山林や農地など、元々は家を建てられないような土地を、工事によって宅地に変えた土地のことを「造成地」といいます。
造成地には「住みやすい工夫がされている」「インフラが敷地内に引き込まれている」といったメリットがあります。
しかし、造成された土地には、災害に対するリスクがあります。購入する際は、災害リスクを知っておくとよいです。
また、造成地を売却する場合や、山や農地など「活用に造成工事が必要な土地」を売却したいときは、訳あり物件専門の買取業者に相談してみましょう。
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山林や農地など、元々は家を建てられないような土地を、工事によって宅地に変えた土地のことを「造成地」といいます。
造成地には「住みやすい工夫がされている」「インフラが敷地内に引き込まれている」といったメリットがあります。
しかし、造成された土地には、災害に対するリスクがあります。購入する際は、災害リスクを知っておくとよいです。
また、造成地を売却する場合や、山や農地など「活用に造成工事が必要な土地」を売却したいときは、訳あり物件専門の買取業者に相談してみましょう。
造成地とは、山林や農地など「そのままでは住宅を建てられない土地」に工事を施して、宅地に整備したものです。「造成宅地」ともいわれます。
これらの土地は、土地の形状や地盤の弱さ、障害物のせいで住宅を建てられません。住宅を建てるには、障害物を取り除き、土地の形を整え、地盤を強化する工事が必要です。
山林や農地などを造成地にする工事を「造成工事」といいます。
「造成地」「宅地」「分譲地」の定義について、あいまいな方もいるでしょう。実際、これらはどれも「住宅を建てるための土地」という点は共通しています。
これらの土地を分類して説明すると、次のようになります。
宅地 | ・住宅用途として使える土地 ・不動産登記規則で定める地目(土地の種類)の1つ |
---|---|
造成地(造成宅地) | 山林や農地などを宅地に変えたもの |
分譲地 | 不動産会社が宅地を切り分けて販売したもの |
上記の表を見れば、宅地の一種として「山林や農地から宅地に変更された土地(=造成地)」があるとわかります。
そして、造成地であってもなくても、広大な宅地を不動産業者が切り分けて売り出す(=分譲する)のが分譲地です。
また、不動産会社が山林や農地を買上げて、造成工事から分譲まで一貫しておこなうケースもあります。
都市計画法による規制で、大規模な造成地の整備は都道府県知事(政令市・中核市・特例市はその市長)から「開発許可」を受ける必要があります。
開発許可が必要な工事を無許可でおこなった場合、改めて手続きが必要になり、計画の変更や工期の遅れをきたす恐れもあります。
どの程度の規模から開発許可が必要なのかは、各自治体の役所へ相談してみましょう。
造成地の中でも、以下のような一定規模以上のものを「大規模盛土造成地」といいます。
大規模盛土造成地は大規模な地震が起きたとき、崖崩れや土砂災害など「造成地全体への大きな被害」に発展するリスクが高いとされます。
そのため、災害発生の恐れがある大規模盛土造成地などは「造成宅地防災区域」に指定され、擁壁(ようへき)の設置など必要な措置を講じるようにされています。
自治体によっては大規模盛土造成地の位置が公表されているので、確認したい場合は役所に問い合わせてみましょう。
造成地の整備には、障害物の除去や地盤強化といった特別な工事が必要です。これを「造成工事」といい、土地の形や状態によって必要な工事が異なります。
必要にあわせて、上記の工事をおこないます。それぞれの方法について、詳しく見ていきましょう。
切土(きりど)とは、崖や丘陵地などの斜面を削り、平坦な地表を作る方法です。
切土は元々そこにある地面を使用するため地盤が強く、切土で造成した土地は災害などの被害を受けにくい土地といわれています。
ただし、元々の地盤が滑りやすい土質の層である場合は、地盤の滑りを防止する安全措置が必要です。
切土で発生した土砂は、基本的に次の項目で解説する「盛土」に再利用されます。
盛土(もりど)とは、低い斜面や地盤に土砂を盛って、土地を高くして造成地を作る方法です。
盛土で作られた造成地は人工的に埋め立てられているため、土地の強度が低く災害に弱いといわれます。実際に、大規模な地震で土地の崩壊や地盤沈下が起きた例もあります。
そのため、盛土で造成した土地は地震や台風、ゲリラ豪雨などによる被害を防ぐためには、地盤の補強が必要です。
盛土は切土を並行しておこなうケースが多く、切土で削った土砂を盛土に使って、土砂の廃棄コストを抑えるのが一般的です。
切土や盛土をした部分が災害で崩壊するのを防ぐためには、土止め(どどめ)という作業も必要になります。
具体的には、石やブロック、コンクリート製の擁壁(=壁状の構造物)などを使って造成地の崩壊を防ぐ作業です。
崩れやすい土地を補強し、土砂が流れ出ないようにする留め具の役割を果たします。
土止めで造成地の外縁を補強しても、造成地の内側が弱ければ地盤沈下やひび割れを起こすかもしれません。
そのため、地盤が弱っている土地は強度を上げるために「地盤改良」の工事をおこないます。
具体的には、表層の土にセメント系固化材を混ぜて土地の強度を上げる方法や、コンクリートや鋼鉄製の杭を打ち込むといった方法があげられます。
すでに解説したとおり、分譲地とは「不動産会社が広大な宅地を切り分けて売り出したもの」です。
造成地も宅地の1つなので、不動産会社が切り分けて売り出せば分譲地となります。むしろ、不動産業者が分譲目的で山林や農地を造成することが多いでしょう。
分譲地には次の3種類があります。
建築条件付き土地 | 家を建てる業者が指定されている土地 |
---|---|
分譲宅地 | 家を建てる業者が指定されていない土地 |
建売住宅 | 家とセットになっている土地 |
造成地のなかでも、分譲地を購入するメリットとデメリットを見ていきましょう。
分譲地の場合、不動産会社が必要なインフラを整えてから売りに出されます。
水道管、ガス管、電線などがすべてそろった状態で購入できるので、自分で引き込む手間がありません。インフラ設備代も含まれた金額で売り出されているので、初期費用も計算しやすくなります。
インフラを自分で引き込もうとすると1ヶ月以上かかるため、分譲地を購入すれば家の建築までにかかる時間を短縮できます。
分譲地は不動産会社が1から街を作るのと同じです。街づくりの計画が立てやすいため、住環境を整えるための工夫をしやすくなります。
道路・街灯といった設備や、公園・ショッピングエリアといった施設など、全体のデザインが統一され、住みやすい設計にできます。
見通しがよく広い道路の整備や防犯カメラの設置なども可能であり、防犯性も高いといえるでしょう。
土地所有者の頭を悩ませる問題に、近接地との境界トラブルがあります。
隣の土地所有者との間で「土地の境界」の認識が違い、どこまでが自分の土地なのかで裁判沙汰になるケースもあるのです。
しかし、分譲地は不動産会社が切り分けた土地を販売しているため、近接地との境界が明確です。境界トラブルが起きないという点は、分譲地の大きなメリットといえるでしょう。
分譲地は、その多くが「建築条件付き土地」です。建築条件付き土地は、指定されたハウスメーカーや工務店に家の建築を依頼しなければなりません。
建売住宅でもなければ近隣住宅とまったく同じデザインになるということはありませんが、似通った住宅になる可能性は高いでしょう。
ただし、売主である不動産会社に追加料金を支払えば、指定以外の施工業者に依頼できる場合もあります。その場合、追加料金は100~300万円程度が相場です。
分譲地は、土地の広さや価格が区画内でなるべく均質となるように販売されています。
そのため、景色のよさや庭の広さといった強いこだわりがある場合、近接地との位置関係や土地の面積との兼ね合いから、それらの希望が叶わない可能性もあります。
「窓を大きくしたい」「日当たりをよくしたい」といった希望があっても、思い通りの間取りで家を建てられな場合があるでしょう。
分譲地以外の造成地は、不動産会社による切り分けやインフラ整備がされていない状態です。他人の手が加わっていない、まっさらな土地といえるでしょう。
不動産会社が分譲しないことで自由度は高いといえますが、自分の負担が大きいというデメリットも当然あります。
分譲地以外の造成地を購入する、メリットとデメリットを見ていきましょう。
分譲地の「建築条件付き土地」のように家を建てる施工業者の制限がないため、自分の好きな施工業者を選べます。
家づくりには自分なりのこだわりをもつ人が多いため、どこの施工業者を選べるかは大きなメリットでしょう。
家の施工業者には、次のような企業があります。自分の希望を叶えられる施工業者を探しましょう。
ハウスメーカー | 広範囲な営業網があり、部材の生産から工事、アフターサービスまでがシステム化されている |
---|---|
工務店 | 地域に密着した企業が多く、比較的リーズナブルな会社が多い |
設計事務所 | 建築士が運営する事務所で、こだわった設計が可能な反面、建築工事は他社に依頼するので割高 |
分譲系ビルダー | 建売住宅販売会社のことで、費用は低いが自分のこだわりを入れにくい |
分譲地の場合、家を建てられる最低限の広さで販売されることが多くなります。不動産会社としては大きな土地より小さい土地の方が売りやすく、収益もあげやすいからです。
一方、分譲地以外の土地なら、ある程度広い土地も売りに出されます。分譲以外の造成地から土地を探したほうが、広い土地を見つけやすいでしょう。
分譲地で広い土地を購入したい場合、隣り合わせの2区画を同時に購入するなどの工夫が必要になります。
広い土地を購入できるので、土地の面積や目的・機能にあわせて自由に間取りやデザインを設計できます。
外観が近隣と似通うことを避けられ、庭や採光などの工夫も可能です。
間取りやデザインに自分のこだわりを反映させたい場合、実現できる技術があり、真摯に希望を聞いてくれる施工業者を選びましょう。
新しい造成地において、不動産会社の分譲地ではない場合、インフラが整備されていない場合もあります。
自分で工事を手配し、費用を払って敷地内に引き込まなければいけません。1ヶ月以上かかることもあるので、土地購入から家を建てるまでの期間が延びてしまいます
引き込む費用は周りの環境にも左右されますが、電気・ガス・水道の3つで100万円以上になる場合もあるので注意しましょう。
分譲地の場合は不動産会社が売り出しているので、地盤の強度はある程度保障されているといえます。
しかし、分譲地以外の造成地は地盤が軟弱なままであるケースも少なくありません。そのため、自分で地盤改良工事をおこなうこともあります。
地盤が軟弱なまま家を建てると、家の傾きや、下水が排水されず異臭騒ぎになる恐れがあります。建物の資産価値は減少し、住んでいる人に健康被害がおよぶ場合もあるでしょう。
地盤改良時の費用は、状況にもよりますが20坪くらいの面積で50万〜100万円ほどかかります。
造成地のなかでも、切土と盛土の境界付近は地盤事故が起こりやすいとされます。
切土は「もとからあった土地を削っただけ」なのに対し、盛土は「低い位置にある土地を土砂で埋め立てたもの」です。切土のほうが強度はあり、盛土のほうは崩れやすいといえます。
それぞれで強度が違うため、盛土の部分だけ崩れて段差ができてしまう恐れがあるのです。
この記事を読んでいる方のなかには、自分が所有している山林や農地の造成を検討している人もいるでしょう。
しかし、造成工事は土地を削り、埋め立て、コンクリートなどで補強する大規模な工事です。場合によっては、数ヶ月の期間が必要になります。
費用相場の目安は、各地の国税局で定められています。傾斜が大きい土地ほど、宅地造成費も高額になるので注意しましょう。
東京都では、傾斜がある土地における造成工事の費用目安は次のとおりです。
傾斜度 | 宅地造成費(1平方メートルあたり) |
---|---|
3度超5度以下 | 18,600円 |
5度超10度以下 | 22,800円 |
10度超15度以下 | 34,900円 |
15度超20度以下 | 49,500円 |
20度超25度以下 | 54,700円 |
25度超30度以下 | 57,900円 |
造成の必要な土地を売却する場合、造成工事をせずに引き渡せる専門買取業者への売却がおすすめです。
一般的な不動産仲介業者を介して売却する場合、造成工事をしない状態では買主が見つかりにくく、売却がむずかしくなります。
そこで、専門買取業者に売却すれば買主を探す必要がないうえ、買取業者側で造成工事をしてもらえるので、売主側は手間なく売却できます。
当社クランピーリアルエステートも訳あり物件専門の買取業者で、造成の必要な土地の買取も対応しています。
多数の訳あり物件の買取実績やノウハウがあるので、他社に負けない「高額査定・スピード買取」が可能です。
造成が必要な土地の売却についての無料相談も受け付けているので、以下の窓口からお気軽にお問い合わせください。
造成地は人工的に造られた土地のことです。造成工事には切土や盛土があり、造成工事の方法によって災害に対するリスクが異なります。
造成地を購入するときは、造成前の状況や造成工事の方法を十分に把握しましょう。また、購入前には土地の調査をするのもおすすめです。地盤が弱い土地は地盤改良で補強をしましょう。
土地は高い買い物です。購入した後に後悔しないためにも「土地の調査」「用途地域の確認」「インフラの整備」といったポイントは、購入前にしっかり確認することが大切です。