再建築不可物件が倒壊する前に知っておくべきリスク
再建築不可物件は一度倒壊してしまうと、「建て替えできない」「税負担が増える」「売却しづらい」という三重のリスクを抱える可能性があります。
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火災や地震で倒壊しても、原則として建て替えできない
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・他の地域で新しい家を探す必要あり
・同じ土地に一般的な住宅を建てられないため売却が難しい
・売却できても相場より非常に安価
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倒壊後、更地にすると固定資産税が高くなる
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・住宅用地特例が適用できない
・倒壊後、更地にして所有し続けた場合の固定資産税が大幅に上昇する可能性がある
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倒壊後に更地にしても買主が見つかりにくい
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・住宅用地としての利用不可
・更地にしても利用が制限されるため買主が見つかりにくい
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特に、再建築不可物件は築年数が古いケースも多く、旧耐震基準のまま使用されている建物も少なくありません。実際に弊社へご相談いただくケースでも、相続で取得した築古住宅を長年空き家のまま所有しており「地震や台風で倒壊しないか不安」というご相談は非常に多く見られます。
それぞれのリスクを詳しく見ていきましょう。
1.火災や地震で倒壊しても建て替えできない
再建築不可物件は「火災が起きた・地震で建物が倒壊した」などの、自然災害が原因で倒壊したとしても、新しく家を建てることはできません。つまり「自然災害による倒壊だから例外的に建て替えできる」という扱いにはならないということです。
そのため、もしも建物が倒壊してしまったら、建て替えではなく他の地域で新しい家を探すことになります。
倒壊した再建築不可物件を売却しようとしても、その土地には建物を建てられないため、購入希望者を探すことも困難です。売却できたとしても非常に安価であることは覚悟しなければなりません。
実際の不動産実務でも、再建築不可の更地は通常の土地より流通性が低く、売却まで長期間かかるケースは珍しくありません。
再建築不可物件を売却できたとしても、相場よりも非常に安い価格でしか売却できないため、生活を立て直すときの金銭的な負担は大きいと言えます。
2.倒壊後更地にすると固定資産税が高くなる
再建築不可物件などに関係なく、住宅が建っている土地に対する固定資産税では、住宅用地特例が適用されています。住宅用地とは、住宅として利用される物件が建っている土地のことで、下記の条件に該当する土地のことを言います。
再建築不可物件であっても、住宅が建っている土地には住宅用地特例が適用されます。
(1)専用住宅(専ら人の居住の用に供する家屋)の敷地の用に供されている土地で、その上に存在する家屋の総床面積の10倍までの土地
(2)併用住宅(その一部を人の居住の用に供されている家屋で、その家屋の床面積に対する居住部分の割合が4分の1以上あるもの)の敷地の用に供されている土地のうち、その面積に下表(東京都主税局 のホームページを参照)の率を乗じて得た面積(住宅用地の面積がその上に存在する家屋の床面積の10倍を超えているときは、床面積の10倍の面積に下表の率を乗じた面積)に相当する土地
出典:東京都主税局-固定資産税・都市計画税
そして、住宅用地特例では、200平方メートルまでの部分は小規模住宅用地として通常の土地と比べて固定資産税が1/6、都市計画税は1/3まで軽減されます。
ですが、建物が倒壊して更地になると、住宅用地特例は適用されません。
再建築不可物件が倒壊したあと更地にし、そのまま所有し続けることになると、翌年以降の固定資産税額が大幅に増加する可能性があります。
なお、空き家を放置した結果、行政から特定空家等に指定されると、建物が残っていても住宅用地特例の対象外となるケースもあるため注意が必要です。
再建築不可物件は土地価格が比較的低い一方で、倒壊して更地になると、特例解除による固定資産税の負担が大きくなりやすい点には注意が必要です。
3.倒壊後に更地にしても買主が見つかりにくい
再建築不可物件が倒壊して更地になってしまうと、新しく住宅を建てられないので、土地を住宅用地として利用できません。駐車場や家庭菜園、資材置場など、建築を伴わない用途で利用されるケースが一般的です。
そのため、再建築不可物件が倒壊し更地になると、物件が建っているときよりも買主が見つかりにくくなります。
ちなみに、再建築不可物件は、1950年(昭和25年)の接道義務が建築基準法で定められる以前、もしくはその後の法改正・運用整理によって現在の接道基準「幅員4m以上の道路に2m以上接していること」が満たせなくなった建物であるケースが多く見られます。
築年数が古い物件では旧耐震基準のまま使用されているケースも多く、耐震性能に課題を抱えている場合があります。
再建築不可物件は通常の物件以上に、老朽化・耐震性・災害リスクに注意しながら維持管理する必要があります。
倒壊によるリスクの回避方法は「再建築可能」にすること
再建築不可物件の倒壊によるリスクを避ける方法のひとつが、再建築不可物件を「再建築可能」にすることです。
再建築が可能になれば、万が一建物が倒壊しても建て替えができるため、資産価値や売却可能性も大きく変わります。
再建築不可物件を再建築可能にする方法として、下記3つが挙げられます。
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方法
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この方法がおすすめなケース
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概要
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セットバックする
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再建築不可物件が2項道路と接している場合
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・幅員4m以上確保できるように敷地を後退させる
・道路の両脇に建物がある場合は、道路の中心線から2m以上になるように後退させる
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隣地を買い取る
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セットバックしても再建不可の場合
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・隣地を買取り、接道している長さを満たす
・買取価格は土地の相場よりも高くなることがほとんど
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再建築可能にする方法を詳しくみていきましょう。
セットバックして再建築可能にする
現在の再建築不可物件が2項道路(みなし道路)と接している場合、セットバックによって再建築可能になるケースがあります。
2項道路とは、建築基準法第42条第2項で規定される道路のことです。
建築基準法で接道義務が定められた1950年、あるいは、都市計画区域に指定された時、すでに幅員4m未満の道に接している建物が存在しているために定められました。
そして、セットバックとは「後退」を意味し、土地や建物が直接接している道路(前面道路)の幅員が4m未満の場合、建築基準法で必要な4m以上の道路幅を確保するため、自身が所有している敷地を後退させることをいいます。
[caption id="attachment_26057" align="aligncenter" width="800"]
セットバック[/caption]
道路の両脇に建物がある場合は、道路の中心線から2m以上になるように後退させれば良いのですが、道路の片側や川や崖地になっている場合、対面の境界線から4m以上になるように後退させる必要があるので注意してください。
また、実務上は「図面上だと4mあるが現況では狭い」「塀が越境している」など、現地確認を行わないと判断できないケースも多くあります。どのくらいセットバックしなければならないかは、役所で地積測量図や建築計画概要書を閲覧し、道路中心線の位置や片側の境界線を確認したうえで、現地測量を行うのが一般的です。
なお、セットバックを行う際は、道路や隣地との境界を明確にする必要があるため、測量が必要となるケースがほとんどです。簡易的な現況測量であれば20〜30万円程度で済むこともありますが、再建築可能にするためのセットバックでは、境界確定測量や分筆登記が必要になるケースも多く、50〜70万円程度かかることもあります。
また、測量して終わりではなく、道路として使用するための舗装工事などが必要になる場合もあります。
セットバックにかかる費用は自治体が負担してくれる場合もありますが、基本的には所有者負担となります。自治体によっては補助金・助成金制度を設けていることもあるため、事前に確認しておくと安心です。
たとえば、東京都世田谷区では狭あい道路拡幅整備事業として、塀や擁壁の撤去、水道メーター・地下配管の移設費用などに対する助成制度が設けられています。
参照:世田谷区「狭あい道路拡幅整備に伴う奨励金・助成金について」
隣地を買い取って再建築可能にする
接道義務では幅員4m以上の道路にただ接しているだけでなく、道路に2m以上接していなければならないと定められています。
例えば、1.7mしか道路に接していないために接道義務を満たせていないという場合があります。
このとき、接している道路の幅員は規定に達しているので、セットバックしても再建築可能とはなりません。
そこで、接道している長さを満たすために、隣地を買い取るという方法があります。
上図の例で考えると、隣地の所有者と交渉して、緑の部分を買い取りましょう。
そうすれば接道義務を満たせるようになり、再建築も自由にできます。
ただし、隣地の買取は土地の相場よりも高くなることがほとんどです。なぜなら、隣地所有者側も「この土地がなければ再建築できない」という事情を理解しており、相場より高い価格を提示されるケースが多いためです。
弊社にも「再建築可能にできると思っていたが、隣地交渉がまとまらず断念した」というご相談は一定数見られます。特に相続や近隣トラブルが背景にある場合、価格だけでなく感情面が交渉に大きく影響することもあります。
個人間で話をすると交渉が思うように進まなかったり、トラブルに発展したりすることも多いので、不動産会社や隣地交渉に慣れた専門家へ相談するのが現実的な方法です。
隣地を借りて接道義務を満たし、再建築可能にするのは避けるべき
隣地所有者から土地の一部を借りることで「道路に2m以上接している状態」を満たす方法があります。ただし、その契約形態で必ず接道義務を満たせると断言できるわけではありません。
また、建築確認が下りたあとすぐに契約を解除してしまうと、結果として接道条件を満たさない状態となり後々のトラブルにつながる可能性があります。実務上も、隣地所有者の変更や契約関係の終了により、接道要件を巡るトラブルが発生するケースがあります。
建築確認申請のためだけに短期間のみ隣地を借りるなど、一時的な賃貸借契約は理屈上可能ですが、この方法は避けるべきです。
実務上は単なる短期契約ではなく、長期の賃貸借契約や隣地の一部買取などが現実的な手段といえます。
倒壊した再建築不可物件を早く売却する方法
ここまで再建築不可物件の倒壊リスクとその回避方法についてお伝えしてきました。
ですが、対策を施す前に倒壊してしまうこともあるでしょう。
そこで最後に、倒壊してしまった物件や土地をできるだけ早く売却する方法について解説します。
売却先となるのは、隣地の所有者か不動産買取業者です。
再建築不可物件の売却について、詳しくはこちらの記事も参考にしてください。
隣地の方へ買取を提案する(引き渡し時に更地にする)
再建築不可物件を解体して更地にし、隣地の方へ買取を提案する方法です。
通常、再建築不可物件は倒壊してしまうと建て直しができず、その土地の評価は大きく下がります。そのため、相場より価格を下げても買主を見つけることは難しいのが実情です。
しかし、隣地の方であれば再建築不可物件の土地を有効活用できる可能性があります。
例えば、隣地の方も接道義務を満たしておらず再建築不可物件だったとします。
このとき、自分の土地を買い取ってもらい、2つの土地を合わせることで隣地所有者は接道義務を満たせるようになります。
その場合、隣地の不動産における資産価値も上がるため、隣地所有者にとっても嬉しい提案になるでしょう。
ただし、更地にして隣地の方へ売却する場合、絶対に避けるべき注意点があります。それは「買主が決まる前に建物を解体してしまうこと」です。もし更地にした後に隣地交渉が決裂すると、解体費用が赤字になるうえ、固定資産税だけが跳ね上がるという最悪の事態に陥ります。
取り返しのつかない状態を避けるためにも、必ず建物がある状態で交渉・契約を行い、引き渡しまでに更地にする(更地渡し条件)という手順を踏みましょう。
弊社はこれまで1,000件を超える再建築不可物件のご相談を受けてきましたが、その多くが「仲介で売りに出したものの買主が見つからなかった」「不動産会社から取り扱いを断られた」といった売却に関する内容です。
一般市場では動かなかった物件でも、隣地所有者へ打診したことで話がまとまり、売却につながったケースは少なくありません。
それほど資産価値に影響がない通常の土地でも、隣地所有者にとっては庭や駐車場、敷地拡張などさまざまな活用方法があります。
そのため、再建築不可物件の土地として第三者に売却するよりも価格は高く、スムーズに契約が決まるケースもあります。
訳あり物件専門の買取業者に売却する
隣地所有者に購入を断られたときには、訳あり物件専門の買取業者に相談する方法もあります。
再建築不可物件などの一般市場では売却が難しい「訳あり物件」に精通している買取業者であれば、現状引き渡しで売却できるケースも多く、解体や修繕を行わず売却できる場合があります。
また、買取業者との契約では契約不適合責任が免責となるケースも多く、売却後の修繕対応や不具合責任を負わずに済む場合があります。契約不適合責任とは、契約時に説明されていなかった不具合や問題が発覚した場合、売主が買主に対して負う責任のことです。
実際には、一般の仲介会社では「取り扱いが難しい」と断られた後に、専門買取業者へ相談される方も少なくありません。
中には「再建築不可物件を買い取ってどうするのか?」と疑問に思われるかもしれません。訳あり物件を扱う専門業者は、再建築不可物件を入手したあと「隣地との交渉による再建築可能化」「賃貸活用」「駐車場・資材置場としての運用」など、一般の買主とは異なる視点で収益化するノウハウを豊富に持っています。
そのため、一般市場では需要が限られる再建築不可物件でも、専門業者であれば買い取りできるケースがあります。
もっとも、買取は「早く現金化しやすい」というメリットがある一方で、仲介と比べると売却価格は低くなる傾向があります。
時間をかけてでも少しでも高く売りたい場合は仲介や隣地の方へ提案し、早期売却や現況売却を重視する場合は買取、といったように、自身の状況に合わせて売却方法を選ぶとよいでしょう。
まとめ
再建築不可物件は、自然災害を原因として倒壊してしまっても、原則として建て替えできません。
それだけでなく、更地になることで住宅用地特例が外れ、固定資産税負担が増える可能性もあります。
そこで、再建築不可物件を所有しているなら、セットバックの実施や隣地の購入によって「再建築可能」にすることも検討してみてください。
万が一、再建築不可物件が倒壊してしまったら、隣地所有者への売却や訳あり物件を専門とする不動産買取業者への相談も検討してみるとよいでしょう。
再建築不可物件の倒壊に関するよくある質問
再建築不可物件とは何ですか?
接道義務を守れていないなどの理由で建築基準法を満たしておらず、新しい建物の建築が認められていない土地を再建築不可物件といいます。
倒壊した再建築不可物件もそのまま売却できますか?
法律上の制限はないので、倒壊した再建築不可物件であってもそのまま売却できます。ただし、買主が見つかりにくいため、なかなか売れにくいです。