残置物のある空き家もそのまま売却できる
結論からいうと、残置物のある空き家でも、現状そのままで売却できます。
法律上「残置物がある物件を売却してはいけない」というルールはなく、空き家に関しても所有権が自分にあれば問題なく売却可能です。
つまり、次の条件を満たす買主さえ見つかれば、残置物ごと空き家を売却できます。
- 「空き家を購入したい」
- 「残置物が残っていても問題ない」
まずは、残置物のある空き家をそのまま売却できるケースを解説します。
名義変更していれば空き家は売却可能
空き家を取得する場合、亡くなった親族などから相続するケースが多いと思います。
この場合、相続登記などによって空き家を自分名義に変更していれば売却可能です。
ただし、空き家を兄弟など複数人で相続して共有名義になるケースもあります。
その場合、共有名義の空き家そのものを売却するには共有者全員の同意が必要ですが、自分がもつ「共有持分」だけであれば自由に売却できます。
共有持分とは
複数人で1つの不動産を共同所有しているとき、それぞれの共有者が共有不動産に対して持っている所有権の割合で「1/2」のように分数で表します。
共有持分を売却する方法については、こちらの記事をご覧ください。
空き家を解体しなくても売却可能
法律上「空き家を解体しなければ売却できない」というルールはないので、築年数の古い空き家であっても、現状そのままの状態で売却して問題ありません。
たしかに、空き家を解体すると物件が売れやすくなるメリットがあります。
- 買主が見つかりやすくなる
- 更地の方が高く売れやすい
しかし、解体費用や固定資産税のせいで損をしてしまうリスクもあるのです。
- 解体費用によっては赤字になる
- 更地にすると固定資産税が増える
買主から要求された場合のみ建物を解体する「古家付き土地」という売り方もあるので、基本的には更地にせず空き家のまま売却しましょう。
更地にすると固定資産税などが増えるため注意
築年数が古い場合「更地にした方が売れるのでは?」と考える人も多いですが、基本的に空き家を解体することはおすすめしません。
空き家を所有していると、固定資産税と都市計画税が毎年課税されます。
しかし、空き家は「住宅用地の特例」によって、固定資産税・固定資産税が減税されているのです。
物件の状態 |
固定資産税 |
都市計画税 |
住宅用地
(敷地面積200㎡まで) |
1/6に減額 |
1/3に減額 |
住宅用地
(敷地面積200㎡以上) |
1/3に減額 |
1/3に減額 |
更地 |
減額なし |
減額なし |
「住宅用地の特例」とは、空き家に限らず住居を維持する際、土地や建物の所有者にかかる負担を軽減するための措置です。
空き家を解体してしまうと「住宅用地の特例」が受けられなくなり、固定資産税を最大6倍も負担しなければなりません。
「住宅用地の特例」で固定資産税を抑えるためにも、買主から要求されるまで空き家は解体せずに「古家付き土地」として売り出すのがベストです。
買主に残置物を譲渡できるケースもある
残置物によっては、そのまま空き家ごと買主に譲渡できるケースもあります。
例えば、使用感の少ない家具や家電であれば、買主側としても新しく買う手間が省けるので「そのまま使ってもよい」と引き取ってもらえるでしょう。
具体的には、次のような残置物は買主に引き取ってもらえるケースが多いです。
- 食器棚やタンスなど大型家具
- エアコンや照明といった設備
売主側としても、処分の手間が省けるメリットがあるので「ほしい物はないですか?」と一応買主へ相談してみるとよいでしょう。
とはいえ、基本的に物件は残置物を残さずに売却するのがマナーなので、買主に残置物を引き取ってもらえるケースは決して多くありません。
食器棚やタンスなど大型家具
食器棚やタンスなど、高額な大型家具は買主から歓迎されやすい残置物です。
食器棚を購入すると10万円はかかりますし、物件内へ搬入する手間もかかります。
とはいえ、数十年間も使っているような汚れの目立つ家具は、あまり歓迎されません。
目安として、5年以内に購入した家具や家電であれば、比較的状態も良いので、買主に譲渡できる可能性が高いでしょう。
エアコンや照明といった設備
エアコンや照明といった設置が面倒な設備は、残置物のなかでも歓迎されやすいです。
例えばエアコンの場合、新居へ移し替える費用と新しく買い換える費用は、いずれも5万円前後と大差ありません。
そのため、空き家のエアコンを処分する場合、売主と買主の両方に5万円前後の負担がかかってしまいます。
しかし、空き家のエアコンを残しておけば、売主にはエアコンの買い替え費用がかかりますが、買主は一切費用を負担せずに済みます。
「設置するにも解体するにも費用がかかる」と伝えれば、エアコンや照明といった物件に組み込まれている設備も、そのまま買主に引き取ってもらいやすいです。
残置物を譲渡しても売却価格は変わらない
ケースによっては残置物を買主へ譲渡できるとはいえ「残置物の分だけ空き家の売却価格を値上げする」といったことは困難です。
あくまで買主は空き家を購入したいのであって、家具や家電が欲しいわけではなく、いわば譲渡する残置物は「おまけ」でしかありません。
高級な家具・家財であれば、値上げできる可能性もゼロではありませんが、基本としては「残置物を買主へ譲渡できたらラッキー」程度に考えておきましょう。
訳あり物件の専門業者なら残置物ごと買取可能
残置物のある空き家を売るとき、必ずしも買主が残置物を引き取ってくれるとは限らず、自分で処分する場合も手間や費用がかかってしまいます。
残置物を処分せずに空き家を売りたい場合、訳あり物件の専門業者へ売却しましょう。
不動産業者の中には、大手不動産業者などが扱わないような、欠陥住宅や事故物件といった「訳あり物件」を扱う専門業者が存在します。
こうした専門業者はリフォーム業者や清掃業者などと提携しており、自社で家具や家電を処分してもらえるので、残置物のある空き家でも問題なく取り扱ってもらえます。
欠陥住宅や事故物件に比べれば、残置物のある空き家は抱えている問題も少ないので、高額売却も期待できるでしょう。
専門業者を探すなら「一括査定」がおすすめ
残置物のある空き家を売るとき、不動産業者選びで迷う人も多いのではないでしょうか?
そうした場合、全国1,600以上の不動産業者へ一気に査定を申し込める「一括査定サイト」を利用して、訳あり物件の専門業者を探すことをおすすめします。
わざわざインターネットで訳あり物件の専門業者を探して、1社ずつメールや電話をして、条件や査定額を尋ねるのでは、時間も手間もかかってしまいます。
一括査定を利用すれば、たった1回の査定で全国の不動産業者の査定額がわかるので、あなたの空き家をもっとも高く売却できる不動産業者が一目でわかります。
査定結果は2分でわかるので、気になった専門業者へ連絡して「どうやって残置物のある空き家を売るべきか?」を相談してみてはいかがでしょうか。
空き家の残置物は処分してから売却するべき?
残置物を処分しなくても空き家は売却できますが、果たしてそれが正解なのでしょうか?
他人の生活感が残ったままの家に住みたい人は少ないので、残置物を処分した方が購入希望者も集まりやすく、空き家を高額売却できる可能性は高いでしょう。
とはいえ、残置物を処分するには手間や費用がかかるため、空き家の売却価格などによっては、処分する手間に見合った成果が得られるとは限りません。
空き家の残置物を処分する場合のメリット・デメリットを比較していきましょう。
【メリット】残置物を処分した方が購入希望者が集まりやすい
残置物ごと空き家を売却した場合、将来的に買主自身が処分しなければなりません。
必要ない残置物を処分するには、廃品回収業者へ依頼したり、自ら運び出して自治体の粗大ごみへ出さなければならないため、手間や費用がかかってしまいます。
わざわざ自分のものでない残置物を、自ら費用を負担してまで処分したい買主はまずいないでしょう。
そのため、残置物が残っている場合に比べて、残置物を処分してある方が購入希望者が集まりやすく、空き家を高く・早く売却できる可能性が高いです。
【デメリット】残置物の処分費用は売主が負担しなければならない
残置物の処分にかかる費用は、空き家の買主ではなく売主が負担しなければなりません。
なぜなら、不動産売買においては残置物がない状態で物件を引渡すことがマナーとされているため、買主も残置物がない前提で空き家の購入を検討しているからです。
残置物を処分したおかげで高く売れることもありますが、処分費用によっては損をする恐れもあるため、そのまま空き家を売却した方がよいケースも少なくありません。
残置物を処分してから空き家を売却する手順
もし自分で残置物を処分する場合、どのように空き家を売却するのでしょうか?
残置物を処分してから空き家を売却する場合、手順は3ステップです。
- できるだけ自分で残置物を処分する
- 遺品整理業者などへ処分を依頼する
- 不動産業者へ依頼して空き家を売却する
まずは自分で残置物を減らしてから、場合によっては遺品整理業者へ依頼して残置物を処分した後、通常物件と同様に不動産業者へ依頼して空き家を売却します。
それぞれの手順を順番に解説していきます。
【手順1】できるだけ自分で残置物を処分する
まずは、自分で空き家の残置物をできるだけ処分しましょう。
自分で残置物を処分する場合、以下ような方法があります。
- オークションやフリマサイトへ出品する
- リサイクルショップに買取してもらう
- 自治体の粗大ごみに出す
- トランクルームなどに一時的に預ける
空き家の残置物を減らしておけば、遺品整理業者などへ処分を頼む場合も、依頼費用を安く抑えることができます。
つづいて、自分で残置物を処分する方法を1つずつ見てきましょう。
リサイクルショップに買取してもらう
残置物を早く売りたい場合、リサイクルショップに持ち込みましょう。
残置物を自治体や廃品回収業者に処分してもらう場合、費用がかかりますが、リサイクルショップであれば無料で残置物を買取してもらえます。
ただし、リサイクルショップは何でも買取してくれるわけではなく、汚れていたり古すぎる場合、残置物を買取拒否されるケースも少なくありません。
リサイクルショップで買取してもらえなかった残置物は、自治体の粗大ごみに出したり、廃品回収業者に処分してもらいましょう。
オークションやフリマサイトへ出品する
残置物を高く売りたい場合、ネットオークションやフリマサイトへ出品しましょう。
ネットオークションやフリマサイトは売却まで時間がかかるものの、商品価値を理解した人が購入してくれるので、リサイクルショップよりも高値で売れる場合が多いです。
ただし、自分で発送作業をおこなうので手間がかかる上、購入者が見つからなければ残置物を売却できません。
残置物を早く売りたい場合はリサイクルショップ、高く売りたい場合はネットオークションやフリマサイトと使い分けるとよいでしょう。
自治体の粗大ごみに出す
リサイクルショップなどに売れない残置物は、粗大ゴミとして捨てるしかありません。
粗大ゴミの処分にかかる費用は自治体によって異なりますが、中野区の場合であれば大型の食器棚やタンスであっても最高2,800円で処分できます。
ただし、家電リサイクル法などで定められている、エアコン・テレビ・冷蔵庫・パソコンといった家電は粗大ゴミとして処分できません。
また、粗大ゴミとして捨てる場合、大型の家具や家電を指定された収集場所へ持ち込む必要があるため、自力で運び出すことがむずかしいケースも少なくありません。
そうした場合、廃品回収業者や遺品整理業者へ処分を依頼するしかないでしょう。
参照:「粗大ごみの品目と処理手数料一覧」(中野区)
トランクルームなどに一時的に預ける
残置物を手放したくない場合、トランクルームなどへ一時的に預けましょう。
空き家を売却するために残置物を運び出したいが「正直なところ、残置物を売却・処分するか迷っている」という人も珍しくありません。
トランクルームを借りる場合、屋外型は月額2,000〜7,000円、屋内型は月額3,000〜20,000円程度で利用できます。
利用料金こそかかりますが、売却が済めば回収できるので「残置物を捨てたくないけれど、置き場所がない」といった場合、一時的にトランクルームへ預けるとよいでしょう。
【手順2】遺品整理業者などへ処分を依頼する
自分で手が回らない場合、遺品整理業者などに残置物を処分してもらいましょう。
不用品を回収するだけの廃品回収業者とは別に、空き家の片付けを専門をおこなう遺品整理業者なども存在します。
遺品整理業者などへ依頼すると、次のように空き家を片付けてもらえます。
- 必要品と不要品の仕分け
- 不用品の処分
- 必要品の搬出
- 空き家の簡易清掃
遺品整理業者などに依頼すれば、残置物の処分から空き家の清掃まで、すべて安心して任せられるため、買主の負担を大幅に軽減できます。
まずは不用品を処分したい方は、下記の業者も検討してみてください。
残置物の処分にかかる費用相場は約3~50万円
残置物の処分にかかる費用相場は、約3~50万円といわれています。
間取り |
費用相場 |
1R |
30,000円~80,000円 |
1DK |
50,000円~120,000円 |
1LDK |
70,000円~200,000円 |
2DK |
90,000円~250,000円 |
2LDK |
120,000円~300,000円 |
3LDK |
170,000円~500,000円 |
残置物の量によって処分にかかる費用が変動するため、部屋が広く残置物の量が多いほど、業者への依頼費用は高くなります。
ですので、業者への依頼費用を抑えるためにも、できる限り自分で残置物を減らしておくことをおすすめします。
【手順3】不動産業者へ依頼して空き家を売却する
物件内の残置物がなくなったら、不動産業者へ依頼して空き家を売却しましょう。
残置物さえなくなれば、単なる空き家なので、通常物件と同様の流れで売却できます。
- 不動産業者へ査定を申し込む
- 依頼する不動産業者を決める
- 売却活動をおこない買主を探す
- 見つけた買主と売買契約を締結する
- 事故物件を引渡して代金を受け取る
ただし、空き家は築年数が古い物件も多く、なかなか買主が見つからずに売れ残ってしまうケースも少なくありません。
空き家の売却で損をしないためには、以下の方法を実践するとよいでしょう。
- 「古家付き土地」として販売する
- 「買取保証」のある業者で売却する
この方法を用いれば、空き家を解体せずに済むだけでなく、売れ残ってしまった場合は不動産業者に買取してもらえるので、確実に空き家を売却できます。
それぞれの売却方法について、1つずつ解説していきます。
ちなみに不動産売却の流れや注意点は、こちらの記事を参考にしてください。
「古家付き土地」として販売するのがおすすめ
空き家を売る場合、建物を解体せずに「古家付き土地」として売却しましょう。
古家付き土地とは、建物がある状態で売り出される土地のことで、中古物件として売り出すのではなく、あくまで「土地に中古物件が付いてくる」という扱いで販売できます。
「古家付き土地」として売り出すことで、売主にとって3つのメリットがあります。
- 解体費用を節約できる
- 固定資産税などを節税できる
- 買主の需要を高められる
「古家付き土地」では、買主から要求された場合のみ建物を解体すればよいので、買主が空き家ごと購入してくれれば、解体費用を一切負担せずに済みます。
また空き家を解体しないまま売却活動をおこなえるので「住宅用地の特例」による固定資産税・都市計画税の減税措置を受け続けることができます。
それだけでなく、土地と中古物件をセットで売り出すことで、建物を欲しい買主と土地を欲しい買主、双方の需要が集まるため、買主が見つかる可能性も高いです。
売却方法 |
買主 |
土地 |
土地が欲しい買主 |
中古住宅 |
建物が欲しい買主 |
古家付き土地 |
土地が欲しい買主
建物が欲しい買主 |
「買取保証」のある業者なら売れ残る心配がない
不動産業者には「仲介業者」と「買取業者」の2種類があり、それぞれ売却先や得意分野が異なります。
種類 |
売却先 |
得意分野 |
仲介業者 |
買主を探して物件を売却 |
高値で売却する |
買取業者 |
自社で物件を直接買取 |
早く・確実に売却する |
しかし近年では、仲介業者と買取業者のメリットを併せ持つ「買取保証」という制度を実施している不動産業者も増えています。
買取保証とは
まずは一般の買主を探しますが、一定期間内に売れなかった場合、事前に決定した金額で不動産業者が自社で物件を買い取る売却方法です。
まずは仲介業者のように、売主が希望する価格で売却活動をおこなうため、買主さえ見つかれば空き家を高額売却できるチャンスがあります。
一方、もし買主が見つからなくても、不動産業者が自社で空き家を買取してくれるので、空き家が売れ残ってしまう心配がありません。
一括査定サイトを利用すれば、買取保証を実施している不動産業者にも査定を申し込めるため、まずは無料査定で買取保証のある業者を探してみるとよいでしょう。
まとめ
残置物のある空き家でも、建物を解体せずに家具や家電を片付けなくても、そのまま売却できます。
ただし、残置物があると買主が見つかりにくく、通常物件に比べて売れ残りやすい点は否めません。
とはいえ、残置物を処分するにも手間や費用がかかるため、それに見合った成果が必ずしも得られるとは限りません。
ですので、残置物のある空き家は「訳あり物件の専門業者」へそのまま売却することをおすすめします。
一括査定サイトを利用すれば「どの不動産業者なら高く売れるか?」を一目で確認できるので、まずは無料査定を試してみるとよいでしょう。
残置物のある空き家のよくある質問
残置物のある空き家でも売却できますか?
法律上の制限はないので、自分名義であれば残置物のある空き家でも問題なく売却できます。残置物を処分しなければならない義務もありません。
空き家の買主へ残置物を譲渡できますか?
買主の了承があれば、残置物を引き取ってもらえます。食器棚やタンスなど大型家具、エアコンや照明といった設備は買主に歓迎されやすいです。
空き家の残置物は処分した方がよいですか?
残置物を処分した方が購入希望者が集まりやすいですが、処分費用は売主が負担しなければならないため、ケースバイケースです。
残置物を処分するには、どうすればよいですか?
リサイクルショップやネットオークションなどで売却したり、自治体の粗大ごみに出すことで処分できます。遺品整理業者などへ処分を依頼することも可能です。
どうすれば残置物のある空き家をそのまま売却できますか?
残置物ごと空き家を買取してもらえるので、訳あり物件の専門業者へ売却するとよいでしょう。
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