空き家の買取相場が仲介価格よりも安くなりやすい理由
空き家だけに限りませんが、買取は仲介よりも売却価格が安くなる傾向があります。あくまで一般的には、仲介価格の50%〜70%が買取価格の相場とされています。
空き家の買取相場が仲介価格よりも安くなりやすい理由としては、下記が挙げられます。
- 築年数が古い空き家ほど買取価格は安くなりやすい
- 管理状態がよくない空き家だと買取価格は安くなる傾向がある
- 最寄り駅まで遠いなどの立地がよくない空き家は安くなりやすい
ここからは、空き家の買取相場が仲介価格よりも安くなりやすい理由について、それぞれ解説していきます。
なお、不動産の売却価格はその物件の状態や立地、築年数などによって変動するため、実際の価格は目安とは異なるケースも少なくありません。空き家買取だと必ず仲介よりも安値になるとは言い切れないため、あくまで目安として参考程度に考えておくのが良いでしょう。
築年数が古い空き家ほど買取価格は安くなりやすい
空き家買取を検討している人のなかには、売りたい物件の築年数が古い場合もあることでしょう。
空き家に限った話ではありませんが、築年数が古い物件ほど建物自体の資産価値が下がる傾向があるため、その分買取価格も安くなりやすいです。
実際に国土交通省が公表するデータでも、築年数が20年を超えたあたりから戸建住宅の資産価値は10%程度まで下がると公表されています。
出典:国土交通省「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」
資産価値が低い物件は、売却価格だけでなく需要も下がりやすいです。そのため、築年数が古い空き家の場合には、売却金額が下がりやすいだけでなく、そもそも仲介では売れないことも考えられるのです。
管理状態がよくない空き家だと買取価格は安くなる傾向がある
前提として、買取業者は利益を出すために、買い取った物件の資産価値を自社で高めてから再販売をします。空き家を買取業者に売却する場合、再販売をするためにかかるであろうコストを考慮したうえで買取金額が提示されます。
そして、管理状態がよくない空き家の場合、再販売をするためにはクリーニングやリフォームなどが必要になると考えられます。その場合には、リフォームなどにかかる費用を考慮したうえで買取価格が提示されるため、仲介よりも売却金額は安くなりやすいのです。
最寄り駅まで遠いなどの立地がよくない空き家は安くなりやすい
空き家の売却価格は、その物件に対する需要の高さで変動します。需要の高さについてはさまざまな要素で決まりますが、空き家の立地や周辺環境も要素の1つになります。
「立地が悪い」「周辺環境や利便性が悪い」といった空き家の場合、需要が低いことも考えられ、その場合には買取価格がさらに安くなると予測されます。
たとえば、下記のような空き家の場合、買取価格が安くなる可能性があります。
- 最寄り駅まで徒歩で15分以上かかる
- 繁華街までに自動車でも30分以上かかる
- 近くに大型のスーパーや病院などがない
空き家の買取相場を調べる方法!売りたい空き家の類似物件の買取価格を参考にしよう
空き家の買取を検討している人のなかには、「価格が安くなりやすいのはわかったけど、実際にはいくらで買い取ってもらえるのか」のように考えている人もいることでしょう。
結論、所有している空き家の実際の買取価格は、業者に依頼するまでは断言できません。
とはいえ、空き家の買取価格の目安を調べる方法はあります。売りたい空き家に条件が似ている物件の買取価格を参考にする方法です。
あくまで参考程度の価格にはなりますが、業者に依頼しなくても売りたい空き家の買取価格の目安を把握できます。そのため、空き家の買取相場を知りたい場合には、下記のような方法で類似物件の買取価格を調べてみるのもよいでしょう。
- REINS Market Information:より多くの類似物件を探したい場合
- 不動産ポータルサイト:実際に売りに出されている物件を探したい場合
- 土地総合情報システム:より現実的な売却相場を知りたい場合
ここからは、空き家の買取相場を調べる方法として、類似物件の買取価格を調べる方法をそれぞれ解説していきます。
REINS Market Information(レインズマーケットインフォメーション)
REINS Market Information(レインズマーケットインフォメーション)とは、過去にあった不動産売却の成約価格を調べられるサービスのことです。不動産流通機構の会員である不動産会社専用のシステムである「REINS」を、個人でも利用できるようにしたのがREINS Market Informationともいえます。
REINS Market Informationを利用して類似物件の成約価格を調べるには、下記のような手順が必要です。
- REINS Market Informationにアクセスする
- 一戸建てを選択する
- 売りたい空き家がある都道府県と地域を選択する
- 空き家の条件について追加検索条件で絞り込む
- 売りたい空き家の条件に近い専有面積・築年数の物件を探す
不動産ポータルサイト
売りたい空き家に条件が似ている物件の買取価格を調べる方法として、不動産ポータルサイトの利用が挙げられます。
不動産ポータルサイトとは、土地や建物の情報を公開しており、個人で検索できる不動産情報ウェブサイトのことです。代表的な不動産ポータルサイトとしては、下記が挙げられます。
※タップ・クリックすることで、その不動産ポータルサイトの公式サイトを確認できます。
不動産ポータルサイトを利用すれば、過去の物件の成約価格だけでなく、現在売りに出されている物件の情報も確認できます。売りたい空き家の買取価格は大体いくらなのかを知りたい場合、絞り込み検索をすれば類似物件の売り出し価格から確認が可能です。
土地総合情報システム
売りたい空き家に条件が似ている物件の買取価格を調べる方法として、土地総合情報システムの利用が挙げられます。
土地総合情報システムとは、国土交通省が提供するシステムのことです。過去に売買された土地や建物の成約価格を無料で調べられます。
不動産ポータルサイトの売り出し価格とは異なり、土地総合情報システムには実際にあった不動産売買の価格が掲載されています。そのため、より現実的な売却価格を把握したいときにおすすめです。
土地総合情報システムでは、以下の手順で類似物件の成約価格を調べられます。
- 国土交通省「土地総合情報システム」にアクセスする
- 不動産取引価格情報検をクリック
- 物件の種類を選択
- 調べたい地域を選択
- この条件で検索をクリック
空き家の買取相場は実際の売却価格と異なることもある!実際の買取価格の目安を調べる手順
ここまでで解説した空き家の買取相場を調べる方法は、いずれも類似物件を参考にした方法です。空き家に限らず、不動産の売却価格はその物件の条件などで決定されますが、条件などがまったく同じの不動産はありません。
そのため、空き家の買取相場を調べたとしても、その金額が実際の売却価格になるとは限らないのです。
また、空き家の買取価格はリフォームなどにかかる費用や諸経費も考慮したうえで決定されます。「どの程度のリフォームが必要になるか」なども買取価格を変動させる要素になるため、事前に空き家の買取価格を正確に把握するのは難しいです。
とはいえ、正確とはいえずとも、実際の買取価格により近い金額を算出する方法はあります。売りたい空き家の買取価格を知りたい場合には、下記の式で算出しておくのも良いでしょう。
空き家の買取価格=空き家の市場価格ーリフォーム費用ー諸経費
ここからは、実際の空き家の買取価格の目安を調べる手順について、各工程を詳しく解説していきます。
売りたい空き家のリフォームにかかる費用の目安を算出する
売りたい空き家の買取価格を知りたい場合、物件のリフォームにかかるであろう費用を計算しておきましょう。
一般的に戸建てのリフォームにかかる費用は、1m2あたり約5万円と言われています。たとえば、30坪の空き家であれば、だいたい100m2になるため、フルリフォームをする場合の費用の目安は500万円となります。
なお、フルリフォームが不要になることも少なくありません。仮に10m2だけリフォームした場合には50万円程度が目安となります。
ただし、老朽化が進んでいる場合、さらにリフォーム費用がかかるのが一般的です。こちらもあくまで目安ですが、1m2あたり10万円程度が目安です。
買取業者が再販売するまでにかかる諸経費の目安を算出する
買取業者は空き家を買い取った後に、再販売するためのコストをかけなければなりません。どの程度のコストがかかるかは物件の状態などによって異なりますが、あくまで一般的には市場価格の20%〜30%程度といわれています。
この費用も空き家の買取価格を決定する一つの要素になるため、売りたい空き家の買取価格を知りたい場合には目安を計算しておくと良いでしょう。
たとえば、売りたい空き家の市場価格が3,000万円であれば、諸経費は600万円〜900万円となります。
リフォーム費用と諸経費を市場価格から差し引いて空き家の売却価格の目安を算出する
リフォーム費用と諸経費を算出した後は、売りたい空き家の市場価格からそれらの金額を差し引くことで買取価格の目安を計算できます。
たとえば、下記の条件を想定します。
- 空き家の市場価格:3,000万円
- リフォーム費用:50万円
- 諸経費:700万円
空き家の買取価格の目安は、「空き家の市場価格ーリフォーム費用ー諸経費」で計算可能です。今回の条件であれば「3,000万円ー50万円ー700万円」となるため、この条件の空き家の買取価格は2,250万円が目安となります。
空き家を買取で売却するメリット
空き家を買取で売却することには、さまざまなメリットがあります。
- 数日〜1か月程度で空き家を買い取ってもらえるのが一般的
- 契約不適合責任が免責される
- 空き家に残置物があってもそのままの状態で買い取ってもらえる
- 仲介手数料がかからない
ここからは、空き家を買取で売却するメリットについて、それぞれ解説していきます。空き家買取を検討している場合には、参考にしてみてください。
数日〜1か月程度で空き家を買い取ってもらえるのが一般的
仲介で不動産を売却する場合、買い手を探すための売却活動が必要になり、実際に物件を売却できるまでには3か月〜6か月程度の期間がかかるのが一般的です。
一方買取は、買取業者に直接不動産を買い取ってもらう方法です。買い手を探すための売却活動が不要なため、仲介よりも早く空き家の買取が完了するのが一般的です。
買取が完了するまでの期間は買取業者によって変わりますが、数日〜1か月程度が目安とされています。場合によっては、最短翌営業日に空き家を買い取ってもらえる買取業者も存在します。
「少しでも早く空き家を売りたい」という場合には、買取で売却することを検討してみるとよいでしょう。
契約不適合責任が免責される
空き家に限った話ではありませんが、不動産を売却する場合、売り手は「契約不適合責任」を負うのが一般的です。
契約不適合責任とは、売却する不動産が契約内容に適さない場合、売り手が負担しなければならない責任のことです。
たとえば、売却する空き家に雨漏りやひび割れのような欠陥があると仮定します。それを買い手に伝えずに空き家の売買契約を結んだ場合、契約不適合責任に問われるリスクがあります。
契約不適合責任に問われた場合、空き家の売買契約の解除を求められるうえに、場合によっては損害賠償を請求されかねません。
一方、買取であれば、契約不適合責任が免除されるのが一般的です。そのため、売りたい空き家に自身の知らない欠陥などがあったとしても、売却後に契約不適合責任に問われるリスクは低いです。
リフォームや解体をせずに空き家を買い取ってもらえる
空き家買取を検討している場合、「老朽化が進んでいても売却できるのだろうか」のように考えている人もいるかもしれません。
仲介の場合、買い手が現れやすくなるように、老朽化が進んだ物件は事前にリフォームすることを進められることも少なくありません。また、建物自体の資産価値がほぼない空き家であれば、解体をして土地として売却することもあります。
当然ですが、リフォームや解体をする場合には、売り手がその費用を負担しなければなりません。
一方、買取であれば、物件の状態にかかわらずそのままの状態で買い取ってもらえるのが一般的です。そのため、老朽化が進んでいる空き家であっても、リフォームや解体をせずに売却が可能です。
空き家に残置物があってもそのままの状態で買い取ってもらえる
空き家を仲介で売却する場合、家具や家電といった残置物を事前に撤去しておくのが一般的です。そのため、残置物がある空き家を仲介で売却する場合には、事前に残置物を撤去・処分しておかなければなりません。
一方、買取業者であれば、そのままの状態で空き家を買い取ってもらえるのが一般的です。そのため、残置物があったとしても、撤去や処分をせずに買取が可能です。
「残置物を撤去する費用や手間を省きたい」「空き家が遠くて撤去や処分が難しい」といった場合、買取業者に空き家の買取を依頼するのがよいでしょう。
仲介手数料がかからない
空き家を仲介で売却する場合、物件売買が成立した際には不動産会社に対して仲介手数料を支払うのが一般的です。仲介手数料は不動産会社によって異なりますが、不動産会社が受領できる仲介手数料の上限額は下記のように定められています。
取引価格
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仲介手数料の上限
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200万円以下
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取引物件価格(税抜)×5%+消費税
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200万円超~400万円以下
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取引物件価格(税抜)×4%+2万円+消費税
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400万円超
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取引物件価格(税抜)×3%+6万円+消費税
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たとえば、空き家が税抜1,000万円で売却できた場合、「1,000万円×3%+ 6万円+(1,000万円×10%)=136万円」が仲介手数料の上限となります。
しかし、買取業者に空き家売却を依頼すれば、そもそも仲介が不要になるため、仲介手数料がかかりません。数万円〜数十万の費用を抑えられるケースもあるため、買取を検討するのもよいでしょう。
空き家をなるべく高値で買い取ってもらうための対策
空き家の買取を検討している場合、「なるべく高値で買い取ってもらいたい」と考えるのが自然です。空き家を高値で買い取ってもらいたい場合、下記のような対策を講じてみてください。
- 空き家を専門とする買取業者に依頼する
- 複数の買取業者に査定を依頼して最も高い査定額の業者を探す
- 可能な限り空き家の状態をよくしておく
ここからは、空き家をなるべく高値で買い取ってもらうための対策について、それぞれ詳しく解説していきます。
空き家を専門とする買取業者に依頼する
買取業者は、それぞれで得意としている物件種類があります。不動産全般の買取に対応している業者もあれば、特定種類の買取に特化した業者もあります。
そして、なかには空き家に特化した買取業者も存在し、高値で空き家を買い取ってもらいたい場合にはそのような業者に依頼するのが得策です。
空き家を専門とする買取業者であれば、買い取った空き家で利益を上げるためのノウハウがあると考えられます。そのため、他社よりも高値かつスピーディーに空き家を買い取ってもらえるのが一般的です。
なお、空き家専門の買取業者は、数多く存在します。下記記事では、当サイトでおすすめの空き家買取業者を紹介しているため、空き家の買取を検討している場合には参考にしてみてください。
複数の買取業者に査定を依頼して最も高い査定額の業者を探す
空き家をなるべく高値で買い取ってもらいたい場合、複数の買取業者に査定を依頼しておくことを検討してみてください。
買取業者に買い取りを依頼する場合、まずは空き家の査定が行われます。査定の方法や基準は買取業者によって異なると考えられ、複数の業者に査定をしてもらうと査定額にばらつきが出ると予測されます。
そのため、複数の専門業者に査定を依頼すれば、査定額が最も高い業者を見つけることができ、その業者に依頼することで高値で空き家を売却できる可能性があるのです。
買取業者には査定のみ依頼することも可能です。「査定を依頼したら絶対に空き家を売却しなければならない」とはなりませんので、空き家を高値で買い取ってもらいたい場合には複数の買取業者に査定を依頼してみてください。
可能な限り空き家の状態をよくしておく
前述したように空き家の買取価格は、業者が買い取った後に行うリフォームなどの費用も考慮されます。そのため、状態が悪い物件であれば、その分リフォームなどの費用がかかりやすく、買取価格は安くなる傾向があります。
逆にいえば、リフォームなどの費用が抑えられるほど状態を改善しておくことで、空き家の買取価格の低下を抑えられるとも考えられます。そのため、空き家を高値で買い取ってもらいたい場合には、可能な限り空き家の状態をよくしておくことも検討してみてください。
なお、詳しくは後述しますが、高値で買い取ってもらいたいからといって、無理にリフォームをするのはおすすめできません。
費用をかけすぎず、自身で行える範囲で清掃や簡易的な修繕を行っておくのが良いでしょう。具体的には、「残置物の処分」「空き家全体の清掃」「雑草の手入れ」などが挙げられます。
空き家を高値で買い取ってもらいたくてもおすすめできない行為
空き家を高値で買い取ってもらいたいからといっても、おすすめできない行為もあります。具体的には、下記の2つが挙げられます。
- 空き家買取の前にリノベーションをする
- 空き家を解体して土地として売却する
インターネット上では、「これらを行なっておくことで空き家を高値で売れる可能性がある」のように解説されていることもあります。しかし、リノベーションや解体をするには費用がかかり、その費用を確実に回収できる保証はありません。
あくまで目安にすぎませんが、リノベーションの場合、戸建てなら1㎡あたり10万円〜20万円程度、解体の場合は100万円〜300万円程度が相場と言われています。決して少額とはいえないため、空き家を高値で買い取ってもらいたくても、独断でリフォームなどを行うのは避けるべきです。
まずは買取業者に相談して、リフォームやリノベーションなどをするべきかを検討してみてください。
空き家買取の流れ
空き家の買取が完了するまでの流れは、大まかに下記のとおりです。
- 買取業者に査定を依頼する
- 買取業者と売買契約を締結する
- 決済・空き家の引き渡しを行う
- 確定申告のために譲渡所得税を算出しておく
大まかにいえば、査定を依頼したうえで空き家の売却を依頼する買取業者を決め、売買契約をさせた後に決済・引き渡しを行うことで買取は完了します。
なお、空き家買取によって利益が出た場合、原則的には確定申告をしなければなりません。そのため、空き家の買取が完了した後には譲渡所得税を算出しておき、確定申告に備えておくことも大切です。
ここからは、空き家買取が完了するまでの流れについて、各工程を解説していきます。
1. 買取業者に査定を依頼する
空き家買取をする場合、まずは買取業者に査定を依頼しましょう。
不動産における査定とは、土地や建物がどの程度の金額で売却できるのかを調査してもらうことです。
査定を依頼すると、買取業者から査定結果として空き家の買取価格の目安を提示してもらえます。提示してもらえた買取価格に問題がなければ合意をして売買契約に進みます。
なお、査定の方法や基準は業者によって変わる可能性があり、複数の業者に査定を依頼することで査定結果に差が出ることも考えられます。前述したとおり査定額が高い業者をみつけることも可能なため、空き家を売却する際には複数の買取業者に査定を依頼するのがよいでしょう。
2. 買取業者と売買契約を締結する
買取を依頼する買取業者が決まった後には、その業者と売買契約を結びます。
空き家に限りませんが、不動産を売買する際には宅地建物取引業法によって「不動産売買契約書」の作成が義務付けられています。売買契約書には買取価格や引き渡し時期などの合意内容が記載されており、基本的には買取業者が契約書を作成してくれます。
なお、空き家の売買契約をする際には、売り手はさまざまな必要書類を用意する必要があります。追加書類の提出が求められるケースもありますが、下記のような書類が必要になるのが一般的です。
必要書類
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概要
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登記済権利書
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法務局から所有者に登記名義人に交付される書類。再発行できないため、紛失した場合には法務局に相談をする
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固定資産税納付通知書
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固定資産税などが記載された書類。税務署から毎年4月上旬ごろに送付される。
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境界確認書
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隣地との土地の境界を証明できる書類。測量士に依頼をして作成してもらえる
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印鑑証明書
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原則3か月以内に発行したものに限られる
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本人確認書類
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運転免許証やマイナンバーカードといった身分を証明できる書類
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住民票
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役所で取得できる書類
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提出書類については売りたい空き家の状態などによって変わることがあるため、依頼する買取業者が決まった際には、どのような書類が必要なのかを尋ねておくのがよいでしょう。
3. 決済・空き家の引き渡しを行う
空き家の売買契約が締結した後は、買取業者と取り決めた契約内容に沿って決済や引き渡しを行います。
決済や引き渡しの日程は、空き家の売買契約を締結させる際に決定されます。売買契約の際には、引き渡しの都合がつきそうな日程をあらかじめ決めておき、その日に空き家の引き渡しができるようにスケジュールを調整しておくとよいでしょう。
なお、空き家を引き渡す際には、物件の鍵を買い手に渡す必要があります。引き渡し日には売りたい空き家の鍵を忘れずに持っていきましょう。
4. 確定申告のために譲渡所得税を算出しておく
空き家を売却した場合、譲渡所得税を納める必要があるケースもあります。その場合、原則的には売却した翌年の2月16日〜3月15日までに確定申告をしなければなりません。
譲渡所得税は個人でも算出することは可能ですが、いくつかの手順を踏んで算出しなければなりません。
譲渡所得税の算出は、まず空き家の買取で得られた利益である「譲渡所得」の計算から始めます。譲渡所得は「買取業者から受け取った金額-(空き家の取得費+譲渡にかかった費用)」の式で算出可能です。
たとえば、「取得費2,000万円」「譲渡費用150万円」「売却金額3,000万円」の場合を想定すれば、「3,000万円ー(2,000万円+150万円)=850万円」と計算できます。なお、譲渡所得税は譲渡所得によって発生するため、売却によって利益が出なければ譲渡所得税はかかりません。
次に、譲渡所得に一定の税率をかけて、譲渡所得税を算出します。一定の税率は、空き家の所有期間によって下記のように変わります。
所有期間
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所得税率
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5年超
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15%
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5年以下
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30%
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譲渡所得が850万円であれば、所有期間が5年以下の場合は「850万円×30%=255万円」、所有期間が5年を超えていれば「850万円×15%=127.5万円」と計算します。
なお、買取業者では、「譲渡所得税が発生するかどうか」「確定申告でどのような手続きをするのか」などを相談できるのが一般的です。空き家買取をする場合、譲渡所得税や確定申告について相談しておくとよいでしょう。
空き家買取で利用できる特例制度もある
前述したように、空き家買取で利益が出た場合、譲渡所得税を納める必要があります。場合によっては数万円〜数十万円にもなり得ますが、特例制度を利用すれば譲渡所得税を抑えることが可能です。
空き家買取で利用できる特例制度には、下記が挙げられます。
- 相続した空き家の3000万円特別控除
- マイホームを売却したときの3,000万円特別控除
- 10年超所有軽減税率の特例
ここからは、空き家買取で利用できる特例制度について、それぞれ解説していきます。空き家買取を検討している場合、利用できる特例制度がないかを確かめてみてください。
相続した空き家の3000万円特別控除
買取を検討している空き家が相続によって得た物件であれば、「相続した空き家の3000万円特別控除」の対象になるかもしれません。
相続した空き家の3000万円特別控除とは、相続または遺贈で得た空き家を売却した際に、譲渡所得から3,000万円まで所得税の控除を受けられる特例制度のことです。
相続した空き家の3000万円特別控除を利用するには、下記のような条件を満たしている必要があります。
売却期限
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相続開始の日から3年後の年の12月31日まで
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適用条件
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・昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された建物である
・区分所有建物登記がされている建物ではない
・相続開始の直前まで被相続人以外が居住していない など
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相続した空き家の3000万円特別控除の適用条件や申請方法については、国税庁の公式サイト「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」を参考にしてみてください。
マイホームを売却したときの3,000万円特別控除
空き家買取を検討しているのであれば、利用できるケースは少ないかもしれませんが、空き家をマイホームとして使用していた場合には、「マイホームを売却したときの3,000万円特別控除」の適用対象になります。
居住用財産の3,000万円特別控除とは、個人が居住していた不動産を売却する際、売却によって生じた譲渡所得から最大3,000万円まで所得税の控除を受けられる特例制度のことです。
簡単にいえば、この特例制度が適用されれば、空き家の買取金額が3,000万円までであれば譲渡所得税がかからなくなるということです。
居住用財産の3,000万円特別控除を利用するには、下記のような条件を満たしている必要があります。
売却期限
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居住しなくなった日から3年後の年の12月31日まで
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適用条件
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・親子や夫婦など「特別の関係がある人」に売っていない
・前年・前々年に同特例を受けてない
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居住用財産の3,000万円特別控除の適用条件や申請方法については、国税庁の公式サイト「No.3302 マイホームを売ったときの特例」を参考にしてみてください。
10年超所有軽減税率の特例
買取を検討している空き家を10年以上所有している場合、10年超所有軽減税率の特例の対象になります。10年超所有軽減税率の特例が適用されれば、譲渡所得を算出する税率が引き下げられるため、その分空き家買取にかかる譲渡所得税を抑えられます。
通常の長期譲渡所得の税率は、所有期間5年超で20.315%ですが、10年超所有軽減税率の特例が適用されれば、譲渡所得6,000万円以下の部分に対してかかる税率は14.21%に軽減される仕組みです。
また、居住用財産の3,000万円特別控除と10年超所有軽減税率は併用可能なので、両方活用できれば大きく税負担を軽くすることができます。
売却期限
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居住しなくなった日から3年後の年の12月31日まで
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適用条件
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・空き家の所有期間が売却した年の1月1日時点で10年を超えている など
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10年超所有軽減税率の特例の適用条件や申請方法については、国税庁の公式サイト「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例」を参考にしてみてください。
買取が難しいような空き家であれば訳あり物件専門の買取業者に依頼する
空き家の買取を検討している人のなかには、所有している物件が「事故物件」「再建築不可」「共有名義」などと、いわゆる訳あり物件であるケースもあるかもしれません。
訳あり物件の場合はさらに需要が低くなりやすく、空き家の専門買取業者であっても買取を断られてしまう可能性もあります。
このように空き家のなかには「売れづらい空き家」もあるため、買取が難しいような物件であれば訳あり物件専門の買取業者に依頼することも検討してみてください。
訳あり物件を専門とする買取業者であれば、「人の死があった空き家」「他の人と共有している空き家」「再建築できない空き家」などの物件でも買取に期待できますまた、士業と連携して手続きを進めてもらえる業者もあり、よりスピーディーに買い取ってもらうことも可能です。
下記の記事では、訳あり物件専門の買取業者について、当サイトでおすすめの業者を紹介していますので参考にしてみてください。
空き家を自治体を通して買い取ってもらう方法もあるがおすすめはできない
空き家の売却方法の1つに、空き家バンクを利用して買い手を募る方法もあります。空き家バンクとは、空き家問題を解決することを目的として、市区町村が実施している施策のことです。
空き家バンクでは、売却したい物件の情報を掲載できます。その情報をみて購入希望者が現れれば、自治体に間に入ってもらったうえで空き家の譲渡や売買を行える仕組みです。
ただし、空き家買取を検討している場合、自治体を通した空き家バンクの利用はおすすめできません。その理由には下記が挙げられます。
- 空き家情報を掲載したとしても購入希望者が現れづらい
- 空き家がある地域の自治体で空き家バンクが運営されていないと利用できない
国土交通省が公表するデータでは、平成31年時点で空き家バンクの掲載物件数が9,000件超であり、成約に至った物件は1,900件超と公表されています。これらをもとに成約率を算出すれば、空き家バンクの成約率は20%程度といえます。
また、基本的に空き家バンクを利用できるのは、物件がある地域を管轄する自治体で空き家バンクが運営されている場合です。すべての市区町村で運営されているわけではないため、地域によっては空き家バンクが運営されていないことも考えられます。
つまり、そもそも空き家の情報を掲載できないことがあるうえに、掲載しても必ず購入希望者が現れるとはいえないことから、空き家バンクだけで物件の売却を検討するのはお勧めできないのです。
とはいえ、空き家バンクへの掲載に費用はかかりません。売却の期間に余裕があるのであれば、「いつか売れるかもしれない」と考えて空き家バンクを活用してみるのもよいかもしれません。
まとめ
空き家の買取価格は仲介価格よりも安くなりやすいです。あくまで目安ですが、市場価格の50%〜70%が空き家の買取価格の相場と言われています。
とはいえ、実際の買取価格は空き家の条件や状態などによって決定されるため、実際には相場とは異なる金額で買取になるケースも考えられます。
そのため、「不動産ポータルサイト」「REINS Market Information」「土地総合情報システム」を活用して、売りたい空き家の類似物件の買取価格を参考にしてみるのもよいでしょう。
なお、「専門業者に依頼する」「複数の業者に査定をしてもらう」など、空き家を高く買い取ってもらうための対策もあります。空き家買取を検討している場合、高値で買い取ってもらうための対策も講じておくのが良いでしょう。
空き家買取に関するFAQ
空き家の買取はどれくらいの期間がかかるのでしょうか?
買取業者によって期間は異なります。最短翌営業日としている業者もあれば、数週間かかる業者もあります。
あくまで目安ですが、数日〜1か月程度で空き家買取は完了すると考えておくのが良いでしょう。
希望する金額で買い取ってもらえない場合は空き家を売らない方がいいでしょうか?
基本的に、使用予定がない空き家であればすぐに手放すことを検討するべきです。維持管理のために年間費用がかかるうえに、適切な管理をしなければ行政から特定空き家に認定されてしまう可能性があります。
特定空き家に認定されれば、固定資産税が最大6倍になるため、今後さらに管理費がかかってしまいます。
空き家の買取ではどのような費用がかかるのでしょうか?
空き家買取では、「印紙税」「譲渡所得税」がかかります。買取業者に相談すれば、どのような費用がかかるのかを教えてもらえるのが一般的です。
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