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借地権は売却できる!主な3つの売却先や流れ、売却相場や費用まで徹底解説

借地権は売却できる!主な3つの売却先や流れ、売却相場や費用まで徹底解説

借地権とは、建物を所有する目的で、地主から土地を借りて利用する権利を指します。借地借家法などによって一定の保護を受ける権利であり、契約内容に応じて第三者へ売却できる場合もあります。

「土地を所有していないのに売却できるのか」「地主の承諾が必要なのではないか」といった疑問から、借地権の売却に不安を感じる方は少なくありません。実際に弊社へのご相談でも、相続をきっかけに借地権を取得したものの、権利関係や地主対応が分からず、売却方法を調べ始めるケースが多く見受けられます。
長年住み慣れた土地を手放す事情は人それぞれですが、権利関係が複雑な不動産だからこそ、どう進めるべきか悩んでしまうのは当然のことです。

結論から申し上げますと、借地権は法律で保護された財産権であり、適切な手続きを踏めば売却して現金化することが十分に可能です。

ただし、借地権の種類によって買主側のメリットやリスクが変わるため、売却の難易度は大きく異なります。

借地権の種類 売却の難易度 概要
旧借地権 比較的売却しやすい。 1992年8月より前の「旧法」に基づく借地権。借主の更新が強く保護されている。
普通借地権 比較的売却しやすい。 現行法に基づく借地権。契約満了後も更新が可能だが更新料の負担等がある。
定期借地権 契約残存期間や条件によっては買主が限定されやすく、一般的な借地権と比べると売却のハードルが高い傾向がある。 現行法に基づく。契約の更新がなく、期間満了で必ず更地にして返還する必要がある。

また、借地権を誰に売るか(売却先)については、大きく分けて3つの選択肢があります。

売却方法 メリット 注意点
地主に売却する 承諾料が不要。地主にとっては土地の権利関係を整理できるメリットがあるため、条件次第では第三者売却より話がまとまりやすいケースがある。 地主に買い取るための資金と土地活用の目的がなければ成立しない。
専門の買取業者に売却する 地主との調整を含めた売却手続きを進めるケースもあり、条件が整えば比較的早期に売却できる場合がある。 買取後の再販リスク等を加味するため、売却価格はやや低くなる傾向がある。
地主と協力して同時売却する 借地権と底地権をあわせて第三者へ売却できれば、完全な所有権として流通させやすくなるため、結果として売却価格が高くなるケースがある。 売却代金の分配割合などをめぐり、地主と意見が対立するリスクがある。

本記事では、実際の相談事例や実務上の傾向も踏まえながら、借地権の売却方法や相場の考え方、売却時の流れや注意点について分かりやすく解説します。
なお、個別の契約内容や法的判断によって対応が異なる場合もあるため、必要に応じて弁護士・司法書士・税理士などの専門家へ相談することも重要です。

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借地権は売却可能!ただし種類によって難易度が大きく変わる

前述の通り、借地権は売却できる可能性がありますが、借地契約の種類や残存期間、地主との契約条件などによって売却のしやすさは大きく異なります。

実際に借地権の売却相談では、「借地権だから売れない」というよりも、「どのような条件で売却できるのか分からない」というケースが多く見られます。そのため、まずは自身の借地権がどの種類に該当するのかを確認することが重要です。主に以下の3つの種類に分類されます。

  • 旧借地権:借主保護の性質が最も強い
  • 普通借地権:更新可能で安定している
  • 定期借地権:期間満了で必ず土地を返還しなければならない

それぞれの借地権の特徴と、なぜ売却難易度が変わるのかについて、以下で詳しく説明していきます。

旧借地権:借主保護が強く、市場でも比較的売却しやすい

旧借地権とは、1992年(平成4年)8月1日に新法(借地借家法)が施行される以前の「旧借地法」に基づいて設定された借地権です。

旧借地法は非常に借主保護の性質が強く、借地人が更新を希望し、かつ建物が存在する限り、借地人による更新が認められるケースが多く、実務上は長期間にわたって利用が継続されることも少なくありません。

買主から見ても利用継続の見通しを立てやすいため、借地権の中では比較的需要が見込まれやすい傾向があります。

ただし、旧借地権には注意したい点もあります。特に木造住宅などの場合、建物の老朽化が進み、建物としての機能を失うほど傷んでしまうと、「朽廃(きゅうはい)」と判断されることがあります。
旧借地法が適用される借地権では、建物が朽廃した場合、契約期間が残っていても借地権が消滅する可能性があります。そのため、長期間空き家のまま放置している借地では注意が必要です。
実際に、誰も住まなくなった建物の管理が行われず老朽化が進み、結果として借地権を維持できなくなったケースもあります。相続した借地権付きの空き家などは放置せず、早めに活用や売却を検討することが大切です。

普通借地権:更新可能で安定しているが、定期的な更新料などの負担に注意

普通借地権は、新法(借地借家法)に基づいて設定された、更新可能な借地権です。旧借地権と同様に地主の正当事由がない限り更新されるため、安定した取引が見込めます。

ただし、最初の契約期間が「30年」、1回目の更新が「20年」、2回目以降が「10年」と法律で定められており、更新のたびに地主へ更新料を支払う慣習がある地域も多いため、買主にとってはランニングコストがネックになる場合があります。普通借地権は比較的流通実績があるため、仲介による売却を検討できるケースも少なくありません。

一方で、早期売却を希望する場合や地主との調整が必要な場合には、借地権を取り扱う買取業者が選択肢となることもあります。

定期借地権:契約満了で更地返還が必要なため、単独での売却は極めて困難

定期借地権は、定められた契約期間(一般的には50年以上)が満了すると、更新されることなく必ず契約が終了する借地権です。契約終了時には、借地人が自費で建物を解体し、更地にして地主に返還する義務(借地借家法第22条)があります。

契約期間が終了すると土地を返還する必要があり、契約内容によっては建物解体費用などの負担が生じる場合があります。そのため、買主は残存期間や将来負担を重視する傾向があり、普通借地権や旧借地権と比べると需要が限定されるケースがあります。

実務上、定期借地権は残存期間や契約条件によって買主が限定されやすく、一般的な借地権と比較すると売却に時間を要することがあります。特に契約満了までの期間が短い場合は、仲介・買取を問わず査定額に影響することがあります。一方で、残存期間が十分に残っているケースでは売却が成立する事例もあるため、個別の契約内容を確認することが重要です。

実際に弊社へのご相談でも、定期借地権は「売れない」のではなく、「どの程度の価格であれば市場で需要が見込めるか」が論点になるケースが多い印象です。

借地権の売却可能性を判断する際は、「借地権の種類」だけでなく、「地代の金額」「契約残存期間」「地主の承諾条件」「建物の状態」なども重要な要素になります。

実際の査定では、同じ普通借地権であっても、地代負担が重いケースや建物の老朽化が進んでいるケースでは評価が変わることがあります。そのため、借地権の種類だけで売却の可否や価格を判断するのではなく、契約書を確認したうえで個別に検討することが大切です。

借地権の主な3つの売却方法

借地権の売却先は、大きく分けて以下の3つの方法に絞られます。

  • 方法1:地主に売却する(買い戻してもらう)
  • 方法2:第三者(専門の買取業者など)に売却する
  • 方法3:地主と協力して「借地権と底地をセット(同時売却)」で売却する

借地権の売却方法に一律の正解はなく、地主との関係性や借地契約の内容、売却を急ぐかどうかなどによって適した方法は異なります。

実際の相談現場でも、地主との協議が進めやすいケースでは地主への売却や同時売却が選ばれる一方、早期売却を希望する場合には買取を検討するなど、状況に応じて選択されています。それぞれの方法の実務上のメリットや注意点について、以下で詳しく説明していきます。

方法1:地主に売却する(買い戻してもらう)

借地権を地主に売却する

土地のもともとの所有者である地主に、借地権を買い取ってもらう方法です。

メリット:承諾料が不要。地主の意向と合致すれば高値が期待できる

第三者に売却する際に発生する「譲渡承諾料(借地権価格の10%程度)」を支払う必要がないのが最大のメリットです。また、地主側が「将来的に親族を住ませたい」「完全な所有権にして土地ごと売却したい」といった明確な目的を持っている場合、交渉もスムーズに進みやすく、地主にとって借地権を取得するメリットが大きい場合には、市場での一般的な取引価格に近い条件で合意に至るケースもあります。

注意点:地主側に「買い取る資金」と「土地活用の目的」がなければ成立しない

理論上は最も自然な取引に見えますが、地主への売却は有力な選択肢の一つですが、地主側の資金状況や今後の土地活用方針によっては売買に至らないケースもあります。なぜなら、地主にとって借地権を買い戻すことは「これまで入ってきていた地代収入が途絶える」うえに「多額の買取資金の持ち出し」になるからです。資金的余裕や明確な活用プランがなければ、条件によっては具体的な売買交渉まで進まない場合もあります。

方法2:第三者(専門の買取業者など)に売却する

借地権を第三者に売却する

地主以外の第三者に売却する方法です。法律上、借地権は地主の承諾さえ得られれば誰にでも売却可能です。ただし、一般の不動産と比べて権利関係が複雑なため、仲介による売却だけでなく、借地権を取り扱う買取業者への売却が選択されるケースもあります。

一般の個人への売却が「一般的な所有権不動産と比較するとハードルが高い」理由

現実問題、一般の個人に借地権を売却するのは極めてハードルが高いといわざるを得ません。
理由は以下の通りです。

  • 買主が住宅ローンを組む際、金融機関から「地主の抵当権設定承諾書」を求められるが、条件調整に時間を要するケースがあるため。
  • 建替え承諾料や更新料など、買主によっては、地代負担や地主との関係性を考慮して慎重に判断することがあるため。

借地権付きの不動産を個人が購入する場合、住宅ローンを利用するために金融機関から地主の「抵当権設定承諾書」の提出を求められることがあります。
しかし、地主の中には承諾に慎重な方も少なくありません。実務上、地主は、「万が一買主がローンを滞納して競売にかけられたら、見ず知らずの他人が借地人になってしまう」というリスクを恐れてこの承諾を拒否するケースも少なくありません。
そのため、地主が承諾書への署名・押印を拒否し、買主が住宅ローンを利用できないケースもあります。結果として、借地権付き不動産は一般的な所有権の不動産と比べて購入希望者が限られやすくなるのが実状です。

専門の買取業者へ売却するメリット:条件がまとまれば比較的短期間で売却できる場合がある

借地権の取り扱いに長けた専門業者であれば、ローンを利用せず自社の資金で買い取るため、売却がスピーディーに行われる可能性があります。また、最も難関となる「地主との譲渡承諾や建替え承諾の交渉」も業者が調整や手続きのサポートを行うところもあります。売却手続きの進行管理を任せられるため、手続き上の負担軽減につながる場合があります。

専門の買取業者へ売却する注意点:買取価格はどうしても更地相場より低くなる傾向がある

業者は買い取った後、地主と底地の交渉を行ったり、建物を解体して再販したりして利益を出します。事業としてのリスク負担や経費が差し引かれるため、地主への売却や同時売却に比べると、買取価格は低くなる場合があります。

方法3:地主と協力して「借地権と底地をセット(同時売却)」で売却する

地主と協力して同時売却する

借地人の「借地権」と、地主の「底地」をあわせ、一つの完全な「所有権の不動産」として第三者に売却する方法です。

同時売却のメリット:完全な「所有権」として売れるため、最も高値がつきやすい

一般の買主から見れば、制約のない通常の不動産を購入するのと同じになります。そのため、住宅ローンも問題なく利用でき、市場の適正価格で売却できるため、結果として借地人・地主の条件が整えば、借地人・地主双方にとって有利な結果となる可能性があります。

同時売却の注意点:売却代金の分配(割合)で地主と意見が対立するリスクがある

売却で得た代金を、借地人と地主でどう分けるかの協議が必要です。基本的には「借地権割合」を参考に按分しますが、「過去の地代が安かったのだから地主の取り分を増やすべきだ」「建物の解体費はどちらが持つのか」など、細かな条件で意見がぶつかり、配分トラブルに発展するケースがあります。たとえ関係が良好であっても当事者だけで進めず、不動産会社や必要に応じて弁護士・税理士などの専門家へ相談しながら進めることも検討しましょう。

※補足:地主と土地の一部を等価交換して売却する方法(実務上はハードル高め)

借地権における等価交換とは、借地権と底地の一部を交換し合い、双方が「完全な所有権の土地」を分割して取得する手法です。
理論上は双方にメリットがある仕組みですが、実務上は「借地権と底地の評価方法について当事者間で認識の違いが生じることがある」「分割後の土地が狭くなりすぎて建蔽率等の問題で建築計画に制約が生じる場合がある」といった物理的・感情的な壁があり、成立するケースは限定的です。

借地権のリアルな売却相場と価格が決まるカラクリ

借地権を売却する際、気になるのはやはり売却相場でしょう。借地権の売却価格を把握するためには、以下の3つのポイントを押さえておく必要があります。

  • 【売却先別】実際の売却相場の目安
  • 「路線価の借地権割合」で計算した価格ではまず売れない理由
  • プロによる査定では「所有権との価格差」と「諸費用の引き算」で決まる

インターネット上では借地権価格の目安が紹介されることもありますが、実際の売却価格は借地契約の内容や地主との関係性、建物の状態などによって大きく変動します。

実際の相談現場でも、「ネットで見た相場と査定額が違う」というケースは少なくありません。そのため、相場はあくまで参考情報として捉え、個別に査定を受けることが重要です。以下で詳しく説明していきます。

【売却先別】実際の売却相場の目安

借地権の相場は売却先によって大きく変動します。あくまで目安ですが、更地価格(完全な所有権としての土地の価格)を基準とした場合の実勢価格は以下の通りです。

売却先 売却相場(更地価格に対する割合)
地主 更地価格の50~70%程度
専門の買取業者 更地価格の50%程度(諸条件により下振れあり)
同時売却(セット売却) 更地価格の100%(そこから借地権割合等で地主と分配)

借地権の価格は個別性が強く、一律の相場を示すことは困難です。ただし実務上は、更地価格に対して数割程度の価格差が生じるケースも多く見られます。

要注意!「路線価の借地権割合」で計算した価格ではまず売れない理由

インターネット上の記事では「借地権の相場は路線価の借地権割合(60〜70%)で計算する」と書かれていることが多いですが、これは相続税や贈与税を計算するための「税務上の評価額」を求めるための指標であって、実際の売買価格と一致するとは限りません

実務上、地主や買取業者に対して「借地権割合が70%の地域だから、更地価格の70%で買ってくれ」と要求しても、実際の査定価格との差が大きく、価格交渉がまとまらないケースもあります。借地権割合に基づく価格は、あくまでも参考値として認識しておきましょう。

借地権割合は価格検討の参考資料の一つですが、実際の売却価格を判断する際には、契約条件や市場性もあわせて検討する必要があります。

プロによる売却査定では「所有権との価格差」と「諸費用の引き算」で決まる

実際に買主(プロの業者など)が借地権の査定を行う際は、借地権特有の将来的な地代負担や契約上の制約などを考慮しながら査定されることが一般的です。所有権の価格からマイナスしていく手法を取ります。

<実質的な借地権価格の計算イメージ>
実際の借地権買取価格 = 土地の所有権価格 - 将来支払い続ける地代の総額(残存期間分) - 譲渡承諾料や建替え承諾料 - 更新料のリスク分 - 地主との交渉難航リスクに対するディスカウント

所有権と違い、借地権には「自由に処分・建替えができない」「毎月の地代がかかる」という明確な足かせがあります。借地権には地代負担や契約上の制約があるため、買主はそれらを考慮したうえで購入判断を行います。
そのため、借地権の価格は所有権不動産と同じ基準で評価されるわけではなく、契約内容や将来負担を踏まえて個別に査定されるのが一般的です。

失敗しないための借地権売却の流れ

借地権の売却手続きは、誰に売るかによって交渉相手や手順が大きく異なります。特に借地権は地主との関係が関わるため、一般的な所有権不動産の売却と比べて確認事項が多くなる傾向があります。ここでは、以下の3つのケースごとの売却の流れを整理します。

  • 地主に売却する場合の流れと交渉のポイント
  • 第三者(買取業者)に売却する場合の流れと交渉のポイント
  • 地主と協力して「同時売却」する場合の流れと交渉のポイント

それぞれのケースにおいて、どの段階でどんな交渉が必要になり、何に気を付けるべきかについて、以下で詳しく説明していきます。

地主に売却する場合の流れと交渉のポイント

1. 不動産会社を通じた地主への意向確認

たとえ地主と良好な関係であっても、借地人が直接「買ってくれないか」と持ち掛けるのは危険です。売買においては「高く売りたい借地人」と「安く買いたい地主」で利益が相反するため、感情的なしこりを残す原因になります。必ず専門の不動産会社を間に立て、まずは「買い戻す意思があるか」のヒアリングから慎重にスタートさせます。

2. 売却条件のすり合わせ(価格・建物の解体有無など)

買い戻しの意思が確認できたら、価格だけでなく「建物を解体して更地で渡すのか(原状回復)、そのまま現況渡しで良いのか」を明確にします。更地渡しの場合、解体費用(数百万円程度)の負担がどちらになるかで実質的な手残りが大きく変わります。

3. 売買契約の締結〜決済・引き渡し

条件が整えば、宅地建物取引士による重要事項説明を経て売買契約を締結します。後日、司法書士の立ち会いのもとで代金の決済と所有権(借地権の消滅・混同)の登記手続きを行います。

第三者(買取業者)に売却する場合の流れと交渉のポイント

借地権は地主以外の第三者へ売却することも可能です。ただし、借地権は一般的な所有権不動産と比べて権利関係が複雑であり、地主の承諾が必要となるケースもあるため、買主が限定される傾向があります。

実務上は、不動産会社を通じて市場で買主を探す方法(仲介)と、借地権の取り扱いに実績のある買取業者へ直接売却する方法の両方が選択肢となります。どちらが適しているかは、売却を急ぐかどうかや、借地契約の内容、地主との関係性などによって異なります。

ここでは、第三者へ売却する場合の一般的な流れと、事前に確認しておきたいポイントについて解説します。

1. 借地権の取り扱いに長けた専門業者への査定依頼

借地権は権利関係が複雑なため、不動産会社によっては取り扱い実績に差があります。そのため、借地権の取扱実績がある会社へ相談するとスムーズです。

2. 地主との「譲渡承諾」「建替え承諾」の交渉

買取業者が自ら地主の元へ出向き、「買い取った後の土地の利用計画」などを説明して承諾を得ます。実務上、単なる譲渡の承諾だけでなく、買取業者が再販しやすいように「建替えの承諾」もセットで取り付ける交渉が非常に重要になります。

3. 売却条件の決定〜地主からの「譲渡承諾書」取得

業者との間で引き渡しの時期などの条件を合意し、地主から正式な書面による「譲渡承諾書」を取得します。承諾料の負担割合や支払いタイミングなどもこの段階で確定させます。

4. 売買契約の締結〜決済・引き渡し

契約内容を確認し、売買契約を締結します。業者が自社資金で直接買い取るため、一般的な仲介取引とは異なり、早期の決済・引き渡しが可能です。

地主と協力して「同時売却」する場合の流れと交渉のポイント

借地権と底地をそれぞれ単独で売却するのではなく、借地人と地主が協力して一体の不動産として売却する方法を「同時売却」といいます。
借地権付きの状態では購入をためらう買主も少なくありませんが、同時売却によって完全な所有権として売り出せるため、買主の選択肢が広がる可能性があります。その結果、借地権単独で売却する場合よりも好条件で売却できるケースもあります。
一方で、売却代金の配分や費用負担などについて地主との合意形成が必要となるため、事前の調整が重要です。ここでは、同時売却を進める際の一般的な流れと、実務上のポイントについて解説します。

1. 借地権や底地の取扱いに強い不動産会社へ相談する

同時売却は極めて高度な調整能力と実務経験が求められます。権利関係や売却条件を整理しながら進められる不動産会社へ相談すると安心です。

2. 地主への提案と、売却代金の「配分割合」の合意形成

不動産会社から地主へ同時売却のメリットを提示します。合意が得られたら、最も重要な「売却代金の配分割合」や「測量費・建物解体費の負担割合」を書面で整理しておくことが望ましいでしょう。取り決めが不十分な場合、後日認識の違いが生じる可能性があります。

3. 買主の募集と売買契約の締結

条件が整ったら「所有権の不動産」として市場で買主を募集します。買主が見つかったら、売却スキームによって契約形態は異なりますが、借地人・地主・買主の三者が関与して手続きを進めるケースもあります。

4. 決済・引き渡し(買主は完全な所有権を取得)

決済日に買主から代金が支払われ、事前に行っていた取り決め(配分割合)に従って、借地人と地主それぞれの口座に代金が振り分けられます。

借地権売却では「誰に売るか」だけでなく、「地主へいつ相談するか」も重要なポイントです。

実際の相談では、売却条件が固まる前に地主へ話を持ち掛けた結果、価格や条件の調整が難しくなってしまうケースも見られます。一方で、地主との関係が良好な案件では、早い段階で意向確認を行うことで同時売却や地主への売却につながることもあります。

借地権の売却は案件ごとの差が大きいため、仲介・買取のどちらか一方に決めつけず、複数の選択肢を比較しながら進めることが大切です。

借地権の売却でかかる税金・諸費用

借地権の売却では、一般的な不動産売却で発生する税金や諸費用に加え、借地契約に関連する費用が発生する場合があります。

売却価格だけでなく、最終的に手元に残る金額を把握するためにも、事前に必要となる費用を確認しておくことが大切です。

税金や諸費用 発生するケース 負担者 相場
譲渡承諾料(名義書換料) 第三者(買取業者など)に売却する場合 借地人(売主) 借地契約や地域慣行によって異なるが、借地権価格の数%〜10%程度が目安とされることがある
建物の取り壊し(解体)費用 更地渡しを条件に売却する場合 借地人 1坪あたり3~8万円程度(建物構造や立地条件によって異なる )
確定測量費 借地の境界が曖昧な場合 借地人(同時売却は地主と協議) 30~80万円程度(土地の規模や隣接地の状況によって異なる )
仲介手数料 不動産会社に「仲介」を依頼して成約した場合 借地人(※直接買取の場合は不要) 売買価格×3%+6万円+消費税(上限)
印紙税 売買契約書を作成する際 借地人・買主 契約金額による(数千円〜数万円)
譲渡所得税 借地権の売却で譲渡所得が発生した場合 借地人 利益に対して約20%〜39%(所有期間による)

それぞれの費用が「どんな時に」「誰が負担し」「いくらくらいかかるのか」について、以下で詳しく説明していきます。

地主に支払う「譲渡承諾料(名義書換料)」(※第三者売却時のみ)

借地権を地主以外の第三者(買取業者など)に売却する場合、地主から譲渡の承諾を得る対価として支払う慣習があります。譲渡承諾料の金額は借地契約や地域慣行によって異なりますが、借地権価格を基準として設定されるケースがあります。なお、地主に直接買い取ってもらう場合は第三者への譲渡にあたらないため発生しません。

更地渡しを求められた場合の「建物の取り壊し(解体)費用」

借地を地主へ返還する際や、同時売却において買主が既存の建物を不要とする場合、建物を解体して更地にする費用が発生します。木造で1坪3〜5万円、鉄筋コンクリート造(RC造)で6〜8万円が目安ですが、前面道路が狭く重機が入れない場合は手壊し作業となり、追加費用が発生する場合があります。

隣地との境界が未確定な場合の「確定測量費」

長年住んでいる借地によくあるのが、隣地との境界標が存在せず、どこまでが自分の借りている敷地か曖昧なケースです。安全な不動産取引を行うためには境界を明確にする「確定測量」を求められる場合があります。土地家屋調査士への依頼費用として数十万円がかかります。ただし、買取業者に売却する場合は、現況のまま査定を行い、売却後に測量を実施するケースもあります。

不動産会社に仲介を依頼した際の「仲介手数料」

不動産会社を間に立てて買主(地主含む)を探してもらった場合の成功報酬です。売買価格が400万円を超える場合、「売買価格×3%+6万円+消費税」が上限額として定められています。なお、弊社のような専門の買取業者に「直接買い取ってもらう」場合は、一般的に仲介手数料は発生しません。

売買契約書に貼付する「印紙税」

売買契約書を作成する際、契約金額に応じた収入印紙を貼って納める税金です。実務上の注意点として、「借地権のみの譲渡」に関する契約書は印紙税の軽減措置の対象外です。印紙税の取扱いは契約書の内容によって異なるため、最新の税制や個別の契約内容を確認することが重要です。ただし「借地権付き建物の売買」という形であれば、建物部分が不動産の譲渡にあたるため軽減税率の適用を受けられます。

売却して利益(譲渡所得)が出た場合の「譲渡所得税」

売却額から、取得費(過去に支払った権利金や承諾料など)や譲渡費用(仲介手数料や解体費など)を引いてプラスが出た場合、その利益に対して税金がかかります。
ただし、自分が住んでいたマイホームの借地権を売却する場合は「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」を利用できる可能性があります。

まとめ

借地権の売却は、契約内容や税金だけでなく、地主との関係性や承諾の取得なども関わるため、一般的な不動産売却とは異なる検討が必要になる場合があります。

ネット上の相場(借地権割合)や制度の建前だけを鵜呑みにせず、現在の地主との関係性、建物の状況、そして借地人様ご自身の「いつまでに、いくら現金化したいか」という目的に応じて、借地権の売却では、地主への売却、第三者への売却、地主との同時売却など複数の選択肢を見極めることが重要です。それぞれにメリット・デメリットがあるため、地主との関係性や売却時期、手取り額などを踏まえて比較検討することが大切です。

「地主との調整に不安がある」「借地権の評価方法が分からない」「売却方法ごとの違いを知りたい」といった場合は、借地権の取扱実績がある不動産会社へ相談し、複数の選択肢を比較検討することをおすすめします。

借地権売却に関するよくある質問

地主に借地権の売却(譲渡承諾)を拒否されました。どうしたら良いですか?

借地非訟制度による「裁判所の代替許可」を利用する手があります。

地主から譲渡承諾を得られない場合には、裁判所へ借地非訟の申立てを行い、地主の承諾に代わる許可を求められる場合があります。
ただし、申立てを行えば必ず許可が得られるわけではなく、借地契約の内容や譲渡先の属性、これまでの利用状況などを踏まえて個別に判断されます。

地主に借地権の買い取りを拒否された場合、強制的に買い取らせることはできますか?

契約更新の拒絶時など、一定の要件を満たせば「建物買取請求権」を行使できる可能性があります。

借地期間が満了し、地主側から正当事由をもって契約の更新を拒絶された場合、借地人は地主に対して「建物を時価で買い取れ」と請求できる権利(借地借家法13条)があります。これを行使すると強制的に売買契約が成立しますが、あくまで「更新拒絶時」などの限定的な状況でのみ使える権利であり、借地人都合でいつでも行使できるわけではありません。

借地権の売却にあたって、地代の滞納がある場合はどうなりますか?

地代の滞納がある場合は、売却手続きを進める中で未払い分の精算方法を整理する必要があります。

地代の滞納をそのまま買主に引き継ぐことはできません。地代の滞納がある場合、地主との信頼関係に影響し、譲渡承諾の協議が難航する可能性があります。資金繰りが厳しく滞納を解消できない場合は、不動産会社へ状況を共有したうえで、売却代金から滞納分を精算する方法などを含めて対応を検討することがあります。
実際の対応方法は、滞納額や地主との協議状況によって異なります。

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    更新日 : 2025年11月07日
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