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ゴミ屋敷売却の完全マニュアル!売却までにかかる費用一覧や放置するリスクも解説

ゴミ屋敷とは、大量の不要物やゴミが家や敷地内に溜まり、害虫や悪臭の発生、火災のリスクや通行の障害が生じるなど、本人や地域の生活環境に多大な影響を及ぼす管理不全な状態の住宅です。相続などによってゴミ屋敷を所有している場合、「本当に売却できるのだろうか」と不安に感じている方もいるでしょう。

結論、ゴミ屋敷でも売却は可能です。主に以下の3つのような方法で売却できます。

方法 内容 おすすめのケース
ゴミ屋敷をそのままの状態で売る 買取業者に現状のまま売却する方法。片付けや清掃をする費用・手間がかからない。 ・ゴミ屋敷の売却に時間や手間をかけたくない場合

・少しでもゴミ屋敷売却の可能性を高めたい場合
ゴミを撤去してから売る 清掃・片付け・リフォームを行い、仲介業者を通じて売却する方法。市場価格に近い価格で売却できる可能性があるが、清掃・リフォーム費用が発生する。 ・比較的ゴミの少ない物件の場合

・悪臭や近隣トラブルがない物件の場合
更地にして売る 建物を解体して更地にしたうえで、仲介業者を通じて売却する。ゴミの処分費用・解体費用が発生する。 ・建物の劣化や損傷が激しい場合

・更地の需要が高い地域の場合

ゴミ屋敷は放置を続けると火災や倒壊、害虫被害などで近隣トラブルに発展したり、特定空き家に指定され行政代執行を受けたりするおそれがあり、多額の費用を請求されるリスクがあります。そのため、いずれの売却方法を選択するにしても、早期に動くことが重要です。

本記事では、ゴミ屋敷の売却方法や相場、高く売るためのコツをはじめ、売却にかかる費用や税金、売却の流れ、放置するリスクについても詳しく解説します。

なお、ゴミ屋敷の売却を検討している方は、ぜひイエコンの一括査定をご活用ください。イエコンの担当窓口が複数社への査定依頼を代行し、サポートセンターが業者とのやり取りもまとめて対応します。そのため、利用者自身が複数の業者と直接やり取りする必要はありません。

また、「できるだけ高い査定額を出す業者だけ知りたい」「士業と連携している業者に絞って依頼したい」といった場合は、希望条件に合う業者に絞り込んで査定を依頼することも可能です。

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ゴミ屋敷の売却方法は「そのままの状態で売る」「ゴミを撤去して売る」「建物を解体する」の3パターン

ゴミ屋敷であっても売却できないというわけではありません。通常物件と比べれば売却が難航しやすい物件ではありますが、大まかに売却方法には下記の3パターンがあります。

  • ゴミ屋敷をそのままの状態で売る方法
  • ゴミを撤去してから売る方法
  • ゴミ屋敷を更地にして売却する方法

それぞれの方法の特徴やメリット・デメリット、向いているケースを詳しく解説します。

ゴミ屋敷をそのままの状態で売る方法

ゴミ屋敷は、片付けや清掃をせずに「そのままの状態」で売却することも可能です。

ゴミ屋敷を購入する一般の買主はほとんどいないため、仲介業者で売却を成立させるのは難しいですが、訳あり物件を専門とする買取業者であれば売却ができます。

買取業者は物件を直接買い取るため、室内にゴミが残ったままの状態でも問題ありません。片付けの手間や労力をかけずに、ゴミ屋敷の売却ができます。また、仲介業者のように買主を探す手間がないため、最短で数日〜1週間程度で現金化が可能です。

ただし、ゴミ屋敷という性質上、売却価格は近隣の相場よりも低くなるのが基本です。売却価格の相場については、「ゴミ屋敷の売却相場は?」を参考にしてみてください。

買取業者への売却は、価格よりもスピードや手間の削減を優先したい場合に向いている方法です。

メリット ・片付けや清掃の手間・費用がかからない

・最短数日〜1週間で現金化できる
デメリット ・売却価格が近隣相場より低くなる
向いているケース ・ゴミ屋敷の売却に、時間や手間をかけたくない場合
・売却価格が下がっても、ゴミ屋敷を手放したい場合

ゴミを撤去してから売る方法

ゴミ屋敷は、片付けや清掃を行ってから売却することも可能です。室内をきれいに整えれば、不動産仲介業者を通して一般の買主を探すことができ、市場価格に近い価格で売れる可能性が高まります。

ただし、自分で清掃するのが難しい場合は、専門の片付け業者や清掃業者に依頼する必要があり、その分の費用がかかります。

室内に悪臭が残っている場合は消臭作業も必要となり、さらに費用がかさみます。ゴミの処分や清掃、消臭作業などで発生する費用については、「ゴミ屋敷を売却するときにかかる費用一覧」を参考にしてみてください。

また、過去にゴミが原因で悪臭や害虫被害、近隣トラブルがあった場合には、その事実を購入希望者に説明する義務があります。告知後は買主が敬遠したり、値下げが必要になる可能性があるため、想定より安い価格での売却になるケースもあります。

ゴミの撤去後の仲介業者での売却は、比較的ゴミの量が少なく、近隣トラブルもない物件で、清掃によって物件価値を高められる場合に向いてる方法です。

メリット ・室内がきれいになれば、近隣相場に近い価格で売れる可能性がある
デメリット ・片付け・清掃・消臭作業に手間や費用がかかる
・過去にトラブルがあった場合、値下げが必要になることがある
向いているケース ・比較的ゴミの少ない物件の場合
・悪臭や近隣トラブルがない物件の場合

ゴミ屋敷を更地にして売却する方法

ゴミ屋敷を更地にして売却する方法は、建物や室内の状態が著しく悪く、清掃や修繕では買い手がつきにくい場合に検討するのが良いでしょう。ゴミを撤去したうえで解体業者に依頼し、更地にすることで、購入希望者の幅を広げられる可能性があります。

ただし、解体には注意点もあります。多くの解体業者は建物解体に伴う産業廃棄物は処理できますが、生活ごみや不用品(一般廃棄物)は処理できないため、清掃業者と解体業者の両方に依頼する必要があり、その分費用がかさみます。

さらに、建物を取り壊すと「住宅用地の特例」(固定資産税や都市計画税の軽減措置)が使えなくなり、固定資産税が最大6倍になることもあります。

住宅用地の特例率
区分 固定資産税 都市計画税
小規模住宅用地
(200㎡以下の部分)
価格×1/6 価格×1/3
一般住宅用地
(200㎡を超える部分)
価格×1/3 価格×2/3

参照:大阪市:住宅用地の課税標準の特例措置

駅近や商業エリア、再開発が進んでいる地域では、建て替えを前提とした需要が強いため、解体して更地で売却したほうが高値につながるケースがあります。

一方、郊外や地方の住宅地、子育て世帯が多いエリアでは「中古住宅を購入してリフォームして住む」といった需要が見込めるため、更地にせず建物付きのまま売却したほうが高値になることもあります。安易に解体してしまうと、かえって価格が下がってしまうケースもあります。

さらに、接道義務を満たさない「再建築不可物件」は、更地にしてしまうと新しい建物が建てられないため、売却が難しくなります。

そのため、更地にするかどうかは自己判断せず、不動産会社に相談し、エリアの需要や費用対効果を踏まえて慎重に決めることが大切です。

メリット ・更地にすることで買主が見つかりやすくなる可能性がある
デメリット ・清掃業者と解体業者の両方への依頼費用が発生する
・住宅用地の特例が使えなくなり固定資産税が増える
・再建築不可物件は更地にできない
向いているケース ・建物の劣化や損傷が激しい場合
・更地の需要が高い地域の場合

ゴミ屋敷の売却で手間や費用をかけたくないなら「訳あり物件専門の買取業者」を検討する

「ゴミの処分費用を用意できない」「自分で片付けるのは面倒」といった場合は、ゴミ屋敷をそのまま売却したいと考える人も多いでしょう。

手間や費用をかけずゴミ屋敷を手放したいなら、そのままの状態で「訳あり物件専門の買取業者」へ売却するのがおすすめです。

買取業者を利用する主なメリットは次のとおりです。

  • ゴミが残っている状態でもそのまま買い取ってもらえる
  • 契約不適合責任が免除される
  • 数日〜1週間程度で現金化できる
  • 近隣トラブルが起きている場合でも買取対象になる

「なるべく高く買い取ってくれる業者に依頼したい」「どの業者を選べば良いのかわからない」と迷っている方は、ぜひイエコンの一括査定をご利用ください。ゴミ屋敷などの訳あり物件を専門に扱う業者に限定して査定を依頼できるほか、査定額が高い業者だけを厳選してお伝えすることも可能です。

ゴミが残っている状態でもそのまま買い取ってもらえる

ゴミ屋敷を不動産仲介で売却する場合、多くは買い手が見つからず、売却前に片付けや清掃、場合によってはリフォームが必要になります。

一方、訳あり物件を扱う買取業者なら、室内にゴミが残ったままでもそのまま買い取ってもらうことが可能です。売主自身で処分や清掃を行う必要がないため、時間や労力、費用をかけずに現金化できます。

契約不適合責任が免除される

買取業者との取引では、多くの場合「契約不適合責任」を免除する契約が結ばれます。契約不適合責任とは、売却した物件が契約内容と異なっていた場合に、売主が修理や損害賠償などの責任を負う制度です。

ゴミ屋敷では、ゴミに隠れて床や壁の損傷などが見落とされることも少なくありません。契約不適合責任が免除されていれば、売却後に売主自身も気づかなかった欠陥が見つかった場合でも、追加費用を請求されたり契約を取り消されたりする心配はありません。さらに、仲介での売却にかかる仲介手数料も、買取の場合は不要です。

ただし、すべての業者が免責契約を採用しているわけではないため、契約前に必ず条件を確認しておきましょう。

数日〜1週間程度で現金化できる

買取業者への売却は、仲介のように買主を探す必要がないため、最短数日〜1週間程度で現金化できます。業者が直接買い取る仕組みなので、手間や費用をかけずにスピーディーにゴミ屋敷を手放せるのが特徴です。早く現金化したい方や、引っ越し・支払いなどの期限が迫っている場合に向いています。

近隣トラブルが起きている場合でも買取対象になる

買取業者のなかには、弁護士・司法書士・税理士などの専門家と連携し、法的手続きや権利関係を整えながら取引を進められるところもあります。

士業と連携している買取業者であれば、景観や悪臭などが原因で近隣トラブルが発生しているゴミ屋敷でも、買取後の対応を含めて引き受けてくれるため、売却が可能です。査定時には、トラブルの状況や活用方法も踏まえて金額を提示してくれます。

ゴミ屋敷の売却相場は?

弊社ではゴミ屋敷の売却を検討されている方から「ゴミ屋敷の売却相場はいくらでしょうか」といった相談を受けることがあります。

まず大前提として、不動産の売却価格は物件の立地・広さ・築年数・状態といった条件で決定されます。条件が全く同じ不動産は存在しない以上、「必ずこの価格で売却できる」と断言することはできません。

とはいえゴミ屋敷の場合、物件に残っているゴミや異臭、物件へのダメージといった物理的な瑕疵があります。また、「元々ゴミ屋敷だった」という事実が心理的な瑕疵になってしまうこともあり、通常物件よりも売却価格が安くなるのが基本です。

そのため、通常物件と同等の価格で売りに出したとしても、ゴミ屋敷の場合は買主が現れづらく、売却するには価格を下げざるを得ない状況になりやすいのが実情です。

あくまで目安に過ぎませんが、今までの買取・相談の実績を考慮すれば、ゴミ屋敷の売却相場は通常物件の5割〜7割程度といえます。

また、ゴミ屋敷を仲介・買取のどちらで売却するのかによっても、売却相場は変わります。

売却方法 価格の目安 特徴
仲介 市場価格の約7〜8割 一般の買主を探す方法。高値を狙えるが、清掃や修繕が必要なことが多い。
買取 仲介価格の約7〜8割 買取業者が直接買い取るため早期現金化が可能。価格はやや低め。

端的に言えば、買取の場合は再販売などでその物件を活用するための経費がかかり、その分買取価格が安くなるため、仲介よりも売却相場も安くなります。

なお、相場はあくまでも目安に過ぎず、所有しているゴミ屋敷の条件次第では相場よりも売却価格が高く・安くなるため注意が必要です。

たとえば、異臭や大規模な損傷がある場合はさらに売却価格が下がりやすく、ダメージが比較的少ない物件であれば相場よりも高値での売却に期待できます。

「イエコン」では、ゴミ屋敷などの訳あり物件を専門とする業者にのみ査定を行える「一括査定」を用意しています。業者との対応はすべて弊社のサポートセンターが代行し、複数業者の査定結果を取りまとめてお伝え可能です。

「ゴミ屋敷の売却価格の目安を知りたい」「最も高値で売れる業者を探したい」といった場合には、イエコンの一括査定をご利用ください。

ゴミ屋敷を仲介で売る場合の売却価格シミュレーション

前提として、仲介で不動産を売却する場合、売却価格は売主が決められます。その価格で売却活動をしたうえで購入希望者が現れれば売買契約に進むため、仲介は「売主が希望した価格でも不動産を売却できる方法」ともいえます。

ただし、前述の通りゴミ屋敷の場合、通常物件よりも売却価格は安価になりやすいです。そのため、安値で売りに出さなければ購入希望者がなかなか現れないという事態になりやすいのです。

その結果、買主がつくようにするためにも、ゴミ屋敷の売却価格を下げざるを得ないケースが多いです。あくまで目安に過ぎませんが、仲介でゴミ屋敷を売却する場合、一般的には市場価格の7〜8割程度が目安です。

下記は市場価格ごとのおおよその売却価格の目安です。

仲介で売る場合の売却価格の目安(市場価格の7〜8割)
市場価格 売却価格の目安
1,000万円 700万〜800万円
2,000万円 1,400万〜1,600万円
3,000万円 2,100万〜2,400万円
4,000万円 2,800万〜3,200万円
5,000万円 3,500万〜4,000万円
6,000万円 4,200万〜4,800万円
7,000万円 4,900万〜5,600万円
8,000万円 5,600万〜6,400万円
9,000万円 6,300万〜7,200万円
1億円 7,000万〜8,000万円

ただし、室内の状態によっては清掃・修繕費用が別途必要になり、その分手取り額が下がります。

以下は、市場価格3,000万円のゴミ屋敷を清掃し、仲介で売却した場合のシミュレーションです。

【ケース1:軽度(清掃のみ)】
売却価格(市場価格3,000万円 × 75%)= 2,250万円
清掃費用:10万円
仲介手数料(税込):80.85万円
手取り額:約2,159万円


【ケース2:重度(清掃+消臭+大規模リフォーム)】
売却価格(市場価格3,000万円 × 75%)= 2,250万円
清掃費用:30万円
リフォーム費用:300万円
仲介手数料(税込):80.85万円
手取り額:約1,839万円

ゴミ屋敷を買取で売る場合の売却価格シミュレーション

ゴミ屋敷を買取業者で売却する場合、実務経験上どうしても仲介業者よりも価格が安くなります。買取業者が買い取った物件を再販売する際に、ゴミの処分費用やリフォーム費用、再販売までの管理コストなどを負担するためです。

再販売のためのコストを見越して査定額を算出するため、仲介での売却価格(市場価格の7〜8割)のさらに7〜8割程度に設定されます。その結果、市場価格に対しておおよそ49%〜64%が買取額の目安となります。

例えば、市場価格が1,000万円の物件であれば、仲介では約700万〜800万円、買取では約490万〜640万円が相場です。

下記は市場価格ごとのおおよその売却価格の目安です。

買取で売る場合の売却価格の目安(仲介の売却価格の7〜8割)
市場価格 売却価格の目安
1,000万円 490万〜640万円
2,000万円 980万〜1,280万円
3,000万円 1,470万〜1,920
4,000万円 1,960万〜2,560万円
5,000万円 2,450万〜3,200万円
6,000万円 2,940万〜3,840万円
7,000万円 3,430万〜4,480万円
8,000万円 3,920万〜5,120万円
9,000万円 4,410万〜5,760万円
1億円 4,900万〜6,400万円

以下は、市場価格3,000万円のゴミ屋敷を買取で売却した場合のシミュレーションです。

【ケース1:軽度(仲介の売却価格の8割で売却)】
売却価格:1,920万円(3,000万円 × 64%)
印紙税:1万円
手取り額:1,919万円


【ケース2:重度(仲介の売却価格の7割で売却)】
売却価格:1,470万円(3,000万円 × 49%)
印紙税:1万円
手取り額:1,469万円

ゴミ屋敷をなるべく高値で売却するためのコツ

ゴミ屋敷をなるべく高く売却したい場合は、以下のようなコツも知っておきましょう。

  • ゴミの撤去やリフォームなどで物件の価値を高める
  • 無理に解体せずに古家付きの土地として売却することも検討する
  • 複数の業者に査定を依頼しておく

ただし、ゴミ屋敷といってもエリアや建物の状態によって最適な方法は異なります。必ずしもリフォームや解体が高値につながるとは限りませんが、こうした選択肢を知っておくことで、売却時に有利な判断ができる可能性が高まります。

ゴミの撤去やリフォームなどで物件の価値を高める

物件の腐食や汚れがひどい場合はリフォームも検討しましょう。ゴミを処分しただけでは、臭いが残っていたり家が傷んだりしており、内覧する際によい印象が与えられないためです。

床や壁紙を張替えたり、お風呂やキッチンを一式取り替えたりすれば、物件の資産価値が上がります。結果的に、高値での売却につながります。

ただしリフォームは数十万〜数百万円規模の費用がかかるため、リフォームの必要があるかどうかは不動産会社に相談したうえで判断することが大切です。

なおリフォームをした際も、通常とは異なるにおいがしたり、修繕しきれなかった傷・汚れがあったりする場合は購入者に伝える義務があります。伝えなかった場合、売主は契約不適合責任を問われる可能性があるためです。

ゴミ屋敷だったことが原因で、値下げ対応などが必要になるケースもあります。リフォームをしても早く・高く売却できるわけではないことを念頭にいれておきましょう。

無理に解体せずに古家付きの土地として売却することも検討する

ゴミ屋敷を「古家付き土地」として売却する方法もあります。古家付き土地とは、古家が建った状態で売り出される土地をいいます。

更地にしてから売却する場合と比較すると、解体費用がかからないため、費用面での負担を減らせます。また建物があるため、住宅用地の軽減措置特例が適用され、更地よりも固定資産税が安くなります。無理に解体せず、古家付きの土地として売却した方が、結果的に手元に残るお金が多くなるケースもあります。

ただし古家付き土地として売却する場合、解体の費用や手間を買主に託すことになるため、その分を見込んだ価格設定となります。そのため更地で売るよりも土地の値段が割安になってしまいます。希望価格で売りたい場合は、売主側で取り壊した方が有利になるケースもあります。

解体して更地で売却するのが良いか、古家付き土地として売却するのが良いかは、エリアの需要や物件の状態によって異なります。そのため、一律に判断するのではなく、不動産会社に相談し、現状やエリアの市場動向に合った方法を選ぶことが大切です。

複数の業者に査定を依頼しておく

ゴミ屋敷に限らず、不動産の査定額は業者ごとに大きく差が出ることがあります。そのため、仲介で売却する場合も、買取業者に依頼する場合も、最低でも2~3社へ査定を依頼し、金額や条件を比較することが大切です。

ただし、提示された査定額だけで業者を決めてしまうのは危険です。例えば、買取業者のなかには高めの査定を提示しながら、契約不適合責任(売却後に欠陥が見つかった際の責任)を免除していない契約を結ぶケースもあります。その場合、売却後に損害賠償や契約解除を求められるリスクが残ります。

安心して売却するためには、査定額だけでなく、契約内容に免責条項が含まれているか、またその業者の実績や信頼性が十分かどうかを確認したうえで選ぶことが重要です。

ゴミ屋敷を売却するときにかかる費用一覧

ゴミ屋敷を売却するために清掃業者や解体業者に片付けを依頼する場合、主に以下の費用がかかります。

ゴミ屋敷の売却にかかる費用 金額
ゴミを処分するための費用 粗大ごみの処理手数料:1点数千円程度
リサイクル家電の処理手数料:1点1,000円~5,000円程度
物件の清掃にかかる費用(清掃業者への依頼) 3万~数十万円
消臭作業にかかる費用 数千円~数万円
ゴミを処分した後のリフォームにかかる費用 数百万円~
ゴミ屋敷を解体する場合にかかる費用 1坪3~5万円程度

売却前にかかる費用をあらかじめ把握し、無理のない資金計画を立てましょう。

ゴミを処分するための費用

自分でゴミを処分する場合も、清掃業者などに依頼する場合もゴミの処分費用がかかります。

自分でゴミを処分する場合、粗大ごみやリサイクル家電などがあれば、以下のような処理手数料が必要です。

  • 粗大ごみの処理手数料:1点数千円程度
  • リサイクル家電の処理手数料:1点1,000円~5,000円程度

できる限り自分でゴミを処分して、残りは清掃業者に任せるなどの工夫をすれば、ゴミの処分にかかる費用を抑えられるでしょう。

粗大ごみの処理手数料は「1点数千円程度」

粗大ごみとは、日常生活に伴って不要となった大型のゴミをいいます。

具体的には、一般家庭から排出されるガス・石油器具、家具・寝具などです。

粗大ごみの処理を自治体に依頼する場合、大まかな処理手数料は以下のとおりです。(東京都大田区の場合)

品目 手数料
ベッド(マットを除く) 1,200~2,000円
ソファー 800~2,000円
箱物家具(タンスや棚類など) 300~2,800円
テーブル(机・デスクは別品目) 800~1,200円
カーペット 300~1,200円

粗大ごみの処理手数料や処分方法は自治体によって異なるため、粗大ごみを出す地域の自治体に問い合わせて確認しましょう。

参照:粗大ごみ受付センター

リサイクル家電の処理手数料は「1点1,000円~5,000円程度」

リサイクル家電はエアコン、テレビ(ブラウン管、液晶・プラズマ)、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機が対象とされています。

メーカーによって異なりますが、リサイクル家電は大体1,000円~5,000円の処理費用がかかります。加えて、収集運搬費用も支払わなければなりません。

なお、リサイクル家電の収集運搬費用は約2,500円です。処理費用と収集運搬費用をあわせると、リサイクル家電1つあたり約3,500~7,500円の処理費用がかかります。

参照:経済産業省「家電リサクル法(特定家庭用機器再商品化法)」

参照:経済産業省「家電リサイクル法の収集・運搬料金に関する実態調査結果」

物件の清掃にかかる費用

ゴミ屋敷の片付けを清掃業者に依頼する場合は、3万円~数十万円程度の費用が発生します。費用は、建物の間取りによって決められることが多いです。

間取りごとのおおまかな相場は以下の表になります。

間取り 料金
1R・1K 3~8万円
1DK 5~12万円
1LDK 7~20万円
2DK 9~25万円
2LDK 12~30万円
3DK 15~40万円
3LDK 17~50万円
4LDK 22万円~要見積り

表の料金はあくまで目安のため、同じ間取りでもゴミの量や種類などで料金は変わります。作業員の人数や作業時間、トラックの数や大きさなどによっても費用に差がでます。

たとえば、天井に届きそうなほどゴミを溜め込んだ場合、1Kでも片付け費用が50万円以上かかるケースもあるのです。

片付け費用の見積もりは、複数の清掃業者に依頼して比較するのがおすすめです。サービス内容や料金を比べることで、納得できる業者を選びやすくなります。併せて、清掃業者を選ぶ際は「一般廃棄物処理業」の許可を持っているかどうかを必ず確認しましょう。一般廃棄物処理業者は、家庭や事業所から出るごみを収集・処分できる業者です。

一方で解体業者は建物の解体工事で発生する産業廃棄物の処理が中心で、一般ごみの処理許可を持たないことが多く、ゴミ屋敷の片づけには対応できないケースがほとんどです。

消臭作業にかかる費用

追加費用を支払うことで、オゾン消臭など特別な消臭作業を行える清掃業者もあります。オゾン消臭とは、たばこや生ゴミなどの強烈な臭いでも、短時間で無臭に近い状態にできる消臭方法です。

オゾン消臭の費用は、部屋の広さや臭いの強さなどで変わります。臭いの強さは人間の嗅覚や臭気測定器などで測定され、0~5段階の強さに分けられます。部屋の広さが30㎥未満の場合、軽度の臭い(0~1)であれば数千円で済みますが、強烈な臭い(4~5)だと数万単位の費用がかかる場合もあります。

清掃業者にゴミ屋敷の片付けを依頼すると同時に、消臭作業を行えるか相談するとよいでしょう。

ゴミを処分した後のリフォームにかかる費用

ゴミを処分後、内装全体をリフォームする場合は、数百万円〜が相場となります。もちろん、内装全体だけでなく一部の部屋や水回りのみの依頼も可能です。

主なリフォーム内容の費用相場は次のとおりです。

リフォーム内容 費用相場
壁紙張替え 1,500円/㎡~
天井リフォーム 10,000円/㎡~
フローリング張替え 15,000円/㎡~
トイレ取替 15~40万円
給湯器取替 20~30万円
洗面化粧台取替 20~40万円
キッチン本体取替 80~150万円
ユニットバス取替 80~150万円

なお費用相場は部屋の広さや設備のグレード、選ぶ内装材の種類によって異なります

リフォーム会社によっても費用は大きく違ってくるため、複数の業者に見積もりを依頼して価格やサービスなど納得できる業者を選びましょう。

ゴミ屋敷を解体する場合にかかる費用

ゴミや物件の放置によって住宅の腐食や損傷が激しく、修繕費用が高額になってしまう場合など、建物の解体を検討している人もいるでしょう。

住宅の解体費用は基本的に坪単価で決まります。木造住宅の場合は1坪3~4万円程度、鉄骨住宅の場合は1坪3.5~4.5万円、鉄筋コンクリート造の住宅は1坪5~8万円が相場といわれています。

仮に解体する建物が30坪の木造住宅だとすると、高く見積もって120万円程度の費用がかかる計算です。

また解体には、樹木やブロック塀の撤去、アスベストの撤去費などの付帯工事が必要な場合が多いです。

主な付帯工事とその費用目安は、以下のとおりです。

付帯工事 費用目安
樹木・庭木の撤去 1~5万円/1本
ブロック塀の撤去 2,000~3,000円/㎡
アスベスト撤去(処分面積300㎡以下) 2~8.5万円/㎡
門扉や倉庫の撤去 2万円/1個
浄化槽撤去 5~10万円
作業・工程追加のための人件費 1~2万円/1日

以上のような費用を解体費用に追加して支払わなければならないため、住宅を解体するなら余裕をもった資金計画が大切です。

解体費用は地域や解体業者によって異なるため、適正価格を把握するためにも、複数の解体業者に見積もりを出してもらうとよいでしょう。

ゴミ屋敷を売却するときにかかる税金

ゴミ屋敷を売却するときにかかる税金は、以下のとおりです。

ゴミ屋敷の売却時にかかる税金 概要 費用
所有権移転登記 所有者変更する際にかかる費用(買主が負担するのが一般的) 登録免許税:不動産の売買価格 × 2.0%(軽減措置ありで1.5%)
司法書士報酬:3~10万円程度
抵当権抹消登記 抵当権を外す際に発生する費用(売主負担) 登録免許税:1,000円
司法書士報酬:1~3万円程度
印紙税 経済取引等にともなって契約書や領収証などの文書を作成した場合に課税される税金 200円~48万円
譲渡所得税 不動産を売却したときの利益に課せられる税金 譲渡所得×税率(39.63%/20.315%)

登記費用

ゴミ屋敷を売却する際には、所有権の移転や抵当権の抹消といった登記に関する手続きが必要です。自分で行うことも可能ですが、法務局に書類を提出する必要があるため、司法書士に依頼するのが一般的です。

ゴミ屋敷を売却で発生する登記手続きと費用は、以下のとおりです。

概要 費用の負担者 費用の目安
所有権移転登記 売主から買主へ名義を変更する手続き。売却時には必ず必要。 買主

※買主・売主のどちらが負担しても良いが、慣習的には買主負担
登録免許税:不動産の売買価格 × 2.0%(軽減措置ありで1.5%)
例:3,000万円の物件で45万円(1.5%)

司法書士報酬:3~10万円程度

抵当権抹消登記 抵当権を、正式に抹消するための手続き。住宅ローン完済後でも自動では消えないため、手続きが必要。 売主 登録免許税:1,000円
司法書士報酬:1~3万円程度

所有権移転登記は、誰が費用を負担するかは契約で自由に決められますが、一般的には買主が負担します。抵当権抹消登記は、ローンを完済していても売主が行わなければなりません。

どちらも不動産売却時に必要な手続きとなるため、売却を進める前に司法書士に見積もりを依頼しておくと安心です。

印紙税

印紙税は、契約書や領収証などの文書を作成した際に課税される税金です。不動産売買契約の場合、契約金額に応じた額の「収入印紙」を契約書に貼り付け、消印することで納付します。

なお、収入印紙は売買契約書ごとに1通必要です。売主と買主の契約書をそれぞれ1通ずつ作成するのが一般的なので、収入用紙は2枚必要となります

印紙税は、売主・買主それぞれが保有する契約書分の収入印紙を平等に負担するのが一般的です。しかし実際の支払いに関しては、売主と買主の間で自由に決められます。不動産会社が仲介する場合は、仲介手数料とあわせて負担割合を決めるケースもあります。

印紙税は契約金額によって決まり、最大48万円です。2027年3月31日までは軽減税率が適用されています。

契約金額 本則税率 軽減税率
10万円を超え50万円以下 400円 200円
50万円を超え100万円以下 1,000円 500円
100万円を超え500万円以下 2,000円 1,000円
500万円を超え1,000万円以下 10,000円 5,000円
1,000万円を超え5,000万円以下 20,000円 10,000円
5,000万円を超え1億円以下 60,000円 30,000円

参照:不動産売買契約書の印紙税の軽減措置|国税庁

契約書に記載された契約金額が10万円以下の場合(契約金額の記載のないものを含む)は、軽減措置の対象ではありません(税率200円)。また、契約書に記載された契約金額が1万円未満の場合は非課税です。

譲渡所得税

ゴミ屋敷を売却して利益が出た場合には、譲渡所得税が課されます。「譲渡所得」とは、不動産を売却したときに得られる利益のことで、以下の計算式で求められます。

譲渡所得 = 売却価格 -(取得費 + 譲渡費用)


取得費:不動産を取得する際に発生した費用(購入代金、仲介手数料など)
譲渡費用:不動産を売却する際に発生した費用(仲介手数料、登記費用、測量費など)

譲渡所得税は、所得税・住民税・復興特別所得税を合わせたもので、所有期間によって以下のように税率が変わります。

譲渡所得の種類 所有期間 税率(所得税+住民税+復興特別所得税)
短期譲渡所得 所有期間が5年以下 39.63%(30%+9%+0.63%)
長期譲渡所得 所有期間が5年超 20.315%(15%+5%+0.315%)

譲渡所得税の具体的な計算例は以下のとおりです。

条件 譲渡所得税の計算
利益が出た場合

売却価格:3,000万円

購入価格:2,000万円

諸経費:200万円

所有期間:7年
■計算式

譲渡所得 = 3,000万円-(2,000万円+200万円)= 800万円

■税額

800万円 × 20.315%(長期譲渡)= 約162万円



⇒利益(譲渡所得)が出ているため、約162万円の譲渡所得税が課税されます。
利益が出ても特例で控除できる場合 売却価格:3,000万円

購入価格:2,000万円

諸経費:200万円

所有期間:10年

居住用財産の「3,000万円特別控除」を利用
■計算式

譲渡所得 = 3,000万円-(2,000万円+200万円)= 800万円



⇒本来は譲渡所得税がかかるケースですが、居住用財産の「3,000万円特別控除」を利用することで、譲渡所得税はかかりません。
赤字で売却した場合 売却価格:1,500万円

購入価格:2,000万円

諸経費:200万円
■計算式

譲渡所得 = 1,500万円-(2,000万円+200万円)= -700万円(赤字)



⇒譲渡所得がマイナスとなるため、譲渡所得税はかかりません。

自宅(居住用財産)の売却では、最大3,000万円まで譲渡所得を控除できる特別制度があります。条件を満たせば、利益が出ても税金がゼロになる可能性があるため、大きな節税効果が期待できます。

譲渡所得税の控除や軽減措置に関しては、以下の記事で紹介しています。

ゴミ屋敷の売却に伴う確定申告

ゴミ屋敷の売却で譲渡所得があった場合は、売却した翌年2月16日〜3月15日までに、物件のある地域を管轄する税務署に申告・納税をする必要があります。譲渡所得があったのに申告・納税をしなかった場合、延滞税や無申告加算税などのペナルティが課せられるため忘れずに行いましょう。

一方、ゴミ屋敷を売却した際に損失がでた場合は確定申告は不要です。しかし確定申告をしておくと譲渡損失(不動産の売却により発生した損失)を給与所得や事業所得から控除できる場合があります

控除されたことにより、所得税や住民税が安くなる可能性もあるため、譲渡損失があった場合も確定申告をしておくとよいでしょう。

ゴミ屋敷を売却する流れ

ゴミ屋敷を売却する流れは、以下のとおりです。

  1. 仲介業者や買取業者に相談する
  2. 必要であればゴミを処分し清掃やリフォーム・解体をする
  3. 仲介業者経由で売りに出す
  4. 購入希望者と交渉を行う
  5. 売買契約を結び引渡し・決済を行う

それぞれ解説します。

1.仲介業者や買取業者に相談する

ゴミ屋敷の売却は、仲介業者や買取業者と協力して進めていくことが大切です。

自己判断でリフォームや解体工事を進めてしまうと、売却が難しくなったり費用倒れしたりする可能性があります。ゴミ屋敷は売却までにやらなければならないことが多いため、業者と連携を取りながら進めていかなければなりません。

仲介業者と買取業者のどちらに相談するかは、売却目的によって異なります。市場価格に近い価格で売却したい場合は、不動産仲介業者に依頼し、清掃や処分を整えてから売り出すのが一般的です。

一方で、手間や費用をかけず、できるだけ早く現金化したい場合には買取業者への相談が適しています。買取業者がゴミのある状態のまま買い取ってくれるため、ゴミの処分や清掃やリフォームの費用がかからず、買主を探す手間がありません。査定額に合意できれば即日契約・現金化が可能です。

2.必要であればゴミを処分し清掃やリフォーム・解体をする

ゴミを処分してから仲介業者で売却すると決定したら、なるべく早くゴミを処分しましょう。ゴミの量が多い場合や時間がなく自分で処分できない場合は、ゴミ処理業者に依頼するのがおすすめです。

複数のゴミ処理業者に見積もりを依頼し、価格やサービスを比較のうえ、契約するとよいでしょう。

またゴミを処分しても、臭いや汚れが壁紙や床などに染み込んでいたり部屋中にカビが発生したりしている場合があります。

ゴミ屋敷の清掃をしても臭いや汚れがとれない場合は、リフォームや解体も検討しなければなりません。ただし、リフォームしたり解体したりしても買い手がつかない可能性もあります。費用や時間もかかるため、仲介業者と相談しながら無理せずに進めていきましょう。

ただし、各種費用の見積額が予算を大きく上回るようであれば、無理に清掃や処分を行うよりも、そのままの状態で買い取ってくれる買取業者に依頼したほうが費用対効果が高いといえます。

なお、ゴミの処分が自分で難しいと考えている方は下記の業者を検討してみてください。

3.仲介業者経由で売りに出す

ゴミ屋敷の清掃やリフォームが完了したら、いよいよ売却活動のスタートです。仲介業者と媒介契約を結び、販売活動を正式に依頼します。その後、チラシや不動産情報サイト、ポータルサイトなどを通じて広く宣伝が行われ、購入希望者を募ります。

清掃やリフォームを済ませた物件であれば、仲介業者を通じて買主を探すことで、市場価格に近い金額で売却できる可能性が高まります。

4.購入希望者と交渉を行う

購入希望者が見つかったら、仲介業者から連絡がきます。物件について詳しい情報を伝えたり、内覧を行ったりします。

この際、過去にゴミ屋敷だったことやリフォームを行ったこと、修繕しきれなかった部分などの瑕疵は、すべて伝えなければなりません。瑕疵を伝えずに売買契約を結んだ場合、売主は契約不適合責任を問われるリスクがあるためです。引渡し日や価格の交渉などもこの時点で行います。

なお買取業者に売却する際は、売主の契約不適合責任は免れるため、売却後にトラブルが起こるリスクはありません。

5.売買契約を結び引渡し・決済を行う

購入希望者との条件交渉がまとまり、合意に至ったら売買契約を締結します。契約書には売買価格や支払い方法、引渡し時期などの重要な内容が明記されるため、細部まで確認してから署名・押印しましょう。

その後は契約で定めた内容に従い、物件の引渡しと決済を行います。決済日には、残代金の受け渡しと同時に所有権移転登記や抵当権抹消登記といった必要な登記手続きを進めます。これらが完了すれば、売却活動は正式に終了です。

ゴミ屋敷を売却せず放置する5つのリスク

「手続きが面倒だから」とゴミ屋敷を放置する人もいますが、ゴミ屋敷を放置していると、以下のようなデメリットがあります。

  • 住んでいなくても固定資産税がかかる
  • 近隣トラブルに発展する可能性がある
  • 特定空き家に指定され固定資産税額が6倍になる可能性がある
  • 行政代執行の対象となり解体費用を全て負担する可能性がある

これらのデメリットを避けるためにも、なるべく早めの売却がおすすめです。

住んでいなくても固定資産税がかかる

誰も住んでいないゴミ屋敷であっても、土地や建物を所有している限り、固定資産税が課税されます。毎年かかる税金は数万円程度だとしても、長年放置すれば大きな出費になります。例えば、3万円の固定資産税も、10年放置すれば30万円の出費です。

固定資産税の金額は、毎年4月~6月頃に自治体から送付される固定資産税納税通知書で確認できます。実際に使っていない家に税金を払い続けるのは大きな負担になるため、無駄だと感じる場合はなるべく早く処分するようにしましょう。

近隣トラブルに発展する可能性がある

ゴミ屋敷を放置すると、次のようなリスクによって、近隣トラブルに発展するおそれがあります。

火災の危険性 ゴミが可燃物となり、タバコの火の不始末や放火で延焼するリスクが高まる
悪臭の発生 時間の経過とともに臭いが強くなり、外部に漏れ出して近隣住民の生活環境に影響を与える
害虫・害獣の発生 ハエ、ゴキブリ、ねずみなどが繁殖し、周辺に被害を広げる
資産価値の低下 景観や住環境が悪化し、周辺の住宅の価値まで下がってしまう可能性がある
法的トラブル 苦情やクレームが損害賠償請求に発展するケースもある

ゴミ屋敷は近隣に大きな迷惑を与え、放置すれば深刻なトラブルに直結します。クレームを受けたり、損害賠償請求に発展したりする前に、早めに処分することを検討しましょう。

特定空き家に指定され固定資産税額が6倍になる可能性がある

ゴミ屋敷が空き家の場合、特定空き家に指定されるおそれがあります。特定空き家とは、2015年に施行された「空家等対策特別措置法」に基づき、以下のようなリスクがあると行政に判断された空き家を指します。

  • 倒壊の危険がある
  • 衛生上問題がある(悪臭・害虫など)
  • 景観を著しく損ねている
  • 防犯上危険とみなされる

特定空き家に指定された場合は、行政から次のような段階的な措置が取られます。勧告の段階で「住宅用地の特例」を受けられなくなるため、固定資産税が最大で約6倍になります。

1.助言・指導 所有者に連絡を取って適正管理をうながす。ペナルティや罰則はなし
2.勧告 固定資産税や都市計画税の特例措置の対象から外れてしまい、固定資産税が最大6倍になる

参考:地方税法第349条3の2
3.命令 勧告に従わなければ命令が出され、違反すると「50万円以下の過料」が課される
4.行政代執行 行政が強制的に撤去・修繕を行い、その費用は所有者に請求される

特定空き家の指定は、指摘される原因となった不適切な部分を改善すれば、解除してもらえます。上記のような行政代執行を受けないためにも、ゴミを片付ける、使わないなら売却するなど、早めの対処が重要です。

行政代執行の対象となり解体費用を全て負担する可能性がある

先述した通り、ゴミ屋敷を放置すると特定空き家に指定される可能性があり、行政から助言・指導、勧告、命令、行政代執行という段階的な措置をとられます。

所有者が指導や勧告に従わず、ゴミ屋敷を改善しない場合に、自治体が代わりにゴミの撤去や建物の解体をする「行政代執行」が行われます。行政代執行にかかる費用は、家の持ち主がすべて負担しなければなりません。ゴミ屋敷の行政代執行費用は、ゴミの種類やサイズ、量によって異なりますが、数十万〜数百万円かかるケースが多いです。

行政代執行の費用を支払えない場合、不動産のみでなく預貯金・株式・自動車・貴金属など、売主の全財産が差し押さえられます。差し押さえられた財産は公売にかけられ、費用を回収する場合もあります。公売とは、国税局や税務署が強制的に財産を売却し、その代金を滞納分に充てることです。

なお、行政代執行にかかった費用は、「行政代執行法6条」に基づき、強制徴収が認められているため、自己破産しても免除されないおそれがあります。さらに、費用が回収できない状態で所有者が死去した場合は、相続人に請求されます。

東京都品川区の行政代執行の事例では、敷地内及び建物内のゴミの撤去(約25t)と外壁及び柱の修復の代執行を実施し、約420万円かかっています。


平成18年頃から敷地内及び建物内に資源ゴミ等が散乱し、ゴミの集積が要因となって小学校の通学路に面する外壁の一部が崩壊したため、平成26年3月に近隣住民が区に改善要望(1,610人の署名)。区は建物管理者と改善策について話し合いを続けたが、管理者による自主解決がなされなかった。ゴミの散乱や外壁の穴あき状態をこのまま放置することは周辺住民の安全面でも多大な支障があるとして、平成28年5月に敷地内及び建物内のゴミの撤去(約25t)と外壁及び柱の修復の代執行を実施。

<措置の経緯>
勧告:平成27年10月14日
命令:平成28年2月24日(戒告3月16日)
代執行:同年5月17日
撤去作業完了:同年6月17日(実質約13日)
撤去等の費用・約420万円(建物管理者に請求中)
引用元 国土交通省|地方公共団体の空き家対策の取組事例

行政代執行の措置を受ける前に、ゴミの処分や物件売却などの対応をしておきましょう。

相続放棄してもゴミ屋敷の管理責任からは逃れられないため注意

ゴミ屋敷の所有権の相続放棄は可能ですが、相続放棄しても民法上は、ゴミ屋敷の管理責任は相続人にかかります民法940条)。管理責任とは、地域の安全や防犯を損なわないために持ち主が適切に家を管理する責任です。

自治体からゴミ屋敷のゴミを撤去するよう指導・命令された場合は、相続放棄した人が対応しなければなりません。ゴミ屋敷が原因で火災が発生したり、近隣住民が怪我を負ったりした場合も、損害賠償を求められます。

ゴミ屋敷に関わりたくないからと相続放棄しても、次の相続人が管理を始めるまでは管理責任があることを念頭にいれておきましょう。

まとめ

ゴミ屋敷であっても売却は可能です。スピーディーに現金化したい場合には、ゴミの処分やリフォームをしなくてもそのまま買い取ってもらえる買取業者に依頼するのが適しています。仲介手数料がかからず、契約不適合責任も免責されるため、手間をかけずに処分できる点が大きなメリットです。

一方で、ゴミの片付けや清掃、場合によってはリフォームを行い、物件の価値を高めてから売却する方法もあります。この場合は仲介業者を通じて買主を探すことになり、市場価格に近い金額で売れる可能性があります。ただし、その分の費用や時間がかかるため、事前に見積もりを確認して慎重に判断することが必要です。

さらに、建物の老朽化や汚れ、臭いなどが深刻な場合には、更地にして売却するという選択肢もあります。ただし、解体費用がかかるうえ、更地にすると固定資産税が高くなるため、更地にするかを慎重に判断する必要があります。

どの方法を選ぶべきかは、物件の状態や売却までの希望スピードによって異なります。判断に迷うときは、不動産会社に相談して最適な方法を一緒に検討すると安心です。

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更新日 : 2025年08月04日
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