ガソリンスタンド跡地がそのまま売却できない要因
ガソリンスタンド跡地がそのまま売却できない要因として、以下が考えられます。
- 土壌汚染されている可能性がある
- ガソリンの臭いが残っている可能性がある
- 地下タンクが残っていると地盤沈下を起こす可能性がある
なぜそのまま売却できないのか、詳しく解説します。
土壌汚染されている可能性がある
近年のガソリンには、特定有害物質であるベンゼンも基準値以下で、鉛も含まれていません。
特定有害物質とは、人体の健康に悪影響を及ぼす可能性のある物質で、基準値内であれば問題ないとされています。
一方1975年以前に販売されていたガソリンには、多くのベンゼンと鉛が含有されていました。そのため、土壌が汚染されている懸念があるのです。
また開業から30〜40年経過しているガソリンスタンドの場合、地下タンクが劣化しガソリンが漏洩している恐れもあるでしょう。
詳しくは土壌汚染調査をおこない安全性を証明するで説明しますが、ガソリンスタンド跡地には土壌汚染の調査義務はありません。
ただし地域によっては土壌調査が義務づけられていたり、購入時に買主に調査を求められたりするケースもあります。なお調査の結果、土壌汚染が判明した場合、浄化対策工事が必要となります。
ガソリンの臭いが残っている可能性がある
ガソリンスタンド跡地には、ガソリンの臭いが残っている可能性があります。
臭いが残っている物件は、人に不快感を与えてしまい、売れにくくなってしまうのです。
ガソリンスタンド跡地の悪印象を取りのぞくには、ガソリンが染み込んだ土壌を除去したり、油分を取り除いたりする必要があります。
ガソリン臭や油膜などに対する対策については、環境省のガイドラインを参考にするとよいでしょう。
参照:環境省「油汚染対策ガイドラインのご紹介」
地下タンクが残っていると地盤沈下を起こす可能性がある
地下タンクが埋設されていると、地盤がゆるくなってしまったり、建物の基礎工事の邪魔になってしまったりする可能性があります。
地盤沈下のリスクを抱えていたり、建物の基礎工事に支障をきたしたりする場合、ガソリンスタンド跡地の資産価値は下がり、買主から購入を避けられてしまいます。なぜなら、地下タンクを撤去・処分する場合、買主側にかかる負担が大きくなるためです。
ガソリンスタンド跡地をできるだけ高く売りたい場合は、地下タンクを売主側で撤去しておくとよいでしょう。
ガソリンスタンド跡地を売却する3つの方法
ガソリンスタンド跡地の売却する場合、以下のように3つの方法があります。
- 居抜き物件として売却する
- 更地にして売却する
- 専門買取業者に売却する
それぞれの方法について具体的に解説します。
【方法1】居抜き物件として売却する
ガソリンスタンド跡地は「居抜き物件」として売却が可能です。。居抜きとは、設備や内装、備品などがそのまま残った状態で不動産物件を他の人に売却したり、貸したりすることです。
ガソリンスタンドを更地に一から作る場合、多額の費用がかかりますが、居抜き物件なら設備をそのまま使用できます。
またガソリンスタンドは、車の交通量が多い幹線道路に面している店舗が多いので、立地条件に優れているうえ駐車場も多く、顧客を呼び込みやすいというメリットもあります。実際に、ガソリンスタンド跡地がコンビニや携帯ショップ、飲食店などに転用されているケースも多いです。
出店予定地を探している法人や開業予定の個人事業主をターゲットにすれば、買主が見つかりやすいでしょう。
【方法2】建物を解体して更地として売却する
建物や設備などが残っている土地よりも、買主の購入目的を限定しない更地のほうが需要が高いため、買主が見つかりやすくなります。
更地であれば、土地を整えるだけですぐに住宅を建築できますし、砂利やコンクリートを敷けば駐車場として貸し出して固定収益を得ることも可能です。使い道が多い更地は、さまざまな買主からの需要が高いので、土地を求める人の母数が必然的に多くなり売れやすくなります。
また、ガソリンスタンド跡地のように車が出入りしやすい立地の物件は店舗として最適なので、事業用不動産としての需要も高まります。一般の買主以外にも不動産投資家や事業者の需要も高いのが、ガソリンスタンド跡地の強みといえるでしょう。
ただし、ガソリンスタンド跡地を更地にするためには、建物や設備の解体費用が必要です。
解体費用の相場は、以下のとおりです。
建物の構造 |
解体費用 |
鉄骨造 |
3.5~4.5万円
(一坪あたり) |
RC鉄筋コンクリート造 |
5~7万円
(一坪あたり) |
さらに、土壌汚染対策が必要であれば、浄化作業の費用もかかります。そのため更地にして売却しても、解体費用や土壌汚染費用まで回収できる確率は低いでしょう。
したがって更地での売却は、解体費用をまかなえる資金があったり、解体費用や土壌汚染対策を行っても利益がでるほど高く売れたりする場合に限られます。
【方法3】「訳あり物件専門の買取業者」にそのまま売却する
次のような場合、ガソリンスタンド跡地を買取業者に売却する方法もおすすめです。
- 「解体費用をかけずに現物のまま売却したい」
- 「すぐに売却して現金化したい」
ガソリンスタンド跡地のような特殊物件でも「訳あり物件専門の買取業者」であれば、相場に近い価格で買取してくれるケースもあります。
一方で、通常の土地や建物をメインに扱う一般的な不動産業者の場合、ガソリンスタンド跡地は安値で買い叩かれたり、買取拒否されてしまうことも多いです。
しかし「訳あり物件専門の買取業者」であれば、買取後に自社で建物を解体するため、ガソリンスタンド跡地でも現状そのままで買取してもらえます。高額買取してもらえる可能性も高く、数日で現金化も可能です。
当社クランピーリアルエステートも「訳あり物件専門」の買取業者で、ガソリンスタンド跡地の買取も積極的に行っています。売却を急いでいる場合は、最短48時間で現金化できます。無料査定も行っているため、買取価格や条件を相談してみるとよいでしょう。
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ガソリンスタンド跡地の売却前に準備すること
ガソリンスタンド跡地でも売却可能とはいえ、買主が見つからずに売れにくいことは否めません。
ガソリンスタンド跡地の売却前には、以下の準備をしておくと買主が見つかりやすいです。
- 廃業手続きをおこなう
- 土壌汚染の調査をする
- 地下タンクを撤去する
それぞれの準備について、具体的に解説します。
消防署や経済産業省へ廃業を届け出する
ガソリンスタンドを廃業する際は、以下の書類の提出が必要です(揮発油等の品質の確保等に関する法律第9条)。
提出する書類 |
提出先 |
廃止届 |
管轄エリアの消防署 |
揮発油販売業廃止届出書 |
経済産業省 |
石油販売業廃止届出書 |
経済産業省 |
届出書は経済産業局の窓口または、ホームページから入手できます。
具体的な廃業の手続きの方法や流れは、自治体などに問い合わせるとよいでしょう。
参照:経済産業省「品確法(ガソリンスタンド)の各種申請・届出」
土壌汚染調査を行い安全性を証明する
廃業手続きが完了したら、次は土壌汚染の調査を行いましょう。
ガソリンスタンドの跡地は、土壌汚染の調査義務はありません。土壌汚染対策法第3条にもとづく「特定施設」に該当しないためです。
特定施設とは、排水の水質規制が必要な施設として、法令により特別に指定された施設を指します。土壌汚染対策法第3条では、特定有害物質を使用する特定施設が廃止された場合、土壌汚染状況について調査を行うように規定されています。
しかしガソリンスタンド跡地は、土壌汚染対策法の対象の「特定施設」ではないため、土壌汚染調査をしなくてもそのまま売却が可能です。
ただし、次のいずれかに該当する場合、土壌汚染調査を必ず実施しなければなりません。
- 自治体が条例で土壌汚染調査を義務づけている場合
- ガソリンスタンドを解体、または開発して売却する際、土地改変を行う面積が3,000㎡以上で土壌汚染対策法第4条に該当する場合
土壌汚染調査が必要な場合は、土地の使用を廃止してから30日以内に、都道府県知事に対して「有害物質使用特定施設の廃止」の届出が必要です。また土地の使用を廃止してから120日以内に、土壌汚染調査内容の報告をしなければなりません。
なお土壌汚染調査が不要の場合でも、ガソリンスタンド跡地の土壌状態が不明だと買主が不信感を持ち、購入を避けられることも多いです。よって、土壌汚染調査が義務付けられていなくても、調査は行ったほうがよいでしょう。
土壌汚染調査は専門の業者に依頼しますが、具体的な費用はケース・バイ・ケースです。
土壌汚染調査会社の株式会社ジオリゾームでは、参考費用として次の価格を提示しています。
【土壌汚染調査の費用】
地歴調査:約7万円~
表層土壌調査:900㎡以内で約20万~35万円程度、1,800㎡以内で約45万~60万円程度
ボーリング調査:1箇所20万~80万円程度
調査する物件の規模や、土壌汚染の範囲・種類、業者ごとの料金設定の違いなど、さまざまな要因に左右されるため、複数の業者から見積もりを取るようにしましょう。
土壌汚染があれば浄化作業をおこなう
ガソリンスタンド跡地で土壌汚染が発覚した場合、そのままでは売却できません。
汚染された土壌の浄化作業をおこない、健康被害の心配がない安全な土地にする必要があります。
土壌汚染対策は、基本的に以下の4項目です。
- 汚染されている土壌の処分
- 掘削後の土地の埋直し
- 重金属および揮発性有機化合物の処分
- 地下水の汚染物質の除去
広範囲にわたり土壌汚染されていたり、大量の汚染物質が検知されたりした場合、浄化作業にかかる費用が高額になるケースがあります。場合によっては、土壌の浄化費用を取り戻せない恐れもあるでしょう。
なお、土壌汚染調査会社の株式会社ジオリゾームでは、参考費用として次の価格を提示しています。
【浄化対策工事の費用】
数百万円~数億円
※汚染の範囲や種類によって大きく異なる。深度が浅ければ1㎥あたり3万円~5万円程度で収まるケースもあり。
参照:株式会社ジオリゾーム「費用について」
浄化工事は調査する物件の規模や、土壌汚染の範囲・種類、業者などにより異なるため、複数に見積もり依頼するとよいでしょう。
地下タンクを撤去して地盤沈下のリスクを下げる
ガソリンスタンド跡地の場合、ガソリンの地下タンクは撤去してから売却したほうがよいでしょう。
地下タンクのような地下埋設物があると、地震などの影響で地盤沈下が起こるリスクが高くなります。
売却後に地盤沈下のようなトラブルが起きると、買主から契約不適合責任を問われて損害賠償を請求されることもあります。契約不適合責任とは、売買契約において買主に引き渡した不動産が、種類・品質・数量に関して契約内容と合っていない場合に買主に対し負うべき責任です。
地下タンクの撤去費用は、タンクの数や大きさ、危険性などにより異なりますが、規模によっては1,000万円以上の高額な費用がかかります。また、地下タンクを撤去せずに売却すると、買主から撤去費用として値引きを請求されるケースも考えられます。
ガソリンの地下タンク撤去作業は発火や爆発などの危険性が伴うため、必ず専門業者に依頼しましょう。
なおガソリンスタンドの地下タンクの撤去費用に対して、経済産業省から補助金を受け取れるケースがあります。
申請は「全国石油協会」などの民間団体を介して行います。補助金が受け取れる条件は次の通りです。
・地下タンク、配管を撤去する工事
・中小企業等
・財務状況の厳しい事業者
補助金申請については、以下のリンク先も参考にしてください。
参照:一般社団法人全国石油協会「環境・経営支援事業(補助事業)」
ガソリンスタンド跡地であると買主に告知する
更地や駐車場などにして売却する場合でも、土地がガソリンスタンドとして活用されていたことを買主に告知する必要があります。なぜなら、土壌汚染調査によって安全性が確認できても「本当に健康被害がないのか?」と心配に感じて購入をためらう買主もいるからです。
ガソリンスタンド跡地であることを買主に告知しなかった場合、売買契約解除や損害賠償請求などのトラブルに発展してしまう恐れもあります。
売却後のトラブルを避けるには、土壌汚染の調査や浄化作業などの結果を買主に提示するとよいでしょう。
まとめ
ガソリンスタンド跡地は、立地条件もよく車の出入れもしやすい、魅力ある物件が多いです。
しかしガソリンスタンド跡地は、土壌汚染の可能性や地盤の安定性を懸念され、そのままでは売却しにくいです。そのため土壌汚染調査や地下タンクを撤去する必要があり、膨大な費用や手間がかかってしまいます。
そのためガソリンスタンド跡地をそのまま売りたい場合は「訳あり物件専門の買取業者」に買取してもらう方法がおすすめです。「訳あり物件専門の買取業者」なら、土壌汚染調査などの手続きを代行してもらえる上、最短数日でガソリンスタンド跡地を買取可能です。
当社クランピーリアルエステートも、ガソリンスタンド跡地の買取を行っています。無料査定も可能ですので、お気軽にお問合せください。
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