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共有名義不動産の売却トラブル事例│トラブル対策も詳しく解説!

共有名義不動産を売却する場合によくあるトラブル!売却相場や対策なども解説

共有名義不動産は、複数の共有者や法律が関係するため、売却の過程でトラブルが発生しやすい傾向があります。こうしたトラブルは内容ごとに整理すると、大きく5つのタイプに分類できます

トラブルのタイプ よくあるトラブル例
売却の合意形成に関するトラブル ・売却に賛成する共有者と反対する共有者が対立する
・希望価格が一致しない
・相続で共有者が多く、所在不明者がいる
・共有者が連絡に応じない
・認知症によって判断能力に問題のある共有者がいる
・共有者が海外に住んでいる
権利に関するトラブル ・共有名義不動産に相続登記がされておらず名義が古い
・共有名義不動産に抵当権が残っている
共有名義不動産が抱える「瑕疵」に関するトラブル ・いわゆる訳あり物件で売却先が見つからない
・不動産に構造的な問題(雨漏り、老朽化など)がある
売却金額の分配方法に関するトラブル 売却金額の分配方法で合意が得られない
売却手続き上のトラブル ・売却手続きに必要な書類が整わない
・手続きに遅延が生じ、契約締結が延期される

このように、共有名義不動産の売却では、合意形成や権利関係、物件の状態、売却代金の分配、手続き面など、複数の要因が重なってトラブルが生じやすい構造になっています。

こうした状況で「誰かが折れれば解決する」「時間をかければまとまる」と考えてしまうと、かえって売却が進まなくなることも少なくありません。共有名義不動産の売却では、共有者全員の同意が求められる場面が多く、一人でも反対や意思表示が不明確な共有者がいると、手続きが止まってしまうためです。

解決に向けて重要なのは、売却にあたって「どこまで共有者の同意が必要で、どの方法であれば売却を進められるのか」を整理することです。全員の合意が前提となるケースもあれば、持分の売却や裁判所の関与を前提に進められる場合もあり、こうした違いを把握せずに話し合いを続けても、結論が出ないまま時間だけが経過してしまいます。

また、所在不明者や判断能力に問題のある共有者がいる場合でも、売却を諦める必要はありません。制度を活用して手続きを進めたり、権利関係を段階的に整理することで、売却に向けた環境を整えられるケースもあります。

共有名義不動産の売却トラブルは、放置するほど関係者が増え、選択肢が限られていく傾向があります。早い段階で状況を整理し、適切な手段を選ぶことが、無用な対立や長期化を避けるための現実的な解決策といえるでしょう。

本記事では、実際にあったトラブル事例、状況に応じた対処法などについて詳しく解説していきます。

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共有名義不動産の売却でよくあるトラブル例一覧

共有名義不動産を売却する際には、さまざまなトラブルが発生しやすいのが現実です。これまでに私どもが対応してきた事例でも、共有者間の意見が食い違ったり、権利関係が複雑だったりと、問題が多く見受けられました。

下記は、共有名義不動産の売却でよくあるトラブル例です。

トラブルのタイプ よくあるトラブル例
売却の合意形成に関するトラブル ・売却に賛成する共有者と反対する共有者が対立する
・希望価格が一致しない
・相続で共有者が多く、所在不明者がいる
・共有者が連絡に応じない
・認知症によって判断能力に問題のある共有者がいる
・共有者が海外に住んでいる
権利に関するトラブル ・共有名義不動産に相続登記がされておらず名義が古い
・共有名義不動産に抵当権が残っている
共有名義不動産が抱える「瑕疵」に関するトラブル ・いわゆる訳あり物件で売却先が見つからない
・不動産に構造的な問題(雨漏り、老朽化など)がある
売却金額の分配方法に関するトラブル 売却金額の分配方法で合意が得られない
売却手続き上のトラブル ・売却手続きに必要な書類が整わない
・手続きに遅延が生じ、契約締結が延期される

ここからは、それぞれの内容と対策を解説していきます。

共有名義不動産の売却時の合意形成に関するトラブルと対策

共有不動産の全体を売却したい場合は、共有者全員の合意が必要です。しかし、合意を得るまでには次のようなトラブルに見舞われることも少なくありません。

  • 売却に賛成する共有者と反対する共有者が対立する
  • 希望価格が一致しない
  • 相続で共有者が多く、所在不明者がいる
  • 共有者が連絡に応じない
  • 認知症によって判断能力に問題のある共有者がいる
  • 共有者が海外に住んでいる

それぞれの具体例とともに、対策のヒントをみていきましょう。

売却に賛成する共有者と反対する共有者が対立する

共有名義の不動産の売却で起こりやすいのが、売却したい共有者と、売却したくない共有者が対立するというトラブルです。実際に、下記のような事例でご相談いただきました。

【事例】
兄弟である親の持ち家を共有しているBさんからのご相談です。兄のAさんは家に強い思い入れがあり、家を離れることを嫌がってリフォームして住み続けることを希望していました。一方、弟のBさんは家が古くなっており、現金化して新しい住まいを確保したいと考えていました。結局、AさんとBさんは売却に関して意見が対立し、調整が難航しました。

上記のパターンの相談は非常に多く、紹介した事例は一例です。

共有者間で意見が対立する場合の対策として、以下のようなものが挙げられます。

  • 売却を反対する共有者に持分を買い取ってもらう
  • 買取業者のような第三者や、弁護士などの専門家を介して話し合う
  • 共有持分分割請求を活用する(話し合いで合意できない場合の最終手段

今回の事例では、Aさんがリフォームを希望されていました。

しかし、共有名義不動産の場合は売却だけでなく、大規模なリフォームをする場合にも、民法251条・252条で定められているとおり、原則として共有者全員がそれを承諾しなければなりません。

民法251条 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない
民法252条 共有物の管理に関する事項(次条第一項に規定する共有物の管理者の選任及び解任を含み、共有物に前条第一項に規定する変更を加えるものを除く。次項において同じ。)は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。共有物を使用する共有者があるときも、同様とする

したがって、兄弟2人の合意がなければ、大規模なリフォームも売却も不可能です。現実的な対策としては、どちらか一方が、もう一方の共有持分を買い取る方法が挙げられますが、それでも同意が得られない場合は裁判所にて強制的に共有状態を解消してもらう共有物分割請求という選択肢もあります。

<共有物分割請求とは>
共有状態を強制的に解消するための法的手続きです。話し合いで分け方が決まれば協議による分割となり、合意できなければ裁判所に申し立てて分割方法を決めてもらう流れになります。

分割方法には、現物のまま分ける方法、売却して代金を分ける方法、特定の共有者が取得して代償金を支払う方法などがあります。

ただし共有物分割請求は分割方法を自由に選べないほか、競売という形で共有状態を解消しなければならないリスクもあります。そのため、まずはAさんが共有持分を買い取る方法を提案させていただきました。

Aさんは親から相続した家を1人だけで所有することになるため、住み続けるのに不都合はありません。Bさんにとっても、不動産の売却という当初の目的が達成されるため、どちらにとってもメリットのある選択といえます。

しかし、今回のパターンではAさんがBさんの持分を即座に買い取るだけの資金力を持っていなかったため、一度私の方でBさんの共有持分を買い取り、その後Aさんが資金を準備した後、改めてAさんが持分を買い戻すという方法で解決しました。

希望価格が一致しない

共有者全員が売却に合意はしたものの、希望価格が一致せずに困っているというトラブルも少なくありません。過去には下記のような事例がありました。

【事例】
AさんとBさんは、接道義務を果たしていない実家の売却を決めました。すでに仲介で売却活動を始めており、買主候補は1人見つかっていましたが、価格に関して意見が一致せずに進展がありませんでした。

Aさんは、すでに見つかっている買主候補に早急に売却したいと考えていましたが、Bさんはまだ高く売れる可能性があると考えており、さらに時間をかけて価格を少しでも上げたいと希望していました。

そのため、価格に関して意見が一致しないことからご相談いただきました。

今回のトラブルが発生した原因は、AさんもBさんも自分たちの家にどのくらいの価値があるのか、十分に理解していなかったことが挙げられます。

このトラブルの対策として、まずは売却対象の共有名義不動の価値を把握し、適切な売却価格を知ることが有効です。

ただし、専門知識がない人が自分の不動産の価値を判断をするのは難しいため、不動産会社に査定してもらうことが得策です。もしくは有料で不動産鑑定士に依頼するのも一つの方法です。

相続で共有者が多く、所在不明者がいる

共有者の中に所在不明者がおり、合意の確認が取れないために、共有名義の不動産を売却できない、という事例も多々みられます。過去に私の元に相談があった、次のような事例が代表的です。

【事例】
もともと祖父が所有していた不動産を代々相続し、自分含め、孫3人で共有していたAさんからのご相談です。

売却の話が持ち上がっていたものの、共有者のBさんが他界し、さらに相続が発生してしまいました。Bさんの相続人である息子さんは所在不明のため、売却の合意が得られず、売却できない状況が続いているという内容でした。

この場合は、次の4通りから対策法を選べます。

利用の選択肢 概要
所在等不明共有者持分取得制度 裁判所に申し立てて、他の共有者が所在不明者の持分を取得する
所在等不明共有者持分譲渡制度 裁判所に申し立てて、他の共有者が所在不明者の持分を第三者に売却する
不在者財産管理人制度 裁判所に申し立てて、不在者の代わりにその財産を管理する人を選任
失踪宣告制度 裁判所に申し立てて、所在不明者の生死が7年間不明の時点で死亡したと見なす

所在等不明共有者持分取得制度所在等不明共有者持分譲渡制度は、令和5年4月1日から施行された比較的新しい制度です

所在等不明共有者持分取得制度を利用する場合は、裁判所が定めた買取金額を供託金として、法務局に納付する必要があります。

一方で所在等不明共有者持分譲渡制度では、売却益が出ても法務局に供託金を納付する必要はありません。そのため、売却を前提としている場合は、所在等不明共有者持分譲渡制度を利用したほうがコストを抑えられるでしょう。

ただし、こちらの制度は、その不動産の相続開始から10年以上経過しないと利用できません。必要年数が経過していない場合、不在者財産管理人制度や失踪宣告制度を利用するのが基本です。

今回も、所在が分からなくなってから10年経過していなかったため、弊社が連携する弁護士とともにサポートしながら不在者財産管理人制度を使用し、弊社が買い取る形で解決しています。

なお、不在者財産管理人制度を利用して共有不動産を売却する場合は、売却について裁判所の許可が必要となります。

また、失踪宣告制度を利用した場合は、その共有者の相続人と不動産の処分方法について協議しなければなりません。そのため、新しい相続人の所在が分かっている場合には有効な方法といえます。

共有者が連絡に応じない

共有者の1人が売却に関する連絡に応じず、結果として共有者全員の合意が取れなくなっている、というトラブルも少なくありません。実際に担当した事例でも、以下のようなケースがありました。

【事例】
親戚の4人で共有しているAさんからのご相談です。共有者の1人が所在が分かっているものの連絡が取れない状況。その他の共有者から何度も連絡を試みましたが、返事が一切なく、売却に関する合意が取れないままでした。行方不明以外の共有者全員が売却を望んでいるため、今回ご相談いただきました。

この場合の対策として、「共有物分割請求訴訟」の手続きを取るのも選択肢の1つです。

ただし、訴訟はお金も時間もかかる方法であるため、まずはできるだけ話し合いなど他の方法で解決を目指すことが望ましいです。

不動産における共有物分割請求訴訟とは、共有者全員で裁判所に申し立てて、その不動産の共有状態を解消する手続きです。分割方法には次の3種類があります。

分割方法 分配方法 概要・注意点
現物分割 共有物を物理的に分配 ・各共有者が自分の持分を取得できる
・自分の持分を自由に売却できるようになる
換価分割 共有物を売却して代金を分配 ・不動産を失う
・本来の価格より大幅に安く売却される恐れがある
価格賠償 共有者の1人が共有物の所有権を取得し、他の共有者に代償金を支払う 他にも不動産を取得したい人がいた場合、取得できなかった人は納得できない

分割の方法は裁判所が決めるため、必ずしも申立人の希望通りに行くとは限りません。ただし、裁判所の判決には法的拘束力を伴うため、売却に向けた話し合いが進まない場合には有効です。

例えば、現物分割が選択された場合は、各共有者は分割された分を単独で所有できます。つまり、自分1人の判断で不動産を自由に売却できるようになるため、意思表示をしない共有者に振り回されることもなくなります。

ただし、換価分割が選ばれると、不動産が競売にかけられてしまいます。競売とは、裁判所が不動産を強制的に売却し、代金を共有者に分配する方法です。

競売による売却は、市場価格の5割ほどの価格で売られるのが基本です。そのため、共有者全員が不動産を失うことになり、しかも本来の価格より大幅に安く売却されてしまうリスクがあります。

そのため、共有物分割請求訴訟は最終手段として利用すべきであり、できるだけ話し合いなど他の方法で問題を解決するのがおすすめです。

認知症によって判断能力に問題のある共有者がいる

共有者の中に認知症がいる場合、売却に関する同意を得る過程でトラブルが発生することがあります。実際にこれまで関わった事例でも、このような問題が発生しました。

【事例】
認知症を患っている共有者が出した売却に同意するための委任状が受理されないという問題が起こりました。委任状を出した本人が判断能力に問題があると認定され、他の共有者がその判断が本当に本人の意思であるのかを確認するために、手続きが大幅に遅延しました。

民法3条2項は、認知症などのために判断能力が疑問視される人の法的行為を無効とする旨を定めています。

第3条2項
法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。
引用元 民法 | e-Gov 法令検索

認知症が進行している人が、売却に同意する書類にサインしていたとしても、その人の意志であるかを客観的に判断できません

この場合の対策法として、「成年後見人制度」という方法を提案いたしました。

成年後見人制度とは、家庭裁判所に申し立てて、認知症の共有者に代わって法律行為を行える人(成年後見人)を選任してもらう方法です。成年後見人が売却に同意し、かつ家庭裁判所がそれを認めれば、共有名義の不動産の売却が可能になります。

上記の事例でも、私どもと連携する弁護士がサポートしながら家庭裁判所に成年後見人の選任を申し立て、時間をかけて売却を認めてもらうに至りました。

なお、成年後見人選出の申し立てから不動産の売却完了までには、少なくとも3ヶ月かかる点に留意してください。

共有者が海外に住んでいる

共有名義の不動産を売却する際は、原則として売買契約書を締結する際に共有者全員の立ち合いが必要です。共有者の1人が海外にいる場合は、次のようなトラブルが起こる可能性があります。

下記は、実際に私が担当したトラブルの事例です。

【事例】
Aさんの共有者の1人が仕事の関係で海外に住んでおり、売買契約の場に立ち会えない状況でした。そのため、売却手続きが遅延し、契約書の締結が進まないという問題が発生。海外在住の共有者が立ち会えない場合、必要書類の準備や委任状の取り交わしが複雑になり、スムーズに進められず買い取り完了まで時間がかかった事例です。

この場合、海外に住んでいる共有者に帰国する予定があるか、または売却のために帰国できるかどうかで、提案内容は以下のように変わります。

帰国予定 提案内容
あり 帰国まで待って全員で売却する
なし・不可能 代理人を立てて国内の共有者だけで売却する

この場合の対策として、あらかじめ手続き方法を把握した上で帰国予定の有無を確認し、必要書類や代理人の選定を早め早めに進めておくことが有効です。

帰国する予定がある場合、帰国後に売却契約を進めるのが基本です。全員が揃った状態で契約を締結できるため、スムーズに進められます。

一方、共有者が帰国できなかったり、帰国予定がなかったりする場合は代理人を立てる方法もあります。海外に住んでいる共有者が代理人に委任状を送付すれば、代理人を通じて売却契約を進めることが可能です。

なお、不動産売却の際には、「権利証」「住民票」「印鑑証明書と実印」が必要ですが、このうち海外在住者は日本国内の住民票や印鑑証明書を取得できません。そのため、代わりに次のような書類の準備が必要です。

一般的な不動産売却に必要な書類 海外在住の共有者が準備すべき書類
権利証 ・在留証明書
・サイン証明書

今回のように、海外在住の共有者が帰国できない場合は、国内代理人を立てるのが基本です。その場合は上記の書類に加えて、代理人の身分や権限の証明として「委任状」の作成も必要になります。

代理人を立てるための委任状には、次のような事項を記載します。

  • 委任内容
  • 委任者の氏名・住所・押印
  • 代理人の氏名・住所・押印

このとき、委任者と代理人の氏名は必ず自署しなければなりません。なお、代理人ができるのは委任状に記載された「委任内容」の範囲に留まるため、記載事項に不備があると売却手続きに支障を来す恐れがあります。

例えば、代理交渉の権限について記載がない場合は、買主から値下げ交渉を持ちかけられても、代理人は応じることができません。さまざまな事態を想定し、具体的かつ明確に委任権限を定めることが大切です。

なお、代理人は家族や親族、信頼できる知人に任せることができます。より安全な手続きを望むのなら、弁護士や行政書士といった専門家に依頼するのがおすすめです。今回ご相談いただいた共有者のうち、代表者であるAさんに委任する形で解決しました。

共有名義不動産の売却時の権利に関するトラブルと対策

共有名義の不動産の売却においては、次のような権利関係のトラブルが起こるケースも多いです。

  • 共有名義不動産に相続登記がされておらず名義が古い
  • 共有名義不動産に抵当権が残っている

それぞれの内容と対策法をみていきましょう。

共有名義不動産に相続登記がされておらず名義が古い

代々相続してきた共有不動産は、相続登記がされておらず、古い名義のままというケースも見受けられます。実際に、私の元には下記のようなご相談も今までにありました。

【事例】
4代にわたって共有してきた不動産の登記簿を確認したところ、2代前の共有者の名義のままでした。その後、相続が発生するたびに新しい相続人が増えており、誰が現在の共有者なのかを確定するのが非常に困難な状況でした。登記簿に記載されている名義人と実際の相続人にズレがあり、その修正作業に時間がかかり、売却手続きが大幅に遅れました。

共有名義不動産の共有者が死亡した場合、原則としてその共有持分は法定相続人に相続されます。そのため、上記の事例のように、新しい相続人が雪だるま式に増えていき、共有関係が複雑化していきます。

現在は共有持分を相続した場合、その旨を登記に登録しなければなりません。しかし、相続登記が義務化されたのは令和6年4月からであるため、それ以前に相続した場合は登記がきちんと行われていないケースも多いのが実情です。

この場合の対策としては、やはり相続登記を行うのがベストです。具体的には、家系図を遡って1世代ずつ丁寧に相続人を追いながら相続登記を完了させる必要があります。今回も、戸籍謄本謄本や家系図を遡って共有者一人一人に連絡し、6ヶ月ほどかかって私の方で買い取るに至りました。

なお、相続登記はA→B→Cのように順番に行うのが原則ですが、数代にわたって遡る場合は、A→Cのような「中間省略登記」が認められる場合もあります。

<中間省略登記とは>
不動産の売買が複数回行われた際に、途中の所有者を登記せず、最終的な買主だけを登記する方法。

中間省略登記については専門知識が必要です。また、数代にわたる相続登記は手続きが煩雑なため、ミスをなくすためにも専門家である弁護士や行政書士への依頼を検討しましょう。

共有名義不動産に抵当権が残っている

相続した共有名義の不動産に抵当権が残っている場合も見られます。実際に、抵当権が残っている不動産の買取依頼で、下記のような事例がありました。

【事例】
相続登記のために法務局を訪れた際、親から相続した一軒家に住宅ローン会社の抵当権が残っていることが発覚したAさん。住宅ローンを完済していたにもかかわらず、抵当権の抹消手続きが行われていなかったため、登記簿上は依然としてローン会社の権利が残っている状態でした。

このため、不動産を売却しようとしても、抵当権が残っている限り、売却ができない状況に。ほかにも家の老朽化などの問題があったため、こちらの問題も合わせてご相談いただきました。

こうしたトラブルを回避するには、まず住宅ローンを完済したと同時に、なるべく早く抵当権抹消手続きを行うことが重要です。

また、売却することを決めた際に、抵当権の有無をあらかじめ確認しておく必要もあります。抵当権の有無は以下の方法で確認できます。

  • 法務局にある登記簿謄本で確認する
  • 司法書士に依頼する
  • 登記情報提供サービスで確認する

不動産における抵当権とは、住宅ローンなどを組む際、債務者が返済できない場合に備えて設定される「保証」のようなものです。具体的には、ローン返済が滞ったときに、ローン会社は抵当権付きの物件を引き上げて売却し、その代金からローン残高を回収します。

ローンを完済していれば、物件をローン会社に取り上げられることはありません。ただし、抵当権はローンを完済したら自動で抹消されないため、法務局で「抵当権抹消登記」という手続きを行う必要があります。

申請自体は、共有者のうち1人からでも行えるため、原則として他の共有者の同意は必要ありません。一方で、法務局に提出する「抵当権抹消登記申請書」には、共有者全員の氏名が必要です。

他の共有者の同意は不要ですが、自己判断で他の人の名前を書くとトラブルに発展することもあるため、事前に確認を取っておくことが望ましいでしょう。なお、抵当権抹消登記には不動産1件につき登録免許税1,000円がかかるほか、すべての手続きが完了するまでに1~2週間を要するのが一般的です。

抵当権が残っている不動産はそのままでは売却できないため、必ず抹消しておきましょう。今回の事例ではローン自体は完済していたので、抹消手続きのサポートをしつつ買取に至りました。

もしローンが残っている場合は、共有者全員で話し合って完済する必要があります。売却前に出資が必要なため、場合によっては負の遺産にもなりうるでしょう。返済が難しい場合は相続放棄するのも選択肢の一つなので、抵当権がついたままの不動産は、相続する前にローンが残っていないか確認するのが望ましいです。

共有名義不動産が抱える「瑕疵」に関するトラブルと対策

共有不動産の瑕疵(かし)が原因で、売却先がなかなか見つからないというケースも少なくありません。
瑕疵とは欠陥や問題点のことを指しており、過去の事例でも以下のこのような問題が発生したことがあります。

【事例】
下記の問題を抱える共有名義不動産を売却したい所有者様3人からご相談。
・天井に雨漏りがあり、修理が必要な状態
・物件の立地が非常に悪く、交通アクセスが悪い場所に位置している
・死者が出た事故物件で通常の仲介では売れなかった

上記のようないわゆる「訳あり物件」は、活用がしにくいため購入希望者があらわれにくい傾向があります。この場合の対策としては、下記2つの方法が挙げられます。

  • 少しでも市場価値を高めるような工夫をする
  • 訳あり物件の買取専門業者に売却を依頼する

例えば、雨漏りや事故物件などは、リフォームやリノベーションを施せば、購入希望者があらわれる可能性が高まります。なお、共有名義の不動産のリフォームやリノベーションは、民法252条・253条に基づいて、共有者全員の合意が必要である点に留意してください。

とはいえ、リノベーションや修理をしても購入者が現れるとは限りません。なかなか売却できない場合、徐々に値下げしていくのが基本なため、売却益がリノベーションなどにかかった費用を下回るリスクもあります。

そのため、なるべく少ないリスクで売却したいなら訳あり物件の買取専門業者に売却を依頼するのがおすすめです。専門業者なら、訳あり物件の活用ノウハウが豊富なため、瑕疵のある共有不動産名義の物件でも積極的に買い取りを実施しています。

また、専門の買取業者であれば、修繕やリフォームが不要なうえに、事故や事件が発生してもそのままの状態で買取可能なケースがほとんどです。今回も、私が買い取りを提案し、無事5日で買取に至っています。

共有名義不動産の売却金額の分配方法に関するトラブルと対策

共有名義の不動産を売却する際、売却金額の分配方法に関するトラブルが発生することも少なくありません。実際に私が担当した事例でも、以下のような問題が発生しました。

【事例】
兄弟3人で共有されている不動産に関するご相談です。それぞれ1/3ずつ共有するマンションの売却でしたが、マンション全体の管理は共有者の一人のAさんが行っていました。今回の売却益を1/3ずつ分配しようとしたところ、Aさんが「これまでの管理の手間賃として、自分が2/4を取り、BとCが1/4ずつにすべき」と主張し、BさんとCさんはこの提案に納得がいかず、トラブルが発生しました。

まず前提として、共有名義の不動産の売却金額は、原則として不動産登記に記載されている持分に応じて支払われます。上記の場合は、3人で1/3ずつ所有していたため、代金の分配1/3ずつが妥当です。

持分割合を無視して分配した場合は、税務上「贈与」と判断されて、取り分が多かった人に贈与税が課される可能性があります。したがって、このような場合は、やはり代金を1/3ずつ分配するのが望ましい対策法です。

とはいえ、上記のような特別な事情がある場合は、関係悪化を防ぐためにも、共有者で話し合って全員が納得できる落としどころを探すのがよいでしょう。自分たちだけで決着が着かない場合は、弁護士や行政書士に相談してみるのも選択肢の1つです。

この場合、ご希望があったので弊社と提携する弁護士を交えて話し合いを行い、贈与税のリスクや試算を出した結果1/3ずつの分配で納得いただけました。

共有名義不動産の売却手続き上のトラブルと対策

共有名義不動産の売却では、関わる共有者の人数が多くなる分、手続きも複雑になり、書類の不備や準備の遅れなどによるトラブルが起こりやすくなります。実際に私が担当した過去の事例でも、次のようなトラブルがありました。

【事例】
買取について合意はいただいておりましたが、共有者の1人だけが書類の準備に時間がかかっており、売買契約の締結が遅れてしまいました。さらに、提出された書類の一部に不備があったため、再提出が必要となり、最終的に契約日を延期せざるを得ませんでした。

他の共有者は早期の現金化を望んでいたので、なかなか進まず不満を漏らされている状況でした。

対策としては、正確に作成された書類を完璧にそろえるしかありませんが、書類の準備や手続きには専門的な知識が必要です。特に、共有名義不動産の売却には多くの書類や手続きが関わるため、書類の不備や遅れが原因で契約が遅延することも多くあります。

そのため、不動産業者や法律の専門家に相談し、サポートを受けながら進めるのがおすすめです。なお、共有名義不動産を売却する際は、共有者それぞれが以下の書類を準備してください。

  • 実印
  • 印鑑証明書(発行3ヶ月以内)
  • 身分証明書
  • 住民票

上記は共有者全員分が必要です。これに加えて、「権利証/登記識別情報」「土地測量図及び境界確認書」なども準備しましょう。共有者全員で協力しあって書類準備を進めることが大切です。書き方が分からない場合は、弁護士などに相談しましょう。

売却時のトラブルを避けて放置するのも別のトラブルを呼び込む恐れあり

共有名義不動産は売却せずに所有し続けることもできますが、次のようなトラブルが起こりやすい点に留意しましょう。

  • 維持管理費が毎年かかり支払負担に関して揉める
  • 他の共有者が相談なしで当人の持分を売却する
  • 不動産の活用方法に関する意見の食い違いで共有者の関係性が悪化する
  • 自分の子どもや孫までトラブルに巻き込まれてしまう

それぞれの内容をみていきましょう。

維持管理費が毎年かかり支払負担に関して揉める

共有名義の不動産の所有には下記のように一定の経済的負担があり、その支払いを巡って共有者同士で揉めることもあります。

  • 固定資産税
  • 都市計画税
  • 家の修繕費
  • 火災保険料
  • 地震保険料

上記の中でも代表的なのは固定資産税の支払いです。

固定資産税は「固定資産税評価額(課税標準額)× 標準税率1.4%」で計算され、一戸建ての場合は平均10〜15万円ほどを毎年支払わなければなりません。

毎年の固定資産税は、共有持分に応じて共有者全員が負担するのが原則ですが、納税手続きをするのは代表者1名のみです。そのため、共有者の中で固定資産税を支払わない人が出てくるリスクがあります。

納税期限は決まっており、もし支払わない共有者がいれば共有者全員が滞納していることになります。そのまま放置すると、延滞税が発生したり、督促状が届いて最悪の場合は差し押さえられたりするリスクもあるのです。

そのため、納付期限を過ぎる前に他の共有者が一時的に立て替えるなどして、納付を優先させる必要があります。肩代わりしたお金は後から口頭や電話によって請求できますが、それでも支払わない場合は訴訟して取り立てることも可能です。

それでも支払わない・支払うだけの資金がない場合は、その共有者の持分を強制的に買い取ることも可能ですが、トラブルになる可能性は高いでしょう。

同じく、建物のメンテナンス費用なども共有持分に応じて各共有者が負担するものですが、固定資産税と同様のトラブルに発展するケースは珍しくありません。例えば、過去には次のような事例がみられました。

【事例】
兄弟3人でマンションを共有しており、そのうちお姉様のみ維持費や管理を担っている状況でした。後の2人は請求しても支払わないまま何年もたっており、維持費を負担に感じたことで姉が自身の共有持分のみの買取をご相談されています。

このケースでは、姉含め3人とも不動産を利用していませんでしたが、近くに住んでいるという理由で姉が一人で管理する状況になっていたのです。その後、私の方で買い取る形で姉の負担は解消されました。

他の共有者が相談なしで当人の持分を売却する

前述したように、共有持分のみであれば共有者からの同意がなくても自由に売却が可能です。

仮に「他の共有者とのトラブルの種にしたくないから」と考えて自身は共有持分の売却をしなくても、他の共有者がそのように考えているとは限りません。共有状態にはリスクがあるため、他の共有者が相談なしで共有持分を売却する可能性があるのです。

実際に、下記のような事例もございました。

【事例】
自身の持分のみの買取相談で、「他の共有者には内緒にしているからバレないように手続きしてほしい」とご相談いただきました。そのため、現地の訪問は他の共有者がいない平日の昼間に、対応いたしました。

もし、売却先が悪質な業者であれば、共有持分を売却するようにしつこく迫ってくるリスクもあります。

そのため、基本的には共有持分を売却する場合には事前に共有者へ相談しておくべきです。しかし、持分のみの売却は法律で認められており告知の義務もないため、他の共有者が事前に連絡をしてくれるとは限りません。

その場合には自身にも悪影響が及ぶリスクがあるため、やはり不動産の共有状態を放置するのは避けるべきです。

不動産の活用方法に関する意見の食い違いで共有者の関係性が悪化する

前述したように、共有名義の不動産を活用するには、共有者の同意が必要になります。共有名義の不動産をどのように活用するかによって同意が必要な共有者の人数は異なり、具体的には下記のように定められています。

行為の種類 必要な要件 具体例
変更行為 共有者全員から同意が必要 ・不動産全体の売却
・建物部分の取り壊し
管理行為 共有持分の過半数の同意が必要 ・賃貸借契約の締結や解除
・増改築など不動産の価値や用途を変更するようなリフォーム
保存行為 合意がなくても単独で行為可能 ・維持を目的とした補修などのリフォームやメンテナンス
・所有権を持たない人物に対しての明渡し請求

たとえば、共有名義の不動産を売却したり取り壊したりするには、共有者全員からの同意が必要です。また、賃貸物件として不動産を活用する場合には、共有持分の過半数の同意が必要になります。

不動産の共有状態が続けば、その物件を売却したり賃貸に出したりと、活用することを希望する共有者も現れる可能性があります。

一方で、「不動産は活用せずに残しておきたい」と考える共有者がいれば、共有者間で意見が食い違ってしまい関係性が悪化してしまうケースも考えられるのです。実際に、下記のような食い違いが起きたケースもあります。

【事例】 Aさん・Bさん・Cさんの3人が共有するアパートの活用をめぐりトラブルに。AさんとBさんは「売却して代金を分配したい」と考えていた一方、Cさんは「家賃収入を得ながら資産として残したい」と主張。話し合いは平行線をたどり、A・B対Cという構図になってしまいました。最終的にCさんが怒って連絡を絶ってしまい、売却どころか維持管理費の支払いにも支障をきたす事態となりました。

最終的に、AさんとBさんから持分のみの買取相談をいただき、買取対応いたしました。その後Cさんと交渉を重ね、今後の固定資産税の負担などを鑑みて私の方で買い取る形で合意をいただいています。

自分の子どもや孫までトラブルに巻き込まれてしまう

共有名義の不動産に伴うリスクの中でも特に注意すべきなのが、権利関係の複雑化です。先にも触れたように、不動産の共有者が死亡すると、その権利は法定相続にしたがって相続人に相続されていきます。

当然ながら、相続人はその不動産に対する共有者としての義務を負うため、子供や孫がトラブルに巻き込まれる可能性があります。実際に、下記のようなケースがありました。

【事例】
AさんとBさんが共有するマンションがあり、日常的な維持管理は居住するBさんが行っていました。ところが、Aさんが亡くなり、その共有持分を子どものXさんが相続しました。すると、BさんからXさんに対して、「Aさんが生前に自分が行っていたマンション管理の手間賃を支払ってほしい」と請求があったのです。

Xさんは、固定資産税などの必要資金は支払っていましたが、手間賃の支払いについて疑問に感じ、話し合いの機会を設けました。しかし、Bさんが一向に引かない状況のため、Xさんは所有し続けることを諦め、買取相談いただいた次第です。

ご相談をいただいてから3日で買い取り、その後は弊社からBさんへ交渉を行ったため、Bさんとのいざこざが清算されたとXさんは満足されていました。このように、子どもがトラブルに巻き込まれる可能性もあるため、相続が発生する前に共有状態は解消しておくのがおすすめです。

共有名義不動産を売却できないなら他の手段も検討

共有名義の不動産は、全共有者の同意が得られないと物件全体を売却することができません。

売却できない場合は、共有状態を解消し、トラブルや今後の管理の手間を回避することも選択肢の一つです。

以下は、共有状態を解消するための主な手段です。

解消方法 概要 メリット デメリット・注意点 この方法が向いてるケース
持分売却 自分の持分のみを第三者に売却する ・他の共有者の同意が不要
・現金化が早い
・市場価格より安くなる傾向がある
・内緒で売却すると売却後に共有者とトラブルになる可能性がある
早く共有関係から抜けたい
持分買取 他の共有者に自分の持分を買い取ってもらう ・共有者内で解決できる
・第三者が共有関係にならずに済む
・相手に資金力が必要
・価格交渉が難航する可能性がある
他の共有者が不動産を使い続けたい
文筆 土地を物理的に切り分け、単独名義の土地にする ・物理的に共有を解消できる
・高値で売れやすくなる
・全員の同意が必要
・形状や面積によっては土地の価値が下がる可能性がある
土地が広く、条件を満たせる
持分放棄 自分の持分を手放す ・管理責任から解放される ・対価は得られない
・登記手続きに他の共有者の手続きが必要
・他の共有者に贈与税がかかる場合がある
管理負担から完全に離れたい
共有物分割請求 裁判所を通じて強制的に共有状態を解消する 話し合いが不可能な場合でも共有状態を解消できる ・費用や時間がかかる
・希望の判決なるとは限らない
話し合いが完全に決裂している

共有状態を解消する最適な手段は、状況や共有者との関係性によって異なります。

売却が難しい場合でも、現金化したいのか、管理責任から解放されたいのか、不動産を残したいのかなど、目的を整理することで選ぶべき手段は自然と絞られます。

もし共有状態を早急に解消したい場合には、専門の買取業者にご自身の共有持分を売却する方法がおすすめです。

専門の買取業者であれば、高値で買取れる可能性があり、スピーディーに現金化と共有状態の解消を実現できます。

まとめ

共有名義不動産の売却では、共有者同士の意見対立や権利関係の複雑さ、物件自体が抱える問題など、さまざまな要因が重なってトラブルが発生しやすくなります。

とくに、共有者全員の合意が必要となる場面が多いため、誰か一人でも反対したり、連絡が取れなかったりすると、売却手続きが長期化するケースは少なくありません。

しかし、本記事でも解説したように、いずれのトラブルにも対策が存在します。あらかじめ起こりうるトラブルを知っておくことで対策できたり、弁護士や司法書士のような専門家に相談したりできるでしょう。

一方、こうした問題を「いずれ話し合えば解決する」「時間が経てば状況が変わる」と考えて放置してしまうと、相続の発生によって共有者がさらに増えたり、他の共有者が第三者に売却して知らぬ間に第三者が共有者になったりと、さらなるトラブルに発展する可能性もあります。

売却を進めるには、全員の合意が前提となるケースだけでなく、持分の売却や買取、裁判所の関与などによって共有状態を解消することで解決できる場合もあります。

どの方法が適しているかは、共有者の状況や不動産の状態によって異なるため、現実的な解決策を検討してみてください。

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    更新日 : 2025年11月07日
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