更地にせず売却したほうがよいケース
更地にしないほうがよいケースとしては、次の5つがあげられます。
- 売却中に年をまたぐ場合
- 建物に価値がある場合
- 再建築不可物件の場合
- 解体費用のほうが高くなる場合
上記の条件にあてはまる物件は、更地にすると逆に売りにくくなったり、損失につながったりする場合があります。
それぞれのケースを詳しく見ていきましょう。
売却中に年をまたぐ場合
更地にすると建物の軽減措置が適用されなくなるため、土地の固定資産税が高くなってしまいます。物件にもよりますが、数十万円単位で税金が高くなる場合もあります。
高額な固定資産税を避けるためには、更地の状態で年をまたがないことが大切です。固定資産税は1月1日時点の状態を基準に課税されるため、その時点で建物があれば軽減措置が適用されます。
そのため、売却期間が年末年始をまたぐようであれば、年を越してから解体したほうが節税につながります。
建物付きの状態で買主がなかなか見つからず、年末が近づいてきている場合は、年が明けてから建物を解体することを検討してみてください。
建物に価値がある場合
建物に価値がある場合、解体してしまうとその分だけ損失となります。資産価値が残っているなら、そのまま売り出すか、最低限のリフォームをしてから売るほうがよいでしょう。
一般的な木造住宅の場合、市場においては築20〜25年程度で価格が底打ちになるといわれます。理由は、税制上の法定耐用年数が22年だからです。
法定耐用年数とは?
減価償却(購入代金を分割して経費計上する制度)をおこなうために設けられた、固定資産の使用期間。あくまで会計上の年数であり、物理的な使用期限とは異なる。
法定耐用年数を過ぎた建物は、減価償却の期間が短くなったり、住宅ローンの審査が厳しくなったりなどのデメリットがあります。売り出しても価格は付かず、土地のみの値段で取引されます。
一方、築浅で耐用年数の残っている物件なら、建物部分も価格が付きます。解体で建物を失くしてしまうより、そのまま売却したほうがトータルの売却価格は多くなるでしょう。
再建築不可物件の場合
再建築不可物件とは、本来なら建築ができない土地に建物がある物件です。もともとその場所に存在し、法改正などで建築基準が厳しくなったあとも残り続けている物件を指します。
既存の建物についてはそのまま残すことが許されていますが、建て替えや増改築をするときは現行の基準が適用されます。
解体しても新しく建物を建てられないため、築古でも安易に取り壊すことができず、売却がむずかしい厄介な物件です。
そのため、再建築不可物件については自己判断で更地にせず、専門の業者に相談したほうがよいでしょう。
訳あり物件を取り扱う買取業者なら、価格は多少安くなりますが、再建築不可物件を現状のまま買い取ってもらえます。
解体費用のほうが高くなる場合
更地にする際は基本的に売主が解体費用を持つことになります。そのため、土地の市場価格よりも解体費用のほうが高くなる場合は、更地にせず売却した方が良いでしょう。
解体費用は建材や坪数などによっても異なりますが、一軒家の場合は100万円~300万円以上の費用が必要になります。
また、土地を売却する際には仲介手数料や税金などの諸経費も発生するため、解体費用の分はカバーできても、わずかな利益しか手元に残らないかもしれません。
まずは建物付きの売却相場、土地の売却相場、解体費用の3つを調べ、どの方法がもっとも利益が取れそうかを検討しましょう。
自分で判断をするのが難しい場合、不動産会社など専門家に相談して判断を仰ぐのも一つの手段です。
更地にして売却したほうがよいケース
一方、更地にして売るほうがよいケースとしては、次の5つがあげられます。
- 建物の劣化が激しい物件
- 自殺や火事などがあった物件
- 旧耐震基準の物件
- 築古だが古民家としての需要は見込めない物件
- 「いまある建物」と「現在の需要」がミスマッチしている物件
上記の条件にあてはまる場合、更地にすることで売りやすくなる可能性があります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
建物の劣化が激しい物件
老朽化が進み、劣化が激しい物件は解体したほうが売れるようになるでしょう。
外観からして損傷が見て取れるような物件は、ほとんど買い手がつきません。むしろ見た目のマイナスイメージから、忌避されることが多くなります。
また、配管や基礎部分など内部の損傷に関しても、万が一見過ごしたまま売ってしまうと契約不適合責任に問われる可能性があります。
売主・買主の双方にとってリスクやデメリットが大きいので、劣化が激しい物件は解体を検討すべきといえるでしょう。
自殺や火事などがあった物件
自殺や火事など、なんらかの不幸があった物件は「心理的瑕疵」によって買い手がつきにくくなります。
心理的瑕疵とは、自殺や他殺など買主が心理的な抵抗や嫌悪感を抱く可能性があることです。心理的瑕疵のある物件は「事故物件」とも呼ばれます。
事故物件は一般的に買い手が付きにくいため、悪いイメージを払拭する目的で建物を解体するケースも少なくありません。
人死があった建物がそのまま残っているより、解体して失くしてしまったほうが、買主のマイナスイメージも多少は緩和されます。
ただし、建物を解体しても自殺や火事があった事実は告知する義務が残ります。告知義務違反になると、契約不適合責任を問われるので注意しましょう。
旧耐震基準の物件
建物には、一定の震災時にも倒壊・損傷しないように耐震基準が設けられています。
大きな震災があるごとに基準は厳しくなっていますが、大幅な改正があった1981年を境に「新耐震基準」と「旧耐震基準」に分けられるのが一般的です。
古い家だと旧耐震基準のまま存在している物件も多く、安全性への不安から売却がむずかしくなってしまいます。
リフォームで耐震性能を上げることも可能ですが、1981年以前の建物となると築40年以上経過しているため、リフォームを施しても売却できるかわかりません。
結論として、耐震リフォームに費用をかけるよりも解体して更地にしたほうが、売却しやすくなるといえます。
築古だが古民家としての需要は見込めない物件
近年の古民家ブームから、築古の物件でも売却できるケースが増えつつあります。
しかし、古民家ブームで求められる物件の多くは、和風で趣があるなど、なんらかの特徴を備えたものが中心です。
築古や古民家に明確な定義はありませんが、たとえば築30年以上の物件でも、外観・内装ともにどこにでもあるような住宅だと需要は少ないでしょう。
なんらかの付加価値が見いだせないような築古物件は、そのまま売るより更地にしたほうが売れる可能性があります。
「いまある建物」と「現在の需要」がミスマッチしている物件
不動産も売るとなったら「商品」なので、市場の需要に合っていない物件は売りにくくなります。
たとえば近隣が開発されて店舗やオフィスが求められるようになり、住居の価値が下がるというケースは少なくありません。
また、核家族化や単身者の増加でマンションの需要が上がり、戸建てが売れにくくなるということもあります。
いわゆる「時代遅れの物件」は、解体して更地にするのも売却戦略として効果的といえるでしょう。
更地にして売るメリットとデメリット
更地にして売却する方法にはメリットとデメリットの両面があるため、深く考えずに更地化するのはおすすめできません。
更地にして売るメリットとデメリットは以下のとおりです。
更地化のメリット |
更地化のデメリット |
・売却しやすくなる可能性がある
・空き家の維持・管理が不要になる
・「土地が抱えているリスク」を調査しやすい
|
・100万円以上の解体費用がかかる
・土地の固定資産税が高くなる
・解体しても売れない場合がある
・建物が建てられなくなる可能性がある
|
まずは更地にして売ることのメリットとデメリットを把握し、自分の物件を売るときに効果的かどうか検討してみましょう。
更地にして売却するメリット、デメリットについて詳しく解説します。
更地にしてから売るメリット
更地にして売ることのメリットには、次の3つがあげられます。
- 売却しやすくなる可能性がある
- 空き家の維持・管理が不要になる
- 「土地が抱えているリスク」を調査しやすい
短期間での売却が期待できる点や、売れるまでの維持・管理・調査で手間を軽減できる点がメリットです。
それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。
メリット1.売却しやすくなる可能性がある
更地にすることで、建物が残っている状態より売りやすくなる可能性があります。
買主が自分で理想の建物を建てたい場合、既存建物があると解体工事が必要です。一方、更地にしておけば、買主は購入直後から建築工事に着手できます。
また、更地なら自分の住居だけでなく事業用地としても使いやすいので、活用の幅が広がります。
築古などで価値のない家を残しておくより、土地だけにしたほうが早く売れる可能性が高いでしょう。
メリット2.空き家の維持・管理が不要になる
空き家が残っていると、定期的に風を通したり、損傷部分の修繕をおこなったりなど、様々な負担が発生します。
解体して更地にすることでこれらの負担がなくなり、土地の売却に集中することが可能です。
なお、空き家が適切に管理されておらず、倒壊の危険性などがある場合、自治体によって特定空き家に指定される恐れもあります。
特定空き家に指定されると、50万円の過料や行政代執行による強制解体(費用は所有者へ請求)がおこなわれる恐れがあるため気をつけましょう。
メリット3.「土地が抱えているリスク」を調査しやすい
土地を売る際は、売却後にトラブルとならないように測量や土壌調査をおこなう場合があります。
建物があると土壌調査ができない場合もあるのですが、更地にすることで調査がスムーズに進む点もメリットの1つです。
地盤調査や、土壌汚染・地中埋設物の有無を調べておくことで、買主にも「調査済みで安心して買える土地」というアピールが可能です。
また、地盤や土壌に問題があるまま売ってしまうと、契約不適合責任に問われる恐れがあります。
売却代金の減額や契約解除、損害賠償などを請求される可能性もあるので、土地の抱えるリスクはしっかりと把握してから売ることが重要です。
契約不適合責任については別の記事でも解説しているので、よろしければ参考にしてください。
更地にしてから売るデメリット
更地にして売ることのデメリットとしては、次の3つがあげられます。
- 100万円以上の解体費用がかかる
- 解体しても売れない場合がある
- 土地の固定資産税が高くなる
- 建物が建てられなくなる可能性がある
解体費用や税金といった金銭面での負担に加えて、コストをかけても確実に売れるとは限らない点がポイントです。
各デメリットを詳しく見ていきましょう。
デメリット1.100万円以上の解体費用がかかる
解体費用は物件の広さや構造のほか、所在地や周辺道路の幅、近隣建物との密集具合など様々な要因で異なります。
おおまかな目安としては、木造住宅なら3万円~5万円/坪、鉄骨造なら3万5,000円~6万円/坪、鉄筋コンクリート造なら4万円~8万円/坪程度です。瓦礫や庭木の撤去費用などが別途かかる場合もあります。
たとえば一般的な戸建ての木造30坪程度で考えると、およそ90万円〜150万円はかかると考えられます。「売却のためにそこまでお金をかけられない」という人もいるでしょう。
ただし、自治体によっては解体に補助金を出している場合もあります。制度の有無や具体的な条件は各自治体で異なるので、役所へ直接問い合わせてみましょう。
デメリット2.土地の固定資産税が高くなる
住宅の場合、解体して更地にすると土地の固定資産税が上昇するため、注意が必要です。
詳しくは後の項目で解説しますが、住宅用地は建物があるだけで軽減措置が適用され、固定資産税が安くなっています。解体することで、この軽減措置が適用されなくなるのです。
固定資産税は1月1日時点を基準に課税されるため、高額課税を避けたければ、更地にした状態で年を越さないようにしましょう。
デメリット3.解体しても売れない場合がある
解体費用や固定資産税の上昇など金銭的なデメリットを紹介しましたが、これらのコストをかけても、更地が確実に売れるとは限りません。
建物があろうとなかろうと、土地の売却はそのときの需要に左右されます。更地にしても、買い手が見つからない可能性は十分ありえます。
金銭的なリスクを抑えたいのであれば、建物を残したまま土地の値段のみで売買する「古家付き土地」や、買主が見つかってから解体する「建物解体条件付き」の条件で売り出してみましょう。
また、どのように売り出すべきかは物件によって異なるため、不動産会社と相談しながら検討することも大切です。優良な不動産会社なら、そのときの市場動向も踏まえてアドバイスしてくれます。
デメリット4.建物が建てられなくなる可能性がある
築年数の古い建物が「既存不適格物件」に該当する場合、解体することで新たに建物が建てられなくなる可能性があります。
既存不適格物件とは、法改正や周辺環境の変化などにより、現在の建築基準法に合わなくなった物件のことです。
そのまま使用し続けるのであれば問題ありませんが、解体して新たに物件を建てる場合は現在の基準に合わせなければなりません。
そのため、土地の面積や周辺の状況などによっては、建物を建てられないというトラブルが発生する恐れがあります。また、建築自体はできたとしても、現在の基準に合わせることで基本的には建物が狭くなってしまいます。
既存不適格物件の場合は、建築基準法に抵触しない範囲内で改築をしたほうが物件が売却しやすくなる可能性が高いです。不動産会社に相談のうえ、どのようにするのかを決めましょう。
更地化による税金への影響
建物を解体することで、税金にも影響があります。税額が上がることもあれば、節税になることもあるので、解体前にしっかり把握しておくことが大切です。
土地の売却に関連する税金としては、次の3つがあげられます。
- 固定資産税・都市計画税:減額措置がなくなり土地部分の税額が上がる
- 譲渡所得税:解体費用を控除できるので安く抑えられる
- 印紙税・登録免許税:トータルで大きな影響はない
それぞれどのような影響があるのか、詳しく見ていきましょう。
【固定資産税・都市計画税】減額措置がなくなり土地部分の税額が上がる
住宅が建っている土地は、一律で軽減措置が適用されます。とくに申請する必要もないので、軽減されていることを知らない人も多いでしょう。
具体的には、固定資産税評価額を1/6および1/3にして税額を計算します。計算式は次の通りです。
住宅用地の固定資産税
区分 |
定義 |
計算式 |
小規模住宅用地 |
住宅1戸につき200㎡以内の部分 |
固定資産税評価額×1/6の係数×1.4%の税率 |
一般住宅用地 |
200㎡を超える部分 |
固定資産税評価額×1/3の係数×1.4%の税率 |
一方、建物がなくなると軽減措置が適用されなくなり、下記のような計算式となります。
固定資産税評価額×70%の係数×1.4%の税率
たとえば200㎡で固定資産税評価額が2,000万円の住宅用地だと、住宅の有無によって次のように税額が変わります。
住宅あり
2,000万円×1/6×1.4%=約4万6,000円
住宅なし(更地)
2,000万円×70%×1.4%=19万6,000円
上記の場合、更地にすることで固定資産税が4倍以上になってしまうのです。
なお、都市計画税については、税率は各自治体でそれぞれ異なりますが(上限0.3%)、それ以外の仕組みは固定資産税と同じです。
つまり、建物がある土地の場合は「固定資産税標準額×1/6(もしくは1/3)×各自治体の定める税率」で、更地にした場合は「固定資産税評価額×70%×各自治体の定める税率」となります。
参照:総務省「固定資産税の概要」
参照:総務省「都市計画税」
【譲渡所得税】解体費用を控除できるので安く抑えられる
譲渡所得税とは、土地の売却益に対してかかる税金です。課税対象から解体費用を控除できるので、更地化することで節税につながります。
譲渡所得税は、基本的には次のように計算します。
譲渡所得税=(売却価格-取得費-譲渡費用)×税率
取得費は売却する物件を取得するときにかかった費用(購入代金など)、譲渡費用は売却にかかる経費(仲介手数料など)があてはまります。
税率は保有期間によって異なり、長期譲渡所得(保有期間5年超)なら15%、短期譲渡所得(保有期間5年以下)の場合は30%です。
解体費用は、上記のうち「譲渡費用」に含めることができるので、更地化によって譲渡所得税を安くすることができるのです。
参照:国税庁「譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」
参照:国税庁「譲渡費用となるもの」
【印紙税・登録免許税】トータルで大きな影響はない
印紙税とは、売買契約書など一定の文書に対して課される税金です。契約書に記載された額面、つまり取引価格で税率が決まり、不動産売買では軽減税率が適用されます。
不動産売買契約書の印紙税(一部抜粋)
契約金額(契約書の額面) |
本則税率 |
軽減税率 |
10万円超~50万円以下 |
400円 |
200円 |
50万円超~100万円以下 |
1千円 |
500円 |
100万円超~500万円以下 |
2千円 |
1千円 |
500万円超~1,000万円以下のもの |
1万円 |
5千円 |
1,000万円超~5,000万円以下のもの |
2万円 |
1万円 |
5,000万円超~1億円以下 |
6万円 |
3万円 |
築古で資産価値のない家であれば、解体した所で取引価格に大きな影響はないため、印紙税が大きく変わることもないでしょう。
登録免許税は、不動産の権利関係などを登記するときにかかる手数料です。登記をしないと、第三者に対して権利を主張できないため、不動産の売買では必須となります。
土地の売買でかかる登録免許税は「不動産価額の2%(令和5年3月31日までは1.5%)」となっており、こちらも印紙税同様、大きな影響はありません。
なお、建物を解体したあとは「建物滅失登記」が必要ですが、こちらは登録免許税がかからず、無料で申請することが可能です。
参照:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」
参照:国税庁「登録免許税の税額表」
更地にするときの具体的な流れ
建物を解体し更地にするときの流れは、次のように進みます。
- 更地にすべきか不動産会社へ相談する
- 解体業者を探して見積もりを取る
- ライフライン停止や道路使用許可などを申請する
- 近隣住民へ説明をおこなう
- 解体工事を実施する
- 建物滅失登記をする
スムーズに売却までつなげるためにも、それぞれのステップをしっかり把握しておきましょう。
1.更地にすべきか不動産会社へ相談する
まずは、不動産会社と相談して更地にすべきか話し合いましょう。先にも解説した通り、更地化にはメリットとデメリットがあり、物件によって向き・不向きがあります。
独断で解体してしまうと、売却価格が大幅に下がったり、買い手が付かなくなったりするかもしれません。
逆効果になってしまわないよう、不動産のプロに相談し、市場の需要も考慮してから更地化を進めましょう。
2.解体業者を探して見積もりを取る
更地にすることが決まったら、解体を依頼する業者を探しましょう。
不動産会社から紹介されるケースもありますが、1社だけ見て決めるのはおすすめしません。解体業者によって費用が変わり、数十万円単位で差がつくこともあるからです。
優良な解体業者を選ぶためには、複数の業者から見積もりを取り、内容を比較しましょう。基本的に、どの解体業者も無料で見積もりは可能です。
見積もりでは、主に以下のポイントをチェックすることが重要です。
- 解体工事業や建設業の許可・登録を得ているか
- 産業廃棄物の収集運搬許可を得ているか
- 費用の内訳がわかりやすいか
- 追加費用の可能性について事前説明はあるか
- 担当者の説明や人柄に問題はないか
インターネットの一括見積サイトなどを活用すると、複数社からの見積もりを簡単に取ることができるので、おすすめです。
3.ライフライン停止や道路使用許可などを申請する
解体をおこなう前に、次のような申請が必要です。
解体工事前の主な申請
申請内容 |
申請義務者 |
申請先 |
期日 |
解体工事届出 |
依頼者(解体業者への委託可) |
各自治体 |
工事着手の7日前 |
道路使用許可申請・道路占用許可申請 |
解体業者(本人申請も可) |
警察署 |
工事着手の約2週間前(地域により異なる) |
ライフライン・ネット回線などの停止 ※水道以外 |
依頼者 |
各業者 |
約2週間前 |
解体工事届出は依頼者の申請義務ですが、解体業者に委託するケースが一般的です。委任状を作成すれば、必要な手続きをやってもらえます。
反対に、道路使用許可や道路占用許可の申請は解体業者の申請義務ですが、依頼者がおこなうことも可能です。自分で申請すれば業者へ支払う手数料を節約できます。
ライフラインに関しては、水道以外を解約する点に注意しましょう。水道は解体工事で粉塵を抑える際に使うため、工事が終わったあとに解約します。
5.近隣住民へ説明をおこなう
各種申請などと並行して、近隣住民へ解体工事の説明をおこないます。工事期間や時間帯などを伝えておくことで、トラブルを防げます。
粉塵や騒音、振動など、近隣には様々な迷惑をかける可能性があるので、事前に理解を得ておくことが大切です。
自治体によっては近隣への説明会を義務付けている場合もあるので、事前に手続き方法を確認しておきましょう。
6.解体工事を実施する
解体工事は、最初に足場を組んだあと、粉塵などの飛散を防ぐためシートを張り巡らせる「養生作業」をおこないます。
その後はいきなり建物本体を潰すのではなく、瓦・石膏ボードなどを取り外したり、室内にある不用品を撤去したりします。
不用品の撤去などが済んだら、建物本体の解体です。重機を使うことが一般的ですが、土地の広さなどによっては、手作業で解体する場合もあります。
建物が完全になくなったら、土地を整地して表面をきれいにして完了です。解体業者によっては、進入禁止の看板設置や除草剤の散布をおこなってくれる場合もあります。
7.建物滅失登記をする
解体工事が完了したら、法務局で「建物滅失登記」をおこないます。自分で申請するのが原則ですが、司法書士や土地家屋調査士に依頼することも可能です。
登記を怠ると売却ができないほか、10万円の過料に処される恐れがあるので注意しましょう。申請期限は、解体が完了した日から1か月以内です。
登記申請にあたって必要となる主な書類は、次の通りです。
建物滅失登記の必要書類
書類 |
入手先 |
建物滅失登記申請書 |
法務局HPでダウンロード |
案内図 |
どこでも可(解体場所がわかればネット上の地図でもOK) |
取毀証明書 |
解体業者 |
解体業者の印鑑証明書 |
解体業者の会社登記事項証明書 |
まとめ
更地にして売却する方法は、建物の劣化が激しく価値がない場合や、需要が見込めない場合、自殺や火事などの事件が発生した場合に有効です。
一方、更地化すると固定資産税が上がったり解体費用が発生したりなどのリスクもあるため、慎重に検討することが大切です。
建物に価値がある場合や、土地の市場価格より解体費用が上回る場合などは、更地にせず売却したほうが良いでしょう。
建物付きで買い手が見つからず、更地にするのも難しい場合は、訳あり不動産の買取業者に売却する方法がおすすめです。買取業者は不動産の取り扱いに慣れているため、スピーディーに物件を買い取ってもらえます。
また、不動産会社から「更地にしないと売れない」と言われた物件でも、他社に相談してみることで別の解決方法が見つかる場合もあります。独断で解体せず、様々な不動産会社と相談してから判断しましょう。
更地売却についてよくある質問
更地にできない場合はどうすればよいですか?
更地にして売ることができない場合、訳あり不動産の買取業者に依頼してみましょう。買取価格は市場相場より下がるケースもあるのですが、素早く物件を売却したい場合におすすめです。
また、複数の不動産会社へまとめて査定を依頼するという方法もあります。一括査定のメリットは、厳選された優良業者のなかから、さらに条件の良い業者を手軽に見つけられる点です。
一括査定ではさまざまな不動産会社が提携しているので、他社ではなかなか売れない物件でもスムーズに売却できる業者と出会える可能性があります。
古家つき土地として売却するメリットは何ですか?
古家つき土地とは、建物の価値を考慮せず、土地価格のみで売却する方法です。築年数が古く、建物の資産価値がほとんどなくなっているときに使われます。
不動産を購入する人の中には「ボロボロでも無料で建物がついてくるならお得」と考える人もいます。そうした需要にアプローチできるのが古家付き土地のメリットです。
解体費用をかけずに売却できるので、売主にとっても負担を軽減できます。
ただし、建物の損傷については契約不適合責任を問われないよう、契約で免責特約をつけておくようにしましょう。
訳あり不動産の売却でお悩みなら
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