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共有名義不動産を売却する場合のトラブルは?トラブル防止の対策や売却相場なども解説

共有名義不動産を売却する場合のトラブルは?トラブル防止の対策や売却相場なども解説

共有名義の不動産は複数人に所有権がある物件であるため、通常の不動産よりも権利関係が複雑になりやすいです。そのため、共有名義の不動産の売却を検討している場合、「何かトラブルは起こらないだろうか」のように不安を抱えている人もいるかもしれません。

前提として、共有名義の不動産を売却するには、共有者全員からの同意が原則必要です。「共有者から同意が得られない」「共有者がわからずに連絡すらとれない」といった場合には売却トラブルが起こりやすいです。

そのため、トラブルを起こさずに共有名義の不動産の売却は、他の共有者からの協力を得たうえで手続きを進めるのが得策です。

また、自身が所有する共有持分だけであれば自由に売却は可能ですが、他の共有者に対して相談せずに売却をしてしまうと、共有者間でのトラブルが起こる可能性があります。

「共有者からの同意が得られずに不動産の売却が難しい」という場合には共有持分のみの売却も得策ですが、トラブルを防ぐためにも事前に連絡を入れておくのが大切です。

当記事では、共有名義不動産を売却する場合に起こりやすいトラブルをメインに、トラブルの防止策や共有名義不動産における売却相場などを解説していきます。共有名義不動産の売却を検討している場合には参考にしてみてください。

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共有名義不動産を売却する際に起こり得るトラブル

共有名義の不動産は、通常の物件と異なり共有者全員に所有権がある物件です。そのため、共有名義の不動産を売却する際には、さまざまなトラブルが起こる可能性があります。

共有名義不動産を売却する際に起こり得るトラブルとしては、主に下記が挙げられます。

  • 他の共有者から不動産売却の同意をもらえない
  • 共有者と連絡が取れない、または共有者がわからない
  • 共有名義不動産の売却金額が公平に分配されない

これらのトラブルが起きた場合、共有名義不動産の売却がスムーズに進まなかったり、他の共有者との関係性が悪化したりする可能性があります。このようなリスクを抑えるためにも、共有名義不動産を売却する際にはトラブルが起きないように対策を講じるのが大切です。

ここからは、共有名義不動産を売却する際に起こり得るトラブルについて、それぞれ詳しく解説していきます。

他の共有者から不動産売却の同意をもらえない

共有名義不動産を売却する際に起こり得るトラブルとしては、他の共有者から不動産売却の同意をもらえないことが挙げられます。

前提として、民法第251条では「共有者からの同意がない場合には、共有物に変更行為を加えられない」と定められています。

売却は変更行為に該当するため、共有名義の不動産を売却するには他の共有者からの同意が必要になるのです。

仮に共有者のうちの1人でも売却に反対する人がいれば、その他の共有者全員が同意していたとしても共有名義の不動産を売却することはできません。同意を得るために連絡などが必要になり、場合によっては共有者同士の関係性が悪化してしまう可能性もあります。

共有者と連絡が取れない、または共有者がわからない

共有名義の不動産を所有している場合、「共有者の人数が多い」「誰が共有者になっているかがわからない」といったケースも少なくありません。

前述したように、共有名義の不動産を売却するには、共有者全員からの同意が原則必要です。そのため、売却手続きをする前に、共有者全員に対して連絡を行う必要があります。

その際には、「連絡しても返信が来ない」「連絡先がわからず連絡すらできない」といったトラブルが起きる可能性があり、その場合には同意が取れるまでは共有名義の不動産を売却することはできません。

なお、共有者からの同意を得ずに共有名義の不動産を売却すると、民法で認められている権利が侵害されたとして、その共有者から損害賠償を請求されてしまうリスクもあります。

共有名義の不動産を売却する際には、事前に必ず共有者全員に対して連絡をして同意を得るようにしましょう。

共有名義不動産の売却金額が公平に分配されない

不動産の売買契約を締結させる際には、基本的には共有者全員が同席したうえで手続きを進めます。とはいえ、「遠方に住んでいる」「外せない事情がある」といった場合には、共有者全員が立ち会えないケースも少なくありません。

その場合であっても、共有者の中から代表者を選任しておくことで、共有者全員が立ち会うことなく不動産を売却することが可能です。その際には、代表者が売却手続きを進めて売却金額を受け取り、持分割合に応じて各共有者に分配するのが一般的です。

そして、この際にトラブルが起きる可能性があり、「なかなか売却金額が分配されない」「分配に関して話し合いがしたくても連絡がつかない」といったことにもなりかねません。

共有名義不動産の売却でトラブルを防ぐための対策

トラブルを起こさずに共有名義の不動産を売却するためにも、下記のような対策を講じてみてください。

  • 売却に関して他の共有者に相談しておく
  • 共有持分のみを専門業者に売却する

ここからは、共有名義不動産の売却でトラブルを防ぐための対策について、それぞれ詳しく解説していきます。

売却に関して他の共有者に相談しておく

前述したように、共有名義の不動産を売却するには、共有者全員からの同意が必要です。そして、トラブルが起こりやすいケースとして、「共有者からの明確な同意を得ずに売却手続きを進めた」というケースが挙げられます。

そのため、共有名義の不動産を売却するのであれば、事前に他の共有者に対して相談しておくのが無難です。相談をしたことで共有者全員から同意が得られれば、そのまま共有名義の不動産の売却手続きに進められます。

また、共有名義の不動産の売却に関して合意が得られない共有者がいたとしても、無断で売却手続きを進めてしまうことは避けられます。この場合、共有名義不動産の売却は難しいですが、後述する「共有持分のみ売却する」などの対策を講じることでも共有状態は解消できます。

そのため、共有名義の不動産の売却を検討している場合、まずは共有者全員に連絡をすることから始めてみてください。

共有持分のみを専門業者に売却する

共有名義の不動産全体を売却するには、共有者全員からの同意が必要であり、同意を得る際には前述したトラブルが起こる可能性もあります。そのため、共有名義の不動産全体の売却ではなく、共有持分のみを売却することも1つの手です。

共有持分は自分だけに所有権があるものです。そのため、「他の共有者からの同意が得られない」「そもそも連絡すらできない」といった場合であっても、共有持分のみの売却は可能です。

共有名義不動産の売却におけるトラブルは、他の共有者とのやりとりが発生するために起こりやすいです。共有持分のみであれば、他の共有者とのやりとりが不要で売却できるため、「トラブルを起こさずに共有状態から抜け出したい」という場合には検討してみてください。

なお、通常物件とは異なり、共有持分はその不動産の一部の所有権であるため、仲介などで一般の人に売却するのは難しいです。そのため、共有持分を売却するのであれば、専門の買取業者に依頼するのが得策といえます。

専門の買取業者は共有持分の買取に関するノウハウや経験があるため、仲介よりも共有持分を買い取ってもらえることに期待できます。また、一般的には数日〜1か月程度で売却が完了するため、確実かつ早く共有持分を売りたい場合、専門の買取業者に依頼することも検討してみてください。

共有名義不動産におけるトラブルは共有持分の売却時にも起こりやすい

共有名義不動産全体の売却が難しい場合には、共有持分のみの売却を検討する人もいることでしょう。その場合、共有名義不動産におけるトラブルは共有持分の売却時にも起こりやすいことにも注意が必要です。

共有持分の売却時に起こり得るトラブルの例としては、下記が挙げられます。

  • 買い手から他の共有者へ強引な営業が行われることがある
  • 他の共有者に対して賃料の請求が起きる可能性がある
  • 買い手が敷地に出入りすることで他の共有者と揉める可能性がある

共有持分は他の共有者からの同意がなくても、単独で売却が可能です。ただし、共有持分を売却すると買い手が新たな共有者となり、それが原因でトラブルが起こるケースも少なくありません。

ここからは、共有持分の売却時に起こり得るトラブルについて、それぞれ詳しく解説していきます。共有持分のみの売却を検討している場合には参考にしてみてください。

買い手から他の共有者へ強引な営業が行われることがある

残念なことですが、共有持分の買取業者のなかには悪質な業者も潜んでいます。悪質な買取業者に共有持分を売却した場合、他の共有者へ強引な営業が行われてしまう可能性があります。

前提として、買取業者の目的は、購入した不動産を活用して利益をあげることです。共有持分だけよりも、不動産全体を所有している方が物件を活用しやすくなります。

一般的な共有持分の専門買取業者でも他の共有者に対する営業が行われることもありますが、その場合には売り手を含めた不動産の共有者全員が納得できるような形で交渉などが行われます。

しかし、悪質な買取業者の場合には、下記のように強引な営業が行われる可能性があるのです。

  • 早朝や深夜に共有者の家へ訪問してくる
  • 他の共有者に何度も電話の営業をかけてくる
  • 嫌がらせ行為のように手紙を投函してくる

このような強引な営業が行われた場合、他の共有者によっては迷惑行為にもなります。「共有持分をこの業者に売却しなければ迷惑行為もなかったのに」のように考えられてしまえば、共有持分を売却した後に共有者との関係性が悪化してしまう可能性もあります。

他の共有者に対して賃料の請求が起きる可能性がある

共有名義の不動産を所有している場合、共有者の誰かがその不動産を独占しているケースも考えられます。不動産の共有者にはその不動産を使用する権利があり、物件を使用していない場合には、独占している共有者に対して持分割合に応じた賃料を請求することができます。

そして、共有持分を売却した場合、新たな共有者になる買い手にも賃料を請求する権利が認められます。その買い手が独占している共有者に対して賃料を請求する可能性も否定はできません。

一般的な買取業者であれば賃料を請求してくるケースは考えづらいです。しかし、「不動産投資家が新たな共有者になった」というケースであれば賃料が請求される可能性があります。

共有名義の不動産を使用している共有者からすれば、「突然知らない人に賃料を請求されても困る」と感じるのは自然なことです。その際には、独占している共有者との関係性が悪化してしまうリスクもあります。

買い手が敷地に出入りすることで他の共有者と揉める可能性がある

前提として、不動産の共有者であれば、その物件を自由に使用することが可能です。共有持分のみを売却した場合、その買い手も他の共有者と同様に不動産を使用する権限が認められます。

そのため、新たな共有者は共有している土地や建物に自由に出入りすることも可能です。他の共有者からすれば、「見知らぬ人がうちに出入りしている」と感じてしまうことも考えられます。

結果的に、「共有持分の売却がなければこんなことにはならなかったのに」のように感じられてしまい、他の共有者との関係性が悪化してしまうリスクがあるのです。

共有名義不動産の売却相場は売却するのが「全体」「共有持分のみ」によって変わる

共有持分はその不動産の一部の所有権です。そのため、当然ですが共有名義の不動産全体を売却するよりも売却金額が安くなるのが一般的です。

実際の売却金額は不動産の条件によって変わるため一概にはいえませんが、あくまで目安としては、共有名義不動産の売却相場は下記と言われています。

売却相場
共有不動産全体を売却する場合 市場価格に近い金額が相場
共有持分のみを売却する場合 市場価格よりも安くなるのが基本

ここからは、共有名義不動産全体と共有持分のみの売却相場について、それぞれ詳しく解説していきます。

共有名義不動産全体を売却:市場価格に近い金額が相場

共有名義の不動産を購入したとしても、買い手が独断で自由にその物件を活用することはできません。そのため、共有名義の状態では買い手がつきづらいのが一般的です。

共有名義の不動産全体であれば、買い手はその物件を自由に活用できます。そのため、その物件の市場価格に近い金額が売却相場となるのが一般的です。

なお、不動産の売却価格は、その物件の条件によって異なります。あくまで目安に過ぎませんが、下記のような条件の物件であれば、高値での売却に期待できます。

  • 築年数が5年以下と築浅である
  • 最寄り駅から徒歩5分圏内にある
  • 都心などの人気のエリアにある

共有持分のみを売却:市場価格よりも安くなるのが基本

売却金額は不動産の条件によって変わるため断言できませんが、共有持分の売却相場は市場価格より安くなるのが基本です。

共有持分の場合、他の共有者との権利関係があるため、通常物件よりも扱いが難しいです。また、物件すべての所有権を所有できるわけではないため、共有持分の売却相場は市場価格よりも低くなりやすいのです。

あくまで目安に過ぎませんが、共有持分の売却相場は市場価格の3割〜5割ほど低くなるとされています。より具体的に言えば、「市場価格×持分割合×1/2~1/3」が共有持分のみの売却金額の目安となります。

共有名義不動産を売却せずに放置するとトラブルに発展する可能性があるため注意

共有名義の不動産を売却する際には、さまざまなトラブルが起こる可能性があります。そのため、場合によっては「トラブルが起きるくらいなら売却はやめておこう」のように考えるかもしれません。

しかし、不動産の共有状態を放置すること自体にも、トラブルが起こる可能性はあるため、売却せずに放置することは避けるべきです。不動産の共有状態を放置することで起こり得るトラブルには、下記が挙げられます。

  • 維持管理費が毎年かかり支払負担に関して揉める可能性がある
  • 不動産の活用方法に関する意見の食い違いで共有者の関係性が悪化するリスクがある
  • 他の共有者が相談なしで持分のみを売却する可能性がある
  • 自分の子どもや孫までトラブルに巻き込まれてしまうおそれがある

このようなトラブルが起こる可能性があるため、「共有名義の不動産自体を売却する」「不動産の共有状態を解消する」といった対策を講じておくのが得策です。

ここからは、不動産の共有状態を放置することで起こり得るトラブルについて、それぞれ詳しく解説していきます。

維持管理費が毎年かかり支払負担に関して揉める可能性がある

共有名義の不動産に限った話ではありませんが、建物や土地を所有している場合には、下記のような費用を負担しなければなりません。

  • 固定資産税
  • 都市計画税
  • 家の修繕費
  • 火災保険料
  • 地震保険料

これらの費用は共有名義の不動産の代表者に支払い義務があります。仮に代表者が共有名義の不動産を利用していなかったとしても、支払義務は生じます。

固定資産税などの費用は決して少額とはいえない金額であり、毎年数十万円ほどの費用がかかることも少なくありません。そのため、共有名義の不動産の維持管理にかかる費用負担をめぐって、共有者間でトラブルが起きてしまう可能性があるのです。

売却や共有状態の解消が望ましいですが、これらが難しい場合には、「実際に不動産を利用している共有者が代表者になって維持管理費を負担する」という対策を講じておくことも大切です。

他の共有者が相談なしで持分のみを売却する可能性がある

前述したように、共有持分のみであれば共有者からの同意がなくても自由に売却が可能です。

仮に「他の共有者とのトラブルの種にしたくないから」のように考えて自身は共有持分の売却をしなくても、他の共有者がそのように考えているとは限りません。共有状態にはリスクがあるため、他の共有者が相談なしで共有持分を売却する可能性があるのです。

また、売却先が悪質な業者であれば、「共有持分を売却するようにしつこく迫ってくる」「事前連絡なしで敷地内に入ってくる」といったリスクもあります。

共有持分を売却する場合には事前に共有者へ相談しておくのが得策ですが、このような義務があるわけではないため、他の共有者が事前に連絡をしてくれるとは限りません。その場合には自身にも悪影響が及ぶリスクがあるため、不動産の共有状態を放置するのは避けるべきです。

不動産の活用方法に関する意見の食い違いで共有者の関係性が悪化するリスクがある

前述したように、共有名義の不動産を活用するには、共有者の同意が必要になります。共有名義の不動産をどのように活用するかによって同意が必要な共有者の人数は異なり、具体的には下記のように定められています。

行為の種類 必要な要件 具体例
変更行為 共有者全員から同意が必要 ・不動産全体の売却
・建物部分の取り壊し
管理行為 共有持分の過半数の同意が必要 ・賃貸借契約の締結や解除
・増改築など不動産の価値や用途を変更するようなリフォーム
保存行為 合意がなくても単独で行為可能 ・維持を目的とした補修などのリフォームやメンテナンス
・所有権を持たない人物に対しての明渡し請求

たとえば、共有名義の不動産を売却したり取り壊したりするには、共有者全員からの同意が必要です。また、賃貸物件として不動産を活用する場合には、共有持分の過半数の同意が必要になります。

不動産の共有状態が続けば、その物件を売却したり賃貸に出したりと、活用することを希望する共有者も現れる可能性があります。

一方で、「不動産は活用せずに残しておきたい」と考える共有者がいれば、共有者間で意見が食い違ってしまい関係性が悪化してしまうケースも考えられるのです。

自分の子どもや孫までトラブルに巻き込まれてしまうおそれがある

共有名義の不動産を放置してしまうと、自分の子どもや孫もトラブルに巻き込まれてしまう可能性もあります。

共有持分は遺産相続の対象になります。そのため、万が一共有名義の不動産を所有している人が亡くなった場合、持分を引き継いだ親族が新たな共有者になります。

たとえば、不動産をA・B・Cの3人で共有しているケースを想定します。仮にBに子どもが2人いると仮定すれば、Bが亡くなった際には2人の子どもが共有持分を相続することができます。

2人の子どもが共有持分を相続した場合、不動産の共有者は3人から4人に増えることになるのです。

前述したように、共有名義の不動産を所有する場合、さまざまなトラブルが起こる可能性があります。さらに、共有者が増えれば増えるほど、将来的にトラブルが起こりやすくなり、子どもや孫にとってもトラブルの種になるリスクがあるのです。

共有名義不動産を売却せずに共有状態から抜け出す方法もある

共有名義の不動産全体や共有持分のみの売却が難しい場合、「共有状態から抜け出せないのか」のように考える人もいるかもしれません。

このような場合であっても、不動産の共有状態から抜け出す方法はあります。売却以外の方法としては、具体的に下記が挙げられます。

  • 他の共有者の共有持分を買い取る
  • 他の共有者に共有持分を贈与する
  • 共有者が持っている不動産と共有持分を交換する
  • 共有状態の土地を分筆する

ここからは、共有名義不動産を売却せずに共有状態から抜け出す方法について、それぞれ解説していきます。

他の共有者の共有持分を買い取る

当然ではありますが、すべての共有者から共有持分を買い取ることで、その不動産を自身で単独所有できます。不動産を単独で所有すれば、誰かに同意を得ることなく所有者の判断で不動産を自由に活用が可能です。

そのため、「他の共有者も共有状態から抜け出すことを希望している」「共有持分を買い取れるほどの資金を用意できる」といった場合には、検討してみてもよい方法です。

他の共有者に共有持分を贈与する

「他の共有者から売却の同意が得られない」「トラブルが起こりそうで共有持分の売却も難しい」という場合、他の共有者に共有持分を贈与することも視野に入れてみるのもよいでしょう。

共有持分は自分のみに所有権があるため、贈与という形で手放すことも可能です。他の共有者から同意を得る必要がありますが、自身の共有持分を贈与すれば不動産の共有状態から抜け出せます。

不動産を贈与する相手は自分で選べます。共有名義の不動産においては、持分割合に応じて賃貸借契約の締結や解除が可能になるため、「贈与によって持分割合が過半数を超える」という共有者に対して優先的に相談してみるのがよいでしょう。

共有者が持っている不動産と共有持分を交換する

共有名義の不動産以外にも単独名義の不動産を所有している共有者がいるのであれば、その人と共有持分を交換することも共有状態から抜け出す対策といえます。

たとえば、2,000万円の不動産をAとBで1/2ずつ共有していて、Aが別に1,000万円の不動産を所有しているとします。この場合、Aが所有する1,000万円の不動産とBが所有する共有持分を交換すれば、AとBでそれぞれの不動産を単独所有できます。

また、土地建物の交換をしたときの特例では、同じ種類の土地や建物を交換した場合には譲渡がなかったとみなされて譲渡所得税がかかりません。この特例が適用されれば、税金を払わずに共有状態の不動産を単独所有できるケースもあるのです。

ただし、土地建物の交換をしたときの特例を利用するには、下記のような条件があります。

  • 交換する不動産はいずれも土地と土地、建物と建物のように同じ種類である
  • 交換する不動産の価値に20%以上の差がない
  • 交換で取得した不動産の使用用途が、交換前と同じである

共有状態の土地を分筆する

共有している不動産が土地の場合であれば、分筆することで共有状態を解消できます。

分筆とは、1つの土地を切り分けて、複数の土地にする手続きのことです。

たとえば、300㎡の土地を3人で1/3ずつ共有しているケースを想定します。この場合であれば共有している土地を100㎡ずつに切り分けて、それぞれを単独名義に変更すれば共有名義を解消できます。

分筆によって単独名義に変更すれば、それぞれが所有する土地に関しては売却や賃借などで活用が可能です。また、その土地に単独名義の建物を建てることもできます。

ただし、共有している土地を分筆するには、共有持分の過半数の同意が必要です。300㎡の土地を3人で1/3ずつ共有しているケースであれば、少なくとも2人以上の共有者から同意を得なければならないため注意が必要です。

なお、共有状態の土地を分筆することを検討するべきケースとしては、下記が挙げられます。

  • 他の共有者が土地の分筆に同意しており、共有持分の過半数を超えている
  • 共有している土地に分筆しても建物を建てる余地がある
  • 正方形や長方形など、共有している土地の形状が分筆に適している

まとめ

共有名義の不動産を売却する際のトラブルには、「不動産売却の同意をもらえない」「売却金額を分配してもらえない」など、さまざまなものが挙げられます。

また、共有持分のみを売却する場合であっても、トラブルは起きる可能性があるため、「不動産をどのように活用するのか」など、共有者とは事前に話し合っておくことが得策です。

なお、不動産の共有名義状態は売却以外の方法でも抜け出すことは可能です。共有名義の不動産全体だけでなく共有持分の売却も難しい場合には、売却以外で共有状態を解消することも検討しておくのがよいでしょう。

共有名義の不動産におけるよくある質問

他の共有者に相談せずに共有持分を売却してもよいのでしょうか?

共有持分は自身だけが所有する権利であるため、他の共有者に相談せずに売却しても法律上は問題ありません。ただし、他の共有者との関係性が悪化するリスクがあるため、特別な事情がなければ事前に相談はしておくべきです。

共有持分の買取業者の目的は何なのでしょうか?

共有持分専門の買取業者の目的は、購入した不動産を再販売などで活用して、利益を上げることです。

共有持分を買い取った買取業者は、他の共有者に対しても持分の買取の交渉を行うのが一般的です。他の共有者の持分も買い取ることができれば、共有名義の不動産を単独名義にできます。

その際には、通常の不動産と同様に活用できるため、共有名義の不動産も資産価値を向上させたうえで活用することが可能です。

共有持分は買取業者以外には売れないのでしょうか?

「共有持分を仲介などで売却してはいけない」というルールがあるわけではないので、一般の人にも売却できる可能性はあります。

とはいえ、基本的には購入を敬遠されやすいため、買取業者以外であれば他の共有者への売却も視野に入れてみてください。共有名義の不動産においては、持分割合が過半数を超えていれば賃貸借契約の締結や解除といった「管理行為」を行えます。

そのため、他の共有者であれば「他の人が所有する共有持分を購入したい」と考えている人もいる可能性があるのです。

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更新日 : 2025年03月25日
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