シロアリ被害の家は売却価格が安くなりやすい
シロアリ被害が確認されている場合、被害の範囲や進行度に応じて建物評価に影響が出るのが一般的です。
そのため、残念ながらシロアリの被害が発生している時点で、建物の価値が大きく落ちることは避けられません。
実務上の査定では、主に「被害が表層レベルに留まっているか」「土台や柱といった構造躯体に及んでいるか」といった観点で評価が分かれます。
被害が表層レベルに留まっている場合は、修繕により高値で売却できる余地はあるでしょう。
しかし、修繕しても完全に住宅としての機能を回復できるとは限りませんし、シロアリが発生した事実そのものを忌避する人もいます。
また、修繕して現状は問題なくとも、再発リスクの評価により、必ずしも通常物件と同等の評価になるとは限りません。
特に、家の躯体に被害が出ているケースでは、建物としての価値はほぼ無いに等しいため、再建築も視野に入れて売却価格が下がりやすい傾向にあります。
一方で、投資用や土地活用を前提とする買主においては、建物の状態よりも立地や土地条件が重視されるため、評価の軸自体が異なる点も実務的な特徴です。
つまり、シロアリ被害のある住宅は一律に価格が決まるわけではなく、「被害の程度」「修繕状況」「想定される買主層」によって評価が大きく変動する場合もあるのです。
シロアリ被害の家を売却する前の確認事項
シロアリ被害を受けてしまった住宅は、売却時に価値が下がります。
ですが、価値が下がるからといってシロアリ被害を隠して売却しようと考えてはいけません。売却にあたっては被害の有無や状況を正確に伝えることが前提となります。
一方、また、築年数や契約内容によっては、契約不適合責任の範囲で修繕対応が可能となるケースもあります。
たとえば築5年以内など、建築時の防蟻保証(シロアリ保証)の期間内であれば、施工業者やハウスメーカーによって再施工や補修対応を受けられる可能性があります。
シロアリ防除で使用される薬剤の効果は一般的に約5年とされているため、多くの業者では5年間の保証を設けています。
また、近年では住宅の長寿命化やメンテナンス意識の高まりを背景に、定期点検などを条件として10年保証サービスを提供するハウスメーカーも増えています。
実際に弊社へご相談いただく中でも、築10年前後の比較的新しい物件で被害が見つかり、「まずは施工会社へ確認する」という流れになるケースは一定数見られます。
一方で、シロアリ被害は目視で把握しづらいケースも多く、「気づいた時には被害が進行していた」というご相談も少なくありません。
こうした背景も踏まえ、売却前に状況を整理しておくことが重要です。
これらを踏まえた上でシロアリ被害のある住宅の売却に向けた対策していきましょう。次の項目からこの2点についてくわしく解説していきます。
シロアリ被害を受けている事実を必ず不動産業者に報告する
シロアリ被害のある家を売却する場合、シロアリ被害を受けている事実を絶対に隠してはいけません。
実際にシロアリ被害が確認されている場合は、その事実や把握している範囲の状況を不動産業者に共有する必要があります。
なぜなら、住宅を売却する時は、住宅の瑕疵に関する告知義務が設けられているためです。
これは住宅に何らかの問題があったとき、過不足なく買主に対して告知をしなくてはいけない義務です。
もし問題が発生していることを隠して住宅を売却して、重要事項説明で伝えられていなかった問題点が売却後に発覚した場合、売主は責任を負わなければいけません。
第五百六十六条 売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。出典:e-Govポータル「民法第566条」
弊社へのご相談でも、「どこまで伝えるべきか分からない」という声は多く、特に床下や壁内部など見えない部分に関して悩まれる方が目立ちます。
そのような場合でも、過去にシロアリ業者の点検を受けた履歴や、羽アリの発生時期など、把握している事実ベースで整理して共有することが実務上は重要です。
もし売却後に不具合が判明し、その内容が事前に共有されていなかった場合には、契約内容との不一致として対応が必要になることがあります。これを「契約不適合責任」といいます。
- 「シロアリの被害はありません」
- 「目に見えない箇所も問題ありません」
こうした虚偽の報告をして実際にシロアリ被害が発生した場合、想定していなかった建物の問題が発覚したとき、買主が売主に対して契約不適合責任(修繕や損害賠償)を追及できる特約期間を超えていたとしても、売主は修繕費などの費用を負担する義務を負います。
最悪の場合、買主が売主に被害を訴え、損害賠償に発展する恐れもあります。
そして、仲介に入ってくれる不動産業者も、そのようなトラブルを起こすような売主を信用しません。
そのため、瑕疵を知りながら問題点を隠して、シロアリ被害のある家を売却すると、仲介役の不動産業者から損害賠償で訴えられる恐れもあります。
「シロアリの被害を隠したほうが、高く売れるのではないか」と考えることは絶対にやめましょう。
瑕疵は一切隠すことなく仲介の不動産業者に伝え、買主に対しても包み隠さず告知しなければなりません。
実際のトラブル事例として多いのが、「売主としては軽微な情報として認識していたが、買主側は重要事項と受け取った」という認識のズレです。
弊社に寄せられる相談でも、売却後のトラブルに関するもののうち、体感で半数近くはこの認識ギャップに起因しています。
そのため、断定的に「問題なし」と表現するのではなく、確認できている範囲と不明点を切り分けて伝えることが実務上のポイントです。
中古住宅の場合は契約不適合責任の期間内であるかチェックする
自分が購入した住宅が中古住宅だった場合、シロアリの被害が発生した時点で契約不適合責任が生じる期間内であるのかを確認しましょう。
とくに築年数の浅い物件では、まずは建物を建築した業者に対して契約不適合責任の履行を求めることができる前提で確認するとよいでしょう。
実務上も、引き渡しから1〜2年以内のご相談では、まず契約書と保証内容を精査するところからスタートするケースが多く見られます。
もし契約不適合責任の期間内であれば、売主に対して修繕費用などを請求できます。
建築業者にシロアリで傷んだ箇所をすべて修繕してもらえれば、相場に近い価格で売却可能です。
一方で、以下のようなケースでは自己負担での対応を前提に検討することになります。
- 新築物件を購入したが、既に10年以上経過してしまった
- 中古物件を購入したが、契約不適合責任期間を過ぎてしまった
これらの場合は自費で修繕工事をおこなうか、もしくはその状態のまま売り出すしかありません。
また、弊社へのご相談で特に多いのが、「修繕してから売るべきか、そのまま売るべきか判断がつかない」というケースです。
この点については、実務上以下のような傾向があります。
- 築古物件や地方エリアでは、修繕を行っても価格に反映されにくい
- 都市部の需要があるエリアでは、一定の修繕履歴がプラスに働くこともある
ただし、構造部分への影響が大きい場合は、修繕済みであっても建物評価が限定的になるケースもあります。
実際に、修繕費用に数百万円かけたにもかかわらず、査定上はほぼ土地評価のみとなった事例も確認されています。
このように、修繕の有無だけで判断するのではなく、「市場性・築年数・被害範囲」の3点を踏まえて売却方針を整理することが、実務上は重要です。
シロアリ被害の家を売却する3つの方法
前の項目で、シロアリ被害を受けた住宅は価値が大幅に下がるとお伝えしました。
それでもシロアリ被害に遭った住宅を売ることは、不可能ではありません。
実際の取引現場でも、被害状況・立地・築年数によっては売却は十分に成立しています。
実務上も、シロアリ被害があるからといって一律に売れないわけではなく、「どの状態で市場に出すか」によって結果が大きく変わるのが実態です。
弊社へのご相談でも、「修繕するか・そのまま売るか・解体するか」で検討段階が分かれており、体感では現状売却が約5割、修繕後売却が2〜3割、解体が2割前後という印象です。
次の項目から、シロアリ被害にあった住宅の売却方法をお伝えするため、ご自身に合った方法を選ぶ際の参考としてみてください。
1.被害を対処せずに現状のまま売却する
まず1つ目は、シロアリ被害の内容を開示したうえで、現状のまま売却する方法です。
この方法は、実務上もっとも選択されるケースが多く、特に築古物件や地方エリアでは主流の進め方です。
ただし、買主が現れたとしても、買主はその住宅を修繕もしくは解体して住まなければなりません。
そのため、建物を解体・新築するより、修繕したほうが費用が安いという理由で、そのまま買ってくれるケースもあります。
また、買主は修繕や解体を前提に検討するため、「リフォーム前提の個人」や「土地活用を目的とした個人・事業者」など、用途に応じた需要が見込まれる可能性があります。
弊社の実務でも、「床が沈むレベルの被害があるが、そのまま売却したい」というご相談は珍しくありません。
このような場合、建物としての評価は限定的になり、実質的には土地価格ベースでの検討になることが多いです。
また、売却方法は「仲介で市場に出す」または「買取業者に買取ってもらう」といた選択肢があります。
そもそも、一度シロアリ被害が発覚した物件にそのまま住み続けようと考える人は、なかなか現れません。
一般の買主に売却しても、値下げ交渉によって安値で買い叩かれてしまう恐れがあるため、仲介で一定期間(1〜3ヶ月程度)反応を見たうえで、条件を見直すという進め方を取るケースも多く見られます。
2.建物を修繕してから売却する
2つ目は、売主側でシロアリ被害の修繕を行ったうえで売却する方法です。
具体的には、次のような修繕が想定されます。
- シロアリを駆除する
- 柱や梁などを交換する
- 建物の傾きを修正する
修繕すれば、シロアリ被害のある建物でも、比較的相場に近い値段で売却できます。
また、修繕履歴や報告書があることで、買主の不安が軽減され、内覧時の印象が改善するケースも実際にあります。
ただし、傾きの修正などをするためには数百万円単位の費用がかかるものの、修繕した分価格が上がるとは限りません。
耐震工事やホームインスペクションなども含めると、家が売れても修繕費用のせいで赤字になる恐れがあるため注意が必要です。
弊社に寄せられる相談でも、300万円以上の修繕を行ったにもかかわらず、査定価格がほぼ変わらなかったというケースは一定数みられます。
特に築年数が古い物件では、建物評価がそもそも低い、買主が建て替え前提で検討しているいといった事情から、修繕費用が価格に反映されにくい傾向があります。
そのため、実務上は修繕費と想定売却価格を踏まえた費用対効果で見極めることが重要です。
3.建物を解体してから売却する
3つ目は、シロアリ被害を受けた建物を解体した後、更地として売却する方法です。
この方法は、「老朽化が進んでいる」「建物としての利用価値が低い」といった場合に選択されやすく、特に都市部では一定の需要があります。
解体費用は売主が負担するものの、土地を購入した買主が自分で家を建てるので、契約不適合責任を追及されるリスクもありません。
実務上も、「更地のほうが検討しやすい」という買主は多く、土地としてのポテンシャルを評価してもらいやすいのが特徴です。
一方で、数百万円規模の解体費用は売主負担となります。さらに、建物を解体すると住宅用地の特例が外れるため、固定資産税が高くなる点に注意が必要です。
実務上とくに注意すべきなのは、固定資産税は「毎年1月1日時点の状態」で課税されるという点です。
たとえば年内の12月に建物を解体して更地にしてしまうと、翌年1年間の固定資産税が最大6倍に跳ね上がる可能性があります。
そのため、年をまたぐタイミングで売却活動を行う場合は、あえて年明けの1月2日以降に解体工事を行うようスケジュールを調整する方も多くいらっしゃいます。
このように、実際の不動産売却では、「1月1日の賦課期日」を踏まえて解体時期を決めることが重要です。
弊社へのご相談でも、「解体してすぐ売れる前提で進めたが、販売期間が長引いた」というケースは一定数見られます。
そのため、実務上は「解体前に売却活動を開始する」「買主が決まってから解体する(条件付き契約)」といった進め方が取られることが多いです。
また、解体後は居住ができなくなるため、住み替えや仮住まいのスケジュール調整も同時に進める必要があります。
シロアリ被害のある家を高く売る3つのコツ
前の項目では、シロアリ被害のある家を売却する方法をお伝えしました。
シロアリ被害を受けていると、通常よりも売却価格は下がります。一方で、価格が暴落するというわけではなく、被害状況や売却戦略によってその影響度は大きく変わります。
実務上も、同じ被害レベルでも売却価格に数百万円単位の差が出るケースは珍しくありません。
シロアリ被害を受けていたとしても、なるべく高く売却したいと考える方が多いのではないでしょうか。
そこでこの項目では、実際の相談事例や査定実務を踏まえ、シロアリが発生してしまった家を少しでも高く売却する方法を3つお伝えします。
1.シロアリ被害が拡大する前に売却する
シロアリが繁殖してより被害が拡大すると、建物の価値が低下して売却価格も安くなりやすいです。
そのため、シロアリ被害のある家を高く売るには、シロアリ被害が拡大してしまう前に早く売却するとよいでしょう。
具体的には、被害が構造部分に及ぶ前の段階で売却を検討することが重要です。
被害が「表層レベル(床下・一部部材)」か「構造躯体(柱・土台)に及んでいるか」の違いによって、建物評価が残るか、ほぼ土地評価になるかが分かれます。
弊社の経験上、軽微な食害のみの場合は建物評価が一部残り、土台交換が必要なレベルの場合は建物評価がほぼゼロという判断になるケースが多くみられます。
また、「最初は軽微だったが、半年後には床の沈み込みが発生した」という相談もあり、時間経過による評価変動は無視できません。
そのため、被害の進行度と売却のタイミングをセットで考えることが、価格維持の観点では重要です。
そのためにも、シロアリが発覚した時点ですぐに対策を立て、できるだけ早く売却しましょう。
2.シロアリ被害を修繕してから売却する
それほど被害が拡大していないのであれば、自分たちで費用を抑えての修繕が可能です。
ダメージを修繕できれば、シロアリ被害のある家でも一般の住宅に近い価格で売却できる場合があります。
修繕済み物件として売却すれば、それほど手間をかけずに売ることができるので、時間的なメリットも倍増します。
一方で、修繕を行う場合は、「どこまで直すか」と「それをどう説明できるか」をセットで整理することが重要です。
実務上、単に修繕しただけでは評価が大きく上がるとは限らず、「修繕範囲が限定的」「再発リスクの説明が不十分」といった場合、買主の不安が残り、価格交渉につながるケースが多く見られます。
例えば、弊社の相談事例では、「駆除のみ実施(約20万円)」のケースでは値引き交渉が入った一方、「駆除+被害部材交換+保証付き(約80万円)」のケースでは、交渉幅が抑えられたという傾向があります。
このように、単純な費用の大小ではなく、再発リスクまで含めて説明できる状態かが価格に影響するのが実務的な特徴です。
そのため、修繕を行う場合は、写真や報告書による施工内容の記録や保証の有無を整理しておくことで、買主側の判断材料が明確になります。
また、専門のシロアリ駆除業者に防蟻処理を依頼すると、通常は「5年間の保証書」が発行されます。シロアリ駆除で使用される薬剤の効果は一般的に約5年とされているためです。
この保証を次の買主に引き継げる状態にしておくことは、実務上大きなアピールポイントになります
修繕済みであることに加え、「万が一再発しても一定期間は業者保証を受けられる」という安心材料があることで、買主の心理的不安を軽減しやすくなるためです。
実際の仲介現場でも、保証書や施工報告書が残っている物件は説明がしやすく、価格交渉が長引きにくい傾向があります。
3.訳あり物件専門の不動産買取業者に売却する
家を売却する場合の選択肢として、仲介と買取の2つがあります。売却方法によって価格の決まり方が異なるため、その違いを理解したうえで選択することが重要です。
たとえば、仲介の場合は、買主の利用目的やリフォーム前提かどうかによって評価が変動し、条件交渉によって価格が上下する余地があります。
一方で買取の場合は、修繕や解体といった再販コストや販売期間リスクなどを踏まえて価格が算出されるため、一定の前提条件をもとに相場より低い価格が提示されるのが一般的です。
特にspan class="line">「修繕に費用を掛けたくない」「なるべく早く物件を売却したい」という場合、訳あり物件専門の不動産買取業者に売却相談をするのがおすすめです。
ただし、通常の買取業者ではシロアリが発生した物件を請け負えないケースが多く、買取自体を拒否されたり、売却できたとしても安く買い叩かれるケースが多いです。
そうした場合、通常の買取業者ではなく「訳あり物件専門の買取業者」へ依頼するとよいでしょう。
「訳あり物件専門の買取業者」なら、以下のようなノウハウがあるので、シロアリ被害のある家でも価格を下げずにそのまま買取可能です。
- 訳あり物件の資産価値を自社で回復する
- 訳あり物件を買取してきた実績がある
- 訳あり物件に詳しい専門家が多数在籍している
「訳あり物件専門の買取業者」であれば、売却価格が低くなりがちなシロアリ被害を受けた物件でも、最短数日ですぐに買取可能です。
弊社へのご相談でも、「仲介で半年以上売れず、最終的に条件を見直した」というケースや、「早期売却を優先して買取を選択した」というケースなど、目的によって選択が分かれています。
シロアリ被害の家を売却する流れ
シロアリ被害の家を売却する流れは、通常の住宅と変わりません。
- 不動産業者へ見積りを依頼する
- 売却の仲介を依頼する不動産業者を選ぶ
- 内覧を実施して買主を決定する
- 重要事項説明を済ませて売却契約を結ぶ
- 住宅や土地を買主へ引き渡す
ただし実務上は、「被害状況の把握」と「説明の精度」によって、販売期間や価格交渉の進み方が大きく変わる点が特徴です。
弊社へのご相談でも、同じような被害状況でも、事前整理の有無によって成約までの期間が1〜3ヶ月以上変わるケースは珍しくありません。
次の項目から、実務のポイントを踏まえてそれぞれ詳しくお伝えします。
1.不動産業者へ見積りを依頼する
まずは不動産業者に訪問査定を依頼して、シロアリ被害にあった家の売却価格を見積りしてもらいます。
ネットの査定フォームを利用してもよいのですが、査定の段階ではシロアリ被害の具体的な度合いがわかりません。机上査定だけでは精度が出にくいため、床下・基礎・土台などの確認を前提とした査定になるのが一般的です。
そのため、不動産業者に内覧してもらい、シロアリ被害の状況や売却価格を確認してもらうとよいでしょう。
実務上の査定では、主に以下の観点が見られます。
- 被害の範囲(部分的か、構造部まで及んでいるか)
- 補修履歴や防蟻処理の有無
- 再発リスクの有無
この段階で軽微な被害であれば、次の点に関しても不動産業者からアドバイスを受けられます。
- 「自分でシロアリ被害を修繕するべき?」
- 「更地にしてから売却した方がよい?」
弊社の経験上、同じ築年数・立地でも「土台交換が必要かどうか」で数百万円単位の査定差が出るケースは珍しくありません。
2.売却の仲介を依頼する不動産業者を選ぶ
つづいて、シロアリ被害にあった家の売却を仲介してもらう不動産業者を選びます。
不動産業者に仲介販売を依頼する場合、以下の3種類の契約方法があります。
| 専属専任媒介契約 |
他社と契約できないが、より積極的に売却活動してもらえる |
| 専任媒介契約 |
他社と契約できないが、積極的に売却活動してもらえる |
| 一般媒介契約 |
複数社と同時に契約できるが、売却活動が積極的とは限らない |
不動産業者と相談して、どの契約を結ぶかを決めていきます。
媒介契約には複数の種類がありますが、シロアリ被害がある物件では、「情報管理」と「説明の一貫性」が重要になるため、担当者を一本化するケースが多いのが実務的な傾向です。
というのも、シロアリ被害にあった家をそのまま売る場合、購入希望者の内覧への対応や詳しい説明が必要になってくるためです。
加えて、念入りな売却活動が期待できるため、一般媒介契約よりも、専任媒介契約や専属専任媒介契約を結んだほうがよいでしょう。
実際の相談でも「複数社に依頼して情報が錯綜したケース」「担当者が変わるたびに説明内容がブレたケース」などが、販売停滞の要因になることがあります。
一方で、窓口を一本化したケースでは、内覧対応や価格調整がスムーズに進みやすい傾向がみられています。
媒介契約については、以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてください。
3.内覧を実施して買主を決定する
家を購入したい買主が現れたら、内覧をしてもらってから「被害状況の説明」と「条件調整」を行い、売却契約を結びます。
内覧での説明や対応などは、不動産業者の担当者に任せたほうがよいでしょう。説明は不動産業者が主体となり、売主は事実関係の補足に徹する形が実務上は一般的です。
売主が直接説明すると「何か不具合を隠しているのではないか」と疑われることもあります。
また、不動産業者の担当者が説明や売却をしてくれる場合、一任した方が売主の負担は少ないです。
弊社の事例では、「事前に資料を整理していたケース」は内覧後の検討が進みやすく、「情報が曖昧だったケース」は追加確認が増え、結果的に成約まで長期化する傾向があります。
もし内覧希望者が少ない場合、仲介を任せる不動産業者を変えるのも一つの手です。
4.重要事項説明を済ませて売却契約を結ぶ
内覧によって買主が納得して購入の意思を示したら、売却契約と重要事項説明をおこないます。
シロアリ被害に関しては、「どこまで認識していて、どこが不明か」を整理したうえで説明されることが重要です。
そのため、重要事項説明では、住宅の瑕疵を全て伝えて、問題点を隠さないようにしましょう。
買主はこの段階で、どんな不具合があるのかを詳しく質問できます。
聞かれた質問には正直に答えて「思っていたよりもひどい被害を受けた」など、のちにトラブルとなるのを避けましょう。
弊社への相談でも、この段階で情報の整理が不十分だと、条件交渉のやり直しや契約延期につながるケースがあります。
事前に資料や経緯を整理しておくことが、スムーズな契約締結につながります。
5.住宅や土地を買主へ引き渡す
無事に売却契約を結んだら、住宅の鍵や土地、必要な書類などの引き渡しをおこないます。
引き渡しは、不動産業者や司法書士と連携しながら進めるのが一般的で、売主は必要書類の準備と最終確認を行います。
シロアリ被害がある物件の場合でも、契約時に整理された条件に基づいて引き渡しが行われるため、この時点で新たな調整が発生するケースは多くありません。
売却前に知っておきたいシロアリ被害の予兆
シロアリ被害は「早く気づくかどうか」で、その後の修繕コストや売却条件が大きく変わります。
できるだけ早くシロアリ被害を見つけた場合、売却価格が下落しにくいうえ、家の修繕費も安く抑えられます。
実務上も、初期段階の部分的な食害は数十万円規模の対応で収まる一方、構造部に影響がでている段階では、数百万円規模、もしくは建物評価が見込めないといったように、発見タイミングによって結果に明確な差が出るのが特徴です。
弊社へのご相談でも、シロアリ関連の案件のうち約6割前後は「違和感はあったが放置していた」というケースで、結果的に被害が拡大していたという傾向があります。
それではシロアリ被害が発生する予兆には、どのようなものがあるのでしょうか。
- 家の周辺に羽アリがいる
- 屋根が波打つ・床がギシギシと音を立てる
- 物件内の湿気や室温を高くしている
次の項目から詳しくお伝えしていきます。
家の周辺に羽アリがいる
シロアリは成長すると羽アリになり、行動範囲が広がり、新たな巣を形成します。
羽アリが家の周辺を飛んでいた場合、建物内部または直近の地中に巣が存在している可能性があり、家の中にシロアリが侵入してくる可能性が高いといえます。
弊社が聞いた話でも、「毎年同じ時期に玄関付近で羽アリが出る」というケースでは、床下調査で被害が確認される割合が高い傾向があります。
また、羽アリは池などの湿地から発生するのため、庭の土壌が湿っている・水はけが悪い・植栽が密集しているといった環境は発生リスクを高める要因になります。
たとえば、庭に池があって羽アリを見かけた場合、シロアリが内部に侵入している恐れがあるので、住宅内部を早めにチェックしましょう。
重要なのは、「一度見かけただけで判断する」のではなく、「発生頻度・場所・時期」をセットで把握することです。
これにより、単発の飛来か、内部発生かの見極めがしやすくなります。
屋根が波打つ・床がギシギシと音を立てる
シロアリ被害が進行すると、シロアリが木材部分を食べてしまことで断面欠損が発生し、荷重バランスが崩れ、建物の挙動に変化が現れます。
具体的には、以下のような現象が確認されます。
- 屋根が外れそうになる
- 床の沈み込みや局所的なたわみ
- 建具のズレ(ドア・窓の開閉不良)
- 「ギズギズ」と嫌な音が鳴る
特に、床が浮いている、屋根が波打っているように見えた場合、シロアリが発生している可能性があるので早めにチェックしましょう。
また、以下のような兆候が併発している場合は、より注意が必要です。
- 柱を叩くと「コンコン」と中から空洞のような音がする場合
- 外壁にひび割れが入っている場合
上記のような現象が起こっていると、構造部への影響が進行している可能性があり、査定上も建物評価に大きく影響するポイントです。
弊社の経験上、「床鳴りのみで相談 → 調査で土台の欠損が発覚」というケースは一定数あり、表面症状と内部被害の乖離が起きやすい点が特徴です。
物件内の湿気や室温を高くしている
物件内の湿気や室温が高い場合、シロアリの繁殖を促進します。
シロアリは、温度20〜30℃かつ高湿度環境で活動が活発になるため、湿気環境の管理が発生リスクに直結します。
実務上、特に注意されるのは以下のような条件です。
- 床下換気口が塞がれている、もしくは機能していない
- 水回り(浴室・洗面・キッチン)周辺で湿気が滞留している
- 雨漏りや配管漏れが長期間放置されている
たとえ、家の中で空気の風通しが悪くて湿気が溜まりやすい構造の部屋があり、さらに暖房などをつけて室温が高い場合、そこはシロアリが繁殖する絶好の環境です。
近年は気密性の高い住宅も増えており、適切な換気がされていない場合、局所的に湿気がこもるケースも見られます。
そのため、定期的な換気や水回りの点検、床下環境の確認といった基本的な管理が、結果的に被害予防と資産価値の維持につながります。
また、これらの被害の予兆が発生しないよう、できれば定期的にシロアリ被害の調査や検査をしましょう。
売却を見据える場合は、事前に点検記録や調査結果を用意しておくことで、内覧時の説明や価格交渉がスムーズになる傾向があります。
まとめ
シロアリ被害が確認された場合は、修繕して売却するのか、現状のまま売却するのか、あるいは解体して更地として売却するのかを検討する必要があります。
実務上も、被害の進行度や物件の立地・築年数によって最適な選択肢は異なり、一律の正解があるわけではありません。
「軽微な被害であれば現状売却でも成約に至るケース」「構造部まで影響がある場合は土地評価ベースで検討されるケース」など、被害レベルによって評価軸自体が切り替わるのが実務的な特徴です。
また、更地にする場合は、100万〜300万円前後の解体費用がかかることに加え、居住場所の確保、住宅用地特例の適用外による固定資産税の変動といった点も含めて検討する必要があります。
さらに、売却期間についても、シロアリ被害のある物件は買主の検討に時間がかかる傾向があり、条件調整を含めて数ヶ月単位で進むケースが一般的です。
実際に、「当初想定よりも販売期間が長期化し、途中で価格や方法を見直す」といった流れは珍しくありません。
そのため、売却方法は「価格」「期間」「手続き負担」といった観点を整理しながら、ご自身の状況に合った方法を選択することが重要です。
シロアリ被害のある家を売るときによくある質問
シロアリ被害のある家でも売れる?
はい、シロアリ被害のある家でも売却可能です。ただし、住宅の梁や柱が傷ついていることが予測されるため、建物の価値が大きく落ちてしまいます。
シロアリ被害のある家はいくらで売れる?
シロアリ被害のある家に明確な価格相場はありません。ただし、相場価格よりも大幅な値下げが必要になります。
シロアリ被害のある家の売却方法は?
「シロアリ被害のある家を修繕してから売却する」「シロアリ被害のある家を解体し、土地として売却する」といった方法があります。ただし、これらの方法には費用がかかるため、注意が必要です。
シロアリ被害を予測するには?
「家の周辺に羽アリがいる」「屋根が波打っていたり床がギシギシと音を立てたりする」といった際は、シロアリ被害を受けている恐れがあるため要注意です。早めに害虫駆除業者へ相談すべきです。
シロアリ被害のある家は修繕しないと売れない?
訳あり物件専門の不動産買取業者なら、シロアリ被害のある家家でも、そのままの状態で買い取ってもらえます。売却価格が低くなりがちなシロアリ被害を受けた物件でも、最短48時間でスムーズに売却可能です。