自然死物件の家の価値は「事故物件とみなされるかどうか」で決まる
自然死物件の家の価値は、発見時の遺体の状態によって決まります。
自然死からすぐに遺体が発見されたのであれば、家の価値に対する影響はありません。
しかし、遺体が損傷・腐敗していた場合、家にシミや臭いがついてしまい、物件価格は1~3割ほど低くなります。
自然死物件の定義や、家の価値への影響について、詳しく解説していきます。
自然死物件とは「老衰死と病死のあった物件」を指す
自然死とは、本来は老衰死のみを指す言葉です。
・老衰死:特別な病気ではなく、加齢による身体機能の衰弱で死亡すること
しかし、不動産業界で「自然死物件」といった場合、老衰死だけでなく「病気による死亡があった物件」も含まれます。
つまり、その物件で人死があり、その原因が自殺や他殺・事故死など「なんらかの不幸な事故or事件」ではない場合、自然死物件と呼ばれます。
自然死物件が事故物件になるかは「発見までの期間」や「遺体の損傷具合」による
事故物件とは、心理的瑕疵のある物件のうち人死があった物件を指します。
心理的瑕疵 |
心理的な欠陥。人の死があった物件や嫌悪施設が近くにある物件など、心理的な抵抗感のある物件を心理的瑕疵物件という |
事故物件 |
心理的瑕疵物件のなかでも、人の死亡に関わる事柄があった物件 |
一見すると「自然死物件=事故物件」と考えられそうですが、自然死物件のすべてが事故物件になるとは限りません。
当然ながら、自宅で亡くなる人も大勢います。ただ人が死ぬだけで事故物件となっては、どの家も事故物件となってしまうでしょう。
自然死物件が事故物件とみなされるのは、遺体の発見までに時間がかかり、遺体がある程度損傷している場合に限られます。
遺体が腐敗するまでの日数
自然死物件が事故物件となるのは、遺体が時間経過とともに損傷し、家にシミや臭いなどの悪影響をおよぼすのが大きな要因です。
「遺体が放置されてからどのくらいで損傷するのか」ですが、基本的に次の日数で腐敗状態になるといわれます。
ただし、季節以外の細かな条件によって腐敗の進行具合は異なります。
- 地域による気温の違い
- 暖房or冷房がついていたか
- 直射日光の当たるところだったか
腐敗がはじまると、体液によるシミや腐敗臭によって、家に対して直接的な影響が出てしまいます。
自然死物件が事故物件とみなされた判例
自然死物件が事故物件とみなされる「発見までの期間」や「遺体の損傷具合」の条件は、法律上に明確な決まりはありません。個別の状況にあわせて判断する必要があります。
判例としては、競売によって買い受けたマンションの一室で死亡後4ヶ月の腐乱遺体が発見されたケースがあります。
このケースでは、異臭やシミなどの物理的損傷とともに、遺体が長期にわたって放置された事実によって物件の価値が低下したと判断されました。
上記の判例は、遺体が腐乱するほど発見が遅れたことで、心理的瑕疵が発生したとする判決です。
ただし、この判決は4ヶ月という長期間にわたって放置されたケースのため、発見が死後数日程度でも同じように適用されるとは限りません。
実際に自分の家が事故物件にあてはまるかどうかは、不動産業者や弁護士に相談してみるとよいでしょう。
参照:一般財団法人 不動産適正取引推進機構「競売物件の売却許可決定が取消された事例」
事故物件となった「自然死物件の家」は本来の価値から1~3割ほど下がるのが一般的
事故物件になると価格相場も下がりますが、具体的に「どれだけ下がるか」の指標はありません。
一般的には本来の価値から1~3割ほど下がりますが、物件の立地や築年数などにもよるので、個別に判断しなければいけません。
自然死の場合、死亡から発見までの発見が早くて遺体の損傷が軽い場合、家の価値の減少も少ないでしょう。
反対に、死後数日~数週間が経過してから遺体が発見されて、腐敗も進んでいた場合、家の価値も大きく減少すると考えられます。
事故物件にならなくても売買の際は告知しておくほうがよい
自然死物件であっても、死亡から数時間~1日程度に発見されれば、事故物件になることはほとんどありません。
しかし、たとえ事故物件ではなくとも、人が亡くなった事実は売却を依頼する不動産業者や買主に伝えておいたほうがよいでしょう。
不動産の売主には、買主にとって不利な情報はすべて伝える「告知義務」があります。
告知義務違反とみなされれば損害賠償を請求され、契約破棄や慰謝料の支払いも必要になるでしょう。
繰り返しになりますが、自然死物件が事故物件であるかどうかは個別の状況によって異なります。自分で判断するより、不動産業者や弁護士の意見を聞いてみましょう。
「自然死物件の家」の価値を調べる方法
自然死物件の価値を調べる方法としては、次の3つがあげられます。
- 「家の本来の価値」を調べてから事故物件になった場合の価値を計算する
- 複数の不動産業者に査定してもらう
- 不動産鑑定士に家の鑑定を依頼する
まずは自分で「家の本来の価値」を調べたうえで、複数の不動産業者に査定をしてもらいましょう。
なんとなくでも不動産の相場を知っておけば、不当に安い査定価格を見抜けるようになります。
不動産業者の査定だけでは不安な場合、不動産鑑定士に家の鑑定をお願いするという方法も検討するとよいでしょう。
それぞれの具体的な方法について、詳しく紹介していきます。
「家の本来の価値」を調べてから事故物件になった場合の価値を計算する
「家の本来の価値」とは、心理的瑕疵を考慮せずに出した家の資産価値です。家の資産価値を調べるには、実際の取引相場を参考にするとよいでしょう。
不動産情報サイトで売りに出されている物件を比較する方法や、国土交通省が公開している「不動産取引価格情報検索」を利用する方法があります。
「不動産取引価格情報検索」は過去に成立した取引を地域別に調べられます。
ただし、どんな家も立地や日当たり、家の構造や築年数などに違いがあり、1つとして同じものはない点に注意が必要です。
実際の取引相場は、あくまで参考程度にしておくのがよいでしょう。
参考:国土交通省「不動産取引価格情報検索」
複数の不動産業者に家の査定をしてもらう
不動産を売却する際、まずは査定に出すのが一般的です。査定額は、各不動産業者がプロの観点から「この価格なら売買が成立する」と判断した価格となります。
最新の取引相場から家の価格を把握するので「実際にどれくらいで売れるか」を知るにはもっとも優れた方法でしょう。
しかし、不動産業者の営業力にも左右されるため、査定価格も各社でバラつきがあります。
そのため、家を査定する際は複数の不動産業者に依頼するのがおすすめです。まずはネットの一括査定サイトを利用し、その後いくつかの会社をピックアップして本査定に進むとよいでしょう。
不動産業者の査定なら、自然死物件が事故物件にあてはまるかどうかや、告知義務があるかどうかの判断もしてくれます。
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不動産鑑定士に家の価値を鑑定してもらう
不動産鑑定士とは、不動産の価値を鑑定し、適切な利用方法のコンサルティングをおこなう国家資格者です。
相続税や固定資産税の評価額を算定するのも不動産鑑定士なので、公正な基準で家の価値を知りたい場合は不動産鑑定士に相談するの一番よいでしょう。
事故物件であることも含めて、それぞれの家に固有の条件も加味して価値を鑑定してくれます。
ただし、戸建ての売買で不動産鑑定士に依頼するのは一般的ではありません。実際に売買するときは「公正な家の価値」ではなく「実際にいくらで売れるのか」が重要なので、不動産業者の査定で充分です。
不動産鑑定は、遺産分割において「遺産である家の価値」を正確に把握しておきたい場合に使うのがよいでしょう。
自然死物件を売却する方法
自然死物件であっても、事故物件とみなされなければ一般的な不動産相場で売却できます。
しかし、遺体の発見が遅れて、異臭やシミなど家に直接的な影響がある場合、そのまま売り出しても買主はなかなか現れないでしょう。
自然死物件のなかでも、遺体の損傷によって家に直接的な影響があった場合の売却方法について、詳しく解説します。
特殊清掃をしておく
遺体の損傷による家への影響をなくすためには、普通の清掃だけでは効果がありません。
体液の除去消毒・消臭作業など、専門的な知識と技術をもった特殊清掃業者にクリーニングを依頼しましょう。
不用品の仕分けや害虫駆除も同時におこなってくれます。
ただし、特殊清掃は物件の価値を向上させるものでも、家を完璧に元の状態へ戻すものでもありません。
あくまで「遺体損傷によって失われた家の価値を可能な限り回復させるもの」なので、特殊清掃をしたからといって、その家の「本来の価値」には戻りません。
リフォームやリノベーションをする
家の売却前にリフォームやリノベーションをするという方法は、事故物件になってしまった家を売るのに有効な方法です。
設備や内装を一新すれば、心理的な抵抗感は薄くなります。
当サイトの賃貸物件に関する調査でも「事故物件であっても物件に魅力があれば許容できる」という人は一定数いることがわかっています。
賃貸物件として需要が見込める家であれば、売買においても高値で売れやすいでしょう。売却せずに、そのまま賃貸物件として収益化する方法もあります。
ただし、リフォームやリノベーションは数十万~数百万円の費用がかかります。自然死物件の価値を上げるのにどこまでコストをかけられるか、近隣の不動産需要から判断する必要があるでしょう。
更地にして売り出す
リフォームやリノベーションではなく、家を取り壊すという方法もあります。異臭やシミがついた家も、取り壊してしまえば心理的な抵抗感は薄まります。
ただし、更地にした場合は固定資産税が高くなってしまう恐れもあるので、注意が必要です。
住宅用地の固定資産税は、建物が建っていると1/6ほど軽減されています。それを知らずに家を解体してしまい、土地の固定資産税が上がって困惑してしまう人も少なくありません。
毎年1月1日時点の不動産状況が固定資産税評価額の基準になるので、更地にして売却するなら1月2日以降に家を解体し、年内までに売却するのがよいでしょう。
参考:e-Govポータル「地方税法第349条の3の2」
お祓いをする
心理的瑕疵は物理的な欠陥とは異なり、買主がどのように感じるのかが重要です。
そのため、心霊的なことを気にする人の抵抗感をなくすため、家のお祓いをしておくのも有効といえます。
お祓いは各地の神社や寺に相談すればやってもらえるでしょう。費用について具体的な数字を決めていない神社・寺が多いのですが、自然死によるお祓いなら3万円程度を包むのが一般的のようです。
訳あり物件専門の買取業者に現況のまま買い取ってもらう
リフォーム・リノベーションや建物の解体など、自然死物件を売却する際の方法を紹介しました。
しかし、これらの方法はどれも費用がかかります。「自然死物件を処分したくても、処分のための費用が出せない」という人もいるでしょう。
そのような方は、訳あり物件専門の買取業者に相談することをおすすめします。訳あり物件専門の買取業者であれば現況のまま物件を買い取るので、自分が費用や手間をかける必要がありません。
早ければ最短数日で現金化ができるうえ、不動産のプロが自然死も含めた家の価値を判断して価格をつけるので、後でトラブルになることもありません。
当社クランピーリアルエステートも訳あり物件専門の買取業者として、さまざまな訳あり物件を取り扱ってきました。豊富な実績や、弁護士と連携した適切な法律の手続きにより、安心かつ高額の買取を実施しています。
無料査定や無料相談も受け付けていますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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まとめ
自然死物件であっても、すぐに遺体を発見して家への直接的な影響がなければ、普通の家と同じ価値で売却できます。
しかし、遺体の発見が遅れてシミや臭いが残ってしまうと、事故物件として価値の下落は避けられません。
特殊清掃のほか、リフォームやリノベーションなど、ある程度の費用や手間をかけないと売却できない恐れがあります。
そのような費用や手間をかけたくない場合は、ぜひ訳あり物件専門の買取業者に相談してください。
訳あり物件専門の買い取り業者であれば、高額かつスムーズに自然死物件の売却が可能でしょう。
自然死物件の家の価値についてよくある質問
自然死物件の家の価値は下がるのでしょうか?
自然死が起こったときの状況によります。死亡してからすぐに遺体が発見された場合、家の価値は変わりません。しかし、死亡から発見まで期間が空いて遺体が損傷・腐乱していた場合、事故物件とみなされて価値が下がるでしょう。
死亡から遺体発見までどのくらいの期間が空くと家の価値は下がりますか?
遺体の損傷具合にもよるので、一概に「何日空けば価値が下がる」とはいえません。遺体がどれだけ損傷するかは気候など各種条件によりますが、早ければ数日、遅いと一ヶ月ほどで腐乱がはじまるといわれています。
自然死物件の家の価値を調べる方法はありますか?
複数の不動産会社に査定してもらうのがおすすめです。不動産会社の査定では、物件が事故物件といえるかどうかも含めて判断し、売買価格を算出してもらえます。
自然死物件の家を売るには、なにをすればよいですか?
遺体の損傷がなくシミや臭いも発生していなければ、通常の不動産売買と同じように売却できます。シミや臭いが家に残っていた場合、特殊清掃をしてから売り出しましょう。必要に応じてリフォームなどの工夫するのもおすすめです。
自然死物件がなかなか売れずに困っています。
訳あり物件専門の買取業者に、買い取りを相談してみるとよいでしょう。早ければ最短数日で、事故物件を現金化できます。現況のまま買い取る業者も多いため、まずは無料査定を受けてみるのをおすすめします。
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