空き家を放置するとどんなリスクがある?
空き家を放置することには、物件の所有者にとってのリスクが多々あります。放置するリスクの代表例としては、下記が挙げられます。
- 空き家の老朽化が進み倒壊してしまうリスクが高まる
- 不法侵入や放火といった犯罪の温床になる可能性がある
- 近隣住民に迷惑をかけてしまい損害賠償を請求される可能性がある
- 固定資産税などの維持管理費が毎年かかり続ける
- 資産価値が下がり続けて売却が難しくなる
空き家を放置してしまうと、維持管理のコストがかかり続けるだけでなく、「倒壊するリスクが高まる」「近隣住民に迷惑をかけてしまう可能性がある」といったリスクもあります。
さらに、適切に管理をしなければ、空き家の資産価値は年々下がってしまうため、「手放したくてもなかなか売れない」という状況にもなりかねません。
なお、そもそもですが、「空家等対策の推進に関する特別措置法」という法律の第5条では、空き家の所有者は物件を適切に管理するように義務付けられています。そのため、法律の観点からも、空き家を放置することは認められていません。
リスクがあることだけでなく、法律の観点からも空き家は放置せずに適切に管理をする、または処分をすることが大切です。
ここからは、空き家を放置するリスクについて、それぞれ解説していきます。
空き家の老朽化が進み倒壊してしまうリスクが高まる
当然ですが、空き家を放置した期間が長いほど築年数がかさみ、その分老朽化が進みます。修繕などをせずに放置を続けてしまうと、その建物はいずれ倒壊してしまうことでしょう。
とくに、木造の空き家の場合、換気をせずに放置をすると湿気が溜まってしまい、老朽化がさらに進むため倒壊のリスクが高いと言えます。
万が一、空き家が倒壊してしまった場合、所有者は瓦礫や残った空き家の一部などを撤去しなければなりません。その場合、数十万円〜数百万円の費用を負担することも少なくありません。
さらに怖いのは、倒壊した空き家が原因で通行人がケガをしたり、隣の家が破損したりした場合です。民法717条の「土地工作物責任」に問われる可能性があります。
土地工作物責任は、建物の管理に不備があったことで他人に損害を与えた場合に、占有者や所有者が負う損害賠償責任です。一次的に責任を負うのは占有者で、占有者が免責された場合は所有者が責任を負うことになります。
所有者は無過失責任となり、故意がない場合でも責任を負わなければなりません。被害の内容によっては、賠償額が撤去費用をはるかに上回ることも考えられます。
倒壊のリスクを下げるためにも、空き家は放置をせずに適切に管理をすることが大切です。管理が難しく使用予定がないのであれば、空き家を処分することも検討しましょう。
参照:e-Govポータル「民法第717条」
不法侵入や放火といった犯罪の温床になる可能性がある
空き家を放置してしまうと、不法侵入や放火、不法投棄、空き巣、違法薬物の取引といった犯罪の温床になる可能性もあります。
誰も住んでおらず、適切に管理がされていない空き家は、犯罪を行う場所として目をつけられやすいです。実際に犯罪が起これば近隣住民にも悪影響を及ぼすことも考えられ、関係の悪化や損害賠償の請求となる可能性もあります。
近隣住民に迷惑をかけてしまい損害賠償を請求される可能性がある
空き家を管理せずに放置すると、下記のように近隣住民に迷惑をかけてしまうことも考えられます。
- 空き家の倒壊によって近隣住民や通行人をケガさせてしまう
- 放火によって周囲の家に燃え広がってしまう
- 庭の草木が伸びて隣地や道路にはみ出してしまう
- 害虫や害獣、悪臭などの衛生面の悪化により、周辺環境に悪影響を与えてしまう
- 犯罪者に狙われやすくなり、近隣に不安を与えてしまう
放置した空き家が原因で実際に近隣住民へ迷惑をかけてしまった場合、近隣トラブルに発展するだけでなく、損害賠償を請求されてしまう可能性もあります。損害賠償を請求された場合、数十万円〜数百万円の支払いを命じられるケースも少なくありません。
近隣の人に悪影響をおよぼさないためにも、空き家は放置をせずに管理や処分をすることを検討してください。
固定資産税などの維持管理費が毎年かかり続ける
空き家に限った話ではありませんが、不動産の所有者は固定資産税や都市計画税といった税金を毎年納めなければなりません。仮に放置していて使用していない空き家だとしても、これらの税金はかかります。
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費用
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金額の目安
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固定資産税
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自治体によって異なるが、固定資産税評価額の1.4%が一般的
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都市計画税
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自治体によって異なるが、固定資産税評価額の0.3%が一般的
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たとえば、固定資産税評価額が1,000万円の空き家であれば、固定資産税が「1,000万円×1.4%=14万円」、都市計画税が「1,000万円×0.3%=3万円」と計算されます。
この条件であれば、使用していない空き家のために合計17万円程度の税金を毎年支払わなければならない計算です。
現在すでに空き家を所有している場合、土地部分には「住宅用地の特例(1/6)」が適用されており、建物の価値も下がっているため、数万円程度の負担で済んでいるケースが多いかもしれません。
しかし、後述する「管理不全空き家」などに指定されて特例が外れると、上記のシミュレーションのように税負担が一気に跳ね上がる点が最大のリスクです。
無駄な出費にもなるため、使用用途のない空き家であれば放置をせずに処分することも視野に入れましょう。
資産価値が下がり続けて売却が難しくなる
空き家のような建物の資産価値は、その物件の条件によって決定されます。そして、資産価値を決定する要因の1つには、築年数が挙げられます。
築年数が古ければ古いほど資産価値は下がりやすく、築年数が新しい物件は比較的資産価値が高いと扱われるのが一般的です。
仮に空き家を放置した場合、その年数が長ければ長いほど物件の築年数が古くなってしまい、資産価値も下落しやすいです。さらに、築年数が古い物件であっても修繕などの管理をすれば資産価値の下落を抑えることも可能ですが、放置をするのであれば価値が下がる一方です。
なお、国土交通省が公表するデータでは、築年数がかさむにつれて建物の資産価値が下落するのがわかります。
出典:国土交通省「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」
空き家の処分や管理が難しいからといって放置を続けてしまうと、その分築年数がかさみ資産価値も下がってしまいます。場合によっては、放置した期間が長すぎたために、資産価値がほぼ0になってしまうことも考えられます。
その場合には、物件の購入希望者が現れづらくなることも予測され、「空き家を処分したくてもなかなか売れない」という状況にもなりかねません。
空き家を放置したことで罰則・過料が科されるまでの流れ
空き家を放置したことで過料などが科されるまでの流れは、大まかに下記のとおりです。
- 助言・指導:空き家を適切に管理できるように行政から助言・指導が行われる
- 勧告:住宅用地の特例が外れ、土地の固定資産税が最大6倍になる
- 命令:命令に違反すると50万円以下の過料が科される
- 行政代執行:強制的に空き家の解体などが行われ、費用を徴収される
空き家を放置し続けると、まずは行政から「特定空き家」、またはその予備軍にあたる「管理不全空き家」として認定されることがあります。そして、空き家の状態を改善するために、行政から助言や指導が入ります。
なお、「管理不全空き家」は2023年12月施行の改正空家法で新設された区分で、「そのまま放置すれば特定空き家になるおそれがある状態」の空き家を指します。従来は特定空き家にならなければ特例は外れませんでしたが、改正後は管理不全空き家でも勧告を受ければ住宅用地の特例が外れるようになったため、より早い段階で税負担増のリスクが生じる点に注意が必要です。
助言・指導で改善が見られない場合は「勧告」が行われ、最終的には命令・行政代執行に発展する流れとなります。
ここからは、空き家を放置することで罰則・過料が科されるまでの流れについて、各工程で詳しく解説していきます。
1. 助言・指導:空き家を適切に管理できるように行政から助言・指導が行われる
空き家の放置によって特定空き家に認定された場合、空き家を適切に管理させるために行政は所有者に対して助言・指導を行います。
助言や指導の内容は空き家の状態によりますが、基本的には近隣住民からの苦情をもとに行われます。
たとえば、草木が伸びて隣地や道路にはみ出していることで、近隣住民から行政に苦情が入った場合、「庭の草木が伸びているので除草作業を行うように」のような助言が入ります。
なお、助言や指導の段階で空き家の状態が改善されれば、罰則や過料が課せられることはありません。空き家を放置している場合、少なくとも助言・指導の段階で状態を改善するように努めてください。
2. 勧告:特例措置が外れてしまい固定資産税が最大6倍になる
助言・指導があっても空き家の管理状態が改善されない場合、行政はその所有者などに状況を改善させるための勧告を行います。この段階ではすでに近隣住民へ悪影響を及ぼすような深刻なケースも少なくないため、早急な対応が求められます。
そして、勧告が下った際には、基本的には空き家に適用されている「住宅用地の特例」が外れてしまいます。
住宅用地の特例とは、居住用の建物が建っている土地部分にかかる固定資産税が軽減される措置のことです。「小規模住宅用地」と「一般住宅用地」ごとに軽減税率が定められています。
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土地
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軽減率
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敷地面積200m2以下の部分(小規模住宅用地)
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1/6
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敷地面積200m2を超える部分(一般住宅用地)
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1/3
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たとえば、本来固定資産税が20万円かかるはずであっても、小規模住宅用地に対して住宅用地の特例が適用されていれば、「20万円×1/6=約3.3万円」に固定資産税が軽減されます。
しかし、特定空き家や管理不全空き家として指定され勧告を受けると、住宅用地の特例が外れてしまうため、軽減措置が適用されなくなります。具体的には、200㎡以下の小規模住宅用地部分は最大6倍、200㎡を超える一般住宅用地部分は最大3倍に増額します。
実務上は負担調整措置などにより一気に6倍ちょうどになるとは限りませんが、いずれにせよ負担が大幅に増えることに変わりはありません。
なお、行政から指摘されている問題を改善し、特定空き家の指定が解除されれば、住宅用地の特例は再度適用されます。もしも行政から勧告が下った場合には、すぐに指摘されている問題を改善するようにしてください。
3. 命令:50万円以下の過料が科される
勧告が下っても空き家の管理状態が改善されなければ、行政から空き家の所有者に対して命令が下ります。命令は行政処分ともよばれており、助言・指導・勧告よりも強い指導です。
仮に命令に従わずに空き家を放置した場合、空き家対策特別措置法第30条で定められているように、50万円以下の過料の対象になります。
第二十二条第三項の規定による市町村長の命令に違反した者は、五十万円以下の過料に処する。
引用元 空家等対策の推進に関する特別措置法
4. 行政代執行:強制的に空き家の解体などが行われて費用を徴収される
命令が下ってもなお空き家の改善がみられなければ、最終的には行政代執行の措置がとられます。
行政代執行とは、空き家の所有者に代わって、行政が適正管理に向けた取り組みを行うことです。たとえば、行政から草木や樹木の伐採を命じられている場合に行政代執行となれば、行政が所有者の代わりに伐採作業を行います。
行政代執行となれば、その作業にかかった費用を空き家の所有者が負担しなければなりません。仮に行政代執行によって空き家が解体されれば、数百万円を請求されることも考えられます。
行政代執行を回避するためには、特定空き家として指定された時点で空き家を適切に管理することが大切です。行政からの助言をもとに管理をするのが難しい場合、空き家を処分することも検討してみてください。
管理が難しい空き家の放置を解消するための対策
空き家を所有している人のなかには、自分で管理するのが難しい人もいることでしょう。その場合、放置するしかないと考える前に、放置を解消するための対策を講じてみてください。
管理が難しい空き家の放置を解消するための対策としては、下記が挙げられます。
- 空き家をそのままの状態で売却する
- 空き家または土地を貸し出す
- 空き家に自分か親族が住む
- 管理会社に依頼して空き家を管理してもらう
自身での管理が難しい場合、「売却する」「貸す」「住む」「誰かに管理してもらう」といった対策が有効です。ここからは、管理が難しい空き家の放置を解消するための対策について、それぞれ解説していきます。
空き家をそのままの状態で売却する
空き家の管理が難しい場合、物件を売却する方法が挙げられます。売却をすれば、その買い主が空き家の所有者になるため、今後空き家を管理する義務はありません。
また、空き家を売却すれば、固定資産税や都市計画税といった維持管理費を納める義務もなくなります。「空き家を活用する予定がない」という場合、空き家を売却することを検討してみてください。
空き家の売却方法には、不動産会社が買い手を探す「仲介」と、不動産会社が直接買い取る「買取」があります。状態が良く立地に恵まれた空き家であれば、仲介で市場価格に近い金額での売却が期待できます。
一方、「老朽化が進んでいる」「立地が悪い」などの理由で仲介ではなかなか買い手がつかないケースもあります。そのような場合は、空き家の取扱実績がある不動産会社への買取依頼も選択肢になります。
買取をおこなう不動産会社は、買い取った物件を自社で解体・建て替え・リフォームしたうえで再販売します。そのため、買い手がつきづらい空き家でも買い取れるケースが多く、買い手を探す活動が不要な分、早ければ数日〜1か月程度で売却できるのが一般的です。
ただし、買取価格は再販にかかるコストやリスクを見込む分、仲介で売却した場合より低くなる傾向があります。「時間をかけてでも高く売りたいなら仲介」「多少安くても早く確実に手放したいなら買取」というように、自分の状況に応じて選ぶとよいでしょう。
空き家または土地を貸し出す
空き家に誰かが住めば、そもそも空き家として扱われないため、特定空き家として認定されることはありません。また、建物を解体して土地にすれば、当然空き家がなくなるため、空き家のリスクも生じません。
そのため、空き家や土地を貸し出すことも、管理が難しい空き家の放置を解消するための対策になります。下記のような空き家や土地を所有している場合には、貸し出すことも視野に入れてみてください。
- リフォームをすれば問題なく居住できる物件
- 劣化などによって人が住むのは難しいが立地条件はよい物件
空き家を所有している人のなかには、空き家がすぐには居住できない状態である人もいるかもしれません。その場合でも、リフォームをすれば借り手が見つかる可能性があります。
また、空き家を解体して土地として貸し出す方法もあります。解体費用として数十万円〜数百万円がかかるケースも考えられますが、立地条件が良い土地であれば貸し出しによる収益でその費用を回収できる可能性もあります。
空き家に自分か親族が住む
当然ですが、誰かが住んでいれば空き家とは扱われません。そのため、貸し出しや売却が難しいのであれば、自分や親族が住むことも対策になります。
維持管理や修繕にはある程度の費用がかかりますが、自身や親族が居住できる場合には検討しても良い方法と言えるでしょう。
管理会社に依頼して空き家を管理してもらう
管理が難しい空き家の放置を解消するための対策として、管理会社に依頼することが挙げられます。管理会社に依頼すれば、自身では管理ができない空き家でも下記のような管理をしてもらえます。
- 通水の確認
- 除草や樹木の剪定
- 空き家の屋内のチェック
- 郵便物の整理
放置とならないように適切な管理をしてもらえるため、「自身で管理が難しく、売却や貸し出しが難しい」という場合には検討してみてもよい方法といえます。
ただし、管理会社に管理を依頼する場合、費用がかかるため注意が必要です。費用は管理会社やサービス内容によりますが、基本料金は月額5,000円〜1万円程度が相場とされています。
一見コストに感じるかもしれませんが、遠方に空き家がある場合は、自分で定期的に通うための交通費や手間を考えると、管理会社に任せたほうが結果的に割安になるケースもあります。「売却や賃貸の決断がつくまでのつなぎ」として、一時的に管理を委託する使い方も実務ではよく見られます。
まとめ
空き家を放置することには、「倒壊する危険性がある」「犯罪の温床になる可能性がある」といったリスクがあります。また、空き家の急増が問題視されたことから、空き家に関する法律が制定されたため、放置をしてしまうと罰則・過料の対象にもなります。
そのため、空き家を所有している場合、放置をするのは絶対にやめましょう。もし自身で管理するのが難しい場合には、管理会社に依頼するか、処分・売却を検討してみてください。
なお、「なかなか空き家が売れない」「処分したくても手が回らない」といった場合には、空き家の取扱実績がある不動産会社に相談するのも一つの方法です。仲介では売れづらい空き家でも、買取であれば対応してもらえることがあり、早ければ数日〜1か月程度で売却できます。仲介と買取それぞれの特徴を比較し、自分の状況に合った方法を選びましょう。
空き家の放置に関するFAQ
空き家を3年放置すると罰金100万円と聞きましたが本当でしょうか?
空家等対策特別措置法では、罰金について「勧告に従わなかった場合には50万円以下の罰金」のように定められています。そのため、空き家の放置の罰金として100万円の支払いが命じられることはありません。
また、期間については明確に定められていません。場合によっては1年程度であっても罰金の対象になりえます。
空き家の放置をしないためにも売却を検討していますが、いくらほどで売れるのでしょうか?
売却価格は物件の条件などによって変わるため、一概には言えません。ただし、買取の場合は仲介よりも安くなりやすく、あくまで目安ですが20%〜30%ほど売却金額が下がると言われています。
管理や処分が難しく、放置するしかない空き家はどうしたらいいでしょうか?
空き家を専門とする買取業者に相談することも検討してみてください。空き家専門の買取業者であれば、売却や管理が難しいような空き家も買い取ってもらえるのが一般的です。