不動産を相続すると、名義を被相続人から相続人へ変更する「相続登記」をします。
相続登記をせずに、亡くなった人の名義を放置していると、不動産を巡るトラブルが起こるかもしれません。
相続が発生したら、相続登記をおこなって速やかに不動産名義を変更しましょう。
また、相続に伴って不動産の売却を検討しているなら、弁護士と連携した買取業者に相談するとよいでしょう。
弁護士と連携している買取業者なら、相続に関する問題も手厚くサポートできます。まずは無料相談を利用して、悩みや不安を話してみましょう。
不動産を相続すると、名義を被相続人から相続人へ変更する「相続登記」をします。
相続登記をせずに、亡くなった人の名義を放置していると、不動産を巡るトラブルが起こるかもしれません。
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相続登記の申請方法は、下記の3つがあります。
自分にとって都合のつけやすい方法で、申請をおこないましょう。
登記申請に不備がなく、不動産の名義変更が無事におこなわれたら、登記識別情報通知書が発行されます。
12桁の英数字が記載され、不動産の売却や贈与の際に必要となります。大切に保管し、失くさないようにしましょう。
相続登記は、不動産の所在地を管轄する法務局でおこないます。
窓口で申請する場合、具体的にどんな書類が必要なのかや、申請書の書き方などを相談できます。
ただし、法務局の業務取扱時間は平日8時30分~午後5時15分であるため、仕事などで窓口申請ができない人も多いでしょう。
また、不動産を管轄する法務局が、住んでいる地域から遠い場合もあります。
このようなケースでは、郵送申請やオンライン申請をするとよいでしょう。
参照:法務局「管轄のご案内」
管轄する法務局が遠方にある場合や、業務時間内に窓口へ行くのが難しい場合、郵送による申請が可能です。
郵送で申請する場合、申請書や添付書類は「書留郵便」で送りましょう。完了書類の送付や添付書類の返還を希望する場合、宛名を書いた返信用封筒と切手も同封します。
また、申請書には訂正印として「捨印」を押しておくことで、不備があった場合に法務局側で修正してもらえます。
相続登記は、オンラインからも申請できます。そのため、休日のまとまった時間や仕事の合間を縫って手続きを進めることが可能です。
ただし、オンライン申請はソフトのダウンロードや、マイナンバーカードを読み取るカードリーダーの準備が必要です。
パソコンの操作が得意な人にとってオンライン申請は効率的ですが、苦手な人は郵送申請のほうが簡単といえるでしょう。
参照:法務局「不動産登記の電子申請(オンライン申請)について」
相続登記の期限は、2021年現在においては規定されていません。相続登記は義務ではなく、申請しなくても罰則がないのです。
そのため、登記申請の手間や各種税金を嫌って、相続登記をせず放置する相続人が少なくありません。
しかし、政府の方針として、将来的な相続登記の義務化が決定しています。民法の改正が成立すれば、2023年度に施行される予定です。
義務化されると「相続の発生を知ってから3年以内」という期限が設定され、申請漏れがあったときの罰則も設けられます。
現時点での相続登記が済んでいないと、次に相続があったとき手続きができません。相続登記が済んでいない不動産は、早めに申請しておくほうがよいでしょう。
参照:法務省「所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し」
相続登記とは別に、相続税の申告期限が定められています。
相続税の申告期限は「相続発生を知った日の翌日から10ヶ月以内」なので、それまでに相続登記を済ませるのが一般です。
相続税を申告するということは、相続財産の調査や遺産分割も済んでいるのが普通なので、相続登記による名義変更もスムーズにおこなえます。
相続税の申告期限は延長できませんが、延滞税や加算税を回避するための救済措置はあります。
財産の調査や評価が確定していない場合、税額が多めになるよう概算で申告し、後から更正の請求をおこなって払いすぎた分を還付してもらうことが可能です。
また、遺産分割協議がまとまらない場合は、法定相続分で分割したと仮定して仮申告をおこない、後日修正する方法を取れます。
なんの対処もせずに申告期限を破ってしまうと、延滞税や加算税といったペナルティがあります。期限内の申告がむずかしいときは、税務署や税理士に相談しましょう。
相続登記をおこなうためには、下記の必要書類を入手しなければなりません。
取得に時間のかかる書類もあるので、相続登記をおこなう際は早めに必要書類を入手しましょう。
次の項目から、それぞれの書類について解説していきます。
相続登記の申請には「登記申請書」の提出が必要です。様式や記載例は法務局が公開しているので参考にするとよいでしょう。
作成する際は、手書きとパソコンによる打ち込みのどちらでも問題ありません。手書きで作成するのであれば、ボールペンなど消えない筆記具で記入しましょう。
不動産の情報は、登記事項証明書に記載されている通りに記入しなければいけません。「1丁目1番地」を「1-1」と記載すると受理されないこともあるので、注意しましょう。
登記事項証明書は、相続財産である不動産の権利関係を確認するためと、登記申請書に不動産の情報(所在や地番など)を正しく記入するために必要です。
発行申請は、法務局(登記所)でおこないます。申請には「窓口で申請する方法」と「オンラインで申請する方法」があります。
窓口で請求する場合、受付時間が平日の午前8時30分~午後5時15分までです。不動産の所在地を管轄する法務局で申請します。
オンライン請求は「登記・供託オンライン申請システム」で請求が可能です。申請は平日の午前8時30分~午後9時まで可能で、窓口受取と郵送受取を選択できます。
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本は、相続人を確定するために必要です。「相続登記の後に他の相続人が見つかった」とならないためにも、相続人の確定はとても重要です。
戸籍謄本は、被相続人の本籍地を管轄する役所で取得できます。郵送請求も可能なので、具体的な方法は管轄の役所に問い合わせましょう。
また、戸籍は結婚や転籍(本籍地の変更)などによって新しいものが作られるため、複数の戸籍が必要となるケースがほとんどです。
そのため、前の戸籍、さらにその前の戸籍というように、出生の記載がある戸籍が見つかるまで収集する必要があります。
相続人全員の戸籍謄本および住民票は「相続人であること」と「生存していること」を証明するために必要な書類です。
住民票は、最寄りの役所で発行可能です。
また、コンビニに設置されているマルチコピー機(多機能端末)から住民票を発行できる自治体もあります。
遺言書の内容にしたがって遺産分割をおこなう場合は、遺言書を提示する必要があります。
公正証書遺言以外の遺言書は、家庭裁判所に検認を請求する必要があります。
検認を請求するには、遺言者(被相続人)の最終住所地を管轄する家庭裁判所に申立てをおこないます。
参照:裁判所「遺言書の検認」
遺言書がない場合、もしくは遺言書とは異なる内容での分割を相続人の間で定めた場合は、遺産分割協議書を作成して申請時に提出します。
書式や形式に決まりはないため、記載する情報が正確であれば書き方は自由です。手書き、もしくはパソコンの打ち込みのどちらでも問題ありません。
相続人が自分で作成することも可能ですが、正確に作成したい場合は弁護士などに相談しましょう。
相続登記をおこなう際に「登録免許税」がかかります。この金額を算出するには、相続不動産の固定資産税評価額を調べなければなりません。
その際に必要となる書類が、固定資産税評価証明書です。
発行は税務署や役所で請求します。例えば、東京都23区内の不動産であれば最寄りの都税事務所で発行できます。
戸籍謄本などは入手に手間や費用がかかるため、原本を返還して欲しいという人も少なくありません。もし返還を希望するのであれば「相続関係説明図」を作成し、法務局へ提出しましょう。
相続関係説明図は手書きで自由に作成できます。書式や形式などの規定はありませんが、法務局が記載例を公開しているため参考にするとよいでしょう。
相続登記は2023年度から義務化される予定ですが、義務化されていなくても、不動産名義を変更しないデメリットはいくつか考えられます。
具体的には、下記の3つが挙げられます。
義務化に関わらず、相続登記は早めに終わらせておきましょう。
相続した不動産を売却するためには、相続登記は必須です。その理由は、登記簿上の所有者にならないと不動産の権利を主張できないからです。
そのため、不動産の売買契約を結ぶことも不可能となります。
自分の登記を省略して直接被相続人から買主へ所有権を移転させる(中間省略登記)ことも、原則として認められません。
相続時に売却の予定が無くても、売却する際に慌てることのないように登記をおこなっておくことが大切です。
相続登記を完了させなければ、相続人全員が法定相続分に応じて不動産を共有している状態が続きます。
この状態で相続人の誰かが亡くなってしまい、次の相続が発生すると、不動産を共有する人が増えてしまいます。
このように人数が増えてしまうことで、話し合いがまとまりにくくなったり、必要書類の準備が面倒になってしまいます。
そのため、遺産分割は早めに終わらせ、相続登記も忘れず申請するようにしましょう。
相続人の誰かが借金やローンなどの支払いを滞納した場合、債権者は債務者である相続人の持分(法定相続分)を差し押さえることができます。
差し押さえられた法定相続分が競売にかけられ、第三者に売却されてしまうと、他の相続人は第三者と不動産を共有することになってしまいます。
不動産を自由に活用したり売却するためには、第三者から持分を買い戻さなければなりません。
第三者が介入することで、遺産分割が泥沼化する恐れもあります。
相続登記の手続きをおこなうためには、多くの書類が必要です。場合によっては入手に時間がかかってしまうため、余裕のあるうちに少しずつ集めることが大切です。
「申請に手間がかかるから」という理由で相続登記を放置しておくと、トラブルに発展してしまう可能性があります。
もし相続登記の手続きに疑問や不安があれば、法務局の窓口や司法書士に相談しましょう。