袋地や囲繞地は通常の土地と何が違う?まずは特殊な土地であることを把握しておこう
そもそもですが、袋地や囲繞地は通常の土地とは異なる特徴があります。その特殊性から、通常の土地よりも売却が難しく、売却金額も安くなる傾向があります。
袋地や囲繞地の売却を検討している場合、自身が所有する土地の特徴をまず把握しておくとよいでしょう。
袋地は囲繞地に周囲を囲まれて公道に接していない土地のこと
袋地とは、他の土地に囲まれており、他人の土地を通らなければ公道に出られない土地のことです。また、周囲を他人の土地でなく、河川や水路・海などに遮られている場合は「準袋地」と呼称されます。
なお、建築基準法第42条では、「接道義務」が定められており、この義務を満たしていない土地は再建築不可物件としてみなされます。再建築不可物件は建て替えや増築、改築などを制限されます。
道路とまったく接していない袋地の場合、接道義務を満たせないため、原則建て替えなどを行えません。
たとえば、袋地に建物がすでに建っている場合、接道義務を満たすまでは建物の老朽化が進んだとしても建て替えはできません。また、更地の場合はその土地に新たに建物を建てることも制限されます。
土地に囲まれているだけでなく、再建築不可物件として建て替えなどが制限されることも、袋地が特殊な土地である要因といえます。
袋地の所有者には公道に出るための権利が認められている
袋地の所有者が公道に出るには、囲繞地を通る必要があります。いくら仕方ないとはいえ「勝手に他人の所有地を通ってもよいのか」と、疑問に思う人もいるでしょう。
法律では、袋地に住む人に囲繞地を通行する権利が認められています。自動的に認められる「囲繞地通行権」と、当事者間の契約による「通行地役権」の2つがあります。
袋地所有者の権利
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概要
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囲繞地通行権
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袋地を所有する人なら必ず行使できる権利。「徒歩のみ」「通行できるのは幅2m程度」といった決まりがある。
権利を行使する場合、原則として償金(通行料)を支払う必要がある。
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通行地役権
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自分が所有する土地の利便性を高めるため、他の土地を利用できる権利のこと。袋地と囲繞地の所有者両名の同意があれば、通行範囲を自由に決められる。
土地の相続や売却によって囲繞地の所有者が変わっても、通行地役権は継続して効果を持つ。
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通常の土地であれば行動に出るために他人の土地を通行する必要はありません。通行のための権利が認められている点も、袋地の特殊性といえます。
囲繞地は袋地を囲む土地のこと
囲繞地とは、袋地の周りを囲む土地のことです。袋地と異なるのは、囲繞地は道路に接しているため接道義務を満たせる点にあります。
そのため、接道義務を満たしているのであれば、建物の建て替えや増築などを行えます。
ただし、袋地の所有者は囲繞地を通らなければ公道に出られません。自身が所有する土地を袋地の所有者が通行することになるため、この点は通常の土地と異なる特殊性といえるでしょう。
袋地や囲繞地が通常の土地よりも売却が難しい理由
袋地や囲繞地は土地の特殊性から、通常の土地よりも売却が難しいです。具体的には、下記の理由が挙げられます。
- 再建築不可物件に該当するため建物を建てられない
- 日当たりや風通しがよくない
- 住宅ローンが組みづらく現金一括での購入を強いられることがある
- 災害などの非常時に対応が遅くなりやすい
- 他人の敷地の出入りが必要になる
- 袋地の場合は囲繞地の所有者に通行料の支払いを求められる可能性がある
- 空き巣などの被害に遭いやすい
- 給排水管を補修・修繕する際には隣地所有者の許可が必要になる
- 建物がある場合はリフォームや解体費用が高額になりやすい
ここからは、袋地や囲繞地が通常の土地よりも売却が難しい理由をそれぞれ解説していきます。
再建築不可物件に該当するため建物を建てられない
前述の通り、袋地は道路に接していないことから接道義務を満たせず、再建築不可物件としてみなされます。再建築不可物件は通常の物件よりも制限されることが多いため、買い手から購入を敬遠されやすいです。
たとえば、マイホームの購入を検討している人にとって、長期間住めることが前提条件となります。袋地に建つ物件は老朽化が進んでも大規模修繕が制限されるため、長期間の居住を考えている人からは購入を敬遠されがちです。
また、袋地が更地の場合、建物を新たに建てることはできないため、住居の購入を検討している人から購入されることはありません。
日当たりや風通しがよくない
袋地は四方を囲まれているため、囲繞地すべてに建物があると、日当たりも風通しも悪くなります。
日当たりや風通しの悪い土地は人気が低く、買主もほとんどつきません。また、工事に必要な機材や車両の搬入が難しく、工事費が割高となるケースもあります。
法令上の制限だけではなく、住宅としての実用性の低さも袋地が売却しにくい理由の1つです。
住宅ローンが組みづらく現金一括での購入を強いられることがある
不動産を購入する場合、基本的には住宅ローンを利用します。しかし、袋地の場合は住宅ローンの審査に通りにくいです。
住宅ローンを利用する場合、購入する不動産を担保に入れるのが一般的です。担保は利用者からの返済が万が一滞った場合に損害を補うためのものであるため、融資額ほどの価値がある不動産でなければ担保に設定できません。
袋地は通常の土地よりも制限が多く、住宅としての実用性が低いことから、資産価値が低くなる傾向があり、住宅ローンの担保として認められないケースがあるのです。
住宅ローンが利用できなければ、買い手は現金一括での購入を強いられます。現金で不動産を購入できる人は少ないため、買い手が袋地の購入を断念してしまうケースも考えられます。
災害などの非常時に対応が遅くなりやすい
袋地は道路と接していないため、緊急車両の出入りができません。そのため、災害などの非常時があった時の対応が遅れやすくなるのも袋地が売れづらい理由の1つです。
たとえば、急病人が出たとしても救急車が袋地に入れず、処置が遅れてしまう可能性があります。また、火災が起きた場合も消防車が入れないため、消火活動や救助が遅れてしまうリスクがあるのです。
他人の敷地の出入りが必要になる
先に説明した通り、袋地の所有者には囲繞地通行権が認められています。
囲繞地通行権は拒否できないため、囲繞地の所有者からすると「袋地所有者の通行を強制的に認めさせられる」のと同じです。
法律とはいえ、敷地内を通行されることを快く思わない人も多くいます。実際に、防犯の観点から「隣人であっても敷地内を通行されたくない」と考える人は多いため、囲繞地の需要は少なくなります。
袋地の場合は囲繞地の所有者に通行料の支払いを求められる可能性がある
前述したように、袋地の所有者には囲繞地通行権があるため、公道に出る際には囲繞地の通行が可能です。
単純に「出入りのたびに他人の所有地を通行するのに抵抗がある」と感じられてしまうことも袋地が売れづらい理由にもなりますが、原則として通行料の支払いが必要になることも買い手がつきづらい原因の1つです。
第二百十二条 第二百十条の規定による通行権を有する者は、その通行する他の土地の損害に対して償金を支払わなければならない。ただし、通路の開設のために生じた損害に対するものを除き、一年ごとにその償金を支払うことができる。
引用元 e-Gov「民法」
通行料の具体的な金額については法律で定められておらず、袋地と囲繞地の所有者で話し合って決定され、1年ごとに支払うのが一般的です。
通常の土地であれば通行料の支払いが不要であるため、年間の出費がかさむことも袋地が売れづらい原因となります。
空き巣などの被害に遭いやすい
袋地は囲繞地に囲まれているため、通常の土地よりも死角が発生しやすいです。そのため、空き巣などの被害に遭うリスクが高いといえます。
とくに、背の高い木や塀に囲まれている場合は空き巣被害のリスクが高まるため、セキュリティの観点から袋地は購入を敬遠されやすいです。
給排水管を補修・修繕する際には隣地所有者の許可が必要になる
袋地に建物が建っている場合、給排水管は隣地に埋設されています。
水管でトラブルが起きた場合、補修や修繕のための工事が必要になりますが、この際には隣地所有者から許可をもらう必要があります。許可が得られるまで工事を開始できません。
また、大掛かりな工事になれば、騒音や振動によって隣地所有者に精神的なストレスを与えてしまう可能性もあります。これによって隣人トラブルに発展してしまうリスクもあることから、袋地は通常の土地よりも売れづらいのです。
建物がある場合はリフォームや解体費用が高額になりやすい
通常の土地であれば、リフォームや解体の際には重機やトラックなどが用いられます。しかし、袋地の場合、重機やトラックが入れないため、資材の搬入などに手間がかかりやすく、工事にかかる時間や費用がかさみやすいです。
不動産を購入する人のなかには、購入後にリフォームや解体を検討している人もいることでしょう。そのような人からすれば、費用や時間がかかりやすい袋地は売れづらいといえます。
袋地や囲繞地は専門の買取業者に売却するのが得策
袋地や囲繞地のような特殊な不動産は、取り扱いを断る不動産会社も少なくありません。ここまでで解説したように仲介では売却が難しいため、再建築不可物件の専門買取業者のように、特殊な物件でも積極的に買い取ってもらえる買取業者に依頼するのが得策です。
再建築不可物件の専門買取業者は、買い取った物件を活用して利益を得るための知識や資金が豊富にあるので、囲繞地・袋地でも高額買取に期待できます。また、専門業者であれば下記のようなメリットもあります。
- 仲介で売れなかった袋地や囲繞地も買取に期待できる
- 仲介よりもスピーディーに買い取ってもらえる
- 基本的には契約不適合責任が免責される
なお、再建築不可物件の専門買取業者を探すには、一括査定が便利です。全国の不動産会社にまとめて査定を依頼できるので、高値で評価してくれる買取業者がすぐに見つかります。
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仲介で売れなかった袋地や囲繞地も買取に期待できる
袋地は通常の土地よりも制限が多いうえに、住宅としての実用性も低くなるのが一般的です。買い手の需要も低いと考えられるため、仲介で袋地を売るのは難しいといえます。
しかし、袋地や囲繞地を専門とする買取業者であれば、仲介で売れなかった物件であっても売却に期待できます。「より確実に売却したい」という場合、袋地や囲繞地を専門とする買取業者を探してみるとよいでしょう。
仲介よりもスピーディーに買い取ってもらえる
仲介の場合、買い手が現れるまで不動産を売却できません。さらに、袋地や囲繞地の場合は通常の土地よりも買い手は現れづらいため、仲介で売れたとしても時間がかかってしまうと考えられます。
一方、専門の買取業者であれば、袋地や囲繞地を活用する方法や高値での転売に関するノウハウがあるため、ほかの業者よりも高値かつ早期で買い取ってもらえることに期待できます。
あくまで目安ですが、仲介の場合6か月〜1年ほど、買取の場合は1週間〜1か月程度かかるのが一般的です。「すぐにでも袋地や囲繞地を売却したい」という場合には、専門の買取業者に依頼することを検討してみてください。
基本的には契約不適合責任が免責される
契約不適合責任とは、売買した土地や建物が契約内容に適さない場合、売り手が負担しなければならない責任のことです。
たとえば、袋地に建物が建っている場合、その物件に雨漏りやシロアリ被害などがあるにもかかわらず、それを隠して売買契約を締結させると、のちに損害賠償や契約の解除が求められるリスクがあります。
しかし、専門の買取業者であれば、「契約不適合責任を一切負わない」という条件で売買契約を成立できるのが一般的です。また、どのような状態であっても、基本的にはそのままの状態で袋地や囲繞地を買い取ってもらえます。
売却後に責任に問われるリスクがなく、そのままの状態で袋地や囲繞地を売却できることも、専門の買取業者に依頼するメリットです。
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袋地や囲繞地は買取業者以外の方法で売却するのは難しい
袋地や囲繞地は、買取業者以外の方法でも売却できる可能性はあります。しかし、いずれもおすすめできない理由があるため、あくまで「他にも方法はある」と把握しておく程度で考えておくのが無難です。
売却方法
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おすすめできない理由
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隣地所有者に買い取ってもらう
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隣地所有者との関係性が良好でなければ相談自体が難しい。また、隣地所有者が必ず了承してくれるとは限らないため。
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接道義務を満たして袋地を再建築可能にする
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隣地を借りたり、等価交換したりすることで接道義務を満たすことは可能。しかし、費用や手間がかかるため、すべての場合におすすめできるとはいえない。
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たとえば、隣地所有者に袋地を買い取ってもらう方法が挙げられます。隣地も売却が難しい囲繞地であるため、袋地を得ることで通常の土地として今後は活用できることから、売却できる可能性はあります。
しかし、購入費用を用意する必要があるうえに、隣地所有者との関係性が良好でなければ相談自体が難しいため、必ず袋地を売却できるとはいえません。
また、袋地であっても接道義務を満たすことで再建築可能にできます。再建築可能になれば通常の土地と同様に活用できるため、仲介での売却にも期待できます。
とはいえ、接道義務を満たすには、隣地の一部を借りたり等価交換したりする必要があり、そのために費用や手間がかかります。また、接道義務を満たしたからといって必ず袋地を売却できるとは限らないことから、おすすめの方法とはいえないのです。
専門の買取業者であれば、そのままの状態で袋地や囲繞地の売却に期待できます。袋地や囲繞地の売却であれば、基本的には専門業者への依頼を優先的に考えておき、可能性があれば他の方法も検討してみるとよいでしょう。
袋地や囲繞地を高値で売却するためのコツ
袋地や囲繞地を売却するのであれば、なるべく高値で売りたいと考えることでしょう。袋地や囲繞地を高値で売却したい場合、下記のコツを実践してみてください。
- 複数の買取業者に査定をしてもらう
- 袋地や囲繞地の買取実績が豊富な買取業者に依頼する
ここからは、袋地や囲繞地を高値で売却するためのコツをそれぞれ解説していきます。
複数の買取業者に査定をしてもらう
袋地や囲繞地を買取業者に買い取ってもらう場合、まず査定を受ける必要があります。
不動産業界における査定とは、土地や建物の買取金額の目安を調べることです。査定方法や買取金額を決定する基準などは買取業者によって異なると考えられるため、複数社に査定を依頼すると各社の査定金額にばらつきが出ると予測されます。
つまり、複数社に査定をしてもらえば最も査定額が高い買取業者を見つけられるため、袋地や囲繞地を高値で売りたい場合、複数の買取業者に査定を依頼することが大切です。
なお、複数の買取業者に査定を依頼する場合、オンラインの一括査定がおすすめです。複数業者にまとめて査定してもらえるので、より高額で買い取ってもらえる買取業者が見つかります。
当サイトから申し込める一括査定では、全国から厳選された優良不動産会社に査定を依頼できるので、ぜひご活用ください。
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袋地や囲繞地の買取実績が豊富な買取業者に依頼する
買取業者ごとで得意としている物件種類が異なります。得意な物件種類であれば、ノウハウから高値かつ早期で袋地や囲繞地を売却できる可能性があります。
買取業者がどの物件種類を得意としているかは、買取実績からも判断が可能です。袋地や囲繞地の買取実績が豊富であれば、ノウハウがあると判断できるためです。
買取実績は基本的に公式サイトから確認できます。袋地や囲繞地を買取業者に買い取ってもらう場合、複数の業者の買取実績を公式サイトから確認しておくとよいでしょう。
袋地を売却せずに有効活用する方法
「予想よりも売却金額が低かった」などの場合、袋地を売却せずに所有することを検討する人もいることでしょう。また、「そもそも売却できなかった」というケースもあるかもしれません。
その場合、袋地を売却せずに有効活用することも検討してみてください。
- トランクルームとして活用する
- オートバイの専用駐輪場として貸し出す
ここからは、袋地を売却せずに有効活用する方法をそれぞれ解説していきます。
トランクルームとして活用する
袋地を所有しているなら、トランクルームを設置して貸し出すことも検討してみてください。トランクルームは、土地の形状に左右されず運用できます。
「場所は取るけど頻繁には使わないものを保管する」「製造業者が材料の一時保管場所として利用する」など、さまざまな利用者がいるでしょう。
また、トランクルームとして運用している土地は、他の用途にも転用しやすいというメリットがあります。
オートバイの専用駐輪場として貸し出す
袋地を売却せずに、オートバイ専用の駐輪場として活用することも検討してみてください。
通行地役権によって、囲繞地に購入できる通路の幅は「2m程度」が限度です。通路の幅が2mでは、車の駐車場としては利用しにくいといえます。一方、バイクであれば2m程度の通路幅でも十分に通行可能です。
また、都会では「大型バイクを駐輪できるスペースがないこと」が悩みとなっています。袋地のあるエリアによっては、十分な収益が見込めるでしょう。
まとめ
袋地や囲繞地の場合、仲介では買い手がつきづらいですが、専門の買取業者に依頼することで早期での買取に期待できます。
また、すべての人におすすめできるわけではありませんが、「再建築可能にして売却する」「隣地所有者に買い取ってもらう」という方法でも、袋地や囲繞地を売却できる可能性はあります。
袋地や囲繞地の売却を検討している場合、基本的には専門業者への依頼を優先しつつ、売却の見込みがあれば他の方法も検討してみるのがよいでしょう。
なお、袋地や囲繞地を売却せずに活用する方法もあります。「希望金額よりも査定額が安かった」「そもそも売却できなかった」といった場合、袋地や囲繞地を売却せずに活用することも視野に入れてみてください。
囲繞地・袋地のよくある質問
袋地や囲繞地の売却相場はどれくらいですか?
実際の金額は土地の条件によってことなりますが、一般的には通常の土地の3割程度と言われています。
どうすれば囲繞地・袋地を高く売却できますか?
囲繞地・袋地を高値で売却するには「再建築不可物件専門の買取業者への売却する」ことを検討しましょう。場合によっては数日での現金化も可能です。→
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袋地から公道に出るには、どうすればよいですか?
囲繞地通行権を行使したり、通行地役権を設定することで袋地から公道へ出ることが可能です。
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