土地の売却を検討するにあたって、相場価格はもっとも気になるポイントです。
相場を把握しておけば、自分の土地がいくらで売れるのかわかりますし、悪徳不動産会社に買い叩かれるようなことも防げます。
しかし、土地の価格にはいくつもの判断基準があるため、不動産の専門家でもない限り、適正な相場価格を判断するのはむずかしいでしょう。
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土地売却において参考にする価格は3種類
土地の相場を知りたい場合、平均的な土地の売買価格を調べる必要があります。
そのためには、土地の価格を決める仕組み自体を理解しておく必要もあるでしょう。
土地の価格を決める方法としては、以下の4種類の仕組みが存在します。
- 行政が公表している土地評価額を参考にする
- 不動産鑑定士による鑑定額を参考にする
- 不動産会社による査定額を参考にする
このうち評価額・鑑定額・査定額はあくまで参考でしかなく、最終的には買主との交渉によって売却価格が決められます。
まずは土地の売買価格を決める仕組みについて、1つずつ見ていきましょう。
行政が公表している「土地評価額」
土地の売買価格である「地価」の相場を調べる場合、行政が公表している土地評価額を参考にできます。
行政が公表している土地評価額には、以下の5種類があります。
- 実勢価格
- 公示地価
- 基準地価
- 路線価
- 固定資産税評価額
それぞれどのような土地評価額なのか、1つずつ見ていきましょう。
実勢価格
実勢価格(時価)は「市場で実際に売買されている価格」のことで、過去の取引事例などから推測できます。
実際に売買されている価格ということで、売主と買主の需要と供給が釣り合う価格との解釈もできるでしょう。
ただし、土地というのはそれぞれ同じものは存在せず、その土地ごとに異なる評価がされるため、平均的な価格相場というものを求めることは困難です。
そのため、取引された事例を寄せ集めて実勢価格が推測できたとしても、その価格帯にはある程度の幅があるということをおさえておくとよいでしょう。
公示地価と基準地価
公示地価とは、国土交通省から選出された2名の土地鑑定士が、選定された標準地1㎡あたりの価格を鑑定評価し公表している「土地の取引における規準指標となる価格」のことです。
ちなみに公示地価は1月1日時点での価格で、実勢価格の90%が目安となります。
地価が公示される標準地は、周辺状況やライフラインの整備状況なども加味され、形状や面積が標準的と思われる土地が選ばれます。
次に、基準地価は「都道府県から選出された不動産鑑定士の評価を取りまとめた全国の土地の価格」です。
公示地価との違いは、調査と評価をするのが国土交通省ではなく都道府県ということと、毎年7月1日時点での価格という点です。その他の評価基準などは同等のものとなります。
路線価
路線価は「不特定多数が通行する公道(個人の敷地にある私道は含まない)に面した1㎡あたりの土地の評価額を1,000円単位で表したもの」です。
路線価には、相続税を算出するための「相続税路線価」と、固定資産を算出するための「固定資産税路線価」の2種類があります。
これらの路線価は公示地価や実勢価格、不動産鑑定士による鑑定評価額などを参考に価格が定められます。
相続税路線価は公示地価の80%、固定資産税路線価は公示地価の70%が目安です。
また、この路線価は国税庁が毎年7月~8月に公表するもので、相続税や贈与税を算出するときの指標となります。
固定資産税評価額
固定資産税評価額は「固定資産税や都市計画・不動産所得税・録免許税などを算出するときの基準となる価格のことです。」
国で定められている固定資産評価基準に基づき、知事や市町村長が評価額を決め「固定資産課税台帳」に登録されます。
固定資産税評価額は原則として、3年ごとに「評価替え」で公示地価の70%程度を目安に価格の見直しがおこなわれます。
不動産鑑定士による「鑑定額」
土地には形状や形質などが異なり、全く同じものというのがないため定価という概念がありません。そのため、その土地ごとに専門的な分析をおこない価値を測る必要があります。
それを主におこなうのが「不動産鑑定士」とよばれる人です。
不動産鑑定士は土地や建物などの不動産に関するあらゆる知識を持った専門家です。
いくらで売ることができるかという販売価格を算出するのではなく、純粋に不動産の価値を値段にすることに重きを置きます。
不動産鑑定士がおこなう査定を鑑定評価といい、法的にも効力のある査定書が作成される査定方法となるので、一般的な売却ではあまり利用されません。
不動産会社による「査定額」
土地をどの程度の販売価格で売り出すかは、不動産会社と売主が相談して決定します。
不動産会社は「宅地建物取引業者(宅建業者)」の資格を有しており、土地や建物を売主として販売することや、お客様同士の貸借、売買取引の代理や仲介などをおこないます。
不動産会社がおこなう価格査定は鑑定士がおこなう査定とは違い、周辺の取引価格などを参考にあくまで「意見」として査定価格を算出します。
一般的な売却依頼では、不動産会社に価格査定をしてもらうことが多いでしょう。価格査定は原則無料で、仲介業務のサービスの一環としておこなわれます。
土地の売却については、まず不動産会社に査定額を算出してもらい、自身が希望する売却金額と比較検討のうえ、市場に出すための売り出し価格を決めることになります。
土地の売却価格は最終的に買主との交渉で決まる
売り出し価格を決めて土地を売り出しても、買主との価格交渉が発生することがあります。
例えば、買主から「少し価格を下げてくれないか」と交渉された場合、事前に決めた売り出し価格に比べて、実際の売却価格を値下げするケースも考えられます。
つまり、土地の売却価格とは、最終的には売主と買主の交渉によって決定した金額となります。
土地評価額・鑑定額・査定額はあくまで参考でしかないので、実際の売却価格とはかけ離れてしまうケースもあるため注意しましょう。
土地売却額の相場を自分で調べる方法
土地の売却相場は自分自身で調べることができます。ただし、相場と実際の売却価格は必ずしも近い値段になるとは限りません。
前述しましたが、買主との交渉などを経て取引が成立したときの値段がその土地の適正な地価だと判断されます。そのため、他の土地の売却価格と比較して大きく価格が異なる場合もあります。
個々で価値を判断する土地などの不動産は、売買取引が成立した事例の積み重ねによって相場がみえてくるのが特徴です。
インターネットを利用して一括査定を受ける
もっとも手軽に、そして確実に土地の相場価格を調べるなら、インターネットの一括査定で複数の不動産会社を比較しましょう。
不動産会社なら、過去の売買事例に加え、最新の市場動向などから「この土地ならこれくらいの価格で売れる」という現実的な数値を導き出せます。
しかし、不動産会社によって所有しているデータや分析方法が異なるため、査定価格も数百万円単位で変わる可能性があります。
そのため、インターネットの一括査定で複数の不動産会社を比較し、標準的な相場価格を把握することが大切です。
当サイトからも、無料の一括査定を申し込めます。全国から厳選された優良不動産会社に査定を依頼できるので、土地売却の際はぜひ活用してみてください。
不動産ポータルサイトで相場を調べる
SUUMO(スーモ)やHOME'S(ホームズ)などの不動産ポータルサイトに掲載されている物件情報から、土地の販売価格を調べる方法があります。
売買取引がおこなわれる前の「売り出し価格」ですので、正確な相場とはいえませんが参考になるでしょう。
立地や土地面積など、似たような条件で絞り込んで、どのくらいの値段で販売されているかを見てみましょう。複数の物件を見て平均的な販売価格はどのくらいかを判断するとよいでしょう。
成約価格から相場を予測する
実際に成約に至った土地売買の成約価格情報を見ることのできる、国土交通省のサイト「不動産取引価格情報検索」を利用して相場を予測することができます。
取引総額や坪単価など成約された取引についての情報が詳細に掲載されています。
実際に売買された価格なので、比較的に正確な相場が予測できるのがポイントでもあります。
また、このサイトは情報が一覧で表示され、取引総額が高い順や面積が広い順などでソートができるので比較がしやすいというメリットがあります
国土交通省のサイトから公示地価や基準地価を調べる
公示地価と基準地価は国土交通省のサイト「地価公示・都道府県地価調査」で調べることができます。サイトの使い方と検索方法を簡単に説明します。
1.地域選択
まず、このサイトでは複数の地域(複数検索地域選択)から調べる方法と、詳細な地名(検索地域指定)から調べる方法があります。複数の地域で調べるよりも、詳細な地名で調べたほうが分かりやすいでしょう。
2.地名選択・入力
複数の地域で調べる場合、表示したい都道府県と市区町村にチェックをいれます。
詳細な地名で調べる場合、地名などの入力をしていきますが、すべての情報を入れなくても検索することができるので、地名がわからない場合は、都道府県名と市区町村名だけ入力して検索しましょう。
3.検索条件指定
「検索条件指定」では、さまざまな条件を指定して検索できます。
調査年は任意の期間を設定できますが、基本的には「最新調査年のみ」を選択しておけば問題ないでしょう。
指定した条件で検索をすると情報が一覧表示されるので、自身の土地と条件が似ている土地の取引適正価格を調べて、相場の参考にしてみてください。
ただし、公示地価と基準地価は「必ずこの価格帯で取引しなければいけない」という価格ではなく、あくまで指標です。
実際の取引では、公示地価や基準地価と同じ価格になることは少ないため注意しましょう。
路線価から相場を調べる
路線価は公示地価の80%程度となるように設定されていることから、路線価を1.25倍することによって相場を知るために必要な公示地価を求めることができます。
そのためにはまず、路線価を調べなくてはなりません。路線価を調べる際に役に立つのが、一般財団法人 資産評価システム研究センターのサイト「全国地価マップ」です。このサイトでは地図上で路線価を調べることができます。
今回は東京都の中央区付近の路線価図を表示してみました。
参照:「全国地価マップ」(一般財団法人 資産評価システム研究センター)
路線価図の道路には「800B」などの表示があります。「B」などのアルファベットは借地権の割合を表すものですが、今回の記事では詳しい説明を割愛します。
アルファベット以前の数字は路線価を表すもので、具体的に説明すると実際の路線価を1/1,000で表示したものとなります。そのため、この数字に1,000を掛けることで元の価格がわかります。
例えば、路線価800Bの場合「800×1,000=80万円」となり、1㎡あたり80万円ということがわかります。
なぜ1,000を掛けるのかというと、路線価は「1㎡あたりを1,000円単位で表示した土地の評価額」とされているためです。このことから、例として出した路線価図の800という表示は「800千円」という意味になります。
路線価を算出することができたら、その値に土地の面積(例:100㎡)を掛けることで、土地のおおよその評価額がわかります。
このように、路線価から土地の評価額を求めることもできます。
ただし、借地権の割合や面している道路の数、土地の利用状況などによって土地の評価額は調整されます。詳しくは以下リンクの国税庁のサイトを参考にしてみるとよいでしょう。
土地売却では何の価格を参考にするべき?
土地をなるべく高い値段で売りたい、損をしたくないと考えている人は、相場を把握することが大事です。
しかし、ここまで解説したようにさまざまな価格があるため、どれを参考にするべきか迷う人も多いでしょう。
自分の予想どおりの金額で土地を売却するには、売りたい土地と似ている土地の相場を知ることが大切です。
最後に数ある価格の中から、どの評価額を参考にするべきか解説します。
売却相場を把握するなら公示地価を重視しよう
土地の売却相場を知るために、もっとも参考になるのは公示地価です。
取引における適正価格を知った上で、適切な価格設定で土地を売り出すことで物件が売れやすくなります。
また、土地がなかなか売れない場合も、価格設定の基準があることで売れない原因が価格なのか、その他の要因なのかという判断がしやすくなります。
また、公示地価から土地価格の上昇や下落率も把握できるため、土地価格が上昇しているタイミングを狙って売却することも可能です。
土地売却の計画を立てたい人や相場を把握したい人は、国土交通省のサイトにある公示地価に関連するデータを参考にするとよいでしょう。
まとめ
土地売却の経験が少なく、価格の相場がわからない人は少なくありません。
土地売却においては行政が公表している土地評価額をはじめ、さまざまな参考価格がありますが、最終的には買主との交渉で売却価格が決定されます。
しかし、土地の参考価格を調べる場合、行政のデータから評価額を調べて自分のケースに当てはめるとなると、時間も手間もかかってしまいます。
そうした場合、まずは不動産会社へ査定を依頼して、土地の売却価格をある程度は把握しておくとよいでしょう。
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