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共有不動産を現金化する方法を徹底解説!相場やあなたに適した方法を解説

共有不動産を現金化する5つの方法を徹底解説!あなたに最適な方法が見つかる

共有不動産は、「自分の意思だけで自由に売却できない」「共有者間で意見がまとまらない」といった悩みを抱えやすい財産です。相続をきっかけに共有状態となり、活用も現金化もできずに放置されてしまうケースは決して珍しくありません。

しかし、共有不動産や自身の共有持分であっても、状況に応じた適切なアプローチをとることで現金化は十分に可能です。

共有不動産における現金化の方法とそれぞれの特徴をまとめると、以下のとおりです。

方法 他の共有者の関与 現金化額の目安 向いている状況
共有者全員で不動産全体を売却 全員の同意が必要 市場価格 全員が売却に前向きで、最も高く売りたい場合
自分の持分のみを第三者(専門業者)へ売却 同意不要(単独で可能) 市場価格の1/2〜1/3程度 他の共有者と関わらず、早期に現金化して共有関係から抜け出したい場合
自分の持分を他の共有者へ売却 買い取る共有者との合意が必要 持分相当額(交渉次第) 共有者との関係が良好で、相手に資金力がある場合
他の共有者の持分を買い取り、単独所有にしてから売却 売却する共有者との合意が必要 市場価格 自身に買い取り資金があり、主導権を握って全体売却したい場合
共有物分割請求(調停・訴訟) 同意不要(最終的に裁判所が判断) 解決方法による(競売の場合は市場価格より大幅に下落) 当事者間の話し合いが完全に決裂している場合

どの方法を選ぶべきかは、「共有者同士で円滑な協議ができるか」「関係解消のスピードを優先するか、手元に残る金額を優先するか」によって決まります。

もっとも理想的で手元に多くのお金が残るのは、全員の同意を得て不動産全体を一般市場で売却する方法です。しかし、誰か一人でも反対すればこの方法はとれません。

話し合いが平行線をたどる場合、有効な選択肢となるのが「自分の共有持分のみの売却」です。法的には他の共有者の同意なく自由に売却できますが、共有持分だけを買っても不動産全体を自由に使えるわけではないため、一般の個人が買い手になることはまずありません。そのため、共有持分を専門に買い取る不動産業者への売却が基本となります。

業者は買い取った後に他の共有者と権利調整を行う(交渉や訴訟など)リスクとコストを負うため、買取価格はどうしても市場価格の1/2〜1/3程度に下がってしまう点には留意が必要です。

一方、最終手段として「共有物分割請求」という法的手続きもあります。相手の合意がなくとも裁判所に共有状態の解消を求めることができますが、最終的に「競売(けいばい)」を命じられるリスクが伴います。競売になると市場価格の7〜8割程度まで売却額が下落する傾向にあるうえ、解決までに1年以上の期間と弁護士費用等の持ち出しが発生するため、結果的に手元に残る現金が大きく目減りする恐れがあります。

こうした背景から、まずは共有者同士での話し合いによる全体売却や持分売買を模索し、それが困難な場合に専門業者への持分売却、それでも解決しない場合に法的手続きを検討する、というのがトラブルを抑えるセオリーです。

なお、専門業者へ持分を売却する場合、業者の資金力や共有不動産に関する法的ノウハウによって、提示される買取価格に数百万円単位の差が出ることがあります。安易に1社だけで決断せず、必ず複数社に査定を依頼し、条件や対応を比較検討したうえで売却先を見極めることが重要です。

本記事では、共有不動産を現金化するための具体的な方法や相場、税金、そしてトラブルを防ぐための注意点について詳しく解説します。

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共有不動産を現金化する5つの方法

ここでは、共有不動産を現金化する方法を紹介していきます。共有者からの同意の必要性や概要を各方法でまとめましたので、共有不動産の現金化を検討している場合には参考にしてみてください。

方法 共有者の同意 概要 向いている人 向いていない人
共有者全員で不動産全体を売却 必要 共有者全員の合意を得て、不動産全体を第三者に売却する方法。
最も市場価格に近い金額で現金化しやすい。
・共有者同士の関係が良好で話し合いができる人
・できるだけ高値で売却したい人
・共有者と連絡が取れない、または関係が悪い人
・早期に現金化したい人
第三者(専門業者)に持分のみ売却 不要 自身の共有持分だけを買取業者に売却する方法。
他共有者の同意なしで現金化できる。
・共有者と話し合いができない人
・できるだけ早く現金化したい人
・共有関係から離脱したい人
・価格を最優先したい人
・共有不動産を引き続き利用したい人
他の共有者に持分を売却 必要 他の共有者に自身の持分を売却する方法。
条件が合えば市場価格に近い水準で売却できるケースもある。
・共有者と一定の信頼関係がある人
・共有者が持ち分を買い取るだけの資金力がある
・適正価格での売却を目指したい人
・共有者が買い取りに応じない人
・価格交渉に時間をかけられない人
他共有者の持分を買い取り単独売却 必要 他の共有者の持分を取得して単独名義にしたうえで売却する方法。
権利関係を整理することで高値売却が狙える。
・資金に余裕があり、主導権を持って進めたい人
・最終的に高値売却を目指したい人
・資金を用意できない人
・共有者との交渉が難しい人
共有物分割請求訴訟 不要
(裁判所判断)
裁判所を通じて共有状態を強制的に解消する方法。
最終的に競売となるケースもある。
・話し合いが完全に決裂している人
・法的に強制的な解決を求める人
・時間や費用をかけたくない人
・できるだけ高値で売却したい人

なお、共有者の同意が得られているかどうかによって選択できる方法は大きく制限されます。

実務上は、まず「共有者間での解決(全体売却・持分売却)」を検討し、それが難しい場合に「専門業者への売却」や「法的手続き」を選択する流れになるのが基本です。

そのため、現金化の方法を選ぶ際には、以下の3点を基準に整理すると判断しやすくなります。

  • 共有者と協議できる関係性にあるか
  • 現金化までのスピードを優先するか
  • 価格とスピードのどちらを重視するか

これらを踏まえ、「自分にとって現実的に実行できる方法」を選ぶことが、共有不動産をスムーズに現金化するポイントです。

共有者から同意を得て不動産全体を現金化する

共有不動産を市場価格に近い水準で現金化したい場合、最も基本となるのが「共有者全員の同意を得て不動産全体を売却する方法」です。

民法上、不動産全体の売却は共有者全員の同意が必要です。

第二百五十一条 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。
引用元 民法 | e-Gov 法令検索

不動産全体の売却なら、共有状態のままでも買い手側からすれば「単独所有の不動産」と同じ形で購入できます。買主が見つかりやすく、結果として価格面で不利になりにくいのがメリットです。

そのため、「すでに合意形成ができている」もしくは「協議によって同意が見込める」といったケースでは、不動産全体を売却する方法がよいでしょう。

なお、共有不動産全体を現金化した場合、それぞれの共有者の持分割合に応じて売却金額が分配されるのが基本です。たとえば、3人で共有している不動産が3,000万円で売れた場合、持分割合が1/3ずつであれば、基本的には各共有者に1,000万円ずつ分配されます。

ただし実務では、単純な持分割合どおりに分配されるとは限りません。以下のような事情がある場合には、精算や調整が行われるケースがあります。

  • 特定の共有者が固定資産税や維持費を継続的に負担していた
  • リフォーム費用や修繕費を一部の共有者が負担していた
  • 一部の共有者のみが物件を使用していた(使用利益の問題)

このような費用負担や使用状況は、最終的な分配額に影響するため、事前に整理しておくことがトラブル防止につながります。

項目 内容
現金化までの目安 ・通常の仲介売却:3〜6か月程度が一般的。
・買主探しや価格交渉に時間がかかる場合:半年〜1年ほどかかることもある。
・買取業者を利用:およそ1〜2か月以内。
メリット ・全員の同意で売却するため、法的に最も確実でトラブルが少ない。
・不動産全体として売却できるため、共有持分だけを売るより高値で売れやすい。
・売却後は共有関係が完全に解消され、管理や税金の負担から解放される。
デメリット      ・共有者全員の同意が必要なため、一人でも反対すると売却できない。
・共有者が遠方にいる、または連絡が取れない場合は合意形成に時間がかかる。
・売却価格や分配額をめぐって、共有者間で意見が対立することがある。
向いている人・ケース ・共有者同士の関係が良好で、協力して売却を進められる人。
・できるだけ高値で売却したい、相場価格で現金化したい人。
・空き家や維持費のかかる不動産を整理したい人。

実務上は、「共有者全員の合意が取れるかどうか」が、この方法を選択できるかの分かれ目になります。合意が得られない、あるいは交渉が難航する場合には、この方法に固執すると現金化が進まないケースも少なくありません。

そのため、合意形成が難しいと判断した段階で、共有持分のみの売却や専門業者への買取といった、単独で進められる方法へ切り替えることが現実的な選択となります。

第三者に共有持分を売却して現金化する

共有者との合意が得られない場合に現金化を進める方法として、自身の共有持分のみを第三者に売却する方法があります。

共有持分とは、複数人で所有している不動産において、各共有者が持つ所有権の割合のことです。共有不動産全体とは異なり、共有持分は自分だけに所有権があります。

民法第206条でも、所有者は自己の財産を自由に処分できるとされており、共有持分については他の共有者の同意がなくても売却が可能です。

第二百六条 所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。

引用元 民法 | e-Gov 法令検索

実務でも、「一部の共有者が売却に反対している」「相続後に意見がまとまらない」といった理由から、不動産全体の売却が進まないケースは少なくありません。このような場合でも、持分のみを売却することで、共有関係から離脱しつつ現金化を実現できます。

項目 内容
現金化までの目安 ・専門業者を利用:約1〜3週間程度。

・仲介で買主を探す場合:1〜3か月ほどかかることもある。
メリット ・他の共有者の同意が不要で、単独で現金化できる。
・共有関係の解消や資産整理を早期に進められる。
・相続や共有トラブルが長期化している場合の現実的な対応策となる。
デメリット ・不動産全体を売るよりも価格が下がりやすい。
・買い取った業者が他の共有者と交渉を進めることがあり、その後の人間関係が悪化する可能性がある。
・売却後はその不動産の利用権を失い、居住中の場合は立ち退きが求められることもある。
向いている人・ケース ・他の共有者と話し合いが進まず、共有状態を早く解消したい人。
・不動産をすぐに現金化したい、相続問題を長引かせたくない人。
・共有者の一部が売却に反対しており、全体売却が難しいケース。

ただし、実務上は共有持分を購入する一般の買主が現れるケースはほとんどありません。そのため、実際の売却先は共有持分の取り扱いに慣れた専門業者が中心となります。

共有持分は単独で自由に利用・処分できる不動産ではないため、たとえ取り扱いに慣れた専門業者であっても活用の制約は大きく、他の共有者との調整が難航する可能性も否定できません。このような事情から、不動産全体を売却する場合と比べて、売却価格は低くなるのが実情です。

また、持分を第三者へ売却すると、その買主が新たな共有者として他の共有者と関係を持つことになります。その結果、他の共有者からすると「見知らぬ第三者と共有関係になる」「今後の方針について再度調整が必要になる」といった負担が生じてしまい、かえってトラブルになるケースも少なくありません。

売主自身は単独で現金化できる一方で、他の共有者に一定の影響が及ぶ点も踏まえて判断することが重要です。そのため、共有者同士でどうしても意見がまとまらない場合の最終手段として選択される方法といえます。

ほかの共有者に共有持分を買い取ってもらう

共有持分をほかの共有者に売却することも、共有不動産を現金化する方法のひとつです。この方法は、共有者同士で合意が取れる場合に限られますが、条件が整えば比較的スムーズに現金化できる点が特徴です。

共有持分を取得した共有者は、自身の持分割合を増やすことで、不動産の管理や活用における意思決定を主導しやすくなります。特に、持分割合が過半数を超えると、賃貸借契約や修繕などの「管理行為」を単独で決定できるようになるため、他の共有者にとっても持分を買い取るメリットがある取引といえます。

民法252条でも、共有物を「管理」する場合は共有者の持分割合の過半数が必要と定められています。

第二百五十二条
共有物の管理に関する事項(次条第一項に規定する共有物の管理者の選任及び解任を含み、共有物に前条第一項に規定する変更を加えるものを除く。次項において同じ。)は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。共有物を使用する共有者があるときも、同様とする。
引用元 民法 | e-Gov 法令検索

共有名義の不動産において「管理」に該当する行為は、賃貸借や不動産の小規模な増改築などです。

そのため、共有持分の買取によって持分割合が過半数を超えれば、使用方法の決定や賃貸借契約の締結・解除などが自由にできるようになります。

持分割合が過半数を超えておらず、共有不動産の管理についての決定ができずに困っている共有者がいれば、その人に対して共有持分の買取を交渉するのも1つの手です。

ただし、この方法はあくまで共有者の合意が前提となるため、相手が買い取りに応じない場合は成立しません。

また実務では、「価格の妥当性で折り合いがつかない」「感情的な対立によって交渉が進まない」といった理由から、話し合いがまとまらないケースも多いのが実情です。その結果、第三者への持分売却や専門業者への買取に切り替えるケースも少なくありません。

項目 内容
現金化までの目安 共有者間で価格の合意が取れれば、契約から入金まで2〜4週間程度で完了することが多いです。ただし、価格交渉や評価額のすり合わせに時間を要するケースでは、その分だけ現金化までの期間が延びる可能性があります。
メリット ・他の共有者が買主となるため、外部との交渉や仲介手数料が不要。
・共有関係を維持したまま、特定の共有者に権限を集中させやすい。
・信頼関係のある相手との取引のため、手続きが比較的スムーズ。
デメリット ・相手が買い取りに応じない場合、現金化が難しい。
・価格の妥当性を巡って感情的な対立が生じることがある。
・共有者間の関係が悪化している場合は、交渉が進みにくい。
向いている人・ケース ・共有者同士の関係が比較的良好で、話し合いができる人。
・不動産の管理や賃貸活用を特定の共有者に任せたいケース。
・第三者への売却を避けたい、または他の共有者にまとめてもらいたい人。

共有者間で合意できれば有効な方法ですが、実務上は交渉がまとまらず成立しないケースも多いため、その場合は他の現金化手段への切り替えも視野に入れる必要があります。

ほかの共有者の共有持分をすべて買い取り単独名義にしたあとに売却して現金化する

ほかの共有者全員の持分を買い取って単独名義にし、あとで不動産全体を売却する方法です。 共有状態を解消することで、権利関係が整理された状態で売却できます。

単独名義になることで買主にとっても取引リスクが低くなるため、一般的な不動産と同様の条件で売却しやすく、結果として相場に近い価格で成約しやすいのが特徴です。

共有名義のままでは、売却や価格交渉のたびに全員の同意が必要になるため、取引が長期化することも多いのが実情です。しかし、単独名義になれば共有名義者がいなくなるので同意を得る必要がなくなり、売却活動や契約手続きをスムーズに進めることができます。

ただし、この方法は「一度すべての持分を買い取る」という工程があるため、資金面のハードルが高い点に注意が必要です。持分の取得には購入資金に加えて、登録免許税や不動産取得税などの諸費用も発生します。

また、前提として共有者全員との合意が必要になるため、実際の取引現場では「価格で折り合いがつかない」「そもそも売却に応じてもらえない」といった理由で、買い取り自体が成立しないケースも多く見られるのが実情です。

実務上は、購入資金を確保したうえで、先に買取業者に売却先の見込みを立てておくケースもあります。そうすることで資金の持ち出しリスクを抑えつつ、買い取り後すぐに現金化できる可能性を高めることができます。

項目 内容
現金化までの目安 まず他の共有者との買取交渉・登記手続きに1〜3か月程度かかるのが一般的です。その後の売却活動は通常の不動産売却と同じで、平均3〜6か月ほどが目安です。あらかじめ買取業者と連携していれば、全体で2〜4か月程度で現金化できる場合もあります。
メリット ・単独名義になることで売却の自由度が高まり、相場に近い価格で売りやすい。
・買主が安心して購入できるため、成約までのスピードが上がる。
・共有関係を完全に解消でき、今後のトラブルを防げる。
デメリット ・ほかの共有者との交渉が難航し、時間を要することがある。
・持分を買い取るための資金が必要で、一時的な負担が大きい。
・登記費用や不動産取得税、登録免許税などの諸経費が発生する。
向いている人・ケース ・最終的に不動産全体を売却して、できるだけ高く現金化したい人。
・共有者間の関係が悪化しており、共有状態を早く解消したい人。
・一定の資金を用意でき、手続きや交渉を主体的に進められる人。

高値での売却を目指せる方法ではありますが、資金負担と交渉のハードルが高いため、実行できるケースは限られます。そのため、条件が整わない場合は、持分売却など別の現金化手段を検討するのが現実的です。

共有物分割請求訴訟を申し立てて共有状態を解消し現金化する

ほかの方法で共有不動産を現金化するのが難しい場合、共有物分割請求訴訟を起こすことも視野に入れるのも1つの手です。

共有物分割請求訴訟とは、共有不動産の共有状態を解消するために裁判所へ申し立てる訴訟のことです。訴訟によって共有関係は強制的に解消され、裁判所が選択した方法に基づいて最終的に現金化されます。

ただし、分割方法は当事者の希望ではなく、あくまで不動産の性質や状況を踏まえて裁判所が決定するのが原則です。共有物分割請求では、主に以下の3つの方法で分割が行われます。

分割方法 概要
現物分割 共有している不動産を物理的に分割する方法
代償分割(価格分割) 分割の際の差額を金銭などで補償する方法
換価分割 不動産を競売にかけて持分割合に応じて現金を分割する方法

このうち、実務上は「換価分割」が選択されるケースが多くなります。これは、不動産の性質や共有者の状況によって、他の分割方法が現実的に取れないケースが多いためです。

たとえば、不動産は物理的に分割できないため、現物分割は困難となります。また、特定の共有者が他の持分を買い取るだけの資金を用意できなければ、代償分割も成立しません。

その結果、消去法的に不動産全体を売却して分配する「換価分割」が選択されるケースが多いのが実情です。

「換価分割」が選択された場合は競売による売却となるケースが多く、市場価格よりも低い水準で落札されるのが基本です。

また、競売では売却条件や価格を自らコントロールすることができず、手続き費用も差し引かれるため、最終的に受け取れる金額が想定を下回るケースも少なくありません。

実務でも、「競売になる前に任意で売却したい」「できるだけ損失を抑えたい」といった理由から、訴訟に進む前に専門業者へ売却する判断をされる方も多く見られます。このように、共有物分割請求訴訟は現金化が強制的に可能な手段ではあるものの、価格・期間ともに不確実性が大きく、当事者が結果をコントロールしにくい点に注意が必要です。

項目 内容
現金化までの目安 ・調停手続き:6か月〜1年ほど。

・訴訟手続き:1~2年ほど
・裁判後の競売実施期間を含めると、全体で1年半ほどかかるケースもある。
メリット ・共有者の同意が得られなくても、裁判所の判断で共有関係を強制的に解消できる。
・話し合いが長期化している場合でも、法的に解決へ進められる。
・他の方法が取れない場合の最終的な現金化手段となる。
デメリット ・手続きが長期化しやすく、弁護士費用などの訴訟コストがかかる。
・裁判所の決定によっては、希望しない分割方法になることがある。
・競売になった場合、市場価格より安く落札される可能性が高い。
向いている人・ケース ・他の共有者が話し合いに応じず、任意での売却や分割が困難な人。
・共有状態を法的に解消し、長引くトラブルを終わらせたい人。
・他の現金化方法(買取・同意売却)がすべて難しいケース。

共有物分割請求訴訟はあくまで「最終手段」であり、可能であれば持分売却など、より柔軟に進められる方法を優先的に検討することが現実的です。

共有不動産を現金化する方法によって売却金額の相場は変わる

当然ですが、何を誰に売却するかによって、売却金額は変わります。共有不動産においても同様に、現金化する方法によって売却金額の相場が変わります。

これは、買主にとっての「利用のしやすさ」や「権利関係の複雑さ」が価格に影響するためです。単独で自由に利用できる不動産ほど高く評価される一方で、共有持分のように制約が多い場合は価格が下がる傾向にあります。

あくまで目安ではありますが、方法ごとの相場感は以下のとおりです。

  • 共有不動産全体を売却:市場価格とほぼ同等が相場
  • 共有持分を第三者に売る:市場価格よりも安めが基本
  • 共有持分を共有者に売る:市場価格×持分割合で売れるケースもある
  • 共有物分割請求による競売:市場価格よりも安くなるのが一般的

このように、現金化の方法によって最終的に手元に残る金額は大きく変わります。今回は、価格差を具体的にイメージするために、いかの同一条件でシミュレーションを行ってみました。

共通のシミュレーション設定
・不動産全体の市場価格:3,000万円
・持分割合:1/2

上記の条件をもとに、現金化の方法ごとの売却相場を具体的に見ていきましょう。

共有不動産全体を売却して現金化する場合

共有者全員の同意を得て不動産全体を売却する場合は、単独所有の不動産と同様に扱われるため、市場価格に近い水準で売却できるのが基本です。

これは、権利関係が整理された状態で売却できるため、買主が購入後すぐに自由に利用・処分できるからです。その結果、共有持分のみを売却する場合と比べて需要が落ちにくく、価格面でも不利になりにくい特徴があります。

売却代金は、原則として各共有者の持分割合に応じて分配されます。

共有不動産全体を売却する際の計算式
不動産全体の市場価格 × 持分割合

上記の計算式を今回のシミュレーション設定にあてはめて考えましょう。不動産全体を売却できるため、市場価格は3,000万円となります。これを共有持分1/2にしたがって分配してみましょう。

不動産価値3,000万円×共有持分1/2=1,500万円

不動産売却であなたが手にできるのは1,500万円となります。ただし、理論上の市場価格や持分割合どおりに話がまとまるとは限りません。

実際に、共有者同士の意見がまとまらず売却が進まないケースのご相談をいただくことも多いです。特に「誰がどのくらいの金額を受け取るか」「いつ売却するか」といった点で揉めてしまい、話し合いが長期化することも少なくありません。

もし、価格面や分配割合で折り合いがつかない場合は、第三者の専門家を交えて客観的に調整する方法が有効です。

共有持分を第三者に売却して現金化する場合

共有持分を買取業者などの第三者に売却する場合、不動産全体を売却するケースと比べて価格は低くなるのが基本です。理論上は「市場価格 × 持分割合」で価値を算出できるように見えますが、実際の取引ではそのままの金額で売却できるケースはほとんどありません。

これは、共有持分が「不動産全体の一部の権利」にすぎず、単独では自由に利用・処分できないためです。加えて、他の共有者との関係調整や将来的な分割リスクもあることから、買主にとって制約とリスクの大きい資産として評価されます。

その結果、市場価値が低くなり、価格は通常の1/2~1/3程度になるのが実情です。

■共有持分を第三者に売るときの相場を求める計算式
不動産全体の市場価格×持分割合×1/2~1/3

今回のシミュレーション条件に当てはめると、以下のとおりです。

市場価格3,000万円の1/2の価格で売却・持分1/2
3,000万円 × 1/2 × 1/2 = 750万円

市場価格3,000万円の1/3の価格で売却・持分1/2
3,000万円 × 1/2 × 1/3 = 500万円

このように、同じ不動産であっても、共有持分のみの売却では500万円〜750万円程度が一つの目安となり、不動産全体を売却した場合の1,500万円と比べて大きな差が生じます。
ただし、必ず市場価格よりも安くになるわけではありません。下記に該当している場合、高値で取引される可能性があります。

条件 理由・背景
売却する持分割合が多い 持分割合が大きいほど物件全体に対する支配力が強く、将来的に単独所有化できる可能性が高いため、買い手から見てリスクが低い。
共有者の人数が少ない 関係者が少ないほど合意形成が容易で将来的な売却や活用の見通しが立てやすく、トラブルリスクも抑えられる。
共有持分の売却に他共有者も同意している 他の共有者が協力的であれば共有物分割請求やトラブルのリスクがなく、円滑な取引が見込める。
不動産の立地や条件が良い 需要の高いエリアや資産性の高い物件であれば、将来的な売却や活用の見込みが立ちやすく、共有持分であっても評価が下がりにくい。

前述のとおり、共有持分は一般の買主が購入するケースがほとんどなく、実務上は買取業者が主な売却先となります。共有持分の査定では、権利関係の複雑さだけでなく、将来的にどのように整理・売却できるかといった出口戦略まで含めて価格が判断されるのが基本です。

そのため、条件によっては一般的な相場よりも高い水準で取引されるケースもあります。ただし、共有持分は専門的な判断が必要な不動産であるため、適正価格で売却するためにも、取り扱いに慣れた業者へ売却することをおすすめします。

共有持分をほかの共有者に売却して現金化する場合

前述したように、共有持分を買取業者などの第三者に売却した場合、市場価格を持分割合で割った金額よりも安くなるのが基本です。一方で、共有持分をほかの共有者に売却する場合は、「市場価格 × 持分割合」に近い価格で成立できる可能性があります。

これは、買主となる共有者がすでにその不動産の権利を持っており、持分を買い増すことで以下のようなメリットを得られるためです。

  • 持分を買い増すことで単独所有に近づく
  • 自分の意思で自由に売却・賃貸・リフォームが可能になる
  • 権利関係がシンプルになり、将来のトラブルを防げる

つまり、ほかの共有者にとっては、共有状態を解消できる「メリットのある取引」なので、市場価格に近い持分価格でも購入する価値があるのです。今回のシミュレーション条件に当てはめると、以下のとおりです。

市場価格3,000万円・持分1/2
3,000万円 × 1/2 = 1,500万円

この場合、共有者に売却できれば約1,500万円での現金化が一つの目安となり、第三者に売却するケースの500万〜750万円と比べて大きな差が生じます。

ただし、相場どおりの価格で売却できるのは、共有者同士の関係が良好であり、買い取る意思がある場合に限られます。

実務では、「価格の妥当性で折り合いがつかない」「そもそも買い取る意思がない」といった理由で交渉がまとまらないケースも多く見られます。その場合は、共有持分の第三者売却や共有物分割請求など、別の方法を検討する必要があるでしょう。

共有物分割請求で競売になった場合は市場価格よりも安くなるのが一般的

共有物分割請求を起こした場合、裁判所の判断によっては共有不動産が競売にかけられるケースもあります。競売とは、売り手が価格を決めずに裁判所が手続きを行い、入札者(購入希望者)が価格を提示して落札する仕組みです。

売却条件や価格を自らコントロールできないほか、競売物件は「内覧が制限される」「引き渡し条件が不透明」など、買主にとってリスクが高い取引となります。そのため、一般の不動産取引と比べて需要が限定されやすく、結果として市場価格よりも低い水準で落札されるのが基本です。

最低入札価格は市場価格の約4〜5割に設定されることが多く、入札による競争が起きたとしても、最終的な落札価格は市場価格の5〜7割程度にとどまるのが実情です。迅速に現金化できる一方で、通常の不動産取引と比べて大幅に安い価格で落札されやすいのがデメリットといえます。

今回のシミュレーション条件で見てみましょう。

市場価格3,000万円・持分1/2

・市場価格の7割で落札
3,000万円 × 0.7 = 2,100万円 → 持分1/2:1,050万円

・市場価格の6割で落札
3,000万円 × 0.6 = 1,800万円 → 持分1/2:900万円

・市場価格の5割で落札
3,000万円 × 0.5 = 1,500万円 → 持分1/2:750万円

このように、最終的に受け取れる金額は約750万円〜1,050万円程度が目安となり、通常売却(1,500万円)と比べて大きく差が生じます。さらに、競売では売却代金から手数料・評価費用・公告費用などが差し引かれるため、実際の手取り額はここからさらに5〜10%程度減少します。

落札価格1,800万円の場合
1,800万円 − 手続費用(約100万円)= 約1,700万円 → 持分1/2:850万円

このように、競売は法的効力の下で現金化できる手段ではあるものの、価格面では大きく不利になりやすい点に注意が必要です。そのため、実務上は競売に至る前に、任意売却や共有持分の売却など、より有利な条件で現金化できる方法を検討するのが現実的です。

共有不動産を高値で現金化するためのポイント

共有不動産の現金化を検討している場合、「なるべく高く売却したい」と考える人もいることでしょう。その場合、共有不動産を高値で現金化するためのポイントを実践してみてください。

  • 複数の業者に査定をしてもらう
  • 共有不動産や共有持分の買取実績が豊富な不動産会社を選ぶ
  • 共有不動産全体を売却するなら仲介会社に相談する

特に重要なのは、「どの売却方法が自分の状況にとって最も高く売れるか」を見極めることです。同じ不動産であっても、「全体売却」「共有者への売却」「第三者への持分売却」では、最終的に手元に残る金額が大きく変わります。

ここからは、それぞれのポイントについて具体的に解説していきます。

複数の業者に査定をしてもらう

ほかの共有者に売却するケースを除き、共有不動産を高値で現金化したい場合は、複数の業者に査定依頼をすることがおすすめです。

不動産の査定とは、その物件がどの程度の価格で売却できるかを各業者が独自の基準で評価するものです。特に共有持分は、通常の不動産と比べて権利関係が複雑で扱いが難しいため、査定の難易度も高いのが実情です。

買取後の活用には一定のノウハウや経験が求められるため、共有持分の取り扱いに慣れていない業者だとリスクを過大に見積もり、本来の価値よりも低い金額で査定されてしまうケースも少なくありません。
実際に、同じ不動産であっても、業者ごとの経験や取り扱い方針によって査定額に大きな差が出ることがあります。

■買取業者による査定の具体例
・A社:共有持分の取り扱い経験が少なく、リスクを見て800万円の査定
・B社:共有物件専門の買取ルートを持ち、950万円の査定
・C社:再販実績豊富で、1,000万円を提示

複数の業者に査定を依頼することで、こうした過度に低い査定を見抜き、適正な価格帯を把握したうえで売却先を選べます。

また、査定は無料で対応している業者がほとんどであるため、費用負担なく比較できる点もメリットです。共有持分は業者選びによって売却価格が大きく変わるため、1社だけで判断せず、複数社の査定を比較することが高値売却につながります。

共有不動産や共有持分の買取実績が豊富な不動産会社を選ぶ

共有不動産を高値で現金化するためには、共有不動産や共有持分の取り扱いに慣れた業者を選ぶことが重要です。

前述のとおり、共有持分は業者によって査定額に差が出やすく、買い取り実績が少ない業者の場合は本来の適正価格よりも安く買い取られるケースも少なくありません。実際の現場では、対応できるノウハウがないことを理由に、買取自体を断られてしまうケースもあります。

特に、持分割合が小さい場合や、共有者間の関係が複雑なケースでは、取り扱いの難易度が高くなるため、対応できる業者が限られるのが実情です。

一方で、共有不動産の買取実績が豊富な業者であれば、こうしたケースにも対応できるノウハウを持っているため、スムーズに売却を進められるだけでなく、条件面でも柔軟に対応できる可能性があります。

そのため、業者を選ぶ際には、公式サイトなどで共有不動産や共有持分の買取実績を確認し、取り扱いに慣れているかどうかを見極めることが重要です。

共有不動産全体を売却するなら仲介会社に相談する

共有不動産全体を売却する場合は、「仲介」「買取」のどちらを選ぶかによって、売却価格やスピードが大きく変わります。

仲介とは、不動産会社が一般の購入希望者を探し、売主と買主の間に入って取引を成立させる方法です。最終的な買主は個人や法人のエンドユーザーとなるため、市場の需要に応じた価格で売却できるのが特徴です。

これまで紹介してきた買取とは以下のような違いがあります。

買取と仲介の違い
項目 買取 仲介
仕組み 不動産会社が自社で物件を買い取り、リフォームや再販で利益を得る方法 不動産会社が買主を探し、売主と買主の間を仲介して取引を成立させる方法
売却価格の相場 市場価格の約70〜80% 市場価格の約90〜100%
売却までのスピード 数日~1ヶ月以内 買取相手を探す必要があるので、時間がかかる(長い場合は半年程度)

買取は再販を前提として業者が自社で不動産を買い取り、リフォームやリノベーションを経て再販売することで利益を得るビジネスモデルです。このとき不動産会社は仲介手数料を受け取れないため、再販時に得る売却益そのものが利益となります。

そのため、将来的な販売リスクやリフォーム費用、在庫管理コストなどを見込んで、市場価格の7〜8割程度での提示になるのが基本です。

一方、仲介は売主と買主をマッチングさせる仲介手数料型のビジネスモデルです。不動産会社は自社で在庫を抱えない代わりに、売主・買主双方から仲介手数料を受け取ることで利益を得ます。

また、売主の希望価格を最大限反映しやすく、最終的な売却価格は市場価格の9〜10割前後に近づくケースが多いです。ただし、買主が見つかるまでの期間は比較的長くなります。

「早く・確実に売りたい方」は買取を、「できるだけ高く売りたい方」は仲介の利用が適しています。

共有不動産の現金化でトラブルを回避するための対策

共有不動産は、複数人で権利を持つ特性上、意思決定に他の共有者が関わるため、通常の不動産と比べてトラブルが発生しやすい傾向があります。

たとえば、「売却のタイミングで意見が合わない」「知らない間に持分が売却されていた」など、共有者間の認識のズレがきっかけとなって問題に発展するケースも少なくありません。

そのため、共有不動産を現金化する際には、事前にトラブルを防ぐための対策を講じておくことが重要です。

  • どの方法で現金化する場合でもほかの共有者に通知をしておく
  • 買取業者で現金化するなら信頼できる業者を探す

特に、共有者との認識のズレや業者選びの失敗は、後から大きなトラブルに発展しやすいため注意が必要です。ここからは、共有不動産の現金化でトラブルを回避するための具体的な対策について、それぞれ詳しく解説していきます。

どの方法で現金化する場合でもほかの共有者に通知をしておく

共有不動産全体を売却する場合は当然ですが、共有持分のみを現金化したい場合であっても、ほかの共有者へ通知をしておくのが大切です。共有持分は単独で売却できるものの、実際にはその後の共有関係に大きな影響を与えます。

実際に、何も通知をせずに進めてしまい、後にトラブルに発展したケースも多く見られました。特に、共有持分を第三者へ売却した場合、その買主が新たな共有者として加わることになります。このとき、他の共有者からすると「知らない第三者と共有状態になる」ため、事前の説明がないことで不信感や対立が生まれるケースが少なくありません。

実際の現場でも、「聞いていない」「なぜ勝手に売却したのか」といった不満がきっかけで、共有者間の関係が悪化し、その後の交渉や不動産の処分がより難しくなるケースもありました。また、共有者の中には持分の買い増しを検討している人もいるため、事前に相談していればより良い条件で売却できたというケースもあります。

このように、通知を怠ることで「人間関係の悪化」と「売却機会の損失」の両方につながる可能性があります。「ほかの共有者と関わらずに売却したい」と考える事情がある場合でも、最低限の通知だけは行っておくことで、その後のトラブルを防ぎやすくなります。

買取業者で現金化するなら信頼できる業者を探す

共有持分を買取業者に売却する場合は、どの業者に依頼するかによって、その後の展開が大きく変わるため注意が必要です。共有持分を第三者に売却すると、その買主は新たな共有者となり、他の共有者と同じ立場で不動産の利用や分割について関わることになります。

民法第256条では、共有者には全員が共有物分割請求を行う権利が認められているため、買主となった業者が共有物分割請求を行い、共有関係の解消を進めるケースもあるのです。

第二百五十六条
各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。
引用元 民法 | e-Gov 法令検索

これは法的に認められた正当な手続きですが、他の共有者からすると「知らない第三者が主導して話を進めてくる」状況になるため、トラブルに発展することも少なくありません。実際の現場でも、「突然買取・売却の交渉を求められて関係が悪化した」といったケースは一定数見られます。

もし、残された共有者の生活状況や意見に寄り添ってくれない買取業者に売却してしまった場合、話し合いの間もなく共有物分割請求訴訟に進んでしまい、競売となる可能性もあります。その結果、他の共有者の意向に関係なく不動産を手放さざるを得ない状況になるケースも少なくないのです。

一方で、共有不動産の取り扱いに慣れた業者であれば、いきなり法的手続きに進むのではなく、共有者間の関係性や状況を踏まえながら段階的に調整を進めるのが基本です。

ここでいう「信頼できる業者」とは、単に高値で買い取る業者ではなく、共有者間の調整やその後の進め方まで考慮して対応できる業者を指します。

そのため、買取業者を選ぶ際には、価格だけで判断するのではなく、取引後の対応や進め方についても事前に確認しておきましょう。

あくまで一例ですが、信頼できる業者を見極めるポイントとしては以下が挙げられます。

  • 士業(弁護士・司法書士など)と連携しているか
  • 査定額や買取価格の根拠を具体的に説明してくれるか
  • 共有者との関係や状況を踏まえた進め方を提案してくれるか

共有不動産を現金化するまでの流れ

共有不動産の現金化は、選択する方法によって細かな手順は異なりますが、全体の流れは共通しています。事前に全体像を把握しておくことで、どの段階で何をすべきかが明確になり、スムーズに現金化を進めやすくなります。

一般的な流れは以下のとおりです。

  1. 現金化する方法を選ぶ
  2. 他の共有者の同意が必要であれば交渉を行う
  3. 不動産業者に査定をしてもらう
  4. 売却先と売買契約を締結する
  5. 決済を済ませて所有権移転登記を行う
  6. 確定申告のために譲渡所得税を算出しておく

特に重要なのは「どの方法を選ぶか」と「共有者との合意形成はできているか」です。この2つによって、その後の流れや難易度が大きく変わります。

ここからは、それぞれの工程について具体的に解説していきます。

現金化する方法を選ぶ

共有不動産を現金化する方法には、主に以下の3通りあります。

方法 概要 メリット デメリット
共有者全員で不動産全体を売却する 共有者全員の同意を得て、不動産全体を一括で第三者に売却する方法。 ・市場価格に近い金額で売却できる
・売却後に共有関係が完全に解消する。
共有者全員の合意が必要で、意見が合わないと売却が進まない。
自分の持分だけを売却する方法 自分の持分のみを専門の買取業者や第三者に売却する方法。 他の共有者の同意が不要で、単独で現金化できる。 共有持分の価値は低く評価される傾向があり、売却価格が市場価格より下がる。
他の共有持分を買い取って売却する 他の共有者の持分を買い取って単独所有とし、その後に不動産全体を売却する方法。 ・市場価格に近い金額で売却できる
・売却後の手続きがスムーズ。
他の共有者との交渉や買い取り資金の準備が必要で、手間と費用がかかる。

これらのうち、どの方法を選ぶかによって「売却価格」「現金化までのスピード」「手続きの難易度」が大きく変わります。全体を売却する場合は、通常の不動産取引と同様に仲介や買取の形で進められるため、市場価格に近い金額で売却できる可能性があります。ただし、共有者全員の同意が必要となるため、話し合いに時間を要するケースもあります。

一方、自分の持分だけを売却する場合、ほかの共有者の同意は必要ありません。共有持分に特化した買取業者に相談することで、比較的早く現金化することも可能です。

実務上は、「共有者と合意できるかどうか」によって選択できる方法が大きく分かれます。

そのため、まずは共有者との関係性や状況を踏まえたうえで、価格・スピード・実現可能性のどれを優先するかを整理し、自分に合った方法を選ぶことが重要です。

共有物分割請求の場合、協議のあとに訴訟を申し立てる

共有分割請求訴訟を選択する場合でも、まずは共有者全員での協議(話し合い)が必要です。なぜなら民法258条1項は、次のように定めているためです。

第二百五十八条
共有物の分割について共有者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、その分割を裁判所に請求することができる。
引用元 民法 | e-Gov 法令検索

基本的に、共有分割請求訴訟は、共有者同士の協議で決着がつかない場合に選択される最終手段です。そのため、まずは協議を試みなければなりません。

なお、実務でよくあるのが「話し合いをしたいのに相手に無視される」といった相談や、「十分に話し合っていないのに、いきなり訴訟を起こされたと被告が怒っている」といった相談です。

前者の場合は、民法258条1項が定める「協議をすることができない」状態にあたるため、訴訟に踏み切ることができます。同様に後者の場合も、「共有者間に協議が調わない」状態にあたるため、訴訟は可能です。

協議を試みる姿勢は必須ですが、必ずしも共有解消や訴訟について相手を納得させる必要はありません。なお、ただし、相手に共有状態の解消や訴訟についてまったく何も知らせずに申し立てをすることは原則認められていません。共有分割請求訴訟を申し立てる際は、最低1回でもほかの共有者との協議を試みてください。

他の共有者の同意が必要であれば交渉を行う

次の現金化の方法を選択する場合は、必ずほかの共有者の同意が必要です。

  • 共有者の共有持分をすべて買い取り単独名義にしたあとに売却して現金化する
  • 共有者から同意を得て不動産全体を売却して現金化する

自分の持分だけを売却する場合はこの手順は不要なので、次に説明する「買取業者に査定をしてもらう」をご覧ください

とはいえ、実際の現場では「一部の共有者が売却に反対して話が進まない」「親族間で感情的な対立が生じて協議が停滞している」といったケースは珍しくありません。

こうした場面では、感情論で押し切ろうとするのではなく、数字や将来的なリスクといった客観的な根拠をもとに話を進めてみましょう。

たとえば、以下のような「共有状態を続けるデメリット」を具体的に示すことで、相手の理解を得やすくなります。

  • 今後相続人が増えると権利関係がさらに複雑化する
  • 共有持分だけ売却すると価格が通常より大幅に下がる
  • 建物の老朽化が進むほど、再建や売却の選択肢が限られてしまう

実際に、相続によって共有者が増え続けた結果、権利関係が細分化し、最終的に誰も意思決定できなくなるケースは少なくありません。このような状態になると、売却や活用のハードルはさらに高くなります。

共有不動産は時間の経過とともに調整が難しくなる傾向があるため、早い段階で方向性を決めておくことが重要です。

それでも意見がまとまらない場合には、不動産会社や弁護士などの第三者を交えて協議を行うのも有効です。中立的な立場から状況を整理することで、感情的な対立を避けながら合意形成を進めやすくなります。

買取業者に査定をしてもらう

共有不動産を現金化する場合、売却したい物件の相場観を掴んでおくことが大切です。特に共有持分は、通常の不動産と異なり価格の目安が分かりにくいため、実際に査定を取ることで初めて現実的な売却価格が見えてきます。

また、共有持分の査定は業者ごとに評価の仕方が大きく異なるため、同じ不動産でも数百万円単位で査定額に差が出ることも珍しくありません。複数の買取業者に査定を依頼することで、過度に低い査定を見抜きつつ、適正な価格帯を把握できます。

実務上も、「1社目の査定をそのまま信じて売却してしまい、本来より低い価格で手放してしまった」というケースは少なくありません。そのため、最低でも3社程度の査定結果を比較することが重要です。
また、査定には大きく分けて次の2種類があります。

査定方法 特徴
簡易査定 ・登記簿や公示地価などのデータを基に行う書面上の査定
・査定結果が早い
・あくまで概算価格に留まる
訪問査定 ・担当者が現地を訪問し、建物の状態や周辺環境などを踏まえながら行う査定
・精度が高い
・数日〜1週間ほどかかる

売却を検討する初期段階では簡易査定で十分ですが、実際に売却を進める場合には、訪問査定によってより正確な価格を確認する必要があります。査定にかかる期間の目安は以下のとおりです。

  • 簡易査定:当日〜数日程度
  • 訪問査定:数日〜1週間程度

査定結果やスピード感は業者によって異なるため、複数社を比較しながら進めることで、より納得のいく条件で現金化を進めやすくなります。

決済を済ませて所有権移転登記を行う

共有不動産の売買契約が成立した後は、契約内容に基づいて売却代金の支払い(決済)が行われます。通常は、代金の支払いと所有権移転登記を同時に行う「同時履行」で手続きが進められます。

所有権移転登記とは、共有不動産や共有持分の所有権を売り手から買い手に移すための手続きのことです。実務では、決済の場で売主・買主・司法書士が立ち会い、入金確認後すぐに登記申請を行う流れが基本です。これにより、「代金だけ支払われて名義が移らない」「名義だけ移って代金が支払われない」といったリスクを防いでいます。

また、不動産会社や買取業者へ売却する場合は、買主側が手配した司法書士が登記手続きを進めるケースがほとんどです。

一方で、共有者間で持分を売買する場合でも、実務上は司法書士に依頼して手続きを進めるケースが多く、売主・買主のどちらか一方が単独で登記を行うことはあまりありません。基本的には共有持分の売り手が所有権移転登記を行ないます。

所有権移転登記をするには専門的な知識も必要になるため、手続きが必要な場合には司法書士に相談しながら行うのがよいでしょう。

確定申告のために譲渡所得税を算出しておく

不動産の売却は、売却益を受け取ったら終わりではありません。利益が出た場合は売却した翌年に確定申告をし、譲渡所得税を納める必要があります。その場合、原則的には共有不動産を売却した翌年の2月16日〜3月15日までに確定申告をしなければなりません。

共有不動産の場合は、持分割合ごとに所得が按分されるため、自分の持分に応じた譲渡所得を正確に算出する必要があります。

譲渡所得税は個人でも算出できますが、単純な計算ではなく取得費や譲渡費用などを正確に整理して算出しなければなりません。譲渡所得税の算出は、まず共有持分の売却によって得られた利益である「譲渡所得」の計算から始めます。

■譲渡所得の算出方法
買い手から受け取った金額-(共有持分の取得費+譲渡にかかった費用)

たとえば、「取得費2,000万円」「譲渡費用150万円」「売却金額3,000万円」の場合は、以下が譲渡所得となります。

3,000万円 −(2,000万円+150万円)=850万円
※共有持分の場合は、この金額に持分割合を掛けて、自身の課税対象額を算出します。

次に、この譲渡所得に対して税率を掛けて税額を計算します。税率は所有期間によって異なり、以下のとおりです。

所有期間 所得税率
5年超 15%
5年以下 30%

先ほどの例で譲渡所得が850万円の場合、 以下が一つの目安となります。

・短期(5年以下):約850万円 × 39% ≒ 約331万円
・長期(5年超):約850万円 × 20% ≒ 約170万円

このように、所有期間が5年を超えるかどうかで税率が大きく変わるため、売却時期によって手取り額に大きな差が生じます。そのため、売却予定の不動産が「取得から5年に近いタイミング」にある場合は、あえて売却時期を調整することで、税負担を大きく抑えることが可能です。

なお、譲渡所得は「利益」に対して課税されるため、売却しても利益が出ていなければ税金は発生しません。また、取得費が不明な場合や、相続で取得した不動産の場合などは計算が複雑になるため、税理士へ相談するケースも多く見られます。

特に共有不動産は持分ごとの計算や費用按分が必要になるため、誤って申告すると税額に差が出る可能性があります。

そのため、不動産会社や買取業者に売却する場合でも、税金面について事前に確認しておくか、必要に応じて専門家へ相談しておくと安心です。

共有不動産を現金化する以外に共有状態から抜け出す方法

共有不動産を所有している場合、現金化が難しいケースもあるかもしれません。その場合、「現金化以外の方法で共有状態から抜け出したい」と考える人もいることでしょう。

実際の現場でも、「もうこの共有関係を解消したい」「売るよりも関係を整理したい」というご相談をいただくことは多くあります。

共有不動産を現金化する以外に共有状態から抜け出す方法には、下記が挙げられます。

  • 自分の共有持分を放棄する
  • 自分の共有持分をほかの共有者に譲渡する

いずれも金銭的なリターンよりも「共有関係から離脱すること」を優先する方法です。ここからは、それぞれの方法について具体的に解説していきます。

自分の共有持分を放棄する

持分の放棄とは、自身が保有している共有持分を手放し、共有関係から離脱する方法です。共有者は、原則として他の共有者の同意がなくても放棄できます。

放棄された持分は「帰属」という形で他の共有者に移転し、持分割合に応じて自動的に分配されるのが原則です。

第二百五十五条
共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。
引用元 民法 | e-Gov 法令検索

ただし、持分放棄は対価を受け取ることなく権利を手放す手続きであり、売却のように現金を得ることはできません。そのため、「金銭的なメリットよりも、とにかく共有関係を解消したい」という場合に検討される方法です。

また、注意点として、放棄自体は単独で行えるものの、登記上の名義変更には他の共有者の協力が必要になります。

そのため、登記が完了しない限りは固定資産税の納税義務などが残る可能性があります。完全に負担から解放されるには、他の共有者の協力を得て名義変更まで完了させる必要があるのが実情です。

このように、持分放棄は「確実に関係を断ちたい場合の最終手段」であり、事前に他の共有者の協力体制も含めて確認しておくことが重要です。

自分の共有持分をほかの共有者に譲渡する

自分の共有持分をほかの共有者に譲渡する方法も、共有不動産を現金化する以外に共有状態から抜け出す手段のひとつです。

この方法は、特定の共有者に対して持分を移転するものであり、持分放棄とは異なり、譲渡先を自分で指定できる点が特徴です。

持分放棄との違いは以下のとおりです。

  • 持分放棄:自分の意思だけで放棄できるが、権利は自動的に他の共有者に帰属する。
  • 持分贈与(譲渡):譲る相手を自由に選べるが、相手の合意と手続きが必要。

たとえば、「特定の共有者にまとめたい」「管理している人に引き取ってもらいたい」といった場合には、有効な方法となります。ただし、無償譲渡は相手の同意が前提となるため、持分放棄のように一方的に進められません。

また、無償であっても贈与に該当するため、受け取る側に贈与税が発生する可能性があります。年間110万円の基礎控除を超える場合は、贈与税の申告が必要です。

「誰に引き継がせるか」をコントロールできる一方で、相手の同意と税務面の調整が必要になる点に注意が必要です。

まとめ

共有不動産を現金化する方法には、「共有者全員の同意を得て不動産全体を売却する」「共有持分のみを売却する」「共有物分割請求によって強制的に現金化する」といった手段があります。

どの方法を選ぶべきかは、共有者の同意が得られるかどうかによって判断するとよいでしょう。

共有者全員の合意が取れる場合は、不動産全体を売却することで市場価格に近い金額での現金化が期待できます。一方で、合意が難しい場合には、自身の共有持分のみを売却する方法が現実的な選択肢となります。

また、話し合いによる解決が困難な場合には、最終手段として共有物分割請求を行う方法もありますが、競売によって価格が下がる可能性がある点には注意が必要です。

なお、共有持分であれば他の共有者の同意がなくても売却できるため、「合意が得られない」「早期に現金化したい」といった場合には有効な手段となります。

実務上は、「価格を優先するのか」「スピードや確実性を優先するのか」によって最適な方法は異なります。自身の状況や共有者との関係性を踏まえたうえで、最適な現金化方法を選択することが重要です。

共有不動産についてよくある質問

共有不動産を勝手に売却することはできませんか?

共有不動産全体を売却するには、共有者からの同意が必要です。そのため、共有不動産全体であれば、勝手に売却することはできません。
ただし、自分が持っている共有持分だけであれば、ほかの共有者の同意がなくても単独で売却できます。なお、共有持分を売却する場合は、権利関係の複雑さから、一般の不動産会社では取り扱いを断られるケースも多く、買い手が見つかりにくいのが実情です。

もし、自分の共有持分だけ売却したい場合は、共有持分に特化した買取業者へ依頼する方法が現実的です。

共有不動産や持分の専門買取業者の目的はなんですか?

専門の買取業者が共有不動産などを購入する目的は、転売や賃貸などでその不動産を活用して利益を出すことです。
なお、共有持分だけよりも、不動産全体を所有している方が物件を活用しやすくなります。 そのため、自社の利益を最優先とするような悪質業者の場合、共有持分を買い取ったうえで、共有持分割請求訴訟を起こしてくる可能性もあります。
共有者とのトラブルを避けるためには、買取業者の実績や口コミを確認し、契約内容や査定条件を明示している「信頼できる業者」を選ぶことが大切です。

共有不動産の現金化ではどのような費用がかかりますか?

共有不動産の売却によって利益が出た際には、基本的には譲渡所得税を納める必要があります。また、所有権移転登記の手続きの際には、登録免許税という税金もかかります。

共有不動産や共有持分をすぐに現金化したいのですが、なるべく早く売却する方法はありますか?

共有持分専門の買取業者がおすすめです。一般的な物件を扱う大手不動産会社よりも高額で売却可能で、最短数日で現金化ができます。また、離婚などで共有者どうしがトラブルになっている共有持分は、弁護士と連携している専門買取業者に相談するとよいでしょう。→ 共有持分専門の買取査定はこちら

「いろいろな不動産会社に買取を断られてしまった・・・」こんな共有持分・不動産でも売れるの?

不動産の買取自体を断られている物件でも売却できます。共有不動産は権利関係が複雑でコストもかかるので買取を積極的におこなっていない会社もあります。そういった場合も「共有持分の専門買取業者」へ売却するとよい結果が得られることが多いです。

共有持分に関するコラムはこちら

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    更新日 : 2025年11月07日
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