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共有持分の売却は同意なしでも可能!売却方法や共有状態から抜け出す方法を解説

共有持分の売却は同意なしでも可能!売却方法や共有状態から抜け出す方法を解説

「共有名義の不動産を売却したいのに、共有者と話がまとまらない」このような状況だと「この不動産、もうどうにもならないのでは」と不安になる方も多いはずです。

結論からいうと、共有名義の不動産であっても「自分の共有持分のみ」であれば、他の共有者の同意なしに売却できます。不動産全体を売るには共有者全員の同意が必要ですが、持分は各共有者の財産として扱われるため、単独で処分すること自体は法律上認められています。

ただし、他の共有者に説明もなく自己持分を売却すると、売却後に思わぬ火種になり得るのが実情です。買主が第三者の場合、残された共有者にとっては「知らない人が突然共有者になった」という状態になり、そこからトラブルが発生するケースもあります。

自己持分を他の共有者に黙って売却した場合に起こり得るリスクは以下のとおりです。

  • 「勝手に売った」と責められ、売主に怒りの矛先が向く
  • 新しい共有者(第三者)から、占有者に対して持分割合に応じた賃料請求をされる
  • 新しい共有者が残った共有者に対して持分の買取や売却を強く迫る
  • 新しい共有者が残った共有者に対して共有物分割請求を起こし、調停・訴訟に発展する
  • 共有者間の感情的対立が深まり、話し合いによる解決が不可能になる

このように黙って売ること自体は可能でも、あなたと元共有者たちとの関係がこれからも続くのであれば、トラブル回避の観点ではおすすめしません。可能であれば、最低限「持分の売却を検討している」ことを事前に通告し、まずは共有者に買い取りの意思があるかを確認しておくほうが無難です。

また、仮に売却できる状況になったとしても、共有持分はそもそも単独で自由に活用できないため、一般の買主からの需要が低いのが現実です。通常の仲介(一般市場で買主を探す方法)では買い手が見つかりにくく、売却が長期化することも少なくありません。

そのため、共有者に買い取ってもらえない場合は、共有持分を扱い慣れている専門の買取業者へ売却するのが無難な選択肢になります。仲介のように「いつ売れるか分からない」状態を抱えにくく、共有者との調整が必要な場面も含めて、手続きを前に進めやすいからです。

この記事では、共有持分を同意なしで売却する方法について、共有者との話し合いを進めるコツや専門業者へ売却する際の流れ、注意点までを整理して解説します。

なるべくトラブルを防ぎたいのであれば、不動産に強い弁護士と連携した買取業者に相談するのがおすすめです。法的根拠に基づいて共有者との調整を進め、必要な書面作成や登記手続きまで含めて実務を代行してくれるため、感情的な衝突を避けつつ、共有関係の整理を現実的に進めやすくなります。

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共有持分の売却は共有者の同意なしでも可能

共有名義の不動産であっても、自分の共有持分のみの売却であれば、他の共有者の同意なしでも可能です。共有名義の不動産全体は共有者全員の共同財産ですが、個々の共有持分はあくまで各共有者個人に帰属する独立した財産として扱われます。

個人の財産は、民法第206条の「所有権の自由処分の原則」に基づき、所有者の意思のみで自由に処分できます。

第二百六条
所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。
引用元 民法 | e-Gov 法令検索

共有持分を売却した後は、共有持分の買主が新たな共有者となり、売主は共有関係から完全に解消されることになります。「他の共有者の関係が修復不可能なほど悪化している」「一刻も早く共有関係から抜け出したい」などの事情がある場合は、共有持分の売却による共有関係の解消も視野に入れておくといいでしょう。

共有名義不動産全体の売却は共有者全員の同意が必要

共有名義の不動産全体を売却する場合は、共有者全員から同意を得なければなりません。共有名義の不動産全体の売却は、民法上の「変更行為」に該当します。民法第251条では、他の共有者の同意を得なければ、著しい変更を伴わないものを除き、共有物について変更を加えることができないと定めています。

第二百五十一条
各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。
引用元 民法 | e-Gov 法令検索

以下のようなケースに該当する場合、法的な同意要件を満たせないため、不動産全体の売却手続きが進められません。

  • 一部の共有者が売却に反対している
  • 音信不通・行方不明で、意思確認ができない共有者がいる
  • 売却自体には同意しているものの、価格や時期などの売却条件で揉めている
  • 共有者の中に意思能力を欠いている者(認知症患者や知的・精神障害者など)や未成年者がいる

実際にご相談いただくケースでは、「売却自体は全員が賛成しているが、価格で折り合わず進まない」といった事例は少なくありません。条件面の不一致も同意がないのと同じ扱いになり、実質的に売却が止まってしまうのです。

そのため、ここでいう共有者全員の同意とは、単に口頭で賛成しているという状態では足りません。具体的には、以下の要件を満たしている必要があります。

  • 共有者全員が不動産全体の売却に賛成の意思を示していること
  • 共有者全員が売却条件(価格や時期など)に合意していること
  • 共有者全員が売却活動に協力的であること
  • 共有者全員の意思表示や契約行為が法的に有効なものであること

実務上は、売買契約や所有権移転登記の場面で共有者全員の実印押印と印鑑証明書の提出が求められます。そのため、誰か1人でも非協力的であれば、契約書の締結や決済に進めません。不動産会社としても、書類が揃わない状態では取引を成立させることができないのが現実です。

また、共有者の中に行方不明者がいて同意が得られない場合は、「不在者財産管理人」「失踪宣告」といった法的な手続きを踏む必要があります。

共有者の中に意思能力を欠いている者や未成年者がいる場合は、共有者全員の積極的な同意や協力が得られる状況であっても、そのままの状態では売却手続きを進められません。

その場合は成年後見人、未成年者の場合は親権者や特別代理人(親権者と利益相反になる場合)からの同意を得たうえで売却手続きを進める必要があります。

このように、共有不動産全体の売却は法律上の要件だけでなく、実務上のハードルも高いのが実情です。買取の現場でも、「全体売却を目指したが合意形成ができず、最終的に持分のみの売却へ方針転換した」というケースは珍しくありません。

共有者全員の足並みが揃わない限り、不動産全体の売却は進められないのが現実といえるでしょう。

他の共有者の印鑑や署名を無断で使って売却すると契約無効や刑事・民事責任のリスクがある

代理権のない者が本人の代理人としてした契約は、本人が追認しない限り本人に効力を生じないと民法第113条で定められています。

第百十三条 代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。
引用元 民法 | e-Gov 法令検索

つまり、勝手に他人名義で売却を進めても、後から本人に否認されれば、取引そのものが成立しないことになるのです。さらに、無断で印鑑や署名を用いて売買契約書や委任状などを作成した場合、内容次第で有印私文書偽造罪や偽造私文書行使罪に該当する可能性があります。

刑法第159条は、他人の印章や署名を使用して、権利義務または事実証明に関する文書を偽造した場合の処罰を定めています。

第百五十九条 行使の目的で、次の各号に掲げるいずれかの行為をした者は、三月以上五年以下の拘禁刑に処する。
一 他人の印章等を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書等を偽造し、又は偽造した他人の印章等を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書等を偽造する行為
引用元 刑法 | e-Gov 法令検索

売買契約書や委任状は権利義務に関する文書にあたるため、不正に作成・使用すれば刑事責任に発展し得ます。また、相手方や登記手続担当者を欺いて売却代金の支払いや名義変更を進めたような場合には、詐欺罪に該当する可能性も否定できません。

加えて、預かっていた印鑑や権利証、売却代金などを自己のために流用したケースでは、保管状況や権限関係によって横領罪などが該当する可能性もあります。もっとも、どの犯罪が成立するかは、印鑑をどう入手したのか、何をどこまで使ったのか、誰をどのように欺いたのかといった具体的事情で変わります。

また、民事でも無断売却によって他の共有者や買主に損害が発生すれば、損害賠償請求を受けるリスクがあります。たとえば、無権代理で契約が無効になったことで買主に損害が出た場合には、無権代理人の責任が問題になりますし、他の共有者との関係でも、勝手に処分しようとしたこと自体が大きな紛争の火種になり得ます。

実務上も、単に「売れなくなる」だけでなく、契約解消・返金・訴訟対応まで発展して、かえって問題が深刻化するケースも少なくありません。このように、共有不動産全体の売却で共有者全員の同意が必要なのは、共有者の権利を守るためであると同時に、売主自身が重大な法的責任を負わないようにするためでもあります。

たとえ家族間で印鑑を管理していたとしても、「話せば分かると思って先に進める」「後で承諾を取ればよい」といった対応は非常に危険です。不動産全体を売却する場合は、必ず共有者全員の明確な同意を得たうえで手続きを進めてください。

共有持分の売却の同意が得られなくても事前の告知は大切:同意なしで売却したら何が起こる?

法律上、自分の共有持分は他の共有者の同意なしでも売却できます。とはいえ、実務の現場では「売却できるかどうか」と「トラブルにならないかどうか」は別問題です。

事前告知をせずに第三者に共有持分を売却し、他の共有者が後からその事実を知った場合、「何の相談もなく勝手に売却された」「裏切られた」といった感情的なわだかまりが残りやすいのが実情です。

とくに親族間の共有では、法律論よりも感情面の影響が大きく、関係が一気に悪化するケースも少なくありません。

将来的なトラブルを未然に防ぐという観点から見れば、可能であれば事前に一言告知しておくのが現実的です。また、共有持分を不動産会社や投資家などの見知らぬ第三者に売却した場合、その第三者が残された共有者に対して以下のような手段を講じてくる可能性があります。

  • 居住者に対し、持分割合に応じた賃料を請求する
  • 残された共有者に対し、共有持分の売却を打診する
  • 敷地に無断で立ち入る
  • 共有物分割請求訴訟を起こす

これらはいずれも法律上違法ではありません。ただし、残された共有者にとっては突然見知らぬ第三者が介入し、請求や交渉をしてくるのは大きな心理的負担になるのが実情です。

もし、第三者の介入によって残された共有者に何らかの負担が生じた場合、その原因を作った売主に対して怒りの矛先が向けられ、結果として人間関係の悪化や泥沼の争いを招く恐れがあります。

特に、実家など思い入れのある物件の場合は、経済的合理性よりも感情が優先されやすく、心理的反発が強まる傾向があります。実務上も、相続物件の持分売却では感情面が結果を左右することが多い傾向にあります。

他の共有者に告知する際には、「売ることに決めた」と一方的に突きつけるのではなく、「売却を検討しているけれど、売却しても良いか」「あなたは共有持分を買い取る意思はあるか」と相談する形でアプローチすることで、相手からの反発を招きにくく、建設的な議論を進めやすくなります。

経験上、この一言があるかどうかで、その後の関係性や交渉の進み方が大きく変わるケースもありました。

もっとも、事前の告知はあくまで円満に進めるための配慮であり、法的義務ではありません。すでに関係が破綻している場合や、早急な資金化が必要な事情がある場合には、無理に接触を図ることがかえってリスクになることもあります。

重要なのは、「法的に可能か」だけで判断するのではなく、売却後にどのような影響が生じるかまで見据えたうえで行動することです。それが、結果的に不要な争いを避ける近道になるといえるでしょう。

共有持分を他の共有者に同意なしで売却したいなら専門業者への売却が妥当

共有持分は不動産全体の一部にすぎず、単独で不動産の活用や処分ができないため、一般の市場では買い手がほぼ現れないのが実情です。そのため、共有持分の売却先は実質的に「共有持分専門の買取業者」と「他の共有者」の2択に絞られます。

もし、他の共有者から同意を得られない場合は、専門業者への売却が最も現実的で妥当な選択肢となります。共有持分を専門業者に売却するメリットとしては、主に以下の5つが挙げられます。

  • 共有者と話さなくても売却できる
  • 仲介手数料がかからない
  • 数日〜1ヵ月程度で売却できる
  • 契約不適合責任が免責される
  • 売却が難しい共有持分でも買取が期待できる

ここからは、それぞれのメリットについて1つずつ詳しく解説していきます。

共有者と話さなくても売却できる

共有持分の売却を専門の買取業者に依頼すれば、他の共有者と直接やり取りをせずに売却手続きを進めることが可能です。共有持分の買取では、売主と業者との間で売買契約を締結し、所有権移転登記まで完了すれば手続きは完結します。

また、私含め買取業者は、他の共有者への通知や話し合い、権利調整なども代行しています。そのため、他の共有者の署名・押印は不要であり、売主が自ら連絡や交渉を行う必要はありません。売主は売却手続きが完了した時点で他の共有者との関係を完全に断ち切ることが可能です。

特に、以下のようなケースでは、「もうこれ以上関わりたくない」という理由でご相談いただくことも少なくありません。

  • 共有者と長年対立している
  • 相続をきっかけに関係が悪化している
  • 連絡を取ること自体が精神的負担になっている

他の共有者との関係が悪化している場合や、他の共有者とのやり取りが面倒な場合でも、専門業者に売却すれば精神的なストレスを最小限に抑えつつ、スムーズに共有持分を手放せます。実務上も、「話し合いができない」という状況下では、現実的な解決手段として選ばれることが多い方法といえるでしょう。

仲介手数料がかからない

専門業者への売却では、仲介での売却とは異なり、仲介手数料は一切かかりません。仲介手数料とは、仲介を依頼した不動産会社が探してきた買主との売買が成立した際、売主と買主が不動産会社に対して支払う成功報酬です。

仲介手数料は、宅地建物取引業法第46条に基づき、売買価格に応じて段階的に上限額が定められています。

売買価格(税抜) 仲介手数料の上限額
200万円以下 「売買価格(税抜)×5%」+消費税
200万円超、400万円以下 「売買価格(税抜)×4%+2万円」+消費税
400万円超 「売買価格(税抜)×3%+6万円」+消費税

なお、2024年7月1日に宅地建物取引業者の報酬規定が改正されたことにより、800万円以下の不動産売買における仲介手数料の上限は最大30万円(税抜)となっています。

もし、仲介で共有持分を1,000万円で売却した場合、仲介手数料として396,000円(税込)の支出が伴います。

「1,000万円×3%+6万円」+36,000円(消費税)=396,000円

実務上、仲介手数料のコストは決して小さくありません。とくに共有持分は売却価格自体が抑えられやすいため、手数料負担の割合が重く感じられやすいのが実情です。

一方、買取の場合は不動産会社が自ら買主となるため、仲介業務が必要なく、売主も仲介手数料を支払う必要はありません。仲介手数料が不要な分、売却に伴う費用を大幅に削減できるうえ、最終的に手元に残る金額の見通しが立てやすくなります。

数日〜1ヵ月程度で売却できる

専門業者に売却する場合は、最短数日~1ヶ月程度で売却を成立させることも可能です。仲介の場合は、一般市場で買主を探さなければならないため、広告掲載や内覧対応、条件調整などに時間を要します。

とくに共有持分の場合は、権利関係が複雑で単独利用ができないという性質上、一般市場での需要は極めて限定的です。経験上、「半年以上募集しても問い合わせがほとんど入らなかった」というケースも珍しくありません。そのため、仲介では売れるかどうか分からない期間が長期化しやすいのが現実です。

一方、買取では専門業者が買主となるため、広告掲載や内覧対応を行う必要がない分、売却手続きもスピーディーに進みます。また、専門業者への売却では現状のまま買取に対応するケースが多いのも実務上のポイントです。

共有持分の場合、室内のリフォームや片付けを行っても売却価格に大きく反映されにくいため、手を加えずに売却するのが基本です。実際に、「相続後すぐに整理したい」「固定資産税の負担が始まる前に手放したい」といった事情から、スピードを重視されるご相談は少なくありません。売却までにさまざまなプロセスが必要な仲介に比べると、共有持分に向いている売却方法といえます。

仲介のようにいつ売れるか分からない状態を抱え続けるのではなく、出口が見える形で共有関係を解消できる点は、買取ならではのメリットといえるでしょう。

契約不適合責任が免責される

専門業者の買取では、売主の契約不適合責任が免責される条件で売買契約を締結するケースが多いのが基本です。契約不適合責任とは、契約に基づいて引き渡された目的物の品質や数量などが契約内容と一致しない場合に、売主が買主に対して負う責任を指します。

不動産売買では、引き渡し後に次のような不具合が発覚することも少なくありません。

  • 雨漏り
  • シロアリ被害
  • 給排水管の故障
  • 構造部分の劣化

もし、仲介で売却した後にこれらの隠れた瑕疵が発覚した場合、買主から契約不適合責任を問われ、損害賠償や修繕費用などを請求される可能性があります。

一方、専門業者の場合はリフォームやリノベーションを前提としており、隠れた瑕疵のリスクも織り込んだうえで買取を行えるため、売主の契約不適合責任を免責とする条件で売買を成立させることが可能です。

契約不適合責任が免責となっていれば、売却後に万が一隠れた瑕疵が見つかったとしても、原則として修繕や賠償を求められることはありません。現場でも、「売った後の責任を負いたくない」という不安から買取を選択される方は少なくありません。

とくに築年数が経過した物件や、長期間空き家になっている物件では、この点を重視される傾向があります。ただし、買取を選択したからといって、売主の契約不適合責任が自動的に免責となるわけではありません。

免責の可否や具体的な条件は業者によって異なるため、契約前に書面で内容をしっかりと把握しておくことが重要です。また、契約不適合責任が免責となる契約を結んでも、売主が事前に知っておきながらあえて告げなかった瑕疵については免責の対象外となります。

物件内での人の死や目に見える不具合など、契約時に既に把握している瑕疵については正直に伝えるようにしましょう。

売却が難しい共有持分でも買取が期待できる

専門業者への売却では、一般的には売却が難しい共有持分の買取も期待できます。共有持分のみを購入しても、不動産を自由に活用・売却できないうえ、将来的にさまざまなトラブルが生じるリスクも伴うため、あえて共有持分のみを購入しようと思う一般の買い手はほぼいません。

特に仲介市場での主な買い手は、居住用不動産を探している個人です。経験上、仲介で共有持分を売り出しても内覧や具体的な交渉に至らないケースが多く、「長期間掲載したが成約に至らなかった」というご相談も少なくありません。

一方、専門の買取業者は居住目的で購入するわけではありません。取得後に共有者との交渉や権利整理を行い、最終的な再販や活用を見据えて収益化を図ることを前提に価格を算定しています。

専門業者は、共有不動産に関する専門知識やノウハウを豊富に備えています。そのため、権利調整の手間やリスクも織り込んだうえで買取判断を行うことが可能です。私自身も、「共有者と対立している」「連絡が取れない共有者がいる」「すでにトラブルになっている」といった不動産でも、買取に至ったケースは多くあります。

もちろん、すべての共有持分が必ず買い取られるわけではありません。しかし、仲介では出口が見えにくくても、専門業者であれば現実的な選択肢になり得るという点は、実務上大きな違いといえるでしょう。

共有持分を買取専門業者に売却する流れ

共有持分の売却は、共有名義の不動産全体の売却とは進め方や注意点、必要書類が異なります。共有持分を買取専門業者に売却する場合の一般的な流れは以下の通りです。

  1. 共有持分の査定を依頼する
  2. 売買契約を締結する
  3. 所有権移転登記を行う
  4. 確定申告を行う

ここからは、それぞれのステップについて順番に解説していきます。

共有持分の査定を依頼する

まずは、共有持分の査定を依頼します。共有持分は不動産全体とは異なり「自己の持分のみ」を前提に評価する必要があるため、共有持分の買取を専門に扱う業者へ査定を依頼するのが基本です。

通常の不動産査定と同じ感覚で評価してしまうと、実際の需要とかけ離れた金額になりやすいです。共有持分は単独利用ができないため、流動性や権利調整リスクを見込んだ評価が必要になります。

そのため、共有案件に慣れていない会社では正確な査定が難しいケースもあります。査定では、主に次のような点が確認されます。

  • 不動産全体の所在地・規模・用途
  • 売却する共有持分の割合
  • 他の共有者の人数や関係性
  • 建物の状態や権利関係の有無

私自身も、単に「持分割合×市場価格」で機械的に算出することはありません。共有者の構成や関係性、将来的な分割可能性などを総合的に判断したうえで、買取価格を提示するのが実務の実態です。

これらの情報をもとに、共有持分としての具体的な買取価格が算出されます。なお、査定の依頼自体に他の共有者の同意や立ち会いは不要です。共有持分はあくまでご自身の財産であるため、自分の判断で査定を依頼できます。

実際の相談現場では、「まずはどのくらいで売れるのか知りたい」という段階で査定を依頼される方が多く、査定を受けたからといって必ず売却しなければならないわけではありません。現実的な価格水準を把握することが、今後の方針を決める第一歩になります。

売買契約を締結する

査定金額や条件に納得できた場合は、買取業者と売買契約を締結します。共有持分の売買では、「どの持分を、いくらで、どのように引き渡すのか」を契約書で明確にしておくことが重要です。

実務上、共有持分は「対象範囲の特定」が非常に重要になります。登記簿上の持分割合や不動産の表示に誤りがあると、後の登記手続きに支障が出るため、契約前に権利関係を細かく確認するのが基本です。

契約時には、主に次の点が確認されます。

  • 売却する共有持分の割合
  • 売買代金の金額と支払時期
  • 引き渡しおよび所有権移転登記の方法
  • 契約不適合責任の有無や範囲

共有持分の売買契約は、売却する持分のみを対象とするため、他の共有者の署名や押印は不要です。そのため、売主本人のみで契約手続きを進めることが可能です。

私自身も、契約から決済・登記までを一括して段取りするケースが多く、売主が複雑な手続きを個別に行う必要はほとんどありません。経験上、共有持分の契約は通常の仲介売買よりもスムーズに進むことが多いのが実情です。

なお、売買契約書には契約金額に応じた印紙税がかかります。ただし、電子契約(電子署名)の場合は、原則として印紙税は不要です。

契約方法や書類の形式によって取り扱いが異なることもあるため、事前に確認しておくとよいでしょう。

所有権移転登記を行う

売買契約の締結後は、共有持分について所有権移転登記を行います。実務上は、「決済と同時に登記申請を行う」のが基本的な流れです。

所有権移転登記の際、売主が準備する主な書類は次のとおりです。

必要書類 概要
登記識別情報または登記済権利証 自分の共有持分に関するもの
固定資産税納付書または評価証明書 毎年4月に不動産が所在する役所から送られてくる
実印 認印は不可
印鑑証明書 発行から3ヵ月以内のもの
本人確認書類 運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど
土地測量図および境界確認書 土地の場合
委任状 司法書士に依頼する場合

共有持分の登記であっても、原則として通常の不動産売買と同様の書類が必要になります。登記手続きは、買取業者が指定する司法書士が代行するケースが大半です。契約締結から決済、登記申請までを一連の流れとして進めるのが基本のため、経験上は売主が法務局へ出向くことはほとんどありません。

登記にかかる登録免許税や司法書士報酬については、実務上は買主である専門業者が負担するのが原則です。ただし、契約内容によって異なる場合もあるため、事前に費用負担の区分を確認しておきましょう。

登記申請から名義変更完了までは、通常1〜2週間程度が目安です。名義変更が完了すれば、売主は法的に共有者ではなくなり、固定資産税の負担や管理責任といった共有者としての義務からも解放されます。

実務の現場でも、「名義が正式に外れたことを確認して初めて安心できた」という声は少なくありません。登記完了までをもって、共有関係からの離脱が完結すると考えておくとよいでしょう。

確定申告を行う

共有持分の売却によって譲渡所得(売却益)が生じた場合は、売却した年の翌年に確定申告を行い、譲渡所得税を申告・納税する必要があります。

共有持分のみの売却であっても、税務上は通常の不動産売却と同じ扱いです。実務の現場でも、「持分だけだから申告は不要だと思っていた」という誤解は少なくありませんが、税務上売却益は譲渡所得税の対象となります。

譲渡所得額は、以下の計算式で求められます。

共有持分の売却価格(共有持分の取得費-売却に直接要した費用)

・取得費:購入代金や相続時の取得費など
・譲渡費用:仲介手数料、登記費用、測量費など売却に直接要した費用

実務上、相続で取得した物件の場合、「取得費が分からない」というケースも多く見受けられます。その場合は概算取得費(売却価格の5%)を用いる方法もありますが、税額が大きく変わる可能性があるため、なるべく正確な金額を確認することをおすすめします。

実際に納める譲渡所得税額は、譲渡所得額に所定の税率を乗じることで算出できます。譲渡所得税の税率は、売却した年の1月1日時点での所有期間によって以下のように変わります

所有期間(売却した年の1月1日時点) 税率
5年以下 39.63%(所得税・復興特別所得税:30.63%、住民税:9%)
5年超 20.315%(所得税・復興特別所得税:15.315%、住民税:5%)

これらをもとに譲渡所得を計算し、譲渡所得税・住民税がかかるかどうかと、課税される場合の税額が確定します。所有期間が5年を超えるかどうかで税率が大きく変わるため、実務上も「売却時期を数か月ずらすかどうか」の判断が分かれやすいです。

確定申告は、売却した年の翌年2月16日から3月15日までの間に、住所地を管轄する税務署で行いますが、現在はe-Taxによるオンライン申告も一般的です。なお、譲渡所得が発生しなかった場合でも、3,000万円特別控除などの特例を利用する際には申告が必要です。

実務では、「税金がかからないと思って申告しなかった」というケースも見受けられますが、その場合は特例が適用されないため、特例を受けたい場合も必ず申告しましょう。

譲渡所得税の申告を怠ると、延滞税や無申告加算税などの対象になります。税額の有無や申告の要否で判断に迷う場合は、不動産税務に詳しい税理士へ相談してみるのがおすすめです。税務処理まで完了してこそ、売却手続きが本当に完結するといえるでしょう。

共有持分売却後のトラブルを避けたければ弁護士と連携した買取専門業者の利用を検討する

共有持分を売却した後のトラブルを避けたい場合は、弁護士と連携した買取専門業者の利用を検討してみましょう。実務の現場では、共有持分の買取業者の対応方針によって、その後の展開が大きく変わるのが実情です。

なかには、売却後に残された共有者に対して強引な手法を用いる業者も存在します。安値で持分の売却を即決するように迫ってきたり、「即決しなければ共有持分請求訴訟を起こす」といった交渉を行ったりする業者が存在するのも事実です。

もちろん、共有物分割請求そのものは法律で認められた正当な権利です。ただし、進め方や伝え方によっては、残された共有者に強い心理的圧迫を与えてしまいます。経験上、この段階で感情的対立が一気に深まり、「なぜこんな業者に売ったのか」と売主に矛先が向くケースも少なくありません。

結果として、売主はすでに共有関係から離脱しているにもかかわらず、親族関係の悪化や長期的なしこりを抱えることになるのが実務で起こり得る現実です。

一方、弁護士と連携した買取専門業者は、法律のプロである弁護士が間に入って交渉や手続きを行うため、強引な手法を用いることはありません。残された共有者に対しては冷静かつ誠実に交渉を行い、万が一交渉が上手くいかなかった場合でも、弁護士が法的な窓口となって「共有物分割請求」などの公的な手続きに則って整理を進めていきます。

残された共有者の利益や事情も考慮しつつ、法的なエビデンスに基づいて解決を目指していくため、残された共有者の事情や立場にも一定の配慮をしながら解決を図ることが可能です。

共有持分の売却は、「売主自身が共有関係から離脱すれば終わり」という単純な問題ではありません。経験上、「価格」だけで業者を選ぶと、その後のトラブル対応で後悔するケースもあるのが実情です。

売主自身の利益だけでなく、残される共有者の平穏な生活や将来的な親族関係まで視野に入れた出口戦略を立てることが、将来的な親族間のトラブルを回避するための適切な対応となります。

特定の共有者が同意するなら持分を共有者に売却する選択肢もある

共有持分の買取に前向きな共有者がいれば、その共有者に売却するのも1つの選択肢です。前述のとおり、共有持分は不動産の利用制限やトラブルのリスクを抱えているため、一般市場での需要は極めて低く、売却相場は「不動産全体の市場価格×持分割合」の価格を大幅に下回るのが基本です。

一方、既存の共有者にとっては、買い取ることで以下のような明確なメリットがあります。

  • 持分割合が増えることで、共有物の管理・変更における影響力が強まる
  • 最終的に100%取得できれば単独所有となる
  • 将来的な共有物分割請求リスクを未然に防げる

そのため、共有持分の買い手が他の共有者であれば、専門業者などの第三者へ売却する場合よりも、高値での売却が期待できる傾向があります。実務の現場でも関係が比較的良好な共有者がいるケースでは、まず内部での買取交渉から行うのが基本です。

経験上、共有者同士の売買では「第三者に渡るくらいなら自分が取得したい」という心理が働くケースも多く、第三者よりは合理的な価格で合意しやすいのが実情です。

とくに、将来的にその不動産を利用したいと考えている共有者がいる場合は、内部売却が最も円満な解決につながることもあります。ただし、この方法は他の共有者に買取の意思があり、かつ共有持分を買い取れるだけの資金力があることが前提となります。

実際は、資金面の準備ができず、最終的に専門業者への売却へ切り替わるケースも少なくありません。そのため、まずは共有者に打診しつつ、同時並行で専門業者の査定も依頼しておくという進め方が、現実的な判断材料を揃えるうえで有効といえるでしょう。

親しい間柄の売買でも不動産会社に仲介を依頼する

親子や夫婦などの親しい間柄で共有持分を売買する場合でも、個人間で直接売買せず、不動産会社に仲介を依頼するようにしましょう。実務の現場では、「身内だから大丈夫だろう」と簡単な合意書だけで進めてしまい、後からトラブルになるケースが少なくありません。

共有持分の売買であっても、不動産取引である以上、以下のような専門的な確認事項が数多くあります。

  • 価格設定の妥当性
  • 売買契約書の条項整備
  • 登記手続き

個人間で直接売買する場合、上記の取り決めや売買契約書の作成など、煩雑な手続きをすべて自力で行わなければなりません。しかし、不動産取引に関する専門知識や実務経験がないと、契約条項の不備や記載ミス、重大な見落としを未然に防ぐのは極めて困難です。

また、当事者同士だけで価格交渉を行うと、感情や立場の違いが前面に出やすく、冷静な判断が難しくなるのが実情です。第三者がいない場では、「言った・言わない」の争いに発展することもあります。

さらに、親しい間柄ゆえに相場を無視した低価格で取引したことで「みなし贈与」と判定され、多額の税負担を強いられるリスクもあります。実務でも、親族間売買が原因で想定外の贈与税が課税されたという相談は一定数あります。価格設定には客観的な根拠が必要です。

このように、個人間の取引は後に重大な法的トラブルや感情的な対立を招くリスクが極めて高いです。不動産会社を仲介に入れることで、法律に基づいた以下のサポートが受けられます。

  • 市場価格に基づく査定
  • 法に基づいた契約書の作成
  • 決済・登記手続きの段取り

結果として、将来的な紛争リスクを抑えやすくなるのです。特に親しい間柄では、共有持分の売買トラブルをきっかけに人間関係が修復不可能なほど悪化し、将来の生活や相続にまで禍根を残すことになりかねません。

そのため、将来的なトラブルを未然に防ぎつつ、スムーズに取引を進めるためにも、プロの不動産会社を介して取引を進めるのが賢明です。

共有持分を共有者に売却したいときに同意を得るコツ

共有持分を他の共有者に売却する場合、法律上の可否よりも、共有者との話し合いをどう進めるかが結果を大きく左右します。

実務では「話し合いの途中で感情的に対立してしまった」「条件の説明が不十分で不信感を持たれてしまった」といった理由から、売却そのものが頓挫してしまうケースも少なくありません。

そのため、共有者に持分を買い取ってもらうことを検討する際は、最初の伝え方や選択肢の示し方を工夫することが重要になります。一方的な通告ではなく、相談ベースで話を切り出すほうが、合意形成につながりやすい傾向があります。

共有者とのトラブルを避け、話し合いを前向きに進めるためには、次のようなポイントを意識すると効果的です。

  • 不動産の現状を整理して丁寧に説明する
  • 価格設定を工夫する
  • 弁護士や不動産会社など第三者を交えて話す

経験上も、この3点を押さえているケースは比較的スムーズにまとまりやすいです。以下では、共有者の理解を得やすくするための具体的な工夫について、順番に解説します。

不動産の現状を整理して丁寧に説明する

共有者の理解を得るためには、感情的な理由を先に伝えるのではなく、不動産の現状を客観的に整理したうえで説明することが重要です。経験上、最初に事実関係が整理されていないと「結局なにが問題なのか分からない」という状態になり、話し合いが感情論に寄って頓挫しやすいのが実情です。

具体的には、次のような情報を事前にまとめておくと、共有者も状況を把握しやすくなります。

  • 登記簿謄本に記載された不動産の内容
  • 共有者全員の持分割合
  • 現在の利用状況や管理状況

これらを書面や資料として共有しながら話を進めることで「誰が・どの程度の権利を持っているのか」を整理して伝えやすくなります。また、現状の課題についても、冷静に理解してもらいやすくなるでしょう。

実際に、口頭だけで説明すると認識のズレが生じやすく、資料化して共有する方がスムーズに進みやすい傾向です。

そのうえで「管理の負担が大きい」「将来的なトラブルを避けたい」「資金が必要になった」といった、売却を検討するに至った事情を丁寧に説明すると、理解を得やすくなります。

あわせて、売却によって共有者側にも、どのようなメリットがあるのかを具体的に伝えましょう。たとえば「維持費や固定資産税の負担から解放される」ことや「売却代金を現金として分配できる」点などを示すことで、納得感を得やすくなります。現場でも、相手側のメリットが見えない提案は拒否されやすいのが実情です。

なお、共有者から売却について理解や同意が得られた場合は、合意内容を必ず書面に残しておくことが重要です。口頭だけの合意では、後から認識の違いが生じるおそれがあるためです。

書面には、次のような内容を明記し、共有者全員の署名・押印をしておくとよいでしょう。

  • 対象となる不動産の所在地・内容
  • 共有者ごとの持分割合
  • 売却価格や代金の分配方法
  • 合意日
  • 売却手続きを代表して進める共有者や代理人(必要な場合)

状況によっては、合意書や委任状の作成を弁護士に依頼すると、将来的なトラブルを防ぎやすくなります。

価格設定を工夫する

共有者に自分の持分を売却する際は、価格設定の仕方が同意を得られるかどうかを左右する重要な要素になります。実務でも、価格が原因で話し合いが止まるケースは非常に多く、金額の提示方法ひとつで交渉の空気が変わるのが実情です。

共有者側から見ると、「なぜその金額なのか」という根拠が見えないと、不信感を持たれやすくなります。とくに親族間では、金額が評価のように受け止められ、感情的な対立に発展するケースも少なくありません。

そのため、市場相場とかけ離れない範囲で、相場よりやや低めの価格を提示することが有効です。経験上、専門業者への買取価格と、相場に基づく内部売却価格を比較しながら提示すると、納得感が高まりやすい傾向があります。

「外部に売るとこの価格になるが、内部であればこの条件でどうか」という提示の仕方は、合意形成につながりやすい方法のひとつです。

一方で、著しく低い価格で売却すると、前述した「みなし贈与」と判断されるおそれがあります。その場合、売却ではなく贈与とみなされ、後から税務署の指摘を受けて贈与税が課されるリスクがある点には注意が必要です。

価格を調整する際は、不動産会社に査定を依頼し、市場相場や評価額を確認したうえで、適正価格の範囲内で設定することが重要です。客観的な根拠を示しながら価格を提示すれば、共有者にも説明しやすく、不要な誤解やトラブルを防ぎやすくなります。

弁護士や不動産会社など第三者を交えて話す

共有者同士だけで売却の話を進めようとすると、感情的な対立から話し合いが停滞してしまうケースも少なくありません。実務でも、「内容よりも感情の問題で前に進まない」という相談は非常に多いのが実情です。

そのような場合は、弁護士や不動産会社などの第三者を交えて話を進めることが有効です。第三者が入るだけで、議論が「感情」から「条件整理」へと切り替わりやすくなります。

たとえば弁護士に相談すれば、売却に関する合意内容の整理や書面化、共有物分割請求を見据えた対応など、法的トラブルを防ぐための実務的なサポートを受けられます。

共有者間の関係が悪化している場合や、将来的な紛争を避けたいときには、早い段階で弁護士を入れた方が結果的にスムーズに進むことも多いのが経験上の印象です。

一方、不動産会社(とくに共有持分の取扱いに慣れた専門業者)に相談すれば、市場相場や査定結果をもとに、価格や売却条件について客観的な説明を受けられます。

当事者同士では伝えにくい内容も、第三者の立場から説明してもらうことで、共有者の納得を得やすくなるケースもあるでしょう。

また、共有者の同意がどうしても得られない場合には、共有持分の買取という代替案を提示できるのも専門業者の強みです。売却の選択肢を1つに限定せず、複数の解決策を示すことで、話し合いが前に進みやすくなるでしょう。

専門家が中立的な立場で関与することで、感情論に偏らない話し合いが可能となり、共有者全員が納得しやすい話し合いの場を作りやすくなります。実務の感覚としても、「第三者が入った途端に話が整理された」というケースは珍しくありません。

共有持分の問題は当事者だけで抱え込まず、早い段階で専門家を交えることが、円満解決への近道といえるでしょう。

共有持分の売却以外に共有状態から抜け出す方法

共有持分を売却したくても、共有者の同意が得られず、売却という選択肢自体が難しくなるケースは少なくありません。もっとも、売却ができない場合でも、法律上は共有状態から抜け出す方法がいくつかあります。

「共有持分を売却できそうにない」「できれば売却や裁判をせずに共有状態を解消したい」と考えている場合は、以下の方法を検討してみましょう。

  • 自分の共有持分を放棄する
  • 共有持分を贈与する
  • 土地を分筆する
  • 共有物分割請求をする

以下で、それぞれの方法の特徴や注意点を詳しく解説します。

自分の共有持分を放棄する

自分の共有持分を放棄する

共有持分は、自分の意思で放棄することができ、共有状態から抜け出すことが可能です。持分放棄は「放棄します」と意思表示するだけで成立し、他の共有者の同意は不要です。

放棄された持分は、民法第255条により、他の共有者に帰属すると定められています。

なお、放棄自体は自分の意思で成立しますが、持分放棄に伴う「持分移転登記」には他の共有者の協力が必要です。持分移転登記とは、放棄により他の共有者に移転した権利を法的に記録する手続きです。

実務上は、登記が完了しなければ登記簿上は引き続き共有者のままです。そのため、固定資産税の納税通知が届いたり、管理責任を問われたりする可能性があります。経験上、「放棄したつもりだったが、登記が進まず何年も名義が残っていた」というケースもあります。

登記に応じてもらえない場合は「登記引取請求訴訟」を起こす必要があり、手間と費用がかかります。訴訟になると、弁護士費用のほかに数万〜十数万円の裁判費用が発生し、解決まで数ヵ月を要する場合もあります。そのため、放棄を検討する際は、あらかじめ他の共有者と調整しておくのが現実的です。

また、放棄によって特定の共有者の持分割合が増えるなど、経済的利益を受けたと判断される場合には、贈与税の対象とみなされる可能性があります。税務上の扱いはケースによって異なるため、事前に税理士など専門家へ確認しておくことをおすすめします。

共有持分を贈与する

共有持分の贈与

無償で共有持分を譲りたい相手がいれば、贈与によって共有状態を解消することも可能です。「無償で譲る」という点では持分放棄と似ていますが、持分放棄は他の共有者にしか効力が及ばないのに対し、贈与であれば第三者にも譲渡できます。

たとえば、家族や親族など特定の人に持分を譲りたい場合は、贈与が適しています。

ただし、贈与は契約行為であるため、相手の同意が必要です。相手が受け取りを拒否した場合は、共有状態を解消することはできません。持分放棄と異なり、一方的には完結しない点が実務上の大きな違いです。

また、不動産の贈与には所有権移転登記が必要で、登録免許税(評価額の2%)が課されます。実務上、「身内間だから税金はかからない」と誤解されているケースもありますが、不動産の贈与は税務署も把握しやすく、後から指摘を受けるリスクがあります。

贈与の金額や評価によっては贈与税が課税される可能性もあるため、税務上の確認も欠かせません。年間110万円を超える贈与は、贈与税の課税対象となります。

贈与は円満な名義整理として有効な方法ですが、費用や税負担まで含めて総合的に判断する必要があります。実務の感覚としても、「売却の方が結果的に合理的だった」というケースもあるため、他の選択肢と比較しながら慎重に検討することが大切です。

土地を分筆する

土地を分筆する

土地を共有している場合は、土地を分筆(ぶんぴつ)して区画を分け、共有状態の解消を目指す方法もあります。

たとえば、600㎡の土地をAが2/3、Bが1/3で共有しているなら、400㎡と200㎡に区画を分けるイメージです(実際の区画形状・接道等により異なります)。

分筆後、区画ごとに単独名義へ整理できれば、各自で売却・建て替えなどの意思決定をしやすくなる点がメリットです。ただし、分筆登記だけでは共有状態が残る場合もあるため、状況によっては共有物分割の協議や持分移転登記まで必要になります。

もっとも、分筆には負担やリスクも多く、現場では「理屈では可能だが、実行は難しい」という扱いになりがちです。主な注意点は次のとおりです。

  • 分筆の決定自体は持分価格の過半数で決められるが、測量や分筆登記の手続きでは共有者全員の協力が必要となる
  • 測量・境界確認では隣地所有者の立会いが必要となる場合が多く、手続きが煩雑になりやすい
  • 測量費や登記費用など、一般的に数十万円規模の費用がかかる場合がある
  • 区画が狭くなったり形状が悪くなったりすることで、利用価値や売却価格が下がる場合がある
  • 接道・形状・日当たり等により価値に偏りが生じ、不公平感や対立の原因になりやすい(代償金や地役権等の調整が必要になることもある)

また、分筆後の各区画が建築基準法第43条の「接道義務」を満たさない場合など、法令上の制限により建物の新築・建て替えができなくなるおそれもあります。実務上も、「分筆したら新築できなくなった」「売却しづらくなった」という結果になるリスクは無視できません。

このように、分筆は同意調整・費用負担・価値低下のリスクがセットで発生しやすく、共有状態の解消方法としては現実的にはハードルが高い選択肢といえます。

検討する場合は、他の共有者との協議に加えて、司法書士や土地家屋調査士など専門家に早めに相談し、分筆後の利用価値・法規制・費用感まで含めて見通しを立てたうえで判断するのがおすすめです。

共有物分割請求をする

共有者同士の話し合いで共有状態を解消できない場合は「共有物分割請求」により、裁判所を通じて共有関係を解消する方法があります。共有物分割請求とは、共有状態にある不動産を法的に分け、共有関係そのものを解消するための手続きです。

民法第256条では、共有者は原則として誰でも、いつでも分割を請求できると定められています。また、協議が調わないときは、裁判所に共有物の分割を請求することが可能です(民法第258条)。

実務上も、共有者間の合意形成ができない場合の「出口」として共有物分割請求が選択されることはあります。ただし、裁判手続きである以上、時間・費用・精神的負担が大きく、当事者の関係がさらに悪化しやすいのが実情です。

そのため、現場ではまず共有者同士で合意を目指す「協議」によって進め、話し合いがまとまらない場合の最終手段として位置づけられることが多い方法です。

共有物分割請求には、主に次の3つの方法があります。

共有物分割請求訴訟による不動産の3つの分割方法
現物分割 共有している不動産を物理的に分ける方法
代償分割 特定の共有者が不動産を取得し、他の共有者へ代償金を支払う方法
換価分割 不動産を処分して換金し、代金を持分割合に応じて分ける方法

ただし、調停や訴訟に進んだ場合には、分割方法や条件は裁判所の判断に委ねられ、必ずしも自分の希望どおりの結果になるとは限りません。したがって、必ずしも自分の希望どおりの結果になるとは限りません。経験上、「自分は現物分割を望んでいたが、結果として換価分割の方向になった」といったケースもあり得ます。

また、手続きが長期化すると、共有者同士の関係悪化につながるほか、時間的・精神的な負担も大きくなりがちです。共有物分割請求はあくまで最終手段と位置づけ、請求前には必ず弁護士へ相談したうえで慎重に判断しましょう。

現物分割で土地を物理的に分ける

現物分割で土地を物理的に分ける

現物分割とは、共有している土地を物理的に分け、それぞれを単独所有にする方法です。十分な広さがあり、形状や接道条件に無理なく分けられる土地であれば、有効な選択肢です。

実務の現場でも、「売却は避けたい」「先祖代々の土地を手放したくない」といった事情がある場合、まず検討されるのがこの現物分割です。

ただし、理論上は可能でも、実際にきれいに分けられる土地は限られます。分割後に著しい価値差が生じる場合や、一部が極端に使いづらい土地になる場合には、公平性を欠くとして、裁判所が現物分割は相当でないと判断することもあります。実務上も、形状や接道条件の問題から現物分割が認められず、別の方法に切り替わるケースは少なくありません。

加えて、現物分割では実務上、分筆登記を行うケースが多く、測量や登記に数十万円程度の費用がかかるのが基本です。面積や立地条件の違いによって価値に差が出る場合には、公平を保つために代償金の支払いが求められることもあります。

分割後は土地ごとに評価額が算定されるため、固定資産税の負担が増減し、想定していなかった税負担が生じる可能性もあるでしょう。実務でも、「分けたら一方の税額が上がった」というケースは一定数あります。

こうした費用や手間はかかるものの、不動産を売却せずに共有状態を解消したい場合には、有効な選択肢といえます。

代償分割で共有者1人の単独所有にする

代償分割で共有者1人の単独所有にする

代償分割とは、特定の共有者が不動産を取得し、他の共有者に対して金銭などの代償を支払うことで、共有関係を解消する方法です。

共有物分割の結果として、自分の持分に相当する代償金を受け取れば、現金を得ながら共有状態を解消できます。一方で、自分が他の共有者に代償金を支払えば、その不動産を単独所有することも可能です。

実務上、居住している共有者がそのまま住み続けたい場合や、家業で利用している不動産を維持したい場合に選択されることが多い方法です。売却せずに整理できる点は大きなメリットといえます。

ただし、代償金の支払い能力が求められるため、取得する側に十分な資金がなければ実現は難しくなります。住宅ローンを利用できず、自己資金での対応が必要となるケースも少なくありません。

また、代償金を受け取る側には、譲渡所得税が発生することもあるため、税務面での確認も重要です。

資金面や税金の扱いに不安がある場合は税理士に、条件調整や手続きの進め方に迷う場合は、弁護士に相談するのがおすすめです。

換価分割で全員が所有権を手放して現金を分ける

換価分割で全員が所有権を手放して現金を分ける

換価分割とは、共有不動産を処分して換金し、得られた代金を持分割合に応じて分ける方法です。共有者全員が不動産の所有権を手放すことになるため、共有関係を完全に清算でき、将来的なトラブルを避けやすいという特徴があります。

実務上も、「これ以上揉めたくない」「誰も住む予定がない」といったケースでは、最も分かりやすく公平感のある方法として選択されることが多いです。金銭で清算するため、感情的な対立を整理しやすいのが実情です。

共有者全員が売却に合意し、協議によって進められる場合には、一般的な仲介売却に近い価格で売却できため、通常売却の相場に近い価格での売却が期待できます。

一方で、共有者の一部が売却に反対したり、条件で対立したりすると手続きが進まず、調停や訴訟に発展するおそれがあります。その結果、換価分割として形式的競売が選択されるケースもあり、その場合は市場価格より低い金額で処分される可能性があります。経験上、競売になると想定より2〜3割程度低い価格になるのが基本です。

また、換価分割であっても税務上は「持分の譲渡」として扱われるため、売却益が出た場合には譲渡所得税が課されます。特に長年保有していた不動産では取得費の把握が難しいケースも多いため、事前に試算しておくことが重要です。

まとめ

共有不動産そのものを売却するには、原則として共有者全員の合意が必要です。1人でも反対する共有者がいれば、不動産全体を売却することはできません。

一方で、自分が所有している共有持分のみであれば、他の共有者の同意がなくても売却することが可能です。共有者間で合意が取れない場合や、共有状態を早く解消したい場合には、持分のみの売却が現実的な選択肢となります。

共有持分の売却方法としては、他の共有者に持分を取得してもらう方法のほか、第三者へ売却する方法があります。なかでも、共有者との交渉が難しいケースや、できるだけ早く現金化したい場合には、共有持分の買取を専門とする業者を利用する方法も検討するとよいでしょう。

専門業者を利用すれば、手続きが比較的スムーズに進みやすく、短期間で現金化できる点が特徴です。状況に応じて、自分に合った売却方法を選ぶことが大切です。

共有持分のよくある質問

共有持分の売却で発生する費用はどれくらい?

共有持分を売却する際には、売却方法や売却益の有無によって、いくつかの費用が発生します。すべてのケースで同じ費用がかかるわけではないため、事前に全体像を把握しておくことが大切です。

以下は、共有持分の売却で発生する主な費用の一覧です。

費用の種類 発生するケース 主な内容
譲渡所得税 売却益が出た場合 売却益に応じて課税。所有期間により税率が異なる。
・売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以下(短期)
・売却した年の1月1日時点で所有期間が5年超(長期)
印紙税 売買契約書を作成する場合 契約金額に応じて課税(200円〜48万円)。
仲介手数料 仲介を利用する場合 上限:売却価格×3%+ 6万円+消費税。買取業者への直接売却では不要。
登記費用 契約内容による 所有権移転登記にかかる登録免許税や司法書士報酬。負担者は売買契約で決まる。

譲渡所得税は売却益が出た場合にのみ発生し、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えるかどうかによって税率が変わります。

また、共有持分を買取業者に直接売却する場合は、仲介手数料が不要となるケースが一般的です。

なお、共有持分の売却であっても、一定の要件を満たす場合には、譲渡所得から最大3,000万円まで控除できる特例が適用できることがあります。ただし、適用可否は物件の利用状況や売却形態によって異なるため、事前に税理士などの専門家へ確認すると安心です。

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共有名義不動産を全体で売却する場合、発生する費用はどれくらい?

共有名義不動産を不動産全体として売却する場合に発生する費用の種類自体は、共有持分のみを売却する場合と変わりません。譲渡所得税や仲介手数料、印紙税、登記費用などが主な費用です。

ただし、共有持分のみを売却する場合とは異なり、不動産全体を売却する際には、これらの費用を共有者全員で負担します。一般的には、売却によって生じた費用や税金を各共有者の持分割合に応じて分担します。

また、不動産全体の売却には共有者全員の合意が必要となるため、売却を進める前に費用負担についても共有者同士で確認しておくことが重要です。

共有持分に関するコラムはこちら

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    更新日 : 2025年11月07日
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