使っていない空き家ならすぐに手放すべき!空き家の所有にかかるリスク
結論から述べますが、使っていない空き家であれば可能な限り早く手放すことを検討するべきです。使っていなかったとしても、空き家を所有しているだけで下記のようなリスクがあるためです。
- 空き家の適切な管理をしなければならない
- 年々資産価値が下がっていく
- 空き家を所有しているだけで毎年税金がかかる
- 近隣住民の生活に悪影響を及ぼす可能性がある
空き家のような不動産は、年々資産価値が下がるのが一般的です。そのうえ、毎年固定資産税や都市計画税といった税金を納めなければならず、使っていない空き家であればこれらの費用は無駄な出費にもなりえます。
さらに、放置をせずに適切な管理が必要になるうえに、場合によっては空き家が原因で近隣住民の生活に悪影響を及ぼしかねません。
ここからは、空き家を所有するリスクについてそれぞれ解説していきます。「使っていない空き家を手放したいけどどうしたらいい?」という場合には、所有リスクを把握したうえで、可能な限り早く手放すための対策を講じてみてください。
空き家の適切な管理をしなければならない
「空家等対策の推進に関する特別措置法」の第5条でも定められているように、空き家を所有している人には、物件を管理する責任があります。この法律は、近年増加している傾向にある空き家が近隣住民などに悪影響を及ぼす前に、物件の活用や適切な管理を促す目的で施行されました。
空き家の所有者は物件が近隣住民に悪影響を与えないよう、下記のような管理を行わなければなりません。
- 倒壊の危険がないように、屋内・外壁・屋根の確認
- 物件内の清掃
- 庭の手入れ
- 窓ガラスの清掃・修繕
- 不法投棄の有無の確認
- 水道が問題なく使えるかの確認
仮に空き家の管理が不足したことで近隣住民に悪影響を与えてしまった場合、行政から適切な管理を行うよう指導が入るうえに、場合によっては損害賠償を請求されることも考えられます。
所有をするのであれば管理が必須ですが、「距離が遠くて通えない」「管理する時間がない」といった場合、空き家をすぐに手放す方法を検討してみてください。
管理をせずに空き家を放置すると「特定空き家」「管理不全空き家」として扱われる可能性がある
管理をせずに空き家の放置を続けると、行政から「特定空き家」または「管理不全空き家」として扱われる可能性もあります。
特定空き家とは、近隣に影響を及ぼすおそれがあり早急な処理が必要な空き家のことです。管理不全空き家とは、現段階では該当しなくても、このまま放置が続くと特定空き家になりえる物件のことです。
特定空き家や管理不全空き家として扱われた場合、「固定資産税が最大6倍になる」「50万円以下の罰金が科される可能性がある」「物件が強制撤去される可能性があり、その場合は解体にかかる費用を請求される」といったリスクがあります。
つまり、近隣住民に悪影響を及ぼす可能性があるだけでなく、これらのリスクがあることからも、空き家を所有する場合は適切な管理をしなければなりません。
なお、特定空き家や管理不全空き家として扱われる可能性がある物件には、下記が挙げられます。いずれかに該当している場合には、すぐに適切な管理を行うか手放すことを検討してください。
- 建物自体が傾いている空き家
- シロアリ被害がある空き家
- 建物にヒビが入っており崩れそうになっている空き家
- 屋根の瓦が剥がれている空き家
- 汚物や臭気が流出している空き家
- ごみの放置や不法投棄によって臭気・害虫・害獣が発生している空き家
- 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態の空き家
- 屋根や外壁が汚れおり放置されている空き家
- 屋根や外壁が大きく傷んでいる空き家
- 窓ガラスが割れたまま放置されている空き家
- 敷地内にごみが放置されている空き家
- 誰でも容易に侵入できる状態で放置されており、空き巣や放火など、犯罪の温床になる可能性がある空き家
参照元:空家・空地管理センター「特定空き家とは」
年々資産価値が下がっていく
空き家に限った話ではありませんが、建物の資産価値は年々下がるのが一般的です。
物件の資産価値はさまざまな要因から決まりますが、そのなかの1つに建物の築年数があります。築年数が浅ければ浅いほど資産価値は高くなるのが一般的であるため、空き家を所有し続けるとその分資産価値が下がってしまうのです。
実際に、国土交通省が公表するデータからも、築年数がかさむにつれて建物の資産価値が下落するのがわかります。
出典:国土交通省「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」
資産価値が低ければ低いほど、物件の売却金額は安くなるのが一般的です。つまり、可能な限り早く空き家を手放すことで資産価値の下落を食い止めることができ、売却金額をこれ以上下げずに済むのです。
空き家をすぐに手放す方法はあるため、使用予定がないのであれば、可能な限り早く手放すことを検討してみてください。
空き家を所有しているだけで毎年税金がかかる
空き家に限らず不動産を所有していると、その所有者は固定資産税や都市計画税といった税金を毎年納めなければなりません。
その空き家が使用されていない物件であっても、これらの税金はかかります。使用していない空き家を所有し続けると、税金を無駄に支払ってしまうことになるため、使用用途がなければ早期で売却するのが得策です。
空き家の所有によってかかる税金の種類と金額相場をまとめましたので参考にしてみてください。
費用
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金額の目安
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固定資産税
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自治体によって異なるが、固定資産税評価額の1.4%が一般的。
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都市計画税
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自治体によって異なるが、固定資産税評価額の0.3%が一般的。
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固定資産税評価額とは、不動産を所有している場合に課せられる税金を決定する基準となる評価額のことです。固定資産税や都市計画税は、固定資産税評価額に一定の税率をかけることで算出できます。
たとえば、固定資産税評価額が1,000万円の空き家であれば、固定資産税が「1,000万円×1.4%=14万円」、都市計画税が「1,000万円×0.3%=30,000円」と計算されます。
なお、固定資産税評価額は各市区町村が定めており、納税通知書や固定資産税評価証明書から確認できます。所有している空き家の固定資産税や都市計画税を算出したい場合には、納税通知書などを確認してみるとよいでしょう。
近隣住民の生活に悪影響を及ぼす可能性がある
空き家は築年数がかさめばかさむほど老朽化が進み、倒壊のリスクも高くなります。また、空き家を放置し続けると、放火による火災、害虫・害獣による被害などが起こる可能性もあります。
これらが起きた場合、近隣住民に被害が及ぶ可能性があり、場合によっては重過失として責任を問われることも否定できません。
重過失として責任が問われれば、多額の損害金の支払いが必要になることも予想されます。近隣の人に悪影響をおよぼさないためにも、使用用途がない空き家は早期で売却することを検討してみてください。
空き家を手放すなら仲介か買取がおすすめ
空き家を手放す方法には、さまざまな種類があります。とはいえ、基本的には「仲介」または「買取」の方法で空き家を手放すことを検討するのが得策です。
仲介や買取は空き家を売却する方法であるため、これらの方法をとることで空き家を手放せるうえに、物件の資産価値に応じた金額を得られます。ほかの方法は売却方法ではなく、資産価値に応じた金額は得られないため、まずは仲介か買取で空き家を手放すことを検討してみてください。
仲介と買取でそれぞれ向いているケースをまとめましたので、空き家を手放したい場合には参考にしてみてください。
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向いているケース
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仲介
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下記のような物件を所有しており、なるべく高く空き家を売るために売却までに3か月〜半年は待てる
・人気のエリアにあるなどの立地がよい
・築年数が浅い
・近くに商業施設や病院などがある
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買取
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下記のような物件を所有しており、売却金額は安くなってもなるべく早く空き家を手放したい
・駅まで徒歩ではいけないなどの立地がよくない
・築年数が古い
・徒歩圏内には学校などがない
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ここからは空き家を手放す方法として、仲介と買取について詳しく解説していきます。
なお、「できれば売却は避けたい」「すでに仲介と買取は試してダメだった」という場合でも、ほかの方法で空き家を手放せる可能性はあります。ほかの方法については「仲介や買取で売れない空き家を手放すための4つの方法」の見出しで解説しているため参考にしてみてください。
なるべく高く空き家を売るために売却までに3か月〜半年は待てるなら仲介を検討する
「なるべく高く空き家を売りたい」という場合には、まずは仲介で空き家を手放すことを検討してみてください。
不動産業界における仲介とは、不動産会社などが買い手と売り手の間に入って、物件の売買契約を成立させることです。空き家の場合は不動産会社に仲介を依頼するのが一般的です。
仲介の場合、買取よりも高い価格で不動産を売却できる傾向があります。あくまで目安ですが、買取だと仲介よりも20%〜30%程度売却金額が安くなるといわれています。
そのため、高値で空き家を売却したい場合には、仲介が向いているといえるのです。
ただし、業者がそのまま買い手となる買取とは異なり、仲介の場合は不動産会社が空き家の買い手を探すための活動が必要になります。そのため、売却できるまでの期間は買取よりも長期化する傾向があり、一般的には3か月〜半年程度かかるといわれています。
つまり、空き家を手放せるまでに3か月〜半年程度かかってでも、物件を高く売りたいという場合に仲介はおすすめです。
なお、仲介の場合は買い手が現れない限り、空き家を売却できません。買い手のニーズに合わない物件は半年以上経っても売却できない可能性もあるため、事前に「仲介でも売れるような空き家なのか?」を考えておくことも重要です。
一般的に仲介で売れやすい物件の例をまとめましたので、仲介を検討している場合には参考にしてみてください。
- 都心のような人気のエリアにある
- 駅から徒歩5分〜10分圏内にある
- 築年数が5年〜10年程度の築浅物件
- 治安がよく住みやすいエリアにある
- 大型商業施設や学校、病院などが徒歩圏内にある
- 風通しがよく騒音が少ない
売却金額は安くなってもなるべく早く空き家を手放したいなら買取を検討する
「早く空き家を手放したい」という場合には、買取で空き家を手放すことを検討してみてください。
不動産業界における買取とは、業者が直接物件を買い取ることです。空き家の場合は、空き家を専門とする買取業者を選ぶのが得策です。
仲介の場合は3か月〜半年程度かかるのに対して、買取であれば1週間程度で空き家を売却できるのが一般的です。さらに空き家専門の買取業者には最短数日で物件買取が完了する業者もあるため、早く空き家を手放したい場合に向いています。
また、空き家専門の買取業者であれば、買い取った物件を活用するためのノウハウがあると考えられるため、「仲介で売れなかった」という物件の買取にも期待できます。
ただし、買取の場合は仲介よりも売却金額が20%〜30%安くなるのが一般的です。そのため、「売却金額が安くなったとしても、早く確実に空き家を手放したい」という場合に買取が得策といえます。
仲介や買取で売れない空き家を手放すための4つの方法
仲介や買取では空き家を売却できない、またはしたくないという場合でも空き家を手放す方法はあります。
- 空き家バンクで空き家の買い手を探す
- 空き家専用のマッチングサイトなどを活用して個人に譲渡する
- 相続土地国庫帰属制度を利用して国に引き取ってもらう
- 空き家がある地域の自治体に寄付する
ただし、いずれの方法も仲介や買取よりもハードルが高く、誰でもとれる対策とはいえません。その理由は各見出しで解説していきますが、基本的には「仲介や買取以外の方法で空き家を手放したい」という場合にこれらの方法を検討してみてください。
空き家バンクで空き家の買い手を探す
空き家バンクとは、空き家問題を解決することを目的として、市区町村が実施している施策のことです。
近年、管理されずに放置されている空き家が全国的に増加しており、それによる倒壊や不法投棄といった近隣住民の生活への悪影響も増えています。このような影響は空き家を適切に管理するか、誰かが居住することで改善されていくため、空き家バンクによって空き家の数を減らすように方針がとられました。
空き家バンクでは、手放したい物件情報を掲載できます。購入希望者が現れれば、自治体に間に入ってもらったうえで物件の譲渡や売買を行える仕組みです。
ただし、空き家バンクに物件情報を掲載したとしても、必ず購入希望者が現れるとは限りません。仲介などで売れない空き家には何かしらの原因があるため、それによって購入を敬遠されてしまい、「空き家バンクに掲載しても売れなかった」ということも十分に考えられます。
とはいえ、空き家バンクへの掲載に費用はかかりません。「いつか売れるかもしれない」と考えたうえで、空き家を手放すための対策の1つとして空き家バンクを活用してみるのもよいでしょう。
空き家専用のマッチングサイトなどを活用して個人に譲渡する
マッチングサイトのなかには、「空き家を手放したい」「空き家が欲しい」という人たちをつなぐためのサイトもあります。そのようなサイトを活用することで、空き家を個人に譲渡できる可能性があります。
空き家専用のマッチングサイトの例には、下記が挙げられます。
これらのサイトは0円で利用でき、手放したい空き家の情報を掲載しておくことで希望者を募れます。
ただし、空き家専門のマッチングサイトに物件情報を掲載したとしても、必ず購入希望者が現れるとは限りません。そのため、空き家バンクと同様に「いつか希望者が現れるかもしれない」と考えたうえで、空き家を手放すための対策の1つとして活用することを検討してみるとよいでしょう。
相続土地国庫帰属制度を利用して国に引き取ってもらう
土地を手放す方法には、「相続土地国庫帰属制度」を活用することも挙げられます。
相続土地国庫帰属制度とは、相続した土地を国に引き取ってもらうための制度のことです。相続した土地であり下記に該当していなければ、相続土地国庫帰属制度の申請が可能です。
- 土地に建物がない
- 担保権や使用収益権が設定されていない
- 他人の利用が予定されていない
- 土壌汚染がない
- 境界や所有権などについて争っていない
- 管理に通常より多くの負担や費用がない
手放したいのは空き家であるため、当然その土地には建物があります。相続土地国庫帰属制度を利用できるのは、建物がない土地であるのが前提であるため、この方法をとるには事前に空き家を解体しなければなりません。
また、相続土地国庫帰属制度を利用するには、負担金の支払いが必要です。負担金の金額は土地を10年間管理するのに一般的に必要な金額とされており、数十万円〜数百万円の支払いが必要になることも想定されます。
空き家の解体のために費用や時間がかかるうえに、多額の負担金の支払いが必要になるため、「どの方法でも売却ができそうになく、どうしても空き家を手放したい」といった場合に、相続土地国庫帰属制度の利用を検討してみるのがよいでしょう。
なお、相続土地国庫帰属制度の手続きやさらに詳しい要件などについては、政府広報オンライン「相続した土地を手放したいときの「相続土地国庫帰属制度」」を参考にしてみてください。
空き家がある地域の自治体に寄付する
空き家によっては、その地域の自治体に寄付できる可能性もあります。空き家の場合、田舎暮らし支援住宅や地域のコミュニティスペースなどとして活用できることもあるため、自治体が求める物件であれば寄付が認められるケースもあるのです。
ただし、空き家を寄付された自治体は、今後からその物件の維持管理をしなくてはなりません。そのうえ、寄付がなければ受け取れたはずの固定資産税も減ってしまうため、公的に活用できるような空き家でなければ寄付は難しいです。
自治体に寄付する方法はハードルが高めであるため、ほかの方法がとれない場合に検討してみるとよいでしょう。
空き家を相続するタイミングなら相続放棄も視野に入れる
「厳密にはまだ所有していないけど、相続によって空き家を所有するかもしれない」という場合、物件を相続する前に相続放棄をすることで物件を手放すことも可能です。
ただし、「空き家を手放したい」という理由だけで相続放棄をするのは、基本的におすすめできません。相続放棄をすると、空き家以外のすべての遺産も放棄することになるからです。
そもそも相続放棄とは、遺産を相続する権利義務の承継を拒否する意思表示のことです。簡単にいえば、相続する権利がある人が「相続はしません」とほかの相続人に伝えることともいえます。
相続放棄をするとすべての遺産の相続を放棄することになります。そのため、空き家だけでなく、現金や自動車といったほかの遺産も受け取れなくなり、結果的には損をしてしまうケースも考えられるのです。
基本的にはおすすめできない方法ですが、相続放棄を検討してもよいケースもあるため、下記に該当する場合には相続放棄を視野に入れてみてもよいでしょう。
- 遺産のなかに借金もあり、相続してもプラスよりマイナスが多くなる
- 相続するものが空き家のみであり、物件を使用する予定がない
まずは相続できる財産の総額を調べて、プラスよりもマイナスが多くなる場合には相続放棄をすることを検討してもよいでしょう。また、空き家のみ相続する予定で、その物件を使用しない場合も同様です。
相続放棄をしてもすぐに空き家の管理が不要になるわけではない
「相続放棄をすれば空き家をすぐに手放せる」と考えるかもしれません。確かに所有権はないため固定資産税などの支払い義務はありませんが、空き家の管理責任はすぐになくなるわけではありません。
相続放棄して空き家を手放したとしても、ほかの相続人が空き家を管理するまでの間は、相続放棄をした人に物件の管理責任が問われます。そのため、相続放棄をしてから空き家を放置していると、行政から適切な管理を行うよう指導が入ったり、近隣住民からクレームが入ったりする可能性があるのです。
なお、家庭裁判所に申し立てを行い、相続財産清算人を選任してもらうことで、空き家の管理を完全に不要にできます。
相続財産清算人とは、相続人の代わりに相続財産の調査・精算・管理などを行う人のことです。相続財産清算人が選任された後は、その人に空き家の管理責任が移るため、今後は空き家の管理が不要になるのです。
ただし、家庭裁判所に申し立てをするには、相続財産管理人への報酬としてあらかじめ納めておく「予納金」を支払うのが一般的です。あくまで目安ですが、50万円~100万円程度が予納金の相場といわれています。
相続放棄をしてもある程度の期間は管理が必要になるうえ、管理責任を完全に不要にするには50万円~100万円程度がかかることから、相続放棄で空き家を処分するのは基本的におすすめできないのです。
相続放棄をするには相続があることを知ってから3か月以内に手続きが必要
相続放棄をするには、相続の開始を知ってから3か月以内に手続きが必要です。具体的には、「被相続人が亡くなった日」または「被相続人との身分関係を知った日」から3か月以内が期限となります。
期限を過ぎれば、相続放棄は原則認められません。そして、正当な理由がなければ3か月の期限は延長できないため、相続放棄するかを検討しているのであれば、なるべく早めに行動するのが大切です。
たとえば、相続放棄をする場合には、事前に相続できる財産の総額を調べておくことが重要です。一般的には1か月程度の期間がかかるとされており、総額を調べてから相続放棄するかを検討する期間は2か月程度となります。
また、相続放棄にはさまざまな手続きが必要で、数日程度で完了するわけではありません。急いて考えるのは最も避けるべきですが、相続があることを知ってから3か月間は相続放棄をするべきかどうかを判断するために、可能な限り時間を使うようにしてみてください。
空き家を手放す場合には費用がかかるケースもある
空き家を手放す場合、手放す方法によっては下記のような費用がかかります。
- 印紙税:空き家を売却する場合
- 譲渡所得税:空き家を売却して利益が出る場合
- 譲渡契約書の作成費:空き家を個人に譲渡する場合
基本的に空き家を仲介や買取で売却する場合、印紙税や譲渡所得税といった税金の支払いが必要です。あくまで目安ですが、数万円〜数十万円の支払いが必要になるケースもあります。
また、空き家を個人に譲渡する場合、契約内容が記載された契約書の作成が必要です。契約書は個人で作成することも可能ですが、司法書士のような専門家に依頼するのが一般的であり、専門家への依頼料として費用が必要になります。
ここからは空き家を手放す場合にかかる費用についてそれぞれ解説していきます。
印紙税:空き家を売却する場合
空き家のような不動産を売却する場合、売買契約書を作成しなければなりません。この売買契約書は印紙税の課税対象となる「課税文書」の1つであり、契約書の作成時には収入印紙を貼付する必要があります。
収入印紙の代金は、空き家の売却金額によって下記のように変わります。
売却金額
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本則税率
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軽減税率
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10万円を超える~50万円以下
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400円
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200円
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50万円を超える~100万円以下
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1千円
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500円
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100万円を超える~500万円以下
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2千円
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1千円
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500万円を超える~1千万円以下
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1万円
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5千円
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1千万円を超える~5千万円以下
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2万円
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1万円
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5千万円を超える~1億円以下
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6万円
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3万円
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1億円を超える~5億円以下
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10万円
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6万円
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5億円を超える~10億円以下
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20万円
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16万円
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10億円を超える~50億円以下
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40万円
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32万円
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50億円を超えるもの
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60万円
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48万円
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参照元:国税庁「「不動産譲渡契約書」及び「建設工事請負契約書」の印紙税の軽減措置の延長について」
たとえば、空き家が1,000万円で売れた場合、通常収入印紙の金額が2万円となります。
不動産売買の印紙税には軽減措置が設けられており、令和4年4月1日から令和6年3月31日までに作成された売買契約書であれば、軽減率が適用されます。空き家の売却金額が1,000万円で軽減措置がとられた場合、収入印紙の金額が2万円から1万円になります。
譲渡所得税:空き家を売却して利益が出る場合
空き家を仲介や買取で売却する場合、譲渡所得税という税金の支払いが必要なケースがあります。
譲渡所得税の支払いが必要なケースを簡単にいえば、空き家の売却によって利益が出た場合です。不動産の売却においては、「物件を得るためにかかった費用」と「売却するためにかかった費用」を合わせた金額よりも売却金額が多かった場合に利益が出たと扱われます。
この利益のことを「譲渡所得」といい、譲渡所得に応じて納めるべき譲渡所得税が決まる仕組みです。譲渡所得税を算出するには、まず空き家の売却による利益である譲渡所得を「譲渡収入-(取得費+譲渡費用)」で算出し、一定の税率をかける必要があります。
※譲渡収入とは、底地の売却金額のこと。
取得費とは、空き家を得るためにかかった費用のこと。
譲渡費用とは、売却にかかった諸経費のこと。
たとえば、取得費500万円の空き家が1,000万円で売れた場合でシミュレーションをします。譲渡費用として300万円がかかった場合であれば、譲渡所得は「1,000万円ー(500万円+300万円)=200万円」と計算できます。
そして、空き家を所有している年数に応じた税率を譲渡所得にかけることで、譲渡所得税を算出できます。
所有期間
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譲渡所得税の税率
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5年以下
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30%(復興特別所得税を除く)
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5年超
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15%(復興特別所得税を除く)
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譲渡所得が200万円で所有期間5年超の空き家であれば、譲渡所得税は「200万円×15%=30万円」と計算できます。
譲渡契約書の作成費:空き家を個人に譲渡する場合
空き家を譲渡・売買する際には、契約内容を明確に残しておくためにも契約書の作成が原則必要です。たとえ、個人間で空き家の譲渡を行う場合であっても、譲渡後のトラブルを避けるためにも契約書を作成するべきといえます。
空き家を譲渡する場合は「譲渡契約書」という契約書を作成し、個人だけでも作成は可能であるため、専門家への依頼が必須というわけではありません。
しかし、譲渡契約書の作成には専門的な知識が必要なうえに、さまざまな必要書類を自力で集めなければならないため、基本的には司法書士などの専門家に依頼することを推奨します。
そのため、個人に空き家を譲渡する場合、譲渡契約書の作成を専門家に依頼するための費用がかかると考えておくとよいでしょう。
専門家への依頼にかかる費用は物件種類やその専門家などによって変わります。あくまで目安ですが、一般的な戸建住宅の場合、5万円~8万円が相場といわれています。
空き家をお得に手放すためのテクニック
空き家を手放したい場合、「なるべく損をしたくない」「可能な限り高値で売りたい」などと考えていることでしょう。そこで、空き家をお得に手放すためのテクニックをまとめました。
- 複数の業者に見積もり依頼をして査定額が高い業者に依頼する
- 買取先や譲渡先に応じて家財を処分するかを決める
- リフォームや解体は独断で行わない
- 売却で手放すなら譲渡所得税が控除される特例を活用する
ここからは空き家をお得に手放すためのテクニックをそれぞれ解説していきます。空き家を手放す際には参考にしてみてください。
複数の業者に見積もり依頼をして査定額が高い業者に依頼する
空き家を仲介や買取で売却する場合、複数の業者に見積もり依頼をして査定額が最も高い業者に依頼するのが得策です。
不動産業界における査定とは、土地や建物の買取金額の目安を調べることです。
査定の方法や売却金額を決める基準は、業者によって異なると考えられます。そのため、複数の業者に査定を依頼すると、査定額にばらつきが生じると予想されます。
こうすることで査定額が最も高い業者を見つけられ、その業者に依頼すれば他社よりも高値で空き家を買い取ってもらえるのです。
「すぐにでも売却したい」「複数の業者に査定を依頼するのは面倒」と考えるかもしれませんが、空き家を売却する場合、複数の業者に査定を依頼してみましょう。
なお、複数の業者に査定を依頼する場合、所要時間2分で複数社に無料査定を依頼できる「不動産売却一括査定」を活用してみてください。
買取先や譲渡先に応じて家財を処分するかを決める
空き家を手放す際に、「家にある家財は処分するべき?」と考えることもあるでしょう。空き家にある家財を処分するべきかは、買取先や譲渡先で変わります。
たとえば、仲介や個人への譲渡の場合、基本的には空き家の所有者が家財を事前に処分しておく必要があります。家財の処分には費用がかかり、数万円〜数十万円かかるケースもあります。
一方、空き家を専門とする買取業者であれば、そのままの状態で物件を買い取ってもらえるのが一般的です。家財の処分などは買取業者が行うため、売り手が処分にかかる費用を負担する必要は基本的にありません。
空き家を手放す際は、「買取であれば基本的に家財処分の必要がない」「買取以外だと処分の必要がある」と考えておくとよいでしょう。
リフォームや解体は独断で行わない
「リフォームや解体をしたほうが早く高値で手放せる」と考えるかもしれませんが、独断で行うのは避けましょう。確かにリフォームや解体をすることで資産価値が上がればお得に手放せる可能性はありますが、損をすることも大いに考えられるためです。
たとえば、高値で売却するために空き家を大幅にリフォームしたケースです。建物の資産価値自体は上がるのが一般的ですが、リフォームをすれば必ず買い手が見つかるわけではありません。
そのため、「リフォームをしても結局買い手が見つからず、空き家は売れ残ってしまいリフォーム費用を回収できなかった」ということになりかねないのです。
また、空き家がある土地によっては、再建築不可物件として扱われているケースもあります。再建築不可物件とは、新たに建物を建てられない土地のことです。
再建築不可物件の空き家を解体してしまうと、今後はその土地に建物を建てられません。結果的にさらに買い手が見つかりづらい状況にもなりえるのです。
なお、不動産会社や買取業者では、リフォームや解体をすることで高値での売却に期待できるかどうかを担当者に相談できます。仲介や買取で空き家を売却する場合、担当者に相談したうえでリフォームや解体をするべきかを検討してみてください。
売却で手放すなら譲渡所得税が控除される特例を活用する
前述しましたが、仲介や買取で空き家を手放す場合、譲渡所得税がかかるケースがあります。譲渡所得税は空き家の価値などで変わりますが、特例を利用することで大幅に減額されたり、場合によっては0円になったりすることもあります。
この特例は通称「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」と呼ばれており、空き家を売った時にかかる譲渡所得税が最大3,000万円まで控除されます。
空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除を利用するには、下記のような要件を満たしている必要があります。
要件 |
備考 |
① 相続か遺贈により被相続人が所有していた空き家を取得している |
ー |
② 取得した空き家を売り、右記の要件を満たしている |
・相続開始から譲渡までに、事業や貸付け、居住用に供されていたことがない
・譲渡の時において、空き家が一定の耐震基準を満たしている(空き家を取り壊して敷地のみ譲渡する場合は対象外)
・空き家が分譲、区分所有建物(マンション等)の登記がされていない
※空き家を取り壊した後に敷地などとして売る場合にも適用されます |
③ 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る |
ー |
④ 売却代金が1億円以下である |
ー |
⑤ 空き家売却時に別の特例控除の適用を受けていない |
ほかの特例控除との併用は不可 |
⑥ 特別の関係がある人に対して売っていない |
親子や夫婦、同居の親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人などが該当 |
参考元:国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除を利用するには、さまざまな手続きが必要です。詳しくは国税庁の公式サイト「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」に記載されているため、空き家を売却する際には参考にしてみてください。
まとめ
空き家を所有することには、さまざまなリスクがあります。使用していなくても税金の支払いや適切な管理が必要なうえに、場合によっては近隣住民へ悪影響を及ぼしてしまう危険性もあります。
そのため、使用していない空き家であれば、すぐに手放すことを検討するのが得策です。基本的には仲介か買取で売却するのがおすすめですが、空き家バンクや専用のマッチングサイトなどを活用して物件を手放す方法もあります。
ただし、相続放棄で空き家を手放す方法は、空き家以外の財産も放棄することになるため、基本的におすすめできません。まずは仲介や買取で売却することを検討したうえで、これらが難しい場合にその他の方法で空き家を手放すことを考えてみるとよいでしょう。
空き家を手放すことに関するFAQ
Q. 空き家を手放すおすすめの方法は?
基本的には仲介か買取がおすすめです。これらの方法は売却であるため、手放すことで売却金額を得られます。
Q. 売れない家を手放す方法は?
「空き家バンク」「空き家専用のマッチングサイト」「相続土地国庫帰属制度」「自治体への寄付」などが挙げられます。なお、相続放棄はすべての財産も放棄しなければならないため、基本的にはおすすめできません。
Q. 手放したくても手放せない空き家はどうすればいい?
空き家を専門とする買取業者に相談してみるのも1つの手です。空き家専門の買取業者であれば、ほかの業者に断られた物件も買い取ってもらえるのが一般的です。
Q. 空き家を手放す際にリフォームや解体をしたほうがいい?
場合によっては損をしてしまう可能性があるため、独断でリフォームや解体をするのは避けてください。まずは買取先や譲渡先に相談したうえで、リフォームや解体が必要か否かを判断しましょう。
Q. 空き家を手放す際にどんな費用がかかる?
空き家を売却するのであれば、「印紙税」「譲渡所得税」がかかります。個人に空き家を譲渡する場合には、「譲渡契約書の作成費」がかかるのが一般的です。
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