再建築不可物件を更地にするべきかは一概にいえない!更地にしても活用できるのかを基準に検討してみる
再建築不可物件といえども、売却や賃借といった方法で活用できる可能性はあります。また、詳しくは後述しますが、再建築可能にする方法もあるため、更地にせずとも再建築不可物件を活用する手段はあります。
「活用する手段がない」とは言い切れないことから、再建築不可物件を更地にするべきかは一概にいえません。
とはいえ、確実にいえるのは、再建築不可物件を更地にすると、その土地には原則建物が建てられなくなることです。更地にしてしまうと、対策を取らなければ建物を活用する手段は無くなってしまいます。
更地にすれば、駐車場や資材置き場などとして活用できる可能性はあります。そのため、「再建築不可物件を更地にするべきか」と悩んでいる場合、その土地を更地にしても活用できるのかどうかを基準にして検討するのもよいでしょう。
次の見出しからは、再建築不可物件を更地にするメリット・デメリットなどを解説していくため、これらの情報を踏まえて「更地にしても活用できるのか」「利益の方が大きいのか」といった点を検討してみるとよいでしょう。
再建築不可物件を更地にするメリット
再建築不可物件を更地にするメリットには、下記が挙げられます。
- 建物の維持管理費がかからなくなる
- 土地の活用で収益化に期待できる
再建築不可物件を更地にすることで、維持管理費がかからなくなります。また、必ずとは言えませんが、土地を活用した収益を上げられる可能性がある点もメリットです。
ここからは、再建築不可物件を更地にするメリットをそれぞれ詳しく解説していきます。
建物の維持管理費がかからなくなる
再建築不可物件を取り壊せば、建物を維持管理するためのメンテナンス費用が不要になります。
再建築不可物件が古い場合、周囲に迷惑を掛けないで住み続けるには、住宅の安全性や居住性を維持するための定期的な修繕が必要です。
建物の状態によっては、災害などの際に倒壊の恐れすら出てくるでしょう。そのような住宅に無理に住み続けていても、多額の修繕費がかかってしまいます。
そのような場合は、高い修繕費をかけ続けるのではなく、思い切って更地にすることで修繕費をカットすることも検討することが大切です。
土地の活用で収益化に期待できる
詳しくは「再建築不可物件を更地にするかを検討する際は収益を上げられるかどうかを考える」の見出しで解説しますが、再建築不可物件であっても活用することで収益を上げられる可能性はあります。
その方法には、建物がある場合には取れない方法もあります。そのため、再建築不可物件の建物を活用できない場合でも、更地にすることでその土地を活用できるケースもあるのです。
再建築不可物件を更地にするデメリット
再建築不可物件を更地にするデメリットには、下記が挙げられます。
- 特例制度が適用されずに固定資産税が最大6倍になる
- 一度更地にすると新しく建物が建てられない
- 更地にしてからの売却は難しいことが多い
再建築不可物件は、建物を新たに建てられない土地のことです。更地にしてしまえば、原則今後建物を建てることができなくなります。
再建築不可物件を更地にせずに活用できる可能性はあるため、デメリットを十分に把握したうえで更地にするべきかを検討してみてください。
特例制度が適用されずに固定資産税が最大6倍になる
再建築不可物件を更地にするデメリットには、固定資産税が高くなってしまう点が挙げられます。
基本的に、住宅用の建物には固定資産税の優遇措置が適用されています。再建築不可物件であっても特例控除の適用対象になり、軽減される税額は再建築不可物件の面積に応じて変わります。
土地
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軽減率
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敷地面積200m2以下の部分(小規模住宅用地)
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1/6
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敷地面積200m2を超える部分(一般住宅用地)
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1/3
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つまり、住宅用地の特例が適用されている再建築不可物件であれば、固定資産税が通常よりも1/3または1/6に軽減されているのです。
しかし、この特例控除は建物部分に適用されるため、再建築不可物件を更地にすると住宅用地の特例が外れてしまい、軽減されていた固定資産税が通常の税額に戻ります。そのため、再建築不可物件を更地にすることで固定資産税が最大6倍に増えたように見えてしまうのです。
たとえば、再建築不可物件の固定資産税が年間3万円だとすると、更地にすると最大18万円に上がってしまうのです。
ただし、再建築不可物件の場合、元々の資産評価額は非常に低いです。固定資産税が6倍になるからと言って、空き家がある状態から一気に10万円以上も出費が増えるケースは多くないと考えられます。
高い修繕費で物件を維持し、居住用地として固定資産税の優遇措置を受けるのか、それとも建物を取り壊してメンテナンス代をなくし、固定資産税の値上がりを受け入れるのか、それぞれにかかる費用を比較して対策を考えていきましょう。
一度更地にすると新しく建物が建てられない
再建築不可物件とは、現在ある建物を壊した場合、法律上新たな建物が建てられない物件のことです。具体的には、建築基準法で定められている道路に接していない敷地であると、再建築不可物件となります。
建物ではなく土地そのものが再建築不可物件であるため、一度更地にすると新しく建物は原則建てられません。一度取り壊してしまうと取り返しがつきませんので、慎重に活用法を考える必要があります。
なお、再建築不可物件を更地にしてしまうと、収益化は非常に困難だといえます。
活用が難しければ、前述したように固定資産税が値上がりするケースが多く、支出が増えてしまうと考えられます。そのため、取り壊す際は活用法を見出してから更地にすることをおすすめします。
更地にしてからの売却は難しいことが多い
再建築不可物件を更地にすると、売却が難しくなるのが一般的です。
建物があればリフォームやリノベーションによって賃貸物件として活用でき、立派な収入源にもなりえます。たとえ自分で活用法を見出せなくても、購入する人により様々な活用法が見出せることもあるでしょう。
しかし、一度更地にしてしまうと、建物を活用できなくなります。購入者の選択肢が少なくなってしまいますし、もともと少ない再建築不可物件の購入者がさらに減ってしまうのです。
再建築不可物件を更地にするかを検討する際は収益を上げられるかどうかを考える
再建築不可物件を更地にすることには、メリットだけでなくデメリットがあります。そして、再建築不可物件を一度更地にしてしまうと、原則その土地に建物を新たに建てることはできません。
そのため、再建築不可物件を更地にするかは、十分な検討をした上での判断が大切です。再建築不可物件を更地にするかを検討する際は、建物を活用して収益を上げられるかどうかを考えてみてください。
- 駐車場として活用する
- 自動販売機を設置する
- 倉庫やトランクルームなどとして活用する
- 工場などの資材置き場として活用する
- トレーラーハウスを設置して貸し出す
最も多く考えられる活用法は、駐車場にして貸し出すことでしょう。駐車場の需要があるエリアであれば、建築物を建てずに収益を上げることができます。
駐車場以外の活用法としては、工場や店などの資材置き場としての利用が考えられます。そのため、資材置き場に困っている工場が自宅周辺にあれば交渉してみるのも手です。
また、駐車場や資材置き場としての利用が難しい場合は、賃料の安いバイク置き場や自転車置き場などにしてもよいかもしれません。自分たちで家庭菜園にするといった方法もあります。
更地の再建築不可物件を活用するのが難しければ再建築可能にする裏ワザを検討する
前述したように、再建築不可物件は一度更地にしてしまうと取り返しがつきません。更地にすれば必ず収益を上げられるともいえないため、更地にせずとも再建築不可物件を活用できるのであれば、そのような方法をとることも手です。
そして、再建築不可物件は接道義務を満たすことで基本的には再建築可能にできます。そのため、更地の再建築不可物件を活用するのが難しければ、再建築可能にする裏ワザを検討してみるのもよいでしょう。
- 隣地の買取・借受をする
- セットバックをする
- 自治体ごとのルールを再確認する
ここからは、再建築不可物件を再建築可能にする裏ワザについて、それぞれ解説していきます。
隣地の買取・借受をする
再建築不可物件を活用する方法には、隣接地の買取が挙げられます。
再建築不可物件となっている原因の多くは、接道義務を満たしていないことです。買取で土地を合併したことにより、幅員4メートル以上の道路への接道義務を満たせるのであれば、再建築が可能になります。
また、買取ができない場合は、隣地の借受という方法もあります。接道義務を満たせるように隣地から土地を借りることでも接道義務は満たせます。
セットバックをする
再建築不可物件を「建築可能にする」方法に、セットバックがあります。
セットバックとは、自身が所有している敷地を後退させることで、前面の道路幅(幅員)を4m以上にする方法です。
前面道路からセットバックをすれば、自由に使える敷地面積は狭くなりますが、再建築可能な土地として一般物件と同じように売り出せるようになります。
結果、再建築可能な通常物件として活用できるため、需要の拡大にも期待できます。
自治体ごとのルールを再確認する
「接道幅員が1.5メートル以上、2メートル未満」という接道義務を満たしていない場合でも、自治体によっては建築可能な場合があります。たとえば、新宿区では以下のような基準を設けています。
参考:新宿区公式サイト-無接道敷地の建替えに新たな許可基準を整備
この新宿区の基準では「接道幅員が1.5メートル以上、2メートル未満」でも、避難通路が確保されていれば建築が可能になるケースもあります。
都内などの人口密度が高いエリアでは、再建築不可物件として活用できない土地の存在を問題視している自治体は多いです。
そのため、特例を設けることで再建築不可物件を減らし、住宅用として土地の有効活用を検討しています。その他にも再建築不可物件に関する特例は多数存在します。
実際に役所などに確認すると、意外な活用法が見つかることもあります。再建築不可物件に関する特例は、一度お住まいの自治体窓口へ相談してみるとよいでしょう。
再建築不可物件の売却であれば専門の買取業者への依頼を検討する
買取業者のなかには、再建築不可物件を専門とする業者もあります。そのような業者であれば再建築不可物件であっても買取に期待できるうえに、下記のようなメリットがあります。
- 仲介よりも早く売却できるのが一般的
- 仲介で売れないような再建築不可物件でも売却に期待できる
- 契約不適合責任が免責されるのが一般的
物件にもよりますが、再建築不可物件は仲介で売れづらいため、売却に不安があるのであれば専門の買取業者に依頼するのが得策です。ここからは、再建築不可物件を専門の買取業者に売却するメリットについて、それぞれ解説していきます。
仲介よりも早く売却できるのが一般的
再建築不可物件の場合、通常物件よりも買い手は現れづらく、仲介で売れたとしても時間がかかってしまうと考えられます。
一方、専門の買取業者であれば、再建築不可物件を活用する方法や高値での転売に関するノウハウがあると考えられます。また、買い手を探すための売却活動が不要なため、仲介よりも高値かつ早期で買い取ってもらえることに期待できます。
あくまで目安ですが、仲介の場合6か月〜1年ほど、買取の場合は1週間〜1か月程度かかるといわれています。早く再建築不可物件を売却したい場合には、専門の買取業者に依頼することを検討してみるのもよいでしょう。
仲介で売れないような再建築不可物件でも売却に期待できる
不動産会社が仲介・買取での利益が少ない再建築不可物件を扱うケースは多くありません。そのため、仲介や買取を依頼しても断られる可能性が高いです。
しかし、再建築不可物件専門の買取業者は、提携しているリフォーム会社や解体業者へ格安で工事を依頼して、再建築不可物件に付加価値をつけて転売することを目的としています。そのため、大手不動産会社では扱うことのできない物件も、積極的に買い取ってくれるのです。
「再建築不可物件を確実に売却したい」という場合、再建築不可物件専門の買取業者に売却してしまうのが得策といえます。
契約不適合責任が免責されるのが一般的
契約不適合責任とは、売買した土地や建物が契約内容に適さない場合、売り手が負担しなければならない責任のことです。
たとえば、再建築不可物件であるにも関わらず、その事実を買い手に伝えずに売買契約が成立し、それが後に発覚した場合には損害賠償や契約の解除が求められるリスクがあります。また、雨漏りやシロアリ被害などの瑕疵がある場合も同様です。
しかし、再建築不可物件専門の買取業者であれば、「契約不適合責任を一切負わない」という条件で売買契約を成立できるのが一般的です。また、そのままの状態でも基本的には再建築不可物件を買い取ってもらえます。
売却後に責任に問われるリスクが低く、そのままの状態で再建築不可物件を売却できることも、専門の買取業者に依頼するメリットです。
買取業者以外に再建築不可物件を売却する方法
再建築不可物件を売却するのであれば買取業者への依頼が得策ですが、ほかにも売却方法はあります。
- 不動産会社に仲介を依頼する
- 隣地の住人に買取交渉をする
ここからは、買取業者以外に再建築不可物件を売却する方法について解説していきます。
不動産会社に仲介を依頼する
再建築不可物件であっても、「仲介で売ってはいけない」という制限はありません。そのため、条件がよい物件であれば、通常物件のように不動産会社の仲介で売却できる可能性はあります。
- 都心のような人気のエリアにある
- 駅から徒歩5分〜10分圏内にある
- 物件自体の価値が高い物件
仲介であれば、市場価格に近い金額で買い取ってもらえる可能性もあります。買取よりも高値で売却できることもあるため、条件がよい再建築不可物件であれば、仲介で物件を売却することを検討してみてもよいでしょう。
隣地の住人に買取交渉をする
隣地の住人へ買取交渉をするのもよいでしょう。
隣地の住人が以下のように考えていることは、珍しくありません。
- 隣の敷地を買取って接道義務を満たし、不動産の資産価値を高めたい
- 隣の敷地を買取って庭にしたい
- 隣の敷地を買取り、大きな敷地にして高く売りたい
上記のような場合、隣地の住民が買取に応じてくれる可能性はあります。まずは一度、隣地の住民に交渉してみるとよいでしょう。
交渉が成立した場合、売買価格は当人どうしで自由に決められます。ただし、相場よりも大幅に低い価格を設定すると、贈与とみなされて買手に贈与税が課せられます。
そのため、隣地の住民に買い取ってもらう場合、なるべく相場と近い価格で取引するとよいでしょう。
まとめ
再建築不可物件は建て替え・増築・改築ができない土地です。一度更地にしてしまうと、原則その土地には新たに建物を建てることはできません。
再建築不可物件を更地にすることには、メリットだけでなくデメリットがあるため、これらを踏まえたうえで、「更地にすれば活用ができるのか」を基準にして更地にするべきかを検討するのがよいでしょう。
なお、接道義務を満たせば再建築不可物件であっても、基本的には再建築が可能になります。今後は通常物件として活用できるため、再建築不可物件を所有している場合、更地にすることだけでなく、再建築可能にできないかを考えることも大切です。
また、再建築不可物件を専門とする買取業者もあるため、更地にすること以外の対策がないかを検討してみるようにしてみてください。
再建築不可物件を更地にするときのよくある質問
そもそも再建築不可物件はなぜ建て替えができないのでしょうか?
接道義務を守れていないなどの理由で建築基準法を満たしていないことが原因で、新しい建物の建築が認められていません。
再建築不可物件を更地にする前に注意点はありますか?
建築基準法を満たすためにセットバックなどを施したり隣地を買取したり借りることで建物の建築が認められるのかを確認しましょう。
再建築不可物件はどこへ売却できますか?
再建築不可物件は隣地の所有者にも売却できます。より確実に売却したいのであれば、訳あり物件の専門業者に買取してもらうとよいでしょう。
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