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事故物件の売却価格相場は?定義や買取需要を紹介

事故物件の売却価格相場は?定義や買取需要を紹介

事故物件とは、心理的抵抗や嫌悪感の大きさから借主・貸主が「その事実を知っていれば売買や賃借契約をしなかった」という、心理的瑕疵のある不動産です。

明確な法的定義は存在しないものの、「他殺・自殺といった自然死以外の死亡」「自然死してから長時間経過し特殊清掃が必要な死亡」「火事といった災害発生」などの事実が存在する不動産は、事故物件だと言われます。一般的には、人の死があったか否かが事故物件の判断基準として多く見られます。

事故物件は、第三者への売却が可能です。しかし事故物件の売却価格相場は同じ状態・性能の物件と比較すると、10~50%低下するのが一般的です。一方で事故物件でも気にしない人や、あえて事故物件を選んで入居する人などもいるので、相場価格はあくまで目安として捉えておいてください。

相場の下げ幅は、「自然死かそうでないか」「遺体発見から時間が経過しているか」によって変わるのが原則です。加えて、不動産の元々の価値、物件の状態、売却タイミングなどの要素が絡まって、売却価格は上下します。

とはいえ売却価格の最終判断は売主と買主の合意で決定するため、売却先の選定、実際の買取事例の確認、修繕・清掃や時間経過などの対応など、売主側の対応によっては事故物件でもスムーズに売却できる可能性があります。

もし事故物件の売却を検討しているなら、事故物件を含めた訳あり物件専門の買取業者である弊社「クランピーリアルエステート」へぜひご相談ください。重大な精神的瑕疵がある事故物件でも、適切に査定して高額買取いたします。

本記事では、事故物件の売却価格相場の考え方、事故物件の買手の有無、事故物件の売却価格を左右する要素、事故物件の売却相場を知る方法、売却するときのポイントなどを解説します。

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事故物件の売却価格相場|通常より10~50%ダウンする

事故物件の売却価格相場は、同じ条件の通常の物件よりも10~50%程度低下するのが一般的です。事故物件は心理的瑕疵の大きさが原因で、一般的な買手からの需要が低いからです。

相場の下げ幅は、事故物件になった理由によって変動します。理由別の売却価格相場の下げ幅は次の通りです。

事故物件となった理由 下げ幅
孤独死 10~20%
自殺 30~50%
殺人 50%

上記の数値はあくまで目安です。実際の売却価格は、物件の築年数、住環境、立地などの要素にも影響されます。立地や利便性がよいといったポジティブ要因と、築年数が浅いといった物件自体に高い魅力があるときは、事故物件でもそれほど売却価格が下がらないケースがあります。

では、実際のところ事故物件を購入する際に買手はいくらまで出せるのでしょうか。クランピーリアルエステートでは1,000人(男性394人、女性606人)に対し、「事故物件を持ち家として買うならいくらまで出せますか?」についてアンケート調査を実施しました。

事故物件に出せる金額 全体 男性 女性
50万円未満 39.9% 27.9% 47.7%
50~100万円 15.2% 14.2% 15.8%
100~500万円 19.4% 24.6% 16%
500~1,000万円 11.6% 15% 9.4%
1,000~2,000万円 6.1% 7.4% 5.3%
2,000~3,000万円 3.4% 4.3% 2.8%
3,000~4,000万円 2.3% 3.3% 1.7%
4,000~5,000万円 1.2% 2% 0.7%
5,000~6,000万円 0.1% 0.3%
6,000~7,000万円 0.3% 0.5% 0.2%
7,000万円以上 0.5% 0.5% 0.5%

「1,000万円以下なら購入できる」と答えたのが86.1%と、回答者のほとんどを占めています。とくに女性は50万円未満なら出せると答えたのが47.7%となっており、事故物件への心理的抵抗は女性の方がやや大きいという結果が出ています。

その一方で1,000万円超えの事故物件でも購入すると答えた人も存在していることから、事故物件であってもまったく需要がないとは言い切れません。

以下では、事故物件になった理由別の売却価格相場について解説します。

孤独死:通常の物件の査定額より10~20%下がる

事故物件となった原因が孤独死の場合だと、同じ条件の通常の物件と比較して売却価格相場は10~20%低下します。通常の物件で2,000万円なら、1,600万〜1,800万円程度になるイメージです。

孤独死は、自宅で人が亡くなるケースとして珍しい死因ではありません。一般社団法人日本少額短期保険協会「第9回孤独死現状レポート」によると、孤独死で亡くなる人の死因で病死が全体の62%です。病死はいわゆる自然死で事件性はなく、過去には「自然死は心理的瑕疵に該当するとは言えない」との裁判例も存在することから、ほかの死因と比較して心理的抵抗や嫌悪感が少ないと判断されやすい傾向があります。

国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」でも、病死や老衰などの自然死および日常生活での不慮の死などなら、原則として売買契約・賃貸契約のいずれでもその事実を告知しなくてよいとも記載があります。

事件性のない孤独死が死因なら、部屋のなかで亡くなっていたとしても売却価格相場は10%程度の低下に抑えられるでしょう。

一方で孤独死でも、遺体発見から時間が経過しているケースだと話は別です。孤独死の場合は遺体発見が遅れるケースが多く、遅れたときは発見時に遺体の腐敗が進んでいます。遺体の腐敗が進んでいると異臭、害虫、細菌、シミなどが発生し、特殊清掃をしないとそれらを除去できません。

特殊清掃で匂いや汚れを除去したとしても、「特殊清掃するほど遺体が放置された部屋に住みたくない」と買手側の心理的抵抗・嫌悪感を与えてしまいます。

そのため、遺体発見が遅れた孤独死があった物件の売却価格相場は20%、ときには30%以上低下するのが一般的です。また売却価格を下げて売り出しても、心理的ハードルの高さから一般の人への売却は相当難しくなるでしょう。

もし特殊清掃が必要なレベルの孤独死があった部屋は、一般の人よりも不動産買取業者といった業者への売却がおすすめです。事故物件も取り扱う不動産買取業者なら、特殊清掃が必要な物件でも適正に査定して買い取ってくれます。

参考:一般社団法人日本少額短期保険協会「第9回孤独死現状レポート
参考:国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン

​​自殺:通常の物件の査定額より30~50%下がる

事故物件となった理由が入居者の自殺だった場合、同じ条件の通常の物件と比較して売却価格相場は30~50%低下します。通常の物件で2,000万円なら、1,000万~1,400万円程度になるイメージです。

自殺によって事故物件となったときは、「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」でも相手への告知が必要であると記載されるほど、買手の心理的抵抗・嫌悪感が高くなると判断できます。そのため、孤独死よりも売却価格相場が下がる傾向にあるのが一般的です。

体の欠損や血痕の飛散などが発生する自殺だと部屋の汚染範囲が広がることから、価格低下の割合も大きくなる可能性があります。

「入居者の自殺なんて滅多に起こらないから問題ない」と思われるかもしれませんが、「第9回孤独死現状レポート」によると、孤独死のうち9.2%が自殺で約1割を占めるなど決して低い数値ではないことがわかります。自殺は高齢者だけでなく20~40代の若い世代でも発生する可能性があるため、発生の予測が難しいというリスクも忘れてはなりません。

もし自殺が発生した事故物件の売却を検討している場合も、孤独死のときと同じく不動産買取業者への売却がおすすめです。事故物件の買取実績があるところなら、汚染の範囲が広い自殺があった物件でも問題なく買い取ってくれるでしょう。

殺人:通常の物件の査定額より50%ほど下がる

事故物件となった原因が殺人の場合だと、同じ条件の通常の物件と比較して売却価格相場は50%程度低下と非常に大きく下がります。通常の物件で2,000万円なら、1,000万以下になるイメージです。

事故物件の原因が殺人だと売却価格相場が大きく低下する理由は、主に次の通りです。

  • 孤独死・自殺よりも買手側の心理的抵抗・嫌悪感が大きいから
  • 殺人はニュースになりやすく周辺の住人にその事実が知られているケースが多いから
  • 事件の記憶が風化しにくく時間が経過しても悪影響が払拭しづらいから

上記の通り、殺人が原因の事故物件は、売却のハードルが一気に上がってしまうのが現実です。事故物件の所有者にとって、「早く手放したいのになかなか手放せない」というジレンマを抱えやすくなる不動産だと言えます。

殺人が発生した事故物件こそ、孤独死や自殺が発生した事故物件よりも不動産買取業者への売却を検討すべき不動産です。一般の人からの需要がほぼ見込めない事故物件でも、不動産買取業者なら買い取ってくれる可能性が高くなります。たとえば弊社「クランピーリアルエステート」なら、事故物件を含めた数々の訳あり物件の買取実績があります。

事故物件に買手はいるのか|価格によっては需要あり

一般的に買手側の需要が低いとされる事故物件ですが、価格によっては一般の人へも売却できる可能性があります。「安く購入できるからお得」「事故物件でもあまり気にならない」という人が、少ないながらも一定数存在しているからです。

クランピーリアルエステートが1,000人に実施した「事故物件に住むのに抵抗はありますか?」についてアンケートでは、「抵抗がない」「あまり抵抗がない」と回答した人が14.6%、とくに男性の心理的抵抗が低めという結果が出ています。

心理的抵抗のレベル 全体 男性 女性
あまり抵抗がない 11% 18.3% 6.3%
抵抗がない 3.6% 7.1% 1.3%
やや抵抗がある 25.5% 28.9% 23.3%
抵抗がある 59.9% 45.7% 69.1%

以下では、「抵抗がない」「あまり抵抗がない」と回答した人の意見を紹介します。

  • 事故物件であるという事実より、その物件がスペックや価格面で魅力を感じることができるかどうかを重視しているため。(男性)
  • 霊感がまったくないというか、幽霊などを信じていないのでとくに事故物件でも抵抗はありません。(男性)
  • 前の住人がどのような人か、どんな事故が起こったかについて興味がないから。(男性)
  • 大抵の建物で、人は亡くなっていると思うからです。なので事故物件であろうと住むことに抵抗感や嫌悪感などはありません。(女性)
  • 入居に際して大きくリフォームがされていると思うので、痕跡さえ見当たらなければ平気かと思う。(女性)
  • ちゃんと清掃されており家賃が安いなら、心霊現象などを信じていないし、かなりお得に感じるから。(女性)

とはいえ、事故物件に住むのに抵抗を感じる人が多いのも事実です。アンケート調査でも8割強の人が「抵抗がある」「やや抵抗がある」と回答しています。抵抗ありと回答した人の意見は次の通りです。

  • 自分は霊感などはもともとなく、幽霊も見たことがないのだが、過去になにか起きた場所というのはやはりすこし恐ろしく感じるので夜眠れないと思うから。(男性)
  • 縁起がよくない。自分に災いがふりかかってきそう。また、リラックスできない可能性がある。(男性)
  • 孤独死などならいいが、殺人事件や自殺の現場で幽霊がでるなどのうわさがあるようなところだと、落ち着いて住めない気がする(男性)
  • そういうところに住んで、良い話を聞いたことがないから、自ら分かっていて選ぶことはないと思う。(女性)
  • メンタルが弱いので精神面の方に大きな悪影響が出るため。最悪死にも繋がりかねないため。(女性)
  • 私が以前家を借りた所が周りがお墓だらけだったことがあるのですが、コップが勝手に動いたり、窓から手がバンってされるなど怪奇現象が多々起こったので、事故物件にもそのような怪奇現象が起こったら怖いからです。(女性)

あくまで「価格によっては需要がある」が正確な表現であり、「事故物件でも需要があるから絶対に売れる」は誤りだと認識しておきましょう。

事故物件の売却価格を左右する要素

事故物件の売却価格は、事故物件の特性や買手側の需要などによって最終的に判断されます。事故物件の売却価格を左右する要素として、主に次のものが挙げられます。

  • 不動産の元々の価値
  • 事故の内容
  • 物件の状態
  • 売却のタイミング
  • 事故物件の売却先

以下では、事故物件の売却価格を左右する要素について、詳細とクランピーリアルエステートが実施した口コミなどを紹介します。

不動産の元々の価値

事故物件そのものの不動産価値は、売却価格を大きく左右する要因になります。不動産価値の高い物件なら、事故物件でも買手からの需要が発生しやすいからです。もし事故内容が軽いものだと、価格が大きく下がらない可能性があります。

不動産価値を左右する要因は、主に以下の通りです。

  • 「駅近物件」「周辺に行政機関や商業施設」「学校や病院の近く」などの利便性
  • 土地の面積、土地の形状、間口の広さ、建物の間取りなど不動産の広さ・形
  • 建物の築年数やデザイン性
  • 不動産に附属する設備の性能・種類
  • 地勢・地盤や耐震性などの防災性

事故物件であろうと、「ここに住みたい!」「リノベーションすれば賃貸物件として活用できる」と思わせられる魅力があるなら、事故物件でも売却価格が高くなるでしょう。とはいえ、通常の物件と同じ相場での売却は原則として困難であると認識しておいてください。

金融機関の住宅ローンでも事故物件の担保価格は低めに見積もられることが多く、住宅ローンを組めづらい買手側からすると購入に二の足を踏むケースも想定されます。

<不動産の元々の価値に関する口コミ>

  • 居住性・機能性には変わりがないから。(男性)
  • 現在住んでいる公営住宅は2021年に入居、高齢の方が亡くなり5年空いていた事故物件ですが随時募集だったので入居。訳ありでも家賃が安く高崎駅に近く便利な所なのでまずまずと思うから。(女性)

事故の内容

事故物件の売却価格相場|通常より10~50%ダウンするでも解説した通り、事故物件は元々の不動産価値に加えて、事故の内容も売却価格を左右します。孤独死なら10〜20%、自殺なら30〜50%、殺人なら50%ダウンする傾向があります。

たとえば不動産価値が5,000万円が事故物件になった場合、事件性がなく早期発見された孤独死なら10%低下の4,500万円、殺人なら2,500万円と、同じ物件でも約2,000万円の売却価格の差が出る可能性もあるでしょう。

また「自殺・殺人の死因や背景への嫌悪感が強い」といった、買手が抵抗を感じやすい事故・事件の内容ほど減額幅は大きくなります。凄惨な殺人事件で亡くなっている場合だと、50%を大きく超える割合で減額されることも珍しくありません。

<事故の内容に関する口コミ>

  • 事故物件の中で、殺人、自殺などの場合は、人の想いが強く残っていそうでかなり抵抗がある。ただ、自然死については、そんなに抵抗はない。(女性)
  • 事故物件といっても自殺・殺人だけでなく病死などもあるので、どのような状況で亡くなったのかによっても変わります。(男性)

物件の状態

事故・事件の内容や遺体発見のタイミングによっては、死亡者の血液・体液・汚物が床・壁などに付着してしまい、シミや匂いとして染み付いているケースも珍しくありません。シミや臭い、そのほか事件・事故や遺体の痕跡がどの程度残っているかによって、事故物件の売却価格は左右されます。残っている痕跡が大きいほど、売却価格は低くなるでしょう。

事件・事故や遺体に関する痕跡は、特殊清掃によって除去します。遺体関係の死臭・腐敗臭の除去や細菌の消毒などは、素人による通常の清掃ではまず落ちないからです。死臭・腐敗臭は、生ゴミ・腐ったチーズよりも遥かに強烈な臭いであり、臭いの代表格であるクサヤの何十倍とも言われています。

そのため、事故物件を売却する際は必ず特殊清掃をおこなうようにしましょう。ただし、買取業者への売却の場合は、特殊清掃を買取業者側が対応してくれる可能性があります。

<物件の状態に関する口コミ>

  • 事故の痕跡などが残っていたりすると抵抗がある。(女性)
  • どのような状態まで改装されているかわからないから。(男性)

売却のタイミング

不動産の売却価格は、その時々の経済状況やトレンドなどによっても左右されます。同じ地域にある同じ条件の不動産であっても、売却のタイミングによっては平均的な相場よりも高額で売れたり、反対に査定額が芳しくなかったりなども考えられます。

事故物件自体の相場は最初から低めになるものの、価格相場が高いタイミングで売却できれば少しでも高く売却できる可能性が出てきます。

不動産価値を左右する、経済やそのほか外部的な要因は主に次の通りです。

  • 不動産が所在する地域の知名度や人気の度合い
  • 金融緩和といった経済成長の内容(低金利だと住宅ローンが組みやすくなって需要が上がるなど)
  • 自治体ごとで導入される各種支援制度

売却タイミングを見極めるには、過去の取引相場を調べたり複数の専門家の査定を受けたりなどをして、事故物件の現在の価値がどのレベルにあるのかを確認するのがよいでしょう。

事故物件の売却先

事故物件の売却先がどこになるかによっても、売却価格は大きく変動します。たとえば事故物件は不動産会社などの業者を利用して売却するのが一般的ですが、売却価格は依頼先となる不動産会社の種類や方針に影響を受けます。

業者を利用して売却する際に、売却価格を左右する要素は次の通りです。

  • 売却先が「仲介業者」か「買取業者」か
  • 事故物件の取引に関する専門知識や取引実績を持っているのか
  • 事故物件の所在地における不動産売買に関する実績が存在するのか
  • 事故物件の査定額の算出方法は何を採用しているか

同じ事故物件の査定を複数の業者に依頼した場合、業者ごとで査定額が大きく変わることも珍しくありません。そのため、事故物件の売却先をどこにするかは非常に重要なポイントになります。

<事故物件の売却関係の口コミ>

  • 事故内容をしっかり教えてもらえるのと家賃、売値と関係が見合うかどうかで判断します。(男性)
  • やっぱり怖いと感じると思う。その怖さと金額の安さを天秤にかけた時に安さが買った時住めると思う。(男性)

以下では、事故物件の売却時に利用することが多い、「仲介業者」と「買取業者」の違いについて見ていきましょう。

仲介業者を活用して第三者に売却する場合

仲介業者とは、不動産を売りたい人と買いたい人を仲介し、販売活動、売買契約の締結、物件の引き渡しなどの一連の流れをサポートする不動産会社です。売買契約が締結したら、仲介業者への仲介手数料支払いが発生します。

一般の人が不動産を売却するときには、仲介業者を利用するのが一般的です。

仲介による事故物件の売却の対応も、一般的な不動産を売るときと変わりません。「事故物件の査定」「仲介業者との媒介契約」「広告掲載や内覧対応などの販売活動」「買手との価格交渉・売買契約締結」「物件引き渡し」の流れで進んでいきます。仲介による売却は価格が売手と買手の合意によって決まるため、買取業者の査定や一般的な相場よりも高額で売却できる可能性があるのがメリットです。

仲介業者が対応してくれるのは、あくまで販売活動周辺に関する部分です。事故物件を仲介業者を利用して売るときは、売手側で特殊清掃、リフォーム、ハウスクリーニングに対応する必要があります。また、自分でお祓いなども依頼して物件のマイナスイメージの払拭を狙うとよいでしょう。

仲介で売却する場合は、買手側へ事故物件であることを告げる告知義務が売手側に発生します。事故物件の需要の低さも合わせて考えると、買主探しや売却価格交渉などのハードルが高くなるでしょう。そのため、仲介での事故物件の取り扱いに慣れている不動産会社を選ぶことが重要です。

事故物件買取の専門不動産会社へ直接売却する場合

事故物件の売却先には、業者が事故物件を直接買い取るというビジネスモデルである、買取業者も候補として挙がります。なかでも、事故物件買取に強い買取業者や、事故物件買取の専門不動産会社の利用がおすすめです。

事故物件と取り扱っている買取業者へ売却するメリットは次の通りです。

  • 買手が買取業者になるため買手を探す手間がなく平均1か月で売却できる
  • ほかでは断られて事故物件でも適正に査定して買い取りしてくれる
  • 買取業者が特殊清掃・リフォーム・リノベーション対応をするので自分でしなくてもよい
  • 契約不適合責任が免責されるので売却後のトラブルを回避しやすい
  • 仲介手数料が一切かからない

上記のメリットから、事故物件であってもスムーズに売却しやすいのが買取業者の特徴と言えるでしょう。

ただし、特殊清掃などの対応を買取業者に任せる分が査定に反映され、売却価格が仲介業者を利用したときよりも下がる可能性があります。また、買取業者によって買取価格や対応力に差が出てくるため、相性の悪い買取業者に売却してしまうと買取価格がさらに低くなるかもしれません。

買取業者に売却するときは、複数の買取業者に査定を依頼し、査定額や対応内容を比較検討するのがおすすめです。

事故物件の売却相場を調べる方法

「所有している事故物件の売却相場がいくらなのか知ってから考えたい」という人は、以下3つの方法で事故物件の売却相場を調べることをおすすめします。

  1. 鑑定士に査定を依頼する
  2. 不動産情報ライブラリを確認する
  3. 不動産一括査定サイトを利用する

それぞれの詳細を見ていきましょう。

鑑定士に査定を依頼する

事故物件の売却相場を正確に知りたいときは、不動産鑑定の専門家である不動産鑑定士に依頼しましょう。不動産鑑定士とは、不動産の経済価値を判定する専門家です。難関国家資格である、不動産鑑定士を保有しています。

事故物件に強い不動産鑑定士なら、物件の状態、周辺施設、経済状況などの詳細な部分まで考慮したうえで、事故物件の適正な価格を判断してくれます。不動産会社の査定を受ける前に不動産鑑定士の査定額を聞いておくと、業者から掲示される売却価格が低いかどうかの判断基準になるでしょう。

一般的には不動産鑑定士に依頼せずとも、不動産会社による査定があれば、売買契約において十分に根拠のある査定結果を得られます。しかし事故物件は特殊な不動産であるため、事故物件の取り扱い実績が少ない不動産会社の査定だとそのまま信じるのもリスクがあります。とくに相続や財産分与などが絡むときは、完全な中立的立場である不動産鑑定士の利用が効果的です。

ただし、不動産鑑定士への依頼料は20~30万円以上かかるので注意してください。

不動産情報ライブラリを確認する

不動産情報ライブラリとは、国土交通省が提供する不動産に関するさまざまな情報を提供しているプラットフォームです。2024年4月1日より運用を開始しました。不動産情報ライブラリで確認できる情報は、主に次の通りです。

情報の種類 掲載情報
各種価格 不動産取引価格情報
都道府県地価調査
地価公示
成約価格情報
地形情報 陰影起伏図
土地条件図
大規模盛土造成地マップ
周辺施設情報 保育園・幼稚園
各種学校や校区
図書館
医療機関
福祉施設
自然公園地域
市区町村役場および集会施設等
都市計画情報 都市計画区域
区域区分
用途地域
高度利用地区
防火・準防火地域
地区計画
立地適正化計画
そのほか 国勢調査
将来推計人口
駅別乗降客数

不動産情報ライブラリを利用すれば、所有している事故物件の周辺地域におけるほかの物件販売価格を調べられます。事故物件の元々の不動産価値や周辺の物件の取引情報を確認できるため、売却相場を確認する際の参考になります。

不動産情報ライブラリに加えて、国土交通省指定の不動産流通機構が運営・管理している不動産流通標準情報システム「REINS(レインズ)」なら、実際の成約価格を基に価格を調べられます。一般の人が本システムを閲覧するには、仲介業者と専任媒介契約や専属専任媒介契約を結ぶ必要があります。または、一般の人でも閲覧できる「レインズマーケットインフォメーション」を利用してください。

参考:国土交通省「不動産情報ライブラリ
参考:不動産取引情報提供サイト(マンション・戸建住宅の売買価格・相場・取引事例の情報公開サイト)「レインズマーケットインフォメーション

不動産の一括査定サイトを利用する

不動産の一括査定サイトとは、複数の不動産会社へ一括で査定を依頼できるサイトです。不動産の一括査定サイトを利用した複数見積もりなら、数多くの不動産会社の査定額を比較検討するときに非常に便利です。適正な売却相場をおおまかに確認し、相性のよい不動産会社を見つけるのに役に立つでしょう。

ただし、査定を依頼した不動産会社と査定関係や営業電話のやり取りが発生するため、対応に労力がかかるデメリットがあります。また、不動産の一括査定サイトと提携していない不動産会社の査定には対応していないので注意してください。

事故物件の買取事例から見る相場

「普通の不動産との違いや売却価格の決まりはわかったけど、実際にどれくらいの価格で取引されているのか知りたい」という場合は、実際に事故物件の買取事例を調べてみてください。買取事例を確認すれば、同じような条件の事故物件の相場の検討を付けられます。

以下では、事故物件の買取事例から見る相場について紹介します。

父親が自殺した戸建住宅|買取価格2,850万円

売主の父親が自殺してしまった戸建て住宅を、買取業者に買い取ってもらった事例です。

売却情報 概要
物件の種類 一戸建て
物件が所在するエリア 埼玉県さいたま市
事故・事件の内容 家族(父親)の自殺
同業の買取業者からの依頼
買取金額 2,850万円

埼玉県さいたま市の一戸建ての売却価格相場は2,000万~4,000万円であるため、通常の一戸建ての平均価格帯で売買契約が成立しています。

参考:お困り不動産解決本舗「埼玉県さいたま市 戸建(自殺)

疎遠状態の兄が孤独死した戸建住宅|買取価格1,400万円

しばらく疎遠だった兄が、ゴミ屋敷となった一戸建てのなかで亡くなっていた事故物件の買取事例です。

売却情報 概要
物件の種類 一戸建て
物件が所在するエリア 東京都足立区
事故・事件の内容 孤独死
ゴミ屋敷
特殊清掃やゴミ状態はそのままで相続登記も業者が担当
買取金額 1,400万円

東京都足立区の一戸建ての売却価格相場は約3,900万円と高額ですが、本事例だと特殊清掃、ゴミ屋敷の状態、相続登記などについて対応したうえで1,400万円で買取がおこなわれました。

参考:お困り不動産解決本舗「東京都足立区 戸建(孤独死・ゴミ屋敷)

介護疲れによる殺人がおきた分譲マンション|買取価格1,800万円

介護疲れが原因で、建物内での殺人が発生した事故物件の買取事例です。

売却情報 概要
物件の種類 分譲マンション
物件が所在するエリア 非公開
事故・事件の内容 夫の介護を長年していた妻による殺人
築年数18年
必要のない家財もまとめて引き取り済み
買取金額 1,800万円

殺人が原因の事故物件は50%も値下がりするのが一般的にもかかわらず、1,800万円という高額での売却が成立しています。本事例も事故物件専門の買取業者が家財の引き取りを含めて対応しており、事故物件の買取業者の査定と対応のよさが光った事例だと言えるでしょう。

参考:お困り不動産解決本舗「介護疲れ/殺人

事故物件を売却するときのポイント

事故物件を売却する場合、通常の不動産を売却するときとは異なる注意点が存在します。スムーズに売却を進めるためにも、以下の事故物件を売却するときのポイントを押さえておいてください。

  • 事故物件の扱いに慣れた専門業者に売却する
  • 修繕や清掃をしっかりと行い原状回復をする
  • 買主や不動産会社への告知を必ず行う
  • 更地にするかどうかは慎重に判断する
  • 事故物件になって期間を置いてから売却する

それぞれの詳細を見ていきましょう。

事故物件の扱いに慣れた専門業者に売却する

事故物件の売却は、買取業者のなかでも事故物件の扱いに慣れた専門業者を探して売却するのがおすすめです。前述通り、専門業者であれば特殊清掃を行ってくれたり、お祓いしてくれたり、早く買い取ってもらえたりします。専門でない買取業者だと、買取に対応していないリスクもあります。

特殊清掃やリフォーム対応の関係で仲介業者へ売却を依頼するよりも売却価格は安くなりますが、価格よりも確実性と早さを重視する場合は、専門業者へ売るのがよいでしょう。

専門の買取業者に売却する流れは以下の通りです。

  • 依頼予定の買取業者に机上査定や訪問査定を依頼する
  • 提示された査定額を確認し買取依頼するかを検討する
  • 買取を依頼する買取業者が決まったら必要書類を集めて売買契約を結ぶ
  • 買取業者から売却代金が振り込まれたら買取業者に物件を引き渡す

買取業者に事故物件を売却するときは、「登記済権利書や登記識別情報」「固定資産税納税通知書」「検査済書」「境界確認書」などが必要です。必要書類については買取業者からの指示があるため、指示にしたがって準備してください。

修繕や清掃をしっかりと行い原状回復をする

仲介業者を利用して事故物件の売却を検討する際には、売主側で特殊清掃、リフォーム、修繕、清掃などをしっかりとおこない、不動産の原状回復を進めましょう。仲介業者を利用した売却はあくまで現状の物件を見てもらうことになるため、売主が何も対応しなければその状態で売却することになります。

床や壁に血痕や体液が染み込んでいる、部屋に臭いが染み込んでいるといった人が住める状態でない物件だと、買手が付くことはまずありません。そもそも不動産会社に取り扱いを拒否される可能性も高いです。特殊清掃やリフォーム代には数十万円~数百万円の費用がかかりますが、必要経費として妥協せず支払うようにしてください。

なお買取業者なら、特殊清掃なども併せて引き受けてくれるケースがあります。ただし、前述の通り特殊清掃やリフォーム分の費用が査定に反映されるので、査定額は低くなる傾向にあります。

買主や不動産会社への告知を必ずおこなう

事故物件を売却するときには、買主や不動産会社にその旨の告知を必ずおこなう義務があります。これを告知義務と呼びます。国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」では、告知義務が必要な不動産・必要ない住宅のおおまかな基準が設けられており、現在はガイドラインにしたがって告知の有無を判断するのが一般的です。

<原則として告知義務が発生する主なケース>

  • 自殺・殺人が発生している
  • 過去に特殊清掃がおこなわれた
  • 過去に重大な火災が発生している
  • 周辺にお墓、葬儀場、刑務所などの嫌悪施設がある
  • そのほか社会的な影響の大きさなどから借主や買主が知っておくべきとだと判断された事項が存在する

<原則として告知義務が発生しない主なケース>

  • 事件性や特殊清掃のない孤独死や日常生活のなかでの不慮の死
  • 隣接住戸・日常生活において通常使用しない集合住宅の共用部分で発生した自殺・殺人

上記はあくまで基準であり、事故の種類や大きさ、社会的な影響などによって変化します。また、告知義務がなくても借主・買主から問われたときは、死の事案について告げる必要があります。

賃貸借契約の場合だと事案発生から概ね3年が経過すると原則として告げなくても問題ありません。一方で売買契約の場合だと、何年経とうが告知義務が消えることはありません。賃貸借契約でも、事件性・周知性・社会的影響が高い事案は3年以上経過しても告知する必要があります。

もし事故物件についての告知義務を履行せず、事実を隠したまま売却・契約すると、契約不適合に該当します。借主・買主から告知義務違反を追求されたときは、損害賠償請求に発展するケースもあるでしょう。事故物件の損害賠償については、以下の記事で詳細を解説しています。

国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン

更地にするかどうかは慎重に判断する

事故物件となった建物を取り壊し、更地にして売却する方法があります。更地しても告知義務はなくなりませんが、物理的に事故物件は存在しなくなるので悪いイメージが払拭でき、買手の心理的抵抗が下げられます。事故物件の建物が残っている状態よりも、売却価格を上げられるかもしれません。

ただし、更地にするかどうかは不動産会社とも相談しながら慎重に検討しましょう。事故物件を更地にするデメリットは次の通りです。

  • 数百万円単位の解体費用が発生する
  • 住宅用地の特例の対象外となって固定資産税・都市計画税が高くなり、売却できなかったときに維持管理費が高額になる

事故物件になって期間を置いてから売却する

もし所有する不動産が事故物件になったときは、すぐに売却するのではなく一定期間置いてから売ることを検討してみてください。時間が経つことで事件・事故の事実が風化し、買手の心理的抵抗・嫌悪感が緩和される可能性があります。賃貸借契約なら、3年経過すれば告知義務がなくなるケースもあります。

ただし、全国的に報道された残虐な事件などの場合は、長い年月が経過してもネガティブなイメージがなくならないケースもあるため注意が必要です。

事故物件となったときは、「大島てる」と呼ばれるサイトに登録される可能性があります。事故物件情報について削除してほしいときは、削除する根拠を添えて運営に問い合わせてください。

参考「大島てる

まとめ

事故物件の売却価格相場は、事故物件となった要因によって大きく変動します。通常の不動産を比較して、「孤独死なら10~20%低下」「自殺なら30~50%低下」「殺人なら50%低下」が目安です。孤独死でも特殊清掃が必要だと、売却価格相場が大きく下がる可能性があります。

事故物件の要因に加えて、「買手からの需要」「不動産の元々の価値」「物件の状態」などの要素が事故物件の売却価格相場を左右します。売却価格相場をおおまかに調べるには、不動産鑑定士に査定を依頼する、不動産情報ライブラリを利用する、買取事例を確認するなどをおこないましょう。

事故物件を売却するときには、特殊清掃やリフォームの対応の有無や告知義務などについて必ず確認しておいてください。確認を怠ると、買手が見つからなかったり損害賠償請求に発展したりなどのリスクが発生します。

事故物件を売却するときは、事故物件を取り扱う不動産仲介業者または買取業者に依頼するのがおすすめです。とくに事故物件買取に強い買取業者なら、特殊清掃やリフォームの対応を任せられるうえに事故物件でも適切に査定してくれます。

訳あり物件専門の買取業者である弊社「クランピーリアルエステート」なら、特殊清掃・リフォームに対応に加えて、さまざまな法的手続きのサポートや専門知識・実績に基づいた査定サービスを提供できます。無料相談や無料査定から受け付けていますので、売却したい事故物件をお持ちであればぜひ一度クランピーリアルエステートをご利用ください。

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更新日 : 2025年01月22日
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