底地を処分する5つの方法
底地を処分するなら、まずは売却を検討すべきです。不要な底地を手放しつつ、現金化ができます。
ただし、底地は購入者が自由に利用できません。そのため、購入希望者が少なく、通常の土地と同じようには売却先が決まりません。売却が難航することを前提に、きちんと戦略をたてて売却を進める必要があります。
底地の売却が成功する可能性があるのは、下記の5つの方法です。
| 方法 |
概要 |
| 1.借地権者へ売却 |
【売却先】現在の借地権者
【価格目安】更地価格の4~5割前後
【成立しやすさ】高い(交渉がまとまれば成立しやすい)
【スピード】中
【メリット】トラブル回避につながる/関係性が良好なら進めやすい
【注意点】借地人の購入意思と資金が前提/価格は限定的
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| 2.買取業者へ売却 |
【売却先】底地専門の買取業者
【価格目安】相場より低め(3~4割程度が目安)
【成立しやすさ】高い
【スピード】早い(現金化しやすい)
【メリット】手続きが簡易/交渉負担が少ない
【注意点】価格は安くなりやすい/業者選定が重要
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| 3.底地と建物を同時売却 |
【売却先】一般の第三者
【価格目安】通常の土地建物相場に近い
【成立しやすさ】中(条件付き)
【スピード】遅め(調整に時間)
【メリット】高値売却の可能性/市場で売りやすい
【注意点】地主と借地人双方の合意が必要/配分調整で揉めやすい
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| 4.完全所有権にして売却 |
【売却先】一般の第三者
【価格目安】通常物件並みの相場
【成立しやすさ】低~中(ハードル高)
【スピード】遅い
【メリット】自由に売却できる/買主が見つかりやすい
【注意点】建物買取資金が必要/借地人の同意が必須
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| 5.底地と借地を等価交換してから売却 |
【売却先】等価交換後の完全所有地を第三者へ売却
【価格目安】条件次第で通常物件に近づく可能性
【成立しやすさ】低(合意形成が前提)
【スピード】遅い(分筆・協議に時間)
【メリット】双方が完全所有権を取得できる/市場で売りやすくなる
【注意点】借地人の同意が必須/面積減少リスクあり
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それぞれ詳しく解説していきます。
1.底地を借地権者へ売却する
底地を処分する場合の売却先として最も有力なのは、現在の借地権者です。
第三者が購入したとしても自分で利用することができない底地ですが、借地権者が購入すれば自分で自由に利用することが可能になり実質的に「完全所有権」に近い状態を実現できます。これは借地権者にとって大きなインセンティブとなるため、他の方法と比べて交渉が進みやすい点が特徴です。
購入資金は必要となりますが、地代や更新料の支払いがなくなるため、借地権者にとってもメリットがあるといえます。特に長期的に居住・利用を続ける予定がある借地権者にとっては、将来の更新交渉リスクや地代増額リスクを回避できる点も重要な利点です。
底地の処分を検討するにあたり、借地権者は真っ先に売却先の候補となるでしょう。実務上も、まずは借地権者に打診し、意向を確認することを基本的におすすめしています。
一方で、デメリットや現実的なハードルもあります。借地権者に購入の意思がない場合にはもちろん、購入資金がない場合にもこの方法を利用できません。
借地権者が高齢である場合や、住宅ローンが残っている場合などは、新たな融資を受けにくいケースも少なくありません。また、関係性が悪化している場合は価格交渉が難航する可能性もあります。
ちなみに、借地権者への底地の売却価格は、更地価格の5割程度が一般的とされています。
ただし、地代の水準や契約条件(普通借地権か定期借地権か)、残存期間、立地条件などによって割合は変動します。地代が高水準で安定している場合は、評価がやや高くなるケースもあります。
| 区分 |
内容 |
| メリット |
・最有力の売却先で成立しやすい
・借地人が完全所有に近い状態を実現できる
・地代・更新料負担がなくなり双方に利点
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| デメリット |
・借地人に購入意思と資金が必要
・価格は更地の4〜5割程度が目安
・関係悪化時は交渉が難航しやすい
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| 向いているケース |
・借地人と良好な関係がある
・借地人に購入意欲や資金力がある
・穏便にトラブルなく処分したい
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| 向いていないケース |
・借地人が高齢・無資力である
・価格交渉で折り合いがつきにくい
・早期に確実な現金化を最優先したい
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どうしても借地権者への売却が成立しない場合には、次に紹介する他の方法の利用を検討してみましょう。
底地売却の方法や売却相場については、下記の記事も参考にしてみてください。
2.底地を買取業者に売却する
どうしても底地を借地権者に売却できない場合には、第三者への売却も検討した方がよいでしょう。しかし、一般の第三者に底地を売却しようとしても、なかなか買主はみつかりません。
一般の個人投資家や、自らや家族が住むために住宅を購入する人々にとって、底地は「自由に使えない土地」であるため、収益性や将来性を判断しづらく、融資も付きにくいという現実があります。
そこでおすすめなのが、底地を専門に取り扱う買取業者への売却です。
底地専門の買取業者は、借地契約の内容や地代水準、更新条件などを踏まえて収益評価を行い、自社でリスクを引き受けたうえで直接買い取るビジネスモデルを採用しています。専門の買い取り業者であれば、底地を直接買い取ってもらえるためスピーディーに底地の処分ができます。
現実的に考えると、「価格よりもスピードや確実性を重視するかどうか」が判断基準になります。地代収入が少額で管理負担が大きい場合や、共有者間トラブルを早期に解消したい場合には、有力な選択肢となります。
| 区分 |
内容 |
| メリット |
・買主探し不要で短期現金化
・借地人交渉や権利整理を業者が担う場合が多い
・相続対策や共有持分整理など複雑案件にも対応可能
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| デメリット |
・買取価格は低めになりやすい(更地の3〜4割目安)
・査定基準が会社ごとに異なり価格差が出やすい
・契約条件次第で不利な条項が含まれる可能性
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| 向いているケース |
・借地権者に売却できなかった
・早期に現金化したい(相続税納付・債務返済など)
・権利関係が複雑で自力売却が難しい
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| 向いていないケース |
・時間をかけてでも高く売りたい
・借地人との関係が良好で交渉余地がある
・地代収入が安定しており急いで売る必要がない
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実務では、1社だけでなく複数の専門業者に査定を依頼し、価格や条件を比較検討することが重要です。業者によって評価が異なるため、相見積もりが価格向上のポイントになります。
3.底地と建物を合わせて同時売却する
借地人へ底地の売却を持ちかけた時、借地人も売却の意思を持っているなら「同時売却」することも選択肢の一つです。これは、地主と借地人が協力し、土地と建物を一体の不動産として市場に出す方法です。
地主と借地人が協力し、底地と建物を同時に売り出せば、「借地権付き物件」ではなく、完全な所有権物件として市場に出せます。その結果、購入希望者の対象が広がり、通常の土地建物と同様の価格水準で売却できる可能性が高まります。
底地と建物をそれぞれ売却しても、売却価格が非常に低くなりやすいですが、同時売却であれば制約が解消されるため、資産価値を最大化しやすいのです。
実務では、売却代金をどの割合で分けるか(底地割合・借地権割合)を事前に明確にする必要があります。ここで合意できないと計画は頓挫します。
| 区分 |
内容 |
| メリット |
・市場価格に近い水準で売却できる可能性が高い
・購入希望者が一般層まで広がる
・地主・借地人双方にとって合理的な出口戦略となる
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| デメリット |
・地主と借地人の利害調整が必要
・売却価格の配分方法で揉めやすい
・協議や契約調整に時間がかかる
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| 向いているケース |
・地主と借地人の関係が良好
・双方とも売却の意思が明確
・できるだけ高値での売却を目指したい
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| 向いていないケース |
・借地人が住み続けたい意向を持っている
・権利割合を巡って対立している
・早期売却よりも安定収入を優先したい
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現実的にはハードルは高いものの、条件が整えば最も高値が期待できる方法です。価格重視であれば、まず借地人と協議する価値は十分にあります。
底地と建物の同時売却については、下記の記事でも詳しく紹介しています。
4.完全所有権にしてから売却する
底地のまま売却するのが難しい場合は、借地権を買い取り、完全所有権にして売却する方法もあります。これは「権利関係そのものを整理してから売る」発想であり、価格最大化を狙う上級者向けの選択肢です。
例えば、借地人から借地上の建物を買い取って完全所有権をもつ状態にすれば、土地付きの建物として売却することが可能です。この場合、土地と建物が同一所有者となるため、一般的な戸建てや土地建物として市場に流通させることができます。結果として、購入希望者の層が広がり、金融機関の融資も利用しやすくなります。
底地として売却活動するよりも、スムーズに売却できるでしょう。特に住宅地など実需エリアでは、底地のままよりも価格水準が大きく改善する可能性があります。
ただし、資金力があり、借地人の了承も得られる場合にのみ有効な方法です。建物買取資金が必要となるため、まとまった自己資金や融資余力が求められます。また、借地人が売却に応じない場合は実行できません。
分割した後もある程度の面積を有する土地であれば、売却できる可能性もあるでしょう。
| 区分 |
内容 |
| メリット |
・市場価格に近い水準で売却できる可能性が高い
・買主層が広がり、売却活動がしやすい
・将来的な権利トラブルを解消できる
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| デメリット |
・建物買取や権利整理に資金が必要
・借地人との交渉が難航する可能性
・手続きや契約調整に時間がかかる
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| 向いているケース |
・資金に余裕がある
・高値売却を目指したい
・借地人と協力関係が築けている
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| 向いていないケース |
・早期現金化を最優先したい
・資金余力がない
・借地人との関係が悪い
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現実的にはハードルが高いものの、条件が整えば最も価格改善効果が期待できる方法です。時間と資金を投じてでも価値を引き上げたい場合に検討する選択肢といえるでしょう。
底地と借地権の等価交換については、下記の記事も参考にしてみてください。
5.底地と借地を等価交換してから売り出す
底地のままでは売却が難しい場合の有効な手段として、借地人と土地を分け合い、権利関係を整理してから売却する「等価交換」という手法があります。これは、土地を物理的に切り分ける(分筆する)ことで、地主と借地人がそれぞれの持ち分を完全に所有する形に再編するものです。
具体的には、地主が持つ「底地」の一部と、借地人が持つ「借地権」の一部を互いに交換します。これにより、双方が地代や更新料のやり取りを必要としない「100%の所有権」を持つ独立した土地を手にすることになります。この状態になれば、通常の不動産と同じように市場でスムーズに売却できるようになります。
ただし、この方法は借地人の合意が不可欠であるほか、土地面積が元より狭くなるという側面もあります。特に注意すべきは、分筆後の土地が建築基準法上の「接道義務」や「最低敷地面積」を満たせなくなるリスクです。万が一、再建築ができない土地になってしまうと、かえって資産価値を大きく損なう恐れがあるため、実務においては法的な制限を慎重に検討した上で進める必要があります。
| 区分 |
内容 |
| メリット |
・双方が完全所有権(100%の権利)を取得できる
・借地関係が解消され、管理の手間やトラブルがなくなる
・普通の土地として市場に出せるため、売りやすくなる
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| デメリット |
・土地を分けるため、元の敷地より面積が減少する
・分筆費用や登録免許税などの諸費用が発生する
・分け方によって建築制限(接道など)に抵触するリスクがある
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| 向いているケース |
・土地が十分に広く、分割しても活用価値がある
・借地人と協力して資産価値を最大化したい
・土地の一部を将来的に自己利用または売却したい
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| 向いていないケース |
・土地が狭く、分筆すると家が建てられないサイズになる
・借地人との合意が得られない
・複雑な手続きを避け、早期に現金化したい
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底地と借地権の等価交換については、こちらの記事で詳しく解説しています。
買主が見つかりにくい底地をなるべく早く処分するためにできること
底地は「自由に使えない土地」であるため、通常の土地よりも買主が限られます。したがって、ただ売り出すだけではなく、戦略的に準備を整えたうえで売却活動を行うことが重要です。ここでは、底地を早期に処分するために押さえておきたいポイントを整理します。
| 対策 |
目的 |
期待できる効果 |
| 借地人との信頼関係構築 |
最有力の買主を確保する |
合意形成がスムーズになる |
| 地代条件の見直し |
収益性を高める |
投資家の関心を引きやすくなる |
| 価格と妥協ラインの整理 |
交渉を想定して価格設計する |
売却期間の短縮につながる |
| 複数社への査定依頼 |
適正価格を把握する |
価格戦略の精度が上がる |
底地売却は「誰に売るか」「いくらで売るか」「どの順番で動くか」が成否を分けます。上記の対策を組み合わせることで、買主が限られる底地でも現実的に売却成立の可能性を高めることができます。
借地人との信頼関係を築き、売却交渉を成功させる
底地の処分で最も高値・確実性が期待できる相手は借地人ですが、交渉を成功させるためには単に売却の意思を伝えるだけでは十分とはいえません。借地権者との信頼関係を築くことが、交渉成立の最大のポイントとなります。
実際、底地は借地権者にとって「権利と利便性」の価値があるため、信頼感のある関係性が交渉を前に進める重要な要素になります。借地人との日常的なコミュニケーションや丁寧な説明、今後の影響やメリットを共有することが相手の安心感につながり、協力的な姿勢を引き出せます。
たとえば、売却の背景や価格算出の根拠を分かりやすく説明し、借地人の立場や不安を尊重した対話を心がけることで、双方が納得できる条件に近づきやすくなります。また、売却前に借地人へ事前告知を行い、いきなりの売却計画で不信感を持たれないようにすることも信頼関係構築に資する行動です。
信頼関係が築ければ、借地人が底地を買い取る際の合意形成がスムーズになり、売却成立の可能性が高まるだけでなく、その後の同意や手続きも円滑に進みやすくなります。
地代条件の見直しで利回りアップ、買い手の関心を高める
底地を早く処分するための工夫として、地代の条件を見直し、投資的な魅力を高めることが効果的です。通常、底地は借地権が付いているため土地を自由に使えず、第三者の購入意欲が低いという構造的なハードルがあります。そのため、価格評価が更地価格の1〜2割程度にとどまるケースが多く、買い手が付きにくいという現実があります。
こうした状況を改善するため、借地契約の地代を周辺相場に近づけたり、利回りが高く見えるように調整することが検討できます。
具体的には、近隣の地代水準や土地価格の変動を踏まえて、地代の増額交渉や更新条件の合理化を行い、将来的な収益性をアピールする方法です。利回りが低いと評価される底地は投資家の関心も薄くなりますが、合理的な地代条件を示すことで収益物件としての魅力が高まりやすくなります。
もちろん、地代条件の変更には借地人の同意が必要であり、交渉には信頼関係と時間が求められます。借地人の生活負担を考慮しつつ、双方に納得感のある条件設定を図ることがポイントです。
借地権の地代相場や値上げ交渉のポイントについて、こちらの記事で解説していますのでご参照ください。
売り出し価格と妥協ラインについて整理する
底地のように買主が見つかりにくい不動産を処分する際、売り出し価格と妥協ラインを整理しておくことは非常に重要です。底地は借地権が付いているため自由な利用ができず、一般の土地よりも価格評価が低くなりがちです。たとえば、借地人への売却でも更地価格の50%前後が目安になる一方、一般の第三者向けには更地価格の10〜20%程度という低水準に留まる場合もあります。
まずは、現実的な想定価格帯の確認が必要です。公的な路線価や周辺の実際の底地取引事例を参考にしつつ、希望価格と最低限受け入れられる価格をあらかじめ決めておくことで交渉余地が生まれます。この価格設定は、専門家による査定や複数の買取業者・借地人側の反応を見ながら調整していくのが現実的です。
また、時間とのバランスも考慮しましょう。価格を高く設定しすぎると買い手探しの期間が長引き、結果的に値下げを余儀なくされることがあります。
底地特有の売却戦略としては、借地人や専門買取業者を含む複数の候補に合わせて価格レンジを設定し、状況に応じて柔軟に対応することが、処分をスムーズに進める鍵になります。
底地の価格の計算方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
複数社に査定依頼する
底地のように買主が見つかりにくい不動産を早く処分したいなら、複数の不動産会社や査定機関に査定依頼を出し、価格や提案内容を比較することが重要です。複数社の査定を比較することで、底地の実勢価値を相対的に把握でき、適切な売り出し価格の基準が見えてきます。
底地の場合、権利関係や借地条件が価値に大きく影響するため、査定額の差が大きくなる傾向があります。専門業者や複数の買取会社に査定を依頼することで、一般市場の相場だけでなく、買取リスクを考慮した評価額の幅も把握できます。
また、査定結果を比べることで、価格だけでなく「売却スピード」「交渉力」「権利整理の提案力」など各社の強みや弱みも見える化できます。複数の査定結果を基に戦略的に売り出し価格を設定し、かつ信頼できる仲介・買取先を選ぶことが、底地の早期処分につながる現実的な方法です。
先に相場を把握しておくことで、無駄な値下げ交渉を避け、候補者との間で合理的な価格調整を進めやすくなります。
底地処分で失敗しないための注意点
底地の売却は通常の土地売却とは異なり、独特の要素が複雑に絡みます。これらを正しく理解しないまま進めると、思うように売れないだけでなく、価格面や手続き面で大きな損失につながる可能性があります。
ここでは、底地処分で特に注意すべき下記の3つのポイントについて解説します。
- 借地契約の種類によって売却タイミング・要件が変わる
- 共有名義の底地では共有者の同意が必要
- 売却価格が更地の評価額より大幅に下がる可能性がある
これらの3つの視点を押さえておくことが、売却を成功に近づけるための基本となります。
借地契約の種類によって売却タイミング・要件が変わる
底地を処分する際は、まず借地契約の内容を確認することが欠かせません。契約の種類によって権利の強さや存続期間が異なり、売却のしやすさや価格評価にも大きな影響を与えます。特に普通借地権と定期借地権では、買主の見方や適切な売却タイミングが変わるため注意が必要です。
普通借地権・定期借地権などの違い
| 項目 |
普通借地権 |
定期借地権 |
| 契約の更新 |
原則更新あり(正当事由が必要) |
更新なし(期間満了で終了) |
| 契約期間 |
当初30年以上(更新後は20年・10年など) |
50年以上など契約で定めた期間 |
| 借地人の権利の強さ |
強い(長期利用が前提) |
期間限定で利用 |
| 満了後の扱い |
更新が前提で継続利用 |
原則として更地返還 |
| 底地売却への影響 |
安定収入が評価されやすい |
残存期間が価格に大きく影響 |
| 売却タイミングの考え方 |
更新前後で条件を整理 |
満了時期を見据えて戦略検討 |
借地権には主に「普通借地権」と「定期借地権」があります。普通借地権は契約期間満了後も、正当事由がない限り更新が認められる仕組みです。そのため借地人の権利が強く、長期的に土地利用が継続される前提となります。底地としては安定収入が期待できる一方、地主側から一方的に終了させることは難しく、売却時には“更新前提の底地”として評価されます。
一方、定期借地権は契約期間が満了すれば原則として更新されません。満了後は土地が更地で返還されるため、将来的に完全所有地へ戻る可能性がある点が特徴です。ただし、残存期間が短い場合は利用計画が立てにくく、買主が慎重になることもあります。
このように、契約の種類や残存期間によって売却戦略は変わります。契約内容を正確に把握したうえで、更新時期や満了時期を見据えた売却タイミングを検討することが、底地処分で失敗しないための重要なポイントです。
共有名義の底地では共有者の同意が必要
底地を複数の共有者名義で所有している場合、底地全体を売却するには共有者全員の同意が法律上必要です。これは民法で「共有物の処分(売却など)は他の共有者の同意を得なければできない」と定められているためで、共有者のうち1人でも反対すると売却そのものが進まなくなります。特に相続で兄弟姉妹など複数人が名義人となっている底地では、全員の意向を揃えること自体が大きなハードルになることが多い点に注意しましょう。
これは底地のような訳あり不動産で特に顕著で、共有者間の意見が割れると、売却価格や売却時期の合意形成に時間と労力がかかってしまいます。そのため、共有名義の底地を処分する際は事前に全員の思いを確認し、合意を得るための話し合いを丁寧に進めることが重要になります。
また、場合によっては分筆や共有物分割請求といった法的手段も検討し、状況に応じた対策を講じる必要があります。
共有名義の底地を売却する方法や早く高く売るコツは、こちらの記事をご参照ください。
売却価格が更地の評価額より大幅に下がる可能性がある
底地の売却を検討する際、最も注意すべき点の一つが売却価格が更地評価額より大きく下がる可能性です。底地は借地権が設定されているため、土地の自由利用に制約がある「訳あり資産」です。そのため、一般の更地としての評価額とは大きく異なり、買い手が付きにくいという構造的な要因が価格に影響します。
一般的な目安として、借地人へ売却する場合でも更地価格の4〜5割前後が評価されることが多く、第三者への売却となれば更地価格の1〜2割程度まで下がるケースもあります。これは借地権の権利価値や残存期間、地代条件などによって評価が変動するためで、自由に利用できない土地としてのリスクが価格に大きく織り込まれるからです。
また、定期借地権の場合は契約満了後に土地が更地で返還される点から、残存期間が短くなるほど価値が下がりやすく、買い手の関心を引きにくくなります。こうした条件を加味すると、相場より低い価格設定を前提に売却計画を立てる必要があります。
このように更地評価とのギャップを理解しないまま売却を進めると、「期待していた価格と実際の査定額が大きく異なる」といった失敗につながります。売却前には複数社の査定を取り、権利条件を踏まえた現実的な価格帯を把握することが重要です。
底地の買取相場や借地権の種類による売却金額の計算方法については、こちらの記事をご参照ください。
底地を処分せずに保有し続けた際のデメリット
底地を処分せずに保有し続けた場合には、将来大きなデメリットが発生し、資産だと思っていた底地が大きな重荷となってしまうことも考えられます。
そのような状況となってしまってから底地を処分しようとしても、デメリットが表面化した後ではなかなか買主がつかず、処分が困難になってしまうことも考えられます。
そのため、早めに処分することをおすすめします。
地代を回収できなくなる恐れがある
借地人に何らかの事情があり、地代が滞ることも考えられます。
しかし、借地借家法により借地権者の権利は強力に保護されているので、立ち退いてもらうことも困難です。
一方、地代の入金があったかどうかにかかわらず、固定資産税や都市計画税も課税されます。
したがって、地代は受け取ることができていないにもかかわらず、税金は期日までに納税しなければならないという状況になってしまいかねません。
地代の滞納への対策や、滞納が発生してしまった場合の対応は難しいケースが多いですから、トラブルになる前に買取業者に売却してしまうことを検討しましょう。
地代滞納トラブルについては、下記の記事でも紹介しています。
借地権者の死亡により権利関係が複雑になる
借地権者が亡くなり相続が発生した場合、権利関係が複雑になってしまうことも考えられます。
法律上は、仮に借地権者が亡くなったとしても相続人に地代を請求できますが、現実には「本当に私が支払うべきお金なのかどうかわからない」「他の相続人に言ってくれ」などと言われ、受け取れないケースがあります。
遺産分割がまとまらず、長期化してしまうと、それに伴って地代の入金も先送りにされてしまうかもしれません。
滞納がつづき、金額が大きくなるとますます誰も支払いたがらないでしょう。
底地権者が亡くなった際に相続トラブルになる恐れがある
相続に付随して権利関係が複雑になってしまうのは、借地権者の側だけではありません。底地権者が亡くなってしまった場合にも、同様のトラブルが生じる恐れがあります。
地代の滞納があった場合には、未回収の地代の債権は相続財産に含まれ、相続税が課税されます。
しかし、回収が難しいとわかっている債権や、そのようなトラブルを抱えている底地を積極的に相続し、相続税まで納税しようとする人は多くありません。
したがって、底地やその債権を巡って相続人がトラブルになることにもなりかねません。
底地を所有している人は、権利関係を整理したり、将来相続人となる人と話し合いをする機会を設けるとよいでしょう。
底地トラブルや所有するメリット、デメリットについては、下記の記事も参考にしてみてください。
底地処分において「相続放棄」は最後の手段と考える
底地から得られる収益よりも、底地により発生してしまっている費用の方が大きい場合には、確かに底地の引き取り手を探すことは容易ではありません。
そこで、相続が発生した時点で相続放棄しようと考える人がいても不思議ではありません。
ただし、相続放棄をする際は、マイナスの財産だけでなくプラスの財産も放棄しなくてはなりません。
そのため、底地を処分したいからといって、安易に相続放棄を選択しないようにしましょう。
底地の相続については下記の記事でも詳しく紹介しています。
まとめ
底地は所有していても得られるメリットが少ないため、処分を検討する人も多いでしょう。底地処分を考えたら、まずは借地権者への売却を検討するとよいです。借地権者なら、底地を最大限に有効活用できるため、高額で売却できます。
もしも、借地権者に売却できない場合には、底地専門の買取業者への売却がおすすめです。直接買い取ってもらえるため、底地の処分が簡単にできます。
底地の処分が面倒だからといって放置してしまうと、後々トラブルが発生する可能性もあるため、処分を検討している場合は早めに行動しましょう。