底地を売却する5つの方法│売却相場も解説
底地の売却方法は主に5つあります。どの方法を選択するかで、売却価格や現金化までの期間が大きく変わります。状況に応じた最適な選択肢を検討してください。
| 売却方法 |
相場の目安・特徴 |
| 借地人に売却する |
【更地価格の50%程度】 最も高値が期待できるが、借地人の購入意思と資金力が必須 |
| 買取業者に売却する |
【更地価格の10~20%程度】 スピーディーに現金化できるが、売却価格は低くなりやすい |
| 仲介を通じて一般の個人に売却する |
【更地価格の10~20%程度】 業者買取より高値になる可能性があるが、買い手が見つかりにくい |
| 借地権と底地を同時売却する |
【更地価格とほぼ同等】 高値で売却できるが、売却代金の分配割合で借地人と揉めやすい |
| 底地と借地権を等価交換して売却する |
【分筆後の面積に応じた更地価格】 借地関係を解消できるが、面積が狭くなり専門的な手続きが必要 |
借地人に売却する│更地価格の50%程度
底地のままで最も高く売却できる可能性が高いのが、借地人への売却です。
借地人にとって、底地を買い取ることは「地代の支払いがなくなる」「建物の建て替えや売却が自由にできる」といった非常に大きなメリットがあり、完全な所有権(更地と同等)を手に入れられるからです。
そのため、第三者に売却するよりも高く評価されやすく、売却相場は更地価格の50%前後が目安となります。
ただし、借地人に土地を買い取る意思と十分な資金力がなければ成立しません。借地人が高齢でローンが組めない場合などは、他の方法を検討する必要があります。
買取業者に売却する│更地価格の10~20%程度
借地人が購入しない場合、最も確実かつスピーディーな売却先となるのが、底地を専門に扱う不動産買取業者です。
専門業者は、複雑な権利関係の調整や将来的な収益化を前提として買い取る独自のノウハウを持っているため、現状のままで直接買い取ることが可能です。
業者がリスクを引き受けるため、売却相場は更地価格の10~20%程度と低くなりますが、買主を探す期間が不要なため、最短数日〜数週間で現金化できます。「底地の管理や借地人とのやり取りから早く解放されたい」というケースに最適な方法です。
仲介を通じて一般の個人に売却する│更地価格の10~20%程度
不動産会社の仲介を利用して、一般の投資家などの第三者へ売却する方法です。
好立地の土地であれば、将来の資産価値を見込んだ投資家が購入するケースがあります。条件が合えば、専門業者へ買い取ってもらうよりも高値で売却できる可能性があるでしょう。
しかし、底地は購入者が自由に土地を使えないため、一般市場での需要は極めて限定的です。数年単位で買い手が見つからないリスクがあるため、時間に十分な余裕がある場合にのみ適した方法です。
借地権と底地を同時売却する│更地価格とほぼ同等
地主(底地)と借地人(借地権)が協力して、両方の権利を同時に第三者へ売却する方法です。
権利が分かれた状態のものを一緒に売却することで、買い手は制約のない「完全な更地」として取得できるため、市場での価値が高まります。
その結果、売却相場は更地価格とほぼ同等水準まで跳ね上がります。
ただし、高く売れた代金を「地主と借地人でどのような割合で分配するか」をめぐって意見が対立し、交渉が決裂するケースが多々あります。円滑に進めるには、不動産会社などの第三者を交えて慎重に調整することが求められます。
底地と借地権を等価交換して売却する│更地価格とほぼ同等
底地と借地権の権利割合に応じて土地を物理的に分け合い(分筆)、それぞれが単独で所有する更地にしてから売却する方法です。
借地関係が解消され、制約のない通常の土地となるため、更地価格での売却が可能になります。
しかし、土地を分割することで面積が狭くなり、建物の建築制限がかかるなどして、かえって土地全体の価値が下がるリスクがあります。また、測量や分筆登記などの専門的な手続きと費用が発生するため、土地の広さや形状を見極める必要があります。
底地の売却しやすさは借地権の種類によっても変わる
底地の売却難易度や評価額は、設定されている「借地権の種類」によって大きく異なります。
借地権の種類によって、将来的に土地が地主の元へ戻ってくる見込みや、借地人の権利の強さが法的に異なるためです。借地権は大きく分けて以下の3種類があります。
- 定期借地権:契約期間が明確で他の借地権に比べて売却しやすい
- 普通借地権:更新があるものの旧法借地権よりは売却しやすい
- 旧法借地権:借地人優位で最も売却が難しい
ひとつずつ解説していきます。
定期借地権:契約期間が明確で他の借地権に比べて売却しやすい
最も売却が容易なのが「定期借地権」が設定された底地です。
なぜなら、あらかじめ定められた契約期間が満了した時点で契約の更新がなく、原則として更地になって地主に返還されることが法律で定められているからです。
「いつになれば土地を自由に使えるか」が明確であるため、不動産開発業者や投資家が将来を見据えて購入しやすくなります。契約満了時期が近づくほど、更地価格に近い金額での売却が期待できます。
普通借地権:更新があるものの旧法借地権よりは売却しやすい
平成4年(1992年)8月に施行された新法に基づく「普通借地権」は、一定の売却需要が見込めます。
契約の更新は前提とされていますが、存続期間(30年以上)や、地主からの更新拒絶に必要な「正当事由」の要件などが法律で明確にルール化されているためです。
権利関係の整理の道筋が立てやすいため、専門業者や一部の投資家から見れば、買い取る余地のある物件と評価されます。
旧法借地権:借地人優位で最も売却が難しい
最も売却が困難であり、価格も買い叩かれやすいのが「旧法借地権」が設定された底地です。
平成4年以前の旧借地法に基づく契約であり、借地人の権利保護が極めて強く、地主側からの契約解除や更新拒絶が事実上不可能です。建物の建て替え等によって半永久的に契約が更新され続けるケースが多く、土地が地主に戻ってくる見込みが立ちません。
一般市場での売却はほぼ不可能に近いため、旧法借地権の底地を手放したい場合は、複雑な権利関係の整理に特化した専門の買取業者へ相談することが現実的な選択肢となります。
底地をスムーズに売却するためのポイント
底地は権利関係が重層的であるため、事前の確認や準備を怠るとトラブルに発展する恐れがあります。スムーズに売却手続きを進めるために、以下の3つのポイントを押さえてください。
底地の所有権や契約内容をあらためて確認しておく
売却に向けて動き出す前に、まずは底地の登記簿謄本(誰が所有者か)と、借地契約書の内容を必ず確認してください。
書面上の権利関係に不備があると、売買契約そのものが結べないからです。
特に、親から相続した底地で名義変更(相続登記)が終わっていない場合は要注意です。2024年4月から相続登記は義務化されています。登記上の名義が売主本人でなければ不動産は売却できないため、司法書士に依頼して名義を正常化させておく必要があります。
借地人に内緒で話を進めず事前告知しておく
第三者(買取業者など)に底地を売却する場合、必ず事前に借地人に売却する旨を伝えてください。
法的には借地人の同意がなくても底地は売却可能ですが、事後報告にすると「急に地主が変わって立ち退きを迫られるのではないか」と借地人が警戒し、新しい買主への地代支払い拒否など、無用なトラブルを引き起こす原因になるからです。
真摯に事情を説明すると同時に、借地人に買い取る意思がないかを確認することが、円満な売却に向けた基本です。
共有名義の底地全体を売却するなら共有者全員の同意を得る
兄弟や親族などと共有名義で所有している底地全体を売却する場合、共有者全員の同意が絶対に必要です。
民法上、共有物全体の処分(売却)には共有者全員の合意が義務付けられており、1人でも反対すれば全体を売却することはできないからです。
意見がまとまらないまま見切り発車で売却を進めると、契約直前で破談になるリスクがあります。全員の同意が得られない場合は、「自分の共有持分のみ」を専門業者に売却するという方法に切り替える必要があります。
底地を高値売却を目指すコツ
底地は安価で取引されやすい性質がありますが、アプローチ次第で売却価格を引き上げることは可能です。たとえば、複数の不動産会社に査定を依頼して比較検討することや、売却前に現在の地代や更新料を適正水準に見直すことが査定額アップの鍵となります。
ここでは、少しでも条件良く底地を売却するための2つのコツについて詳しく解説していきます。
複数社に見積もりを依頼する
仲介を依頼する場合も、業者に買い取ってもらう場合も、必ず複数の不動産会社へ査定を依頼してください。
底地には一般的な相場というものが存在しにくく、不動産会社が持つノウハウや顧客ネットワークによって、提示される査定額に数百万円単位の差が生じることが珍しくないからです。
1社の査定額だけで判断せず、複数社を比較することで、適正な相場感を把握し、より条件の良い売却先を見極めることができます。
地代や更新料を見直す
可能であれば、売却活動を始める前に借地人と交渉し、地代を適正な水準に見直すことも一つの手段です。
第三者や買取業者が底地を査定する際、現在の地代収入から算出される「利回り(収益性)」が評価額の重要な決定要因となるからです。周辺相場に比べて著しく低い地代であれば、適正価格に近づけることで底地の資産価値が上がり、売却価格に反映されます。
ただし、強引な値上げ要求は借地人との関係悪化を招くため、あくまで借地借家法に基づく正当な範囲内で、双方の合意を得られる場合にのみ実施してください。
底地の売却相場を自分で調べる方法
不動産会社に相談する前に、ある程度の相場を自分で把握しておくことで、提示された査定額が妥当かどうかを判断しやすくなります。
路線価と借地権割合を用いて「借地権の評価額」を計算する
国税庁が公表している「路線価図」を用いて、底地の相続税評価額を算出する方法が一般的です。
土地全体の価値から借地権の価値を差し引くことで、底地部分の価値を計算します。
路線価図には、道路ごとに1㎡あたりの価格(千円単位)と、借地権割合を示すアルファベット(A〜G)が記載されています。
- A:90%
- B:80%
- C:70%
- D:60%
- E:50%
- F:40%
- G:30%
【計算例】面積100㎡、路線価が「300D」の場合
1. 土地全体の評価額(自用地評価額):30万円(300×1,000円)× 100㎡ = 3,000万円
2. 借地権評価額:3,000万円 × 60%(D) = 1,800万円
3. 底地の相続税評価額:3,000万円 - 1,800万円 = 1,200万円
0.8を割り戻して1.1倍しておおまかな実勢価格を算出する
算出した相続税評価額を、実際の市場取引価格(実勢価格)の目安に補正します。
路線価は実勢価格の約8割水準に設定されていることが多いため、0.8で割り戻した上で、市場の動向を加味して1.1倍程度にして概算します。
【計算式】底地の相続税評価額 ÷ 0.8 × 1.1 = 実勢価格の目安
上記の例(1,200万円)の場合、「1,200万円 ÷ 0.8 × 1.1 = 1,650万円」が上限の目安となります。ただし、これは更地と同等の流動性があると仮定した計算であり、底地の制約によるマイナス評価は含まれていない点に留意してください。
より精度の高い相場を知りたいなら不動産鑑定士や買取業者に依頼する
自分で計算できるのはあくまで机上の概算です。正確な市場価値を知るためには、底地の取り扱いに長けた不動産鑑定士や買取業者に査定を依頼してください。
実際の売却価格は、路線価だけでなく、借地人との人間関係、地代の収益性、立地の将来性など、個別の事情が複雑に絡み合って決定されるからです。
専門的なノウハウを持つプロに物件状況を詳細に見てもらうことが、最も確実な相場把握の近道です。
底地の売却にかかる税金や費用
底地を売却した代金が、すべて手元に残るわけではありません。売却に伴って以下の税金や費用が発生します。
譲渡所得税
底地を売却して利益(譲渡所得)が出た場合に課税される所得税および住民税です。
税額は、底地の所有期間(売却した年の1月1日時点)によって税率が異なります。
- 5年超(長期譲渡所得):20.315%
- 5年以下(短期譲渡所得):39.63%
短期所有での売却は税率が約2倍になるため注意が必要です。(※親から相続した底地の場合は、親の所有期間を引き継いで計算します)。
印紙税
売買契約書を作成する際に発生する国税です。契約金額に応じた収入印紙を契約書に貼付して納付します。
1,000万円超〜5,000万円以下の売買契約であれば、軽減措置により印紙税は1万円となります。なお、電子契約を利用した場合は書面を発行しないため印紙税は非課税となります。
登録免許税
土地の所有権を売主から買主へ移す「所有権移転登記」の際にかかる税金です。
原則として買主が負担するケースが一般的ですが、契約条件によっては売主負担となる場合もあるため、契約書をよく確認してください。
仲介手数料(仲介を利用した場合)
不動産会社に仲介を依頼して第三者に売却した場合、成功報酬として支払う費用です。
売買価格が400万円を超える場合、法定上限額は「売買価格 × 3% + 6万円 + 消費税」となります。なお、買取業者に直接売却する場合は、仲介者が存在しないため仲介手数料は無料です。
まとめ
底地は一般的な不動産と比べて売却のハードルが高いことは事実ですが、適切な方法を選択すれば確実に現金化することが可能です。
少しでも高く売りたい場合は「借地人への売却」や「同時売却」、煩わしい手続きやトラブルを避けて早く手放したい場合は「買取業者への売却」など、目的に合わせて売却先を見極めることが重要です。
まずは自身の底地の権利関係を整理し、実績のある専門業者に査定を依頼して客観的なアドバイスを受けることから始めてみてください。
底地の売却についてよくある質問
底地を売却した後の確定申告に必要なものを教えてください
底地の売却によって利益が生じた場合、翌年の2月16日〜3月15日までに確定申告が必要です。主に以下の書類を準備してください。
- 確定申告書・譲渡所得の内訳書(税務署で取得)
- 売買契約書のコピー(売却額を証明するもの)
- 登記事項証明書
- 底地の取得費(購入当時の価格)や譲渡費用がわかる領収書・明細書
- 本人確認書類
特に、先祖代々の土地で「いくらで購入したか」がわかる当時の契約書がない場合、概算取得費(売却価格の5%)での計算となり税金が高額になる恐れがあります。売却前から古い資料を探しておくことを強く推奨します。