失踪した人の不動産を処分するため、売却して現金化したいと考える人も多いでしょう。
不動産を所有している人が失踪・行方不明になると、家や土地などの不動産は扱えないのが原則です。
ただし、失踪した人の不動産であっても「失踪宣告を受ける」「不在者財産管理人を選任する」ことで、売却できるようになります。
また、失踪した人の不動産を売却する際は、訳あり物件専門の買取業者の買取がおすすめです。
売却の手続きだけでなく、失踪宣告や不在者財産管理人の選任についても、一括でサポートしてもらえます。
失踪した人の不動産を処分するため、売却して現金化したいと考える人も多いでしょう。
不動産を所有している人が失踪・行方不明になると、家や土地などの不動産は扱えないのが原則です。
ただし、失踪した人の不動産であっても「失踪宣告を受ける」「不在者財産管理人を選任する」ことで、売却できるようになります。
また、失踪した人の不動産を売却する際は、訳あり物件専門の買取業者の買取がおすすめです。
売却の手続きだけでなく、失踪宣告や不在者財産管理人の選任についても、一括でサポートしてもらえます。
結論からいうと、失踪した人の不動産でも所定の手続きをおこなうことで売却できます。
一つ目は「失踪宣告」を申し立てることで失踪した人を法律上の死亡とみなし、相続を発生させる方法です。相続により不動産の所有権を自分の名義に変更すれば売却可能です。
もう一つは「不在者財産管理人」を選任して家庭裁判所から「権限外行為の許可」をもらう方法です。
簡単にいえば、失踪した人の不動産を売却する権限を許可してもらったうえで、第三者に売却する手段です。
次の項目から、失踪宣告の申し立てと不在者財産管理人の選任における手順を詳しく解説していきます。
失踪宣告を受けるためには、まず該当する失踪状況を明らかにしなくてはいけません。
失踪状況には2種類あり「普通失踪」または「特別失踪」のどちらに該当するかを調べる必要があります。
特別失踪・・・戦争や船舶の沈没、自然災害などの災難に遭遇し生死が不明の場合は、災難が去った1年後に失踪宣告が受けられます。
上記のどちらかに該当する場合に失踪宣告が受けられます。
次の項目からは失踪宣告を実際に申し立てる時の手順を詳しく解説していきます。
普通失踪と特別失踪の宣告における申し立て手順は同じです。
また、申し立て先は失踪した人の本籍地または居住地を管轄している家庭裁判所です。
失踪宣告の申し立てに関して把握しておくべきことは「申し立てができる人」「申し立てにかかる費用」「申し立てに必要な書類」の3つです。
次の項目からそれぞれ解説していきます。
申し立てができる人は失踪した人と利害関係にある人です。
例えば、失踪した人の配偶者や相続人にあたる人(子どもや兄弟等)などが該当します。
一方で、不在者の友人や相続人にあたらない親戚などは申立人として認められません。
もしも、代理人を立てる場合は相続人や受遺者など法律上の利害関係にある人に委任しましょう。
申し立ての費用は「収入印紙800円分」「連絡用の郵便切手」「官報公告料4,816円」がかかります。
連絡用の郵便切手の金額については各家庭裁判所によって異なります。
そのため、申し立て先の家庭裁判所に問い合わせて確認してみましょう。
ちなみに、官報公告料は「失踪に関する届出の催告3,053円」と「失踪宣告1,763円」の合計金額です。支払いは裁判所に指示されてから納めてください。
申し立てに必要な書類は以下の5種類です。
戸籍謄本(全部事項証明書)と戸籍附票は不在者の本籍地を管轄している市区町村の役所で発行できます。利害関係にある人が発行手続きをおこなう場合は、委任状がなくても問題ありません。
失踪を証明する資料とは「家出人捜索願出証明(行方不明者届受理証明)」や戻された不在者宛の手紙などが該当します。
利害関係を証明する資料として申立人自身の戸籍謄本を取得しておきましょう。
もしも、申し立て前に準備できなかった書類がある場合は、申立後に提出することも可能です。
失踪宣告を受けてから10日以内に不在者の本籍地または申立人の所在地を管轄している役所へ失踪の届出をしなければなりません。
その際に「審判書謄本」と「確定証明書」が必要です。
また、戸籍謄本などの提出を求められることもあるため、詳しい提出書類に関しては役所に問い合わせてみましょう。
ちなみに、審判書謄本と確定証明書は審判をした家庭裁判所に交付申請をおこなうことで取得できます。
失踪宣告に関わる手続きが完了したら、相続登記が可能となるので登記をおこないましょう。
失踪した人の名義のままだとその物件を売却できません。
不動産を売却するには、登記をおこない物件の所有者であることを証明する必要があります。
相続登記の詳しい手続きについては以下の記事を参考にしてみてください。
失踪宣告の要件を満たしていない場合は、別の方法で物件の売却ができます。その方法が「不在者財産管理人の選任」です。
不在者の本籍地または居住地の家庭裁判所に申し立てることで不在者財産管理人を選任できます。
それでは、具体的な申し立て手順を解説していきます。
また、相続財産管理人については、以下の記事でも詳しい内容を解説しているので参考にしてみてください。
一般的に利害関係のない第三者が不在者財産管理人として選任されます。被相続人(不在者)の友人や知人、弁護士などです。
そのため、知り合いに不在者財産管理人を頼める人がいない場合は弁護士に依頼するとよいでしょう。
また、不動産に関する法律に詳しい弁護士であれば、手続きや必要書類の準備などのアドバイスもしてもらえます。
ちなみに、弁護士への報酬については不在者の財産から支払われるケースが大半です。
不在者財産管理人の選任申し立てができる人は、利害関係人と検察官です。
利害関係人は、失踪した人の配偶者や相続人にあたる人(子どもや兄弟等)などが該当します。
一方で、不在者の友人や相続人にあたらない親戚などは申立人として認められません。
また、利害関係人が不在者管理人を選任しなかったり失踪宣告を申し立てしない場合、検察官が申し立てするケースもあります。
申し立てにかかる費用は「収入印紙800円分」と「連絡用の郵便切手」です。
郵便切手の金額については、申立先の家庭裁判所に問い合わせて確認しておきましょう。
また、不在者の財産と比較して「管理にかかる費用」や「管理人への報酬」などに不足金が発生すると判断されることがあります。
このような場合、申立人は予納金として不足分の金額を納付しなければならないこともあります。
選任申し立てに必要な書類は以下の通りです。
不在者財産管理人の候補者に候補者自身の戸籍附票または住民票を準備してもらいましょう。
もしも、準備が間に合いそうにない場合は、申立後に提出するか自分が代理人として発行手続きをおこなうとよいです。
また、不在者の財産に関する資料は「不動産登記事項証明書」「預貯金または有価証券の残高がわかる書類(通帳写し・残高証明書など)」を取得しましょう。
不在者財産管理人が選任されただけでは、不動産を売却できません。
売却するためには家庭裁判所から「権限外行為の許可」をもらう必要があります。
まず民法第103条によって不在者財産管理人の権限は以下のように定められています。
第百三条 権限の定めのない代理人は、次に掲げる行為のみをする権限を有する。
一 保存行為
二 代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為出典:民法第103条
つまり、原則売却や解体処分などは権限として認められていません。「売却してもよい」という権限外行為の許可をもらう必要があります。
権限外行為の許可をもらう際も家庭裁判所に申し立てなければなりません。
家庭裁判所に申し立てをすると、許可の承認を判断するために、書面で照会されたり直接事情を確認される場合があります。
裁判からの照会や呼び出しには必ず応じることが大切なため、不在者財産管理人に協力してもらえるように依頼しましょう。
書式や記入例は以下のリンクを参考にしてみてください。
失踪宣告の申し立てをおこなう際に注意しなければならないことがあります。
失踪宣告が認められた後に失踪した人が生きていたケースも少なくありません。このような場合、失踪宣告や不在者財産の取り扱いが法律で決められています。
また、失踪宣告を受けるまでに時間がかかってしまうため、早めに手続きを取らなければ経済的に苦しくなってしまうことも考えられます。
次の項目から2つの注意点について詳しく解説していきます。
失踪宣告を受けた後に失踪した人が生きていると判明したのであれば、失踪宣告を取り消さなければなりません。
第三十二条 失踪者が生存すること(中略)の証明があったときは、家庭裁判所は、本人又は利害関係人の請求により、失踪の宣告を取り消さなければならない。出典:https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=129AC0000000089#130、民法第32条
失踪宣告を取り消すためには不在者だった本人または利害関係人が家庭裁判所に申し立てます。この際に「抗告状」を提出しなければなりません。
また、失踪した人の財産は本人に返還する必要があります。返還する義務について法律によって細かく定められているためしっかりと確認しておきましょう。
不在者財産の返還義務については以下のように規定されています。
第三十二条 2 失踪の宣告によって財産を得た者は、その取消しによって権利を失う。ただし、現に利益を受けている限度においてのみ、その財産を返還する義務を負う。出典:https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=129AC0000000089#130、民法第32条2項
不在者の財産によって、現在も利益を受けている場合、財産を返還しなくてはなりません。
例えば、不在者財産を生活費や借金(ローン)などに充てている場合、自己負担する金額が少なくなります。
一方で、利益を受けていないとみなされる用途もあり、使った金額の返還義務が免除されることがあります。
先ほどもお伝えした通り「利益を受けている」場合においてのみ、財産を返還する義務があります。反対にいえば「利益を受けていない」場合は返還の義務はありません。
「利益を受けていない」とみなされる財産の用途は浪費が該当するといわれています。
例えば、不在者財産の3,000万円をギャンブルで全額浪費してしまった場合、その3,000万円は不在者に返還する義務がないとされます。
このように、不在者財産の使用用途によって返還義務の有無が異なります。
返還しなければならないか判断に迷った場合は弁護士などの専門家に相談してみるとよいでしょう。
失踪宣告を受けるまでに6カ月程度かかるといわれています。
まず失踪宣告を申し立てたのち、書面照会や調査などの審理が実施されます。
その次に家庭裁判所による「公示催告」もおこなわれます。
失踪宣告を受けてからも相続登記や売却活動などの期間が必要なため、失踪した人の家を売却するまでに1年以上かかってしまうこともあります。
すぐに失踪した人の不動産を売却したい人は、訳あり物件専門の買取業者に売却することも検討してみましょう。
買取業者によっては数日で買い取ってくれる場合もあるため、短い期間で不動産を売却できます。
また、弁護士と提携している訳あり物件専門の買取業者なら、失踪宣告や不在者財産管理人の選任手続きについても、まるごと相談できます。
ですので、失踪した人が所有している不動産の扱いに困っているなら、まずは以下のフォームから訳あり物件専門の買取業者に相談してみましょう。
失踪した人の不動産を売却するには「失踪宣告を受ける方法」と「不在者財産管理人を選任する方法」の2つがあります。
どちらの方法も家庭裁判所に申し立てる必要があり、書類や費用を準備しなければいけません。
また、失踪宣告を受けてから失踪した人が生きていた場合は、失踪宣告の取り消しや不在者財産の返還義務が求められることに注意しましょう。
失踪宣告における手続きや法律に不安や疑問がある人は、不動産関係を得意とする弁護士に相談してみるとよいでしょう。