同時売却とは借地権(建物)と底地を同時に同一の第三者へ売却すること
不動産における同時売却とは、借地人が保有する土地の借地権(借地権付き建物含む)と地主が所有する底地を、同じタイミングで第三者に売却することです。
借地権と底地は、いずれも単独で売却できます。しかし購入者から見ると、片方だけ購入しても片方分の権利しか使えません。
たとえば、建物のみを購入した場合、土地の権利はまだ第三者にある状態のため、通常の土地と比べて活用するのが難しいのが現状です。
そこで借地権と底地を同時売却すれば、購入者は土地と建物を完全所有の状態で取得できます。
権利関係が一本化されることで、利用制限や承諾リスクが解消され、通常の土地取引と同様の前提で活用や売却が可能になります。
以下では、同時売却の対象となる借地権と底地について、それぞれの性質と評価の考え方を解説します。
借地権とは「借りた土地に建物を立てる借主側の権利」
借地権とは、土地所有者(地主)から土地を借り、その土地上に建物を所有・利用するために設定される借主側の権利です。借主となる借地人は、自分が土地を持っていなくても自分の建物に住んだり事業をしたりできるメリットがあります。
借地権は、設定時期によって適用される法律が異なり、両者の違いは存続期間や更新条件です。実務では、この区分が売却可否や価格判断に影響するため、最初に確認すべきポイントとなります。
1992年7月31日までに設定されたものは「旧法借地権」、1992年8月1日以降に設定されたものは「新法借地権」が適用されます。
なお、借地権には「地上権」と「賃借権」の2つの権利が存在します。
地上権は物権であり、原則として地主の承諾なく譲渡や建替えが可能です。一方、実務上多く設定されているのは賃借権で、こちらは建替えや譲渡の際に地主の承諾が必要となり、承諾料が発生するケースが一般的です。
この承諾の要否が、借地権単独売却の難しさにつながります。
また借地権は、存続期間と更新の有無により、普通借地権、定期借地権、一時使用目的の借地権に区分されます。
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普通借地権
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・更新が前提のため、基本的には長期利用を想定
・契約を更新しない場合は更地にして返還
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定期借地権
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・契約期間満了で原則更地にして返還
・残存期間によって評価が大きく変動
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一時使用目的の借地権
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・短期・限定的な利用を前提
(例)工事など
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たとえば、普通借地権の価格の相場は、国税庁が公表する借地権割合と、自用地として評価した土地価格を用いる方法で概算できます。自用地の評価額は、計算時に土地の更地価格とするケースが一般的です。
ただし、これはあくまで税務評価を基礎とした目安であり、実際の買取価格は立地条件、残存期間、地主との関係性などを加味して個別に判断されます。
一方で定期借地権の算出には複雑な計算が求められるため、専門家へ計算を依頼するケースも珍しくありません。一時使用目的の借地権は、主に雑種地の自用地としての価格を基に計算します。
借地権の詳細や相続税評価額を基にした価格計算については、以下の記事で詳しく解説しています。
底地とは「借地権が設定された地主の土地」
底地とは、普通借地権や定期借地権などの借地権が設定された土地です。地主は土地を貸し出す代わりに、借地人から地代収入を得られるメリットがあります。
ただし、借地権が存続している間は、土地を自ら自由に使用・処分することはできず、地主自身は実質的にほとんど底地を活用できません。
特に普通借地権が設定されている場合、正当な事由がなければ更新を拒否できないため、長期間にわたり土地が返還されないケースも珍しくありません。
そのため、自分が土地を自由に使いたいときは底地にするのは避けるべきでしょう。
一方、定期借地権であれば契約満了時に返還される前提ですが、その時期までは同様に利用制限を受けます。
底地のおおまかな売却価格の相場は、借地権とは「借りた土地に建物を立てる借主側の権利」でも解説した自用地評価額と借地権割合を使って計算できます。
一般的には、更地価格の10〜30%程度であり、借地人に売却する場合は50%ほどが目安となります。
詳細な計算方法については、以下の記事をご覧ください。
借地権と底地の同時売却の売主・買主側のメリット
借地権と底地の同時売却は、売主と買主側のそれぞれに以下のようなメリットがあります。
- 売主側は単独売却より価格・需要が高い状態で売れる
- 買主側は通常の不動産と同じく自由に活用できる
単独で売却する場合に生じやすい価格面や需要面の制約を回避できる点が、同時売却の大きな特徴といえます。
ここでは、売主側・買主側それぞれの立場から見たメリットをみていきましょう。
売主側は単独売却より価格・需要が高い状態で売れる
借地権と底地を同時売却すると、それぞれを単独売却するよりも、価格・需要を高い状態で買い取ってもらいやすくなります。
借地権・底地の単独での売却相場は、「200㎡の土地で権利が半分だから、売却価格は半分の100㎡分になる」といった単純な按分では決まりません。
加えて、借地権・底地の売却相場は、一般の人に売る場合だと更地価格の約10~50%まで低下します。
なぜなら単独所有だと権利関係に大きな制限がかかり、同じ面積の土地を購入するよりも活用幅が圧倒的に狭くなるからです。
また、借地人と地主の間で何かトラブルがあると、協議や訴訟問題が発生する可能性もあります。
ほかにも更新代、承諾料、地代関係など通常の土地にはないリスクが想定されることから、借地権・底地の単独所有は一般の人からの需要が低くなり、売却相場も安くなります。
一方、借地権と底地の同時売却なら、購入者は完全所有権の不動産を取得することになり、通常の土地を売却するのとほぼ変わりません。そのため、一般の人からの需要も高くなります。
また、売却金額も、通常の更地価格や建物の価格で設定が可能です。
結果として、買手も見つかりやすくなり、売却できるまでの時間も短縮しやすくなる点が、売主側にとってのメリットです。
買主側は通常の不動産と同じく自由に活用できる
買主側の最大のメリットは、取得後の不動産を通常の土地・建物と同じ前提で活用できる点にあります。
借地権と底地が同時に移転することで、土地賃貸借契約における権利義務が実質的に消滅し、購入者の完全所有の土地になるからです。
たとえば借地権の単独所有だと、売却、借主の名義変更、増改築などを行うのに地主の承諾と承諾料の支払いが必要です。
仮に条件面で折り合いがつかなければ、想定していた活用ができなくなるリスクもあります
これに対し、同時売却の土地を購入して完全所有権を得られれば、購入者も通常の土地を買ったのと同じように活用できます。
承諾を得る手間や許可されないリスク、承諾料といったコストが生じることもなく、購入後の活用計画が立てやすくなり、資産としての価値も高まります。
借地権・底地の同時売却時の注意点
借地権・底地の同時売却は、権利関係を整理できる有効な方法である一方、借地人と地主の双方が合意しなければ成立しません。
どちらか一方の意向だけで進められる取引ではなく、同時売却だからこその話し合いや手続きが必要です。借地権・底地の同時売却時の注意点は次の通りです。
- 普段からの借地人と地主としての関係性を把握しておく
- 特約として「不可分一体の契約」を取り決めておく
- 価格割合や売却益の取り分を話し合っておく
- 普段からの借地人と地主としての関係性を把握しておく
- 話し合いで解決できない場合は不動産業者や弁護士に相談する
それぞれの詳細を解説します。
普段からの借地人と地主としての関係性を把握しておく
同時売却は、借地人または地主のいずれかが相手に提案する形で始まるのが一般的です。
しかし、「土地や建物を売るからあなたも一緒に売ってください」といきなり主張しても、言われた相手を困らせるだけです。
同時売却は、地主と借地人がどれだけ冷静に話し合い、納得を得たうえで合意に至るかが重要です。日々のコミュニケーションを疎かにせず、地主と借地人がお互いに良好な関係を築いていれば、同時売却について相手も真剣に考えてくれるでしょう。
無理にでも同時売却の話を進めようとすると、感情的な対立に発展しやすくなります。もし相手が親族といった自分と深い関係者だと、修正不可能なレベルでの関係悪化は、その後の生活や相続にも影響が及ぶ可能性があるでしょう。
そのため、同時売却の相談を持ちかけるタイミングには注意が必要です。
たとえば契約の更新時期や相続が発生するといった、今後土地をどうするのか検討するタイミングが選択肢の1つです。
同時売却のタイミングについては、記事内「同時売却を提案するべきタイミングはいつ?具体的な事例も解説」にて具体的に解説しています。
特約として「不可分一体の契約」を取り決めておく
同時売却契約を結ぶときの契約書には、特約として「不可分一体の契約」の取り決めをしておきましょう。
不可分一体の契約とは、地主と借地人がそれぞれ所有する売買契約書につながりを持たせて、売主たちが連帯債務を負わせる取り決めです。一方の契約が成立しない場合には、もう一方も効力を失うと定めるものです。
もし地主または借地人が契約を破棄した場合、一方の契約は有効で残りは無効という中途半端な契約がされてしまいます。その場合、買主は完全所有地として契約を結んだにもかかわらず、底地か借地のどちらか一方しか取得できません
上記のようなトラブルを防ぐためにも、一方の契約が破棄された場合、もう一方の契約も破棄となるように不可分一体の契約をする必要があります。不可分一体の契約にしておけば、借地人と購入者、地主と購入者といった別々の売買契約を締結しても、実質的には一体の契約として扱えます。
【不可分一体の契約の例文】
本契約は、〇〇(借地人名)と〇〇(地主名)との間において、令和◯年◯月◯日付売買契約と不可分一体の契約とし、一方の契約が不成立となった場合には本契約も失効するものとする。
価格割合や売却益の取り分を話し合っておく
同時売却で1番トラブルになりやすいのは、借地権と土地を売って発生した売却益の取り分です。
たとえば自分の土地を売った地主は、同時売却で得た利益を多くもらいたいと考えるでしょう。しかし、借地人も借地権割合を引き合いに出して、「割合に従って60~70%程度はもらいたい」と主張するケースがあります。
ここで注意すべきなのは、いくら路線価図や評価倍率表の借地権割合を基に出しても、不動産売買にてその借地割合通りに売却益を分ける義務はない点です。
同時売却における売却益の取り分は借地権割合を参考にすることも多いですが、最終的には地主と借地人の話し合いで決めます。
しかし、ここに建物の解体費用などの別の費用や権利が絡むと、さらに売却益の按分が難しくなり、地主と借地人の意見が衝突する可能性があります。
そのため、地主と借地人は日々お互いにコミュニケーションを取り合って、冷静に話し合いができる関係を築いておくことが大切です。
話し合いで解決できない場合は不動産業者や弁護士に相談する
「売却益の取り分がなかなか決まらない」「不可分一体の契約の内容がまとまらない」といったトラブルが発生した場合、無理に話し合いを続けるとかえって対立が深まることがあります。
そのようなときは、不動産業者や弁護士といった第三者の意見を取り入れることで複雑化するのを防ぎやすくなります。
たとえば売却益の取り分や契約内容については、個人同士で話し合うよりも、不動産業者や弁護士に仲介してもらうとトラブルが起こりにくくなります。
なぜなら、専門性のある第三者によって取引条件や価格の妥当性を客観的に示すことができるからです。
不動産業者や弁護士を通して話し合ったほうが相手も納得しやすいため、まずは専門家の無料相談を受けてみることがおすすめです。
同時売却を提案するべきタイミングはいつ?具体的な事例も解説
同時売却を成立させるには、借地人と地主が同じタイミングで借地権・底地を売却したいと判断する必要があります。
なぜなら、どちらか一方に売却意向があっても、双方の合意がなければ同時売却は成立しないからです。
そのため、地主から提案するときは借地人が売却したいと思うタイミング、借地人から提案するときは地主が売却したいと思うタイミングを狙うのが効果的です。
たとえば、借地人・地主が同時売却したいと考えることが多いタイミングの例は次の通りです。
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売却したいタイミングの例 |
| 借地人 |
・地代金額について地主とのすり合わせが終わらない
・もっと自由に建物の売却、建て替え、増改築をしたいと感じている
・借地権付きの建物を相続したが、相続税が高額で困る、建物の必要性を感じていないなど |
| 地主 |
・地代金額が想定よりも低く収入が見込めない
・底地以外の不動産の増改築・整備などに必要な費用が必要になった
・相続税対策や相続トラブルの回避で早めに清算しておきたい |
さらに以下では、同時売却のタイミングでよくある3つの具体的なケースを解説します。
- 借地人が借地権を第三者に譲渡したい場合
- 借地権の買取を地主に断られた場合
- 地主もしくは借地人に相続が発生した場合
1.借地人が借地権を第三者に譲渡したい場合
現借地人が第三者への借地権売却を検討する際、地主が別の借地人が変わることで不安を感じ、地主が同時売却を提案するケースがあります。
借地契約は数十年単位の長期契約が前提となるため、人間関係は契約を判断するうえでの重要事項です。このまま知らない誰かが自分の土地を借りるとなると、承諾についての話し合いやそのほかのやり取りでのトラブルが想定されます。見知った者同士ならスムーズにすり合わせできた部分が、一気にこじれてしまうかもしれません。
地主としては知らない誰かに土地を貸す状態になるなら、金銭的・精神的なメリットを考慮して同時売却を選択肢として提示するケースがあるでしょう。
借地人にとっても、譲渡先探しや承諾交渉を行うより、同時売却によって一括で処分できる方が負担が軽くなる場合があります。
2.借地権の買取を地主に断られた場合
借地人が自分の借地権を地主に売ろうとした際、借地人と地主の両者の主張がぶつかってしまうケースがあります。
借地人が借地権を処分する際、まず地主に買取を打診するのは自然な流れです。地主が買い取れば、権利関係が整理され、第三者を介さずに済むためです。また、借地権を単独売却する場合、地主へ売るほうが高額になりやすいメリットがあります。
ただし、地主が必ずしも借地権を取得できる資金を用意できるとは限りません。実際に、価格条件や資金面の問題から、地主が買取を断念するケースも珍しくありません。
このように借地権の単独売却が進まない場合、同時売却という形で第三者にまとめて売却することで、双方が納得できる条件を見出せることがあります。
同時売却であれば、借地権と底地が一体となることで取引全体の評価が高まり、借地人・地主それぞれが単独で売却する場合よりも現実的な金額で合意できる可能性があります。
3.地主もしくは借地人に相続が発生した場合
土地の相続が発生したときの一番の懸念点は、借地契約や所有権などの権利関係が変わり、以前より複雑になるケースです。
1つの不動産を複数人が相続する場合、相続不動産は「共有不動産」となり、1つの不動産に対して複数人が所有権を有します。
そして借地権・底地はどちらも共有名義にできるため、相続が発生すると借地権・底地も相続割合に応じ、「借地人が3人」「地主が2人」などややこしい事態になる可能性があります。
所有者が複数人になると、権利関係や承諾関係もさらに複雑化してしまうでしょう。共有者が増えるほど意思決定に時間がかかり、将来的な売却や整理が難しくなる傾向があります。
ましてや親族以外の第三者も共有者として交えた場合はトラブルも起こりやすくなることに加え、多数の共有者がいることで今後の土地の扱いにさまざまな支障が出ます。
こうした状況を見据え、相続をきっかけに権利関係をこれ以上複雑にしないための選択肢として、同時売却を検討するケースは実務上少なくありません。
同時売却で現金化してしまう方が地主、借地人の両者にとってよい結果となる可能性も高くなります。
借地権と底地を単独売却をしたほうがよいケース
借地権と底地の同時売却にはメリットが多い反面、借地人・地主の関係性やタイミングによっては売却がうまくいかないデメリットも存在します。
借地人と地主の意向や時間的な制約によっては、同時売却がかえって負担となることもあり、場合によっては、借地権・底地を単独売却したほうがよいこともあります。
借地権と底地を単独売却をしたほうがよいケースは次の通りです。
- 売却までに時間をかけずにすぐ現金化したい
- 借地人と地主のどちらかが土地を手放したくない
それぞれの詳細を見ていきましょう。
売却までに時間をかけずにすぐ現金化したい
同時売却のデメリットは、売却までに時間がかかることです。
というのも、同時売却のためには、地主もしくは借地人への交渉と承諾、取り分の割合決めなど、さまざまなことを話し合う時間が必要なためです。
これに対し、単独売却であれば、もう一方の権利者の売却意思までは必要とせず、自身の権利の範囲で手続きを進められます。
そのため、単独売却は同時売却ほど意見を合わせる必要がなく、時間をかけずに現金化できる可能性が上がります。
とくに底地の売却は借地人の承諾が不要であるため、借地権よりもすぐに単独売却が可能です。とにかくすぐに売りたいときは、底地を直接買い取ってくれる買取業者を利用すれば、1か月もかからずに売却できる可能性もあります。
買取業者については、記事内「借地権と底地を同時売却・単独売却するなら専門の買取業者へ依頼しよう!」にて解説しています。
借地人と地主のどちらかが土地を手放したくない
借地人と地主のどちらかが土地を手放したくないと考えている場合、原則として同時売却は成立しません。
無理に売却を片方に持ちかけるのは、人間関係の悪化や訴訟問題に発展するリスクも存在します。売却の意思があるけど条件がまとまらない、メリットを伝えれば検討してくれそうといった、ある程度可能性が見えるときには慎重に協議を進めるのがよいでしょう。
もし借地人・地主の意見が合わず、それでも借地権・底地を手放したいときは、第三者またはもう片方の権利者(借地権なら地主、底地なら借地権者)への売却を検討してみてください。
売る意思が存在せず話がまとまらないときは第三者へ単独売却
片方の土地の権利者に売る意思がまったく存在せず、話し合いも難しいときは第三者への単独売却になります。第三者とは、主に「不動産会社の仲介を利用してマッチングした買手」と「不動産の買取業者」の2つです。それぞれの特徴は次の通りです。
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不動産会社の仲介 |
不動産会社の買取 |
| 仕組み |
不動産会社が売手と買手を仲介するシステム
仲介手数料が発生する |
買取業者が直接買い取るシステム
仲介手数料は発生しない |
| メリット |
買取業者への売却より高額で売れる可能性がある |
借地権や底地でもすぐに買い取ってくれる |
| デメリット |
買手を見つけるのに時間がかかる
借地権や底地だけだと取り扱いを拒否されることがある |
売却価格が仲介よりも低めになる
悪質な業者に売却するとトラブルに発展するリスクがある |
仲介の場合、条件が合えば買取より高値で売却できる可能性がありますが、買い手が見つかるまでに時間がかかることや、借地権・底地といった権利関係のある不動産を取り扱わない会社もある点に注意が必要です。
一方、買取業者であれば、借地権や底地といった権利不動産でもスピーディーに対応してもらえる反面、価格は仲介と比べて抑えられる傾向があります。
いずれの方法を選ぶにしても、取引実績や専門性を見極めたうえで依頼先を選定することが重要です。
仲介と買取の違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。
借地人・地主に単独販売できないかも検討してみる
もし借地人や地主が借地権・底地を買い取ってくれそうなら、そちらへ単独販売することをおすすめします。借地人や地主が買い取れば買取した側が完全所有者となるため、第三者へ売却するよりも高額で売却しやすくなります。
ただし、価格や支払条件で折り合わないケースも多いため、あくまで選択肢の一つとして、冷静に判断する必要があります
借地権と底地を同時売却する流れ
借地権と底地の同時売却は、通常の不動産売却と比べて関係者が多く、確認すべき事項も増えます。そのため、全体の流れを把握したうえで、どの段階で何を整理すべきかを理解しておくことが重要です。
底地や借地権を同時売却する流れは以下のとおりです。
- 借地人・地主への意思確認と合意
- 不動産業者に売却について依頼
- 売買契約の締結と借地権契約の終了
ただし、契約や物件によって手順が異なる場合もあります。
それぞれの流れを順番にみていきましょう
1.借地人・地主への意思確認と合意
同時売却を進める際は、まず借地人や地主に同時売却についての意思を確認しましょう。同時売却を提案するべきタイミングはいつ?具体的な事例も解説で解説した通り、地主と借地人との間で合意がなければ同時売却は不可能です。
借地人・地主と交渉になったときは、同時売却のメリットや売却後の計画などをしっかりと伝えることが大切です。
この段階では、正式な条件を確定させる必要はありませんが、双方が納得している状態をつくることがポイントです。
2.不動産業者に売却について依頼
お互いの意思が確認できたら、不動産仲介業者または買取業者に同時売却について相談しましょう。
借地権や底地は権利関係が複雑なため、同時売却の実績がある業者に依頼することが重要です。
不動産の専門家の査定やアドバイスを受け、同時売却をおこなうための準備を進めます。
仲介業者なら、買手が見つかるまで不動産会社を交えての販売活動が行われます。買取業者なら、業者が直接買主となるため、条件が合えば比較的短期間で売買契約まで進むことが可能です。
仲介の場合だと買主による値下げ交渉をされることもあり、必ずしも希望の金額で売れるとは限りません。そのため、地主と借地人は合意できる金額の幅をあらかじめ話し合っておくとよいでしょう。
仮に個人間だけで売買契約を進めてしまうと、法律・税制・契約内容面で不備が出てトラブルに発展するリスクがあります。不動産の専門家へ売却について相談すれば、現在の状況の分析、借地権・底地の適正な査定額、売却益・解体費用・測量費用などの按分について助言を受けることが可能です。
業者を介さず個人間での売買になるときは、不動産に強い弁護士へ契約内容のリーガルチェックを受けることをおすすめします。
3.売買契約の締結と借地権契約の終了
実際に売買の合意に至った場合、地主・借地人・買主の三者による売買契約を締結します。
このとき、不可分一体の契約として扱うケースが一般的です。不可分一体の契約については、記事内「特約として「不可分一体の契約」を取り決めておく」で解説しています。
その後、土地建物の所有権を買主に移転させて取引が終了します。同時に地主と借地人との賃借地契約も終了です。
この際に当事者双方が契約終了に合意した事実の証明となる覚書を取り交わしましょう。取引に関する後々のトラブル防止につながります。
売却後に入金されたら、借地人と地主の間であらかじめ決めていた売却益や費用の按分にしたがい、金銭の決済をおこないます。また、所有権移転に関する登記で協力するところがあれば、売主(登記権利者)と買主(登記義務者)として登記の対応を進めてください。
登記手続きは、必要に応じて司法書士など専門家のサポートを受けると安心です。
借地権と底地を単独売却するなら専門の買取業者へ依頼しよう!
借地権や底地を単独で売却する場合、一般的な不動産取引とは前提条件が大きく異なります。
権利関係が分かれている不動産は、利用や処分に制限があるため、通常の仲介市場では買い手が限定されやすく、売却価格が抑えられやすいのが実情です。
借地権・底地の単独売却を検討するなら、借地権・底地の買取実績がある、訳あり物件専門の買取業者への依頼がおすすめです。訳あり物件専門の買取業者なら培ってきたノウハウや実績をもとに、借地権・底地の単独売却でも適正に査定して高額買取してくれます。
また、買取業者であれば、買い手探しや長期の販売活動を前提とせず、条件が合えば短期間での現金化が可能です。
売却までのスピードを重視したい場合や、借地人・地主との調整に時間をかけられない場合には、とくに有効な選択肢といえるでしょう。
ただし、業者ごとに得意分野や査定方針は異なるため、複数社に相談し、説明内容や根拠を比較したうえで依頼先を判断することが重要です。
まとめ
底地と借地権の同時売却は、権利関係を一本化できるため、単独売却よりも売却価格が高くなり、土地としての需要もあるので売れやすいのがメリットです。
ただし、同時売却には地主と借地人双方の合意が必要になるため、借地人または地主が売りたくても、一方が反対すれば同時売却はできません。
また、同時売却の合意後であっても、価格割合や売却益の取り分などで揉めることが多いため、事前の話し合いが重要です。そのためにも、同時売却の可能性も視野に入れ、日頃から良好な関係を築いておきましょう。
自力での交渉が困難な場合、不動産業者や弁護士に任せることもできるため、まずは無料相談を用いて、同時売却したい旨を話してみることがおすすめです。
不動産業者や弁護士といった第三者を介することで、話し合いを客観的に進めやすくなるメリットもあります。
同時売却が難しく単独売却を検討する場合や、早期の現金化を優先したい場合には、訳あり物件専門の買取業者に相談してみましょう。
底地の同時売却に関するよくある質問
同時売却にかかる費用はどれくらい?
同時売却をするときには、建物の解体費用や登記費用、売却益にかかる税金などの支出が発生します。合計で数百万円の支出になるため、事前におおまかな金額を計算し、借地人・地主でどれくらい按分するかを決めておきましょう。
- 売却益にかかる譲渡所得:売却益×譲渡所得税率(長期15.315%、短期30.63%)
- 印紙税:売買代金に応じて数千円~数万円
- 抵当権抹消費用:司法書士などへ依頼する時は1件1万~5万円程度
- 解体費用:100万~300万円
- 測量費用:10万~100万円
- 仲介手数料:売買価格×3~5%+消費税
単独売却だと借地権・底地の相場はどれくらい下がる?
借地権・底地の単独売却だと、第三者へ売却するときは更地価格の10~15%、もう片方の権利者へ売却するときは約50%が相場です。ただしあくまで相場であるため、実際には買手のニーズや物件の状態によって前後します。