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再建築不可物件の相続を徹底解説!流れから相続放棄の方法まで網羅的に解説

再建築不可物件を相続する予定がある場合、「再建築不可物件を相続する予定だけど、相続するべきかわからない」「そもそも相続のために何をすればいいかがわからない」といった不安や悩みがあることでしょう。

再建築不可物件は建築基準法上の接道義務を満たしておらず、原則として新たな建物を建築できない物件です。そのため、一般的な不動産に比べて買主が限定されやすく、資産価値においては実際の現場でも低く評価される傾向にあるのが実情です。また、建て替えができないため活用方法にも制限があり、相続後に思うような運用や処分ができない可能性もあります。

ここで再建築不可物件の相続における実態をお話ししますと、相続後にうまく活用できずに放置することで、固定資産税や維持管理費だけが継続して発生したり、建物の老朽化によって近隣トラブルや安全上の問題が生じたりするケースも少なくありません。

そのため、相続する前の段階で「どのように活用するのか」を検討することは、相続するのかどうかの判断基準として有効です。

一方で「自分が住居として利用する」「立地条件によっては賃貸需要が見込める」など、既存の建物をそのまま活用できるケースでは、相続を前向きに考えることもできます。再建築不可物件の状態や活用方法を踏まえて判断することが重要です。

再建築不可物件を相続する場合は、一般的な不動産相続と同じく遺産分割協議や相続登記、必要に応じた相続税申告などの手続きが必要になります。なお、相続登記は2024年4月から義務化されているため、相続後の手続きの流れについても理解しておくとよいでしょう。

当記事では、再建築不可物件を相続する際の主なリスクや相続手続きの流れ、相続後の活用方法、相続放棄・換価分割などの選択肢について、実務上の注意点も交えながら解説します。

「再建築不可物件の相続の際に何をすればいいかがわからない」という場合にも参考にしてみてください。

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まずは相続する物件が本当に再建築不可物件であるかを確かめておくべき

再建築不可物件を相続する場合は、まず対象不動産が法的に再建築不可に該当するのかを確認しておくことが重要です。「実は再建築不可ではなかった」という可能性もゼロではありません。

実際に、筆者も買取業務をしてきた中で「古い家だから再建築不可だと思う」「不動産会社にそう言われた」という経緯でご相談をいただくことがありますが、実際に調査してみると再建築可能だったケースも少なくありません。

再建築不可物件とは、建築基準法上の接道義務を満たしていないなどの理由により、原則として新たな建物の建築が認められていない不動産を指します。再建築不可となる主な原因としては、「接道義務を満たしていないケース」や「市街化調整区域内にあり建築許可等を得られないケース」などが挙げられます。

原因 概要
接道義務を満たしていない 幅員4m以上の道路に土地の間口が2m以上接していなければいけないという「接道義務」を満たしていない土地。

具体例

・土地が道路とまったく接していない

・前面道路が建築基準法上の道路(42条各項)に該当しない

・道路に接している敷地の幅が2m未満
市街化調整区域にある 物件が市街化を抑制する地域である「市街化調整区域」にある場合。物件の状態に関わらず、原則として建物などの開発が制限される。

実際に再建築が可能かどうかは、前面道路の種別や自治体の運用、個別事情によって判断が異なる場合があります。まずは相続予定の物件が再建築不可になる原因に該当していないかを確かめておきましょう。

実務上は「再建築不可だと思っていたが、建築基準法第42条2項道路に接していた」「道路後退(セットバック)によって建築可能だった」といったケースも見受けられます。また、役所調査や建築士による確認の結果、再建築可能と判断されるケースもあります。

不動産会社だけでなく、必要に応じて建築士や土地家屋調査士などの専門家へ確認することも検討するとよいでしょう。

なお、市街化調整区域は原則として建築行為ができませんが、従前建築物の建て替え(改築)等や一定要件を満たすものについては許可をもって建築できるケースもあります。

条件の詳細は各自治体によって異なるので、詳しくは各市区町村の都市計画課に問い合わせることで確認するとよいでしょう。自治体によっては都市計画図をインターネットで公開しているため、「〇〇(自治体名) 都市計画図」などと検索して確かめてみてください。

出典:市街化調整区域において建築可能なもの|神奈川県大和市役所

最寄りの役所の建築課でも確認は可能

自身で判断が難しい場合は、物件所在地の役所にある建築指導課などへ相談し、建築可否を確認する方法もあります。役所では、前面道路の種別や接道状況などをもとに、建築基準法上の取り扱いについて確認できる場合があります。

役所で調べてもらう場合、基本的には下記のような書類があると確認がスムーズです。

  • 登記事項証明書
  • 地積測量図
  • 公図

登記事項証明書や公図などは、法務局で取得可能です。なお、地積測量図が存在しないケースもあるため、事前に確認しておくとスムーズです。自力で調べるのが難しい場合、これらの書類を用意したうえで、最寄りの役所で確認することも検討してみてください。

再建築可否の判断は、道路種別や接道状況、過去の建築経緯など複数の要素が関係します。実際の取引現場でも、不動産会社・建築士・行政で見解を確認しながら進めるケースは珍しくありません。

相続後に「思っていた条件と違った」と後悔しないためにも、まずは事実関係を正確に把握することが大切です。

再建築不可物件の相続には注意点もある|利用予定や維持管理の負担を踏まえて慎重に検討することが大切

再建築不可物件は、建て替え制限や維持管理面など、一般的な不動産とは異なる注意点があります。そのため、利用予定や将来的な活用方法も踏まえたうえで、相続するかを検討することが重要です。

イエコン編集部では、再建築不可物件を相続した経験がある50名を対象に「再建築不可物件の相続に関する実態調査」を実施しました。

「再建築不可物件を相続した際、最も不安だったことは?」という質問に対し、「利用予定がなかった(34.0%)」と回答した人が最も多く、次に「売却できるか不安だった(28.0%)」、「維持管理が負担だった(20.0%)」という結果でした。

再建築不可物件は建て替えができないことから活用方法が限られやすく、相続後の利用方針が決まっていない場合には、不安を抱える人が多いことがうかがえます。

このような特徴が、アンケートで挙がった「利用予定がない」「売却できるか不安」「維持管理が負担」といった不安につながっていると考えられます。実際に、再建築不可物件を相続する場合、以下のようなリスクがあります。

  • 物件が古くなっても建て替えや大規模な増築、改築などを行えない
  • 倒壊などによって近隣住民に悪影響を及ぼす可能性がある
  • 仲介での売却が難しい
  • 固定資産税が最大6倍に増える可能性がある

再建築不可物件は、建て替えや大規模な改修、活用方法に制限があるため、物件状態や立地条件によっては売却活動が長期化するケースもあります。

また、建物の老朽化による管理負担や近隣住民に悪影響を及ぼす可能性もあります。状況によっては換価分割や相続放棄などを含め、物件を単独で所有しない選択肢を検討するケースもあります。

実際に筆者が買取業務の中で伺うご相談でも、「親族が住んでいた家なので残したいが、自分では利用予定がない」というケースは少なくありません。感情面だけで判断すると、維持費や管理負担が長期化することもあるため、将来的な活用方法まで含めて検討することが大切です。

ここからは、再建築不可物件を相続するリスクについて、それぞれ詳しく解説していきます。

⚪︎再建築不可物件は将来的に相続人の管理負担につながる可能性もある
再建築不可物件を相続した後に何も対策をせずにいると、老朽化が進行し、修繕費用が高額になったり、安全面から居住継続が難しくなったりする場合があります。そのまま所有を続けると、将来的に自分の子どもや孫が再建築不可物件を相続することになる可能性もあります。

その場合、現状よりも活用や売却が難しくなるうえに、固定資産税などの出費負担を子どもや孫にかけさせてしまうリスクがあるのです。

将来的な維持管理負担を次世代へ引き継がないためにも、活用の予定がない再建築不可物件であれば処分を検討することも手です。

物件が古くなっても建て替えや増築、改築などを行えない

再建築不可物件は、接道義務を守れていないなどの理由で建築基準法を満たしておらず、新しい建物の建築が認められていない物件です。そのため、「建物が傾いてきた」などと建物の状態が相続後に悪くなったとしても、建て替えや大規模な増改築に制限があるため、老朽化への対応方法が限られる場合があります。

仮に老朽化が進んで建物が倒壊してしまった場合、その土地には建物を新たに建てることはできません。

再建築不可物件の多くは、接道義務が制定された1950年以前に建てられた物件であるケースが多く、旧耐震基準で建築されているケースも見られます。すでに築古の物件であると考えられるため、建て替えなどが行えないリスクを踏まえると、建物状態によっては、長期居住にあたって修繕計画や安全性の確認が必要になる場合があります。

長期間住むことを前提とする場合は、将来的な修繕費や建て替え制限も踏まえて慎重に検討する必要があります。

実務上「親から相続した家に住もうと思ったが、大規模修繕が必要だった」というケースは珍しくありません。相続後に想定外の費用が発生する可能性もあるため、事前に建物状況を確認しておく必要があります。

イエコン編集部のアンケートでも、「利用予定がなかった」と回答した人が34.0%と最も多い結果でした。再建築不可物件は活用方法が限られやすいため、相続後の利用方針が決まっていない場合は、特に慎重な判断が求められます。

倒壊などによって近隣住民に悪影響を及ぼす可能性がある

再建築不可物件は建て替えなどができないことから、建物の築年数や維持管理状況によっては、耐震性や安全面に注意が必要となる場合があります。また、老朽化が進んでいることも考えられるため、台風などの災害があった場合には外壁や屋根が剥がれてしまう可能性もあります。

万が一、倒壊などによって近隣住民に被害が出てしまえば、所有者責任を問われる可能性もあるため、定期的な管理が重要です。近隣住民に怪我などの被害を与えてしまう可能性があるうえに、それによって高額な賠償金を支払うリスクもあるため、再建築不可物件の相続は慎重に判断をしましょう。

アンケートでも、20.0%の人が「維持管理が負担だった」と回答しています。特に遠方に住んでいる場合や利用予定がない場合は管理が後回しになりやすいため、相続前に維持管理の方法も検討しておくことが大切です。

仲介での売却が難しい

再建築不可物件を相続した人の中には、売却を考えている人も一定数いるでしょう。

実際に、アンケートでは28.0%の人が「売却できるか不安だった」と回答しています。再建築不可物件は一般的な不動産よりも買主が限定されるため、売却のしやすさも相続前に確認しておきたいポイントです。

まず結論からお伝えしますと、再建築不可物件は一般的な物件に比べて需要が限られるという観点から、仲介による売却が難しいのが実情です。

不動産を仲介で売却する場合、買い手が現れなければ売却はできません。つまり、需要が低い物件は、立地条件や接道状況によっては、一般的な不動産と比べて買主が限定される傾向があります。

再建築不可物件は建て替えなどが制限されることから、通常の物件よりも需要が低くなるのが一般的です。そのため、仲介で売却するのは一般的な物件に比べて難しくなります。

また、再建築不可物件は住宅ローンの利用が難しいケースもあり、購入できる人が現金購入者などに限られることも少なくありません。その結果、需要がさらに限定されて売却までに時間がかかる場合があります。

一方で、都心部のように土地需要の高いエリアでは、再建築不可物件であっても売買されるケースは珍しくなく、立地条件によっては仲介での売却が期待できる場合もあります。

固定資産税が最大6倍になる可能性がある

再建築不可物件に限らず、不動産を所有している場合、その所有者は毎年土地と建物にかかる固定資産税を支払わなければなりません。

通常の物件であれば、「一般住宅用地の特例」などの特例控除が適用されているため、固定資産税が減税されるのが一般的です。しかし、再建築不可物件を相続した後に建物が倒壊したり、更地にしたりすると一般住宅用地の特例が外れてしまい、土地部分の固定資産税負担が大きく増加する可能性があります。

たとえば、固定資産税評価額500万円の住宅用地の場合、小規模住宅用地の特例が適用されると、課税標準額が6分の1に軽減されるため、「500万円×1/6×1.4%=約1万1,000円」を目安として固定資産税を計算できます。

一方、建物の倒壊や解体などによって住宅用地の特例が適用されなくなると、「500万円×1.4%=7万円」と、税負担が大きく増える可能性があります。

※上記はあくまで概算例です。実際の税額は負担調整措置や自治体の取扱いなどによって異なる場合があります。また、必ずしも税額そのものが6倍になるわけではなく、課税標準額が最大6倍になる点にも注意が必要です。

毎年の出費が高額になるリスクもあることを踏まえて、再建築不可物件を相続するかを検討してみてください。

相続前にできる再建築不可物件の対処法

再建築不可物件については、相続開始前の段階であれば、相続方法や遺産分割の工夫によって、特定の相続人が単独で所有しない形を検討できる場合があります。
再建築不可物件は、一般的な不動産と比べて活用や売却に制限が生じやすいため、維持管理の負担や将来的な処分方法も含めて慎重に検討することが重要です。状況によっては、代償分割や換価分割、相続放棄などを選択肢として検討するケースもあります。

リスクを踏まえて、再建築不可物件を単独で所有したくない場合や、相続による負担を軽減したい場合は下記のような対策をとってみてください。

対処法 概要
代償分割 相続人の1人が再建築不可物件を取得する方法。ほかの相続人は代償金を受け取れる。
換価分割 再建築不可物件を売却して得られた売却金額を分割する方法。
相続放棄 遺産を相続する権利を放棄する方法。

ここからは、相続前にできる再建築不可物件の対処法をそれぞれ解説していきます。

ほかの相続人が再建築不可物件の所有を希望する場合は「代償分割」

代償分割とは、相続人の1人が再建築不可物件を取得し、その代わりとして、ほかの相続人へ代償金を支払うことで遺産を分割する方法です。

たとえば、500万円の価値がある再建築不可物件を2人で代償分割する場合、1人が再建築不可物件を所有し、もう1人には250万円が物件所有者から支払われます。

そのため、相続人のなかに再建築不可物件を所有したい人がいる場合には、代償分割であれば、再建築不可物件を所有せずに相続することが可能です。

ただし、代償分割では、物件を取得する相続人に代償金を支払うための資金力が求められる点に注意が必要です。代償金を支払えなければ、他の方法で再建築不可物件などの遺産を分割する必要があります。

なお、現金が不足している場合は、他の相続人と交渉して代償金の分割払いにしてもらうか「別の資産を売却して現金を作る」「普通の不動産があればそれを担保に融資を受ける」などの選択肢があります。

ここで実務上の注意点ですが、再建築不可物件を担保に融資を受けるのは難しいのが実情です。再建築不可物件は原則として同じ場所に建物を建て直せないため、一般的な不動産と比べて担保評価が低く評価されるためです。

実際のご相談でも、「実家は残したいが、自分だけで代償金を負担するのが難しい」というケースは少なくありません。代償分割は感情面の整理がしやすい一方で、資金準備が必要になるため、事前に不動産査定や資金計画を確認しておくことが重要です。

相続人の全員が再建築不可物件を所有しないのであれば「換価分割」

換価分割とは、再建築不可物件を売却し、その売却代金を相続人同士で分配する方法です。たとえば、500万円の価値がある再建築不可物件を2人で換価分割する場合、物件を売却して250万円(実際の金額は、売却費用等によって異なる)が2人に分配されます。

物件そのものを売却する方法であるため、相続人全員に利用予定がない場合や、現金化して分配したい場合に検討されることが多い方法です。

実務上は、不動産を売却するために、便宜上、相続人のうち1人を代表者として相続登記し、その後に売却代金を相続人間で分配する方法が取られることもあります。不動産を相続人全員の共有名義にして売却する場合、売買契約や決済、登記手続きなどのたびに共有者全員の署名や押印などが必要になります。そこで代表者を1人の名義にすることにより、売却手続きを比較的スムーズに進められるわけです。

ただし、単に便宜上1人の名義にしただけでは、その人が不動産を取得したとみなされる可能性もあります。そのため、換価分割を行う場合は、遺産分割協議の段階で「不動産を売却し、その売却代金を相続人間で分配する」ことを明確に合意し、遺産分割協議書に「換価分割のための便宜的な登記である」と記載しておくことが重要です。

なお、再建築不可物件は一般的な不動産に比べて買主が限定されやすいため、仲介で売却活動を行うケースもあれば、不動産買取業者への売却を検討するケースもあります。立地や建物状態、売却希望時期によって適した方法は異なるため、複数の選択肢を比較検討することが大切です。

実際のご相談でも、「相続人の誰も使う予定がなく、管理負担だけが残っている」という理由から換価分割を選択されるケースは少なくありません。一方で、再建築不可物件は立地や接道状況によって売却条件が大きく変わるため、複数の不動産会社へ査定を依頼して方向性を整理することが重要です。

詳しくは「再建築不可物件を専門とする買取業者に買い取ってもらう」の見出しで解説していくため、換価分割をする場合には参考にしてみてください。

マイナスの財産のほうが多いなら「相続放棄」

相続放棄とは、家庭裁判所で所定の手続きを行い、被相続人の財産や負債を含めた相続権を放棄する制度です。相続放棄を行うことで、再建築不可物件を含む相続財産を引き継がずに済む可能性があります。

ただし、相続放棄をすると、再建築不可物件以外の遺産も相続できなくなるため、プラスの財産のほうが多い場合には向きません。被相続人に借入金などの負債が多い場合には、相続放棄が選択肢となるケースもあります。なお、相続放棄には原則として「自己のために相続開始を知った日から3か月以内」という期限があるため、早めに弁護士や司法書士などの専門家へ相談することも検討しましょう。

なお、「相続放棄をすれば、すぐにその不動産と一切関係がなくなる」というわけではありません。2023年4月の民法改正により、相続放棄をした時点でその不動産に「現に居住している(占有している)」相続人は、次の相続人や相続財産清算人に引き継ぐまでの間、その財産を適切に保存する義務が残ります。

遠方に住んでいて一切関与していない場合はこの義務は負いませんが、同居していた家を相続放棄する場合などは注意が必要です。

特に再建築不可物件は建物の老朽化が進んでいるケースも多く、管理を怠った結果、建物の倒壊や外壁の落下などによって近隣住民や通行人に被害が生じる可能性もあります。その場合、損害賠償責任を問われるおそれがあるため、相続放棄を検討する際は、放棄後の管理方法や引き継ぎ先についてもあわせて確認しておくことが大切です。

再建築不可物件を相続する場合は相続の流れを確認しておく

財産を所有している人が亡くなると相続が開始され、相続人は亡くなった人が所有していた預金や不動産などの財産を引き継ぎます。再建築不可物件も相続財産とみなされるため、相続する際は所定の手続きが必要です。

  1. 財産と相続人を確定する
  2. 遺言書を確認する
  3. 遺産の価値を調べる
  4. 遺産分割協議を実施する
  5. 相続税の申告と相続登記を行う

このように、再建築不可物件を相続する場合には、通常の不動産相続と同様に複数の手続きが必要になります。特に、再建築不可物件は活用や処分方法の検討も必要になるため、相続の流れを事前に把握しておくことが重要です。

1. 財産と相続人を確定する

相続が開始されたら、まず所有している財産と相続人を確定する必要があります。遺産分割を進めるためには、被相続人が所有していた財産を漏れなく把握することが重要です。

もしも、相続の手続きが終了したあとに遺産の一部が見つかると、その財産について追加で遺産分割協議等が必要になることがあります。そこで、まずは所有している財産の確定を行います。

財産調査では、固定資産税納税通知書や金融機関からの郵便物、通帳、不動産の登記情報などを確認しながら整理していくのが一般的です。
また、相続人も確定させる必要があります。今まで、親族の誰も存在を知らなかった相続人がいるケースもあるからです。

相続人の確定は、被相続人の出生から死亡までの戸籍を調べます。

2. 遺言書を確認する

相続では、被相続人の意思が重要視されます。そのため、遺言書で誰がどの財産を引き継ぐか記載されている場合は、遺言に従って遺産分割することが原則です。

そこで、遺言書が遺されていないかを確認しておきましょう。

3. 遺産の価値を調べる

遺産を分割するためには、その財産の価値がいくらかを知る必要があります。

遺産の評価額を把握しておくことで、相続人間で公平性を意識した遺産分割を進めやすくなります。

不動産や株式などの財産については、原則として相続開始時点の評価額を基準に確認していきます。

再建築不可物件は、一般的な住宅よりも市場価格が低く評価されるケースがあります。一方で、立地条件によっては賃貸需要や土地利用ニーズが見込まれることもあるため、査定額に差が出るケースも少なくありません。

実際に、筆者が買取業務をしてきた中でも「価値はほとんどないと思っていたが査定を取ったら数百万円の価格が付いた」というケースは珍しくありません。なお、不動産の査定額は不動産会社によって異なるので、相続財産の評価を行う際には複数の不動産会社へ査定を依頼するのが有効です。

4. 遺産分割協議を実施する

遺産の価値がわかれば、それをもとに相続人同士でどのように遺産を分割するかを協議し、決定します。

遺産分割協議は、原則として相続人全員の合意によって成立します。

後でトラブルにならないためにも、相続人全員の同意がなされたら、相続人全員の署名・押印がされた遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議がまとまらない場合には、弁護士などの専門家へ相談し、法的な整理や調整方法について助言を受けることも検討しましょう。

5. 相続税の申告と相続登記を行う

相続人の間で遺産分割がされたら、相続税の申告と相続登記を行います。

相続登記とは・・・被相続人から相続人への所有権移転登記(名義変更)のことです。

相続税が発生する場合には、原則として相続開始を知った日の翌日から10か月以内に申告・納付を行う必要があります。

相続税申告書は、被相続人の住所地の所轄税務署に提出します。

相続財産のなかに不動産がある場合は、相続登記をおこないます。なお、相続登記は2024年4月から義務化されており、不動産を相続したことを知った日などから原則3年以内に手続きを行う必要があります。正当な理由なく相続登記を怠った場合は、10万円以下の過料が科される可能性があるため注意が必要です。

また、相続登記を怠ることで第三者に対して所有権を主張できなくなり、将来的な売却や担保設定の手続きが円滑に進まないおそれもあります。相続人間のトラブル防止の観点からも、早めに相続登記を進めることが望ましいでしょう。

再建築不可物件を相続する場合にはさまざまな税金がかかる

再建築不可物件を相続する場合でも、一般的な不動産相続と同様に、相続税・登録免許税・固定資産税などの税負担が生じる可能性があります。

  • 相続税
  • 登録免許税
  • 固定資産税・都市計画税

「突然税金の請求がきた」とならないよう、再建築不可物件を相続する場合には支払いが必要な税金について確認しておくとよいでしょう。

相続税:再建築不可物件の評価額などによって決定する

相続税とは、被相続人が所有していた財産を相続した場合にかかる税金です。再建築不可物件だけでなく、現金や自動車、土地なども相続税の課税対象となります。ただし、相続財産の総額が基礎控除額以内であれば、相続税が発生しないケースもあります。

相続税は、財産総額から借金や葬式費用などを差し引いた金額が一定の金額(基礎控除額)を上回ったときに課せられます。

ただし相続税には、基礎控除という一定の非課税枠が設けられています。

被相続人が所有していた財産の評価額が、基礎控除額を超える場合のみ相続税がかかります。

相続税は、法定相続分に応じた取得金額などを基準に、10〜55%の累進税率で計算されます。実際の税額は、配偶者控除や小規模宅地等の特例などの適用有無によって大きく変わる場合があります。

ここからは、相続税の概算額を求めるための基本的な計算方法を解説していくため、再建築不可物件を相続する場合には参考にしてみてください。

相続税の基本的な計算方法

前述したとおり、被相続人が所有していた財産の評価額が基礎控除額を超える場合のみ、相続税を支払う必要があります。基礎控除額は以下の計算式で計算します。

相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

たとえば、相続人が配偶者と子ども2人の合計3人の場合の基礎控除額は、「3,000万円+600万円×3人=4,800万円」となります。

相続財産の評価額が基礎控除額を超える場合は、その超過部分が相続税の課税対象となります。課税対象となる金額(課税遺産総額)は、次の計算式で算出します。

課税遺産総額の目安=相続財産の評価額-基礎控除額

たとえば、財産の評価額総額が1億円、相続人が配偶者と子ども2人の合計3人、相続税率30%、控除額700万円と仮定した場合、相続税の金額は以下のようになります。

概算の相続税の金額=(財産の評価額1億円-基礎控除額4,800万)×30%-控除額700万円=860万円

※上記の計算はあくまで概算の相続税を計算するためのものです。実際の相続税は課税遺産総額を法定相続分に応じて分けて計算し、各種控除や特例を適用して算出します。

相続税率は次の表のとおりです。

法定相続分に応じて分けた財産額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

参照:国税庁「相続税の税率」

再建築不可物件は、一般的な不動産に比べて利用制限があるため、不動産評価において一定の減価要素として考慮される場合があります。実際の評価方法は接道状況や地域性によって異なり、個別判断となるケースも少なくありません。

実際のご相談でも、「古い家だから価値はゼロだと思っていたが、土地に一定の評価がついた」というケースもあれば、「接道条件の影響で想定より評価が低かった」というケースもあります。相続税評価は専門的な判断が必要になるため、不安がある場合は税理士などの専門家へ相談することも検討するとよいでしょう。

登録免許税:再建築不可物件の評価額の0.4%

登録免許税とは、再建築不可物件の相続登記を行う際に必要な税金です。相続登記をする際に、法務局で印紙を購入する形で納めます。

相続による所有権移転登記の登録免許税は、原則として「固定資産税評価額×0.4%」で計算されます。なお、一定の要件を満たす場合には、登録免許税の免税措置が適用されるケースもあります。固定資産税評価額は、市区町村などの役所から毎年送付される、固定資産税課税明細書などに記載されています。

ちなみに、相続で取得した再建築不可物件については、原則として不動産取得税はかかりません。

固定資産税・都市計画税:再建築不可物件の評価額によって決定する

再建築不可物件を所有すると、毎年、固定資産税と都市計画税がかかります。

固定資産税とは所有している固定資産に課される税金で、都市計画税とは都市計画事業や土地区画整理事業のために課される税金のことです。

1つの納付書で固定資産税と都市計画税の両方を支払うため、一般的には合算したものが固定資産税と考えている人も多いですが、それぞれ税率が異なります。

固定資産税と都市計画税の税金は、それぞれ次のように計算します。

  • 固定資産税:固定資産税評価額×税率1.4%(原則)
  • 都市計画税:固定資産税評価額×税率0.3%(原則)

税率は、自治体や物件の利用状況などにより異なります。再建築不可物件は、接道条件や利用制限の影響から、一般的な住宅地に比べて市場価格や評価額が低くなる傾向があります。

固定資産税評価額は土地の形状や接道状況、用途地域などを考慮して算定されます。そのため、再建築不可であることが評価額に影響し、結果として登録免許税や固定資産税などの税負担が比較的低くなるケースもあります。

ただし、「税金が安いから所有し続けた方が得」とは限りません。実務上は「売却できないまま固定資産税だけを払い続けている」という相談も非常に多いのが実情です。

特に遠方に住んでいる相続人の場合、固定資産税だけでなく草刈りや建物管理などの維持費も発生するため、保有コスト全体で考えることが重要です。

相続した再建築不可物件を活用するための対策を講じておく

イエコン編集部が実施した「再建築不可物件の相続に関する実態調査」では、「相続した再建築不可物件を最終的にどのように活用しましたか?」という質問に対し、「売却した(42.0%)」が最も多く、次いで「賃貸に出した(20.0%)」、「自分で居住した(16.0%)」という結果になりました。

この結果からも、再建築不可物件を相続した後はそのまま保有し続けるよりも、売却や賃貸など何らかの活用・処分を選択するケースが多いことがわかります。

再建築不可物件の最適な活用方法は各ケースによって異なりますが、具体的には下記のような方法で物件を活用するのが得策です。

  • 相続した再建築不可物件に居住する
  • 賃貸物件として貸し出す
  • 物件を再建築可能にする
  • 再建築不可物件を専門とする買取業者に買い取ってもらう
  • 再建築不可物件を寄付する

ここからは、相続した再建築不可物件を活用するための対策を紹介していきます。

なお、再建築不可物件は一般的な住宅に比べて買主が限定されやすく、仲介では売却までに時間がかかるケースがあります。一方で、再建築不可物件を取り扱う買取業者であれば、条件次第では売却できる可能性があります。また、最終的には寄付をする方法もあるため、再建築不可物件の活用が難しい場合には買取や寄付も検討しておくとよいでしょう。

相続した再建築不可物件に居住する

再建築不可だからといって、その物件に住んではいけないわけではありません。そのため、相続した再建築不可物件に居住することも1つの手です。

なお、適切な管理がされていない空き家は「特定空き家」や「管理不全空家」として認定される場合があります。

特定空き家とは、倒壊のおそれがある空き家や衛生上有害となるおそれがある空き家などを指します。また、管理不全空家とは、そのまま放置すると将来的に特定空き家等となるおそれがある空き家のことです。

これらに該当すると、自治体から助言・指導・勧告などを受ける可能性があります。勧告を受けた場合は住宅用地特例の適用対象から外れることがあり、固定資産税や都市計画税の負担が大幅に増加する可能性があります。

一般的には、人が居住し適切に管理されている物件は、特定空き家等に該当しにくいとされています。つまり、相続した再建築不可物件に居住することは、特定空き家に認定されないための対策にもなるのです。

賃貸物件として貸し出す

前述のように再建築不可物件の買い手は現れづらいですが、賃貸物件であれば人気が低いとは限りません。

普通に住めるのであれば、その物件が再建築不可物件であることは問題ではありません。エリアや建物状態、家賃設定によっては、再建築不可物件でも賃貸需要が見込めるケースがあります。

そのため、賃貸物件として貸し出せば、再建築不可物件であってもそのままの状態で活用できる可能性はあるのです。

実務上は、再建築不可物件であっても「駅から近い」「平屋で高齢者ニーズがある」といった条件がそろうと、一定の賃貸需要が見込めるケースもあります。一方で、修繕費がかさむ物件では、家賃収入だけで維持管理費をまかなえないこともあるため、収支計画を事前に確認しておくことが重要です。

物件を再建築可能にする

再建築不可物件になるのは、再建築不可になる原因があるためです。接道条件などの問題を解消し、建築基準法上の要件を満たせば、再建築が可能となるケースがあります。

再建築可能になれば、通常の物件として扱われます。そのため、物件を再建築可能にすることも対策の1つです。

物件を再建築可能にする方法には、下記が挙げられます。

方法 概要
セットバックをする 再建築不可物件の土地の一部を後退させて道路の幅員を増やし、接道義務を満たす方法
隣地の一部を買い取る 道路と接する敷地の幅を2m以上になるよう、不足分を隣地の一部から買い取る方法
隣地の一部を借りる 道路と接する敷地の幅を2m以上になるよう、不足分を隣地の一部から借りる方法
所有する土地と隣地の一部を等価交換する 接道義務の不足分を隣地から借りて、代わりに同等の土地を譲る方法
建築基準法第43条第2項第2号の許可申請を行う 敷地の周囲に広い空地(公園や広場など)がある場合や、避難・通行上の安全性が確保されているなど一定の条件を満たす場合に、建築審査会の同意を得て接道義務の適用を特例的に認めてもらう方法
位置指定道路を申請する 都道府県知事や市町村長などから、一定の基準を満たす私道について位置指定道路の指定を受け、建築基準法上の道路として扱えるようにする方法

ただし、再建築可能にするためには隣地所有者との協議や工事費用が必要になるケースもあり、必ずしも現実的とは限りません。実務上は、再建築可能化にかかる費用が物件価値の上昇幅を上回ってしまうケースもあります。

「再建築可能にできるか」だけでなく「費用対効果があるか」という視点で検討することが実務において大切なことです。

下記の記事では、再建築可能にする方法を詳しく解説しています。相続した物件を再建築可能にしたい場合には参考にしてみてください。

再建築不可物件を専門とする買取業者に買い取ってもらう

買取業者のなかには再建築不可物件を専門とする業者があります。専門の業者であれば、一般市場で売却が難しい物件でも買い取ってもらえる可能性があります。

「相続した再建築不可物件の活用方法」に関するアンケートで「売却した」と回答した人を対象に「どのような方法で売却しましたか?」と質問したところ、「再建築不可物件専門の買取業者へ売却した(42.9%)」が最も多く、次いで「仲介会社を利用して売却した(33.3%)」、「親族や知人に売却した(14.3%)」という結果でした。

再建築不可物件は一般的な不動産と比べて買主が限定される傾向がありますが、立地条件や建物の状態によっては仲介による売却が成立するケースもあります。一方で、売却の確実性やスピードを重視して、再建築不可物件を専門に取り扱う買取業者を利用した方も多いことがわかります。

状態がよくない物件であっても買取の可能性はあるため、「老朽化が進んで居住が難しくなった」「賃貸に出したけど入居者が現れない」など、再建築不可物件の活用や維持が難しい場合には、仲介・買取の双方を比較しながら、専門業者へ相談することも選択肢の1つです。

買取では買主を探す期間が不要なため、仲介に比べて短期間で契約まで進むケースがあります。あくまで一例ですが、仲介では買主募集や条件交渉に一定期間を要することが多く、数か月以上かかるケースもあります。一方、買取では条件がまとまれば、数週間程度で契約・決済まで進む事例も見られます。

再建築不可物件を寄付する

専門の買取業者であっても、必ず再建築不可物件を売却できるとは言い切れません。場合によっては買取が難しい可能性もあるため、その場合には再建築不可物件を寄付する方法もあります。

再建築不可物件を所有し続けると、固定資産税や維持管理費がかかるほか、老朽化による倒壊リスクや近隣トラブルの原因となる可能性があります。そのため、利用予定がなく売却も難しい場合には、自治体への寄付を選択肢のひとつとして検討してみてもよいでしょう。

ただし、自治体はすべての不動産を受け入れているわけではありません。公共利用の見込みがある土地や管理負担が少ない土地などに限って受け入れるケースが多く、再建築不可物件の寄付が認められる事例は多くないというのが実情です。

自治体への寄付を希望する場合は、まず物件所在地の自治体へ相談し、受け入れ条件や手続きについて確認しましょう。

まとめ

再建築不可物件の所有には、さまざまなリスクがあります。そのため、利用予定や管理方針が定まっていない場合には、代償分割や換価分割などを含め、「誰がどのように不動産を引き継ぐか」を慎重に検討することが大切です。

そのため、相続を検討する際には、以下の内容を事前に確認しておくとよいでしょう。

  • 本当に再建築不可物件に該当するのか
  • 将来的に活用する予定はないのか
  • 今後も維持管理を続けられるのか

また、再建築不可物件を活用する方法も多数あります。活用予定が明確でない場合でも、立地や建物状態によっては活用できるケースがあるため、再建築不可物件を相続するのであれば活用するための対策を講じておくことも大切です。

なお、買取業者のなかには、再建築不可物件を専門とする業者もあります。買取では買主を探す期間が不要なため、比較的短期間で売却できるケースがあります。一方で、売却価格は物件条件や市場状況によって異なるため、仲介と買取の双方を比較検討することが重要です。

再建築不可物件のよくある質問

再建築不可物件とは何ですか?

接道義務を守れていないなどの理由で建築基準法を満たしておらず、新しい建物の建築が認められていない土地を再建築不可物件といいます。

どうすれば再建築不可物件を相続できますか?

まずは相続する財産と相続人の確定してから、遺産分割協議などで分け方を決めた後。相続税の申告と相続登記をしましょう。

再建築不可物件を相続する際に注意点はありますか?

接道状況の改善や建築基準法上の条件整理によって、再建築が可能となるケースもあります。ただし、実現可能かどうかは自治体判断や周辺権利関係によって異なります。 再

再建築不可物件を相続しない方法は相続放棄しかありませんか?

「換価分割」「代償分割」といった方法であれば、再建築不可物件を所有せずに相続が可能です。

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    更新日 : 2025年11月07日
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