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共有持分の売却相場は?相場目安の一覧表や売却価格のシミュレーションなど徹底解説

共有持分の売却相場は、「誰に売るか」と「共有者との関係性」によって大きく変動します。

物件の立地や建物の状態ももちろん影響しますが、実務上はそれ以上に、売却先と共有者との関係性が価格を大きく左右する要因となるケースがほとんどです。

一般的な目安や弊社の買取実績をもとにして、「売却先」「共有者との関係性」ごとに共有持分の売却相場をまとめましたので参考にしてみてください。

要素 価格への影響と相場の目安
売却先 他の共有者が最も高値になりやすい
・共有者:不動産全体の価値 × 持分割合
・買取業者:不動産全体の市場価格 × 持分割合 × 1/2〜1/3

※一般の人が買主になることは実務上非常に困難で、売却できても買取業者よりも安値になりやすいです

共有者との関係性 「連絡が可能で売却に協力的」など、関係性が良い方が高値になりやすい
・共有者と関係が良好:不動産全体価格 × 持分割合の50〜80%程度
・共有者と関係が悪い:不動産全体価格 × 持分割合の5〜40%程度

たとえば、不動産全体の市場価格が4,800万円、持分割合が1/3のケースを想定すると、理論上の持分価格は約1,600万円となります。

この前提で実際の売却価格を見ていくと、共有者にそのまま売却できる場合には1,400万〜1,600万円前後でまとまるケースが多く、理論価格に近い売却価格に期待できます。一方で、共有者と連絡が取れており話し合いが進めやすい状況であっても、第三者である買取業者へ売却する場合は800万〜1,200万円前後に収まることが一般的です。

実際に買取を行う立場から見ても、共有持分の価格は単純に「持分割合」で決まるものではありません。査定では、取得後にどの程度現実的に整理できるかという点を重視しており、共有者と連絡が取れるかどうかや、占有の有無によって価格は大きく変わります。

このように、共有持分の売却価格は「取得後に共有者と交渉が可能か」「売却や持分の集約まで現実的に進められるか」によって決まるのが実務上の考え方です。

当記事では、「共有持分の売却相場はいくらなのか」をテーマに、共有持分の買取業者の立場から実務の情報を踏まえて解説していきます。共有持分の査定ポイントや売却価格を決める流れ、高値売却のポイントなど、実際の買取事例を踏まえつつ解説していきますのでぜひ参考にしてみてください。

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共有持分の売却相場目安の一覧

共有持分の売却相場は、「売却先」と「共有者との関係性」によって変わるのが実務上の基本です。

まずは売却先ごとの共有持分の売却相場をまとめましたので、参考にしてみてください。

売却先 相場
他の共有者 不動産全体の価値 × 持分割合(80〜100%)
買取業者 不動産全体の市場価格 × 持分割合 × 1/2〜1/3(30〜50%)

そもそも共有持分は、共有している不動産における所有権の割合であり、持分を持っていても不動産全体を自由に利用・処分ができません。そのため、マイホームを探しているような一般の人が共有持分の買主になることはほぼありません。

この背景から、共有持分の売却先は「他の共有者」または「買取業者」が主な選択肢になります。

詳しくは後述しますが、共有者であれば、不動産全体の価値に持分割合をかけた金額が売却相場になりやすいです。一方、弊社のような買取業者では、取得後に必要となる共有者との交渉や権利関係の調整、将来的な売却可能性まで見据えたうえで買取価格を算定しています。

そのため、これらのリスクやコストを反映する形となり、買取業者への売却は仕組み上相場よりどうしても低くなってしまうのです。

また、買取業者に売却する場合、共有持分の売却相場は共有者との関係性によっても変動しやすいです。

状況 相場
共有者間の関係が良好(話し合い可能) 50〜80%
他の共有者が居住している 30〜60%
トラブルあり(対立・交渉不可) 10〜40%
共有者と連絡が取れない 20〜40%
共有者間で対立・トラブルがある 10〜40%
共有者と係争中 5〜30%

たとえば、共有者同士で円滑に話し合いができる場合は、持分の集約や不動産全体での売却が現実的に見込まれるため、共有持分の売却相場が高くなる傾向があります。

とはいえ、弊社に寄せられる買取の相談や実績をもとにしても、共有持分の売却を検討している場合で他の共有者と良い関係が築けているケースはさほど多くないのが所感です。

「共有者と連絡が取れない」「共有者同士で対立している」といったケースでは、取得後に交渉や法的手続きが必要になる可能性が高く、その分の手間やリスクが価格に反映されて共有持分の売却価格は安くなりやすいのが実務上の特徴です。

つまり、共有持分の売却相場は、「共有者に売る場合が最も高値になりやすい」「共有者と揉め事が起きている場合に買取業者へ売却すると安値になりやすい」というのが実務上の基本となります。

共有持分の売却相場は売却先で変わる

共有持分の売却価格は、1つの要因だけで決まるものではなく、さまざまな条件を総合的に踏まえて決定されます。実務上の感覚として、価格に最も大きく影響するのは「誰に売却するか(売却先)」です。

共有持分は単独では自由に利用・処分ができない特殊な権利であるため、一般の不動産のように売却することは難しく、実際の売却先は次のいずれかに限られるケースがほとんどです。

売却先 売却価格の目安
他の共有者 【不動産全体の市場価格 × 持分割合】

例:不動産全体の市場価格が3,000万円で持分が1/2の場合、他の共有者への売却なら1,500万円程度が目安です。
第三者(買取業者など) 【不動産全体の市場価格 × 持分割合×1/2~1/3】

例:不動産全体の市場価格が3,000万円で持分が1/2の場合、第三者への売却なら500万〜750万円程度が目安です。

共有持分の売却においては「いくらで売れるか」を考えるうえで、まず売却先によって価格帯が大きく変わるという前提を理解しておくことが重要です。

他の共有者:「不動産全体の市場価格 × 持分割合」が目安

共有持分を他の共有者に売却する場合の相場は、一般的に「不動産全体の市場価格 × 持分割合」が目安となります。

弊社へのご相談でも、「買取を検討しているが、もし他の共有者に売却した場合はいくらくらいになるのか」といったご質問をいただくことがあります。そのような場合には、一般的な目安としてこの計算式をベースにご説明することが多いです。

たとえば、不動産全体の市場価格が3,000万円で、持分割合が1/2の場合、共有者に売却する理論上の目安は1,500万円前後です。

そもそも、共有名義不動産は持分割合に応じてできる行為に制限があり、単独では自由に売却や活用ができません。実務上も、共有状態のままでは売却や意思決定が進まず、活用できないままになっているケースは少なくありません。

共有名義不動産の権利と行為
行為 具体例 同意の必要性
保存行為 雨漏りしている屋根の修繕 壊れた窓ガラスの交換 不法占拠者への明け渡し請求 他の共有者の同意が不要で、単独で実行可能
管理行為 短期(3年以下、土地は5年以下)の賃貸借契約の締結・解除 持分の過半数の同意が必要
変更行為(軽微な変更) 外壁や屋根の修繕 砂利道のアスファルト舗装 土地の分筆・合筆 持分の過半数の同意が必要
変更行為(軽微な変更以外) 不動産全体の売却や贈与 増築や改築 建物の取り壊し 抵当権の設定 長期の賃貸借契約の締結・解除 共有者全員の同意が必要

共有者の立場から見ると、持分を買い増して単独所有に近づけることで、不動産の管理や売却を自由に進められるようになります。

たとえば、共有者が2人でそれぞれ1/2ずつの持分を所有している場合、もう一方の持分を買い取ることで単独所有となり、不動産全体の売却や活用を自分の判断で進めることが可能になります。


実務でも、「将来的に売却したい」「相続対策として整理しておきたい」といった理由から、共有者が持分取得を前向きに検討するケースは決して少なくありません。

このように、共有者は持分を取得することで得られるメリットが明確であるため、一般の人に売却する場合よりも売却が成立しやすく、結果として「不動産全体の市場価格 × 持分割合」に近い水準でも合意に至りやすいのが実務上の特徴です。

実際に当社の実務でも、他の共有者が持分の取得に前向きなケースでは、交渉が比較的スムーズに進み、価格についても大きな乖離が生じにくい傾向があります。

なお、適正価格で売却するためには、不動産全体の市場価格や持分評価を事前に把握したうえで、査定書や周辺の取引事例といった価格の根拠を準備しておくことが重要です。根拠が明確であるほど、共有者との価格交渉も進めやすくなります。

ワンポイント解説

共有者への売却においては「その持分を取得することで単独所有に近づけるかどうか」が、価格を左右する最も重要なポイントになります。

単独所有に近づくケースでは購入メリットが明確になるため価格は維持されやすく、「不動産全体の市場価格 × 持分割合」に近い水準で合意に至ることも少なくありません。

一方で、持分を取得しても共有状態が解消されず、引き続き他の共有者との調整が必要になる場合は、取得後の自由度が限定されます。その結果、買主側としても積極的に高値を提示しづらくなり、実務上も減額されるケースが多いのが実情です。

買取業者:「不動産全体の市場価格×持分割合×1/2から1/3」が目安

共有持分を当社のような専門の買取業者へ売却する場合、実務上の相場は「不動産全体の市場価格 × 持分割合 × 1/2〜1/3」がひとつの目安となります。

もちろん物件の条件などでも価格は変動しますが、たとえば、不動産全体の市場価格が3,000万円で持分割合が1/2の場合、実際の買取価格は500万〜750万円前後で提示されるケースが多く見られます。

前提として共有持分は単独では自由に利用・処分ができないため、一般の買主にとっては取得するメリットが小さく、仲介での売却が難しいのが実情です。そのため、実務上は共有持分専門の買取業者を売却先として選ぶケースが多いです

実際に、当社へご相談いただく方の多くは、事前に不動産仲介会社へ相談したものの「取り扱いが難しい」と断られた経緯をお話しされます。筆者の体感に過ぎませんが、ご相談時にそのような事情を共有される方は8割以上にのぼります。

また、当社の査定実務においても、「不動産全体の市場価格 × 持分割合」を基準とした場合、最終的な提示価格は概ね30〜50%前後に収まるケースが中心となっており、物件の状況や共有関係によって上下する傾向があります。

共有持分の売却価格を決める要素は?専門業者が査定ポイントを紹介

共有持分の売却価格は、売却先だけで決まるものではなく、共有者の状況や物件の状態など、複数の要因を踏まえて査定されるのが実務上の考え方です。特に、当社の査定実務においては、主に次のような要素を総合的に評価して買取価格を決定しています。

  • 共有者との関係性(交渉の進めやすさ・対立の有無)
  • 居住・占有の有無(誰がどのように使っているか)
  • 持分割合・共有者の人数(権利関係の複雑さ)
  • 物件の立地条件(エリア・需要・流動性)
  • 建物の状態・築年数(修繕や解体の必要性)

これらはいずれも査定に影響する要素ですが、当社の実務においては、特に「共有者との関係性」「居住・占有の有無」「持分割合・共有者の人数」といった権利関係や交渉難易度に関わる要素が、査定価格に与える影響が大きいです。

一方で、立地や建物の状態は不動産としての価値を決めるベースではあるものの、共有持分の場合はそれだけで価格が決まるわけではなく、上記の要素と組み合わせて最終的な査定額が決まります。

これらの要素によって、同じ持分割合であっても、実際の買取価格には大きな差が生じることも決して珍しくありません。

ここからは、それぞれのポイントについて、当社で実際に対応してきた買取事例を踏まえながら、どのように価格へ影響するのかを具体的に解説していきます。

共有者との関係性

共有持分の買取価格に大きく影響する要素のひとつが共有者との関係性(交渉の進めやすさ)です。

というのも、買取業者は持分を取得した後、他の共有者と交渉を行って持分を集約し、不動産全体の売却につなげることを前提とするのが基本です。

共有者との関係性が良好で交渉が進めやすいケースと、対立があり交渉が難航するケースでは、これを実現する難易度やコストが大きく変わります。

そのため、同じような物件条件であっても、関係性の違いによって共有持分の買取価格には明確な差が生じることもあります。

実際に弊社の買取事例には、条件が似た物件でも共有者との関係性によって共有持分の買取価格に大きな差が出たケースがあります。

□弊社の買取事例

項目 ケース①(関係性が良好) ケース②(関係性が悪い)
所在地 首都圏近郊(駅徒歩17分) 首都圏近郊(駅徒歩10分)
物件種別 戸建て(木造2階建て) 戸建て(木造2階建て)
築年数 約36年 約31年
不動産全体の市場価格 約4,800万円 約5,200万円
持分割合 1/3 1/4
共有者の状況 売却について事前に意思疎通あり 長年対立・連絡困難
当社提示価格 約720万円
(持分割合1/4換算:約540万円相当)
約350万円
(持分割合1/3換算:約470万円相当)

※掲載している事例は、当社の査定実務をもとに構成しており、個別案件の特定を避けるため一部条件を調整しています。

立地や市場価格がむしろ良いケース②の方が、共有者との関係性が悪いことが主な理由となり、結果として提示価格が大きく下がっています。

これは、関係性が良好なケースでは取得後の交渉や持分集約の見通しが立つのに対し、対立しているケースでは交渉の長期化や弁護士対応などのコストが見込まれるためです。

このように、共有持分の査定では単純な物件条件だけでなく、共有者との関係性によって最終的な価格が大きく変動する点を理解しておくことが重要です。

居住・占有の有無

共有持分の買取価格においては、誰が不動産を使用しているか(居住・占有の状況)も大きく影響します。

というのも、共有不動産は持分を取得しただけでは自由に使用できず、実際に誰かが居住している場合、その状態を前提に交渉や対応を進める必要があるためです。

特に、他の共有者が居住しているケースでは、使用料の請求や退去交渉などが発生する可能性があり、取得後の難易度が高くなります。

□弊社の買取事例

項目 ケース①(空き家) ケース②(共有者が居住)
所在地 郊外エリア(駅徒歩17分) 準都心エリア(駅徒歩8分)
物件種別 戸建て(木造2階建て) 戸建て(木造2階建て)
築年数 約32年 約20年
不動産全体の市場価格 約3,400万円 約4,500万円
持分割合 1/2 1/2
占有状況 空き家(残置物あり) 他の共有者が単独で居住
当社提示価格 約650万円 約600万円

※掲載している事例は、当社の査定実務をもとに構成しており、個別案件の特定を避けるため一部条件を調整しています。

ケース②の方が立地・築年数・市場価格のいずれも条件が良いにもかかわらず、共有者が居住していることで価格が伸びにくくなっています。

空き家であれば、取得後すぐに売却や活用に向けた動きが取れる一方で、居住者がいる場合は交渉や対応に時間とコストがかかるため、その分査定額に影響が出ます。

このように、共有持分の査定では物件条件よりも「占有状況」が価格に強く影響するケースもある点を理解しておくことが重要です。

持分割合・共有者の人数

共有持分の買取価格は、持分割合の大きさと共有者の人数(権利関係の複雑さ)によっても大きく変動します。

持分割合が大きいほど不動産に対する影響力が強くなるため価格は高くなりやすく、反対に持分割合が小さい場合や共有者の人数が多い場合は、権利関係が複雑になるため価格は下がりやすくなります。

特に、共有者が多いケースでは、意思決定に関与する人数が増えることで、将来的な売却や交渉の難易度が上がるため、その分リスクとして査定額に反映されやすいです。

□弊社の買取事例

項目 ケース①(高持分・少人数) ケース②(低持分・多人数)
所在地 首都圏近郊(駅徒歩13分) 首都圏近郊(駅徒歩11分)
物件種別 戸建て(木造2階建て) 戸建て(木造2階建て)
築年数 約30年 約28年
不動産全体の市場価格 約4,200万円 約4,500万円
持分割合 1/2 1/6
共有者の人数 2人 6人
共有者の状況 一部連絡可能・関係性は中立 相続で分散・一部連絡困難
当社提示価格 約900万円 約250万円
(持分割合1/2換算:約750万円相当)

※掲載している事例は、当社の査定実務をもとに構成しており、個別案件の特定を避けるため一部条件を調整しています。

ケース②の方が立地や市場価格の条件は良いにもかかわらず、持分割合が小さく、共有者の人数が多いことで、提示価格は大きく下がっています。

持分割合が小さい場合、その持分単体では不動産への影響力が小さくなり、取得後にできることも限られます。また、共有者が多いほど調整の手間や交渉コストが増えるため、その分査定額は抑えられる傾向があります。

このように、共有持分の査定では「どれくらいの割合を持っているか」と「何人で共有しているか」によって、価格が大きく左右される点が重要です。

物件の立地条件

共有持分の買取価格においても、物件の立地条件(エリア・駅距離・周辺需要)は重要な査定要素のひとつです。

立地が良い物件ほど、不動産全体としての需要が高く、将来的な売却や活用の見込みが立てやすいため、持分であっても価格は伸びやすくなります。特に、都心部や駅近エリアなど需要が高い物件では、他の条件が同じであれば査定額も高くなる傾向があります。

一方で、郊外や需要が限定的なエリアでは、不動産全体の売却難易度が上がるため、その分持分の評価も抑えられやすくなります。

□弊社の買取事例

項目 ケース①(立地が良い) ケース②(立地が弱い)
所在地 都内23区(駅徒歩7分) 地方都市(駅徒歩18分)
物件種別 戸建て(木造2階建て) 戸建て(木造2階建て)
築年数 約20年 約22年
不動産全体の市場価格 約6,000万円 約2,500万円
持分割合 1/2 1/2
当社提示価格 約2,300万円 約400万円

※掲載している事例は、当社の査定実務をもとに構成しており、個別案件の特定を避けるため一部条件を調整しています。

共有者の状況や持分割合が同程度であっても、立地条件の違いによって提示価格には大きな差が生じます。

立地が良い物件は、不動産全体としての需要が高く、取得後の売却や持分集約の見通しが立ちやすいため、その分査定額も出しやすくなります。一方で、需要が限定的なエリアでは売却までの期間やリスクを見込む必要があるため、査定額は抑えられる傾向があります。

このように、共有持分の査定においても不動産そのものの価値(立地)が価格のベースを決める要素になる点は押さえておく必要があります。

建物の状態・築年数

共有持分の買取価格は、建物の状態や築年数(修繕・解体の必要性)によっても大きく左右されます。

築年数が浅く、建物の状態が良好な場合は、そのまま活用や売却が可能なケースもあるため、価格は伸びやすくなります。一方で、老朽化が進んでいる場合や修繕が必要な状態であれば、リフォームや解体といった追加コストが発生するため、その分査定額は下がる傾向があります。

特に築古の戸建てでは、建物としての価値よりも解体前提で評価されるケースも多く、実務上は「土地 − 解体費用」という考え方で査定されることも少なくありません。

□弊社の買取事例

項目 ケース①(状態が良好) ケース②(老朽化が進行)
所在地 首都圏近郊(駅徒歩12分) 首都圏近郊(駅徒歩10分)
物件種別 戸建て(木造2階建て) 戸建て(木造2階建て)
築年数 約28年 約45年
建物の状態 修繕履歴あり・そのまま利用可能 雨漏り・傾きあり(解体前提)
不動産全体の市場価格 約4,300万円 約4,200万円
持分割合 1/2 1/2
当社提示価格 約1,100万円 約700万円

※掲載している事例は、当社の査定実務をもとに構成しており、個別案件の特定を避けるため一部条件を調整しています。

立地や持分割合が同程度であっても、建物の状態によって提示価格には大きな差が生じます。

状態が良好な物件は、取得後すぐに売却や活用に移行できるため価格を出しやすくなります。一方で、老朽化が進んでいる物件では、解体費用や修繕費用が発生する前提となるため、その分査定額が差し引かれる形になります。

このように、共有持分の査定では建物の状態によって将来的にかかるコストが、そのまま価格に反映される点が重要です。

共有持分の売却価格を決める実務上の流れ

共有持分の買取価格は、単純に「相場だからこの金額」と一律で決めるのではなく、複数の工程を踏んで段階的に算出するのが基本の考え方です。

弊社の実務では他にも工程がありますが、あくまで大まかには下記のような流れになります。

  1. 不動産全体の市場価格を調査する
  2. 持分割合に応じた理論上の価格を算出する
  3. 共有者の状況や占有状況を整理する
  4. リスクやコストを踏まえて最終的な価格を調整する

このように、共有持分の価格は「ベースとなる価格」+「個別事情による調整」という構造で決まることが多く、同じ持分割合であっても、条件によって大きく価格差が生じることがあります。

ここからは、それぞれの工程について、実務でどのような点を確認しているのかを具体的に解説していきます。

①不動産全体の価値を調査する

共有持分の査定では、まず不動産全体を「通常の不動産として売却した場合に、実際にいくらで売却できるか」を前提として価格を決めます。

実務上は単に「近隣相場を見る」だけでは不十分で、特に以下の点を重点的に確認しています。

  • 成約事例の価格帯ではなく「実際に売れた価格と期間」
  • 同一エリア内でも「再建築可否・接道状況・用途地域」の違い
  • 築年数ではなく「リフォーム前提か・解体前提か」の判断

例えば、同じエリアで「4,500万〜5,000万円で売出されている物件」があっても、実際の成約価格が4,200万円で、かつ売却までに6か月かかっている場合、当社ではそのまま中央値を採用するのではなく、「売出価格ではなく、実際に売れる水準」として4,000万円台前半まで補正する補正するケースもあります。

このように、共有持分の査定では売れる価格ではなく、現実的に売り切れる価格を基準にする点が重要になります。

②持分割合に応じた理論上の価格を算出する

不動産全体の価格を確定した後は、持分割合を掛け合わせて理論上の持分価格(制約を考慮しない前提の価格)を算出します。

例えば、全体価格が4,800万円・持分1/3であれば、「4,800万円 × 1/3 = 約1,600万円」となります。

ただし実務上は、この段階でもう一つ重要な視点として「その持分を取得することで、単独所有にどれだけ近づくか」があります。

例えば、残りの共有者が1人のみであれば、その相手と合意できれば単独所有にできる可能性があります。一方で、共有者が複数人いる場合は全員との調整が必要となるため、交渉が長期化しやすくなります。

この違いによって、同じ持分割合であっても、最終的な査定額が変わるケースは少なくありません。

③共有者の状況や占有状況などを調査する

次に、価格に最も影響が出やすい要素として、共有者の状況と占有の有無を確認します。

弊社の実務フローをもとにすれば、重視されやすい項目は以下の3点です。

  • 共有者との接触可否(連絡が取れるかどうか)
  • 売却や持分整理に対するスタンス(協力的か・拒否的か)
  • 居住・占有の実態(誰がどのように使っているか)

例えば、共有者と連絡が取れており売却について一定の理解が得られている場合は、数か月程度で合意形成に至るケースもあります。

一方で、連絡が取れない、または強い対立関係にある場合は、交渉自体が進まず、結果として年単位で整理に時間がかかることもあります。この違いが、そのまま査定額の差につながります。

特に、占有者がいる場合は、賃料請求や明渡し交渉の実効性まで含めて判断する必要があるため、査定額を大きく下げる要因になります。

④リスクやコストなどを踏まえて最終的な売却価格が決まる

最後に、ここまで整理した内容をもとに、取得後に発生する期間や費用を見積もったうえで、最終的な買取価格を決定します。

実務上は、単純な足し引きではなく、以下のような観点で総合的に判断しています。

  • 権利整理にかかる期間(短期でまとまるか/長期化するか)
  • 交渉・訴訟に発展する可能性
  • 保有期間中の固定費(税金・管理費)
  • 最終的に売却や賃貸が見込めるか

例えば、他の共有者との調整が比較的スムーズに進み、短期間で持分をまとめられる見込みがある場合は、理論価格に近い水準で価格が提示されることがあります。

一方で、交渉が難航することが想定される場合や、係争に発展する可能性がある場合は、解決までに時間や費用がかかるため、提示価格は大きく下がる傾向があります。実務上は、このような前提を踏まえて価格が調整されます。

このように、共有持分の査定では「取得後にどの程度の期間とコストで権利関係を整理し、最終的に売却できるか」を基準に金額を算出しています

共有持分の売却価格シミュレーション

ここからは、共有持分の売却価格がいくらくらいになるのかをイメージしやすいように、前提条件を揃えたうえで、共有者の状況ごとに買取価格の違いをシミュレーション形式で解説します。

なお、シミュレーションでは、実務に近い形で比較できるよう、物件の基本条件はすべて同一とし、共有者の状況のみシチュエーションを変えて解説していきます。

【シミュレーションの前提条件】
・所在地:首都圏近郊(駅徒歩15分圏内)
・物件種別:戸建て(木造2階建て)
・築年数:約30年
・不動産全体の市場価格:約4,800万円
・持分割合:1/3(理論価格:約1,600万円)
・土地・建物ともに大きな瑕疵なし

この条件をもとに、共有者の関係性や占有状況などによって、実際の買取価格がどの程度変動するのかを見ていきます。

また、各ケースでは、当社の査定実務に近い形で、実際に対応した案件をベースに調整した参考事例もあわせて紹介しています。

同じ持分割合であっても、共有者の状況によって価格が大きく変わる点に注目しながらご覧ください。

共有者同士の関係が良好で、売却や話し合いが進めやすいケース

共有者同士の関係が良好なケースでは、当社の実務経験上でも、「取得後にどの程度の期間で他の共有者との合意形成まで進められるか」を基準に評価します。

具体的には、「すでに売却について話が通っている」「持分売却に対して明確な拒否がない」「連絡が常時取れる」といった状態であれば、取得後の交渉が停滞するリスクが低く、短期間で不動産全体の売却や持分整理まで進められる見込みが立ちます。

この場合、共有持分の売却価格は比較的高めになるのが基本です。前提条件をもとにしたシミュレーションは下記の通りです。

【共有持分の売却価格シミュレーション】
・不動産全体の市場価格:4,800万円
・持分割合:1/3(理論価格:約1,600万円)
→ 妥当な価格水準:約950万〜1,100万円前後(理論価格の約60〜70%)

このような判断は弊社も重視しており、例えば当社で対応した首都圏近郊の戸建て(市場価格約4,900万円・持分1/3)の案件では、他の共有者と事前に売却方針の認識が揃っていたため、取得後の調整をほとんど要さず、理論上は1,600万円の物件で約1,400万円での買取となりました。

このように、共有者との関係性が良好なケースでは、「取得後に新たな交渉が必要かどうか」が査定額の分かれ目となります。

他の共有者が不動産に居住しているケース

他の共有者が不動産に居住している場合、「取得後にその占有状態をどの程度コントロールできるか」を基準に評価するのが実務の基本です。

共有持分を取得したとしても、占有している共有者には使用する権利があるため、第三者が自由に物件を活用することはできません。そのため、賃料請求や明渡し交渉を行う必要が出てきますが、実務上は任意交渉で解決しないケースも多く、結果として長期化するリスクがあります。

特に、居住者が売却に消極的である場合は、交渉が進まない前提で保有期間が長引くことを見込み、共有持分の売却価格は大きく減額されることもあります。

【シミュレーション(目安)】
・不動産全体の市場価格:4,800万円
・持分割合:1/3(理論価格:約1,600万円)
→ 妥当な価格水準:約700万〜900万円前後(理論価格の約45〜55%)

例えば当社で対応した首都圏の戸建て(市場価格約5,000万円・持分1/3)の案件では、他の共有者が長年居住しており、売却についても消極的な姿勢でした。取得後の調整が長期化する前提で評価し、理論価格約1,660万円に対して約800万円での買取となりました。

このように、占有があるケースでは、「使用を巡る交渉がどこまで現実的に進むか」が査定額を左右する重要なポイントとなります。

共有者と連絡が取れない・話し合いができないケース

共有者と連絡が取れない場合、「そもそも交渉のスタートラインに立てるかどうか」を基準に評価するのが実務の基本です。

連絡が取れない共有者がいる場合、不動産全体の売却や持分整理に必要な同意が得られず、売却や分割の手続き自体に進めない状態が続きます。そのため、長期間保有せざるを得ない前提で査定することになり、提示価格は大きく抑えられる傾向があります。

【シミュレーション(目安)】
・不動産全体の市場価格:4,800万円
・持分割合:1/3(理論価格:約1,600万円)
→ 妥当な価格水準:約550万〜750万円前後(理論価格の約35〜45%)

実際に当社で対応した案件でも、共有者の一部と長期間連絡が取れない状態が続いていた物件では、所在調査や法的手続きの必要性を踏まえ、理論価格約1,600万円に対して約850万円での買取となりました。

このように、連絡が取れない共有者がいる場合は、「いつ合意形成に進めるか見通しが立たない」こと自体が価格を下げる要因となります。

共有者同士で意見が対立している・トラブルになっているケース

共有者同士で意見が対立している場合、「交渉が係争に発展する可能性があるかどうか」を重要な判断基準とするのが基本です。

解決までの期間が読めず、任意交渉でまとまらない場合は共有物分割請求などの法的手続きに移行する必要があるため、数年単位での対応を見込んで査定することになり、提示価格はさらに下がります。

筆者の個人的な感覚に過ぎませんが、共有持分の買取相談に至る場合、このようなケースは非常に多いです。

【シミュレーション(目安)】

・不動産全体の市場価格:4,800万円
・持分割合:1/3(理論価格:約1,600万円)
→ 妥当な価格水準:約450万〜650万円前後(理論価格の約28〜40%)

当社で対応した事例でも、共有者間で長年の対立があり、交渉が成立しない状態が続いていた案件では、将来的に法的手続きへ移行する前提で評価し、理論価格約1,600万円に対して約500万円での買取となりました。

このように、共有者間の対立があるケースでは、「交渉で解決できるか、それとも法的手続きが必要になるか」が、査定額を大きく左右します。

共有持分を高く売却するためのポイント

共有持分を高く売却するために重要なのは、買主が取得後にどれだけ動きやすい状態にできるかです。

当社のような共有持分の買取業者でも、査定時に見ているのは不動産そのものの価値だけではありません。「他の共有者に買い取る意思があるか」「共有者と連絡が取れるか」「売却について事前に話が通っているか」といった点は、買取価格に直接影響しやすい要素です。

つまり、共有持分を高く売却するためには、買主側が負担する交渉コスト・時間・リスクをできるだけ小さくすることが重要です。

ここからは、当社が実際の査定実務でも重視しているポイントも参考に、共有持分を少しでも高く売却しやすくするための具体的な考え方を解説します。

他の共有者に売却できないかを最初に検討する

共有持分を高く売却したいのであれば、まず最初に検討すべきなのは他の共有者に買い取ってもらえないかという点です。前述したように、他の共有者であれば第三者よりも高値で共有持分を売却しやすいためです。

たとえば、共有者が2人で1/2ずつ持っている場合、一方が他方の持分を買い取れば単独所有となり、その後は不動産全体の売却や活用を自分の判断で進められます。このようなケースでは、第三者が取得する場合よりも「買う理由」がはっきりしており、「不動産全体の市場価格 × 持分割合」に近い価格でも成立しやすいです。

そのため、共有持分を高く売ることを重視するのであれば、まずは共有者へ売却できないかを確認するのが実務上の基本です。

共有者に売却の意思を事前に伝えて事前にトラブルを防ぐ

共有持分の価格を下げる大きな要因のひとつが、取得後に共有者との間で余計なトラブルが発生することです。だからこそ、共有持分の売却を進める前に、共有者へ売却の意思を伝えておくことには大きな意味があります。

ここで大事なのは、「同意を取ること」そのものではなく、少なくとも寝耳に水の状態を避けることです。

共有者が何も知らない状態で第三者が持分を取得すると、その後の交渉が感情的にこじれやすくなり、買主側としては取得後の対応コストが読みにくくなります。こうしたケースでは、弊社のような買取業者も査定額を慎重に見ざるを得ません。

逆に、事前に「持分を売却する可能性がある」「共有状態を解消したいと考えている」と伝えておけば、相手が反対であっても、少なくとも状況は可視化されます。

共有者の反応がわかれば、買主側としても「どの程度の交渉が必要か」を読みやすくなり、その分、価格判断もしやすくなります。

当社の実務でも、共有者への事前説明がまったくない案件より、売却の意思が共有されている案件の方が、取得後の対応が読みやすいため価格を出しやすい傾向があります。

つまり、事前に売却の意思を伝えることは、買主側が負担するトラブルコストを減らし、結果として価格の下落を防ぐ行動といえます。

コストを極力抑えて買い取りしてもらえる専門買取業者に依頼する

共有持分を第三者に売却する場合は、どの業者に依頼するかによって価格が変わることがあります。特に重要なのは、共有持分の取り扱いに慣れており、取得後の対応コストを抑えられる業者かどうかです。

買取業者は、取得後にかかる手間や費用を見込んで価格を決めます。したがって、共有持分の実務に不慣れな業者ほど、必要以上にリスクを見込んで安く査定することがあります。

たとえば、共有者との交渉方法や権利整理の進め方がわからない業者は、長期化を前提に価格を下げやすくなります。

一方で、共有持分を専門的に扱っている業者であれば、「どこで話がまとまりやすいか」「訴訟に発展した場合はどの程度の費用がかかるか」といった実務感を持っているため、必要以上の減額をしなくて済むケースがあります。

つまり、売主から見れば「高く買ってくれる業者」を探すというより、余計なリスクやコストを上乗せせずに査定できる業者を選ぶことが、共有持分の高値売却につながります。

当社のような専門業者が価格を出しやすいのは、単に強気だからではなく、共有持分の処理にかかる現実的なコストや期間を把握しているからです。だからこそ、一般的な買取業者より高い価格が成立する余地があります。

複数の業者に査定を依頼して条件を比較する

共有持分を売却する際は、1社だけで決めず、複数の業者に査定を依頼して比較することが重要です。

というのも、共有持分の査定には「定価」がなく、同じ物件・同じ持分であっても、業者ごとに見ているリスクや想定している処理コストが違うからです。

実務上も、ある業者では係争リスクを重く見て大きく減額する一方で、別の業者では「この条件なら整理可能」と判断して、より高い価格を提示することも決して珍しくありません。

特に共有持分は、通常の不動産よりも査定基準で差が出やすいため、比較をしないまま1社で決めてしまうと、本来より低い価格で売却してしまうリスクがあります。

また、査定額だけでなく、「どのような前提でその価格になるのか」といった条件面も確認することが大切です。

当社の実務でも、他社査定を踏まえて再相談いただくケースは少なくありませんが、実際に比較してみると、数十万円単位ではなく数百万円単位で差が出るケースも多々あります

そのため、共有持分の高値売却を重視するのであれば、最初から1社に絞るのではなく、複数社の査定と条件を比較したうえで判断することが、結果的に最も失敗しにくい進め方と言えます。

共有持分の売却にかかる税金・費用

ここからは共有持分の売却にかかる税金や費用について解説します。持分売却における税金や諸費用を把握することで、実際に売却した後の現金の手残りがどれほどになるかイメージできるようになるかと思います。

実務上の影響が大きい税金や費用は以下のとおりです。

項目 概要 発生するケース
譲渡所得税(所得税・住民税・復興特別所得税) 売却益(譲渡所得)に課税される税金。
・所有期間5年以下:39.63%/5年超:20.315%(復興特別所得税含む)
※所有期間は「譲渡した年の1月1日」で判定。
売却額が「取得費+譲渡費用」を上回る場合
登記費用(所有権移転登記) 売却後、買主へ名義を移す際に必要となる費用の総称。
・登録免許税:原則2%(課税標準 × 税率)
・司法書士報酬:1万5千円〜3万円程度が目安
※共有持分の移転では軽減措置が適用されないケースが一般的。
※負担者は契約内容により異なり、実務では買主負担が多い。
※土地の登録免許税は令和8年3月31日まで、軽減措置により1.5%が適用される。
仲介売却・買取売却のいずれでも発生
仲介手数料 仲介会社へ支払う成功報酬。
・上限は「売却価格×3%+ 6万円+消費税」。
例:売却額1,000万円の場合=396,000円(税込)
※買取業者へ直接売却する場合は不要。
仲介売却の場合に発生

なお、契約書を紙で作成する場合には印紙税が発生することがあります。また、売却方法や物件の状況によっては、測量費などの追加費用がかかるケースもあります。

以下では、各税金・費用の内容を詳しく解説します。

譲渡所得税│売却益が発生した際にかかる税金

共有持分を売却して利益(譲渡益)が出た場合には、所得税・住民税・復興特別所得税が課税されます

譲渡益とは、売却価格から「取得費」および「仲介手数料などの譲渡費用」を差し引いて残った利益のことで、課税対象となる金額(譲渡所得)の基礎となるものです。売却価格が取得費や譲渡費用を下回り、譲渡益が生じない場合には、譲渡所得税は課税されません。

譲渡所得にかかる税率は、売却した年の1月1日時点での所有期間によって、短期(5年以下)と長期(5年超)に分かれます。

区分 所有期間 税率(所得税+住民税+復興特別所得税)
短期譲渡所得 5年以下 39.63%
長期譲渡所得 5年超 20.315%
短期譲渡所得と長期譲渡所得

所有期間の判定は「売却日」ではなく、売却した年の1月1日時点で何年所有しているかによって決まります。

たとえば、2020年4月に取得した不動産を2025年8月に売却するケースでは、2025年1月1日時点での所有期間は「4年9ヵ月」にとどまり、短期譲渡所得の扱いとなります

また、相続によって取得した共有持分は、被相続人の取得日をそのまま引き継いで所有期間を判定します。そのため、相続直後に売却したとしても長期譲渡所得に該当するケースが多いでしょう。

なお、不動産の譲渡所得は原則として分離課税となり、給与所得などとは別に税額を計算します。譲渡益が生じた場合は、翌年の2月16日〜3月15日の期間に確定申告が必要です

手続きは自身で行うことも可能ですが、計算に不安がある場合は税理士へ依頼する方法も有効です。

参照:長期譲渡所得の税額の計算(国税庁)
参照:短期譲渡所得の税額の計算(国税庁)

登記費用│名義変更(所有権移転)にかかる諸経費

共有持分を売却する際には、買主へ名義を移すために「所有権移転登記」を行います。この手続きにかかる税金が登録免許税で、課税標準となる固定資産税評価額に法定税率を掛けて算出します。

登録免許税の税率は 土地1.5%・建物2% が原則で、共有持分の移転では住宅用の軽減税率(0.3%・0.4%)が適用されないケースがほとんどです。

なお、土地の登録免許税率1.5%は、令和8年3月31日までの軽減税率です。軽減措置が終了したあとは、原則税率である2.0%が適用されます。

登録免許税の負担者は法律では決まっていないため、売買契約で取り決めることになります。実務では買主負担とされる場面が多いですが、交渉によって売主側が負担する例もあるため、契約前に誰が負担するのか明確にしておくことが大切です。

また、登記申請は司法書士へ依頼するのが一般的で、司法書士報酬は2万〜5万円前後が目安とされています。登録免許税と合わせると、登記費用として数万円〜十数万円規模になることもあります。

共有持分の売却では、税金だけでなくこのような登記費用も発生するため、手取り額を見誤らないよう事前に試算しておくことが重要です。

仲介手数料│仲介売却で発生する成功報酬(買取なら不要)

共有持分を仲介で売却する場合、不動産会社へ仲介手数料(成功報酬)を支払う必要があります。仲介手数料の上限は、宅地建物取引業法46条で次のとおり定められています。

売買価格 上限(税抜)
200万円以下 5%
200万円超〜400万円以下 4%
400万円超 3%

売買価格が400万円を超える場合は「売却価格×3%+6万円+消費税」の速算式が広く使われています。

共有持分の売却では売却額が数十万〜数百万円にとどまることが多く、手数料が売却額の大きな割合を占めてしまうため、手取りが大幅に減る可能性があります。とくに低額の売却では、手数料負担が実質的なネックになりやすい点に注意が必要です。

仲介手数料は通常、売買契約締結時と引渡し時に半額ずつ支払うのが一般的です。また、契約締結後に売主または買主の事情で取引が履行されなかった場合には、成功報酬であっても手数料の支払い義務が生じるケースがあります。

なお、2024年7月の法改正により「低廉な空き家等の媒介特例」が施行され、売買価格800万円以下の不動産については、不動産会社が受け取れる仲介手数料の上限が一律33万円(税込)と定められました。

共有持分の売却でも、仲介による取引で売買価格が低額となる場合には、この特例が適用されるケースがあります。ただし、共有持分の売却では取引内容や媒介契約の形態によって適用の可否や手数料の負担割合が異なるため、必ずしも一律に33万円が上限になるとは限りません。

このように、仲介による売却では手数料負担が売却額に大きく影響するケースもあります。

一方、買取業者に直接売却する場合には仲介手数料は発生しません。仲介と買取を比較し、費用負担とスピードのどちらを優先するのか検討することが大切です。

共有持分の買取事例も相場の参考にしてみよう

ここからは、弊社がこれまで実際に取引した共有持分の買取事例を紹介します。

類似するエリアや持分割合の事例があれば、売却価格の目安を把握する材料として活用できるでしょう。あくまで相場感をつかむための参考情報としてご覧ください。

【1億円で売却】駐車場になっている土地の持分1/4

買取価格
1億円
エリア:東京都 種別:駐車場
持分:1/4 共有人:4人(親族)
遠縁の親族と共有している土地を駐車場として運営していましたが、体調不良もあり、現金化する必要が出てきました。土地の価格が高額なため、他の共有者に買い取ってもらうのは難しく、共同売却もスムーズには進まない状況でした。そうした経緯もあり「共有持分だけを買い取ってくれる業者がいる」と聞いていくつかの会社に相談しました。しかし、高額物件ということもあって具体的な金額提示が得られず困っていました。最終的に、しっかりと納得できる金額を提示してくれたのは御社でした。短期間での決済を希望していましたが、迅速な調査と必要書類の準備をしていただき、誠意ある対応に大変満足しています。ありがとうございました。

【470万円で売却】疎遠の親族と共有している戸建ての持分1/4

買取価格
470万円
エリア:東京都 種別:戸建て
持分:1/4 共有人:4人
相続によって不動産の持分を取得しましたが、居住者や他の共有者とは全く交流がなく、手紙を送っても返事がもらえない状況が続いていました。このまま放置するわけにもいかず「せめて自分の持分だけでも売却したい」と考えて問い合わせたところ、親身に対応していただき、スムーズに取引が進み、無事に持分を買い取っていただくことができました。不安だった気持ちも解消され、本当に感謝しています。

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【6,000万円で売却】テナントビルの土地・建物の持分3/4

買取価格
6,000万円
エリア:東京都 種別:ビル
持分:3/4 共有人:2人
財産整理の一環として、テナントビルの土地と建物の約3/4の持分を売却することにしました。まず士業事務所に相談したところ、複数の買取業者をご紹介いただき、入札形式で査定を依頼することになりました。各社から提案をいただいた中で、最も高い金額を提示してくださったのが御社でした。丁寧な対応と納得のいく条件で取引を進めることができ、安心して売却を完了することができました。本当に感謝しています。

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【2億円で売却】収益アパートの持分1/4

買取価格
2億円
エリア:東京都 種別:収益アパート
持分:1/4 共有人:4人(親族)
相続によって収益アパートの共有持分を取得しましたが、他の共有者との関係がうまくいかず、このまま共有状態を続けることにストレスを感じていました。そこで共有持分の買取業者にいくつか査定を依頼しましたが、自分の希望額に届くところがなかなか見つからず、売却を決断できずにいました。そのような状況のなか、唯一希望額に近い金額を提示してくださったのが御社でした。丁寧な対応にも安心感を持てたため、納得して売却することができました。気持ちの整理もつき、スムーズに取引を終えることができて本当に感謝しています。

2oku_jirei

【1,250万円で売却】土地の共有持分1/2

買取価格
1,250万円
エリア:東京都 種別:土地
持分:1/2 共有人:2人
兄弟2名で土地を相続しましたが、兄と仲が悪く話し合いができない状態でした。さらに、古い家が建っており、先代が室内で亡くなったことや、固定資産税などの維持費をすべて私が負担している状況で、精神的にも金銭的にも限界を感じていました。そのような状況で相談させていただいたところ、親身になって迅速に対応してくださり、短期間で納得のいく形で売却を進めることができました。複雑な状況にもかかわらず丁寧にサポートしていただき、大変感謝しております。

jirei1250man

【3,710万円で売却】区分所有建物の共有持分1/2

買取価格
3,710万円
エリア:東京都 種別:区分所有建物
持分:1/2 共有人:2人
元夫と共有している物件について、自分の持分を売却したいと考えておりましたが、直接話し合うことはおろか、弁護士を通じた交渉さえも上手くいかず途方に暮れていました。建物には元夫が居住しており、鍵の管理も全て元夫が行っている状態で、売却が非常に難しいと感じていました。そこで思い切って相談したところ、迅速かつ的確に対応してくださり、複雑な状況でも安心して取引を進めることができました。相談して本当に良かったと思います。感謝の気持ちでいっぱいです。

jirei3710man

【550万円で売却】戸建ての共有持分1/2

買取価格
550万円
エリア:東京都 種別:戸建て
持分:1/2 共有人:2人
兄弟で相続した実家が、共有状態のまま長年放置されており、維持管理の負担が大きくなっていました。私は共有者である兄と一緒に売却して現金化を希望していましたが、兄は実家への思い入れが強く、売却に反対され話し合いが進みませんでした。また、生前の親の荷物がそのまま残っている状況で、どうにかこの状態を解消したいと考えておりました。そこで相談したところ、親身になって丁寧に話を聞いていただき、私の気持ちに寄り添った対応をしてくださいました。おかげさまで、自身の持分を納得のいく形で売却することができました。本当に感謝しております。

jirei550man

【1,500万円で売却】離婚で不要になった夫婦名義マンションの持分1/2

買取価格
1,500万円
エリア:神奈川県 種別:マンション
持分:1/2 共有人:2人(夫婦)
離婚後、以前住んでいたマンションが不要になったため、買い取っていただきました。元夫とは長年別居しており、すでに連絡も取れない状態だったので、自分の共有持分だけを買い取ってくれる業者を見つけられて本当に助かりました。弁護士の方からは「物件全体を売却した方が手元に残るお金が多くなる」と説明を受けましたが、元夫とはできるだけ関わりたくなかったため、持分だけを売却する道を選びました。それでも、さまざまな選択肢を丁寧に説明していただき、納得したうえで決断できたことに満足しています。おかげで、安心して売却を終えることができました。ありがとうございました。

【3,700万円で売却】共有状態で相続した収益アパートの持分1/3

買取価格
3,700万円
エリア:神奈川県 種別:収益アパート
持分:1/3 共有人:3人(兄弟)
兄弟で相続した収益アパートの経営方針を巡って意見が対立し、関係が悪化してしまいました。この状態が長年続いたため「いっそ自分の持分だけでも売却して気持ちを整理したい」と考えるようになりました。担当者は、他の不動産会社と比べても説明が非常に丁寧で、こちらの話をしっかり聞いてくれる姿勢が印象的でした。物件の収益状況が悪化しており、さらに隣地との境界が未確定だったことから、他社ではどんどん査定額を下げられてしまいました。しかし、こちらの事情を理解したうえで、変わらず良い金額を提示していただき、無事に取引を終えることができました。誠実な対応に心から感謝しています。

【5,000万円で売却】戸建ての土地と建物の持分1/2

買取価格
5,000万円
エリア:神奈川県 種別:戸建て
持分:1/2 共有人:2人
家族間での折り合いが悪く、自宅を離れて転居する際に、居住している家族へ持分の売却交渉を試みましたが、話し合いがうまくまとまらず困っていました。このまま解決できないことに不安を感じて相談したところ、親身になってスムーズに対応していただきました。その結果、複雑な状況にもかかわらず安心して取引を進めることができ、最終的に納得のいく形で持分を買い取ってもらう決断をすることができました。大変満足しており、心から感謝しています。

5000man_jirei

共有持分の買取事例をさらに見たい方はこちら

まとめ

共有持分の売却価格は、「不動産全体の市場価格 × 持分割合」で単純に決まるものではなく、共有者の状況や物件の使われ方、取得後にかかる交渉や手続きの内容によって大きく変動します。

特に実務上は、以下のようなポイントによって価格が大きく変わる傾向があります。

  • 共有者との関係性(話し合いが進むかどうか)
  • 居住・占有の有無(自由に使える状態かどうか)
  • 連絡の可否や対立の有無(交渉が成立する見込み)
  • 取得後にかかる期間や費用(どれくらいで売却できるか)

そのため、同じ持分割合であっても、条件によっては理論価格の6〜7割で売却できるケースもあれば、3割前後まで下がるケースもあります

こうした前提を踏まえると、共有持分を高く売却するためには、下記のような対応が重要になります。

  • 他の共有者に売却できないかを検討する
  • 売却の意思を事前に共有しておく
  • 共有持分の取り扱いに慣れた業者へ依頼する
  • 複数の査定を比較して条件を見極める

また、共有持分の売却では「どこに売るか」だけでなく、売却前の状況整理によって価格が変わる点も見落とせません。実務上も、事前に共有者との関係性や状況を整理している案件ほど、査定額が伸びやすい傾向があります。

共有持分は一般的な不動産と比べて価格の考え方が複雑ですが、仕組みを理解したうえで進めれば、必要以上に安く売却してしまうリスクは避けられます。

まずはご自身の状況がどのケースに当てはまるのかを整理し、複数の選択肢を比較しながら進めていくことが重要です。

共有持分に関するコラムはこちら

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    更新日 : 2025年11月07日
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