土地や建物を売ったとき

登録免許税や司法書士報酬など登記関係の費用

所有権移転登記や司法書士報酬など、登記関係にも費用がかかります。

原則として、売主側が負担する登記費用は買主側より少ないものの、買主との話し合いによっては売主側が登記費用を負担する可能性もあります。念のため、登記にいくらかかるのかを確認しておいてください。

たとえば、一般的な商習慣においては、所有権移転登記の登録免許税および司法書士報酬は買主側の負担です。

以下では、共有名義不動産や共有持分の売買において、発生が見込まれる登記に関する費用をまとめました。

登録免許税や司法書士報酬など登記関係の費用
手続き おおまかな費用
所有権移転登記(売買)の
登録免許税
固定資産税評価額に以下の税率を乗じる
土地:2%(2026年3月31日まで1.5%)
建物:2%
抵当権抹消登記の登録免許税 1件あたり1,000円
所有権移転登記および抵当権抹消登記の司法書士報酬 1件あたり5万~10万円
分筆登記の土地家屋調査士報酬 ・6万~10万円
・境界確定が必要な場合は20万~100万円規模になる可能性あり

※ 司法書士報酬や土地家屋調査士報酬は、案件の難易度や地域などによって報酬額が変動する可能性があります。

参考:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表

売買契約書にかかる印紙税

共有持分を含めた不動産の売買契約書は、税法上の課税文書に該当するため、印紙税が課せられます。課税金額は、契約書に記載された共有持分の売買金額に応じます。

売却価格が100万円超〜10億円以下の1枚あたりの印紙税は次の通りです。2027年3月31日まで適用される軽減税率も、併せて紹介します。

共有持分の売却価格 印紙税額 軽減税率
100万円超500万円以下 2,000円 1,000円
500万円超1,000万円以下 1万円 5,000円
1,000万円超5,000万円以下 2万円 1万円
5,000万円超1億円以下 6万円 3万円
1億円超5億円以下 10万円 6万円
5億円超10億円以下 20万円 16万円

参考:国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで
参考:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置

不動産仲介を使うなら仲介手数料

不動産仲介を利用した場合、宅地建物取引業法上、成立した売買契約の価格に応じた仲介手数料の上限が定められています。

各不動産仲介業者は、以下の上限の範囲内で仲介手数料の金額を決定しています。

売却価格 手数料計算
200万円以下の部分 売却価格の5%+消費税
(計5.5%)
200万円超から
400万円以下の部分
売却価格の4%+消費税
(計4.4%)
400万円超の部分 売却価格の3%+消費税
(計3.3%)
売却価格400万円を超えるときの速算式 (売却価格の3%+6万円)×1.1

参考:国土交通省「<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ

たとえば共有持分が1,000万円で売却できたとしても、不動産仲介を利用していると、以下の金額を上限に仲介手数料の支払いが求められます。

共有持分が1,000万円で売れた場合の 仲介手数料の計算例
  1. 200万円以下の部分:200万円×5.5%=11万円
  2. 200万円超~400万円以下の部分:200万円×4.4%=8万8,000円
  3. 400万円超~1,000万円の部分:600万円×3.3%=19万8,000円
  4. 合計:11万円+8万8,000円+19万8,000円=39万6,000円
  5. 速算式:(1,000万円×3%+6万円)×1.1=39万6,000円
法定上限の仲介手数料を超えた金額の請求は違法になります。

その他雑費など

共有持分の売却時には、売買契約に必要な書類の取り寄せ費用、共有名義不動産からの引越し費用、その他移動費などもかかります。おおよそ数万円程度を見込んでおくとよいでしょう。

共有持分の売却における必要書類

共有持分の売却時には、主に以下の必要書類を準備しておきます。

共有持分売却時の必要書類
必要書類 概要・入手先
登記済権利書
または
登記識別情報
共有持分の所有者であると証明するもの
持分取得時に法務局から交付
紛失した場合は再発行できないため、司法書士などに「本人確認情報」の作成を依頼したり、事前通知制度を利用したりなどの対応が必要
重要事項説明書 契約上重要な情報が記載された書面
不動産仲介業者や買取業者が作成し共有
固定資産税評価額の証明書 共有名義不動産の固定資産税評価額や共有持分割合、床面積、地積などが載っている証明書
自治体の窓口にて取得
身分証明書・住民票 自分が共有持分の所有者本人であると証明するためのもの
運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど顔写真が付いたもの
住民票は3か月以内に発行されたもの
住民票は自治体窓口やコンビニで取得
印鑑・印鑑証明書 契約書類によっては認印も可能ではあるものの、登記手続きには実印が必須
印鑑証明書は発行から3か月以内
自治体の窓口やコンビニにて取得
土地測量図・境界確認書
(土地の共有持分売却の場合)
持っていないときは土地家屋調査士に依頼して土地境界確定測量を実施

上記の他にも書類を求められることがあります。また、土地を分筆登記するときには以下の書類が必要です。

必要書類 概要・入手先
土地測量図・境界確認書 分筆手続時に土地家屋調査士から取得
登記申請書 分筆登記に関する申請書
法務局などで取得
現地案内図 分筆する土地の場所がわかる案内図
委任状 土地家屋調査士が代理で登記申請する際に必要になる書類

なお実際にどのような書類が必要になるかは、都度業者へ確認しましょう。

共有持分を売却した後は確定申告が必要

共有持分売却後に譲渡所得税が出る場合は、所得税の確定申告が必要です。

所得税の確定申告をすれば自治体にも共有されるため、住民税の申告もしたことになります。

譲渡所得税は「譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」に該当し、申告分離課税として申告します。

事業の儲けを表す事業所得や、ビジネスマンの給料として受け取る給与所得などの総合課税とは別計算です。

使用する確定申告書も、通常の確定申告書に加えて分離課税用の確定申告書(第三表)を使うので注意してください。

譲渡所得税用の確定申告書第三表

参考:国税庁「確定申告書等の様式・手引き等

確定申告の方法は、国税庁が公開する「譲渡所得の申告のしかた」といったガイドブックに沿えば誰でも簡単にできます。国税庁の確定申告書等作成コーナーやクラウド会計ソフトを使えば、画面の案内にしたがって情報を入力するだけで確定申告書の作成が可能です。近年では、電子申告にも対応しています。

とはいえ、共有持分の売却は「取得費に含めてよい経費の線引き」や、「減価償却費の計算」など、専門的な計算が必要になる可能性があります。税金計算が複雑で難しいと感じる場合は、一度税理士に相談してみるのがよいでしょう。

確定申告書は、共有持分の売却益を得た翌年の2月16日~3月15日の期間中に納税地の税務署へ提出しましょう。確定申告をした後は、申告した譲渡所得税を支払い用紙、口座振替、e-Taxを使った納付、クレジットカード、コンビニQRコードなどの方法で納税してください。

ワンポイント解説

共有持分の売却にマイホームを売ったときの特例などを適用する場合、特例適用後の課税所得が0円であっても必ず確定申告が必要です。確定申告をしないと、特例を申請していない扱いになり、せっかくの特例が取り消されます。

参考:国税庁「【税金の納付】

まとめ

共有持分であれば、民法第206条に基づき、他の共有者の同意なしで売却できます。全体売却と比べて価格は安くなる傾向がある一方、単独売却のほうが現金化までスムーズかつスピーディーに進みやすいというメリットがあります。

売却相場は、他の共有者に売る場合は「不動産全体の価格 × 共有持分割合」、買取業者に買取を依頼する場合は「不動産全体の価格 × 共有持分割合 × 1/2~1/3」です。

少しでも高く売却したい場合は他の共有者への売却が、売却のサポートを受けつつ早期に現金化したい場合は買取業者への依頼が向いています。

売却時の注意点として挙げられるのは、同意が不要だからといって、他の共有者に無断で売却してしまうことです。事前に相談しておけば、他の共有者との感情的な摩擦を防ぎやすくなります。場合によっては、全体売却など別の解決策を提案してくれるかもしれません。

また、不動産会社や不動産鑑定士などの専門家に共有持分の査定をお願いし、大まかな売却相場を掴んでおくことも重要です。

当記事を参考に、共有持分の売却を検討してみてください。共有持分の売買取引について疑問点・不安がある場合は、まずは共有持分の買取実績が豊富な買取業者に相談してみるのがよいでしょう。

共有持分・共有名義不動産に関するよくある質問

共有持分の売却価格を自分で調べる方法はありますか?

共有持分の資産価値を前もって正確に確認したいときは、不動産鑑定士や土地家屋調査士などの専門家の協力を得て査定を進めるのがよいでしょう。現在の固定資産税評価額を知りたいときは、固定資産税の納税通知書や自治体の窓口にて固定資産税台帳を確認します。

共有者が持分を勝手に売却したらどうなりますか?

共有者が勝手に自分のものを売却すること自体には、法的問題は一切ありません。もし新しい共有者に問題があるときは、自分の共有持分を売却・放棄する、問題がある共有者の共有持分を買い取るなどが今のところの対処法です。共有物分割請求請求をされたら、すぐに不動産に強い弁護士へ相談するのがよいでしょう。

共有持分を売却するならどのタイミングがよいですか?

共有持分は、相続時に売却するのが一番よいタイミングです。遺産分割協議のなかで共有持分以外の相続財産に代える、遺産分割協議を通じて共有名義不動産全体の売却を提案しやすい、相続放棄でスムーズに手放せるなど、柔軟な対応が取りやすいからです。他には離婚したとき、住宅ローンがアンダーローンになったときも共有持分に手放すタイミングになります。

共有持分を売却したらどうなりますか?

売主は共有状態から抜け出し、代わりに買主が新しい共有者になります。売主は「共有者同士や相続関係の争いに巻き込まれなくなる」「固定資産税や維持管理費を支払わなくてよくなる」といったメリットがあります。

共有持分を売却せず所有し続けることで想定されるトラブルはなんですか?

筆者へ相談いただく方のなかには、「共有持分は手放すべきと聞いて相談しにきたものの、実は理由がよくわかっていない」というケースも少なくありません。以下では、これまでの相談事例のなかから、共有持分を持ち続けることでよく起こるトラブルを紹介します。

共有持分を持ち続けると起こるトラブル 具体例
共有名義不動産にかかる費用や管理の負担で揉める ・共有者の1人が固定資産税を支払わず代表者が代わりに納税している
・自分以外の共有者が遠方に住んでいるので、維持管理の負担が自分だけに集中している
共有者との言い争いや法的な紛争が起こる ・共有者の1人が強引に不動産を占有し、明け渡し請求訴訟に発展する
・他の共有者が共有持分を黙って放棄したことで、突然渡された共有持分に関する贈与税が課せられた
相続で共有持分がさらに分割されて権利関係が複雑化する ・相続によって共有者が5人に増え、今後の管理や支払いについての話し合いをまとめる手間が増えた
・自分の子どもまで相続が続いたときに、子どもと交流のない人が共有者となってトラブルが発生する

共有持分や共有名義不動産にまつわるトラブルについては、以下の関連記事で詳しく解説しています。

共有持分を売却する以外に共有状態から抜けだす方法はありますか?

共有持分の売却以外にも、共有名義不動産の共有状態から抜けだす方法はいくつも存在します。売却にはないメリット・デメリットがあるので、どの方法があなたに合っているのかぜひ一度確認してみてください。

共有状態から抜けだす方法 概要
共有持分の放棄 共有持分を放棄し、他の共有者へ帰属させる手続き。自分の意思表示のみで手続きを進められるので、迅速に共有持分を手放せる。ただし、登記時には他の共有者全員との共同申請が必要となるうえに帰属させた分の贈与税が他の共有者へ課せられるため、トラブルになるリスクに注意。
贈与 他の共有者や第三者へ無償で譲渡する方法。譲受人との合意があればすぐに成立する。相手が購入資金を準備できなくても実施できるのがメリット。譲受人には受け取った共有持分について贈与税がかかる。
共有持分割合に応じて分筆する 1つの土地を複数に分割し、共有者それぞれの単独名義として登記し直す方法。共有者全員が分筆後の土地を自由に活用しやすく、通常の不動産扱いで売却しやすい。ただし、分筆後の土地の面積や形状によっては買い手がつかない可能性がある。分筆するには共有持分割合の過半数の同意が必要かつ、登記時にもともとの共有者全員の協力の下、共同申請をおこなう。
共有物分割請求 共有者の1人が共有状態の解消についての話し合いを請求する方法。他の共有者は拒否できない。協議で結論が出ないときは共有物分割請求訴訟を提起し、裁判の判決や裁判上の和解で共有状態の解消について決定する。

※ 「共有状態から抜けだす」の列をクリックすれば関連記事へジャンプします。

上記の方法は、すでに共有名義不動産の共有者となっている場合にできる方法です。これから共有持分を取得するという人なら、共有名義にならないよう事前に予防できる可能性があります。

<共有名義にしないための方法の例>

  • 遺産分割協議で話し合う
  • 相続放棄する
  • 遺言書で単独名義での相続になるよう親と話し合っておく
  • 共有名義になる前に不動産全体を売却し現金化しておく

なお、共有名義を解消する方法については、以下の関連記事で詳しく解説しています。

共有持分に関するコラムはこちら

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    更新日 : 2025年11月07日
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