不動産売却の仲介手数料とは「不動産業者への成功報酬」
不動産売却にかかる費用において、大きな割合を占めるのが仲介手数料です。
仲介手数料は、不動産業者へ不動産売却の仲介を依頼した場合に、売却活動の対価として支払われます。
なお、仲介手数料は売買契約が成立したことに対して支払われるため、売買契約が成立しなかった場合は原則として発生しません。
不動産業者へ支払われる仲介手数料には、具体的にどのような費用が含まれるのでしょうか。
また、不動産売却で仲介手数料以外の費用がかかることはあるのでしょうか。
次の項目から「不動産売却で仲介手数料に含まれる費用・含まれない費用」について詳しく見ていきましょう。
不動産売却で仲介手数料に含まれる費用
不動産売却で仲介手数料に含まれる費用には、主に以下のようなものがあります。
- 不動産の査定費用
- 売却活動における広告宣伝費用
- 物件案内に立ち会う担当者の人件費・交通費
- 不動産の登記・権利情報の調査費用
- 重要事項説明書・売買契約書の作成費用
- 売却手続きに必要な書類の準備費用
- 売買契約から引き渡しまでの事務手続き費用
- 決済手続きにかかる手数料 など
売却活動における広告宣伝費用とは、例えば「不動産情報サイトへ掲載するための広告掲載費」や「ポストに配布するチラシの作成費用」などを指します。
不動産売却で仲介手数料に含まれない費用
不動産売却では、仲介手数料に含まれない費用が発生することもあります。
不動産売却で仲介手数料に含まれない費用には、例えば以下のようなものがあります。
- 売主の希望で特別な広告宣伝をおこなった際の費用
- 売主の希望で遠方の買主と交渉した際の出張費・交通費
他にも、土地の測量や建物の解体、荷物の保管やゴミの廃棄などについて、別途費用が発生することもあるので注意してください。
また、別荘や空き家になっている実家など、遠隔地の不動産を売却する場合は、地元の不動産業者へ建物の定期的な換気など管理を依頼するための費用がかかることもあります。
仲介手数料以外に費用がかかるのは「売主から特別な依頼があった場合のみ」
仲介手数料は、あくまでも「通常の不動産仲介業務に対して支払う費用」です。
そのため、売主の希望により通常の仲介業務の範囲を超えた特別な売却活動をおこなった場合は、それに伴う費用を全額請求されることがあるので注意してください。
ただし、このような仲介手数料以外の費用を請求できるのは「売主の希望で通常を超える業務をおこなった場合で、かつ実費が発生したときのみ」と決められています。
不動産業者と媒介契約を締結する際には、仲介手数料の中に含まれるサービスの種類や、受けたいサービスに別途費用が発生するかどうかを確認しておきましょう。
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不動産売却の仲介手数料はいくらかかる?
仲介手数料の金額は、宅地建物取引業法により国土交通大臣の定める上限金額を超えてはならないと定められています。
第四十六条 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる。
2 宅地建物取引業者は、前項の額をこえて報酬を受けてはならない。
引用:e-Govポータル「宅地建物取引業法第46条」
なお、国土交通省のサイトでは、仲介手数料の上限金額について以下のように告示されています。
不動産の売却価格 |
仲介手数料の上限 |
200万円以下 |
5% |
200万円超400万円以下 |
4%+2万円 |
400万円超 |
3%+6万円 |
※仲介手数料には別途消費税がかかります。
仲介手数料の計算例
例えば、売却価格が4,000万円の場合、仲介手数料の上限額は以下のようになります。
・200万円以下の部分:200万円×5%=10万円
・200万円超400万円以下の部分:200万円×4%=8万円
・400万円超の部分:3,600万円×3%=108万円
・仲介手数料:10万円+8万円+108万円=126万円(税別)
上記はあくまでも上限金額であり、不動産業者へ不動産売却の仲介を依頼すると、必ずこの金額で仲介手数料を請求されるというものではありません。
ただし、多くの不動産業者は上限いっぱいの金額で仲介手数料を設定しているので、上記金額が仲介手数料の相場と考えておくのがよいでしょう。
次の項目から、具体的な仲介手数料の計算方法について詳しくお伝えします。
参照:「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」
速算式は「売却価格×3%+6万円+消費税」
ほとんどのケースで、不動産の売却価格は400万円を超えます。
そのため、不動産売却における仲介手数料の上限金額は、以下の計算式で求められることを覚えておきましょう。
仲介手数料=売却価格×3%+6万円+消費税
例えば、消費税が税率10%なら以下の計算式となります。
■消費税が税率10%の場合
仲介手数料=売却価格×3.3%+6万6千円
仲介手数料の早見表
前述した計算式を用いて、不動産の売却価格によって仲介手数料の上限金額がどのように変わるかを計算すると、下表のようになります。
不動産の売却価格 |
仲介手数料の上限 |
500万円 |
21万円 |
1,000万円 |
36万円 |
1,500万円 |
51万円 |
2,000万円 |
66万円 |
2,500万円 |
81万円 |
3,000万円 |
96万円 |
3,500万円 |
111万円 |
4,000万円 |
126万円 |
4,500万円 |
141万円 |
5,000万円 |
156万円 |
※仲介手数料には別途消費税がかかります。
仲介手数料は値引き交渉も可能
仲介手数料が無料、あるいは半額などと謳っていない不動産業者でも、交渉次第で値引きしてもらえる可能性があります。
仲介手数料は上限金額が定められているものの、下限にはとくに決まりはないため、上限内で不動産業者と売主が合意すれば、仲介手数料の金額を自由に決められます。
なお、値引き交渉するなら必ず媒介契約を締結する前におこないましょう。
媒介契約を締結する前であれば、不動産業者は契約を獲得したいと考えているため、値引き交渉に応じてくれやすくなります。
逆に、媒介契約を締結した後だと、契約内容を変更することになるため、交渉が難しくなってしまうでしょう。
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不動産売却の仲介手数料を支払うタイミング
前項で紹介した「仲介手数料の早見表」を見てわかるとおり、不動産売却の仲介手数料は安くても数十万円単位でかかることがほとんどです。
しかも、多くの不動産業者では、仲介手数料の支払方法を「現金払いのみ」としています。
そのため「仲介手数料をいつまでに用意すればよいのか」気になる人も多いでしょう。
なお、近年では銀行振込や分割払い、クレジットカード払いやQRコード決済にも対応している不動産業者もあるため、事前に支払方法の種類について確認しておきましょう。
次の項目から「不動産売却の仲介手数料を支払うタイミング」について詳しくお伝えします。
売買契約時と引き渡し時に半額ずつ支払うのが一般的
仲介手数料は、売買契約が成立してはじめて、支払いが発生します。
そのため、支払うタイミングは必ず売買契約を締結した後になります。
なお、売買契約が成立した場合、売買契約時に仲介手数料の半額を、不動産の引き渡し時に残りの半額を支払うことが多いです。
他にも、売買契約時に一括で仲介手数料を支払う場合や、不動産の引き渡し時に一括で支払う場合もあります。
仲介手数料が無料や半額の不動産業者に依頼しても大丈夫?
なかには仲介手数料が無料、あるいは半額などと謳う不動産業者もあります。
売主からすれば、不動産売却の費用で大きな割合を占める仲介手数料が、無料や半額になるなんて願ってもない話です。
しかし、同時に不動産業者にとって収入源となる仲介手数料を値引きすることについて、不信感を抱いている人もいるのではないでしょうか。
「仲介手数料が半額なんて怪しい・・・」
「仲介手数料が無料な不動産業者は危険なのでは?」
このような疑念を抱く人に向けて、次の項目から「不動産業者が仲介手数料を無料や半額にできる理由」について詳しくお伝えします。
不動産業者が仲介手数料を無料や半額にできる理由
不動産業者が仲介手数料を無料や半額にできるのは、主に以下2つのうちどちらかに当てはまる場合です。
- 両手仲介で片方からしか仲介手数料を受け取らない場合。
- 不動産会社が売主・買主の場合。
次の項目から、それぞれのケースについて詳しく見ていきましょう。
両手仲介で片方からしか仲介手数料を受け取らないから
不動産売買において、不動産業者は売主だけでなく買主からも、仲介を依頼されることがあります。
同じ不動産業者へ仲介を依頼した売主と買主が、不動産の売買をおこなうことを「両手仲介」といいます。
この場合、依頼を受けた不動産業者は、売主・買主両方から仲介手数料を受け取ることが可能です。
しかし、両手仲介をおこなう不動産業者の中には、あえて売主もしくは買主からしか手数料を受け取らないところもあります。
仮に、売主・買主両方の顧客を抱える不動産業者Aが、買主側だけに「当社で契約すれば仲介手数料を無料にします」と宣伝したとします。
買主の中には「仲介手数料が無料ならAへ依頼しよう」と考える人が現れるでしょう。
これにより、Aの抱える顧客の中で両手仲介が成立しやすくなり、売買契約が成立すると、Aは売主から仲介手数料をもらえるため、利益も上げられるというわけです。
不動産会社が売主・買主だから
売主もしくは買主が不動産業者となる不動産売買では、仲介手数料が発生しません。
そのため、例えば不動産業者との直接取引で不動産を売却する「買取」や、不動産業者から直接不動産を購入する場合も、仲介手数料はかかりません。
買取で不動産を売却する場合、買主を探す必要がない分、仲介より早く不動産を現金化できるメリットもあるので、売却方法の1つとして検討するのもよいでしょう。
仲介手数料以外の名目で費用を請求される恐れもあるので注意
仲介手数料は無料や半額と謳っていても、実際には「特別広告費」や「コンサルタント料」など、さまざまな名目で費用を請求する不動産業者も存在します。
悪徳な業者だと、こうした費用が発生することについて説明がなかったり、費用の総額が仲介手数料より高額になるケースもあるので注意が必要です。
依頼する不動産業者を選ぶ際は「実際にかかる費用について具体的に説明してくれるか」「費用の詳細な見積もりを出してくれるか」などを確認して慎重に選びましょう。
「仲介手数料が安い=売却益が増える」とは限らないので注意
前述したように、売主の仲介手数料が安くなるのは、依頼した不動産会社が買主から仲介手数料を受け取れる場合か、不動産業者が買主の場合です。
仮に、買主から仲介手数料を受け取って、売主からの仲介手数料を無料にするには、不動産業者が「両手仲介」をおこなう必要があります。
両手仲介をおこなうためには、自社の顧客から買主を見つけなければならないため、他の不動産業者から買主の紹介があっても、断ってしまうような状況が起こり得るのです。
このような不動産業者の行為を「囲い込み」といいます。
囲い込み・・・不動産業者が自社の顧客同士で売買が成立させるため、意図的に情報操作をおこなうなど、売主・買主にとって不利益となる行為。
囲い込みがおこなわれると、場合によっては買主が見つかりにくくなり、売却価格を下げる結果になることもあります。
売却価格を大幅に下げることになれば、仲介手数料は無料でも最終的な売却益は少なくなってしまうでしょう。
仲介手数料の安さだけを優先するのではなく、実際に不動産業者の査定価格や担当者の対応を比較し、信頼できる不動産業者を見つけることが大切です。
なお、一括査定を利用して複数の不動産業者へ査定を依頼すれば、効率よく優良な不動産業者を探せます。
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まとめ
不動産売却における仲介手数料とは、不動産業者への成功報酬です。
近年では、仲介手数料を無料や半額にする不動産業者も増えており、売主にとっては不動産売却がしやすい状況といえるでしょう。
しかし、仲介手数料の安さだけを優先して不動産業者を選んでも、最終的な売却益が増えるとは限りません。
できるだけ売却益を増やしたいなら、複数の不動産業者へ査定を依頼し、実際に査定価格や担当者の対応を比べて、優良な不動産業者を見極めることが大切です。
なお、一括査定サービスを利用すれば、全国1,600社以上の厳選された不動産業者へ簡単に査定を申し込めるので、ぜひ気軽に利用してみてくださいね。
不動産売却における仲介手数料のよくある質問
不動産売却の仲介手数料とは?
仲介手数料とは、不動産業者への成功報酬です。不動産業者へ不動産売却の仲介を依頼した場合に、売却活動の対価として支払われます。
不動産売却で仲介手数料に含まれる費用にはどのようなものがありますか?
不動産売却で仲介手数料に含まれる費用には、主に以下のようなものがあります。
・不動産の査定費用
・売却活動における広告宣伝費用
・物件案内に立ち会う担当者の人件費・交通費
・不動産の登記・権利情報の調査費用
・重要事項説明書・売買契約書の作成費用
・売却手続きに必要な書類の準備費用
・売買契約から引き渡しまでの事務手続き費用
・決済手続きにかかる手数料
不動産売却の仲介手数料はどうやって計算できますか?
仲介手数料は「売却価格×3%+6万円+消費税」で計算できます。(売却価格が400万円を超える場合)
仲介手数料は値引き交渉も可能ですか?
可能です。仲介手数料は上限金額が定められているものの、下限にはとくに決まりはないため、上限内で不動産業者と売主が合意すれば、仲介手数料の金額を自由に決められます。
不動産売却の仲介手数料を支払うタイミングはいつですか?
仲介手数料は、売買契約が成立してはじめて、支払いが発生します。そのため、支払うタイミングは必ず売買契約を締結した後になります。なお、売買契約が成立した場合、売買契約時に仲介手数料の半額を、不動産の引き渡し時に残りの半額を支払うことが多いです。
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