空き家の売却は買取と仲介でどちらを選ぶかの判断基準
空き家の主な売却方法には、不動産会社を通じて買主を探す「仲介」と、不動産会社(買取業者)に直接売却する「買取」があります。それぞれ特徴が異なるため、物件の状況や売却目的に応じて選択することが重要です。
仲介とは、不動産業者が売り手と買い手の間に立って、売買の相手探しや契約をサポートすることを指します。売り手は、業者を通じて買い手に空き家を売るのです。
買取とは、不動産業者が買主となって物件を買い取ることを指します。業務内容が大きく違うため、仲介を請け負う不動産業者は不動産仲介業者と、不動産を買い取る不動産業者は不動産買取業者と呼ばれます。なお、不動産仲介・不動産買取の両方の事業を幅広く展開している会社も多くあります。
その他にも、仲介と買取には下記のような違いがあります。
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比較項目
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仲介
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買取
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売却価格
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高め(市場価格に基づく)
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低め(市場価格よりも低くなる傾向)
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売却のスピード
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長め(数か月〜半年以上)
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短め(最短数週間で完了)
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手間
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内見や交渉などの対応が必要
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手間が少ない(即売却が可能)
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買取価格交渉
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価格交渉が可能
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価格交渉があまりできない
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リフォーム
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必要な場合あり(高額で売却を狙う場合)
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現況のまま売却できるケースが多い
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契約不適合責任
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売主が一定期間責任を負うことが多い
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契約不適合責任を免責とする特約が設けられるケースが多い
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手続きの煩雑さ
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内覧の対応などが必要
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内覧対応や販売活動が不要なケースが多い
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手数料
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仲介手数料がかかる
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仲介手数料がかからない
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物件の状態
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市場での需要が見込める物件に向いている傾向がある
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状態が悪くても買取可能
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仲介と買取では、売却時の買主や手続き、必要な対応、期間などに多くの違いがあり、空き家売却の手段としてどちらを選択すべきかは、各々の状況によって変わってきます。
そこでここからは、仲介で売却すべきケースと買取で売却すべきケースをみていきましょう。
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仲介での売却を検討しやすいケース
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・空き家でも建物の状態が良い場合
・立地が良く需要の高いエリアにある場合
・できるだけ高く売りたい場合
・売却までの時間に余裕がある場合
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買取業者に売却すべきケース
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・仲介で売れなかった場合
・手軽に早く売りたい場合
・物件の状態が著しく劣化している場合
・リフォームや修繕費用の回収が難しそうな場合
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空き家を仲介で売却すべき4つのケース
まずは、空き家を不動産仲介業者を利用して売却するのに向いているケースです。
- 空き家でも建物の状態が良い場合
- 立地が良く需要の高いエリアにある場合
- できるだけ高く売りたい場合
- 売却までの時間に余裕がある場合
これらに当てはまる場合は、仲介による売却が選択肢の一つとなります。なお、売却を急ぐ事情がある場合は、買取も含めて比較検討するとよいでしょう。
空き家でも建物の状態が良い場合
空き家になってから間もない場合や、建物自体が新しく、築年数が浅い場合は、仲介での売却に向いています。
仲介の場合、買主は中古物件を住居として使いたい個人や、賃貸物件として活用したい個人・法人です。建物の状態が良い物件は、購入後の修繕負担が比較的少ないと評価されることが多く、購入希望者の検討対象になりやすい傾向があります。特に、築浅の物件は、建物も設備も新しく、住宅ローンを利用する購入者にも好まれやすいため、早期の売却が見込めます。
仲介を利用する場合、買い手が見つからないことには売却できないので、市場での需要があるかが売却できるかの鍵となります。仲介で売却すると、買取業者に依頼するよりも高値で売却できることから、物件の状態が良い場合はまずは仲介業者を通じて買い手を探すのがおすすめです。
実際の売却相談では、「築年数が古いから売れない」と考えている所有者も少なくありません。しかし、建物の状態が良好で適切に維持管理されている場合は、築年数だけで売却の可否が決まるわけではありません。特に需要のあるエリアでは、築古物件でも仲介で成約するケースが見られます。
立地が良く需要の高いエリアにある場合
空き家の立地条件が良く、需要が高いエリアにある場合、建物の状態や築年数を問わず、仲介での売却に向いています。
立地条件が良い物件は、購入希望者の候補が広がりやすく、建物が古い場合でも土地としての需要が見込まれるケースがある ため、たとえ建物自体が古くても比較的容易に買い手が見つかります。
立地条件が良い物件の具体的な特徴は下記の通りです。
【立地条件が良い物件の特徴】
- 日当たりが良い
- 駅近で交通の利便性が良い
- 治安が良くて安心して暮らせる環境がある
- 周辺に生活や子育てに必要な施設が揃っている
- 周辺に健康・安全・音・臭い・視界にマイナスになる施設がない
- 街に将来性がある
- ハザードマップ上のリスクが比較的低い
特に、駅近や商業施設に近い物件、人気の高い住宅街にある土地は、住みたい個人以外にも、投資家や建築業者からも需要があります。
空き家の立地条件が良い場合は、建物の状態や築年数を問わず、不動産仲介業者に相談しましょう。
できるだけ高く売りたい場合
売却価格を重視する場合は、まず仲介による売却可能性を検討する方法があります。
不動産業者を利用すると、業者に対して仲介手数料がかかります。その一方で、売却価格は売り手が自由に決めることができます。
不動産買取業者に売却すると、買取額(査定額)は業者側が提示するため、売り手の希望する金額では売れにくくなります。買取では、不動産会社が再販売費用や修繕費用、保有コストなどを考慮して査定を行うため、市場で買主を探す仲介と比較すると価格差が生じることがあります。
仲介でも希望した金額で売れるとは限らず、希望売却価格が高すぎると買い手が見つかるまで時間がかかることにはなりますが、時間がかかっても良いからできるだけ高く売りたいという場合は不動産仲介業者に相談するとよいでしょう。
売却までの時間に余裕がある場合
空き家の売却を急がない場合や、じっくりと交渉して最高の条件で売却したい場合にも、仲介での売却が向いています。
仲介による売却期間は物件や地域の需要によって異なりますが、一般的には数か月程度かかるケースもある ものの、その分価格交渉に時間をかけられ、より良い条件で売却できる可能性があるのです。物件の状態や立地が特段良くなくても、時間をかけて売却活動をしていけば、市場価格に近い金額で売れることもあります。
売却を急がないのであれば、まずは仲介での売却を試してみると後悔しにくいでしょう。
空き家買取による売却を検討しやすい4つのケース
続いては、空き家の売却に買取を依頼するのがおすすめのケースです。
- 仲介で売れなかった場合
- 手軽に早く売りたい場合
- 物件の状態が著しく劣化している場合
- リフォームや修繕費用の回収が難しそうな場合
仲介のほうが高値で売ることができるため、できれば仲介で売りたいという人も多いでしょう。しかし、仲介で買い手が見つかる可能性が非常に低いにもかかわらず、仲介での売却に固執してしまうと、結果的に損が大きくなる可能性もあるため、上記に当てはまる場合は早めに買取での売却にシフトするほうがよいでしょう。
仲介で売れなかった場合
仲介で買い手が見つからなかった場合は、不動産買取業者への売却を検討するのも選択肢の一つです。
仲介では売却まで通常で3~6か月程度、場合によっては1年、2年とかかります。そもそも空き家は個人相手には売れにくい傾向があり、築年数が古い物件や立地条件が悪い物件だと、数年単位で買い手は見つからない可能性があります。売れない期間も税金や管理費といった維持費はかかり続けるため、売れない期間が長いほど出費もかさみます。不動産は築年数が古くなればなるほど、そして人が住まない期間が長いほど価値が下がるため、より一層売れにくくなります。
不動産買取業者に依頼すれば、数週間~1か月程度で迅速に現金化できます。一定期間売却活動を行っても成約に至らない場合は、買取査定も取得しながら複数の選択肢を比較検討する方法があります。
同じ不動産買取業者でもそれぞれ得意分野があり、訳あり専門の買取業者であれば物件活用のノウハウを持っています。空き家や再建築不可物件などを得意とする業者では、活用ノウハウを踏まえた査定が行われる場合があります。
手軽に早く売りたい場合
できるだけ手間をかけず、早々に手放したい場合は、初めから不動産買取業者に相談するのも一つの選択肢です。
空き家を所有している間は、固定資産税や維持管理費、定期的な管理の負担が発生する ことになります。仲介で売却する場合、売却までに買い手探しや価格交渉、購入希望者の内見の対応をする手間や時間も必要です。古い設備の交換やリフォーム・修繕を行わないと買い手が見つからないこともあるでしょう。遠方に住んでいる場合や物件の使い道がない場合は、管理や修繕にお金と手間をかけるよりも、買取業者にスピーディーに現金化してもらったほうが、総合的な負担を抑えられます。
売却価格よりもスピードや管理負担の軽減を優先する場合は、買取も有力な選択肢となります。
物件の状態が著しく劣化している場合
空き家になってから長く放置され、大掛かりなリフォームや建て替えが必須の状態になっている場合や、害虫・害獣が住み着いている場合は、すぐにでも手放す必要があります。
害虫や害獣を放置していたり、建物が倒壊しそうだったりすると、近隣住民にも迷惑をかけていることになります。万が一、建物の損壊や倒壊で誰かにケガをさせたり、近隣の建物に被害が出たりすれば、空き家の所有者に損害賠償責任が求められます。
物件の状態によっては、仲介での売却に時間を要するケースがあるので、買取業者に売却してできるだけ早く手放すことも検討しましょう。
リフォームや修繕費用の回収が難しそうな場合
リフォームや修繕にお金をかけても、かかった費用を売却価格に上乗せして買い手が付くか微妙な場合、リフォーム費用と想定売却価格のバランスによっては、現況のまま売却する選択肢も検討できます。
仲介で売却する場合、買い手が付きやすくするためにリフォームや修繕をして、不動産の価値を高めることがあります。しかし、例えば300万円かけてリフォームしても、売却価格が300万円以上プラスにならなければ、経済的なメリットはありません。物件によっては、リフォームをせずにそのまま買取業者に売却するほうが、金銭的な損失なく空き家を手放せるでしょう。
■仲介・買取で迷ったときは?
不動産仲介会社に依頼をしつつ、不動産買取業者に査定を依頼することも可能。仲介を依頼しておき、市場での需要や売却価格を確認しておくことで、査定価格の妥当性を比較検討しやすくなります。
実際の売却相談では、「高く売りたい気持ちはあるが、遠方に住んでいて管理が難しい」「相続した実家を早めに整理したい」といった理由から、価格だけでなく売却までの期間や管理負担を重視される方も少なくありません。
そのため実務上は、「仲介か買取か」の二択ではなく、まず仲介査定と買取査定の両方を取得し、それぞれの条件を比較したうえで判断するケースが多く見られます。
手間や管理負担を抑えて空き家を売却したい場合に訳あり物件専門の買取業者が選択肢となる理由
空き家を買取で売却する場合は、空き家や再建築不可物件、老朽化物件などを取り扱う専門業者へ相談する方法があります。
一口に不動産買取業者といっても、物件の種類や特徴によって得意不得意があります。空き家のように買い手のつきにくい物件は、空き家の活用や売買のノウハウ・経験がある、訳あり物件専門買取業者が得意とする分野です。
ここからは、訳あり物件専門買取業者に依頼すべき理由をまとめてお伝えします。
- 個人の買い手を見つける必要がなくスピーディーに売却できる
- 修繕などの必要がなく現況のまま売却できる
- 仲介手数料を払う必要がない
- 契約不適合責任を免責できる
空き家の状態や立地条件によっては、一般市場での売却や通常の買取査定で評価が分かれることがあります。そのため、空き家の取り扱い実績が豊富な専門業者へ相談し、査定内容を比較することも有効な方法です。
個人の買い手を見つける必要がなくスピーディーに売却できる
訳あり物件専門買取業者であれば、仲介のように買い手を見つけるプロセスはなく、買取業者が査定・提示した金額に納得すれば空き家を手放すことができます。
買取完了までの期間は業者によっても異なりますが、早い場合には数週間程度で契約・決済まで進むケースもあります。仲介だと、不動産仲介業者との仲介契約と買い手との売買契約と2回契約手続きが必要です。しかし、買取であれば、不動産買取業者との売買契約1回で、売却までの手続きを比較的進めやすい傾向があります。
実際の相談では、「相続した実家が遠方にあり管理が難しい」「草木の手入れや固定資産税の負担を早く解消したい」といった理由から、価格よりも売却までのスピードを重視するケースも少なくありません。
このような場合には、仲介査定だけでなく買取査定も取得し、売却価格と売却時期のバランスを比較検討することが重要です。
修繕などの必要なく現況のまま売却できる
訳あり専門買取業者であれば、業者によっては、リフォームや修繕を行わず、現況のまま売却できるケースがあります。
空き家を仲介業者を通じて個人に売却する場合、物件の価値を高めるために残置物(物件内に残っている荷物や不用品)の撤去、リフォーム、修繕、さらには清掃まで求められる可能性があります。訳あり物件専門買取業者の場合は、残置物の撤去・処分にかかる費用を含めて査定額を出してもらえます。自分で手配する手間や時間、出費がないので、早急に物件を手放したい場合には有力な選択肢の一つとなります。
仲介手数料を払う必要がない
買取では買主が不動産会社となるため、一般的な仲介取引で発生する仲介手数料は不要です。ただし、登記費用や税金などの諸費用が発生する場合があります。不動産仲介業者を介して空き家を売却する場合には、売却が成立した際に支払う成果報酬として仲介手数料を支払う必要があるため、売却価格から手数料分がマイナスされます。
なお、仲介手数料の上限は宅地建物取引業法で定められています。上限額の範囲内で設定されており、実際の金額は不動産会社との媒介契約によって異なります。
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売却価格(税別)
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仲介手数料の上限額
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200万円以下
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売却価格×5%(税別)
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200万円超~400万円以下
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売却価格×4%+2万(税別)
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400万円超
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売却価格×3%+6万(税別)
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800万円以下
※低廉な空家等の媒介の特例
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30万円(税別)
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例えば、500万円で空き家を売却した場合、約23万円の仲介手数料がかかります。また、売却価格が500万円の場合、「低廉な空家等の媒介の特例」という仲介手数料の上限を引き上げる特例の適用を受けるため、一定の条件下で上限33万円(税込)の仲介手数料が適用されることがあります。売却価格にもよりますが、場合によっては仲介手数料が負担になることもあるでしょう。
■低廉な空家等の媒介の特例とは
物件価格が800万円以下の宅地建物に関して、不動産仲介業者が最大33万円(税込み)の仲介手数料を受領できることを定める特例。空き家や空き地の増加に伴い、空き家・空き地の不動産市場での流通を促進させるために2024年7月より適用されるようになった。
契約不適合責任を免責できる
不動産買取業者に売却する場合、契約不適合責任が原則として免責される点も大きいでしょう。
契約不適合責任とは、売却後に隠れた欠陥があった場合、売主が責任を負う制度です。具体的には、損害賠償や契約解除、補修にかかる費用の負担を求められることになります。しかも、契約不適合責任は、買主が不適合を知った時から1年以内の通知が必要とされており、具体的な権利行使期間は契約内容や法的要件によって異なります。
対して、訳あり物件専門買取業者であれば、大半は契約不適合責任を負わない契約で売買します。買い手から契約不適合責任を追及されるリスクがないため、売主にとってメリットとなる場合があります。
実際の空き家売却では、「長年空き家だったため建物の状態を正確に把握できない」という相談を受けることがあります。
特に相続した実家の場合、雨漏りや設備不良などを把握しきれていないケースも少なくありません。そのため実務上は、契約不適合責任の範囲や告知事項について、契約前に不動産会社へ十分確認しておくことが重要です。
空き家の売却を訳あり物件買取業者に依頼する場合の2つの注意点
空き家の状態や立地条件によっては、訳あり物件専門の買取業者への売却も選択肢の一つとなります。ただし、買取にはメリットだけでなく注意点もあるため、事前に理解しておくことが大切です。下記の2点については注意が必要です。
- 仲介よりも売却価格が下がりやすい
- 空き家の買取業者でも得意分野は異なる
それぞれ詳細を確認していきましょう。
仲介よりも売却価格が下がりやすい
買取価格は、不動産会社が再販売費用や修繕費用、保有コストなどを考慮して査定するため、一般的には仲介での成約価格より低くなる傾向があります。
これは、訳あり物件専門買取業者は、残置物の処分費用や修繕費用、再販売にかかるコストなどを見込んだうえで査定を行うため、価格差が生じることがあるためです。売却価格を重視する場合は仲介が選択肢となる一方、売却時期や管理負担の軽減を優先する場合は買取が適するケースもあります。実務上は、仲介査定と買取査定の両方を取得し、価格や売却期間を比較したうえで売却方法を選択するケースも少なくありません。
実際の相談では、「少しでも高く売りたい」という希望と、「早く管理負担から解放されたい」という希望の両方を持つ方が少なくありません。
そのため実務上は、最初から仲介か買取かを決めるのではなく、両方の査定を取得したうえで比較検討するケースも多く見られます。特に相続した空き家では、維持費や管理の負担も判断材料となるため、価格だけでなく総合的な視点で検討することが重要です。
空き家の買取業者でも得意分野は異なる
空き家といっても状況によって、ゴミ屋敷・事故物件・再建築不可物件・共有持分など買取業者のなかでも取り扱いが得意な分野が異なります。
訳あり物件専門買取業者を選ぶ際は、買取実績からどのエリアで、どのような物件を買い取っているのかを確認するようにしましょう。自身の所有する物件に似た物件の買取実績が多いほど、活用するノウハウや経験が豊富で、物件の特性を踏まえた査定が期待できる場合があります。反対に、取り扱いに慣れていない物件の場合、査定に慎重な価格設定がなされるケースもあります。
売却を検討する際は、複数の業者へ査定を依頼し、取扱実績や査定内容を比較しながら検討することが大切です。
仲介で空き家を売却する方法
まずは仲介で空き家の売却を目指す場合でも、売却するまでのプロセスにはいくつか選択肢があります。
- 空き家でも綺麗な場合はそのまま売却する
- 空き家を解体して土地を売却する
- 空き家をリフォームして売却する
空き家の状態によっては、解体やリフォームを検討するケースもあります。ただし、工事費用が必ずしも売却価格に反映されるとは限らないため、実施前に費用対効果を確認することが大切です。
空き家でも綺麗な場合はそのまま売却する
「空き家でも建物の状態が良い場合」は仲介業者に依頼すべきケースとして紹介した通り、空き家になってから期間が短く、建物が綺麗な状態であれば、不動産仲介業者を介してそのまま売却できます。
建築後1年未満かつ未入居であれば新築住宅として扱われます。一方、築年数が経過した物件であっても、建物の状態やエリアによっては中古住宅として流通するケースがあります。新築住宅に需要があることはもちろん、中古住宅も新築住宅よりも安く購入できるため、購入費用を抑えたい人からの需要があります。
ただし、築年数にかかわらず、建物の状態が良くない場合は売れにくくなってしまいます。築年数だけでなく、建物の維持管理状況や周辺需要も踏まえながら、そのまま売却できるかを査定時に確認するとよいでしょう。
空き家を解体して土地を売却する【注意点あり】
不動産仲介業者を利用して売却する場合、空き家を解体し、更地にしてから土地を売却することもできます。
築20年以上経っている古民家付き土地は、建物自体にほとんど価値がないどころか、建物を大規模リフォームや修繕、解体する必要があるためマイナス評価となります。更地にすることで土地として活用しやすくなり、購入を検討する層が広がるケースがあるのです。
ただし、更地にすると、土地にかかる固定資産税や都市計画税が高くなります。土地に建物が立っている場合、土地の固定資産税や都市計画税は減税措置の対象になりますが、住宅用地の特例が適用されなくなるため、土地の固定資産税・都市計画税の負担が増える可能性があります。増加幅は土地の条件や自治体によって異なります。
かかった費用を売却価格に上乗せできる場合がありますが、結果的にかかった費用を回収できないことも珍しくありません。更地にすべきかは判断が難しいため、更地にすべきケースや判断するタイミングについてはよく確認が必要です。
空き家を更地にすべきケース
更地にするべきかどうかは、物件の状態や周辺の市場動向に大きく影響されます。具体的には、下記のようなケースであれば売却のために更地にする選択が有効だといえます。
- 建物の老朽化が進み、多額の修繕費用が見込まれる場合
- 土地の価値が高く、建物自体の評価が低い場合
- 管理の負担を軽減したい場合
- 建物の建て替え費用がリフォーム・修繕費用を下回る場合
解体するかどうかは査定してから判断する
更地にすべきケースに当てはまっていても、安易に解体してしまうのはNGです。築年数が経っていても使用できる建物もあるため、空き家を解体するかどうかは、不動産会社へ査定を依頼し、建物付きと更地の双方でどのような評価になるかを確認したうえで判断するとよいでしょう。
建物に価値があったこと・解体しないほうが手元に多くお金が残ることが、解体してから判明してもどうすることもできません。建物の解体には多額の費用がかかるため、安易に解体してしまうと損をする可能性があります。
さらに、更地にすると固定資産税・都市計画税が高くなるため、買い手探しが長期化した場合、金銭的負担が大きくなります。更地にすべきか否かや、解体・建て替えにかかる費用については、査定後に不動産仲介業者と相談して検討するようにしましょう。
解体費用|建物を解体して売却する場合にかかる費用
建物を解体してから売却する場合には、多額の解体費用がかかります。解体費用は、建物の構造や大きさ、階数によって異なりますが、おおよその目安は下記の通りです。建物が固く、大きくなるほど重機や職人の人数が必要になるため、費用は上がる傾向があります。
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建物の構造
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解体費用(1坪あたり)
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木造
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3~5万円
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鉄骨造
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4~6万円
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鉄筋コンクリート造
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6~8万円
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日本の戸建ては約6割が木造で、平均面積は30~40坪です。30坪・木造住宅という一般的な戸建てを例にすると、90万~150万円もの解体費用がかかることになります。
なお、近年は廃材処分費や人件費の上昇に加え、2023年から解体前のアスベスト事前調査が義務化されたことなどもあり、解体費用は以前より高くなる傾向があります。そのため、解体して売却する場合は、解体費用も含めて採算を確認したうえで進めることが重要です。
空き家をリフォームして売却する【注意点あり】
不動産仲介業者を利用して売却する場合、空き家をリフォームしてから売却する選択肢もあります。
売り手側でリフォームしておくことで、内見時の印象が良くなるだけでなく、買い手が購入後にリフォームする手間や費用をかけずに済むため、購入のハードルが下がります。例えば、クロス・床材の張替やトイレ・キッチンなど水回り設備の交換、外壁の塗装などです。リフォームによって内見時の印象が向上し、売却活動が進みやすくなるケースもありますが、工事費用を上回る価格上昇につながるとは限りません。
ただし、リフォーム内容によってはかなり費用がかかります。リフォームをしたからといって、売却価格が大きく上がらない可能性もあるため、リフォームをすることで結果的に損をしかねません。まとまった貯金が必要となると、売るときの心理的ハードルも上がってしまいます。
建物に価値が残っており、「更地にすべきケース」に該当しない場合は、どの程度建物の評価のプラスになるのかをよく確認しながらリフォームを検討しましょう。
リフォームもするかどうかはまず不動産会社に相談する
更地にするかの判断と同様に、リフォームや修繕を行う前に、不動産会社へ査定を依頼し、市場で求められている状態や想定売却価格を確認しておくとよいでしょう。
リフォームされていない中古住宅をできるだけ安く購入して、自分たちの思い通りにすべてをリノベーションしたいと考えている買い手も存在します。
また、リフォーム費用はかなり高く、売却のためのリフォームではかかった費用を回収するのは難しいといわれています。たとえ、売却価格がリフォーム費用を上回ったとしても、リフォームなしで売却したほうが手取り額が多かったということもあり得るのです。
無駄な出費を避けるためにも、リフォームする前にプロの意見を聞くことが重要といえるでしょう。不動産仲介業者に相談することで、物件の状態や築年数、市場動向を踏まえた適切なアドバイスが得られます。
リフォーム費用|リフォームして売却する場合にかかる費用
リフォーム費用は、どこをどうリフォームするのかで大きく変わってきます。同じ内容のリフォームでも、床面積・工期といった条件によって金額の幅は大きいものです。
リフォーム費用は工事内容や建物条件によって大きく異なるものの、数百万円規模になるケースもあります。
なお、個別の相場は下記のとおりです。
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壁紙の張替
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1,000円/㎡
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床材の張替
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1~7万円/畳
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造り付け収納の設置
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5万~20万円
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トイレの交換
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20万~60万円
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洗面所の交換
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20万~60万円
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ユニットバスの交換
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50万~150万円
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キッチンの交換
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50万~150万円
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和室を洋室にするリフォーム
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50万~100万円
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リビング全体のリフォーム
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100万~300万円
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外壁の塗装
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50万~350万円
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「空き家バンク」などのサイトを利用する
あまり一般的ではありませんが、不動産仲介業者を利用せずに、直接空き家を購入したい個人にインターネットを通じて売却する方法もあります。
インターネットが普及したことで、個人間で空き家を取引できるサイトが存在します。売り手がサイト上で物件の住所や状態、売却希望金額といった物件情報を掲載し、買い手が応募することでインターネット上で売り手と買い手がマッチングされるのです。例えば、自治体が運営する「空き家バンク」であれば、サイトの管理者やサービス提供元に対する不安はないでしょう。
自治体が運営する空き家バンクへの登録は基本的に無料です。不動産仲介業者で取り扱ってもらえなかった場合やなかなか買い手がつかない場合に、空き家バンクに登録しておくことで、買い手が見つかるチャンスが増えるでしょう。自治体によって運用方法は異なりますが、登録料が無料となっているケースもあります。
ただし、空き家バンクでは、自治体や提携不動産会社が関与するケースもありますが、通常の仲介取引と比べて売主自身が対応する事項が多くなる場合があります。不動産の取引では動く金額が大きいため、契約内容や手順に不備があると後から大きなトラブルになったり、本来の価値よりも安い金額で売ってしまったりといったリスクもあります。
また、自治体は業者のように広告を打ったり買い手探しをしたりと売却活動をするわけではないため、空き家バンクに登録したからといって、買い手が見つかるとは限りません。空き家バンクの存在は少しずつ認知はされてきたはいますが、まだまだインターネットで不動産を探し、個人間取引をしようとする人は多くありません。そのため、売却までに時間がかかる可能性がある点にも注意が必要です。
実際の売却相談では、「解体した方が売れると思っていた」「リフォームしないと売れないと思っていた」という声をよくいただきます。
しかし、近年は購入後に自分でリフォームや建て替えを行うことを前提に物件を探している買主も増えており、必ずしも売主側で多額の費用をかけることが最適とは限りません。
解体やリフォームは実施後に元へ戻せないため、まずは建物付き・更地・現況のままでそれぞれ査定を取得し、比較検討することが失敗を防ぐポイントです。
空き家を売却する際の注意点
空き家を売却する際は、仲介・買取を問わず、下記の点に注意してください。
- 売主名義として名義変更済みの空き家なのか確認する
- 居住しなくなってから3年以内に売却する
- 共有名義の場合は売却するために全員の同意が必要
- 売買契約時には契約不適合責任免責の特約を定める
- 個人間売買は慎重に検討する
不動産の売買は後々トラブルになることも多く、「売却前に知っていれば○○しなかったのに…」「もっと注意しておけば!」と後悔するケースも少なくありません。空き家を売却する際の注意点はしっかり押さえておきましょう。
売主名義として名義変更済みの空き家なのか確認する
空き家を売却する際には、まず不動産の名義を確認しておきましょう。自身で購入した不動産であれば名義の心配はありませんが、相続によって所有することになった場合は、相続登記が完了しておらず、名義変更がされていないケースもあります。
不動産の所有者は、登記簿に記載された名義人です。実際には自分が所有している不動産であっても、登記簿の権利欄に権利者としての記載がなければ、不動産を売却することができません。名義人が被相続人のままの場合は、原則として相続登記を行ったうえで売却手続きを進めることになります。不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)は、法務局に行けば誰でも取得できます。
実際の相談では、「相続したつもりだったが名義変更が終わっていなかった」というケースは少なくありません。
2024年4月から相続登記が義務化されたこともあり、売却を検討している場合は早めに登記事項証明書を確認しておくことが重要です。
利用できる税制特例の適用期限を確認しながら、できるだけ早めに売却を検討する
空き家を相続した・今まで住んでいた家が空き家になるという場合は、できるだけ早く売却を進めるようにしましょう。
建物は人が住まなくなることで、換気や掃除が行き届かず、劣化するスピードが早くなります。さらに、相続してから、または居住しなくなってから3年までは、税の控除を受けられる公的制度を活用できます。空き家の譲渡に関する特例や居住用財産の特例など、一定の税制優遇制度では適用期限が設けられています。利用できる制度や要件は個別に異なるため、事前に確認しておきましょう。
仲介を利用する場合は相談から売却まで1年以上かかることもあるので、事前の準備や買い手が決まったあとの手続きも考えると、それほど時間的な余裕はありません。不動産会社へ売却スケジュールを相談するとともに、税制特例については税理士などの専門家へ確認すると安心です。
なお、具体的にどのような制度が活用できるのかは、本記事「費用や税金を抑えるための公的制度」で詳しく解説しています。
共有名義の場合は売却するために全員の同意が必要
不動産が単独名義であれば、自分の判断で売却できますが、不動産が共有名義だった場合は共有者全員の同意が得なければ不動産全体を売却することができません。
共有者が多くなるほど全員の同意を取るのが難しくなりますが、管理にかかる諸費用は持分割合に応じて負担する必要があります。なお、共有者間で合意が難しい場合には、共有物分割請求などの法的手続きが検討されることもありますが、具体的な対応は弁護士へ相談することが重要です。
自身が所有する共有持分のみであれば単独の判断で売却が可能です。ただし、共有持分のみを売却しても不動産全体を売却して持分割合分の売却代金を受け取るよりも手元に来るお金は少なくなります。
実際の共有不動産の相談では、相続をきっかけに共有状態になっているケースが非常に多く見られます。
当社へ寄せられる共有持分の相談でも、相続が原因となっているケースが大半を占めます。共有者が増えるほど意思決定が難しくなるため、早い段階で方針を話し合うことが重要です。
売買契約時には契約不適合責任免責の特約を定める
空き家を売却する際には、売買契約時に「契約不適合責任免責」の特約を定めるようにしましょう。
契約不適合責任の免責を設定しておかないと、契約内容や状況によっては、引渡し後に契約不適合責任を負う可能性があります。特約を売買契約に盛り込むことで、売却後に物件の不具合が発見されても、売主の責任範囲が限定される場合があるので、安心して売却が完了できます。
不動産買取業者に売却する場合は、多くは契約不適合責任は免責されますが、法的に必ず免責になるという規定があるわけではありません。売却する手段を問わず、契約不適合責任の範囲は契約によって異なるため、売買契約書の内容を十分確認することが重要です。
個人間売買は慎重に検討する
空き家を売却する際には、できるだけ個人間売買は回避したほうが無難です。
不動産売買の知識や関連する法的知識を持たない素人同士の個人間売買は、契約内容や手続きの確認を当事者同士で行う必要があるため、慎重な対応が求められます。 知識がなく、売買に不慣れなことから契約内容や手続きに不備があるまま進めてしまうこともあるでしょう。例えば、適正な価格査定が行われないまま売買が進んだことで、相場よりも安く売ってしまった・高く買ってしまったという事態になれば、どちらかが大きな損をしたり契約解除を求めたりと大きなトラブルになることが予想されます。
もし個人間取引を行う場合でも、不動産仲介業者や司法書士・行政書士、弁護士、不動産鑑定士といった不動産のプロを入れて取引を進めるようにしましょう。
空き家の売却にかかる税金
空き家の売却では、売却条件や物件の状況によって異なりますが、主に以下のような税金・費用が発生する可能性があります。
空き家の売却を進めるときは、税金の支払いについて押さえておきましょう。
譲渡所得税|売却して得た利益にかかる税金
譲渡所得とは、不動産の売却代金そのものではなく、取得費や譲渡費用を差し引いて算出した利益のことを指します。譲渡所得はその他の所得と合わせて、譲渡所得税・住民税の算出に用いられます。
■譲渡所得の算出方法
売却額-(取得費+売却時にかかった譲渡費用)
取得費とは、不動産の購入代金・購入手数料・設備費・改良費を合計した金額を指します。建物の場合、減価償却費を差し引いて算出します。また、譲渡費用には、不動産を売却するためにかかった仲介手数料・測量費・印紙税・建物の解体費用などが含まれます。
なお、譲渡所得にかかる税率は、下記のように空き家の保有期間によって異なります。
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空き家の所有期間
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所得税+復興特別所得税
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住民税
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合計
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5年以下
(短期譲渡所得)
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30.63%
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9%
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39.63%
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5年超
(長期譲渡所得)※売却した年の1月1日時点で所有5年超
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15.315%
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5%
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20.315%
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参考:国税庁「No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」
参考:国税庁「No.3252 取得費となるもの」
参考:国税庁「No.3255 譲渡費用となるもの」
相続登記費用|相続登記していない空き家を売却する前に必要
相続登記費用とは、不動産の相続時の名義変更の手続きである相続登記にかかる費用です。相続した空き家を売却するには、必ず相続登記を行い、不動産の名義を自分にしておかなければなりません。現在、相続登記は不動産を相続で取得した人の義務となっており、正当な理由なく相続による不動産取得を知った日から3年以内に相続登記を行わない場合、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。
相続登記の手続きでは、申請書類の取得費や登録免許税がかかります。手続きを司法書士に依頼する場合は、申請書類の取得費と登録免許税にプラスして、司法書士への報酬もかかります。
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登録免許税
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固定資産税評価額×0.4%
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書類の取得費
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200~700円程度/通(計5,000~1万円)
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司法書士の報酬
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一般的には数万円~十数万円程度
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印紙税|印紙を購入した場合にかかる税金
印紙税とは、不動産売買契約書など一定の課税文書を作成した際に課される国税です。不動産の売買では、不動産売買契約書の作成時に必要となります。
不動産を売却する際の印紙税額は、下記の通り売却価格に応じて決まります。2027年3月31日までに作成された契約書に関しては、印紙税の税額が軽減されています。
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売却価格
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本則税率
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軽減税率
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500万円超~1,000万円以下
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1万円
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5,000円
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1,000万円超~5,000万円以下
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2万円
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1万円
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5,000万円超~1億円以下
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6万円
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3万円
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1億円超~5億円以下
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10万円
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6万円
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※軽減税率=2027年3月31日まで
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空き家を相続して売却する場合は、「被相続人の居住用財産(空き家)を売却した場合の3,000万円特別控除」などの特例が利用できる可能性があります。ただし適用には細かな要件があるため、売却前に税理士や不動産会社へ確認しておくと安心です。
費用や税金を抑えるための公的制度
空き家の売却では、一定の要件を満たすことで税制特例や補助制度を利用できる場合があります。売却や申請の期限が設けられているため、利用したい場合は期限内に売却を完了させる必要があります。
- 3,000万円特別控除
- 相続空き家3,000万円特別控除
- 相続税額の取得費加算
- 10年超所有軽減税率の特例
- 空き家解体の補助金
現在、全国的に空き家の増加が課題となっており、適切に管理されていない空き家は周辺環境へ影響を及ぼす可能性が指摘されています。国や自治体も空き家の活用や市場への流通を積極的に進めており、空き家の売却に関しては上記のように税の控除や補助金が用意されています。
居住用財産の3,000万円特別控除|譲渡所得から控除できる制度
居住用財産の3,000万円特別控除(居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例)とは、個人が居住していた不動産を売却する際、売却によって生じた譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例制度です。
この特例を利用できる場合、譲渡所得に対する所得税・住民税の負担軽減につながる可能性があります。
相続空き家3,000万円特別控除|空き家を相続した場合に利用できる制度
相続空き家3,000万円特別控除(被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例)は、相続または遺贈で取得した空き家を売却した際に、譲渡所得から3,000万円まで控除を受けられる制度です。
同特例の期限は2027年12月31日までなので、活用したい場合は早めの売却・申請が必要です。制度改正により変更される可能性もあるため、最新情報を確認しましょう。
なお、2024年1月1日以降の売却から、この特例の要件が大きく緩和されました。従来は、売主が自己負担で建物を解体したり、耐震改修を行ったりしたうえで売却しなければ特例を利用できませんでした。そのため、解体費用や改修費用を負担できず、特例の利用を諦めるケースも少なくありませんでした。
しかし現在は、売主が空き家を現況のまま売却し、買主が購入後に解体や耐震改修を行う場合でも、一定の要件を満たせば特例の適用を受けられます。具体的には、買主が取得した翌年の2月15日までに解体または耐震改修を完了することが条件です。
この改正により、売却前に高額な解体費用を用意する必要がなくなり、相続した空き家を売却しやすくなりました。特に、老朽化した空き家の処分を検討している方にとっては、活用しやすい制度へと見直されたといえるでしょう。
相続税額の取得費加算の特例|相続税を支払った場合に利用できる制度
相続税額の取得費加算の特例(相続財産を譲渡した場合の取得費の特例)とは、不動産の取得費をすでに納めている相続税の一部に加算できる制度です。取得費に相続税額を加算することで、譲渡所得を減らし、結果的に、所得税・住民税の軽減を受けられます。
同特例は譲渡所得のみに適用されるので、事業所得や雑所得には適用できません。また、相続空き家3,000万円特別控除との併用はできないので、どちらが有利になるか事前に試算することが重要です。
10年超所有軽減税率の特例|10年以上所有していた場合に利用できる特例
10年超所有軽減税率の特例は、長期間住んでいた住宅を売却する場合に譲渡所得にかかる税率が低くなる制度です。所得税の税率が下がるため、税負担が軽減されます。
通常の長期譲渡所得の税率は、所有期間5年超で20.315%ですが、10年超所有軽減税率の特例が適用できれば、譲渡所得6,000万円以下の部分に対してかかる税率は14.21%に軽減されます。
なお、居住用財産の3,000万円特別控除と10年超所有軽減税率は併用可能なので、両方活用できれば大きく税負担を軽くすることができます。
空き家解体の補助金|自治体によって利用できる
自治体によっては、空き家解体の補助金制度があるところもあります。給付額は自治体によって異なりますが、解体費用の5分の1~2分の1程度の金額(上限額あり)を支援してもらえる可能性があります。
空き家が放置されていると、不法投棄や不法侵入、放火といった犯罪の温床になったり、街の景観や他の住民の住環境を阻害したりする可能性があります。現在、全国の空き家は増加しているため、多くの自治体で空き家を発生させない取り組みが進められています。
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解体の補助金がある自治体例
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北海道苫小牧市
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空家等解体補助金
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東京都墨田区
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老朽危険家屋除却費等助成制度
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愛知県豊田市
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豊田市空家解体促進費補助金
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大阪府大阪市
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密集住宅市街地のための補助制度
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放置された空き家のうち、適切な管理が行われておらず、将来的に周辺へ悪影響を及ぼすおそれがある場合は、「管理不全空き家」に指定されることがあります。さらに状態が悪化し、倒壊の危険や衛生上の問題などが認められると、「特定空き家」に認定される可能性があります。
管理不全空き家や特定空き家として自治体から指導・勧告を受けたにもかかわらず改善しない場合は、住宅用地に適用されている固定資産税・都市計画税の軽減措置が解除されることがあります。自治体からの勧告を無視したら固定資産税の軽減措置が解除されて6倍税負担になる可能性があるため注意が必要です。
また、特定空き家となった場合は、自治体から命令や行政代執行が行われるケースもあります。行政代執行によって建物が解体された場合でも、その費用は所有者へ請求されるため、結果として早めに対応するよりも負担が大きくなる可能性があります。
これらの税制特例や補助制度は、仲介による売却・買取による売却のいずれでも、要件を満たせば利用できる可能性があります。適用可否は物件の状況や売却方法によって異なるため、事前に不動産会社や税理士へ確認するとよいでしょう。
まとめ
今回は、空き家を売却するときに知っておきたい、売却方法の選び方から売却時の注意点、売却にかかる費用と費用を抑える公的制度まで詳しく解説しました。
空き家は適切な管理が行われない状態が続くと、建物の老朽化や設備の劣化が進み、売却時の評価に影響する可能性があります。放置することで、近隣への迷惑にもなります。さらに、居住しなくなった・空き家を相続した後、一定期間経つと税の控除も受けられなくなるため、将来的に住む予定がないのであれば早々に売却の準備を始めるようにしましょう。
建物の築年数が浅く、状態が良い場合や利便性が良いエリアの物件の場合は、高く売れやすい仲介での売却がおすすめです。一方で、すでに長期間放置してしまっていて、物件が劣化している場合や、利便性や建物の状態などによっては、仲介で買主を見つけるまでに時間を要するケースもあるので不動産買取業者に売却することも検討しましょう。
空き家の売却では、「仲介と買取のどちらが得か」を一律に判断することはできません。仲介は市場価格に近い金額で売却できる可能性がある一方、買主が見つかるまで時間がかかることがあります。
一方、買取は売却価格が市場価格より低くなる傾向があるものの、売却時期が見通しやすく、建物の状態によっては現況のまま売却できるケースもあります。
実務では、まず仲介査定と買取査定の両方を取得し、売却価格・売却期間・必要な費用を比較したうえで、自身に合った方法を選択するのがおすすめです。
空き家を売却する場合によくある質問
空き家を売却したら確定申告は必要?
空き家を売却して、譲渡所得(利益)があった場合は確定申告が必要です。不動産売却で活用できる税金の特例を受ける場合も確定申告しなければなりません。また、損失が出た場合は確定申告をする義務はありませんが、確定申告をすることで税金が安くなることがあります。
確定申告は毎年2月16日~3月15日と期間が決まっているので、遅れないよう早めに手続きすることをおすすめします。
空き家の売却で自分でできることは何かある?
仲介で空き家を売却する場合は、自分でできることをしておくと、買い手が見つかりやすくなったり売却価格が上がったりする可能性があります。
例えば、家の中の不用品を自分で処分すれば、処分費用を節約しつつ、市場相場に近い金額で売却しやすくなります。布団・衣類・家具・食品などは家庭ごみとして自分で、最小限の費用で処分が可能です不用品回収や遺品整理業者へ依頼すると、収集運搬費や処分費などが発生するため、処理費用が余分にかかってしまいます。家庭ごみを一度に排出できる量は、一般的に上限があるため、自分でごみを処理する場合は早めに仕分け・排出を始めるほうがよいでしょう。