水害に遭った家でも売却できる
水害に遭った家でも売却することは可能です。ただし、通常の相場と同程度の価格で売れるとは限らず、被害の程度や建物の状態、立地などによって売却価格は変わります。
実際に、水害に遭った家を売却した経験がある人へのアンケートでは、通常の相場より低い価格で売却した人が多い一方、相場に近い価格で売却できた人もいました。
では、水害に遭った家は実際にどの程度の価格で売却されているのでしょうか。ここでは、156人を対象に実施したアンケート結果を紹介します。
【156人アンケート】水害に遭った家は通常の相場と比べていくらで売れた?
イエコン編集部は、水害に遭った家を売却した経験がある156名を対象に「水害に遭った家の売却実態調査」を実施しました。
・調査名:水害に遭った家の売却に関する実態調査
・調査対象:水害に遭った家を売却した経験がある人
・調査方法:インターネットアンケート
・調査期間:2026年4月
アンケート内の「水害に遭った家を売却した際、通常の相場と比べてどの程度の価格で売れましたか?」という質問については、以下のような結果となりました。
| 通常の相場と比較した売却価格 |
回答割合 |
| 相場とほぼ同じ(10割程度) |
12% |
| 9割程度 |
14% |
| 7~8割程度 |
25% |
| 5~6割程度 |
22% |
| 3~4割程度 |
13% |
| 1~2割程度 |
6% |
| 相場より高く売れた |
3% |
| わからない |
5% |
※「通常の相場」は、水害による被害を受けていなかった場合に想定される売却価格を指します。
※アンケートは単一回答形式で実施しています。回答割合は小数点以下を四捨五入して表示しており、合計が100%にならない場合があります。
アンケート調査によると、「相場の7〜8割で売却できた(25%)」が最も多く、次に「5〜6割(22%)」、「9割程度(14%)」と続きました。全体で見ると、相場の8割程度以下で売却した人は66%にのぼり、水害に遭った家は通常の相場よりも価格が下がるケースが多いことがわかります。
一方で、「相場とほぼ同じ価格で売却できた(12%)」「相場の9割程度で売却できた(14%)」という結果も出ています。水害に遭ったすべての物件が大幅に値下がりするわけではなく、相場に近い価格で売却できたケースも一定数あることが伺えます。
条件次第では価格への影響を抑えられるケースもある
家の査定額は水害の履歴だけで大きく下がるわけではありません。建物の状態や土地の需要、立地、今後の水害リスクなど、さまざまな要素をもとに査定されます。水害に遭った事実は査定額に影響するものの、建物や土地の条件によっては、価格への影響を抑えられるケースもあります。
水害に遭った家でも価格への影響を抑えやすいケース
| ケース |
価格への影響を抑えやすい理由 |
| 水害による被害が比較的軽微 |
建物へのダメージや修繕費用が少なく、買主が負担する費用を抑えやすいため |
| 水害後の修繕が済んでいる |
購入後に必要となる修繕が少なく、建物の状態を確認しやすいため |
| 土地の需要が高い |
駅から近い、生活利便性が高いなど、建物以外の部分にも購入需要があるため |
| 現在の水害リスクが低下している |
治水対策などによって、過去に浸水したときよりも水害への不安を抑えやすいため |
たとえば、駅から近いなど需要の高い立地にあり、水害による被害も比較的軽微であれば、買主から一定の需要が見込めます。また、自治体による治水対策などによって、以前より水害リスクが低下している場合も、買主の不安を抑える材料になります。
反対に「建物の損傷が大きい」「カビや悪臭などの二次被害が残っている」「今後も浸水する可能性が高い」などの条件が重なると、買主が負担する修繕費用や水害リスクが大きくなり、売却価格に影響しやすくなります。
水害に遭った家の売却価格は「水害に遭ったかどうか」だけで決まるものではありません。建物の被害状況や土地の需要、今後の水害リスクなどを確認したうえで、物件ごとに判断する必要があります。
水害に遭った家の売却価格を左右する4つのポイント
水害に遭った家の売却価格は、浸水した事実だけで一律に決まるわけではありません。以下のように建物の損傷状況や二次被害の有無、再発のリスクなど家の状況や周辺環境によって変わります。
売却価格を左右する主なポイント
| 項目 |
確認するポイント |
売却価格への影響 |
| 建物の損傷状況 |
浸水した高さ、柱や基礎などの構造部分への被害、床・壁・設備の状態、修繕の有無 |
損傷が大きいほど修繕費用が高くなり売却価格が下がりやすい |
| カビ・悪臭などの二次被害 |
カビや悪臭の有無、床下や壁内部の状態、乾燥・清掃・修繕の状況 |
購入後の修繕や清掃が必要になる可能性があり、価格に影響する |
| 今後の水害リスク |
ハザードマップ、浸水想定区域、過去の浸水履歴など |
今後も水害が発生するリスクが高いと、買主が購入を慎重に検討する可能性がある |
| 土地・立地の需要 |
駅からの距離、交通アクセス、周辺施設、土地そのものの需要 |
土地の需要が高ければ建物の水害による価格への影響を抑えられる可能性がある |
ここでは、水害に遭った家の売却価格を左右する4つのポイントを解説します。
建物の損傷状況
水害による建物の損傷が大きいほど、売却価格は下がりやすくなります。特に床上浸水や柱・基礎など建物の構造部分まで被害が及んでいる場合は、修繕費用が高くなる傾向があります。
建物の損傷具合による売却価格への影響
| 被害の程度 |
売却価格への影響目安 |
価格が下がる主な理由 |
| 床下浸水など被害が比較的小さいケース |
5〜10%程度の下落 |
修繕費用や浸水履歴などが考慮されるため |
| 床上浸水や建物・設備に被害があるケース |
10〜30%程度の下落 |
修繕費用に加えて、建物の状態や再度浸水するリスクなどが考慮されるため |
| 建物の損傷が大きく、建て替えや解体が必要なケース |
30%以上下落することもある |
建物の評価が大きく下がり、解体費用なども売却価格に影響するため |
※上記は水害に遭った家の売却価格への影響をイメージするための目安であり、実際の価格下落率を示すものではありません。
なお、上記はあくまでも現状の損傷具合によるおおよその相場であり、建物をどこまで修繕しているのかも価格に影響します。すでに床や壁、設備などの復旧が済んでいれば、購入後に必要となる工事が少なくなるので買主が負担する費用を抑えやすくなるでしょう。
一方で、損傷が残ったままの状態では買主側で修繕費用を見積もる必要があります。その分、修繕費用や予想外の追加工事のリスクを考慮して、購入価格を低く設定されるケースがあります。
売却前には、水害によってどこまで損傷したのかを整理しておくことが重要です。修繕済みの箇所だけでなく、浸水した高さや被害を受けた設備、現在も残っている不具合なども確認しておくと、査定時に建物の状態を正確に伝えやすくなります。
カビや悪臭などの二次被害が残っているか
カビや悪臭は健康面や居住環境への不安につながりやすく、購入後に追加の修繕や清掃が必要になる可能性があります。そのため買主から敬遠されやすく、売却価格を左右する要因のひとつです。
特に、床下や壁の内部の状態を十分に確認できない場合は、購入後のリスクを考慮して、購入価格を低く設定される可能性があります。
水害に遭った家を売却する場合は「現在カビや悪臭があるか」だけでなく、水害後にどのような調査や修繕を行ったのかまで説明できる状態にしておくことが重要です。水害後のホームインスペクションや修繕の記録を残しておくことは、建物の状態を説明して買主の不安を抑えるうえでも役立ちます。
一方で、水害後に十分な乾燥・清掃・修繕を行い、調査によって目立ったカビや湿気などが確認されていない場合は、買主の不安を抑えやすくなります。
ここで注意すべき点として、水害による浸水履歴や修繕履歴などの事実を知っているにも関わらず、情報を伝えずに売却すると、契約不適合責任(瑕疵担保責任)に問われるリスクがあります。過去にも、浸水履歴が十分に説明されていないことがきっかけで紛争になった事例もあります。
ワンポイント解説
過去の浸水履歴が十分に説明されていなかったことで紛争に発展した事例です。
買主は3,780万円で新築住宅を購入しましたが、購入前に建築中の住宅で床下浸水が発生していたことや、周辺で冠水履歴があったことについて十分な説明を受けていませんでした。その後、購入した住宅でも集中豪雨や台風による浸水が発生。買主は過去の浸水履歴について適切な説明がなかったとして、売主側に損害賠償などを求めました。
売主側は当初、浸水履歴について十分な認識がなかったと主張しましたが、調整の結果、最終的に500万円の解決金を支払うことで和解が成立しています。
出典:新築戸建住宅分譲における冠水履歴等の不告知をめぐるトラブル|不動産適正取引推進機構(RETIO)
この事例からも、水害に遭った家を売却するときは、現在の建物の状態だけでなく「過去に浸水があったか」「どのような修繕を行ったか」など、売主が把握している情報を整理しておくことが重要だとわかります。
今後も水害が発生するリスクがあるか
今後も水害が発生するリスクが高い地域かどうかも、売却価格を左右するポイントです。特に確認しておきたいのが以下の3つです。
売却時に確認したい情報
| 項目 |
内容 |
売却時に確認したいポイント |
| ハザードマップ |
洪水や内水、土砂災害などの災害リスクを地図上で確認できる資料 |
売却する家がどのような災害リスクの区域に位置しているか |
| 浸水想定区域 |
想定される大雨などによって、河川の氾濫や内水氾濫が起きた場合に浸水する範囲や深さを示した区域 |
想定浸水深や浸水する可能性がある区域に該当しているか |
| 過去の浸水履歴 |
実際に過去の大雨や台風などで浸水・冠水した記録 |
過去に浸水したことがあるか、浸水した範囲や時期、被害の程度など |
過去に浸水したものの、現在のハザードマップでは浸水想定区域から外れている場合と、現在も浸水想定区域に含まれている場合では、購入後の水害リスクに対する見方が変わります。
ハザードマップの使い方は、公式サイトに調べたい住所を入力するだけです。すると以下のように、地域ごとに想定される浸水の範囲や深さなどがわかります。
出典:ハザードマップポータルサイト
ハザードマップだけでなく、過去の浸水履歴も確認しておく必要があります。「過去にどの程度の浸水が発生したのか」「周辺でも同様の被害が起きているのか」などによって、買主が判断するリスクは変わるためです。
なお、ハザードマップに記載されているからといって、必ずしも売却価格が大幅に下がるとは限りません。土地の立地や周辺環境、建物の状態など、ほかの条件も含めて価格が決まります。
売却する際は所在地のハザードマップを確認し、過去の浸水履歴とあわせて現在の水害リスクを整理しておくと、建物だけでなく土地の条件まで含めて判断してもらいやすくなります。
土地・立地そのものに需要があるか
水害に遭った家でも、土地そのものに需要があれば売却価格への影響を抑えられる場合があります。土地の価格は建物の状態だけで決まるわけではなく、立地や利便性、周辺環境なども価格を左右するためです。
たとえば「駅から近い」「生活に必要な施設が周辺にそろっている」「交通アクセスが良い」といった立地であれば、建物に水害の履歴があっても土地としての価値が評価されるケースがあります。
土地自体に価値があれば、水害によって建物への影響が大きい場合でも、建物を解体して土地として売却するという選択肢も考えられます。
一方で、もともと土地の需要が低い地域では、建物の状態だけを改善しても売却価格が大きく上がるとは限りません。水害による建物の修繕に費用をかけても、土地そのものの需要が低ければ、修繕費を十分に回収できない可能性があります。
水害に遭った家の売却価格を判断するときは、「建物がどれだけ傷んでいるか」だけを見るのではなく「その土地に需要はあるのか」という視点も必要です。
水害に遭った家は修繕してから売るべき?
水害に遭った家を修繕すべきかどうかについては、被害の程度や修繕費用、修繕後に見込まれる売却価格によって変わります。修繕の有無を確認するには、ホームインスペクション(住宅診断)で建物の劣化状況や不具合などを専門家に確認してもらうのが有効です。
ホームインスペクションの結果、修繕費用が高額になることがわかった場合、修繕せずに現況のまま売却した方が手取り額が多くなることもあります。一方、修繕範囲が限定的で修繕によって買主が負担する費用や不安を減らせる場合は、修繕してから売却した方が売却しやすくなるケースもあります。
修繕するかどうかは「修繕すれば高く売れるか」だけでなく「修繕費を差し引いても手取りが増えるか」という視点も踏まえて判断するべきです。
被害が軽微なら修繕してから売ることで買主を見つけやすくなる
水害による被害が軽微で、比較的少ない費用で修繕できる場合は、修繕してから売却することで買主を見つけやすくなるケースがあります。
たとえば、床下浸水で水が数センチ程度入り、泥や汚水の流入がほとんどなく建物の構造部分に大きな被害がないケースです。排水や床下の乾燥、消毒などを行うことで対応できる場合があり、床や壁などの大規模な修繕が必要にならないこともあります。
一方で、浸水した状態を放置すると「カビや悪臭などの二次被害が残っているか」で説明したように、二次被害につながるリスクがあります。適切な修繕を行うことで、過去に水害があった事実と実施した対策法について買主に説明でき、不安を取り除くとともに価格への影響を抑えられる可能性があります。
水害の影響が中程度以下で、ポンプによる排水や洗浄、水分を乾燥させるなどの対応であれば、約5〜20万円程がおおよその価格相場です。修繕費が比較的少なく、修繕後も家を問題なく使える状態に戻せるのであれば、修繕してから売却するほうが買主を見つけやすくなる可能性があります。
水害に遭った事実を伝える告知義務を踏まえると、軽微な被害であれば修繕した方が買主の不安を抑えてスムーズに売却しやすくなるでしょう。
修繕費が高額なら直さずに売却した方が手取りが多くなることもある
修繕費が高額になる場合は、修繕せずに現況のまま売却したほうが手取り額が多くなることもあります。
水害によって床や壁だけでなく、柱や基礎、住宅設備などにも大きな被害が及んでいる場合、修繕する範囲が広くなります。建物内部の状態によっては、工事を始めてから新たな修繕箇所が見つかり、追加費用が発生するケースも珍しくありません。
修繕せずに売却する場合は、土地そのものに価値があるかどうかがひとつのポイントです。立地や土地の広さなどに需要があれば、建物を修繕しなくても土地を購入して建て替えや大規模なリフォームをしたい買主が見つかる可能性があります。
また、大規模な修繕では工事費だけでなく、売却までの期間が長くなることで固定資産税や維持管理費などがかかる場合もあります。修繕するかどうかを判断するときは、工事費だけでなく売却までにかかる期間やその間の費用も含めて検討しましょう。
「現況査定額・修繕後の査定額・修繕費」を比較して判断する
水害に遭った家を修繕するか迷った場合は、「現況の査定額」「修繕後の査定額」「修繕費」の3つを比較しましょう。修繕後の査定額から修繕費を差し引いた金額と、現況のまま売却した場合の査定額を比べることで、どちらが手元に多く残るか判断しやすくなります。
たとえば、以下のような査定結果だったとします。
| 項目 |
金額 |
| 現況の査定額 |
1,500万円 |
| 修繕後の査定額 |
1,800万円 |
| 修繕費 |
500万円 |
| 修繕後の手取りの目安 |
1,300万円 |
この場合、修繕によって査定額は300万円上がりますが、修繕費は500万円かかります。修繕後の査定額から修繕費を単純に差し引くと1,300万円となるため、現況のまま1,500万円で売却する方が手元に残る金額は多くなります。
もちろん、実際の手取り額は仲介手数料や税金などの売却費用によっても変わります。上記の計算はあくまでも、修繕の費用対効果を判断するための目安として考えてください。
反対に、修繕によって査定額が大きく上がり、その上昇額が修繕費を上回る場合は、修繕してから売却することで手取りが増える余地があります。
ただし、査定額はあくまで売却価格の目安であり、実際の成約価格を保証するものではありません。修繕を始める前に複数の不動産会社へ査定を依頼し、現況のまま売る場合と修繕してから売る場合の両方について価格を確認すると判断しやすくなります。
半壊・全壊に近い場合は解体して更地にする方法もある
水害による建物の損傷が大きく、半壊や全壊に近い状態であれば、建物を解体して更地として売却するのも選択肢のひとつです。建物を解体すれば、買主が修繕費用や解体費用を負担する必要がなくなるので、土地を購入して建築したい買主から検討されるケースがあります。
一方で、解体にはまとまった費用がかかります。また、更地にしたからといって、その分だけ売却価格が上がるとは限りません。土地の需要が低い地域では、解体費用をかけても売却価格への上乗せが小さいことがあります。
水害に遭った家は「壊れているから先に解体する」と判断するのではなく、解体前に複数の売却方法を比較することが重要です。まずは「現況のまま売却」「建物を修繕して売却」「更地にして売却」のそれぞれで査定を受け、売却価格から修繕費や解体費用などを差し引いた場合に、どの方法が最も手取りを残せるのかを比較しましょう。
ここで注意すべき点として、先に解体してしまうと、建物を残した状態で売却するという選択肢を取れなくなります。特に、水害による損傷が大きい場合は修繕費が高くなる可能性があります。
建物を修繕する方法だけでなく、建物を残したまま売却する方法や更地にして売却する方法まで含めて検討すると、選択肢を狭めずに判断できます。
水害に遭った家を売る方法は「仲介」と「買取」が基本
水害に遭った家を売る方法には、主に「仲介」と「買取」があります。仲介は不動産会社を通して一般の買主を探す方法で、買取は不動産会社などに直接売却する方法です。
仲介と買取では売却価格だけでなく、売却までにかかる期間や修繕の必要性、買主を探す手間などが異なります。水害による被害が残っている場合は、建物の状態によっても向いている売却方法が変わります。
それぞれの違いを比較すると、以下のとおりです。
売却時に確認したい情報
| 比較項目 |
仲介 |
買取 |
| 売却価格 |
市場価格に近い価格を狙いやすい |
仲介より低くなる傾向がある |
| 売却期間 |
買主が見つかるまで時間がかかる場合がある |
買主を探す必要がなく、短期間で売却しやすい |
| 修繕の必要性 |
買主から修繕を求められる場合がある |
現況のまま売却できる場合がある |
| 買主探し |
不動産会社が買主を探す |
不動産の買取業者が直接買い取るので買主を探す必要がない |
| 向いているケース |
売却価格を重視したい場合 |
できるだけ早く売却したいときや、手間を抑えたい場合 |
どちらを選ぶかは、水害による被害の程度や希望する売却時期、売却価格などを踏まえて判断する必要があります。
価格を重視するなら仲介で買主を探す
水害に遭った家をできるだけ高く売りたい場合は、仲介で買主を探す方法が適しています。仲介では、不動産会社が市場で購入希望者を探し、買主が提示する価格と売主の希望価格をすり合わせながら売却を進めます。
一方、買取では不動産会社自身が買主となり、購入後の修繕やリフォームなどにかかる費用、売却までのリスクを考慮して買取価格を提示します。つまり、水害の履歴や建物の状態を理解したうえで購入したいと考える買主が見つかれば、買取より高い価格で売却できる可能性があります。
たとえば、立地の需要が高くて水害による建物の被害も比較的軽微であれば、水害の履歴を理解したうえで購入を検討する買主も出てくるでしょう。一方で、水害の被害が大きい家だと、買主から修繕費用を考慮した価格を提示されたり、購入を見送られたりする場合があります。
ただし買取とは異なり、仲介では買主がすぐに見つかるとは限りません。立地や価格、建物の状態によっては売却までに時間がかかることもあります。
仲介を選ぶ場合は、水害による被害の内容や修繕状況を不動産会社に伝えたうえで査定を受けましょう。そのうえで、査定額だけでなく「実際にどの程度の価格で売り出せそうか」「売却までにどの程度の期間が見込まれるか」について確認すると判断しやすくなります。
修繕せず早く売りたいなら買取も選択肢になる
「修繕費が高いので現状のまま売却したい」「できるだけ早く売りたい」などの場合は、買取が現実的な選択肢になります。買取では不動産会社などが直接買主となるので、一般の買主を探す仲介と比べて売却までの手続きを進めやすくなります。
また、物件の状態によっては、修繕せず現況のまま売却できる場合があります。水害によって床や壁、設備などに被害が残っていても、買い取った不動産会社が必要な修繕や解体などを行うためです。
一方で、買取価格は一般の買主に売却する仲介より低くなる傾向があります。買取後に不動産会社が修繕や解体などを行う費用や、売却までのリスクなどが考慮されることが理由です。
ワンポイント解説
仲介と買取のどちらにするか迷ったときは、両方で査定を受けてそれぞれの売却価格を比較しましょう。 特に確認したいのは、査定額そのものではなく、修繕費や仲介手数料などの売却にかかる費用を差し引いた後にいくら手元に残るかです。
売却までの期間や修繕の必要性も含めて比較すると、自分の状況に合った売却方法を判断しやすくなります。
買取は「高く売る方法」というより、修繕や買主探しなどの負担を抑えながら売却する方法として検討するとよいでしょう。
水害に遭った家をできるだけ損せず売る5つの注意点
水害に遭った家を売却するときは、売却価格だけでなく、修繕費や解体費、売却までにかかる期間などを総合的に考えることが大切です。
たとえば、修繕すれば売却価格が上がる場合でも、修繕費の方が高ければ手元に残る金額は少なくなります。また、被害状況を十分に確認せず売却すると、後から買主とのトラブルにつながる可能性もあります。
具体的には、以下の注意点を押さえて売却活動を進めるとよいでしょう。
- 必要に応じてホームインスペクションを実施する
- 水害物件の売却実績がある不動産会社に相談する
- 複数社に査定を依頼して査定額の根拠まで比較する
- 被害状況・修繕履歴・水害対策に関する資料を残しておく
- 修繕や解体をする前に火災保険・公的支援制度を確認する
必要に応じてホームインスペクションを実施する
水害による被害が建物の内部まで及んでいる場合は、必要に応じてホームインスペクションを実施する方法があります。
ホームインスペクションとは、建築士などの専門家が建物の劣化状況や不具合などを調査することです。水害後の建物では、目視だけではわかりにくい床下や壁内部などの状態を確認する際にも役立ちます。
たとえば、床下に浸水したものの外見上は大きな問題がない場合でも、床下の木材に腐食が生じていたり、カビが発生していたりすることがあります。事前に建物の状態を把握しておけば、売却前にどこまで修繕すべきか判断する材料になります。
ここでお伝えしておきたいのが、水害に遭った家のホームインスペクションは、あくまでも任意であり義務ではありません。被害が軽微で状態を十分に把握できている場合や、現況のまま売却する場合などは、費用をかけて調査するメリットが小さいケースもあります。
実施する場合は調査費用と得られる情報を比較し、売却方法や建物の被害状況に応じて判断しましょう。
水害物件の売却実績がある不動産会社に相談する
水害に遭った家の売却では、水害物件の取り扱いや売却実績がある不動産会社に相談するのも選択肢のひとつです。買主の立場で考えると、築年数や土地の利便性だけでなく、浸水した範囲や建物の損傷、修繕履歴、現在の水害リスクなども確認したうえで購入を判断します。
そのため、一般的な住宅に比べて売却までに時間がかかったり、最悪の場合売れ残ってしまうことも考えられます。
水害物件の売却実績がある不動産会社であれば、過去の取り扱い事例を踏まえて「仲介と買取のどちらが適しているか」「修繕や解体を行うべきか」など、物件の状態に応じた売却方法を相談できます。
複数社に査定を依頼して査定額の根拠まで比較する
仲介・買取のいずれにおいても、不動産会社に査定を依頼するときは、1社だけで判断せず複数の会社を比較しましょう。「水害による建物の減価をどの程度と考えるか」「土地の需要をどう評価するのか」によって、会社ごとに提示される価格が変わる場合があるためです。
ただし、単純に査定額が高い会社を選べばよいわけではありません。査定額が高くても、その金額で売却できる根拠が乏しければ、実際の売却価格との差が大きくなる可能性があります。
たとえば、A社が1,800万円、B社が1,500万円、C社が1,600万円と査定した場合、単純に1,800万円を提示したA社に決めるのではなく、なぜその価格になったのかを確認します。
具体的には、周辺の成約事例や水害による価格への影響、建物の状態、修繕費用、土地としての評価などについて説明を受けましょう。
また、仲介の場合は査定額だけでなく、その価格で売却できると考える根拠や販売方法についても確認することが重要です。査定額が市場の需要とかけ離れている場合、買主が見つからずに売却まで時間がかかる可能性があります。
買取の場合も、提示された買取価格がどのような判断に基づいているのかを確認しましょう。購入後の修繕や再販売などを考慮して価格が決められるので、会社によって提示額が異なる場合があります。
被害状況・修繕履歴・水害対策に関する資料を残しておく
水害後の被害状況や修繕内容がわかる資料は、売却まで保管しておきましょう。買主や不動産会社に現在の状態を正確に説明するための情報として役立ちます。
特に、次のような資料があると、被害状況や復旧状況を確認しやすくなります。
- ホームインスペクションの報告書(実施した場合)
- 罹災(りさい)証明書など被害状況を確認できる書類
- 被災直後の建物や室内の写真
- 修繕前後の写真
- 修繕工事の見積書や請求書
- 工事内容や施工時期がわかる記録
- 自治体などによる水害対策に関する資料
被災直後の写真が残っていれば、どの高さまで浸水したのか説明する材料になります。ホームインスペクションを実施した場合は、調査結果をまとめた報告書も現在の建物の状態を説明する資料として活用できます。
水害の履歴を隠すのではなく、被害状況とその後の対応を整理して説明できる状態にしておくことが、売却後のトラブルを防ぐうえでも重要です。
修繕や解体をする前に火災保険・公的支援制度を確認する
水害による被害を修繕・解体する前に、加入している火災保険の補償内容や利用できる公的支援制度を確認しましょう。先に工事を進めると、利用できる補償や支援について確認する機会を失う場合があります。
火災保険では水災補償を付けている場合、洪水や内水氾濫などによる一定の損害が補償対象となることがあります。ただし、補償の対象となる被害や支払条件は契約内容によって異なります。
火災保険の「水災」で補償される主なケースは以下の通りです。
- 河川の氾濫による浸水
- 大雨による内水氾濫による浸水
- 台風などによる高潮
- 豪雨や融雪などによる土砂災害
- 融雪洪水による浸水
また、災害の規模や自治体の制度によっては、被災者向けの支援制度や修繕・解体に利用できる補助制度がある場合もあります。利用できる制度は自治体によって異なるため、被災した地域の自治体にも確認しましょう。
たとえば、修繕費が500万円かかる場合でも、火災保険の保険金や公的支援を利用できれば、実際の自己負担額を抑えられる可能性があります。修繕や解体をするかどうかを決める前に、まず利用できる補償や支援を確認しておくことで、必要な費用を把握したうえで売却方法を検討できます。
公的支援制度においては、大きく床下浸水と床上浸水で利用できる制度が異なります。
床上浸水で利用できる可能性がある公的支援制度
| 制度 |
主な内容 |
利用できる条件・注意点 |
| 被災者生活再建支援制度 |
住宅の被害程度や再建方法に応じて、最大300万円の支援金が支給される |
一定規模以上の自然災害が対象。住宅の被害認定区分などの条件がある |
| 住宅の応急修理 |
被災した住宅を日常生活に必要な範囲まで修理する費用を支援する |
災害救助法が適用された災害が対象。住宅の被害程度などの条件がある |
| 災害義援金※床下浸水も対象 |
集められた義援金が被災者に配分される |
災害の規模や集まった金額、被害状況などによって配分額や対象が異なる |
| 所得税の雑損控除 ※床下浸水も対象 |
住宅や家財などの損害について、一定の金額を所得から控除できる |
対象となる資産や損害に条件があり、原則として確定申告が必要 |
| 固定資産税・住民税などの減免・猶予 |
被害を受けた住宅などについて、税負担が軽減・猶予される場合がある |
税目や自治体によって制度や適用条件が異なる |
| 災害援護資金 ※床下浸水も対象 |
被災した世帯の生活再建に必要な資金を貸し付ける |
災害の規模、住宅・家財の被害状況、所得などの条件がある。支援金ではなく貸付制度 |
| 自治体独自の支援制度 ※床下浸水も対象 |
災害見舞金や住宅の修理・再建に関する支援などを受けられる場合がある |
自治体や災害ごとに制度、対象、金額などが異なる |
なお、保険金や公的支援を利用できるかどうかは、契約内容や被害状況、自治体の制度などによって異なります。修繕や解体を急ぐのではなく、まず保険会社と自治体に確認し、そのうえで売却方法と必要な工事を判断しましょう。
水害に遭った家を売却するときの告知・契約上の注意点
水害に遭った家を売却するときは、水害ハザードマップの所在地や水害による影響について、買主にどのように説明するか確認しておく必要があります。
特に、水害ハザードマップ上の所在地は重要事項説明の対象となっています。また、過去の浸水履歴や現在も残っている不具合については、売却前に不動産会社へ正確に伝えておくことが重要です。
売買契約の内容と実際の物件の状態が異なる場合、契約不適合責任を問われる可能性があります。水害による被害を修繕した場合も、どのような被害があり、どこまで復旧したのかを整理しておきましょう。
水害ハザードマップ上の所在地は重要事項説明の対象になる
不動産の売買では、水防法に基づく水害ハザードマップに取引対象となる宅地や建物の位置が含まれている場合、宅地建物取引業者が買主に対して、その位置を示して説明する必要があります。
国土交通省が提供する資料では、宅地建物取引業者が水害ハザードマップを提示し、対象物件のおおむねの位置を示して説明することとしています。
この説明は、過去に起こった水害の説明義務とは別のものです。過去に浸水していない家でも、ハザードマップ上で浸水想定区域に位置していれば、その所在地を示して説明する必要があります。
売却を始める前に自治体の最新の水害ハザードマップを確認し、自宅がどの区域に位置しているのかを把握しておくとよいでしょう。具体的な調べ方については「今後も水害が発生するリスクがあるか」にて説明しています。
過去の浸水履歴や現在の不具合は知っている範囲を正確に伝える
過去に浸水した事実や、現在も残っている不具合がある場合は、把握している範囲で正確に不動産会社へ伝えましょう。過去の浸水や水害の履歴は買主の購入判断に影響するので、十分に説明せずに売却すると、購入後にトラブルへ発展する可能性があります。
実際に「カビや悪臭などの二次被害が残っているか」のワンポイント解説でも説明した通り、過去の浸水履歴が十分に説明されていなかったことで紛争に発展した事例もあります。
たとえば、床上まで浸水したことがある場合は、浸水した時期や高さ、被害を受けた場所、その後に実施した修繕などを整理します。床下浸水の場合も、床下の清掃や乾燥、交換した部材などの記録があれば保管しておくと、建物の状態を説明する際に役立ちます。
また、売却時点でカビや悪臭、雨漏り、設備の不具合などが残っている場合も、その内容を不動産会社に伝えておく必要があります。
被災直後の写真や修繕工事の見積書、請求書、工事内容がわかる資料などが残っていれば、売却時に提示できるよう整理しておきましょう。被害を隠すのではなく、被害の内容とその後の対応を整理して説明できる状態にしておくことが、契約後のトラブルを防ぐことにつながります。
契約内容と異なる不具合があると契約不適合責任を問われる可能性がある
売買契約を締結した後、引き渡した家が契約で定めた内容に適合していない場合、売主が契約不適合責任を問われる可能性があります。契約不適合責任を簡単に説明すると、売買した不動産が「契約で約束した内容と違っていた場合」に、売主が買主に対して負う責任です。
たとえば、水害に遭った家を売却したあと「契約では説明されていなかった重大な不具合が、購入後に発覚した」「説明されていた状態と実際の建物の状態が異なっていた」という事態が発生したとします。
その場合、契約内容や不具合の程度などによって、買主から以下のような請求を受けることがあります。
契約不適合責任によって買主が請求できる主な内容
| 請求内容 |
概要 |
| 履行の追完請求 |
契約内容と異なる部分について、修繕や不足している部分の補修などを求める |
| 代金減額請求 |
不具合が残っているなど、契約内容に適合していない部分に応じて売買代金を減額するよう求める |
| 損害賠償請求 |
契約不適合によって発生した修繕費やその他の損害について賠償を求める |
| 契約解除 |
契約不適合が一定の要件を満たし、契約の目的を達成できないなどの場合に売買契約の解除を求める |
ただし、これらの請求が認められるかどうかは、実際の不具合の内容や契約書の記載、売主が不具合を知っていたかどうか、契約上の責任範囲などによって異なります。
水害に遭ったことがある家を売却するときは、どの程度被害を受け、どのような修繕を行ったのかを整理して契約内容に反映させることが重要です。
特に、売却前から把握している不具合については、不動産会社に伝えたうえで、売買契約書や物件状況等報告書などにどのように記載するのか確認しておきましょう。水害の履歴や現在の不具合を正確に伝えたうえで契約内容を明確にしておけば、買主との認識のずれを抑えやすくなります。
水害に遭った家を売却するまでの流れ
水害に遭った家を売却するときは、被害状況を整理したうえで、まず現況のまま査定を受けることから始めます。先に修繕や解体をすると、その費用をかけた後で「現況のまま売った方が手取りが多かった」と判明する可能性があるためです。
基本的には、以下の5つのステップで進めます。
- 被害状況や修繕履歴を整理する
- 現況のまま複数社に査定してもらう
- 修繕するか・そのまま売るかを決める
- 仲介または買取で売却する
- 浸水履歴や物件状態を確認したうえで契約する
1.被害状況や修繕履歴を整理する
まずは、水害によってどのような被害を受けたのか整理します。被害状況や修繕履歴は、買主の購入判断に影響する情報であり、売却時に正確に説明する必要があります。
具体的には、浸水した高さや範囲、被害を受けた部屋や設備、床下や壁内部の状態などを確認します。すでに修繕している場合は、工事内容や施工時期もまとめておきましょう。
特に、以下のような資料があると、被害状況や復旧状況を不動産会社に説明しやすくなります。
- 被災直後の写真
- 浸水した高さや範囲がわかる記録
- 修繕前後の写真
- 修繕工事の見積書や請求書
- 工事内容や施工時期がわかる資料
- 罹災証明書などの被害を確認できる書類
この段階では、無理に修繕や解体を始める必要はありません。まず現在の状態を把握し、売却方法を検討するための材料をそろえましょう。
2.現況のまま複数社に査定してもらう
修繕や解体をする前の状態で、複数の不動産会社に査定を依頼します。ここで重要なのは、最初から「修繕した方が高く売れる」と考えないことです。現況のまま売却した場合にどの程度の価格になるのかを確認することで、修繕や解体に費用をかけるメリットを比較できます。
査定では、査定額だけでなくその金額になった根拠も確認しましょう。具体的には「建物の損傷状況をどの程度価格に反映しているのか」「土地としての価値をどう評価しているのか」「周辺の成約事例と比べて妥当な価格なのか」などを確認します。
また、仲介で売却した場合だけでなく、買取の場合にいくらになるのかも確認しておくと、売却方法を比較しやすくなります。
3.修繕するか・そのまま売るかを決める
複数社の査定結果を確認したら、修繕するか、現況のまま売却するかを判断します。修繕する場合は「修繕後にいくらで売れるか」だけでなく、「修繕費を差し引いても手取りが増えるか」を確認しましょう。
「「現況査定額・修繕後の査定額・修繕費」を比較して判断する」でも説明した通り、修繕によって査定額が上がっても、修繕費のほうが大きければ、修繕せずに現況のまま売却したほうが手元に残る金額が多くなる場合があります。
一方、修繕費が少なく、修繕による査定額の上昇が大きい場合は、修繕してから売却する方が手取りを増やすことが可能です。
また、建物の損傷が非常に大きい場合は、修繕だけでなく解体して更地として売却する方法も比較します。ただし、解体費用が発生するため、建物付きの状態と更地の両方で査定を受けてから判断しましょう。
4.仲介または買取で売却する
仲介は不動産会社を通して一般の買主を探します。売却までに時間がかかる場合がありますが、買主との条件が合えば、買取より高い価格で売却できるケースがあります。
一方、買取は不動産会社などに直接売却する方法です。一般の買主を探す必要がないので売却までの期間や手間を抑えやすく、修繕せず現況のまま売却できる場合もあります。
どちらを選ぶべきか迷ったときは、以下の内容を参考にしてみてください。
仲介と買取が向いているケース・向いていないケース
| 売却方法 |
向いているケース |
向いていないケース |
| 仲介 |
できるだけ高く売りたい人。水害による被害が比較的軽くて立地にも需要があり、買主が見つかるまで時間をかけられる人に向いている |
できるだけ早く売りたい人。買主が見つかるまで時間がかかる可能性がある |
| 買取 |
できるだけ早く売却したい人。修繕せず現況のまま売りたい、被害が大きく修繕費が高額になる場合に向いている |
できるだけ高く売りたい人。修繕費や再販売のリスクなどが考慮されるため、仲介より売却価格が低くなる傾向がある |
なお、仲介と買取の特徴は「水害に遭った家を売る方法は「仲介」と「買取」が基本」にて詳しく解説しています。どちらを選ぶかは水害による被害の程度だけでなく、希望する売却価格や売却時期、修繕にかけられる費用などを踏まえて判断しましょう。
5.浸水履歴や物件状態を確認したうえで契約する
買主が決まったら、浸水履歴や現在の物件状態などを確認したうえで売買契約を締結します。売主が把握している水害の被害や現在の不具合については、不動産会社に正確に伝えておきましょう。
被災直後の写真や修繕履歴などがあれば、契約時の説明にも利用できます。具体的な資料については「被害状況・修繕履歴・水害対策に関する資料を残しておく」にて詳しく解説しています。
契約内容と実際の物件の状態が異なる場合、契約不適合責任を問われる可能性があります。特に、水害によって発生した不具合を把握している場合は、その内容を不動産会社に伝えたうえで、契約上どのように扱うのかを確認しておきましょう。
まとめ
水害に遭った家でも売却することは可能ですが、建物の損傷状況やカビ・悪臭などの二次被害、今後の水害リスクなどによって売却価格は変わります。まずは現在の状態を把握し、そのうえで修繕する場合と現況のまま売却する場合で、それぞれいくらで売れるのか、どの程度の需要があるのかを不動産会社に査定してもらいましょう。
なお、修繕によって査定額が上がっても、修繕費がそれを上回れば、現況のまま売却したほうが手元に残る金額が多くなる可能性がある点に注意してください。査定額は不動産会社によって異なるため、1社だけで判断せず、複数社に査定を依頼して比較することをおすすめします。
売却方法には、主に仲介と買取があります。仲介は買主を探すため売却まで時間がかかる場合がありますが、買主との条件が合えば買取より高い価格で売却できるケースがあります。一方、買取は不動産会社などに直接売却するため、買主を探す手間を抑えやすく、修繕せず現況のまま売却できる場合もあります。
水害に遭った家をできるだけ損せず売るには、まず被害状況や修繕履歴を整理し、修繕や解体をする前に複数社から現況の査定を受けることが大切です。そのうえで、修繕するか現況のまま売るか、更地にするかを比較し、自分の物件に合った売却方法を選びましょう。