瑕疵物件における「瑕疵」ごとの売却価格相場は?
住宅における瑕疵(かし)とは、居住に関するさまざまな問題点の総称を指します。
瑕疵物件を売る場合、売主はあらかじめ住宅の瑕疵をすべて買主に告知しなければなりません。
買主が瑕疵を知った上で「それでも購入したい」と判断することで、はじめて売却できます。
そのため、瑕疵物件は一般的な物件よりも購入を避けられやすく、売却価格も安くなる傾向にあります。
瑕疵物件は主に4種類に分けられ、売却価格の相場は下記のように変動します。
- 物理的瑕疵:市場価格の約70〜80%
- 法的瑕疵:市場価格の約50%
- 心理的瑕疵:市場価格の約50〜90%
- 環境的瑕疵:市場価格の約70〜80%
それぞれ瑕疵の種類ごとに、該当する具体例と売却価格の相場を紹介します。
なお、売買における瑕疵物件の告知義務には時効がありません。詳しくは、下記の記事を参考にしてみてください。
1.「物理的瑕疵」の場合は市場価格の約70~80%
物理的瑕疵とは、建物の性能や品質に関する不具合や土地の欠陥を指します。建物に関しては、主に構造と防水に問題がある際に、物理的瑕疵があるとされます。
なお、クロスに汚れがあったり、フローリングに傷があるといった、日常生活に支障がなくかつ経年による劣化は、物理的瑕疵には含まれません。
物理的瑕疵に該当するのは、次のようなケースです。
- 雨漏り
- 壁内の水道管の水漏れ
- シロアリ被害
- 基礎のひび割れ
- 外壁やバルコニーからの水漏れ
- 地盤沈下
- 有害物質による土壌汚染
物理的瑕疵のある物件の売却価格は、市場価格の約70〜80%%で取引されることが一般的です。
補修することで物理的瑕疵を解消すれば、市場価格に近い金額で売却できますが、補修には費用がかかるため、注意が必要です。
軽度な雨漏りの補修などであれば補修費用も数万円で済む可能性がありますが、建物の基礎のひび割れなど構造材に関わる瑕疵があると、補修費用が数十万~数百万円かかるおそれもあります。
それぞれの物理的瑕疵については、個別の記事で解説しているので、自分のケースにあった記事も参考にしてみてください。
2.「法的瑕疵」の場合は市場価格の約50%
法的瑕疵物件とは、都市計画法や建築基準法、消防法といった法律に違反している物件のことです。
具体的には、以下のようなケースが法的瑕疵物件に該当します。
- 再建築不可物件で接道義務を守れていない
- 構造上の安全基準が国の基準に達していない
- 物件が「市街化調整区域内」にある
- 「計画道路指定」で建築制限を受けている
- 建ぺい率や容積率をオーバーしている
- 火災報知器やスプリンクラーなどの防火設備がない
法的瑕疵物件の売却価格は市場価格の50%程度が相場とされていますが、状況によってはさらに値下げされるおそれもあります。
例えば、建築基準法の接道義務「幅4mの道路に敷地が2m以上接している」を満たしていない物件は再建築不可物件とされ、その名の通り解体後に再建築ができません。物件に制限がかかる分、買い手がつきにくいため、売却価格を下げることになるでしょう。
法的瑕疵に関するケースごとの詳細は、こちらの記事を参考にしてください。
3.「心理的瑕疵」の場合は市場価格の約50〜90%
心理的瑕疵物件とは「過去に自殺や殺人事件があった」「孤独死が起きてしまった」といった、買主が心理的に嫌悪感を抱く物件のことです。
心理的瑕疵の具体例としては、以下のようなケースが挙げられます。
- 前の住人が物件内で首吊り自殺をした:市場価格の約50~70%
- 物件内で殺人事件が起きてニュースなどで報道された:市場価格の約50%
- 前の住人が孤独死を遂げた:市場価格の約90%
- 過去に部屋内で火災が発生していた:市場価格の約50~80%
「居住に対して不安を感じるか」は買主によって変わります。そのため、心理的瑕疵物件の売却価格の相場は、市場価格の50%〜90%と振り幅が大きいです。
例えば、立地や間取りがほとんど同じ不動産AとBがあったとします。
不動産Aでは、過去に高齢者が自然死してしまったため、心理的瑕疵物件とみなされ、相場から10%引かれた価格で取引されました。
一方、不動産Bでは凄惨な殺人事件が起きてしまったため、相場から50%程度引かれた価格でしか取引されませんでした。
例のように「心理的瑕疵が発展した理由」に応じて、売却価格が変動することを覚えておきましょう。
事故物件の売却方法については、以下の記事で解説しているので参考にしてください。
心理的瑕疵に該当しない死因
人が亡くなっている物件のすべてが心理的瑕疵に問われるわけではありません。「病気や老衰による自然死」「不慮の事故死」などのケースは心理的瑕疵に該当せず、事故物件とみなされません。
不慮の事故死とは、階段からの転落や浴室での転倒、食事中の誤えんなどを原因とした事故死を指します。
なお、自然死であっても発見までに時間がかかり、特殊清掃が必要になるような状態であった場合は事故物件として扱われるのが一般的です。
4.「環境的瑕疵」の場合は市場価格の約70〜80%
環境的瑕疵とは、建物や土地自体に問題はないものの、周辺環境に嫌悪感を抱く場合を指します。
例えば、次のようなケースが環境瑕疵に該当します。
- 近隣にゴミ屋敷がある
- 線路が近いため、電車が通過する際に振動がする
- ゴミ処理場や下水道処理場が近く、健康被害のリスクがある
- 周囲に高層マンションの建築計画がある
- 暴力団の事務所が近く、治安悪化の不安がある
- 墓地や葬儀場などが近く、抵抗感がある
環境的瑕疵の売却価格相場は、市場価格の70~80%程度で取引されることが多いです。
環境的瑕疵は工事や清掃で改善できるものではなく、売主本人では根本的に解決できません。環境的瑕疵は人によって許容範囲が異なるため、買主の抵抗感がどの程度なのかによって売却価格も変動します。
例えば、近隣に霊園があっても、アクセスが良く、日当たりの良い物件などであれば市場価格に近い価格で売却できる場合もあるでしょう。
環境的瑕疵のある物件の売却については、下記の記事も参考にしてみてください。
瑕疵物件をできるだけ高く売る方法3つ
通常の物件に比べて、瑕疵物件は売却が難しく、値引きされやすいことがわかりました。
しかし、物件を売るのであれば、できる限り高い価格で売却したいところです。
瑕疵物件をできるだけ高い価格で売却するには、以下の3つの方法があります。
- 瑕疵を解消する
- 瑕疵物件を解体して更地として売却する
- 訳あり物件の専門業者に買取してもらう
それぞれの方法について、1つずつ解説していきます。
1.瑕疵を解消する
たとえ瑕疵物件であっても、売却前に瑕疵部分さえ解消してしまえば、通常の物件同様にスムーズに売却できます。
工事・清掃を施すことで瑕疵を修繕できる可能性が高いです。
物理的瑕疵物件であれば、建物の瑕疵を補修し、建物状況調査(ホームインスペクション)を実施しましょう。
建物状況調査の結果を提示することで、買主も安心して購入できるため、市場価格に近い価格で売却できる可能性が高いです。
また、心理的瑕疵物件であれば、特殊清掃を施すことで、買主が感じる瑕疵を軽減させることができます。
2.瑕疵物件を解体して更地として売却する
瑕疵物件を更地にすることで、物理的瑕疵や法的瑕疵を消失させられます。
瑕疵がなければ、通常の土地として売却できるでしょう。
ただし、心理的瑕疵物件の場合、解体しても心理的瑕疵の事実が消えることはなく、告知義務も消失しません。
心理的瑕疵物件を更地にすることで、心理的な負担を軽減されることは可能ですが、告知義務が残ることに注意しましょう。
解体前にどんな事故があったのか購入希望者に告知しなくてはなりません。
また、瑕疵物件を更地にするには、解体費用がかかることにも注意が必要です。
更地にすると固定資産税が6倍に増える
建物が建っている土地の固定資産税は「住宅用地の軽減特例」によって、本来の税額の1/6まで軽減されています。
物件を解体して更地にすると、この特例が適用されなくなり、固定資産税が6倍に増えてしまうため注意しましょう。
更地にする場合でも、売却が決まってから取り壊し工事をおこなうとよいです。
瑕疵物件の売却、瑕疵物件の建て替えについては下記の記事も参考にしてみてください。
再建築不可物件はもう建物が建てられない
再建築不可物件を更地にしてしまうと、二度と家を建築できなくなります。
家が建てられない敷地は、住居ではなく駐車場にするといった使い道しかないため、購入したい人は少ないです。
再建築不可物件に関しては、たとえ瑕疵物件であっても、建物を現状維持している方が、売却できる可能性は高いでしょう。
3.訳あり物件の専門業者に買取してもらう
ここまで解説した方法では、瑕疵物件の売却までに時間や費用がかかってしまいます。
できるだけ早く瑕疵物件を売却したいのであれば、訳あり物件の専門業者に買い取ってもらう方法がベストです。
通常の不動産仲介業者を通じて売却しても、瑕疵物件はなかなか買主が見つからないのが現実です。
しかし、訳あり物件を専門に扱う業者であれば、瑕疵物件をリフォームや修繕することで、価値のある物件としてリセットするノウハウを持ち合わせています。
買取した瑕疵物件の使い道を熟知しているからこそ、すぐに買取できるだけでなく、高額で買取してもらえるケースも少なくありません。
当社は瑕疵物件の買い取りに自信があります
当社「クランピーリアルエステート」では、全国800を超える弁護士・司法書士・税理士と連携しております。
瑕疵物件で起こりやすい「瑕疵担保責任」などの法的トラブルも解決できるため、通常の不動産会社では扱いが難しい物件でも問題なく買取可能です。
また、自社で瑕疵物件を買取するため、買取後にトラブルが起きても、当社が責任をもって対応いたします。
瑕疵物件でも最短48時間以内に買取可能です。
大手不動産会社などに断られた物件も対応できますので、瑕疵物件の売却をご検討の方は、お気軽にご相談ください。
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瑕疵物件を売却するまでの流れ
瑕疵物件を売る場合、どのような流れで売却するのでしょうか?
不動産仲介業者を通して売却するケースと、訳あり物件専門の業者に買取してもらうケースでは、流れが異なります。
それぞれの流れについて、1つずつ見ていきましょう。
不動産仲介業者で売却する際の流れ
一般的な不動産仲介業者で瑕疵物件を売却する場合、次のような流れになります。
- 不動産仲介業者へ売却の相談をする
- 不動産仲介業者へ正式に依頼する
- 仲介業者が売却活動で買主を探す
- 買主と売却価格を交渉する
- 買主へ物件の瑕疵を告知する
- 買主の合意を得た場合、売買契約書を結ぶ
- 物件を引き渡して、売却価格を受け取る
不動産仲介業者が自社で瑕疵物件を買うわけではなく、あくまで売主と買主を仲介するだけです。
そのため、瑕疵物件の売却を不動産仲介業者へ依頼しても、買主が見つからない限り、数ヶ月あるいは数年経っても売却できない恐れもあります。
「◯◯万円以上でなければ絶対に売りたくない」といった場合でもない限り、仲介業者を通して瑕疵物件を売却するメリットは少ないでしょう。
おすすめの不動産仲介業者は下記の記事で紹介しています。
訳あり物件の専門業者に買い取ってもらう流れ
訳あり物件の専門業者に買い取ってもらう場合、流れは次のとおりです。
- 買取業者へ問い合わせる
- 買取業者が物件を調査する
- 買取業者が査定額を提示する
- 査定額に納得した場合、売買契約を結ぶ
- 物件を引き渡して、買取価格を受け取る
訳あり物件の専門業者に買い取ってもらう場合、買主を探す必要がないため、仲介業者を通して売却するよりも早く確実に瑕疵物件を売却できます。
買取業者の無料相談では「いくらで買取できるか」をすぐに教えてもらえるので、いちど問い合わせてみるとよいでしょう。
おすすめの不動産買取業者は下記の記事で紹介しています。
まとめ
瑕疵物件を普通の物件と同じ方法で売却しても、価格が大幅に下がってしまうばかりか、まったく買主が見つからない恐れもあります。
ですので、瑕疵物件を売却する場合、できる限り瑕疵を解消してから売却した方が買主が見つかりやすく、売却価格も高くなりやすいです。
しかし瑕疵を解消するには、非常に手間や費用がかかります。
なるべく手間や費用をかけずに、早く確実に瑕疵物件を売却したい場合、訳あり物件の専門業者に買取してもらうとよいでしょう。
買取した瑕疵物件をリフォームして市場へ流すノウハウを持っているため、不動産仲介業者を通じて売却するより、訳あり物件の専門業者に買取してもらった方が高く売れるケースも多いです。
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