空き家の売却相談ができる窓口一覧!相談内容に合わせて窓口を紹介
ここでは、空き家の売却に関する相談ができる窓口を紹介していきます。
空き家の売却相談ができる窓口を一覧でまとめましたので、「売却する前に空き家に関する相談がしたい」と考えている場合には、相談したい内容に合わせた相談先を探してみてください。
※相談先をタップ・クリックすることで、詳しい解説を確認できます。
不動産会社:空き家売却全般について相談したい
空き家売却全般の相談がしたい場合には、基本的に不動産会社が窓口となります。
不動産会社に相談をすることで、「空き家がどれくらいの金額で売れるのか」「売却のために何をすればよいのか」など、空き家売却に必要な情報を教えてもらえます。また、仲介を依頼すれば、空き家の買い手を探すための売却活動も行ってもらえるのも特徴です。
そのため、「空き家を売却したいけど何から始めればいいのかがわからない」という場合には、不動産会社に相談するのがよいでしょう。
なお、不動産会社といってもさまざまな種類があり、空き家売却に関わる会社には主に下記が挙げられます。
不動産会社の例
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概要
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不動産販売会社
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土地を仕入れて、自社で新築物件を建てたうえで再販売する会社。建物を買い取ることもあるため、空き家を売却できる可能性がある。
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総合不動産会社
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住宅、商業、土地、投資物件など、不動産サービスを幅広く提供している会社。不動産売買だけでなく、賃貸や物件管理なども対応可能。
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不動産買取会社
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不動産を直接買い取り、自社でリノベーションなどを行ったうえで再販売する会社。なかには空き家を専門とする買取業者もある。
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空き家を仲介で売却する場合、基本的には「不動産販売会社」または「総合不動産会社」に相談するのがよいでしょう。一方、空き家を買取で売却するのであれば、「不動産買取会社」に相談することを検討してみてください。
空き家があるエリアの自治体:空き家売却の前に利用できる支援制度について相談したい
不動産を売却する場合、税金の控除などの公的制度を利用できるケースがあります。とくに近年は空き家の増加が問題視されているため、空き家を売却する場合には支援制度を利用できるケースは少なくありません。
このような空き家売却の支援制度について相談したい場合、空き家があるエリアの自治体に相談するのがおすすめです。自治体の不動産相談窓口に出向くことで、利用できる支援制度を紹介してもらえます。
また、詳しくは後述しますが、地域によっては「空き家バンク」が用意されていることがあります。空き家バンクでは物件所有者が売却金額などの条件を自由に設定したうえで、購入希望者を募れます。
「空き家バンクに情報を掲載して購入希望者を探しつつ、不動産会社に販売活動をしてもらう」という対策をとることもできるため、自治体に相談する場合には空き家バンクについても尋ねてみるのがよいでしょう。
税理士:空き家の売却や所有にかかる税金について相談したい
空き家にかかわらず、不動産を売却する場合には譲渡所得税などの税金がかかります。また、売却せずに所有を続ける場合には、固定資産税もかかるため、「空き家にかかる税金の相談をしたい」という人もいるかもしれません。
空き家の税金に関しては、税理士に相談するのがおすすめです。税理士に相談することで、「空き家の売却でどのような税金がかかるのか」「税金としてどれくらいの費用がかかるのか」といった点をアドバイスしてもらえます。
また、税金対策に関するアドバイスがもらえる点も特徴です。
なお、税理士に相談する場合、基本的にはその事務所が定めている相談料を支払う必要があります。あくまで目安ですが、1時間あたり1万円〜3万円程度が税理士の相談料の相場となります。
弁護士:空き家の相続などのトラブルについて相談したい
空き家の売却を検討している場合、「相続予定だが遺産分割がなかなか進まない」のようなトラブルが起きているケースもあることでしょう。このように空き家のトラブルが起きている場合、弁護士に相談をするのが得策です。
弁護士に相談することで、法的な観点からトラブルを解決するためのアドバイスがもらえます。また、弁護士に依頼をすれば、依頼者の代理人としてトラブル解決のための手続きをとってもらえます。
なお、弁護士に相談する場合、基本的には法律事務所が定めている相談料を支払う必要があります。あくまで目安ですが、1時間あたり1万円程度が弁護士の相談料の相場となります。
とはいえ、初回であれば相談料が無料の法律事務所も多いため、「まずは弁護士に相談だけしたい」という場合にはそのような事務所を探すのがよいでしょう。
司法書士:空き家売却に伴う登記について相談したい
空き家を売却する場合、その物件の所有権を買い手に移すための登記が必要です。空き家売却を検討している場合、登記の手続きなどについて相談したい人もいることでしょう。
空き家売却に伴う登記については、司法書士に相談するのが得策です。
司法書士は、いわば不動産登記に関する専門家ともいえます。司法書士に相談することで、登記をするために何をすればよいかなどのアドバイスがもらえます。
また、司法書士に依頼をすれば、登記手続きを代行してもらえる点もメリットです。
なお、弁護士と同様に、司法書士に相談する場合も相談料がかかるのが一般的です。あくまで目安ですが、1時間あたり1万円程度が司法書士の相談料の相場となります。
初回のみ相談料無料の法律事務所も多いため、「司法書士に相談だけして、あとは自分で登記をしたい」という場合にはそのような事務所を探すのがよいでしょう。
不動産鑑定士:空き家の適正な価値について相談したい
空き家を売却したい場合、所有する物件の適正な価値を知りたい人もいることでしょう。空き家の適正な価値については、不動産鑑定士に相談するのが得策です。
不動産鑑定士に相談をすれば、空き家の適正な価値を調べてもらえるうえに、その価値が記載された「不動産鑑定書」を作成してもらえます。不動産鑑定書は法的な効力をもつため、相続などの場面で空き家の適正な価値を証明したい場合に活用できます。
なお、不動産鑑定士に相談する場合、30分あたり5,000円程度の相談料がかかります。また、不動産鑑定書の作成依頼をした場合、数十万円程度の費用がかかります。
解体業者:空き家の解体について相談したい
空き家の売却にあたって、「建物を解体して更地として売り出したい」と考えている人もいることでしょう。空き家の解体については、解体業者に相談するのがよいでしょう。
解体業者に相談することで、空き家の解体にかかる費用や期間の目安を教えてもらえます。
なお、解体にかかる費用は空き家の構造や坪数などによって変わります。あくまで目安ですが、構造ごとに1坪あたりの解体費用をまとめましたので参考にしてみてください。
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1坪あたりの解体費用の目安
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木造
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3万円~5万円
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軽量鉄骨造り
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6万円~7万円
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重量鉄骨造り
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6万円~7万円
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RC(鉄筋コンクリート)
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6万円~8万円
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※実際の費用とは異なる場合があります。目安として参考にしてみてください。
なお、空き家の増加が問題視されている背景から、自治体によっては空き家の解体費用に対する補助金制度が用意されています。
空き家売却の際に解体をする場合、解体業者だけでなく自治体にも相談しておくのがよいでしょう。
空き家を売却する方法!自身の状況や空き家の条件に合わせて売却方法を決めよう
空き家の売却相談をした後には、「実際に空き家を売る方法は?」と考えることでしょう。ここからは、空き家を売却する方法について紹介していきます。
空き家の売却方法にはさまざまな方法があり、それぞれで特徴が異なります。そのため、自身の状況や空き家の条件に合わせて空き家の売却方法を決めるのが得策です。
空き家の売却方法とそれぞれで検討してもよいケースをまとめましたので、参考にしてみてください。
売却方法
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検討してもよいケース
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空き家をそのままの状態で買取業者に買い取ってもらう
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・「解体をする手間や費用をかけたくない」「残置物の撤去が難しい」などと、現状のまま空き家を買い取ってもらいたい
・なるべく早く空き家を売りたい
・仲介では売却の見込みがない
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建物を残したまま仲介で売却する
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・「築年数が浅い」「立地がいい」など、空き家自体の条件がよく、売却の見込みがある
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空き家を解体して更地にしてから仲介で売却する
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・土地自体の条件がよく、売却の見込みがある
・「老朽化が進んでいる」など空き家自体の状態がよくなく、売却が見込めない
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空き家バンクに登録して買い手を募る
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・希望に近い条件で空き家を売却したい
・空き家の買い手を自分で選びたい
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空き家をそのままの状態で買取業者に買い取ってもらう
空き家の売却方法には、買取業者に買い取ってもらうことが挙げられます。買取業者であれば、建物を残したままでも買い取ってもらえるのが一般的であるため、必ずしも解体をする必要はありません。
「解体をする手間や費用をかけたくない」「残置物の撤去が難しい」といった場合には、買取業者に空き家を売却するのもよいでしょう。
また、仲介の場合は買い手が見つからない限り売却ができませんが、買取の場合はその業者が買い手になります。仲介のように買い手を探すための活動が不要なため、買取のほうが比較的早く空き家を売却できるのが一般的です。
あくまで目安ですが、仲介だと3か月〜6か月であるのに対して、買取であれば数日〜1か月程度が売却にかかる期間と言われています。そのため、「早く空き家を売却したい」と言う場合にも買取業者は向いているといえます。
ワンポイント解説
⚪︎空き家が再建築不可などの訳あり物件であれば専門業者に相談するべき
売却したい空き家が「再建築不可物件」「事故物件」「共有不動産」のようないわゆる訳あり物件であれば、専門業者に相談することを検討してみてください。
訳あり物件は物件にある瑕疵が原因となって購入を敬遠されやすく、一般の人に売却するのは難しいです。また、専門外の買取業者の場合も同様です。
専門の買取業者であれば、買い取った物件を活用するためのノウハウがあるため、訳あり物件であっても積極的に買い取ってもらえると考えられます。ほかの業者よりも高値で売却できることもあるため、まずは訳あり物件を専門とする買取業者を探してみるとよいでしょう。
建物を残したまま仲介で売却する
空き家の売却方法には、建物を残したまま仲介で売却することが挙げられます。
この方法では不動産会社に仲介を依頼して、購入希望者が現れた際に空き家を売却できます。仲介であれば買取よりも高値がつくのが一般的です。
あくまで目安ですが、買取の場合は仲介の7割〜8割程度であるのに対して、仲介であれば市場価格に近い価格での売却に期待できます。
ただし、不動産会社による販売活動によって購入希望者が現れなければ、仲介で空き家を売却することはできません。そのため、空き家の条件がよく、買い手がつく見込みがある場合に仲介を検討するのが無難です。
具体的には、下記のように条件のよい空き家であれば、仲介でも売却できる可能性はあるといえます。
- 築年数が浅く、現状のままでも問題なく居住できる
- 最寄りの駅から徒歩で5分〜10分圏内にある
- 人気のエリアにある
なお、不動産会社では、売りたい物件に買い手がつくかどうかについて相談することが可能です。所有する空き家に売れる見込みがあるかがわからない場合、まずは不動産会社に相談してみるのがよいでしょう。
空き家を解体して更地にしてから仲介で売却する
空き家の売却方法には、建物を解体して更地にしてから仲介で売却することが挙げられます。
空き家の売却を検討している人のなかには、空き家の状態が「老朽化が進んでいて見た目がぼろぼろになっている」「現状のままでは居住すら難しい」のようなケースもあるかもしれません。
このような状態の空き家は購入を敬遠されやすく、仲介で売却するのは難しいといえます。
しかし、空き家の立地がよければ、建物を解体して更地として売り出せば買い手がつく可能性があります。たとえば、「人気のエリアにある」「最寄駅から徒歩5分〜10分圏内にある」といった立地条件であれば、仲介で買い手がつくことに期待できます。
そのため、「空き家の状態はよくないが、立地条件がいい」という場合には、建物を解体して更地にしてから仲介で売却することも視野に入れておくとよいでしょう。
ただし、当然ですが、空き家を解体する場合には解体費用がかかります。前述したように、解体費用は建物の構造や坪数などで変わり、数十万円程度かかるのが一般的です。
また、空き家を解体すると、「住宅用地の特例」という固定資産税の軽減措置が外れてしまいます。軽減措置が外れると固定資産税が最大6倍になるため、解体した後になかなか売れない状況が続くと固定資産税として支払う金額がさらに増えてしまいます。
空き家を解体して更地にすることを考えている場合、まずは不動産会社に相談をしたうえで、解体するべきかどうかを検討するのがよいでしょう。
空き家バンクに登録して買い手を募る
自治体によっては、空き家バンクが用意されていることもあります。
空き家バンクとは、空き家の活用や地方移住を促進するための制度のことです。主には空き家を売りたい人と、物件の購入を考えている人をマッチングさせるために使用されます。
空き家バンクに登録をすると、売りたい物件の情報が自治体の専用サイトに掲載されます。購入したい人が現れれば、空き家を売却することが可能です。
また、空き家バンクでは、売りたい金額などの条件を売り手が設定できます。買取では自身で売却金額を決めることはできないため、「希望している条件で空き家を売却したい」という場合には空き家バンクを検討してみてもよいでしょう。
さらに、空き家バンクの特徴として、購入希望者のなかから買い手を選べる点が挙げられます。空き家の売却を検討している場合、「思い出が詰まった家だから、大事に使ってもらえる人に売りたい」のように考えている人もいるでしょう。
このような場合でも大事に物件を使ってもらえる買い手を探せる点は、空き家バンクを利用するメリットといえます。
ただし、前述したように空き家の条件がよくなければ、「なかなか買い手が現れない」ということにもなりかねません。そのため、空き家を売却するための方法をほかにも実施しながら、空き家バンクでも買い手を探すのが得策です。
売却したい期日を決めておき、「期日までは空き家バンクで買い手を探す」「期日を過ぎても買い手が現れなければ買取業者などに依頼する」のように対策を講じれば、なかなか売れない状況を長引かせずに済むと考えられます。
空き家の売却相場は売却方法によって変わる
空き家の売却を検討している場合、「大体いくらくらいで売れるのだろう」と考える人もいることでしょう。
空き家に限った話ではありませんが、不動産を売却する場合、築年数や広さ、立地といったその物件の条件で売却金額が変動します。そのため、「空き家は⚪︎円で売却できる」のように断言することはできません。
また、空き家を売却する方法によっても金額が変わるのが一般的です。あくまで目安ですが、売却方法に応じた空き家の売却金額の目安は下記のとおりです。
- 買取業者に空き家を売却する:市場価格の50%〜80%程度
- 空き家を残したまま仲介で売却する:物件の条件によって異なる
- 空き家を解体して更地にしてから仲介で売却する:市場価格とほぼ同等
ここからは、空き家の売却方法に応じた相場について、それぞれ解説していきます。空き家の売却相場を知りたい場合、検討している売却方法に応じた相場を確認してみてください。
買取業者に空き家を売却する場合の相場は「市場価格の50%〜80%程度」
前提として、一般的に不動産売買においては、仲介よりも買取のほうが売却金額が安くなります。空き家においても同様に、買取だと仲介よりも売却金額は安くなると考えられます。
あくまで目安ですが、空き家を買取業者に売却した場合、市場価格の50%〜80%程度になるとされています。たとえば、仲介であれば3,000万円で売れる空き家の場合、買取業者に依頼すると1,500万円〜2,400万円程度が売却金額の相場です。
空き家を残したまま仲介で売却する場合の相場は「条件によって異なる」
仲介で不動産を売却する場合、基本的にはその物件の条件に応じた市場価格が売却金額になります。そのため、空き家を残したまま仲介で売却する場合、売却金額は物件の条件によって異なります。
簡単にいえば、立地や広さなどの条件がよい空き家であれば売却金額は高くなると予想されます。逆に、条件がよくない空き家の場合には、売却金額が低くなるのが一般的です。
なお、不動産会社に依頼をすれば、売却したい空き家の査定をしてもらえます。査定では「この程度の金額で売れる」という目安を診断してもらえるため、仲介で空き家を売却する場合には、まず査定をしたもらったうえでその結果を売却金額の目安として考えるのが良いでしょう、
空き家を解体して更地にしてから仲介で売却する場合の相場は「市場価格とほぼ同等」
当然ですが、空き家を解体する場合、その建物があった土地を売却することになります。土地のみを売却するのであれば、その土地の条件に応じた市場価格が売却金額になるのが一般的です。
所有する土地の市場価格を調べるにはさまざまな方法がありますが、手軽に調べたい場合には「不動産ポータルサイトで条件が似ている土地の販売価格を参考にする」という方法が向いています。
「SUUMO(スーモ)」や「HOME'S(ホームズ)」といった不動産ポータルサイトには、土地や建物の販売価格が掲載されています。あくまで売り出し価格であるため、正確な相場とはいえませんが、手軽に調べたい時には参考になるでしょう。
空き家をなるべく高く売却したい場合は複数の業者に査定を依頼しておく
空き家の売却を検討している場合、「なるべく高値で売却したい」と多くの人が考えることでしょう。
空き家をなるべく高く売却したい場合、複数の業者に査定をしてもらったうえで売却先を決めるのが得策です。
不動産における査定とは、土地や建物がどの程度の金額で売却できるのかを調査してもらうことです。
不動産会社や買取業者によって、査定の方法や基準は異なると考えられます。そのため、複数の業者に査定を依頼すると、「A社では1,000万円だったのが、B社なら1,500万円との査定結果だった」のように査定額に差が出ることも予測されます。
その結果、最も査定額が高い業者を見つけられれば、その業者に依頼することで空き家を高値で売却できるのです。
なお、査定のみであれば、不動産会社でも買取業者でも無料で行ってもらえるのが一般的です。「すぐに空き家を手放したい」と考えるかもしれませんが、高値売却を希望する場合には、なるべく多くの業者に査定を依頼するのがおすすめです。
空き家を売却する場合の流れ
空き家売却に関する相談をした後には、「空き家を売却する場合にはどんな手続きが必要なのか」と考える人もいることでしょう。
前提として、空き家の売却方法に応じて、売り手が行う手続きは異なります。大まかにはなりますが、空き家を売却する場合の流れをまとめると下記のようになります。
- 不動産会社や買取業者に査定を依頼しておく
- 売却先と空き家の売買契約を締結させる
- 決済・引き渡しを行う
- 確定申告のために譲渡所得税を算出しておく
空き家を売却する場合、相場観を掴むためにもまずは査定を依頼するのが得策です。そして、依頼する業者が決まれば売買契約を結び、その内容をもとに決済・引き渡しを行います。
なお、空き家に限らず、不動産を売却することで利益が出た場合、確定申告をしなければなりません。そのため、空き家の引き渡しが完了した後には、確定申告のために譲渡所得税を算出しておくのも大切です。
ここからは、空き家を売却する際の流れについて、それぞれを解説していきます。
不動産会社や買取業者に査定を依頼しておく
前述したように、業者によって査定の基準や方法が変わると予想でき、査定額にも差が出ると考えられます。そのため、不動産会社や買取業者に空き家を売却する場合には、複数の業者に査定をしてもらったうえで売却先を決めるのが得策です。
なお、空き家バンクを利用して空き家を売却する場合、自身で価格設定などができるため、必ず査定をしなければならないわけではありません。とはいえ、自身が所有する空き家の売却金額の相場感をつかむためにも、売却の前に査定だけでも依頼しておくのがおすすめです。
売却先と空き家の売買契約を締結させる
不動産を売却する場合、買い手と売買契約を結ぶ必要があります。空き家であっても同様で、売却方法にかかわらず売買契約を結ばなければなりません。
不動産の売買契約の際には、宅地建物取引業法によって「不動産売買契約書」の作成が義務付けられています。売買契約書には買取価格や引き渡し時期などの合意内容が記載されており、再空き家を売却する際には作成が必須です。
なお、売買契約を締結させる際には、さまざまな必要書類を用意する必要があります。追加書類の提出が求められるケースもありますが、下記のような書類が必要になるのが一般的です。
必要書類
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概要
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登記済権利書
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法務局から所有者に登記名義人に交付される書類。再発行できないため、紛失した場合には法務局に相談をする
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固定資産税納付通知書
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固定資産税などが記載された書類。税務署から毎年4月上旬ごろに送付される。
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境界確認書
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隣地との土地の境界を証明できる書類。測量士に依頼をして作成してもらえる
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印鑑証明書
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原則3か月以内に発行したものに限られる
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本人確認書類
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運転免許証やマイナンバーカードといった身分を証明できる書類
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住民票
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役所で取得できる書類
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不動産売買契約書の作成は司法書士に依頼することも可能です。不動産会社や買取業者に依頼する場合には基本的に不要ですが、空き家バンクで空き家を売却する際には、司法書士に相談しつつ売買契約を結ぶのがよいでしょう。
決済・空き家の引き渡しを行う
売買契約が締結した後は、契約内容に沿って決済や空き家の引き渡しが行われます。
決済や引き渡しの日程は、売買契約を締結させる際に決定されます。売買契約の際には、引き渡しの都合がつきそうな日程をあらかじめ決めておき、その日に引き渡しができるようにスケジュールを調整しておくとよいでしょう。
なお、空き家の引き渡しの際には、物件の鍵を買い手に渡す必要があります。引き渡し日には物件の鍵を忘れずに持っていきましょう。
確定申告のために譲渡所得税を算出しておく
空き家に限らず、不動産売却によって利益が出た場合には原則譲渡所得税を納めなければなりません。その場合、売却した翌年の2月16日〜3月15日までに確定申告をする必要があります。
譲渡所得税は個人でも算出することは可能ですが、簡単に算出できるわけではなく、手順を踏んで算出していく必要があります。
譲渡所得税の算出は、空き家売却によって得られた利益である「譲渡所得」の計算から始めます。譲渡所得は「買い手から受け取った金額-(空き家の取得費+譲渡にかかった費用)」の式で算出可能です。
たとえば、「取得費2,000万円」「譲渡費用150万円」「売却金額3,000万円」の場合を想定すれば、「3,000万円ー(2,000万円+150万円)=850万円」と計算できます。この際、譲渡所得が0になるケースもあり、その場合は売却による利益が出ていないため譲渡所得税はかかりません。
次に、譲渡所得に一定の税率をかけて、譲渡所得税を算出します。一定の税率は、不動産の所有期間によって下記のように変わります。
所有期間
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所得税率
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5年超
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15%
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5年以下
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30%
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先ほどの条件である譲渡所得が850万円であれば、所有期間が5年以下の場合は「850万円×30%=255万円」、所有期間が5年を超えていれば「850万円×15%=127.5万円」と算出します。
なお、不動産会社や買取業者では、「譲渡所得税が発生するかどうか」「確定申告でどのような手続きをするのか」などを相談できる場合もあります。業者に空き家を売却する場合、譲渡所得税や確定申告について相談しておくとよいでしょう。
空き家の売却には費用がかかる!売却費用の一覧
空き家を売却する場合には、売り手が支払わなければならない費用があります。主な例としては、下記が挙げられます。
ここからは、空き家の売却に支払う費用について、それぞれ解説していきます。空き家の売却を考えている場合には参考にしてみてください。
仲介手数料【仲介で売却する場合のみ】
「建物を残したまま仲介で売却する」「解体して更地にしてから仲介で売却する」という方法で空き家を売却する場合、不動産会社に仲介を依頼することになります。不動産会社に仲介を依頼して空き家が売れた場合、その業者に「仲介手数料」を支払わなければなりません。
仲介手数料とは、不動産業者に物件売買の仲介を依頼して、売買契約が成立した際に支払う成功報酬のことです。仲介手数料の金額は不動産会社が定めているため、業者によって異なりますが、「宅地建物取引業者の報酬規定」によって上限額が定められています。
具体的には、800万円以下の不動産売買であれば30万円の1.1倍、つまり33万円が仲介手数料の上限額となります。800万円を超える不動産売買の場合は「売却金額 × 3% + (6万円 + 消費税)」が上限額です。
たとえば、空き家の売却金額が1,000万円であれば、仲介手数料の上限額は「1,000万円 × 3% + (6万円 + 6,000円)= 366,000円」と計算できます。
仲介手数料については、不動産会社に相談するまで正確な金額を把握するのが難しいため、仲介で空き家を売却する際には依頼先の業者に仲介手数料について尋ねておくとよいでしょう。
印紙税
印紙税とは、不動産を売却する際に売り手と買い手の間で交わす不動産売買契約書に対して課税される税金のことです。空き家の売却価格に応じた印紙を貼る形で印紙税を納めます。
売却金額
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本則税率
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軽減税率
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10万円を超える~50万円以下
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400円
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200円
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50万円を超える~100万円以下
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1千円
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500円
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100万円を超える~500万円以下
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2千円
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1千円
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500万円を超える~1千万円以下
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1万円
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5千円
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1千万円を超える~5千万円以下
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2万円
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1万円
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5千万円を超える~1億円以下
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6万円
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3万円
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1億円を超える~5億円以下
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10万円
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6万円
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5億円を超える~10億円以下
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20万円
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16万円
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10億円を超える~50億円以下
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40万円
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32万円
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50億円を超えるもの
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60万円
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48万円
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参照元:国税庁「「不動産譲渡契約書」及び「建設工事請負契約書」の印紙税の軽減措置の延長について」
たとえば、空き家が3,000万円で売れた場合、通常収入印紙の金額が2万円となります。
不動産売買の印紙税には軽減措置が設けられており、令和4年4月1日から令和6年3月31日までに作成された売買契約書であれば、軽減率が適用されます。空き家の売却金額が2,000万円で軽減措置がとられた場合、収入印紙の金額が2万円から1万円になります。
空き家を売却する前に注意点を把握しておくべき
空き家の売却を検討している場合、さまざまな注意点があることを事前に把握しておきましょう。場合によっては、空き家売却に関して損をしてしまう可能性もあります。
空き家の売却に関する注意点には、下記が挙げられます。
- 相談せずに空き家を解体するのは避けるべき
- 売却に時間がかかってしまい「特定空き家」に指定されれば固定資産税が最大6倍になる
- 空き家売却の前にリフォームをするなら不動産会社に相談しておく
- 空き家の残置物の撤去が難しい場合は無理に不用品回収業者へ依頼しない
ここからは、空き家の売却に関する注意点について、それぞれ解説していきます。
相談せずに空き家を解体するのは避けるべき
空き家の売却を検討している場合、「建物の老朽化が進んでいるなら土地として売却したほうが売れるのでは」のように考えている人もいることでしょう。その場合、空き家の建物部分を解体して土地として売却することを検討しているかもしれません。
確かに、場合によっては解体したほうが買い手がつきやすくなることもあります。しかし、売れる見込みがないのであれば、無理に空き家を解体するべきではありません。
前述したように、空き家を解体するには解体費用がかかるうえに、解体後は固定資産税が最大6倍になります。そのため、買い手がつかない状態が続けば、「数十万円の解体費用をかけたのに買い手がつかず、固定資産税の支払い負担も増えてしまった」ということになりかねないのです。
空き家の解体を検討しているのであれば、まずは不動産会社に相談をして、更地にすれば買い手がつく見込みがあるのかどうかを検討するのが大切です。
売却に時間がかかってしまい「特定空き家」に指定されれば固定資産税が最大6倍になる
空き家の売却を検討している場合、その物件を放置している人もいるかもしれません。その場合、「特定空き家」として指定される可能性があるため注意が必要です。
特定空き家とは、「近隣に影響を及ぼすおそれがあり早急な処理が必要な空き家」のことです。特定空き家として指定されてしまうと、住宅用地の特例が外れてしまうため、固定資産税が最大6倍になってしまいます。
なお、特定空き家として指定される空き家については、下記のように定められています。
- 倒壊などの危険がある状態
- 衛生上有害となる恐れのある状態
- 周辺地域の景観を損なっている状態
- 放置することが不適切である状態
上記のような状態で空き家を放置していると、特定空き家に指定される可能性があります。売却までにかかる期間が長期化すれば、特定空き家に指定される可能性も高まるため、可能な限り放置はせずに適切な管理をするようにしてみてください。
空き家売却の前にリフォームをするなら不動産会社に相談しておく
基本的に、建物の状態がよければよいほどその不動産の資産価値は高くなります。そのため、空き家の売却を検討している人のなかには、買い手がつきやすくするためにリフォームすることを考えている人もいるかもしれません。
しかし、独断で空き家をリフォームするのは避けるべきです。リフォームをしたからといって、空き家が売れる保証はないからです。
また、リフォームするには、数万円〜数十万円ほどの費用がかかります。場合によっては、「費用をかけてリフォームしたのになかなか買い手が現れない」という事態にもなりかねません。
空き家をリフォームすることを検討している場合、不動産会社に相談をしつつ、「どんな人をターゲットにして考えるべきか」「どの箇所をどのようにリフォームするべきか」などを決めていくのがよいでしょう。
空き家の残置物の撤去が難しい場合は無理に不用品回収業者へ依頼しない
空き家の売却を検討している場合、「物件にある家具やゴミなどの残置物は撤去したほうがいいだろう」と考えている人もいることでしょう。
確かに、仲介で物件を売却する場合には、買い手がつきやすい状態にするためにも、残置物を撤去しておくのが一般的です。そのため、不動産会社に仲介を依頼して空き家を売るのであれば、残置物を撤去しておくのがよいともいえます。
しかし、買取業者に空き家を買い取ってもらう場合、無理に残置物を撤去するのは避けておくべきです。買取業者によっては、残置物がある状態の空き家でもそのまま買い取ってもらえるためです。
無理に不用品回収業者へ依頼をして残置物を撤去すると、のちに「実は残置物があっても買い取ってもらえた」ということが発覚するケースもあり、その場合は不用品回収業者への費用が無駄になってしまいます。
空き家を売却する場合、残置物の撤去が必須かどうかを売却先に相談しておくのが得策です。
まとめ
空き家の売却に関しては、さまざまな窓口に相談できます。空き家売却に関する全般的な相談であれば不動産会社がおすすめですが、それ以外にも税金や解体などを相談したい場合には、それに応じた窓口に相談するのがよいでしょう。
また、空き家の売却方法には、おおまかに仲介と買取の2種類があります。さらに、空き家バンクを利用して自身で買い手を探す方法もあり、自分の希望に適した方法で空き家を売却するのが得策です。
ただし、空き家売却にはさまざまな注意点があります。損をしないためにも、空き家を売却する場合には、事前に注意点を把握したうえで売却の手続きを進めるようにしてみてください。
空き家売却に関するFAQ
なかなか空き家が売却できないときはどこに相談すればよいでしょうか?
すぐにでも売りたいのであれば、空き家を専門とする買取業者に相談するのがよいでしょう。ほかの業者では買い取ってもらえなかった空き家でも、数日〜1か月程度で売れることに期待できます。
空き家を売却できるまでにどれくらいの期間がかかりますか?
実際に売れるまでの期間は状況にもよりますが、あくまで目安であれば、仲介の場合は3か月〜6か月程度、買取であれば数日〜1か月程度で売却できるのが一般的です。
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