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未接道物件の売却方法とは?中々売れないときの対策について

建築基準法上の接道義務を満たしていない未接道物件は、「再建築できない」「住宅ローンが組めない」などの制限があり売却が難しい不動産です。売却価格の相場は、接道義務を満たす物件の5〜7割程度まで下がります。

しかし、買い手がつかないからと放置するのも問題です。住んでいなくても固定資産税がかかる上に、将来相続人となる家族に物件の処分問題を押し付けることにもなるでしょう。

また周囲から見えにくい場所にある物件は、放置すると不法投棄や違法薬物の栽培、未成年者の喫煙など犯罪の温床となり、周辺住民に被害が出れば管理責任を問われることもあります。

処分に困る未接道物件を少しでもスムーズに、かつ高値で売却するためのアイデアとして以下のようなものが挙げられます。

  • セットバックをして売却する
  • 但し書き申請をして認可を得たうえで売却する
  • リフォームをして賃貸用物件として売りに出す
  • 隣地の所有者に売却する など

ただし、いずれも費用や時間などがかかるため現実的に難しい方も多いでしょう。もっともスムーズに、かつ高値で売却するには訳あり物件専門の買取業者に相談するのが得策です。専門の買取業者なら最短2日で現金化することも不可能ではありません。

未接道物件を速やかに処分したい方は、ぜひ本記事を参考に納得のいく取引へとつなげてください。

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監修
坂本 洋介(宅地建物取引士)

未接道物件なのかを判断するポイント

未接道物件

未接道物件とは、名前からも分かる通り「道路に接していない物件」のことです。建築基準法における道路との接続義務を果たしていない物件を指します。

未接道物件なのかを判断するポイントは、下記の4つです。

  • 敷地が4m以上の道路に接していない
  • 敷地が道路に2m以上接していない
  • 道路から家までの途中に2m未満の場所がある
  • 敷地の周りが全く道路に接していない

上記の通り、単純に「道路と接しているか否か」だけでなく、「一定の幅以上の道路とつながっているか」「道路と接している面に十分な間口があるか」という点も基準です。

まずは、未接道物件なのかを判断する、上記4つのポイントを詳しく解説します。

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【ポイント1】敷地が4m以上の道路に接していない

未接道物件

敷地が4m以上の道路に接していない場合は、未接道物件と判断されます。

そもそも、建築基準法における道路は「幅4m以上」と定められており、それより幅の狭い道路は道路とみなされません(ただし、例外的に6m以上と指定される区域もある)。

この章の規定において「道路」とは、次の各号のいずれかに該当する幅員四メートル(特定行政庁がその地方の気候若しくは風土の特殊性又は土地の状況により必要と認めて都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内においては、六メートル。次項及び第三項において同じ。)以上のもの(地下におけるものを除く。)をいう。
引用:e-Govポータル「建築基準法第42条」

「道路と接している」と思っても、その道路が4m未満の幅しかない場合、未接道物件となります。

【ポイント2】敷地が道路に2m以上接していない

不整形地

建築基準法の接道義務では「道路に敷地の間口が2m以上接していること」が求められます。先述の通り、建築基準法における道路は4m以上ですから、幅4m以上の道路に2m以上接していることが、接道義務の条件ということです。

建築物の敷地は、道路(次に掲げるものを除く。第四十四条第一項を除き、以下同じ。)に二メートル以上接しなければならない。

引用:e-Govポータル「建築基準法第43条」

道路と接している土地でも、接している面が2m未満の場合、未接道物件となります。

【ポイント3】道路から家までの途中に2m未満の場所がある

旗竿地

道路から家までの途中で2m未満の場所がある場合にも、未接道物件と判断されます。

たとえば、間口が2m以上あっても、家に着くまでの通路の一部が2m未満だと未接道物件に該当します。

とくに、敷地の形が特殊な場合は、道路から家までの間で接道義務に違反する恐れがあるため注意が必要です。

メジャーを利用することで簡単に測定できるため、未接道物件かどうか心配な人は間口から家までの通路の幅を測定してみましょう。

【ポイント4】敷地の周りが全く道路に接していない

袋地

未接道物件に該当する例の中で最もわかりやすいのが、敷地の周りが全く道路に接していない場合です。

このように、敷地の周りが他人の敷地に囲まれていて、道路に面していない土地を袋地といいます。

ただし、袋地は隣地を通行できる権利(囲繞地通行権)が民法で保証されているため、居住・生活は問題なく可能です(通行できる範囲は最小限で、通行料の支払いが原則とされる)。

他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。

引用:e-Govポータル「民法第210条」

未接道物件の売却が困難な理由

未接道物件は通常の物件よりも売却が困難とされています。具体的には、下記2つの理由から売却が困難です。

  • 建物を建替えできずリフォームしかできない
  • 買主は住宅ローンを契約できない

次の項目から順番に見ていきましょう。

建物を建替えできずリフォームしかできない

未接道物件は建築基準法の接道義務に違反しているため、家を解体して新たに建設することができません。このような物件は再建築不可物件と呼ばれます。

再建築不可物件であれば、買主は購入後にそのまま住むかリフォームして住むしかありません。

自然災害での倒壊や老朽化しても再建築できず、利用できない土地のみが残ってしまいます。

未接道物件は再建築不可物件であるため、通常の物件よりも売却が困難です。

買主は住宅ローンを契約できない

未接道物件は再建築ができず担保価値も低いため、買主が住宅ローンを契約できないケースがほとんどです。

そのため、買主は現金による一括購入か、消費者金融で借金をして購入するケースが多くなります。資金面に余裕のある人でなければ、未接道物件を購入できません。

住宅ローンを組めず、買主がつきにくくなることから、通常の物件よりも売却しづらいのです。

未接道物件の売却相場は通常の5〜7割程度

未接道物件の売却相場

不動産の売買価格は市場の需要に大きく左右されます。未接道物件であっても売却は可能ですが、同じような条件で接道義務を満たしている物件と比べると、5〜7割程度まで下がるのが一般的です。

仮に価格を下げても個人があえて未接道物件を買うケースは少なく、いつまで経っても売れないケースすらあります。

「たとえ5〜7割程度でも手放してしまいたい」と考えている方は、その前にぜひ一度、訳あり物件専門の買取業者に相談してみてください。以下のリンクから簡単に一括査定ともっとも高い売却価格を調べることができます。

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未接道物件を高値でスムーズに売る方法

接道義務

未接道物件を売却する難しさについて解説しましたが、必ずしも売却が不可能なわけではありません。工夫次第で、通常の物件と同じように売却できます。

具体的には、下記の方法があげられます。中には費用がかかるケースもあるので、自分の状況にあった方法を取りましょう。

  • 再建築が可能となる対策をしてから売却する
  • 訳あり物件専門の買取業者へ売却する
  • リフォーム後に賃貸用物件として売り出す
  • 隣地所有者に売る
  • 隣接地と同時に売却する

再建築可能物件になるよう対策してから売却する

再建築可能物件にすることで、売却できる可能性が高まります。

具体的には、下記の対策をとれば再建築可能物件になります。

  • セットバックを行う
  • 隣地を一部購入して土地の間口を広げる
  • 隣地全体を購入してまとめて売る
  • 但し書き申請をおこなう

次の項目から、それぞれの方法を具体的に見ていきましょう。

セットバックを行う

セットバックを実施することで、未接道物件を再建築可能物件にできます。セットバックとは、接道義務に必要な道路の幅を確保するために、家を現在よりも後退させ、再建築可能物件にすることです。

例えば、物件と接している道路が幅3mしかない場合、土地の境界を1m下げることで、「4m以上の道路」という基準を満たせます。

未接道物件

ただし、セットバックした部分は、建物だけでなく塀や門なども建築できません。また、土地の容積率や建ぺい率(建築できる面積の制限)を計算する際、セットバック部分は除外されます。

実際にセットバックの実施を検討しているなら、まずは不動産会社や建築士などの専門家に相談しましょう。セットバックにかかる費用やセットバック後の予想売却額をもとに、セットバックを実施すべきかアドバイスをもらえます。

隣地を一部購入して土地の間口を広げる

間口や通路が2m未満の場合、隣の土地を一部買い取り、2m以上にするという方法があります。

例えば、間口と通路が1.9mしかない場合、その部分に接している隣地を幅0.1m切り取って自分のものにすれば、2mの基準をクリアできます。

旗竿地

また、袋地では通路となる部分だけ買い取る方法もあります。

袋地

ただし、隣地を購入する際は、当然ながら隣地所有者との交渉が必要です。隣地所有者との交渉をスムーズに進めるためには、不動産会社に第三者として交渉に介入してもらうとよいでしょう。

隣地全体を購入してまとめて売る

間口や通路が狭い場合、隣地を一部ではなく全て買い取る方法もあります。

一部だけ買い取るより土地が大きくなるため、物件の資産価値向上が期待できます。また、隣地所有者が「どうせ売るなら一部より全部手放すほうが良い」と考えている場合、交渉しやすくなるでしょう。

ただし、買い取る面積が大きくなる分、費用も高くなることが想定されるため、資金面でも検討が必要です。

但し書き申請をおこなう

建築基準法では、未接道物件であっても「特定行政庁が認めて、建築審査会の同意を得た物件」については再建築が可能であるとされています。

そこで、自治体(特定行政庁)に特別に再建築を認めてもらう申請(但し書き申請)を行うことで、再建築可能物件にする方法があります。

但し書き申請にあたって、必要となる条件は以下の3つです。

  • 敷地の周囲に広い空地があること
  • 特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めること
  • 建築審査会の同意があること

参照:e-Govポータル「建築基準法第43条2項2号」

但し書き申請が認可されるかはケースバイケースなので、まずは、不動産会社や弁護士、役所などに相談してみましょう。

訳あり物件専門の買取業者へ売却する

通常は売りにくい未接道物件でも、訳あり物件専門の買取業者なら売れる可能性があります。

通常、不動産売買は不動産業者が買主を探す「仲介」が一般的です。一方、買取業者は自社が直接買主となるため、スピーディーな取引が可能です。

また、訳あり物件専門の買取業者は、先に解説した「再建築可能物件にするための方法」を自社で行うためコストを節約しており、高く買い取ることができます。

早ければ数日程度で現金化できるため、未接道物件を手軽に高値で売りたいのであれば、訳あり物件専門の買取業者がおすすめです。

なお、以下の記事では再建築不可などの訳あり物件を専門的に取り扱う買取業者の選び方、おすすめ業者、売却の流れなどをまとめています。当社「株式会社クランピーリアルエステート」が実際に再建築不可物件を買い取った事例なども紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

リフォーム後に賃貸用物件として売り出す

未接道物件であっても、既存の建物を使用する分には問題となりません。加えて、建築確認申請が不要な範囲であれば、自由に工事可能です。

建築確認申請の基準は自治体によって異なりますが、例としては、下記の工事では基本的に申請不要です。

  • 外壁の塗り替え
  • 壁紙の張替え
  • 水回りの設備交換

リフォームで住居としての魅力を高めれば、入居希望者も増える可能性があります。居住目的で買う人はもちろん、立地や間取りがよければ賃貸用の収益物件としても売却できます。

再建築ができなくても、リフォームによって需要を高めることは可能なのです。

隣地所有者に売る

接道義務違反の解決方法として「隣地を買う」という方法を先述しましたが、逆に隣地所有者に自分の土地を売る方法もあります。

隣地所有者も接道義務違反で悩んでいる場合、喜んで買ってくれるかもしれません。

仮に隣地が接道義務を満たしていても、土地が大きくなることで資産価値向上が期待できるので、一般の買主より売買交渉はしやすいでしょう。

隣接地と同時に売却する

隣接地との同時売却は、隣接地も未接道物件で、所有者が売却を考えている場合におすすめの方法です。2つの敷地を合わせることで、接道義務を満たすようになります。

接道義務

同時売却であれば、どちらかの敷地を一度買い取る手間を省けます。お互いに土地を所有したまま売却活動ができるので、金銭的な負担は小さいでしょう。

ただし、売却代金や分配割合でトラブルになることが多いので、売却の段取りは不動産業者を挟んで決めていくとよいでしょう。

未接道物件を放置するリスクとは?

未接道物件の売却が面倒で放置する所有者も少なくありませんが、下記のようなリスクがあるため、注意が必要です。

  • 住んでいなくても固定資産税が発生する
  • 防犯上のリスクがある
  • 物件の処分問題を先送りすることになる

未接道物件は方法次第で「売れる物件」なので、売却に向けて早めに動き出し、上記のリスクを回避しましょう。

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住んでいなくても固定資産税が発生する

未接道物件であっても、所有者には固定資産税が課せられます。居住している・していないも関係ないので、不要な物件なら早めに処分しましょう。

固定資産税評価額の計算上、未接道物件の課税額は普通の物件より低くなりますが、それでも何年、何十年と続けば大きな金額になります。無駄な出費は早めにカットし、損失を抑えることが大切です。

なお空き家の維持・管理にかかる費用は、固定資産税も含めて年間35〜50万円といわれています。「特定空き家」に指定されると固定資産税が最大6倍に跳ね上がることもあるため、できるだけ早く処分することが大切です。以下の記事では、空き家の維持費やリスクなどを詳しく説明しているのであわせてご覧ください。

防犯上のリスクがある

未接道物件は奥まった土地で周囲から見えにくいケースが多く、そのような物件は犯罪に悪用されやすくなります。

例えば、不良のたまり場や不法投棄場所、放火や違法薬物の栽培に使われるケースです。

あるいは、老朽化した屋根の瓦などが台風で吹き飛び、隣家の一部を壊したり近隣住民にケガをさせたりするリスクも想定されます。

周辺住民に被害が出た場合、所有者の管理責任が問われる場合もあります。何か問題が起きる前に、早めに処分しておくようにしましょう。

物件の処分問題を先送りすることになる

未接道物件を放置したまま相続が発生すると、相続人である家族に処分問題を押し付けることになります。

遺産分割で複数人の共有名義になってしまうと、処分するにも全員の同意が必要となり、問題解決は困難です。最悪の場合、責任を押し付けあって家族間でトラブルになる場合もあります。

将来に禍根を残さないよう、未接道物件は早めに処分し、問題を解決しておきましょう。

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まとめ

未接道物件を速やかに売却するには「再建築できる状態」にしてから売りに出すのがポイントです。しかしセットバックや但し書き申請、リフォームなどはいずれもお金や時間、労力がかかる上、仮に売却できてもその分を回収できるかどうかは不透明です。

売却できずにいる未接道物件をスピーディーに、かつ高値で処分したい方は、最短2日で現金化することも不可能ではない、訳あり物件専門の買取業者に相談することをおすすめします。

未接道物件の売却時によくある質問

どういった物件が未接道物件なの?

未接道物件とは、道路に接していない物件のことです。また、道路に接していたとしても「4m以上の道路に接していない」「敷地が道路に2m以上接していない」「道路から家までの途中に2m未満の場所がある」場合は未接道物件とみなされます。

未接道物件は売れにくい?売れやすい?

残念ながら、未接道物件は通常の物件と比べると売却が困難です。「建て替えがおこなえずリフォームしかできない」や「買主は住宅ローンを契約できない」などといった理由があるためです。

未接道物件を売却する方法を知りたい!

未接道物件を売却するには「未接道物件のまま売却する」「再建築可能物件になるよう対策してから売却する」「訳あり物件専門の買取業者へ売却する」といった3つの方法があります。未接道物件を売却するには法知識が必要なため、まずは訳あり物件専門の買取業者へ相談することをおすすめします。→ 【最短12時間の無料査定!】再建築不可物件の専門買取業者はこちら

未接道物件を再建築可能物件にするにはどうすればいい?

「セットバックを実施する」「土地の間口を広げる」「但し書き申請をおこなう」ことで、未接道物件でも再建築可能物件になります。再建築可能物件であれば、通常の不動産と同じように売却できます。

未接道物件が売れにくいなら、手放すことはできないの?

いいえ、売却が困難といっても「絶対に売れない」わけではありません。訳あり物件専門に扱う買取業者の中でも「未接道物件の扱いを専門としている業者」へ依頼することで、未接道物件を売却できる可能性が高まります。

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更新日 : 2024年11月26日
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