液状化とは?
「液状化」とは、本来固いはずの地盤がやわらかい沼のようになってしまう現象です。
土が固体ではなく液体のようになることから、液状化と呼ばれます。
まずは、なぜ土地が液状化するのか、そして液状化した土地では何が起きるのかを確認していきましょう。
液状化が起こるメカニズム
地震によって地盤に振動が加わると、液状化が起こることがあります。
ただし、どんな地盤でも液状化するわけではなく、液状化が起こるのは地下水位が高く、砂質土がゆるく堆積している地盤です。
砂質土が完全に水に浸かっている地盤では、砂や土と地下水が密着しあった状態になっています。
しかし、地盤に地震の揺れが加わると、密着していた砂の粒子がバラバラになって水に浮き、揺れがおさまった際に水と砂が分離してしまうのです。
液状化でもたらされる被害
液状化の代表的な被害は、地盤沈下です。
地盤沈下とは、地面が徐々に沈んでしまう現象で、地面に亀裂が発生したり、地面から泥水が噴き出すこともあります。
液状化が起きると、水より比重の重い建物は沈む一方、水より比重が軽い地中の水道管などは逆に浮き上がります。
液状化で建物に被害が出た場合には?
液状化により建物が傾いた場合、そのまま住み続けることは困難です。
たとえ少しの傾きでも、住んでいる人に健康被害が及び、平衡感覚が失われたり、頭痛やめまいが発生してしまいます。
液状化で傾いた建物に住み続ける場合、修復工事やリフォームが欠かさずおこないましょう。
液状化が起こりやすい場所
液状化の恐れがあるのは、川に運ばれた土砂が堆積している土地です。
具体的にいうと、海岸や川沿い、過去に河川や池だった土地や臨海部の埋立地などが液状化しやすい土地です。
2011年3月の東日本大震災のとき、千葉県浦安市の東京ディズニーランド付近では道路の至るところで泥水が噴き出す被害がありました。
ディズニーランド付近のように比較的新しい埋立地は、液状化の被害が顕著ですが、内陸部で液状化が起きるケースも皆無ではありません。
2018年9月に発生した北海道胆振東部地震でも、内陸部である札幌市清田区で大規模な液状化被害が起きています。
液状化リスクへの対策
液状化により建物へ被害が生じると、多額の費用をかけて修繕工事しなければなりません。
工事費用などの経済的負担を抑えるためにも、住んでいる土地に液状化のリスクがあるなら、地震保険に加入した方がよいでしょう。
建物建築前であれば、地盤改良工事を施して、液状化に備えることも有効です。
地盤改良工事には、以下のような方法があります。
- 建物が接地する部分に固化材を入れる
- 建物が接地する部分を深く掘削して柱状の固化材で支える
- 建物を設置する箇所に鋼管を埋め込んで支える
土地の購入前には地盤調査を実施して、液状化リスクを調べておきましょう。
液状化の可能性の低い土地を購入すれば、建物が被害を受けるリスクも避けられます。
液状化が起こりうるエリアを調べる方法
液状化のリスクについては、自分で調べることも可能です。
インターネットを使えば、液状化に関する情報を今すぐ無料で入手できます。
液状化が起こりやすいエリアは、次のような方法で確認できます。
- ハザードマップを探す
- 地図・航空写真を確認
- 地盤情報サービスを利用
- 地名の由来を調べる
- 専門家に地盤調査を依頼する
それぞれの方法を1つずつ解説していきます。
ハザードマップを探す
自治体の中には、防災用のハザードマップを作っているところがあります。
ハザードマップとは、河川の氾濫による洪水、津波、液状化などの被害を予測して表示した地図で、自治体のホームページなどで確認できます。
例えば、東京都では「液状化予測図」として液状化予測のハザードマップをホームページで公開しています。
「液状化予測図」では「液状化の可能性が高い地域」「液状化がある地域」「液状化の可能性が低い地域」が色分けして確認可能です。
参照:東京都建設局|東京の液状化予測図 平成24年度改訂版
地図・航空写真を確認
土地が埋立地かどうかは、過去の地図や航空写真(空中写真)と比較するとわかります。
過去の地図や空中写真は、国土地理院の「地図・空中写真閲覧サービス」で閲覧可能です。
また、図書館で航空写真の掲載された写真集を閲覧できる場合もあります。
参照:国土地理院|地図・空中写真閲覧サービス
地盤情報サービスを利用
インターネット上には、特定のエリアの地盤情報や自然災害のリスクについて調べられるサービスがあります。
例えば、ジャパンホームシールド社が提供している「地盤サポートマップ」では、住所を入力すると地盤の強さをすぐに調べられます。
参照:地盤サポートマップ
地名の由来を調べる
地名の由来を調べると、その土地がどのように形成されたかがわかります。
例えば「河」「川」「洲」「池」「岸」「浜」など、水に関係する地名がついている場所は軟弱地盤である可能性があります。
専門家に地盤調査を依頼する
もっとも確実に液状化の危険性がある土地を調べる方法は、専門家に地盤調査を依頼することです。
地盤調査の方法には、スウェーデン式サウンディング試験(スウェーデン式試験・SWS試験)、スクリュードライバーサウンディング(SDS試験)、ボーリング調査(標準貫入試験)、表面波探査法といった種類があります。
地盤調査にかかる費用は調査方法によって異なりますが、比較的安価なスウェーデン式サウンディング試験でも、10万円前後はかかります。
液状化現象を起こした土地の価格相場
既に液状化した土地は地盤改良工事が必要になるので、売却価格は下がるケースが多いです。
同様に液状化リスクがある土地も、一般的な土地に比べて価格相場は安くなる場合が多いのでしょうか。
液状化前なら土地の価格は下がりにくい
液状化のリスクがあるだけなら、土地の売却価格は必ずしも下がるとは限りません。
土地の鑑定価格には災害時のリスクも織り込まれているため、相場どおりの価格で売却できる可能性があります。
不動産の重要事項について売主から買主へ告知する義務がありますが、地盤の強度や液状化のリスクは重要事項には含まれていません。
売却前に地盤調査する必要もないので、通常の土地と同様に売却できますが、液状化リスクがある土地は地盤改良工事を施しておいた方が安心です。
ただし、地盤改良工事の費用は基本的に買主が負担するため注意しましょう。
既に液状化している土地の価格は相場の50〜70%
既に土地が液状化している場合、その土地には明らかな瑕疵があります。
液状化した土地に建物を建てるには地盤改良工事が必要になるため、買主は工事費用を負担しなければなりません。
ですので、液状化した土地の売却価格は下がることが多く、相場の50~70%程度まで安くなるケースもあります。
また、土地の瑕疵は不動産の重要事項なので、土地の液状化について売主から買主へ告知しなければなりません。
液状化の土地を売却する前に確認しておく3つのこと
液状化のリスクがある土地や家を売却するときには、次の3点に注意しましょう。
- 売主に契約不適合責任が生じることもある
- 液状化リスクが隠れた瑕疵になる恐れがある
- 液状化を隠して売却したらトラブルになる
それぞれの注意点を1つずつ解説していきます。
1.売主に契約不適合責任が生じることもある
売買契約の時点で液状化リスクが明らかでなくても、購入した後に土地が液状化した場合、売主は買主から責任追及されることがあります。
不動産売買で物件に「隠れた瑕疵」があった場合、売主が契約不適合責任を負わなければなりません。
ですので、液状化のリスクが「隠れた瑕疵」に該当すれば、買主から契約解除されたり、損害賠償を請求される恐れもあります。
液状化のリスクがある土地は、相場どおりの価格で売却できても、売却後に損害賠償を請求される恐れがあるため注意しましょう。
2.液状化リスクが隠れた瑕疵になる恐れがある
液状化のリスクがある土地を売却した場合、売主に契約不適合責任が生じる恐れがあります。
例えば、極端に大きな地震で地盤沈下が生じた場合は「隠れた瑕疵」ではなく、不可抗力といえます。
一方、小さな地震なのに地盤沈下が生じた場合には、土地自体に瑕疵があったと考えられるでしょう。
なお、土地が軟弱地盤で液状化のリスクがあると買主が最初から知っていた場合は「隠れた瑕疵」とはいえないので、売主に契約不適合責任は生じません。
3.液状化を隠して売却したらトラブルになる
液状化の事実を隠して買主に土地を売却した場合、買主から契約不適合責任を追及され、契約解除または損害賠償請求される恐れがあります。
もし瑕疵担保請求の期間が過ぎていても、買主は告知義務違反という不法行為を理由に、損害賠償請求ができるので、売主は責任から逃れられません。
液状化・地盤沈下の土地を少しでも高値で売却する4つのコツ
液状化した土地や家を相場どおりの価格で売却するのは困難です。
しかし、売却のポイントを押さえておけば、液状化した土地でも相場に近い価格で売却できます。
液状化・地盤沈下の土地を高値で売却するコツを知っておきましょう。
1.地盤を改良して売却
液状化した土地は、地盤改良工事をすることで、建物を建てられるようになります。
土地の地盤改良工事を行ってから売却すれば、相場に近い価格で売却できる可能性は高いです。
ただし、地盤改良工事には費用もかかるため、売却による利益を大きくするには、地盤改良工事の費用をできるだけ抑えるべきでしょう。
2.複数の会社に依頼する
査定額は不動産業者によって違うため、1社だけ査定を受けても、その金額が高いのか安いのか判断できません。
液状化した土地を売却したい場合、複数の不動産業者に見積もりしてもらえば、売却価格の相場がわかります。
その結果、もっとも高額査定してくれる会社へ依頼すれば、高く売却できる可能性も高いです。
3.最初は高値で売り出す
問題のある土地を売り出す場合、最初は高めの価格で売り出してから、後で値引きするテクニックがあります。
「この土地は液状化しているので安くします」といわれると、買主も値引きの理由として十分納得ができます。
高い価格設定から徐々に値下げしていけば、お得感も増すことになり、液状化した土地でも購入してもらいやすいです。
4.「訳あり物件専門の買取業者」に売却する
液状化した土地は、不動産業者に買取してもらうのがおすすめです。
一般的な仲介業者で売却する場合、液状化した土地は買主が見つからずに売れ残ってしまうケースも少なくありません。
しかし「訳あり物件専門の買取業者」であれば、液状化した土地や液状化のリスクがある土地でも積極的に買取しています。
以下のボタンから「訳あり物件専門の買取業者」に無料相談がおこなえるので、気軽に買取価格や条件などを確認してみるとよいでしょう。
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地盤改良工事をすれば液状化することはない?
液状化による建物被害のリスク防止や液状化によるダメージ回復のためには、地盤改良工事が有効です。
しかし、地盤改良工事をしても、それで完璧というわけではありません。
再び土地が液状化してしまうリスクも考慮しておきましょう。
地盤工事をしても液状化する可能性はある
液状化対策の地盤工事には、固化材を入れる方法や、地面に鋼管を埋め込む方法などがあります。
しかし、どの方法をとっても、その後絶対に液状化が行らないというわけではありません。
地盤工事の工法には、それぞれメリット・デメリットがあるため、より確実に液状化を防ぐには、複数の方法を組み合わせるのが有効です。
液状化を繰り返す土地も存在するため注意
地震により一度液状化が起こると「土が圧縮されるから液状化は再発しにくい」といわれることがあります。
しかし、一度液状化が発生しても、それだけで十分地盤が固まるとは限りません。
実際に、液状化がくり返し起こっている例も多いため、液状化のリスクがゼロになることはないでしょう。
同様に地震が起こる可能性もゼロにはならないので、土地の液状化対策については常に考えておく必要があります。
まとめ
液状化した土地は、相場の50〜70%程度でしか売却できない恐れがあります。
液状化した土地は地盤改良工事が必要なので、売却価格が下がるケースが多く、買主から損害賠償請求を受ける恐れもあるため注意しましょう。
売主自身で地盤改良工事を実施すれば、液状化した土地でも売却できますが、工事費用によっては赤字になるリスクもあります。
そのため、液状化した土地・液状化のリスクがある土地を売る場合、そのままスムーズに買取してくれる「訳あり物件専門の買取業者」に売却するのがおすすめです。
液状化した土地のよくある質問
液状化した土地でも売却できますか?
液状化が起きる前の土地であれば、売却できる可能性は高いです。しかし、既に液状化している土地は「訳あり物件専門の買取業者」でないと売却はむずかしいです。
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どうして土地の液状化は起きるのですか?
地震によって地盤が緩むことで、土地が液状化してしまいます。また、土地が液状化すると、建物が倒壊・破損したり、地盤沈下といった二次被害も起こります。
どうすれば液状化が起こりうるエリアを調べられますか?
ハザードマップ・地図・航空写真を確認したり、地盤情報サービスを利用することで調べられます。より確実に知りたい場合は専門家に地盤調査を依頼しましょう。
液状化現象を起こした土地の価格相場はどうなりますか?
液状化前なら土地の価格は下がりにくいですが、既に液状化している土地は売却価格が下がってしまいます。
どうすれば、液状化・地盤沈下した土地を高額売却できますか?
地盤を改良したり、複数の会社に依頼する、最初は高値で売り出すといった方法もありますが「訳あり物件専門の買取業者」に買取してもらうのが確実でしょう。
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