欠陥住宅とは物理的瑕疵のある物件
欠陥住宅とは、本来あるべき安全性が欠けている住宅のことを指します。
ここでいう安全性には、住宅構造などの性能面だけでなく居住する人の健康面に対するものも含まれます。欠陥住宅は戸建てだけではなく、マンションでも事例があるため注意が必要です。
欠陥住宅と判断される事例
「欠陥住宅」といっても、雨漏りのある家や壁に亀裂のある家、傾きのある家など、さまざまな種類があります。欠陥住宅と判断されるケースは、以下のとおりです。
- 雨漏り
- 壁の亀裂
- 建物の傾き
- 内部結露
- 設備の不具合
- シロアリ被害
- 法令で禁止されている素材の使用
それぞれのケースを具体的な事例から確認してみましょう。
雨漏り
雨漏りは、単純に屋根の耐久性が劣化して起こる場合もありますが、欠陥住宅が影響している場合は「屋根の施工に問題がある」ことや「外壁の施工が適正ではない」ことが原因として考えられます。
「屋根の施工に問題がある」ケースでは、下記の施工不良が原因であるケースが多いです。
- 屋根の下地の防水処理が不十分な状況であった
- 屋根の水が流れ落ちるための適度な勾配が確保された設計でなかった
- 屋根を固定すべき箇所が十分に接着されていない
一方で「外壁の施工が適正ではない」ケースでは、屋根や窓回りの接合部から水が壁内部に入りやすいのが原因と考えられます。
壁の亀裂
壁や天井にひび割れなどの亀裂がある場合、欠陥住宅に該当する恐れがあります。亀裂の状態によっては経年変化が要因となっている場合もあるので、欠陥住宅に該当するか見分ける必要があります。
見分ける際は、亀裂が発生している場所を確認しましょう。部屋の壁クロスの継ぎ目以外の面で亀裂があると、下地となっている構造体に何かしら不具合がある可能性が高いです。
建物の傾き
基礎や構造体などに不具合があると、床や壁が傾くことがあります。
傾きの要因としては、基礎の沈下や基礎及び壁内部の柱の耐久性不足や劣化などが考えられますが、設計段階から強度不足の構造体であるようないわゆる「手抜き工事」の可能性も否めません。
フローリングにビー玉などを置いて、一定の方向に転がっていく場合、建物の傾きを疑ったほうがよいでしょう。
断熱材の不足による内部結露
内部結露とは、建物の壁内部(隠れている内部)で、結露が起きていることです。
夏の暑い時期、冷蔵庫で冷やしたペットボトルを室内に置いておくと、ペットボトルの外側につく水滴が「結露」です。
結露は温度差が原因で発生するため、木造の建物の断熱材が不十分だと、冷たい外気と温かい室内の気温差で発生しやすくなります。
壁の内部で結露が発生すると、断熱材の性能が劣化してしまったり、水分で壁内部にカビが発生してしまうため、木部の腐食に繋がる恐れがあります。
設備の不具合
水道の配管や電線、設置してある暖房設備などに不具合があると、欠陥住宅となることがあります。
水道配管では、床下や壁内部で亀裂や腐食があり水漏れしているケース、電気設備では、ショートしていたり照明器具やスイッチがうまく作動しなかったりする箇所があるなどのケースがあります。
シロアリ被害
施工に問題がなくても、シロアリ被害で柱や土台が腐食してしまうと、欠陥住宅となる場合があります。
新築時に木材への薬剤散布でシロアリ対策をしていても、薬剤の効果は一定期間しか保ちません。
また、壁内部で結露がおきている場合も、シロアリが棲みやすい環境になることがあるため注意しましょう。
法令で禁止されている素材の使用
健康に被害を及ぼす恐れがあるとして、法令で禁止されている素材を使った建物は欠陥住宅となります。
かつて問題になったアスベストの使用が一例に挙げられますが、ホルムアルデヒド濃度が高い素材やクロルピリホスなども法令で禁止されている素材の1つです。
欠陥住宅とならない事例
一方で、欠陥住宅とはならない事例もあります。次のようなケースは、欠陥住宅と見なされにくいです。
判断が難しいものもあるため、それぞれ確認していきましょう。
クロス壁の剥がれ
クロス壁の剥がれの中でも、柱と柱の継ぎ目や下地の木部の継ぎ目などで発生している場合は、欠陥住宅にはなりません。
木には、湿気を吸収して空気を乾燥させたり、吸収した湿気を放出して湿度を上げたりする調湿作用があります。一定の水準に乾燥させた柱や梁などの乾燥材以外、新築時に使う木材は水分を多く含んでいるものが多いです。
壁の中にある木材でも、次第に乾燥して縮んでいくため、クロスが引っ張られて隙間が出来たり剥がれたりします。
壁下地の継ぎ目がない場所でクロスが割れたり、剥がれたりするなら欠陥住宅の可能性が高いですが、木部の継ぎ目で起きた場合は経年変化と考えるのが妥当です。
木材の縮小が原因の場合、家の基礎のように安全性に関わる部分に問題があるわけではありません。クロスを張り替えれば通常通り売却可能です。
左官壁のヒビ
左官壁(塗り壁)がヒビ割れることは少なくありません。
しかしヒビ割れがあっても、柱との接合部や下地の木部の継ぎ目などの場合は、クロスと同様に木部の乾燥による経年変化であると判断します。
左官壁は、水と左官材を混ぜて作られているため、施工当初はたくさんの水分を含んでいます。
徐々に乾いてきますが、柱となる木部の乾燥とも重なり、お互いの素材が縮んでいくので、どうしてもヒビ割れてしまうことがあるのです。
木材の反り・割れ
柱や梁などの木材に割れや反りなどがあった場合でも、欠陥住宅とはならないことが多いでしょう。木材は、経年変化で自然に乾燥していくため、木材の使用部位によっては、割れ、反りなどが起こり得ます。
とくに太い柱や梁をたくさん使った自然素材の家などは、完成後でも割れが入ることは珍しくありません。木材の特徴として捉えるべきといえます。
欠陥住宅を売却する際の注意点
欠陥住宅と認識している住宅を売却する場合、下記の2つに注意する必要があります。
- 買主への告知義務がある
- 売主は契約不適合責任を負う
ここからは、それぞれ注意点について詳しくみていきましょう。
買主への告知義務がある
欠陥住宅を売却するときには、「告知義務」があります。
告知義務とは、自殺や殺人などがあった事故物件であることや、欠陥がある物理的瑕疵物件であることを、不動産売却時に売主から買主へ事前に告知する義務です。
つまり、現状で把握している不具合については、買主へ伝えなければなりません。不動産会社に売却の仲介を依頼する場合も、不動産会社に対して「告知義務」があります。
売主は契約不適合責任を負う
住宅を売るときに最も注意しておきたいことは、「売主の契約不適合責任」です。まず、「瑕疵」には以下の4つ種類があります。
瑕疵の種類 |
概要 |
具体例 |
心理的瑕疵 |
物件に嫌悪を感じる歴史的背景があり、住み心地を欠いている |
事故や自殺 |
法律的瑕疵 |
法律や条例により物件を自由に使用できない |
市街化調整区域のため家の建て替えに許可が必要 |
物理的瑕疵 |
物件の設備や施工に問題があり住み心地を欠いている |
雨漏りやシロアリ |
環境瑕疵 |
物件の周辺環境に住む心地を悪くさせる要因がある |
・近隣に騒音・異臭がある
・近くに反社会的勢力の事務所などがある |
欠陥住宅は物理的瑕疵に該当します。上記のように、売買する前に明らかになっている瑕疵については、「告知義務」によってお互いに認識されているべきです。
しかし、売買するときに明らかになっていなかった瑕疵があれば「隠れた瑕疵(隠れた欠陥)」に該当します。
その場合、契約不適合責任により、売主が責任を負わなければなりません。契約不適合責任とは、契約内容と適合しない目的物を引き渡した場合に売り手が負う責任をいいます。
瑕疵が発見された場合、一般的には売主が修復する義務を負うことになり、契約解除や損害賠償請求を求められるケースも少なくありません。
なお2020年4月に民法改正によって「瑕疵」は「契約に適合する目的物」という表現になりました。
参照:国土交通省
欠陥住宅の売却相場は約20〜30%ほど安くなる
欠陥住宅である以上、住宅には雨漏りや結露など何らかの瑕疵があります。
欠陥住宅を修繕せずに売ると、買主が費用を負担して修繕する必要があるため、売却価格から修繕費用が値引きされるのが一般的です。
欠陥の程度にもよりますが、欠陥住宅の売却相場は通常物件よりも約20〜30%ほど安くなってしまいます。
しかし売却価格が下がることを恐れて、欠陥住宅であることを告知せずに売却すると、損害賠償などのトラブルになる恐れがあるため注意しましょう。
欠陥部分を修理してから売却しても赤字のリスクがある
欠陥住宅は、雨漏りや傾斜、ひび割れなどの欠陥部分を修理することで、一般の市場でも買い手が付きやすくなります。
しかし、欠陥住宅の修理には数十万~数百万の高額な費用がかかりますし、修理したからといって必ず売却できるという保証はありません。
仮に売れ残ってしまうと、修理にかかった費用は赤字になってしまいます。個人で欠陥住宅を修理して売却するのは赤字リスクが高いため、売却の際は慎重に検討する必要があるでしょう。
欠陥住宅を高く売る5つの方法
欠陥住宅であっても、なるべく高く売りたいと考えるのは当然でしょう。高く売る方法として、下記の5つが挙げられます。
- 不具合を修繕してから売却する
- 大規模リフォームが可能な物件として売却する
- 売却価格を交渉する
- 建物を解体する前提で売却する
- 不動産買取業者に売却する
ここからは、欠陥住宅を高く売る方法を解説していきます。
1.不具合を修繕してから売却する
欠陥箇所を調査して修繕してから売却すると、修繕前より高く売れる可能性は高いです。しかし、前述の通り欠陥の修繕にかかった費用分、そのまま売却価格が高くなるとは限りません。
とくに雨漏り、壁のヒビ割れ、建物の傾きなどは、補修費用が高額になりやすい工事です。修繕費用と売却価格の収支を検討する必要があるでしょう。
2.大規模リフォームが可能な物件として売却する
大規模なリフォームが可能な物件として売却すれば、高く売却できる可能性があります。
大規模リフォームとは、既存の建物の基礎や柱・梁などの構造体をそのまま利用しながら、屋根の形状を変えたり、断熱材を入れ替えたり、外壁を変えたりすることです。
内部の壁も解体するなど、間取りを全く変える作り変えも可能です。大規模リフォームは手を掛ける範囲が広いため、費用も1,000万円前後かかることもありますが、新築物件を購入する費用よりは安く済みます。
最近は、中古物件を購入して自分好みにリフォームをしたいと考える買主も少なくありません。このような買主の場合、売主が自主的にリフォームを施しても、買主の好みと合致しなければ無駄になる可能性もあります。
欠陥住宅の種類にもよりますが、いますぐ建て替えが必要な重大な欠陥でなければ、売却後にリフォームした方がよいケースもあります。
もちろん欠陥住宅であるため、売却価格は少し低くなりますが、買主は欠陥を修繕する意思があるので、売却価格が著しく下がる事態はないでしょう。
3.売却価格を交渉する
欠陥がある部分をすべて修繕せずに、一部だけ修繕して代わりに売却価格で調整する方法があります。
欠陥住宅といっても、雨漏りなどは買主も修繕してほしい部分ですが、壁のヒビなどは、場所によっては修繕しなくてよいと考える買主もいます。
そうした場合、欠陥に応じて値引きするなどの売却価格で交渉可能です。
すべて修繕する場合に比べて、売主は費用を負担せずに済み、買主も必要最低限の修繕費用しか売却価格に反映されないので、お互い満足できる取引になります。
お互いがどんな条件や価格であれば納得できるのか、じっくり相談するとよいでしょう。
4.建物を解体する前提で売却する
欠陥住宅を解体して更地にする前提で売却すれば、建物の評価ではなく、土地の価値だけで売却価格を決められます。
欠陥住宅や老朽化が進んだ建物の場合、建物事態に価値がないと「古家は解体予定」として売却されるケースは多いです。土地だけなら購入したい買主も多いため、スムーズに売却できる可能性が高いです。
解体費用は売主の負担になりますが、契約不適合責任を負うリスクも回避できるので、欠陥住宅を解体するメリットは大きいです。
ただし、住居用地には固定資産税の軽減特例があるため、買主が決まるまではなるべく建物を解体せず、現状のままで所有しておく方が税金の負担が少なく済みます。
この特例は、「住宅用地に家屋があること」が要件のひとつになっています。
住宅を解体すると、家屋が滅失してしまうため、固定資産税の軽減特例を受けられなくなり固定資産税が上がってしまいます。そのため、解体するタイミングには注意しましょう。
5.不動産買取業者に売却する
欠陥住宅の場合、修繕すべきか解体すべきか迷ってしまい、なかなか売却に踏み切れないケースがあります。
また売却しようとしても、欠陥住宅を欲しがる買主が見つかりづらく、なかなか売却できないケースも少なくありません。
できるだけ早く高額で売却したい場合、不動産買取専門業者に買取してもらうのがベストです。専門業者であれば、不具合を修繕して欠陥住宅ではない中古物件として再販できるので、欠陥住宅でも高額で買取してくれます。
どのような欠陥なら建物を再生できるのか、たくさんの事例をもとに適切なアドバイスをもらえるメリットもあります。
買取業者に欠陥住宅を売却するメリット
買取業者に欠陥住宅を売却するメリットとしては、主に下記の3つが挙げられます。
- 契約不適合責任が免責になる
- すぐに現金化できる
- 費用も手間もかからない
ここからは、上記のメリットについてそれぞれ詳しく解説していきます。
契約不適合責任が免責になる
前述の通り、欠陥住宅を売却する場合、契約時に把握していなかった欠陥や不具合が見つかると、買い手から契約不適合責任を問われ、契約解除や損害賠償を請求されるリスクがあります。
しかし、欠陥住宅などの訳あり住宅を専門に取り扱っている買取業者は、契約不適合責任の免責を条件に買い取ってくれるところが多いです。
契約不適合責任が免責になる買取業者に売却すれば、後で思わぬ欠陥や不具合が見つかっても買い手から契約不適合責任を問われることはないため、安心して欠陥住宅を処分できます。
すぐに現金化できる
一般の不動産仲介業者に依頼する場合は、買い手が見つかるまで現金化できません。欠陥住宅は一般の買い手からは避けられやすいため、なかなか買い手が見つからず、現金化できないケースも多いです。
一方、専門の買取業者を利用する場合は、業者が欠陥住宅を直接買い取ってくれるため、業者が提示した査定額に納得すれば売買が成立します。仲介ではなかなか売れない欠陥住宅も、専門の買取業者ならスピーディーに売却でき、まとまったお金を手に入れられます。
費用も手間もかからない
欠陥住宅はそのままの状態だと買い手を見つけるのが難しいため、一般の市場で買い手を見つけるには欠陥部分の修繕やリフォーム、リノベーションが不可欠です。
しかし、買取業者に売却する場合は、欠陥住宅を買い取った業者が修繕やリフォーム、リノベーションなどを行ってくれるため、売り手はそれらの費用や手間をかける必要がなく、そのままの状態で売却できます。
仲介のように購入希望者が内見に訪れたり、不動産業者と連絡を何度もやり取りしたりする必要もありません。また、仲介で欠陥住宅の売買が成立した場合は、成功報酬として仲介手数料を不動産仲介業者に支払う必要がありますが、買取の場合は仲介手数料が発生しません。
欠陥住宅の買取は実績豊富な当社にご相談ください
当社は、欠陥住宅などそのままでの売却が難しいとされる訳あり物件を専門に買取しています。
不動産の取引知識がほとんどない一般の方にとって、雨漏りしている建物やシロアリ被害にあっている建物など、欠陥がある中古住宅の売却には不安があるでしょう。
欠陥住宅の程度はどのくらいなのかを判断できず、現状のままでよいのか、修繕すべきなのか悩むところです。しかし、欠陥住宅は判断を誤るとスムーズな売却が難しくなることがあります。
売却交渉から引き渡しまで、後々のトラブルに発展することがないように、不動産買取を数多く手掛ける当社にぜひご相談ください。
欠陥住宅の売却で起こりうる、すべてのトラブルを当社が請け負います。
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まとめ
欠陥住宅の売却は不可能ではありませんが、雨漏りや床の沈下、シロアリ被害などがあるような欠陥住宅である場合、一般的な市場価格での売却は難しいです。
とはいえ、欠陥を修繕してから売却すると、修繕費用もかかるため、欠陥住宅を売却しても利益が少なくなってしまうケースも少なくありません。しかし、修繕しなくても、欠陥住宅のまま売却する方法もあります。
欠陥を修繕してから売却するべきか、そのまま売却するべきか、しっかりと専門家に建物状況調査をしてもらってから決めるとよいでしょう。
また修繕せずに売却したい場合、当社では、欠陥住宅のような訳あり物件も買取できますので、お気軽にお問い合わせください。
欠陥住宅の売却に関するよくある質問
どのような場合、欠陥住宅と判断されますか?
雨漏り・壁の亀裂・建物の傾き・内部結露・設備の不具合・シロアリ被害・法令で禁止されている素材の使用、いずれかに該当する場合は欠陥住宅と判断されます。
どのような場合、欠陥住宅と判断されませんか?
クロス壁の剥がれ・左官壁のヒビ・木材の反りや割れ、これらに該当する場合は欠陥住宅とは見なされません。
欠陥住宅の売却相場はどの程度ですか?
欠陥の内容にもよりますが、一般的に欠陥住宅の売却相場は通常物件より約20〜30%ほど安くなります。
欠陥住宅を高く売るには、どうすればよいですか?
欠陥住宅を早く高額で売却したい場合、買取業者に売却するのがベストです。専門業者であれば、不具合を修繕した後で中古物件として再販できるので、欠陥住宅でも高額で買取してくれます。
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