土地の査定方法は「不動産会社に依頼する」「自分でやる」の2パターン
法人・個人が土地を査定する場合、査定方法は「不動産会社に依頼する」「自分でやる」の2パターンのいずれかを選ぶのが一般的です。
実施者 |
査定方法 |
不動産会社 |
机上査定 |
訪問査定 |
自分 |
アプリ・AI査定 |
土地の公的評価額を調べる |
周辺物件の実勢価格を調べる |
土地の査定は、プロである不動産会社に依頼するケースがほとんどです。個人が自分の裁量で査定した場合、金額の正確さや妥当性が担保しづらく、買手が見つからなかったりトラブルに発展したりなどのリスクが考えられるからです。
不動産会社は売主の土地を売却して得られる仲介手数料で利益をあげているため、自社に売却を依頼してもらうための営業目的で土地の無料査定を実施しています。
「不動産を鑑定して報酬を得る仕事は国家資格をもつ不動産鑑定士の独占業務である」と法律で定められているので、不動産会社の査定のみで費用を請求される心配はありません。
(不動産鑑定士の業務)
第三条不動産鑑定士は、不動産の鑑定評価を行う。
2不動産鑑定士は、不動産鑑定士の名称を用いて、不動産の客観的価値に作用する諸要因に関して調査若しくは分析を行い、又は不動産の利用、取引若しくは投資に関する相談に応じることを業とすることができる。ただし、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項については、この限りでない。
e-Gov法令検索 不動産の鑑定評価に関する法律
自分で土地の価格を調べるのは面倒・困難ですが、専門家に依頼すれば簡単に土地の価値がわかるので、基本的には不動産会社の無料査定を受けることをおすすめします。
では、自分でやる査定が不必要かと言われるとそうではありません。自分自身でも土地を査定することで、不動産会社の査定額に関する妥当性の判断・不動産会社への依頼前の売却判断の材料として使えます。
不動産会社と自分の査定をうまく使い分けることで、土地の査定および売却をスムーズに進められるでしょう。
厳密にいうと、国家資格をもつ不動産鑑定士に有料で査定してもらう方法もありますが、土地売却時に価格を調べたい場合、無料でおこなえる不動産会社の査定で十分です。
不動産会社や業者に土地の査定を依頼するメリット・デメリット
不動産会社や業者に土地を査定するメリットは、主に次の通りです。
- 専門知識や経験に基づいた正確な査定を期待できる
- 買主側への提示金額に根拠を持たせられ交渉力が向上する
- 査定に加えて売買契約や販売活動に関するサポートも利用できる
- 将来発生する相続税の予想金額を出しやすくなる
- 投資目的の土地なら専門家の価格動向や将来性などの分析結果を投資判断の基礎とできる
個人で査定するケースと比較すると、査定額の信頼性が非常に高いのが特徴です。売買の最終判断材料や、売却金額の根拠として利用できるでしょう。
一方で、不動産会社や業者の査定額が必ずしも正しいとは限りません。後からコンサルティング料などの追加料金を請求するといった、不動産会社や業者相手のトラブルの可能性があるのがデメリットと言えます。
とくに悪質な買取業者に当たってしまうと、実際より低い金額で自ら買い取ろうとするケースがあるので注意してください。
トラブルを防ぐには、複数の不動産会社に査定を申し込んで、複数社の査定額を比較して平均を割り出すことで土地の価格相場を把握する方法がおすすめです。
自分で土地の査定をやるメリット・デメリット
自分自身で土地の査定をやるメリットは次の通りです。
- 不動産会社や業者から掲示された査定額が妥当かどうかの判断材料になる
- 不動産会社や業者との余計なやり取りが発生しない
土地の価格相場を自分で調べるには、公的評価額・類似物件の実勢価格などを自分で確認する方法がありますが、手間がかかる上に査定精度が低い点は否めません。
そのため、自分で査定した土地の金額はあくまで参考程度とし、具体的な判断材料は不動産会社などの査定額を利用するのがよいでしょう。
不動産会社に土地の査定を依頼したときの方法
不動産会社や業者に土地の査定を依頼した場合は、「机上査定(簡易査定)」や「訪問査定(詳細査定)」で調査がおこなわれます。
種類 |
解説 |
机上査定 |
物件情報(不動産の種類、所在地、広さなど)だけで売却価格を予測する |
訪問査定 |
実際に足を運んで現地調査をおこない売却価格を予測する |
わかりやすくいうと、机上査定は時間や手間がかからない代わりに査定精度が低い方法で、訪問査定は査定精度が高い代わりに時間や手間がかかる方法になります。
それぞれの最低方法のメリット・デメリットは次の通りです。
机上査定の後で訪問査定を依頼することも可能なので、複数の不動産会社で机上査定を受けた後、査定額の高い不動産会社にあらためて訪問査定を申し込む方法がおすすめです。
机上査定の後で訪問査定を依頼することも可能なので、複数の不動産会社で机上査定を受けた後、査定額の高い不動産会社にあらためて訪問査定を申し込む方法がおすすめです。
以下では、それぞれの査定方法について詳細を解説します。
おおまかに知りたいなら机上査定(簡易査定)
机上査定(簡易査定)とは、文字どおり机の上でおこなわれる査定方法です。売却したい不動産の物件情報だけで、簡易的な売却価格を予測します。
<土地の机上査定で用いられる物件情報>
- 土地の基本情報(更地、建物あり、借地契約ありなど)
- 土地の所在地や周辺環境
- 土地の面積
- 土地の形状(整形地、不整形地など)
- 売却方法(仲介、買取など)
机上査定で土地の査定額を調べる流れは、以下の通りです。
- 不動産会社公式サイト・アプリなどの査定フォームやLINEなどへ土地の物件情報を入力する
- 不動産会社に査定を依頼する
- 不動産会社から査定結果が届く
机上査定で土地の査定額を調べるメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット |
デメリット |
手間がかからない |
査定の精度や根拠が曖昧 |
査定額がすぐわかる |
「売却するかはまだ判断できないが、おおまかな相場を知ってから検討したい」という場合は、まず机上査定から依頼するのがよいでしょう。
正確な査定額を出すなら訪問査定(詳細査定)
訪問査定(詳細査定)とは、不動産会社の担当者が実際に土地へ足を運び、現地調査にて査定をおこなう方法です。物件の状態・隣地との境界などを確認したうえで売却価格を予測します。
訪問査定は不動産会社の担当者が土地を訪れるので、データ上の物件情報だけではわからない情報も査定額に反映します。そのため、机上査定よりも正確な価格が算出できるのが一般的です。
訪問査定で土地の査定額を調べる流れは、以下のとおりです。
- 不動産会社に訪問査定を申込む
- 不動産会社の担当者が現地調査をおこなう
- 不動産会社から査定結果が届く
訪問査定で土地の査定額を調べるメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット |
デメリット |
正確な査定額がわかる |
現地調査の立会いが必要 |
買手との価格交渉で説得力のある価格として提示できる |
査定に時間がかかる |
訪問査定は机上査定よりも時間・手間がかかるので、手間のかからない机上査定で条件のよい不動産会社を探してから、精度の高い訪問査定を申し込むとよいでしょう。
土地の査定を自分でやる方法
「不動産会社に依頼する前に、自分で調べてから検討したい」という場合は、以下の「土地の査定を自分でやる方法」にて査定する方法があります。
土地の価格を自分で査定する場合、以下3種類の方法があります。
自分でできる査定方法
- 土地の公的評価額を調べる
- 周辺物件の実勢価格を調べる
- アプリ・AI査定で調べる
手間なく査定額を知りたい人には、物件情報を入力すると30秒程度で土地の査定額がわかるアプリ・AI査定がおすすめですが、査定精度が低いので大体の価格しかわかりません。
土地の公的評価額・周辺物件の実勢価格を調べれば、土地の大まかな売却価格を確認できますが、自分で検索・計算をおこなう必要があるため手間がかかります。
そのため、土地の売却価格を調べる際は必ず不動産会社の査定も受けた上で、自分で調べた査定額はあくまで目安程度の認識に留めておくようにしましょう。
土地の公的評価額を調べて査定する
国が定めた土地の公的評価額を用いて、おおまかな土地の査定額を算出することも可能です。土地の査定額の算出に利用できる公的評価額は、以下の3種類です。
種類 |
価格目安 |
公示地価 |
実勢価格の90%程度 |
相続税評価額 |
実勢価格の70%程度 |
固定資産税評価額 |
実勢価格の60%程度 |
上記の公的評価額は国や自治体が土地の価格を評価した金額に過ぎないので、実際に土地を売る場合の売却価格とは異なる点に注意しましょう。
公的評価額はあくまで近隣にある土地の価格を評価した金額であり、実際の売却価格とかけ離れるケースも少なくありません。たとえば固定資産税評価額はあなたの土地の地価を評価した金額ですが、不動産売買ではなく固定資産税を算出する目的で定めた金額なので、実際の売却価格より安くなる傾向があります。
公示地価を調べる
公示地価(公示価格)とは、全国で選定された標準地について、不動産鑑定士などが土地の評価をおこない、国土交通省が毎年3月下旬に公示している価格です。
公示地価は一般の土地取引の指標となり、不動産鑑定や相続税評価などの算定基準となります。そのため、自分で土地を査定するときにも信頼性ある指標として利用できます。
公示地価を用いて土地の査定額を算出する方法は、以下のとおりです。
- 国土交通省の「土地総合情報システム」にアクセス
- 「地価公示 都道府県地価調査」をクリック
- 調べたい都道府県・市区町村をクリック
- 調査年・用途区分などを指定して検索
公示地価を用いて土地の査定額を算出するメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット |
デメリット |
計算が必要ない |
標準地から離れている場合は参考にならない |
ネット上で調べられる |
路線価を調べる
路線価とは、土地の相続税評価額を算出するため、道路に面する標準的な宅地の1㎡あたりの価額を定めた金額です。路線価は、国税庁ウェブサイトの路線価図で確認できます。
路線価から「相続税評価額」を算出することで、土地の査定額を算出できます。
路線価を用いて土地の査定額を算出する方法は、以下の通りです。
- 国税庁の「路線価図・評価倍率表」にアクセス
- 路線価図で路線価を確認
- 路線価から相続税評価額を算出(路線価×土地面積=相続税評価額)
路線価を用いて土地の査定額を算出するメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット |
デメリット |
ネット上で調べられる |
路線価のない土地は対応不可 |
借地・底地でも対応可能 |
計算が複雑かつ面倒 |
固定資産税評価額を調べる
固定資産税評価額とは、固定資産税を算出する際に用いる土地の評価額です。各自治体の固定資産評価員や不動産鑑定士が、3年に1度のペースで決めています。
固定資産税評価額も土地の価値をある程度表したものであるため、自分で土地を査定するときの指標として使えます。
固定資産税評価額から土地の査定額を算出する方法は、以下の通りです。
- 自治体から送付される固定資産税の課税明細書を確認
- 市区町村役場で固定資産課税台帳を閲覧(課税明細書が見つからない場合のみ)
固定資産税評価額から土地の査定額を算出するメリット・デメリットは、以下の通りです。
メリット |
デメリット |
公示地価・路線価のない土地でも対応可能 |
市区町村役場に出向く必要がある
(課税明細書を紛失した場合) |
計算が必要ない |
土地周辺物件の取引から実勢価格を調べる
周辺物件の取引から「実勢価格」を調べることで、土地の査定額の参考にできます。
実勢価格とは、売主と買主の間で需要と供給が釣り合う不動産の時価です。類似物件の取引事例や、公的なデータから推定します。
類似物件の実勢価格を調べる方法は、以下の通りです。
- 国土交通省の「土地総合情報システム」にアクセス
- 「不動産取引価格情報検索」をクリック
- 調べたい都道府県をクリック
- 調べたい土地を地図上でクリック
実勢価格から土地の査定額を算出するメリット・デメリットは、以下の通りです。
メリット |
デメリット |
実際にあった取引の価格を確認できる |
周辺地域の実勢価格があるとは限らない |
計算が必要ない |
アプリ・AI査定を利用する
アプリ・AI査定を利用すれば、スマホ上で土地の査定額を調べられます。AI査定とは、人工知能を使って不動産の価格を査定するシステムです。過去の取引事例を学習データとして、不動産の価格を瞬時に算出します。
不動産会社の机上査定を利用する場合でも、人間が査定をおこなうので査定結果が届くまでに最短30分程度はかかりますが、AI査定はその場ですぐに査定結果がわかります。
アプリ・AI査定で土地の査定額を調べるメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット |
デメリット |
計算が必要ない |
査定精度が低い |
スマホ上で調べられる |
ただしアプリ・AI査定の場合、土地は取引事例の条件が大幅に異なるので査定精度が低いケースがあります。
アプリ・AI査定はサービスによって元となる教師データや計算方法が違うため、利用するサービスによって査定額が異なる点に注意しましょう。
代表的なアプリ・AI査定
土地査定シミュレーションというのもある
アプリ・AI査定の中には、土地に特化した「土地査定シミュレーション」もあります。
土地査定シミュレーションとは?
匿名で土地の売却価格をシミュレーションできるサービスで、スマホやパソコンから誰でも簡単に土地の価格をすぐ確認できます。
土地査定シミュレーションでは、過去の取引実績を学習データにしたAIが価格を算出するので、売りたい土地の概算価格が数十秒でわかります。
さらに、土地査定シミュレーションはスマホ・パソコンから24時間いつでも申し込めるので、通勤時間や寝る前のすきま時間でも気軽に土地の査定額をチェックできます。
物件情報の入力〜シミュレーション結果の表示まで30秒程度で済むので、いますぐ土地の概算価格を知りたい人は土地査定シミュレーションを利用してみるとよいでしょう。
土地の査定はどのように進められる?具体的な計算式を紹介
不動産会社や業者などが土地の査定をおこなう際は、土地に対してさまざまな視点から価値を判断します。土地の査定で用いられる具体的な計算式は次の通りです。
それぞれ見ていきましょう。
ほかの類似取引事例を参考にする「取引事例比較法」
取引事例比較法とは、近隣などでおこなわれた類似の取引事例を複数収集し、それら取引事例を基に土地を査定する方法です。土地を査定する際には、取引価格、形状、面積などが似ている土地の取引事例を複数集め、取引日や市場の流れなどの要素を考慮したうえで価格を算出します。
再調達価額を基に計算する「原価法」
原価法とは、現在の土地を新しく造成するときにいくらかかるかを再調達価額として算出し、再調達価額を基に査定する方法です。建物の査定で用いられるケースが多いですが、土地の査定でも使われることもあります。
将来の収益を基に考える「収益還元法」
収益還元法とは、査定対象の土地が将来的にどれくらいの収益を生み出すのかを予想する手法です。土地の査定に用いるときは、収益用物件と土地が一体で挙げた収益から建物分の収益を差し引き、その土地部分のみを査定する「土地残余法」などが用いられます。
土地の査定は誰に依頼すればよい?不動産業者ごとの特徴・選び方を解説
不動産会社や業者に土地の査定を依頼する場合、「誰に依頼すればよいのかわからない」と悩むケースは珍しくありません。土地の査定の依頼先として、主に以下3つが考えられます。
- 不動産仲介会社
- 不動産買取業者
- 不動産鑑定士
土地を売却するための査定なら、一般的には不動産仲介会社と不動産買取業者のいずれかが一般的です。この2つから査定の依頼先を選ぶときは、査定後の売買契約関係についてもお願いすることも視野に入れて選択します。
以下では、それぞれの依頼先ごとの特徴、対応できる土地の種類、業者の選び方について見ていきましょう。
一般的には不動産仲介会社へ依頼する
土地の査定は、一般的には不動産仲介会社に依頼します。
不動産仲介会社とは、売却したい土地の広告宣伝などをおこない、売主と買主の売買契約を仲介する業者です。不動産仲介会社に依頼するメリットは次の通りです。
- 買取業者よりも査定額や売却価格が高くなる傾向がある
- 販売活動、買主との交渉、売買契約締結、重要事項説明などについてサポートを受けられる
一方で、不動産仲介会社には以下のデメリットがあります。
- 売買契約が成立したときに仲介手数料の支払いが必要になる
- 売却まで3か月~6か月以上と時間がかかる
- 土地の需要が低いと売却できない可能性がある
「土地をできるだけ高く売りたい」「さまざまなサポートを受けたい」という場合は、不動産仲介会社へ査定を依頼しましょう。
共有持分・借地権・底地など特殊な土地は不動産買取業者がおすすめ
共有持分・借地権・底地といった一般の不動産市場では売却が難しいとされる特殊な土地は、不動産買取業者への査定依頼をおすすめします。
不動産買取業者とは、業者自身が不動産を直接買い取ってくれるサービスです。不動産仲介のように、第三者の買手を探す必要はありません。
不動産買取業者に査定を依頼するメリットは次の通りです。
- 一般の不動産市場では需要が低い土地でも適切に査定・買取してくれる
- 売却まで数日~1か月と時間があまりかからない
- 契約不適合責任が免責となるので売却後のトラブルを防止しやすい
一方で、不動産買取業者には以下のデメリットがあります。
- 買取後の修繕費・リフォーム代などが考慮されるので査定額・売却価格は仲介より低めになる
- 共有持分の売却だと売却後にほかの共有者とのトラブルが発生する可能性がある
- 不動産買取を扱っている会社が仲介より少ない
「早めに土地を売りたい」「普通の人相手だと売れない」といった土地を所有しているときは、不動産買取業者への査定・売却依頼がおすすめです。
不動産鑑定士の査定は相続不動産や共有不動産などでの利用
不動産鑑定士とは、建物や土地などの不動産の経済価値を、適正に判定・評価する専門職です。不動産鑑定士による土地の鑑定は、査定方法としてはもっとも正確な数値を得られます。
とはいえ、一般的な取引で不動産鑑定士に依頼するケースはあまり見かけません。土地の売買などのレベルの取引なら売主・買主の合意で価格が決まることもあり、不動産鑑定士レベルの査定はいらないケースがほとんどであるからです。
不動産鑑定士による査定は、以下のような特殊なケースで必要とされます。
- 相続税を計算するための相続税評価額の算定
- 離婚時の財産分与
- 裁判時の立証証拠
- そのほか相続不動産・共有不動産など権利関係が特殊な不動産
不動産会社による土地の査定を受けて売却するまでの3ステップ
ここからは、不動産会社による土地の査定を受けて売却するまでの流れを、以下の3ステップで解説します。
- 複数の不動産会社に机上査定(簡易査定)を依頼する
- 不動産会社に訪問査定を依頼し査定結果を比較検討する
- 査定結果に納得できれば販売活動・売却を進める
1.複数の不動産会社に机上査定(簡易査定)を依頼する
まずは不動産会社の公式サイトや一括査定サイトから、机上査定を申込みましょう。
不動産会社の公式サイトや一括査定サイトには、以下のような物件情報を入力するフォームが用意されているので、査定してほしい土地の情報を入力します。
不動産会社の公式サイトや一括査定サイトの多くは、入力フォームの下に申込みボタンや送信ボタンがあるので、ボタンを押すことで物件情報を送信します。
たとえば「クランピーリアルエステート」なら、「不動産査定フォームに入力」「LINEから申込み」「電話で相談」など、さまざまな方法で机上査定を申込み可能です。
クランピーリアルエステート「不動産査定フォーム」
机上査定を申し込むと、最短30分程度〜遅くても翌日には土地の査定結果が届くので、査定結果を確認して、訪問査定を依頼する不動産会社を選ぶとよいでしょう。
もし複数社へ査定を依頼するときは、一括査定サイトを利用するのもおすすめです。
一括査定サイトを利用すると、1分程度で済む簡単な物件情報をスマホやPCから入力・送信するだけで、平均6社以上の査定結果が最短30分程度であなたの元に届きます。
一括査定サイトを利用するメリットは、一度に複数の不動産会社の査定額を比較することで、査定額の高い不動産会社や価格相場が簡単にわかることです。
また、訳あり物件の専門業者や地域密着型の不動産会社など、不動産会社には得意分野がありますが、一括査定なら幅広いタイプの不動産会社の査定結果を一気に確認できます。
2.不動産会社に訪問査定を依頼し査定結果を比較検討する
机上査定で条件のよい不動産会社を見つけたら、訪問査定を依頼しましょう。
訪問査定を申し込むと、スケジュール調整した日に不動産会社の担当者が土地を訪問して1~2時間程度の現地作業をおこない、土地の状態・周辺環境などを調査します。
その場で査定結果が伝えられる訳ではなく、不動産会社の担当者が現地調査の結果を加味して土地の査定額を算出するため、現地調査から1週間程度で査定結果が届きます。
訪問査定は不動産会社の担当者が現地調査をおこなう都合上、不動産会社と売主の予定があわないとスケジュールが組みにくいため、予定日より早めに申し込むとよいでしょう。
もし訪問査定の価格に納得ができない、訪問査定の予定が合わないなどがあれば、一旦別の不動産会社へ査定を依頼するのがよいでしょう。
3.査定結果に納得できれば販売活動・売却を進める
訪問査定で納得行く査定額を提示したところがあれば、実際にどの不動産会社に売却について本格的に相談します。
土地の売買契約においては、以下の内容をチェックしておきましょう。
売買契約でチェックするべき点
項目 |
解説 |
契約全体 |
自分の希望条件は記載されているか? |
自分にとって無理のある条件はないか? |
不明確な条件はないか? |
消費者に不利な契約でないか? |
売買物件の表示 |
売却物件の表示に誤りはないか? |
買取価格・支払日 |
買取価格・手付金などの金額に誤りはないか? |
不動産会社からの支払日はいつか? |
どのような性質の手付金か? |
土地の実測・土地代金の精算 |
土地の実測はおこなうのか? |
面積の増減に応じて買取価格の精算をおこなうのか? |
所有権の移転と引き渡し |
所有権の移転を確実におこなえるスケジュールか? |
負担の消除 |
売却物件を完全な所有権で引き渡せるか? |
賃借権など引き継ぐ場合はその内容が明確か? |
危険負担 |
引き渡し前に物件が天災等により滅失・毀損した場合の取り扱いは明確か? |
手付解除 |
いつまで手付解除が可能か? |
手付金の金額は妥当か? |
契約違反による解除 |
違約金や損害賠償の予定額は適当か? |
契約不適合責任 |
契約不適合責任の期間は適切か? |
付帯設備などの引き継ぎ |
引き継ぐべき付帯設備などは明確か? |
公租公課等の精算 |
精算方法と金額を把握したか? |
ローン特約 |
買主が無理なく住宅ローンを返済できるか?
(買主に住宅ローンの利用予定がある場合) |
その他 |
その他に定めておく事項はないか? |
参照:公益財団法人不動産流通推進センター「売買契約のチェックポイント」
査定後の流れは、不動産仲介会社と不動産買取業者で異なります。
不動産仲介のときは媒介契約~価格交渉
不動産仲介会社に依頼したときは、まず相手と媒介契約を結びます。媒介契約とは、不動産売却時に買主を探してもらうために売主が不動産会社と結ぶ契約です。
媒介契約には、一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約の3種類があります。
3種類の媒介契約の比較表
種類 |
解説 |
一般媒介契約 |
複数の不動産会社に依頼できる |
専任媒介契約 |
不動産会社1社だけに依頼する |
自分で探した買主にも売却可能 |
専属専任媒介契約 |
不動産会社1社だけに依頼する |
不動産会社の見つけた買主にしか売却できない |
立地のよい土地であれば一般媒介契約でも買主が見つかりますが、田舎などの売れにくい土地の場合は売却活動に注力してもらえる専任媒介契約がおすすめです。
なぜなら、専任媒介契約では全国の不動産会社が加盟している「レインズ」というネットワークへの登録が義務化されており、より多くの人に物件情報を届けられるからです。
加えて、不動産会社には売却活動の進捗を2週間に1回以上のペースで報告する義務があり、売主側が価格変更などの判断をしやすい点もメリットです。
ただし、専任媒介契約の契約期間は最長3ヶ月で、基本的に契約期間内は他の不動産会社と媒介契約を結べないので、契約する不動産会社は慎重に選びましょう。
媒介契約を結んだら実際に売却活動を開始し、買主が見つかれば売買について交渉します。両者が条件に合意すれば、売買契約の成立です。
不動産買取の場合は直接売買契約
買取業者に土地を売る場合、売却活動をおこない買主を探す必要がなく、土地を売却する売買契約を不動産会社と締結します。
具体的には、不動産会社が用意した売買契約書の内容や契約約款を読み上げたうえで最終確認をおこない、契約書にサインと押印をして契約締結という形になります。
買取業者の場合、土地売却にかかる期間は仲介に比べると短いですが、さまざまな手続きが必要になるので、基本的には1ヶ月程度かかると考えておきましょう。
なるべく早く土地を買取してほしい人は、話がまとまり次第すぐに土地を現金化してくれる「即時買取」に対応している不動産会社に依頼するとよいでしょう。
なお仲介・買取のいずれにおいても、実際に土地を売却して売却益を得た時は、譲渡所得税についての確定申告と納税が必要です。
確定申告は、土地を売却した翌年の2月16日~3月15日の間に、納税地の税務署へおこないます。
土地の査定額に影響する11つの評価ポイント!価格が高い・低い土地の特徴まとめ
土地の査定額を決める際、以下のポイントが価格に影響します。
土地の査定額に影響する11つの評価ポイント
- 土地の面積
- 土地の形状
- 土地の間口と奥行き
- 隣接道路の幅員
- 接する道路の数(接道面数)
- 道路との高低差
- 土壌汚染や埋没文化財の有無
- 近隣の険悪施設の有無
- 公法上の規制の有無
- エリアの人気や利便性
- 土地における用途地域の種類
土地の査定額は上記の評価ポイントから総合的に判断されますが、使い道が幅広い土地は査定額が高く、使い道が限定される土地は査定額が安くなります。
例えば、面積が広く・形状が整っている土地であれば、一戸建てだけでなくマンション・アパートを建築できるなど、幅広い使い道があるので査定額が高くなりやすいです。
一方、道路に一切接していない土地は安全上の観点から建築基準法で建物の建築が禁止されている「再建築不可物件」と呼ばれるため、査定額が大幅に安くなります。
一般的な価格が高くなる土地・低くなりがちな土地の特徴をまとめました。
価格 |
特徴 |
価格が高い |
面積が広い土地 |
縦横比が均等に近い土地 |
接道面数の多い土地(角地) |
駅・バス停に近い土地 |
価格が安い |
形状が四角形でない土地 |
縦横比が極端な土地 |
道路に接していない土地 |
駅・バス停から遠い土地 |
以下では、土地の査定額に影響する評価ポイントの詳細を1つずつ見ていきましょう。
土地の面積
面積の広い土地ほど、査定額が高くなる傾向にあります。土地の広さは使い勝手に関わる重要な要素であり、面積の広い物件は購入後の使い道が幅広く、さまざまな用途に活用できる可能性があるからです。
例えば、面積の狭い土地では一戸建てしか建築できませんが、面積の広い土地であればアパート・マンションを建築したり、一戸建てを複数建てることもできます。
単純に考えて、坪単価が同じく10万円だとして50坪と100坪の土地がある場合、土地の総額は50坪で500万円・100坪で1,000万円なので面積が広いほうが高くなります。
具体的には、面積が50㎡未満の土地は査定額が安くなりやすいですが、逆に広すぎる土地は査定額が高くなり過ぎて一般の買主が購入しづらいので売れにくいです。
土地の形状
形状の整った土地ほど、査定額が高くなりやすいです。
具体的には、長方形や正方形の整形地は形状が整っており、建物の配置やレイアウトがしやすいなど、利便性が高く建築計画が立てやすいため不動産査定で高く評価されます。
反対に、三角地・台形地・旗竿地・細長い土地・凹凸のある傾斜地といった不整形地は、建築できる建物の間取りが制限されてしまうため、査定額が下がりやすいです。
土地の形状については、四角形で縦横比が均等な整形地ほど査定額が高く、歪な形状や縦横比が極端に偏っている不整形地は査定額が安いと覚えておきましょう。
土地の間口と奥行き
間口・奥行きが広い土地ほど、査定額が高くなる傾向にあります。道路からの間口・奥行きが広い土地であれば駐車場なども設置しやすくなるので、間口・奥行きが狭い土地に比べて幅広い用途に土地を利用できるからです。
極端な話、同じ600㎡の土地でも縦100m×横6mの細長い土地より、縦30m×横20mの間口・奥行きが広い土地のほうが使い勝手がよいので査定額が高いです。
間口の狭い旗竿地は奥行きこそありますが、間口が狭いせいで玄関位置が限られるなど、建築できる建物の間取りに制約を受けるため、査定額が安くなります。
隣接道路の幅員
隣接道路の幅員が広い土地ほど、査定額が高くなりやすいです。接する道路の幅が狭い土地は利用できる面積は実際の面積よりも狭くなり、前面道路が4m未満の場合は、道路の中心から2m後退する必要があるからです。
これは、救急車両のような大型車両の通行や火災時の延焼を食い止める目的で、道路は横幅4m以上を確保しなければならないと建築基準法で定められていることが理由です。
隣接道路の幅員が狭い土地は大型車両が通れないなど単純に不便な上、建築基準法の法規制を受ける可能性も高いため、査定額が低くなる傾向にあります。
接する道路の数(接道面数)
接する道路の数が多い土地ほど、査定額が高くなる傾向にあります。
なぜなら、道路に接している面は車の出入りができる上、一般的な住宅は道路に接している面を玄関にするので、建築できる間取りの自由度が高くなるからです。
具体的には、交差点やT字路の角に位置する角地は、2方向の道路に接しているので利便性が高く、接する道路の数が1方向の土地よりも査定額が高くなります。
反対に、周囲を他人の土地に囲まれていて道路に接していない土地は、建築基準法の接道義務を満たしておらず建物の建築が認められていないため、査定額が安いです。
道路との高低差
道路との高低差が少ない土地ほど、査定額が高くなりやすいです。地形の起伏が少ない土地は整地をせずに利用できるうえ、建物の建設費用が抑えられる・庭の整備が容易といったメリットがあるからです。
加えて、道路との高低差がある土地はガス・水道を引く際のコストが大きく、低い土地は排水をポンプアップするコスト・高い土地は階段を設けるコストが必要になります。
単純に接する道路と高低差があるのは危険ですし、ガス・水道を引く費用・階段を設ける費用が差し引かれるため、道路との高低差が大きい土地は査定額が安くなります。
土壌汚染や埋没文化財の有無
土壌汚染や埋没文化財がない土地ほど、査定額が高くなる傾向にあります。土壌汚染がある土地は汚染物質の除去・埋没文化財のある土地は発掘調査が必要になるなど、通常の土地とは異なり面倒な手続きを踏まないと利用できないからです。
土壌汚染のある土地を活用する場合、土壌汚染対策法に基づいた除染工事をおこなう必要があるため、売主側で有害物質を除去しておかないと査定額が安くなります。
土地が埋蔵文化財包蔵地の場合、土木工事などで発掘をする際は60日以上前に届け出をおこない、場合によっては発掘調査を指示されます。
土壌汚染や埋没文化財がある土地は、除染工事・発掘調査にかかる費用が差し引かれるため、通常の土地に比べて売却価格が5%〜30%程度安くなる点に注意しましょう。
近隣の嫌悪施設の有無
近隣に嫌悪施設のない土地ほど、査定額が高くなりやすいです。
嫌悪施設の例
- 振動や騒音を発生させる線路や高速道路
- 異臭を放つ飲食店やゴミ処理場
- 日当たりや眺望が悪い高層マンションやビル
- 心理的嫌悪感を抱く暴力団事務所や墓場
例えば、治安が良く犯罪率の低い地域は安心して住めるので、周辺環境が安全な土地は査定額にプラスの影響を与えることがあります。
ほかにも、街並みが整備されていたり公園・川・海・湖などが近くにあるなど、景色の美しい土地も居住環境の質が高いと判断されて査定で評価されやすいです。
反対に、騒音のうるさい高速道路や暴力団事務所などの嫌悪施設が近くにある土地は、一般的な不動産価格から20%~50%ほど査定額が安くなるケースも存在します。
公法上の規制の有無
公法上の規制のない土地ほど、査定額が高くなる傾向にあります。
例えば「幅4m以上の道路に間口が2m以上接していないと、土地に建物を建てられない」と建築基準法で定められており、これを満たさない土地を再建築不可物件と呼びます。
接道義務を満たしていない再建築不可物件は、建物の新築・建て替えに制限を受けるため、通常の物件よりも使い道が少ないとして査定額が安くなります。
具体的には、建築基準法・都市計画法・都道府県建築安全条例などの法規制を受ける土地は、使用用途に関する制限を受けるため査定額が安くなる点に注意しましょう。
エリアの人気や利便性
人気エリアや利便性の高い土地ほど、査定額が高くなりやすいです。
具体的には、駅やバス停に近い土地は通勤や通学などの日常生活においてスムーズに移動できるので、時間や労力を節約できるため買主からの需要が大きく人気です。
交通アクセスだけでなく周辺環境も重要で、物件周辺に学校・公園・商業施設・医療機関などがあり、生活に便利な環境が整っている物件も査定額が高くなる傾向があります。
反対に、交通アクセスの悪い土地は駅やバス停などの目的地へ向かう際に自動車や自転車を利用しなければならず、生活に不便であるとして査定額が下がりやすいです。
土地における用途地域の種類
用途地域とは、「都市計画法に基づいて、用途の混在の防止を目的に、住居、商業、工業といった土地利用の大枠を定めたもの」です。用途地域は、以下の13種類が定められています。
用途地域の種類 |
建てられるもの |
第一種低層住居専用地域 |
住宅、小規模な店舗、事務所を兼ねた住宅、小中学校など |
第二種低層住居専用地域 |
住宅、小中学校、150㎡までの一定の店舗など |
第一種中高層住居専用地域 |
住宅、病院、大学、500㎡までの一定の店舗など |
第二種中高層住居専用地域 |
住宅、病院、大学、1,500㎡までの一定の店舗・事務所など必要な利便施設など |
第一種住居地域 |
住宅、3,000㎡までの店舗・事務所・ホテルなど |
第二種住居地域 |
店舗、事務所、ホテル、カラオケボックスなど |
準住居地域 |
道路の沿道において、自動車関連施設などの立地とこれと調和した住宅の環境を保護するための地域 |
田園住居地域 |
住宅、農産物の直売所など |
近隣商業地域 |
住宅、店舗、小規模工場など |
商業地域 |
住宅、銀行、映画館、飲食店、百貨店、小規模工場など |
準工業地域 |
危険性・環境悪化が大きい工場以外の軽工業工場・サービス施設など |
工業地域 |
すべての工場、住宅、店舗など |
工業専用地域 |
すべての工場のみ |
参考:国土交通省「用途地域」
原則として、建てられる建物が多い用途地域ほど査定額が高くなる傾向があります。
土地の査定・売却をスムーズにするための事前確認事項
土地の査定・売却をスムーズにするためには、事前に以下の点を確認しておくことをおすすめします。
- 不動産会社へ事前共有しておくべき事項をまとめておく
- 名義人を確認しておく
- 境界確定や越境問題を解消しておく
- 必要書類を準備しておく
- 土地の査定の前に安易に建物を取り壊さない
- 査定する不動産会社とのトラブルに注意する
不動産会社へ事前共有しておくべき事項をまとめておく
土地の査定・売却のために共有しておくべき事項は早めにまとめておき、事前に不動産会社側へ伝えておくのがよいでしょう。
不動産会社へ事前共有しておくべき事項の例
共有すべき情報は、「現地に足を運ばなければわからない情報」や「特定の資料にしか載っていない情報」などです。土地取得時に作成した契約書(売買契約書や贈与契約書など)、登記簿謄本、確定測量図などの書類があれば、いつでも相手に共有できる状態にしておくことをおすすめします。
名義人を確認しておく
そもそも土地所有者でないと土地売却はおこなえないので、不動産会社に査定を申し込む前に土地の名義を確認しておきましょう。
とくに相続した土地の場合は注意が必要で、名義変更をおこなっていないと前の所有者名義のままだったり、兄弟などの共有名義の土地になっているケースも珍しくありません。
例えば「親から自分が相続した」と誤解していた土地が兄弟の共有名義だった場合、あなた1人の判断では土地を売却できず、共有者全員の同意が必要になります。
土地の名義を確認するには、法務局にて登記簿謄本を取得する必要があるので、必要であれば所有権移転登記をおこない、土地の名義を自分に移しておきましょう。
土地の物件概要を把握しておく
机上査定を受ける場合、土地の物件情報を自分で入力・送信しなければならないため、登記簿謄本や公図などを確認して、土地の物件情報を把握しておきましょう。
例えば「土地面積が100㎡」という情報だけで査定をおこなう場合、不動産会社は形状の整った土地を想定して査定をおこなうので、査定額は高くなりやすいです。
しかし、土地が形状の悪い三角地だった場合、実際に土地を売りに出すと不動産会社が提示した査定額より売却価格は安くなるため、査定精度が下がってしまいます。
土地の査定では、土地の面積・形状・用途地域・駅からの距離といった点を基準に評価をおこなうため、土地の物件概要がわかる書類を確認しておくことをおすすめします。
境界確定や越境問題を解消しておく
隣地との境界が曖昧な土地は売れにくく、売却後にトラブルが発生する恐れもあるので、査定前に土地の境界確定や越境問題の解消を実施しておきましょう。
具体的には、国家資格をもつ土地家屋調査士の立合いのもと、隣地所有者と一緒に境界の位置を確認して、お互いに合意したことを証明する「境界確定図」を作成します。
境界確定図とは?
隣地所有者の許諾を得た上で境界を決めた測量図で、土地家屋調査士が作成します。
すでに土地が隣地に越境していたり、隣地が自分の土地に越境している場合、越境している部分の土地を隣地所有者に売却もしくは買取してもらいましょう。
隣地所有者との和解が難しい場合、裁判所に境界確定訴訟を提起できますが、判決が出るまでは約2年かかるので、訳あり物件を取り扱う不動産会社に相談するとよいでしょう。
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必要書類を準備しておく
土地の査定を受ける場合、以下の書類を準備しておくとよいでしょう。
種類 |
入手場所 |
登記済権利証 |
売主保管 |
登記識別情報 |
登記簿謄本
(登記事項証明書) |
所在地管轄の法務局 |
公図 |
所在地管轄の法務局 |
地積測量図 |
建物の図面 |
固定資産税納税通知書 |
市区町村役場の担当課 |
印鑑証明書
(3ヶ月以内の発行のもの) |
市区町村役場の窓口 |
本人確認書類 |
売主保管 |
境界確認書
(一戸建て・土地の場合) |
売主保管 |
上記の書類を一切用意しなくても土地の査定自体は受けられますが、結局は売却する際に必要になる上、土地の情報がわかる書類を用意したほうが査定精度が上がります。
少なくとも、登記簿謄本と公図と身分証明書・印鑑証明書・住民票は最低限用意した上で、不動産会社に査定を申し込むことをおすすめします。
必要書類の大半は売主側で保管している場合が多いですが、足りない書類がある場合は不動産の所在地を管轄する法務局・市区町村役場の窓口で取得しましょう。
「査定価格」と「売却価格」は異なると知っておく
不動産会社が提示した土地の査定額は物件情報から予測した金額でしかなく、実際に土地を売りに出した際の売却価格とは異なる点に注意しましょう。
例えば、不動産会社が提示した査定額が3,000万円の土地でも、実際に売りに出すと3,500万円で高く売れるケースもあれば、2,500万円で安く売れるケースもあります。
不動産会社は売主の土地を売却して仲介手数料を得ることで利益をあげているため、媒介契約を結んでもらう目的で、実際の価格より高い査定額を提示するケースが多いです。
最終的な土地の売却価格は売主・買主間の交渉で決まるので、不動産会社が提示した査定額は「このくらいの値段で売れるかもしれない」程度の認識に留めておきましょう。
土地の査定の前に安易に建物を取り壊さない
「土地を更地にすると査定額が高くなる」と考える人も多いですが、土地の査定を受ける前に建物を解体すると、解体費用や税金で損をする恐れがあるため注意しましょう。
土地を更地にするデメリットとして、建物の解体に100万円以上もの解体費用がかかる点、土地を更地にすると固定資産税が最大6倍も高くなる点が挙げられます。
例えば、2,000万円で売れる古家付きの土地があり、100万円の解体費用を費やして更地として売却する場合、売却価格が2,050万円だと解体費用で50万円損をしてしまいます。
加えて、更地は古家付き土地に比べて毎年の固定資産税が高いので、建物を解体したのに買主が見つからない場合は、維持費が増えるだけで損失が増えるばかりです。
固定資産税が最大6倍に増えるのは、「住宅用地の特例」の対象外になるからです。住宅用地の特例とは、「住宅やアパートなどが建っている土地(住宅用地)」に該当すると、固定資産税の軽減措置が受けられる特例です。
また、土地を更地にするときに発生する解体費用も考えなければなりません。建物の解体費用は、高額だと数百万円かかる可能性もあります。
土地の査定を受ける場合、建物を解体せずに現状のまま申込み、査定結果を確認してから不動産会社のアドバイスを受けた上で更地にするか判断するようにしましょう。
訳あり物件の専門買取業者であれば、更地にしなくても現状のまま買取してもらえるので、建物を解体する前に必ず査定額を確認しておくとよいでしょう。
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査定する不動産会社とのトラブルに注意する
不動産会社からの営業電話がしつこい・極端に高額な査定額を提示されるといったトラブルが発生する可能性があります。トラブルを避けるには、不動産会社に断りの連絡を入れて、査定額の根拠を確認しましょう。
特殊な土地の査定はどうなる?計算式や相場を解説
以下のような特殊な土地の場合、通常とは異なる方法で査定されます。
特殊な土地の例
借地・底地や共有名義の土地の場合、土地の評価額がそのまま査定額になる訳ではなく、借地権割合や持分割合に応じて査定額が減額される点に注意しましょう。
古家付き土地は土地だけでなく建物の査定額も反映される、農地の場合は造成費が査定額から差し引かれるなど、土地のタイプに応じて査定方法が異なります。
この項目では、特殊な土地の査定方法を解説します。
借地は借地権割合や借地権の種類で変化する
借地権の査定額は、自用地評価額と借地権割合から算出します。
借地権の査定額
自用地評価額×借地権割合=査定額
自用地評価額と借地権割合が高い借地ほど、高く査定される傾向にあります。
借地権割合とは?
土地の評価額に対する借地権の評価額の割合で、国税庁が30%~90%の範囲内で10%刻みで定めています。
路線価がある場合は路線価・路線価のない場合は「固定資産税評価額×倍率」を自用地評価額として、国税庁の路線価図で借地権割合を確認して、借地権の査定額を算出します。
また、借地権には2種類あり、定期借地権よりも普通借地権のほうが査定額が高いです。
種類 |
査定額 |
普通借地権 |
売却しやすく価格も高い |
定期借地権 |
売却しづらく価格も安い |
普通借地権は契約を更新して半永久的に土地を借りられるので、売却しやすく査定額も高くなりやすいです。
定期借地権の物件は更新を契約できず、契約満了時に土地を返還する必要があるので、普通借地権よりも売れにくい上に売却価格も安くなる傾向にあります。
参照:国税庁「路線価図・評価倍率表」
底地は自用地評価額から借地権割合を差し引いた金額
底地の査定額は、自用地評価額と借地権割合から算出します。
底地の査定額
自用地評価額×(100%-借地権割合)=査定額
底地を購入しても借地人から地代を得る権利が手に入るだけで、買主自身が土地を利用できるわけではないので、本来の自用地評価額よりも査定額が安くなります。
路線価がある場合は路線価・路線価のない場合は「固定資産税評価額×倍率」を自用地評価額として、国税庁の路線価図で借地権割合を確認して、底地の査定額を算出します。
ただし、あくまで上記は底地の評価額であり、実際に底地を売却する場合は売却先によって、更地価格の約10%〜50%まで価格が変動する点に注意しましょう。
売却先 |
査定額 |
借地人 |
更地価格の50%前後 |
第三者・買取業者 |
更地価格の10%~15%程度 |
古家付き土地は建物が古いほど価格が安くなる傾向にある
古家付き土地の場合、土地と建物で別々に査定をおこないます。
古家付き土地の査定額
土地全体の査定額×建物の査定額=査定額
建物の築年数が20年以上を超えている場合、建物には資産価値がほとんどないと判断されてしまい、土地しか査定額がつかない点に注意しましょう。
なぜなら、国税庁が定めた建物の法定耐用年数において、事業用の軽量鉄骨造は19年・事業用の木造住宅は22年とされているからです。
建物付きの土地の場合、築年数の浅い建物はそのまま利用できるメリットがありますが、築年数の古い建物は解体費用がかかるため、査定額が安くなる傾向にあります。
築年数 |
査定額 |
築5年以内 |
購入価格の70%前後 |
築10年以内 |
購入価格の50%前後 |
築15年以内 |
購入価格の20%前後 |
築20年超 |
査定額に反映されない |
※=木造一戸建ての場合
共有名義の土地は共有持分割合のさらに半額程度が目安
共有名義の土地の査定額は、土地全体の査定額と持分割合から算出します。
共有名義の土地の査定額
土地全体の査定額×持分割合=査定額
ただし、共有持分の査定額の相場は「土地全体の査定額×持分割合」の半額程度になります。
例えば、共有名義の土地の査定額が1,000万円の場合、持分割合1/2の共有持分の査定額は半額になるので、250万円程度が目安でしょう。
なぜなら、土地全体ではなく共有持分だけを売却する場合、取得しても処分・管理が難しいため、購入する買主が少なく価格が安くなりやすいからです。
ただし、他の共有者が土地全体の売却に合意している場合など、半額ではなく持分割合どおり売却できるケースもあります。
農地
宅地開発が可能な地域の農地の場合、宅地批准方式で査定をおこないます。
宅地開発が可能な地域の農地の査定額
(農地が宅地である場合の1㎡あたりの価格 - 1㎡あたりの造成費)×面積=査定額
農地の場合、農地を宅地として利用できる状態にするための工事にかかる「造成費」が査定額から差し引かれる点に注意しましょう。
「対象の土地が宅地であるとした場合の1㎡あたりの価格」は路線価がある地域の場合は路線価・路線価のない地域の場合は近隣の宅地の評価額をもとに計算します。
宅地批准方式以外の地域では、倍率方式で農地の査定額を算出します。
宅地批准方式以外の農地の査定額
固定資産税評価額 × 評価倍率=査定額
固定資産税評価額は毎年届く固定資産税納付書・評価倍率は国税庁のサイトでそれぞれ確認できるので、農地の査定額を算出するとよいでしょう。
参照:国税庁「路線価図・評価倍率表」
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まとめ
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なぜなら、自分で査定する場合はインターネットでの検索や金額の計算などをおこなう手間がかかる上、専門家に比べると査定結果の精度も低いので、割に合わないからです。
不動産会社の査定方法にも、机上査定・訪問査定の2種類がありますが、まずは机上査定で条件のよい不動産会社を絞り込んでから、訪問査定を申込む方法がおすすめです。
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土地の査定に関するよくある質問
匿名で土地の査定をしてもらえる?
机上査定であれば、匿名で土地の査定をおこなえます。
土地に建物があっても査定してもらえる?
土地に建物がある場合でも査定可能です。土地にある建物を解体すると、解体費用や税金で損をする恐れがあるため、建物を解体せずに現状のまま査定を申し込みましょう。
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