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共有名義の固定資産税を解説!支払い義務や計算方法、滞納リスクなどを解説

共有名義不動産の固定資産税を解説!支払い義務や計算方法、滞納リスクなどを解説

共有名義不動産の固定資産税は、共有者全員に支払い義務があります。これは「連帯納付義務」と呼ばれ、自分がその不動産に住んでいなくても、支払いを免れることはできません。

納税通知書は代表者1人に全員分が一括で届く仕組みで、各共有者の負担額は原則として持分割合に応じて決まります。実務上は、代表者がいったん全額を立て替えて納付し、他の共有者から持分に応じて精算するのが一般的です。

そのため、「他の共有者が自分の負担分を払ってくれない」「代表者として立て替え続けてつらい」といったトラブルが起きやすいのが共有名義不動産の固定資産税です。さらに、誰かが滞納すると連帯納付義務によって他の共有者の財産まで差し押さえられるおそれもあります。

まずは、自分の状況から取るべき行動を確認してみましょう。

状況別・まず取るべき行動
あなたの状況 まず取るべき行動
代表者として立て替えが続いている 内容証明郵便で負担分を催告し、立て替えた証拠を残す
支払いを催告された共有者が1年以上払わない 持分買取権(民法253条2項)の行使を検討する
固定資産税が高いと感じる 課税明細書で評価額を確認し、軽減措置の適用漏れがないかチェックする
負担から完全に解放されたい 持分売却・全体売却・放棄などで共有状態を解消する
代表者を変更したい 共有者の同意を得て、自治体に代表者の変更届を提出する

本記事では、共有名義不動産の固定資産税について、支払い義務者・負担割合・代表者の仕組み・計算方法・滞納リスク・払わない共有者への対処法・負担から解放される方法までを解説します。

matsuuratamae
監修
松浦玉枝税理士事務所
松浦玉枝(税理士)

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共有名義の固定資産税は共有者全員に「連帯納付義務」がある

共有名義の不動産にかかる固定資産税は、共有者全員が連帯して納付する義務を負います(地方税法10条の2)。

「連帯納付義務」とは、各共有者が税額の全額について支払い責任を負うという意味です。持分割合に応じた金額だけを払えばよい、というわけではありません。

たとえば共有者が3人で固定資産税が15万円の場合、3人それぞれが「15万円全額」の納付義務を負います。なぜ全額なのかというと、固定資産税は持分ごとに分けて課税されるのではなく、不動産(共有物)全体に対して一括で課税されるためです。自治体は共有者の誰に対しても全額を請求できる仕組みになっており、「自分は住んでいないから払わない」という言い分は、法的には通用しません。

ただし、共有者のうち誰か1人が全額を納付すれば、他の共有者の納税義務も消滅します。実務上は、後述する「代表者」が全額を納付し、共有者間で持分に応じて精算する形が一般的です。

この「代表者が立て替え、あとで他の共有者から回収する」という仕組みそのものが、トラブルの火種になりやすい点に注意が必要です。回収できないまま代表者だけが負担し続けたり、誰も代表になりたがらず納付が滞ったりするケースが後を絶ちません。だからこそ、「誰が代表になるか」「負担をどう分けるか」を、共有を始める段階で決めておくことが重要です。

負担額は原則として持分割合に応じて決まる

共有者間での実質的な負担額は、原則として持分割合に応じて決まります。これは「各共有者は、その持分に応じて共有物に関する負担を負う」と定めた民法253条にもとづくものです。

持分割合が大きい人ほど負担額も大きくなり、利用頻度や居住の有無は関係ありません。たとえば固定資産税が年20万円で、夫の持分3分の2・妻の持分3分の1なら、夫が約13万3,000円、妻が約6万7,000円を負担するのが基本です。「妻が住んでいて夫は別居している」といった事情があっても、按分の基準はあくまで持分割合です。

なお、共有者全員の合意があれば、「実際に住んでいるAさんが全額を負担する」といったように負担割合を自由に決めることもできます。ただし、口約束だけでは後から「言った・言わない」のトラブルになりやすいため、合意した内容は覚書などの書面に残しておきましょう。

納付書は代表者1人に届き、まとめて納付する仕組み

固定資産税の納税通知書は、共有者の代表者1人に、全員分の税額がまとめて送付されます。多くの自治体では、共有者ごとに納付書を分けて発行しません。

そのため、代表者がいったん全額を立て替えて納付し、後から他の共有者に持分割合で請求(精算)するのが一般的な流れです。代表者はあくまで「納付の窓口」であり、代表者だからといって全額を負担しなければならないわけではありません。他の共有者は、代表者から請求された自分の負担分を支払う義務があります

納付の時期や方法は自治体によって異なります。納期は年4回に分割するか一括かを選べることが多く、たとえば東京都では6月・9月・12月・翌年2月、愛知県では4月・7月・12月・翌年2月が納期とされています。納付方法も、窓口・口座振替・クレジットカード・スマホ決済など、自治体ごとに選択肢が用意されています。なお、一部の自治体では、共有者ごとに個別の納付書を発行してくれるケースもあります。

ただし、納付書が別々になっても連帯納付義務自体は消滅しないため、他の共有者が滞納すれば自分に請求が来る点には注意が必要です。

共有名義の固定資産税における納付代表者の決まり方と変更手続き

共有名義不動産の固定資産税では「代表者」が重要な役割を果たします。ここでは、次の3点を解説します。

  • 代表者の決まり方(購入・相続で異なる)
  • 代表者を変更したいときの手続き
  • 代表者が死亡した場合の対応

代表者の決まり方は不動産の取得状況によって異なる

代表者がどのように決まるかは、その不動産を購入で取得したか、相続で取得したかによって大きく異なります。購入の場合は自治体が独自の基準で自動的に選び、相続の場合は相続人からの届出で決めるのが基本です。

共有名義不動産は相続をきっかけに生じるケースが圧倒的に多く、相続では「届出をしないまま放置した結果、思わぬ人が代表者になっていた」というトラブルが起こりがちです。

イエコン編集部に寄せられた声
「父名義の実家を兄弟3人で相続したあと、特に手続きをしていなかったら、いつの間にか私が代表者になっていて、納税通知書がすべて自宅に届くようになっていました。固定資産税の立て替えも請求も自分がやることになり、負担に感じています」(50代・男性)

購入で共有名義にした場合|自治体の基準で選定される

夫婦や親子で購入して共有名義にした場合などは、自治体が独自の基準で代表者を選定します。

多くの自治体で共通する基準は以下のとおりです。

  • 持分割合が多い人
  • その不動産の所在地に住んでいる人
  • 世帯主
  • 登記の順番が早い人

優先順位は自治体ごとに異なりますが、大枠はほぼ共通しています。

代表者はあくまで自治体が事務的に決めるものであり、代表者に選ばれたからといって、その人が固定資産税を全額負担する義務を負うわけではありません。

選ばれた代表者は納付の窓口になるだけで、実際の負担は持分割合に応じて共有者間で分け合います。もし選ばれた代表者で都合が悪い場合は、後述する「代表者の変更届」で変更できます。

相続で共有名義になった場合|相続人同士の話し合いで決める

相続によって共有名義になった場合は、自治体から法定相続人の1人に「相続人代表者指定届」が送付されます。この届出によって代表者を決めるのが基本です。

届出をしないと、自治体が法定相続人の中から基準に沿って代表者を選定します。その結果、相続放棄した人や遺産分割で不動産を相続しなかった人のところに納税通知書が届くなど、混乱が起きることもあります。

特に、遺産分割協議がまとまるまでの間は、不動産は相続人全員の共有状態です。この段階で代表者を届け出ておかないと、「誰が払うのか」があいまいになり、納付漏れにつながりかねません。相続が発生したら、早めに相続人代表者を届け出ておくことが大切です。

なお、2024年4月からは相続登記も義務化されており、相続を知った日から3年以内の登記が必要になっている点もあわせて押さえておきましょう。

代表者を変更したいときの手続き

代表者を変更したい場合は、「共有代表者変更届(代表者指定変更届出書)」を管轄の自治体に提出します。

新代表者・旧代表者の署名・押印が必要で、自治体によっては共有者全員の同意を求められることもあります。注意点として、変更は届出をした翌年度から反映されます(固定資産税の課税基準日は毎年1月1日のため)。

また、代表者が自分の持分を売却して共有関係から抜ける場合も、新しい代表者を届け出る必要があります。届出書の様式は自治体によって異なるため、事前に窓口で確認するとスムーズです。

代表者が死亡した場合の対応

代表者が死亡した場合は、代表者の持分を相続した人、または他の共有者の中から新たな代表者を届け出ます。

届出をしないまま放置すると、納税通知書が届かなくなり、知らないうちに滞納してしまうリスクがあります。代表者の死亡が判明した時点で、速やかに自治体の資産税課(固定資産税担当窓口)へ連絡し、手続きを確認しましょう。

共有名義の固定資産税を計算する方法

共有名義不動産の固定資産税は、①土地の税額を計算 → ②建物の税額を計算 → ③合算して持分割合で按分という3ステップで求めます。

なお、正確な税額は毎年送られてくる課税明細書で確認するのが最も確実です。課税明細書には、土地・建物それぞれの固定資産税評価額(価格)、課税標準額、税相当額などが記載されています。

自分で一から計算しなくても、この明細書を見れば不動産全体の固定資産税額がわかるため、まずは手元の課税明細書を確認するのがおすすめです。そのうえで、全体額に自分の持分割合をかければ、自分の負担額を把握できます。以下では、計算の仕組みを理解するために各ステップを解説します。

なお、市街化区域内の不動産では、固定資産税とあわせて「都市計画税」(制限税率・上限0.3%)も課されることがあります。固定資産税の1.4%は自治体が条例で変更できる「標準税率」ですが、都市計画税の0.3%は「これ以上は課税できない」という上限が定められた「制限税率」です。都市計画税も同じ納税通知書に記載され、固定資産税と同様に共有者全員の連帯納付義務の対象で、負担も持分割合で按分します。

1. 土地の固定資産税を計算する

土地の固定資産税は、次の計算式で求めます。

土地の固定資産税=固定資産税評価額×税率(標準1.4%)

税率は標準で1.4%ですが、自治体によって異なる場合があります。固定資産税評価額は、課税明細書または固定資産課税台帳で確認できます。手元に資料がなく概算で試算したい場合は、路線価(路線価が設定されていない地域では近隣の評価額など)を参考にする方法もあります。

たとえば土地の固定資産税評価額が1,800万円の場合、住宅用地の特例が適用されないと「1,800万円×1.4%=25万2,000円」が税額の目安です。後述する住宅用地の特例が適用されると、この税額が大きく下がります。

住宅用地の特例

居住用の建物が建っている土地には、「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税が大きく軽減されます。

住宅用地の特例による軽減
区分 軽減内容
小規模住宅用地(200㎡以下の部分) 課税標準額が評価額の1/6になる
一般住宅用地(200㎡超の部分) 課税標準額が評価額の1/3になる

この特例は共有名義でも適用され、軽減後の税額を持分割合で按分します。たとえば200㎡以下の小規模住宅用地で、本来の評価額にもとづく税額が年9万円のケースなら、特例によって6分の1の約1万5,000円まで軽減される計算です。

注意したいのは、建物を取り壊して更地にすると特例が外れ、土地の固定資産税が最大で約6倍になる点です。空き家を解体して更地で売ろうとした結果、売れるまでの間の税負担が一気に増えた、というケースもあります。空き家を放置して「特定空家」に指定された場合も、同様に特例が外れることがあるため注意が必要です。

2. 建物の固定資産税を計算する

建物の固定資産税も、計算式は土地と同じです。

建物の固定資産税=固定資産税評価額×税率(標準1.4%)

建物の評価額は「再建築費評点数×経年減点補正率×評点1点あたりの価額」で算出されますが、一般の人が自分で正確に計算するのは難しいのが実情です。簡易的に試算する場合は「購入価格の50〜70%程度」を目安にするとよいでしょう。建物の評価額は経年劣化によって年々下がっていきます。

新築住宅に係る固定資産税の減額措置

新築住宅には、一定期間にわたって建物の固定資産税が2分の1に減額される措置があります。床面積などの要件を満たす一般の新築住宅では新築後3年間、3階建以上の耐火・準耐火建築物では新築後5年間が対象です(長期優良住宅はさらに延長されます)。

たとえば建物の固定資産税が年12万円の新築住宅なら、減額期間中は半額の6万円になります。ただし、減額期間が終わると本来の税額に戻るため、「急に固定資産税が上がった」と感じる原因になりがちです。適用期間や要件は制度改正で変わることがあるため、新築の場合は課税明細書や自治体窓口で確認しましょう。

持分割合で按分して各共有者の負担額を出す

土地と建物の税額を合算した「不動産全体の固定資産税」に、各共有者の持分割合をかけると、それぞれの負担額が求められます

各共有者の負担額=不動産全体の固定資産税×各共有者の持分割合

具体的な計算例を見てみましょう。土地の固定資産税15万円・建物の固定資産税10万円で、合計25万円の不動産を、Aさん(持分50%)・Bさん(30%)・Cさん(20%)の3人で共有しているケースです。

負担額のシミュレーション(全体25万円の場合)
共有者 持分割合 負担額
Aさん 50% 12万5,000円
Bさん 30% 7万5,000円
Cさん 20% 5万円

なお、自治体の評価ミスなどで、本来より高い税額を払い続けているケースもあります。よくある誤りには、次のようなものがあります。

  • 住宅用地の特例が適用されていない(本来は軽減されるはずの土地)
  • 建物の滅失(取り壊し)が反映されておらず、すでにない建物に課税されている
  • 地目や床面積などの登録内容が現況と違っている

課税明細書の内容と現況を照合し、誤りが疑われる場合は「固定資産評価審査委員会」へ審査を申し出ることができます。評価額が修正されれば、払いすぎた分が還付される場合もあります。「毎年同じだから」と納付書を見直さずにいると、誤りに気づけません。年に一度は課税明細書に目を通しておきましょう。

共有名義の固定資産税を滞納するリスク

共有名義不動産では、固定資産税を滞納するとその影響が自分だけでなく、他の共有者にも及びます。連帯納付義務があるため、「自分はきちんと負担分を払っていたのに、他の共有者の滞納のせいで自分の財産が差し押さえられる」という事態も起こり得ます。

滞納は「延滞金の発生 → 督促 → 差し押さえ」という段階で進行します。それぞれの段階を具体的に見ていきましょう。

延滞金が発生する

納期限の翌日から、延滞金が発生します。割合は年によって変動しますが、令和7年時点では以下が目安です。

延滞金の割合(令和7年時点の目安)
期間 割合(年率)
納期限の翌日~1か月 約2.4%
1か月経過後 約8.7%

たとえば滞納額6万円を140日間滞納した場合、延滞金は約1,600円程度です。金額だけ見ると小さく感じますが、滞納が続くと金額が膨らむうえ、次の段階である督促・差し押さえに進むリスクがある点が問題です。

特に注意したいのは、共有名義では税額そのものが大きくなりやすく、滞納したときの延滞金も膨らみやすいことです。また、延滞金は本来の税金(本税)とは別に上乗せされるため、後でまとめて払おうとすると想定以上の出費になりがちです。納付が遅れそうなときは、放置せず早めに自治体へ相談することが、余計な負担を防ぐことにつながります。

自治体から督促状が届く

固定資産税を滞納すると、納期限後20日以内に督促状が発送されます(地方税法329条)。

そして、督促状が発送されてから10日が経過すると、法律上は差し押さえの要件が整います(地方税法331条)。実務上は、督促状の後にさらに催告書や電話連絡などで段階的に対応されることが多いですが、放置は禁物です。

共有名義の場合、督促状は基本的に代表者に届きます。そのため、代表者以外の共有者は、滞納が起きていること自体に気づきにくいという落とし穴があります。「自分は負担分を渡していたから大丈夫」と思っていても、代表者が納付していなければ全員が滞納者扱いになります。この段階で自治体に相談すれば、分割納付や納税の猶予を認めてもらえるケースもあるため、督促に気づいたら早めに動きましょう

共有者全員の財産が差し押さえの対象になる

連帯納付義務(地方税法10条の2)があるため、滞納が続くと滞納した本人だけでなく、共有者全員の財産が差し押さえの対象になり得ます。

差し押さえの対象になる財産・ならない財産
対象になる主な財産 対象にならない主な財産
預貯金、給与・賞与、自動車や貴金属などの動産、共有不動産そのもの 生活に必要な最低限の財産、年金、生活保護費など

注意したいのは、「代表者に自分の負担分を渡していたのに、代表者がそれを納付しておらず滞納になっていた」というケースです。こうした事態を防ぐため、納税証明書などで定期的に納付状況を確認し、滞納が判明したらすぐに自治体へ代表者変更の届出を出すことが有効です。

共有名義人が固定資産税を払わないときの対処法

共有名義人が固定資産税を払わないトラブルは、共有名義の不動産で最も起こりやすい問題の1つです。「自分は住んでいないから払わない」と拒否される、代表者が立て替え続けて不満が募る、相続後に連絡が途絶えて請求できなくなる、といったパターンが典型です。

イエコン編集部が共有名義不動産を所有している方142名にアンケートを実施したところ、「他の共有者が自分の負担分を払ってくれない」と回答した方が38.0%にのぼりました。固定資産税の負担をめぐるトラブルは、決して珍しいものではありません。

共有名義の固定資産税で実際に困ったこと(複数回答可)
困りごと 回答割合
そもそも誰がいくら払うのか分からなかった 46.5%
他の共有者が自分の負担分を払ってくれない 38.0%
代表者として立て替えが続き負担が不公平 33.1%
自分は住んでいないのに払い続けている 27.4%

集計期間:2026年4月~2026年5月
集計方法:インターネット

イエコン編集部に寄せられた声
「親から相続した実家を兄と2分の1ずつ共有している。兄は『お前も相続したんだから半分払え』と言うが、私は遠方に住んでいて使ってもいない。固定資産税をどちらがどれだけ負担するかで毎年もめてしまい、私が立て替えて兄に請求しても応じてもらえない状態が続いている」(50代・女性)

共有者が払わないときは、次の順番で段階的に対処するのが基本です。

  • まずは立て替えて納税を優先する
  • 内容証明郵便で負担分を請求する
  • 1年以上払わない場合は持分買取権を行使する
  • それでも解決しなければ支払督促・少額訴訟を検討する

ここからは、それぞれの対処法を詳しく解説します。

まずは立て替えて納税を優先する

共有者が払わない場合でも、滞納すると共有者全員に延滞金や差し押さえのリスクが及びます。そのため、まずは立て替えてでも納税を優先しましょう。

立て替えた分は、「求償権」(民法442条)にもとづいて、後から滞納している共有者に請求できます。たとえば固定資産税25万円のうち、持分20%のCさんが負担すべき5万円を代表者が立て替えた場合、代表者はCさんに対して5万円を請求できる、ということです。

この求償権の消滅時効は、立て替えた日から5年間です。時効が成立すると請求できなくなるため、立て替えが続いている場合は早めに請求・催告することが大切です。あとで確実に請求できるよう、納付書の控え・領収書・振込記録など「自分が立て替えた証拠」は必ず保管しておきましょう。

内容証明郵便で払わない共有者に負担分を請求する

口頭での請求は「言った・言わない」の水掛け論になりがちです。確実に請求するには、内容証明郵便を使った書面での請求が有効です。

内容証明郵便なら、いつ・誰に・どのような内容を送ったかを郵便局が公的に証明してくれます。これは、後の法的手続き(支払督促・訴訟・持分買取権の行使)の証拠になるほか、催告した日を記録に残すことで求償権の時効管理にも役立ちます。

支払いを催告されてから1年以上払わない場合は持分買取権を行使する

共有者が催告されてから1年以上にわたって負担分を支払わない場合、その共有者の持分を強制的に買い取ることができます(持分買取権・民法253条2項)。
持分買取権を行使する大まかな手順は、次のとおりです。

  1. 負担分の支払いを請求・催告する(内容証明郵便で記録を残す)
  2. 催告から1年が経過しても支払いがないことを確認する
  3. 「相当の償金」を支払って相手の持分を取得する(買取の意思表示)
  4. 持分移転の登記を行う

買取価格(償金)は、不動産鑑定士による評価額×相手の持分割合が基本です。価格について話し合いがまとまらない場合は、調停や訴訟で決めることになります。持分買取権は相手の同意がなくても行使でき、相手が拒否することはできません。ただし手続きが複雑なため、弁護士に依頼するのが一般的です。

それでも解決しない場合は支払督促・少額訴訟を検討する

立て替え分の回収がどうしても進まない場合は、裁判所を通じた手続きを検討します。

  • 支払督促:裁判所に申し立て、書類審査のみで支払いを命じてもらう手続き。相手が異議を出さなければ確定します
  • 少額訴訟:請求額が60万円以下の場合に利用でき、原則1回の審理で判決が出ます

支払いを命じる判決などが確定しても相手が支払わない場合は、強制執行(預貯金や給与の差し押さえなど)に進むことになります。

共有者が払わないときの対応フロー
口頭で請求 → 応じない → 内容証明郵便で催告 → 応じない → 催告から1年経過 → 持分買取権の行使、または支払督促・少額訴訟 → 強制執行
連絡が取れない・認知症の共有者がいる場合は
ここまでの対処法は、共有者と連絡が取れることが前提です。共有者が行方不明だったり、認知症などで判断能力を欠いていたりする場合は、催告や請求そのものが相手に届かず機能しません。
行方不明の場合:2023年4月施行の民法改正で新設された「所在等不明共有者の持分取得制度」(民法262条の2)などを使い、裁判所の手続きを通じてその持分を取得・整理する方法があります。
認知症などの場合:本人に代わって財産を管理する「成年後見人」の選任が必要になります。後見人が選ばれれば、その後見人と負担分の精算や共有状態の解消を進められます。
いずれも裁判所の手続きが絡んで専門性が高いため、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。

連絡が取れない・判断能力がない共有者がからむケースは、自力での解決が難しく時間もかかります。トラブルがこじれる前に、共有状態そのものを解消してしまうのも有効な選択肢です。

共有名義の固定資産税から根本的に解放される方法

固定資産税の負担を根本的になくすには、共有状態そのものを解消する必要があります。主な方法は次の4つです。それぞれメリット・デメリットがあるため、共有者との関係や不動産の状況に合わせて選びましょう。

共有状態を解消する主な方法
方法 特徴 向いている人
自分の持分のみを売却する 他の共有者の同意は不要。買取業者への直接売却が一般的で、最短数週間で現金化できる。ただし価格は市場価格×持分割合より低くなりやすい 共有者と対立している・早く負担から抜けたい人
不動産全体を売却する 共有者全員の合意が必要。市場価格で売れて手取りが最も大きくなりやすい。代金は持分割合で分配する 全員が売却に前向きで手取りを重視する人
共有持分を放棄する 放棄した持分は他の共有者に帰属する(民法255条)。対価は得られず、受け取る側にみなし贈与の可能性、登記に相手の協力が必要 対価不要でとにかく負担から抜けたい人
共有物分割請求をする 裁判所が分割方法(現物・代償・換価)を決める。競売は市場価格の6〜7割になりやすく、費用は数十万〜数百万円、期間も半年〜2年かかる 話し合いがまとまらない人

固定資産税の負担から抜けたいだけであれば、まずは他の共有者の同意なしでできる「自分の持分のみの売却」から検討するのが現実的です。各方法の詳しい手順・費用・注意点は、以下の記事で解説しています。

まとめ

共有名義不動産の固定資産税は、共有者全員が連帯して納付する義務(連帯納付義務)を負う点が最大の特徴です。自分がその不動産に住んでいなくても、また「自分の持分ぶんは払った」という場合でも、他の共有者が滞納すれば残額の請求は自分にも及びます。各共有者の最終的な負担は持分割合で決まり、実務上は代表者が市区町村からの納税通知書を受け取って一括で納付し、あとから他の共有者に持分割合で精算するのが一般的です。

問題になりやすいのは、代表者の立て替えが回収できない/特定の共有者が払わないケースです。放置して滞納が続くと、延滞金が上乗せされるだけでなく、連帯納付義務によって払っている共有者の財産まで差し押さえの対象になりかねません。立て替えや未払いのトラブルは、催告→求償→持分買取権→法的手続きと段階的に対処でき、最終的には共有状態そのものを解消することで将来の負担リスクを断ち切れます。

よくあるトラブルと対策を整理しておきましょう。

共有名義の固定資産税・よくあるトラブルと対策
よくあるトラブル とるべき対策
代表者の立て替え分を回収できない 内容証明で催告し、求償権(時効5年)にもとづいて請求する
特定の共有者が1年以上払わない 持分買取権(民法253条2項)の行使を検討する
固定資産税が高いと感じる 課税明細書で評価額や住宅用地特例の適用漏れを確認する
負担そのものから抜けたい 持分売却・全体売却・放棄などで共有状態を解消する
共有者が音信不通・認知症 不在者財産管理人・成年後見人の選任を視野に弁護士へ相談する

まずやるべきは、課税明細書で「誰が・いくら・どの持分で負担しているか」を共有者間で共有し、精算ルールを書面で決めておくことです。それでも支払いに応じない共有者がいる、立て替えが膨らんでいる、という段階に来ているなら、共有解消も含めた対応を検討するタイミングです。

固定資産税の負担やトラブルは、放置するほど解決が難しくなります。立て替えや滞納で困っている場合は早めに弁護士へ、評価額や手続きの疑問は管轄の自治体窓口へ相談しましょう。

共有名義の固定資産税に関するよくある質問

納付書を共有者それぞれに分けて送ってもらうことはできる?

多くの自治体では、共有者ごとに納付書を分けて発行していません。代表者1人に全員分が一括で届くのが原則です。ただし、一部の自治体では共有者ごとの個別発行に対応しているケースもあるため、希望する場合は管轄の自治体窓口に確認してみましょう。

共有名義にしたら固定資産税は安くなる?

安くなりません。固定資産税は不動産全体の評価額をもとに算出されるため、所有者の人数は税額に影響しません。ただし、1人あたりの負担額は持分割合に応じて小さくなります。

年途中で持分を売却した場合、固定資産税はどうなる?

固定資産税は毎年1月1日時点の所有者に課税されるため、年の途中で売却しても、その年の分は売主に課税されます。実務上は、売買契約時に引渡し日を基準として日割り精算するのが一般的です。

共有名義の固定資産税は確定申告で経費にできる?

その共有不動産から賃貸収入を得ている場合は、各共有者が持分割合に応じた収入と経費(固定資産税を含む)をそれぞれ確定申告します。自分が住んでいるだけのマイホームの固定資産税は、経費にはできません。

共有持分に関するコラムはこちら

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    更新日 : 2026年07月17日
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