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事故物件の売却方法は?相場や告知義務と損しない進め方

事故物件の売却方法は?相場や告知義務と損しない進め方

「人が亡くなった家でも売れるのだろうか」「いくら値下げすればよいのか」と、事故物件の売却に不安を感じる方も多いことでしょう。

事故物件でも、事情を理解した買主と条件が合えば売却できます。主な方法は、不動産会社に買主を探してもらう「仲介」と、不動産会社に直接買い取ってもらう「買取」の2つです。

価格を重視して買主を探したい場合は仲介、売却を急ぐ場合や清掃・片付けの負担を抑えたい場合は買取が選択肢になります。ただし、どちらが適しているかは、物件の状態や地域の需要、売却を急いでいるかなどによって変わります。

また、病死や老衰など、人が亡くなった物件のすべてが事故物件として扱われるわけではありません。「人が亡くなったから半額になる」などと、自分だけで価格を決めないことが大切です。

事故物件を売却する前に押さえたい3つのポイント

  • 売却価格は死因だけで決まらない。立地や建物の状態も含めて査定を受ける
  • 必要な告知は仲介でも買取でも行う。何を伝えるか、不動産会社と整理する
  • リフォームや解体に費用をかける前に、そのまま売る場合の価格と比較する

この記事では、事故物件の売却方法と価格の考え方、告知義務、手続きや費用を解説します。仲介と買取の手取り額の比較例も紹介しますので、ご自身に合う売却方法を考える際にお役立てください。

監修
坂本 洋介(宅地建物取引士)

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事故物件でも売却できる|仲介と買取の違い・選び方

事故物件の売却方法は、主に仲介と買取です。仲介は購入希望者を探して売る方法、買取は不動産会社を買主として売る方法で、価格や売却までの進め方が異なります。まずは違いを比較し、それぞれの特徴と選び方を詳しく説明していきます。

比較項目 仲介 買取
買主 不動産会社が探した個人・法人など 買取を行う不動産会社
売却価格 条件に合う買主が見つかれば、買取より高く売れる可能性がある 再販売の費用や利益を見込むため、仲介より低くなりやすい
売却までの期間 買主が見つかる時期によって変わる 買主を探す期間が不要で、条件が合えば早く進めやすい
仲介手数料 原則として発生する 買取会社と直接契約する場合は不要
清掃・残った家財への対応 買主との交渉によって決める。現状のまま売れる場合もある 現状のまま引き渡せる場合がある。対応範囲は会社・契約による
売却後の責任 契約内容などによって決まる 基本的に免除されるケースが多い
向いているケース 時間をかけてでも価格を重視したい 売却期限や手間の少なさを重視したい

仲介|不動産会社に買主を探してもらう方法

仲介では、不動産会社と「媒介契約」という売却活動を依頼する契約を結び、広告や購入希望者への紹介を通じて買主を探してもらいます。

事故物件でも、価格や立地、建物の状態に魅力を感じる買主が見つかれば、仲介で売却できます。駅に近いマンションや土地の需要がある戸建てなどは、過去の出来事以外の条件も評価してもらうことが大切です。

ただし、売り出した価格で必ず売れるわけではありません。購入希望者が現れなければ、価格や販売方法を見直す必要があります。内見への対応や売れるまでの維持管理も考慮しましょう。

仲介を選ぶ場合は、事故物件の取扱実績に加えて、その地域でどのような買主を探せるかを確認すると、売却の見通しを立てやすくなります。

買取|不動産会社に直接買い取ってもらう方法

買取では、不動産会社が物件を調査し、買取価格と条件を提示します。合意できれば売買契約に進むため、一般の購入希望者を探す必要がありません。

売却を急ぐ場合や、遺品整理・清掃・修繕をまとめて相談したい場合に検討しやすい方法です。仲介で買主が見つからなかった物件でも、専門業者の買取対象になることがあります。

一方、買取会社は清掃・修繕・再販売などの費用や利益を見込んで価格を決めます。そのため、仲介で売れた場合より売却価格が低くなりやすい点は理解しておきましょう。

「最短で現金化できる日数」と、自分の物件の引き渡し予定日は同じとは限りません。相続手続きや住宅ローンの返済準備、境界の確認などに時間がかかる場合もあるため、査定時に入金までの日程を聞いておくことが大切です。

価格・売却期限・清掃の負担を比べて自分に合う方法を選ぶ

迷ったときは、売却価格だけでなく、「いつまでに売りたいか」「売却前にいくら負担できるか」を整理しましょう。

  • 価格を重視し、売却まで待てる:仲介での売却を検討する
  • 維持管理が難しく、早く手放したい:買取価格と引き渡し日を確認する
  • 清掃や家財の処分を自分で進められない:現状で引き渡せる条件を探す
  • どちらが有利かわからない:仲介の成約見込み額と買取価格、必要費用を比較する

仲介を試す場合も、「この時期までに売れなければ方針を見直す」と決めておくと、売却活動が長引いたときに判断しやすくなります。

事故物件の売却相場は?価格が下がる要因と査定の見方

事故物件の価格は、死因だけで一律に何割下がると決まるものではありません。亡くなった際の状況や事件の知られ方、立地、建物の状態などを合わせて評価します。

ここでは徐こ物件の売却価格に影響する要因と、査定額を比較する際の見方を詳しく説明していきます。

内容 価格に影響するポイント
死亡事案の内容 死因、発生場所、発見までの状況、経過期間
事件の知られ方 報道の規模、地域での認知、現在も購入判断に影響しているか
室内の状態 臭いや汚染、傷みの範囲、清掃や修繕に必要な費用
不動産としての条件 立地、広さ、築年数、周辺の需要、再建築できるか
売却条件 仲介か買取か、引き渡し期限、家財の処分を誰が負担するか

たとえば、同じマンションで同じ死因だったとしても、室内の汚染の有無や、売主が希望する売却期限によって条件は変わります。インターネット上の下落率だけで希望価格を決めず、具体的な査定を受けましょう。

事故物件の売却相場については以下の記事でも詳しく解説しています。

病死・孤独死は、発見までの状況や特殊清掃の有無で影響が変わる

病死や老衰による自然死は、原則として告知不要とされる場合があり、人が亡くなったという理由だけで必ず値下がりするとは限りません。

また、「孤独死」は死亡時の状況を表す言葉で、死因そのものではありません。一人暮らしの方が亡くなった場合も、発見までの時間や室内への影響を確認する必要があります。

発見が遅れて汚染や臭いが生じた物件では、清掃・修繕にかかる費用や買主の心理的な抵抗が価格に影響します。査定時には、清掃済みかどうかだけでなく、作業内容や残っている問題も伝えましょう。

自殺・他殺は、事件の内容や周囲への知られ方で影響が変わる

自殺や他殺があった物件は、購入をためらう人がいるため、価格の調整が必要になることがあります。大きく報道された事件では、建物の状態を改善しても購入希望者が限られる可能性があります。

ただし、「自殺なら必ず3割減」「他殺なら必ず半額」と決めつけることはできません。地域の需要や建物の条件、買主の受け止め方によっても変わるためです。

売却価格を知りたい場合は、似た事情の物件を扱った経験がある不動産会社に、「その出来事を価格にどのように反映したか」を説明してもらいましょう。

立地・築年数・建物の状態によっても売却価格は変わる

事故物件であっても、交通の便、周辺施設、間取り、日当たりなどの条件は評価の対象です。土地の需要が高ければ、建物を取り壊して利用する買主が見つかる場合もあります。

一方で、事故物件であることに加えて、老朽化や雨漏り、再建築の制限などがあると、利用や修繕に必要な費用も価格に影響します。

査定の説明では、「過去の死亡事案による評価」と「立地や建物の状態による評価」を分けて聞くと、提示価格を理解しやすくなります。

仲介の査定額と買取価格は意味が異なるため、条件をそろえて比較する

仲介の査定額は「買主を探した場合に売れそうな価格」であり、その金額での売却を保証するものではありません。売主の希望を反映した売り出し価格とも区別が必要です。

買取価格は「その会社が買う場合の提示額」ですが、現地調査前の概算なのか、調査後の条件付きの提示なのかを確認しましょう。

  • 現地調査前の金額か、調査後の金額か
  • 清掃・修繕・家財の処分を誰が負担するか
  • 追加費用や価格変更の条件があるか
  • いつ契約し、いつ入金・引き渡しをする予定か

なお、通常の物件と比べた買取価格の下落率に、さらに「買取だから」という理由で一定割合を掛けると、減額を二重に見込むおそれがあります。比較している数字が、仲介の見込み額なのか買取価格なのかを確かめてください。

事故物件を売却するときの告知義務|何を・いつまで伝える?

告知義務とは、買主の購入判断に重要な影響を与える事実を伝える義務のことです。ここでは、告知が必要になるケース、期間の考え方、伝え方と告知しなかった場合のリスクを詳しく説明していきます。

「事故物件」には法律上の統一された定義がなく、不動産業界では、過去の出来事によって住むことに抵抗を感じさせる物件などを指します。こうした問題は「心理的瑕疵」と呼ばれることもあります。

人の死の告知は、国土交通省のガイドラインが判断の参考になります。ただし、これは主に宅地建物取引業者の対応を整理したもので、個々の売主の民事上の責任まで一律に決めるものではありません。売主は把握している事実を不動産会社へ伝え、告知内容を整理しましょう。

参考:国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」

自殺・他殺や、遺体の発見が遅れて特殊清掃を行った場合は告知が必要になる

自殺・他殺など、買主の判断に重要な影響を与える死亡事案は告知の対象です。自然死であっても、遺体の発見が遅れたことに伴って特殊清掃や大規模なリフォームを行った場合は、告知が必要になります。

清掃で汚れや臭いがなくなっても、過去の出来事までなかったことにはなりません。清掃前の状態や作業内容がわかる資料があれば、査定を依頼する際に共有しましょう。

火災については、人の死亡に関する告知と、建物の焼損・修繕履歴に関する説明を分けて考えます。「死者がいないから何も伝えなくてよい」「ボヤなら必ず心理的瑕疵になる」とは判断せず、不動産会社に被害と修繕の内容を伝えてください。

自然死・日常生活での不慮の事故死は原則告知不要だが、例外もある

病死・老衰などの自然死や、入浴中の溺死、食事中の誤嚥などの日常生活で起きる不慮の事故死は、原則として告知不要とされています。

ただし、特殊清掃等を行った場合のほか、買主から死亡事案の有無を尋ねられた場合や、社会的影響の大きさなど特段の事情がある場合は、判明している事実を伝える必要があります。

売主自身が告知不要と考えていても、不動産会社には事情を共有しておくと、説明の食い違いを防ぎやすくなります。

マンションの共用部分や別の部屋での死亡は、場所や事情によって判断する

マンション内で死亡事案があっても、すべての部屋で同じ告知が必要になるわけではありません。買主が日常的に利用する場所かどうかなどで扱いが変わります。

発生場所 告知を考える際のポイント
売却する住戸内 死因や特殊清掃等の有無、買主の判断への影響を確認する
日常的に使う廊下・階段・エレベーターなど 利用状況と死亡事案の内容を踏まえて判断する
隣接住戸・日常的に使わない共用部分 原則として告知不要とされる場合があるが、社会的影響が大きい事案などは例外

「屋上だから不要」と場所の名称だけで判断するのは避けましょう。管理会社等で把握している情報も整理し、自分の住戸の売却で何を説明すべきかを確認してください。

売買には「何年たてば告知不要」という一律の基準がない

売却については、3年や10年などの年数だけで告知不要になる一律の基準はありません。出来事の内容、周知性、時間の経過、物件の特性などを踏まえて判断します。

賃貸には、一部の死亡事案について、発生または発覚からおおむね3年を経過した後は原則として告知不要とする目安があります。しかし、この目安を売買にそのまま当てはめることはできません。

一度ほかの人が住んだ場合も、それだけで告知不要になるわけではありません。過去の事案を把握している場合は、経過年数も含めて不動産会社へ伝えましょう。

発生時期・場所・死因・特殊清掃の有無を契約前に書面で伝える

告知が必要な内容は、買主が購入を判断できるよう、契約前に説明します。売主は不動産会社と協力し、告知書や売買契約の関連書面などに記録を残しましょう。

  • 事案の発生時期。特殊清掃等を伴う場合は発覚時期
  • 発生した場所
  • 死因。不明な場合は不明であること
  • 特殊清掃や大規模なリフォーム等を行った事実

口頭だけでは「聞いた・聞いていない」というトラブルになりかねません。何を伝え、買主がどのような状態を了承したかがわかるようにしておくことが大切です。

一方、亡くなった方の氏名、家族構成、死亡時の具体的な様子など、必要以上の個人情報まで伝える必要はありません。

必要な告知をしないと、契約解除や損害賠償につながるおそれがある

必要な事実を伝えずに売却すると、契約内容や事案によって、買主から契約解除や損害賠償などを求められるおそれがあります。

これは買取業者に売る場合も同じです。「業者なら知っているはず」と考えず、把握している事情を伝えてください。

売却後の責任を免除する特約があっても、知りながら告げなかった事実については免責されない場合があります。判断が分かれる事案は、契約前に弁護士へ相談するとよいでしょう。

参考:e-Gov法令検索「民法第572条」

事故物件を売却する流れと必要書類

売却は、物件や権利関係の確認、査定、売却方法の決定、契約、引き渡しの順に進めます。相続した物件では追加の手続きが必要になるため、各段階で行うことと必要書類を詳しく説明していきます。

1. 亡くなった際の状況と、物件の名義・住宅ローンの残高を確認する

最初に、死亡事案について知っていることを整理します。わからない点を推測で埋めず、清掃の報告書など、手元にある資料をまとめましょう。

あわせて、登記事項証明書などで名義を確認し、住宅ローンが残っていれば返済予定額を調べます。共有名義の物件全体を売る場合は、共有者間で売却の合意が必要です。

住宅ローンが残っている場合は、売却代金と自己資金で完済し、抵当権を抹消できるかを早めに確認しましょう。抵当権とは、返済が滞った際に金融機関などが不動産から優先的に返済を受けるための権利です。

返済資金が足りない見込みなら、引き渡し日を約束する前に、金融機関や不動産会社へ相談してください。

2. 事故物件の取扱実績がある不動産会社に査定を依頼する

比較できるよう、複数の会社へ同じ情報を伝えて査定を依頼します。死亡事案だけでなく、清掃の状況、残っている家財、希望する売却期限も共有しましょう。

依頼先を選ぶ際は、次の点を確認すると判断しやすくなります。

  • 似た事情の事故物件を取り扱った実績があるか
  • 査定額の根拠を具体的に説明してくれるか
  • 告知書や契約条件について説明してくれるか
  • 相続などの課題がある場合に、司法書士や弁護士と連携できるか
  • 費用・引き渡し日・価格変更の条件を書面で示してくれるか

3. 売却価格と費用・引き渡し条件を確認し、仲介か買取かを決める

査定結果を受け取ったら、売却価格から必要費用を差し引いて比較します。清掃や家財の処分を買主が引き受ける条件と、売主が済ませる条件では、同じ価格でも負担が違います。

仲介を選んだ場合は媒介契約を結び、売り出し価格、広告の範囲、内見方法などを決めて買主を探します。一般媒介・専任媒介・専属専任媒介には、それぞれ依頼できる会社数や報告のルールなどの違いがあります。

買取を選んだ場合は、現地調査後の価格と契約条件を確認します。どちらも、契約を急がされていると感じたら、疑問が解消するまで説明を求めましょう。

参考:国土交通省「不動産取引に関するお知らせ」

4. 買主への告知と契約内容の確認を行い、売買契約を結ぶ

買主と条件がまとまったら、死亡事案の説明内容、売買価格、手付金、引き渡し日、売却後の責任などを確認します。

特に、家財を残して売る場合は、残してよい物と処分が必要な物を明確にしましょう。「現状のまま」という言葉だけで済ませず、どの状態で引き渡すのかを記録することが大切です。

ローン特約などの解除条件や、契約後に不具合が見つかった場合の取り決めも確認し、内容に納得したうえで契約を結びます。

5. 残代金を受け取り、物件を引き渡す

契約で決めた日に、売買代金の残額を受け取り、所有権移転登記の手続きや鍵の引き渡しを行います。住宅ローンがある場合は、金融機関や司法書士と連携して返済と抵当権抹消の準備を進めます。

売却後の確定申告に備え、売買契約書、購入時の資料、売却費用の領収書などは保管してください。入金額のすべてをすぐに使わず、税金の支払いが必要になるかも確認しておきましょう。

売却に必要な書類と、相続した物件で追加確認すること

必要書類は物件や手続きによって異なりますが、一般的に次のようなものを準備します。すべてをそろえてからでなくても査定の相談は可能です。

書類の例 主な用途
本人確認書類・印鑑証明書など 売主本人の確認、契約・登記手続き
登記識別情報・権利証 所有権移転登記の手続き
固定資産税の納税通知書・課税明細書 物件情報や税額の確認
購入時の売買契約書・重要事項説明書 物件の条件、取得費などの確認
測量図・建築確認関係書類・管理規約など 土地や建物、マンションの管理状況の確認
清掃・修繕の報告書や領収書 死亡事案後に行った対応の確認
相続関係を示す戸籍・遺言書・遺産分割協議書など 相続した物件の名義変更等。必要なものは相続の状況による

相続した物件を売る場合は、売却に必要な相続登記を司法書士などに確認しましょう。相続人申告登記だけでは、売却のための名義変更は完了しません。

相続登記は、原則として、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内の申請が義務です。売却予定がなくても対応が必要なため、放置しないようにしましょう。

参考:法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」

事故物件の売却にかかる費用・税金と手取り額の比較

事故物件の売却では、仲介手数料や登記費用のほか、必要に応じて清掃・修繕費用がかかります。税金は契約方法や売却益などによって変わります。主な費用と税金を整理し、仲介と買取の比較例を詳しく説明していきます。

仲介手数料・印紙税・登記費用など、売却方法に応じてかかる費用

売却時に確認したい費用は、次のとおりです。

費用 発生する場面・確認点
仲介手数料 不動産会社に仲介を依頼した場合。買取会社と直接契約する場合は不要
印紙税 課税対象となる紙の売買契約書を作成する場合。契約金額によって税額が変わる
登記関係費用 相続登記、住所変更、抵当権抹消など。登録免許税や司法書士報酬を確認する
測量・境界確認の費用 土地の境界を確認する必要がある場合など
住宅ローンの返済手数料 借入先や返済方法によって発生する場合がある

仲介手数料は、売却価格が400万円を超える場合、原則の上限額を次の速算式で計算できます。売却価格は、建物に消費税がかかる取引では、その消費税額を除いた金額を用います。

仲介手数料の上限額(税込)=(売却価格×3%+6万円)×1.1

例:売却価格1,000万円なら、上限は39万6,000円

ただし、800万円以下の物件では、事前の説明・合意などを前提に、上限33万円(税込)となる特例があります。一律に33万円がかかるわけではないため、媒介契約前に金額を確認してください。

買取業者が買主でも、別の不動産会社に仲介を依頼した取引では仲介手数料が発生する場合があります。

参考:国土交通省「不動産取引の仲介手数料について」

印紙税は、軽減措置が適用される紙の不動産売買契約書であれば、主に次の金額です。

契約書に記載された契約金額 軽減後の印紙税額
100万円超〜500万円以下 1,000円
500万円超〜1,000万円以下 5,000円
1,000万円超〜5,000万円以下 1万円
5,000万円超〜1億円以下 3万円

上記は、2027年3月31日までに作成される対象契約書の軽減税額です。電子契約の電磁的記録には印紙税はかかりませんが、別途紙の課税文書を作成する場合は、その文書について確認が必要です。

参考:国税庁「不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」

参考:国税庁「電磁的記録に関する印紙税の取扱い」

遺品整理・特殊清掃・リフォーム・解体にかかる費用

清掃や修繕にかかる費用は、部屋の広さだけでなく、汚染の範囲や必要な作業で変わります。間取り別の料金だけを見て予算を決めず、現地を確認した見積もりを取りましょう。

作業 見積もりで確認する内容
遺品整理・家財の処分 家財の量、搬出経路、残す物と処分する物、追加料金
特殊清掃 汚染箇所の処理、消臭・消毒、害虫への対応、再作業の条件
リフォーム 床・壁・下地などの交換範囲、設備の修繕、工期
解体 建物の構造・面積、搬出条件、必要な調査、廃材処分、追加工事

買取でこれらの対応を買主が引き受ける場合、売主が作業代を別払いしなくて済むことがあります。ただし、必要な費用が買取価格に反映される場合があるため、「作業代の請求がない=価格にも影響しない」とは限りません。

売却益が出た場合の税金と、利用できる可能性がある控除

事故物件でも、売却によって課税対象となる利益が出れば、所得税・住民税などがかかります。税金は売却代金全額にかかるのではなく、取得費や譲渡費用、適用できる特別控除を差し引いて計算します。

課税譲渡所得=売却収入−取得費−譲渡費用−適用できる特別控除

取得費:購入代金や購入時の費用など。建物は減価償却相当額を差し引く

譲渡費用:仲介手数料など、売却のために直接かかった一定の費用

清掃・修繕に支払った費用のすべてが、税務上の譲渡費用になるとは限りません。また、住宅ローンの返済額をそのまま利益から差し引くこともできません。

参考:国税庁「譲渡所得の計算のしかた」

一般的な土地・建物の売却にかかる税率は、次のとおりです。

売却した年の1月1日時点の所有期間 所得税・復興特別所得税・住民税の合計税率
5年超:長期譲渡所得 20.315%
5年以下:短期譲渡所得 39.63%

たとえば、控除後の課税譲渡所得が200万円で、長期譲渡所得の通常税率を適用する場合、税額の計算例は「200万円×20.315%=40万6,300円」です。

相続した物件では、原則として亡くなった方の取得時期・取得費を引き継ぎます。相続してすぐに売るからといって、必ず短期譲渡所得になるわけではありません。

参考:国税庁「長期譲渡所得の税額の計算」

参考:国税庁「短期譲渡所得の税額の計算」

参考:国税庁「相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期」

条件を満たす場合は、マイホーム売却時の3,000万円特別控除や、相続した空き家に関する特例などを利用できる可能性があります。

ただし、相続空き家の特例は、建築時期、建物の種類、売却期限、耐震性や取り壊しなどの要件があり、相続した家すべてに使えるものではありません。控除額が2,000万円になる場合もあります。特例の適用には確定申告が必要です。

購入時の資料がなく取得費が不明な場合は、売却額の5%を取得費とする計算方法もあります。この場合、課税される利益が大きくなることがあるため、古い売買契約書や領収書がないか確認しましょう。

参考:国税庁「マイホームを売ったときの特例」

参考:国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」

参考:国税庁「取得費が分からないとき」

仲介と買取で手元にいくら残るかをシミュレーションする

売却方法を比較する際は、まず売却価格から売主が負担する費用を引き、さらにローン返済額と売却にかかる税金を考慮します。

以下は、仲介で1,200万円、直接買取で1,000万円の売却が成立すると仮定した計算例です。相場や実際の見積額ではありません。ローン残高はなく、紙の契約書には印紙税の軽減措置を適用するものとします。

項目 仲介で売却 直接買取で売却
売却価格 1,200万円 1,000万円
仲介手数料 46万2,000円 0円
清掃・家財処分・修繕費 80万円と仮定 売主の別途負担なしと仮定
印紙税 1万円 5,000円
登記等のその他費用 3万円と仮定 3万円と仮定
費用の合計 130万2,000円 3万5,000円
上記費用を引いた残額(譲渡所得にかかる税金を引く前) 1,069万8,000円 996万5,000円

この例では、売却価格の差は200万円ですが、費用を引いた残額の差は73万3,000円です。ただし、仲介でも現状のまま売れれば費用を抑えられますし、買取でも売主負担が発生する契約はあります。

最終的な手取り額は、上記の残額から、必要に応じてローン返済額と譲渡所得にかかる税金などを差し引いて考えます。税額は売却方法ごとの収入・費用を基に別々に計算してください。

売れるまでの固定資産税や管理費、引っ越し費用などもあるため、実際の比較ではご自身の条件を加えましょう。

事故物件の売却で損を防ぐための5つのポイント

売却時の損を防ぐには、査定額の根拠を確かめ、清掃・リフォーム・解体の必要性と費用を見極めることが大切です。売却を待つ場合の負担や契約条件も含めて、5つのポイントを詳しく説明していきます。

査定額の高さだけでなく、価格の根拠と売却条件を確認する

高い査定額を示す会社が、必ず高く売ってくれるとは限りません。仲介なら成約の見込みと販売計画、買取なら提示条件と価格の有効期限を確認しましょう。

  • その価格で売れると考える理由は何か
  • 買主が見つからない場合、どの時点で何を見直すか
  • 売主が別に支払う費用はあるか
  • 提示額が変わるのはどのような場合か

説明が曖昧な場合は、金額だけで依頼先を決めず、条件を書面で示してもらってください。

特殊清掃は汚染や臭いの状況を確認し、必要な対応を相談する

汚染や臭いが残っている場合は、特殊清掃業者などに状況を確認してもらいましょう。売却の方針が決まっていなくても、室内や近隣への影響を抑えるため、早い対応が必要になることがあります。

売却価格の比較が終わるまで、必要な汚染対応まで先延ばしにしないことが大切です。そのうえで、売却前に行う作業と、買主に引き継げる作業を分けて相談します。

作業後は報告書や領収書を保管してください。何を処理し、何が残っているかを説明できると、買主との認識の違いを減らせます。

リフォームや解体は、費用をかける前に売却への効果を確認する

見た目を整えることで購入を検討してもらいやすくなる場合はありますが、工事費用を売却価格に全額上乗せできるとは限りません。

たとえば、100万円の工事で売却価格が50万円上がったとしても、その工事だけで見れば手元に残る金額は50万円減ります。現状で売る場合と工事後に売る場合を比較してから判断しましょう。

解体も同様です。買主が建物を使いたい場合は、取り壊すことで選択肢を減らす可能性があります。再建築の可否や土地の需要も確認が必要です。

また、住宅を取り壊すと住宅用地の税負担の軽減が外れ、土地の固定資産税等が増えることがあります。税額が一律に6倍になるわけではないため、解体前に自治体へ確認してください。

参考:横浜市「住宅を取り壊して駐車場にした場合の固定資産税は…」

更地にした後の告知についても、「建物がなくなれば不要」と判断せず、不動産会社や弁護士に相談しましょう。

時間を置いて売る場合は、維持費と値下がりのリスクも考える

事件から時間がたつことで、購入希望者の受け止め方が変わる可能性はあります。しかし、待てば価格が回復するとは限りません。

保有中は固定資産税、保険料、マンションの管理費・修繕積立金などがかかります。空き家の傷みが進んだり、地域の不動産需要が変わったりすることもあります。

今売った場合と、維持費を負担して後から売る場合を比較して判断しましょう。月2万円の管理費等がかかるなら、1年間で24万円の負担になります。待つ期間を決めずに保有し続けることは避けたいところです。

契約不適合責任の範囲と、減額・解除に関する条件を確認する

契約不適合責任とは、引き渡した物件が契約で約束した内容に合っていない場合に、売主が負う責任です。単に「説明していない不具合が見つかったか」だけではなく、契約内容との違いが問題になります。

買取では責任を限定・免除する特約を設ける場合がありますが、業者に売るだけで自動的に免責されるわけではありません。何が免責の対象か、知っている不具合はどこまで記載したかを確認しましょう。

また、「契約後でも買主の判断だけで減額できる」「買主だけが広い理由で解除できる」といった条項がないかも確認します。買取でも契約が解除される可能性はあるため、資金調達を条件とする条項や違約金の取り決めまで読んでおくことが大切です。

参考:e-Gov法令検索「民法第562条」・「民法第572条」

事故物件が売れないときの対処法

売れない場合は、値下げを繰り返す前に、問い合わせや内見の状況から原因を整理しましょう。販売条件の見直しと、専門業者への買取に切り替える判断について詳しく説明していきます。

問い合わせや内見の状況から、売れない理由を不動産会社に確認する

問い合わせ自体が少ない場合と、内見後に断られる場合では、見直す点が異なります。不動産会社に販売活動の内容と購入希望者の反応を聞きましょう。

売却活動の状況 確認したいこと
問い合わせが少ない 周辺物件と比べた価格、広告の内容、紹介先の範囲
内見後に断られる 臭い・汚れ・建物の状態、告知内容への不安、価格との釣り合い
購入の申し込みがあっても契約に進まない 融資、引き渡し日、修繕費用、契約条件で折り合わない点

「事故物件だから仕方がない」で終わらせず、価格や販売方法に改善できる点がないかを確かめることが大切です。

売り出し価格・販売方法・依頼先を見直す

価格が地域の需要と合っていない場合は、売り出し価格を調整します。ただし、なぜその金額まで下げるのか、どのような買主を想定するのかも説明してもらいましょう。

建物を自分で修繕したい買主や、賃貸運用を考える買主など、別の購入層へ紹介できる場合もあります。物件の用途や収益性、必要な修繕費を整理すると、検討材料を増やせます。

依頼先を変更する場合は、現在の媒介契約の期間や解除条件を確認したうえで、事故物件や地域の取引に詳しい会社へ相談してください。

売却期限が迫っている場合は、専門業者への買取を検討する

管理の継続が難しい、相続した物件を早く整理したいといった場合は、買取も比較しましょう。死亡事案と建物の状態を理解して買う専門業者であれば、現状での売却を相談できることがあります。

ただし、買取対象の地域や物件の条件は会社によって異なります。1社に断られても別の会社で検討できる場合がある一方、必ず買い取ってもらえるわけではありません。

提示額だけでなく、入金日、売主の費用負担、契約後の責任まで確認して比較してください。

事故物件の売却事例|物件の状況と買取価格を紹介

ここでは、イエコンの運営会社である株式会社クランピーリアルエステートが公開している買取事例を紹介します。相続した物件、買主が見つからなかった戸建て、早期売却を希望したマンションについて、売却に至った事情を詳しく説明していきます。

掲載価格は個別の取引事例です。築年数や面積などの条件が異なるため、同じ地域・死因でも同額で売れるとは限りません。また、通常の物件と比べた下落率を示すものではありません。

東京都品川区のマンション|相続した物件を1,000万円で買取

居住者が室内で亡くなったことが発覚し、相続人から相談を受けた事例です。相続に関する相談も含めて対応し、相続登記を経て1,000万円で買い取っています。

相続した事故物件では、買主探しとあわせて、売却に必要な名義変更などの準備を進めることが大切です。

千葉県松戸市の戸建て|買主が見つからなかった物件を500万円で買取

建物内で親子が亡くなった物件について、弁護士から相談を受けた事例です。複数の不動産会社へ売却を依頼しても買主が見つからず、相談後の査定・手続きを経て500万円で買い取っています。

仲介で売却が進まないときに、買取を検討する選択肢があることを示す事例です。

東京都足立区のマンション|共用部で死亡事案があった物件を1,300万円で買取

マンションの共用部で自殺があり、早い取引を希望する売主から相談を受けた事例です。物件調査を進め、1,300万円で買い取っています。

共用部で起きた事案は、場所や利用状況によって告知の判断が変わります。売却期限を伝えるとともに、事実関係を整理して相談しましょう。

出典:株式会社クランピーリアルエステート「訳あり(事故)物件の買取事例」

まとめ|事故物件の売却は、告知内容と手取り額を確認して進めよう

事故物件でも、買主が事情を理解し、価格や引き渡し条件が合えば売却できます。時間をかけて価格を重視するなら仲介、売却期限や手間の少なさを重視するなら買取を比較しましょう。

大切なのは、過去の出来事を適切に伝え、売却価格から費用や税金を差し引いて判断することです。人が亡くなったという理由だけで大幅な値下げを決めたり、査定前に高額なリフォーム・解体を進めたりせず、物件の状態に合った方法を検討してください。

まずは、亡くなった際の状況、清掃の有無、名義、希望する売却時期を整理し、事故物件の取扱実績がある不動産会社へ相談しましょう。

事故物件の売却や相談先選びでお悩みの方は、当サイト「イエコン」にご相談ください。イエコンは、株式会社クランピーリアルエステートが運営する、訳あり物件の買取業者探しを支援するサイトです。

「いくらで売れるか知りたい」「清掃や相続の手続きが終わっていない」といった段階でも、まずは現在の状況をお聞かせください。他社の条件も比較しながら、ご自身が納得できる売却方法を検討しましょう。

事故物件の売却に関するよくある質問

事故物件を売却する際に死亡診断書は必要ですか?

事故物件の告知のために、死亡診断書の提出が一律に義務付けられているわけではありません。国土交通省のガイドラインでも、死亡診断書をすべての取引で提出する決まりは示されていません。

ただし、事実関係の確認や相続など、手続きに応じた書類が必要になる場合はあります。不動産会社や司法書士に用途を確認し、必要な範囲で準備しましょう。

亡くなった際の詳しい状況がわからなくても売却できますか?

詳しい状況が不明でも、売却の相談はできます。把握している事実と不明な点を分け、推測を事実として伝えないことが大切です。

国土交通省のガイドラインでは、調査を通じて判明した内容を伝え、死因などが不明な場合にはその旨を伝える扱いが示されています。ただし、知っている事実を「不明」として伏せることは避けてください。

参考:国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」

更地にすれば事故物件であることを告知せずに売却できますか?

更地にしただけで、告知が不要になるとは限りません。過去の出来事が、土地を購入する判断に影響する場合もあります。

なお、建物を取り壊した後の土地取引については、国土交通省のガイドラインで統一的な基準は示されていません。解体前に、不動産会社や弁護士へ告知と売却条件を相談しましょう。

事故物件を購入した後、転売するときも告知は必要ですか?

必要な告知は、転売する場合も行います。所有者が変わったことや、間に入居者がいたことだけで告知不要になるわけではありません。

購入時に受け取った告知書や説明資料を保管し、次に売却する際、不動産会社へ共有してください。時間の経過も含め、次の買主に何を伝えるかを確認しましょう。

近所に売却活動を知られずに事故物件を売ることはできますか?

買取会社へ直接売る場合は、購入希望者を募るための一般向け広告を出さずに進められることがあります。仲介でも、広告の範囲を限定して相談する方法はありますが、購入希望者に届く機会は少なくなります。

ただし、現地調査や家財の搬出などから売却を知られる可能性はあり、完全に秘密にできる保証はありません。「広告は掲載しないでほしい」「近隣への聞き取りは事前に相談してほしい」などの希望を、依頼時に伝えましょう。

売却活動の公開範囲を限定することと、買主への告知を省くことは別です。必要な事実は買主へ伝えてください。

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    更新日 : 2026年09月13日
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