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借地権トラブル&対応策20選!相続・更新・売買などの具体例や解消・予防方法まとめ

借地権にはどんなトラブルがある?借地人が知っておきたい5つのトラブルと対応法

借地権とは、借地借家法で定められた「建物を建てるために第三者から土地を借りる権利」を指します。借地権が発生する土地の貸し借りでは、土地を貸す「地主」と、土地を借りる「借地人」の2者が存在するため、どうしてもトラブルが起きやすくなります。

具体的には、下記のようなトラブルが多くみられます。

項目 具体例
相続 ・名義変更料を請求された
・地主から借地の返却を求められた
・共有名義で相続して意見がまとまらない
・借地権に高額な相続税がかかる
更新 ・契約書に記載のない更新料の支払いを求められた
・更新を拒否された
・契約期間が切れて地主に借地の明け渡しを要求された
・更新後は新法借地権になると言われた
・法定更新時の更新料支払いについて双方の意見が合わなかった
売買 ・譲渡の承諾を認めてもらえない
・建物への抵当権設定の承諾がもらえない
・売却したいのに借地権の契約書が見つからない
・底地を第三者に売却されてしまう
・共有名義の借地権建物で売却が難しくなる
競売 ・競売により借地人となったが、地主が借地権の譲受けを認めない
その他 ・地主から地代を上げたいと言われた
・地代を滞納してしまった
・建て替えを許可してくれない
・駐車場としての貸し出しを承諾してくれない
・借地上の建物が消滅した後に地主が交代して権利を主張できない

借地権の制度は非常に複雑で、当事者である地主、借地人も正しく理解できていないケースもみられます。

弊社に寄せられる相談でも、「自分の借地権が旧法と新法のどちらに該当するかわからない」「更新料の支払い義務があるのかどうか判断できない」といった基本的な部分で認識の食い違いが生じており、それがトラブルの発端になっているケースは少なくありません。

地主、借地人ともに借地権に関するトラブルを把握し、適切な対応ができるように備えておくことが重要です。「借地権のトラブルについて相談したい」「底地の買い取りをしたい」「借地権を売却したい」といった場合は、借地権に詳しい不動産業者や弁護士に相談するのも良いでしょう。

本記事では、借地権のトラブルが起こる主な原因、借地権に関するトラブルと対応策、トラブルの解消法や未然に防ぐ方法を解説します。

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借地権のトラブルが起こる主な原因

借地権の発生する土地では、土地を貸す「地主」と、土地を借りる「借地人」の2者が存在します。地主と借地人では立場が異なることから、それぞれに下記のような感情や不満をもちやすく、それがトラブルへとつながっていくといえます。

立場 不満の内容
地主 ・自分の土地がなければ、借地人は建物に住めない
・土地を貸しているのだから、地代や更新料を払ってもらいたい
・借地権のせいで土地を自由にできないため、返却してほしい
・借地人に土地を売却するなら、なるべく高額で売りたい
借地人 ・自分の建物なのに、地主の許可なく売却や建て替えができない
・毎月、地代を支払っているのだから、更新料や増改築の承諾料は払いたくない
・地代や更新料が高すぎる
・土地を買い取りたいけれど、地主が承諾してくれない

地主は借地権によって地代や更新料などの収入はあるものの、建物を建てて居住したり、賃貸物件にしたりといったことは叶わず、土地を自由に活用できません。また、借地借家法(旧法)は「契約期間が満了しても、建物がある限りは契約が更新される」「地主から承諾が得られなくても、裁判所への申立てによって再建築や譲渡の許可がおりる」など、立場の弱い借地人を保護する内容も多く、そこが不公平感や不満を生む原因にもなっています。

一方、借地人は建物を所有しているものの、土地は第三者のものなのでどうしても窮屈さを感じやすいといえます。例えば、建て替えや借地権の売却には地主の許可が必要です。裁判所への申立てによって許可がおりることもありますが、手続きには専門知識も必要で現実的には難しい場合もあります。

両者の関係性が上手くいっていればトラブルにならない場合もありますが、長期間の土地の貸し借りでは地主、借地人が代替わりすることもあり、人が変わることでトラブルになる可能性も考えられます。

実際の事案でも、先代同士では口約束で円滑に進んでいた関係が、相続をきっかけに「契約書がない」「条件を聞いていない」といった主張に発展し、話がこじれてしまうケースは非常に多く見られます。あくまで筆者の現場感覚ですが、借地権トラブルの相談のうち、代替わりが引き金になっているものは全体の3〜4割程度を占めている印象です。

なお、平成4年以降の借地借家法(新法)では、契約期間満了時には契約を終わらせることが可能となり、さらに更新のない定期借地権も新設されています。旧法借地権を合意によって新法の『普通借地権』に切り替えることは法律上できません。ただし、既存の旧法借地契約を一旦合意解除し、新たに新法の『定期借地権』を設定し直すことは可能です。

1.借地権の相続に関するトラブル事例と対応法4選

借地権も相続財産なので、遺産分割協議の対象です。

そのため、相続人と地主間でのトラブルだけでなく、相続人同士でもトラブルになる恐れがあるので注意しましょう。

トラブルの内容 対応方法
名義変更料を請求された 名義変更料の請求は拒否しても問題ありません。ただし、地主との関係悪化を防ぐために、名義変更料を支払った方が良いケースもあります。
地主から借地の返却を求められた 借地権の相続に地主の承諾は必要ないため、借地の返却に応じる必要はありません。
共有名義で相続して意見がまとまらない 借地権問題に詳しい不動産会社や弁護士に相談しましょう。なお、共有名義は相続が発生するたびに名義人が増えて権利関係が複雑になるため、単独名義に変更するのが望ましいです。
借地権に高額な相続税がかかる 小規模宅地等の特例を利用すれば、課税評価額から80%の控除が受けられる可能性があります。利用可能かは所轄の税務署に相談しましょう。

それぞれのトラブルについて、解説していきます。

名義変更料(名義書換料・譲渡承諾料)を請求された

亡くなった借地人の借地権を相続する場合、名義変更料(名義書換料・譲渡承諾料)を請求されることがあります。

しかし、相続による借地権の取得は譲渡にはあたりません。

そのため、地主の承諾がなくても相続できますし、承諾料や名義変更料を支払う必要もないです。

したがって、借地権を相続する際に地主から名義変更料などを請求されても、法律上は拒否しても問題ありません。ただし、支払いの拒否によって地主との関係が悪化するおそれもあり、将来的に譲渡や売却、建て替えの際に承諾を得られないといった可能性も考えられます。

今後の借地権の活用や売却を見据えるなら、地主へのご挨拶として数万円程度を支払い、関係を良好に保っておくのも現実的な判断といえるでしょう。

借地契約を結び直す必要はない

そもそも、借地権を相続するときには、借地人が変わったことを地主に伝える義務はありません。

地主との土地賃貸借契約を相続人の名義で結び直す必要もないので、借地上にある建物を相続人名義で登記すれば、借地権を第三者にも主張できます。

しかし、今後の地主との関係性を良好に保つためには、借地権を相続することを地主に伝えて、契約書の名義を書き換えたほうが良いでしょう。

地主が知らないうちに借地権者が変わっていたとなると、法的な義務はなかったとしても不信感を持たれてしまいます。

また契約書の名義を書き換えるのも、いずれ借地権を売却したいと考えた時に取引を滞りなく進めるためです。

地主から借地の返却を求められた

借地権を相続することを地主に伝える場合「相続するなら借地を返してほしい」と言われることがあります。

地主にとって「土地賃貸借契約は亡くなった借地人と結んだので、相続人とは結んでない」という考えからです。

しかし、借地権の相続に地主の承諾は必要ないので、地主から借地の返還を求められても、それに応じる義務はないので安心してください。相続はあくまで「被相続人の地位や権利義務を相続人がそのまま受け継ぐ(承継する)」という扱いであり、契約内容なども相続人がそのまま引き継ぐため、借地人の変更は何の契約違反にもならず法律的にも返却に応じる義務はありません。

共有名義で相続して意見がまとまらない

借地権を相続する場合、次のようなデメリットもあります。

  • 地主に地代を支払う必要が生じる
  • 借地上の建物を増改築・売却する際に地主の承諾が必要になる

そのため、遺産分割協議でも「誰が相続するか?」の結論が出ず、暫定的に共有名義のまま相続してしまうケースが後を絶ちません。

また、共有持分の買取を希望される方の悩みを聞くと、「公平性を保つためにひとまず共有名義で相続した結果後悔した」という方が意外にも多い印象です。

共有名義にした場合には、活用・処分する際に共有者同士の同意が必要になります。意見がまとまらなければ、共有者間の関係悪化にもつながりかねません。

借地権を売却するには相続人全員の同意が必要

まず、共有名義の借地権は、第三者へ売却する際に相続人全員の同意が必要です。

以下のような状況になると、意見を一致させることが困難でしょう。

  • 母親は借地上の建物に住みたいのに長男は売却したい
  • 自分は建物を賃貸に出して家賃収入を得たい

こうした場合、相続人同士の関係性にヒビが入ることもありえます。

相続人が死亡すると権利関係が複雑になる

相続人が亡くなって再び相続が発生すると、借地権の名義人が増えていくため、どんどん権利関係が複雑になります。借地権は不動産と同じように、法定相続で相続人が複数人いるとそれぞれへ借地権が相続されるため、権利が分割される可能性があるからです。

そのため、借地権を含む不動産を相続する際には、なるべく共有名義ではなく単独名義にすることをおすすめします。

また、共有名義の借地権が再び相続されるタイミングで、単独名義に変えるように遺産分割協議を進めましょう。

そうしなければ、トラブルを自分の子や孫にまで引き継いでしまうことになります。

もし相続人同士で意見がまとまらない場合は、借地権に精通している不動産会社や弁護士に早めに相談しましょう。話し合いが長引くほど感情的なこじれが深くなり、解決の難易度が上がっていく傾向があります。

借地権に高額な相続税がかかる

借地権は相続財産なので、相続税の課税対象でもあります。

【相続税の基礎控除額】
3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

借地権の相続税評価額は自用地評価額に借地権割合(地域によって30~90%と異なる)を乗じた金額です。住宅地では60~70%が多いですが、都心部商業地では80~90%に達することもあります。

「借地権だから相続税は安くなるのでは?」と思われている方が多いですが、借地権割合が高いエリアでは評価額が数千万円に達するケースもあり、決して安いとは言い切れません。

特に都心部や商業地では借地権割合が70〜80%に設定されていることもあるため、想定以上の相続税が発生するケースも珍しくないのが実態です。

借地と建物が亡くなった方の自己居住用であれば、一定の要件を満たすことで小規模宅地等の特例によって、課税評価額が控除されます。

【小規模宅地等の特例】
課税評価額から80%もの控除を受けられる

ただし、被相続人が借地に居住していなかった場合、特例の適用要件を満たさず相続税が高額になる可能性があります。

例えば「被相続人が施設に入居しており、実際に借地に住んでいたのは相続人だった」というケースでは、特例が使えないこともあります。一方で、被相続人が要介護認定等を受けて老人ホームに入所していた場合などは、一定の要件のもとで特例が適用されることもあります。

また、小規模宅地等の特例は、被相続人の配偶者でなければ適用要件が複雑になります。

適用の可否はケースごとに異なるため、税理士や所轄の税務署に必ず確認しましょう。

借地権の相続については、下記の記事でも詳しく紹介しています。

2.借地権の更新に関するトラブル事例と対応法5選

新法である借地借家法における借地権の存続期間は、最初の契約を交わしてから30年以上です。

旧法借地権においては、非堅固建物で20年以上となっていますが、それでも非常に長い契約といえます。

そのため、存続期間が満了となる前に地主や借地人に相続があったり、当事者間でも更新についてどのような取り決めをしたのか記録に残っていなかったりして、トラブルになることがあります。

更新に関するトラブルの多くが、更新料の支払いと更新拒絶の問題です。

あくまで筆者の感覚ではありますが、借地権の更新に関する相談のうち、更新料の金額や支払い義務をめぐる争いが約6割、更新拒絶に関するものが約3割を占めている印象です。残りの1割は「契約書がなくて更新条件がわからない」といった、そもそも契約内容が不明確なケースです。

トラブルの内容 対応方法
契約書に記載のない更新料を請求された 借地契約に更新料の支払いが定められていない限り、支払う必要はありません。ただし、更新料の支払いに合意したり、過去の更新時に更新料を支払っている場合は、支払う必要があります。
契約更新を拒否された 借地上に建物が存在しており、定期借地権でない限り、地主は更新の拒否ができません。ただし、地代の滞納などの正当事由がある場合は、地主が更新を拒否できる可能性があります。
契約期間が切れて地主に借地の明け渡しを要求された 借地上に建物が存在し、借地人が土地の使用を継続していれば契約が更新されたとみなされるため、明け渡す必要はありません。
契約更新後は新法借地権になると言われた 地主と借地人両者の合意がない限りは、新法借地権への変更は認められないため、要求に応じる必要はありません。
法定更新時の更新料支払いについて双方の意見が合わなかった 法定更新時の更新料の支払いは、事前の契約内容によって取り扱いが変わります。

それぞれ詳しく解説します。

契約書に記載のない更新料の支払いを求められた

借地権の更新料について、法律で定められてはいません。そのため、借地契約で更新料の支払いを定めていない限り、地主から更新料を請求されても支払義務はありません。

また、支払わなかったからといって更新拒絶されることもないので安心してください。

ただし実務上は、更新料の支払い自体よりも、「支払いを拒否したことで地主との関係が悪化し、その後の建て替えや売却の承諾を得られなくなった」というケースの方が問題になりやすい印象です。

法律上の義務がないことと、支払わない方が得策かどうかは別の話ですので、今後の借地権の活用予定も踏まえて判断することをおすすめします。

ただし、以下のケースでは更新料の支払義務が生じるので注意しましょう。

  • 契約書に記載はなくても更新料の支払いに合意している
  • 過去の契約更新時に更新料を支払った実績がある

借地権の更新料については下記の記事も参考にしてみてください。

更新を拒否された

契約期間満了を理由に、地主から借地の返還を求められることがあります。

しかし、借地上に建物が存在している限り、契約期間を満了しても借地契約は更新されるため、借地を返還する必要はありません。

このことは、以下のように借地借家法でも定められています。

借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求したときは、建物がある場合に限り、前条の規定によるもののほか、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、借地権設定者が遅滞なく異議を述べたときは、この限りでない。引用:e-Govポータル「借地借家法第5条」

地主に正当な事由がなければ、借地人に事前に通知していたとしても、更新拒否は認められません。

そして更新を拒否できる正当事由は、以下の要素から総合的に判断されます。

  • 地主側に土地が必要な事情があるか?
  • 権利金の支払いがあったか?
  • 地代の滞納がなかったか?
  • 建物の用途は事業用か居住用か?

※立退料について。地主と借地人双方の土地を必要とする事情を主軸とし、それを補完する要素として立退料の提供の有無や金額が考慮されることもあります。

もし契約書に「契約更新はしない」と書かれていても、借地権が定期借地権でない限り、借地人に不利な特約として無効になります。

ただし、「法律上無効だから放っておいてよい」と放置しないことです。地主側が借地借家法を誤解したまま強硬な態度に出ることもあり得ます。

まずは「普通借地権であるため更新される権利がある」という事実を冷静に伝え、感情的な対立を防ぐ対応が求められます。

定期借地権の場合は満期がきたら基本的に借地契約終了となる

借地借家法で新設された「定期借地権」で契約していた場合、借地契約上の契約期間が満了になると、当該借地契約における契約更新ができません。満了になると、借地人は借りていた土地を更地にして返還する必要があります。事業用に供する事業用定期借地権であっても同じです。

一方、同じような契約内容で新しくかつ正当に結び直す再契約なら認められています。再契約できれば、実質的に定期借地権でも更新・延長が可能です。ただし地主側と再契約について合意する必要があるため、普通借地権のように借地人側の意思のみでは成立しません。

定期借地権については、記事内定期借地権は「50年以上」「10~50年未満」で契約終了とできるにて詳しく解説しています。

契約期間が切れて地主に借地の明け渡しを要求された

以下のような場合、借地権の契約期間が切れていることもあります。

  • 口頭によって契約期間の延長を決めていた
  • 更新時に新しく契約書を交わさなかった

実務上、借地契約では更新時に契約書を作成し直さないまま、数十年が経過しているケースが非常に多くみられます。口頭のやり取りだけで更新していると、契約期間や条件について当事者間で認識にずれが生じやすく、後々のトラブルの原因となります。

その結果、契約期間が切れていることを理由に借地の明け渡しを求められるケースも少なくありません。

こうした場合でも、借地を明け渡す必要はありません。

その根拠として、借地借家法でも以下のように記されています。

借地権の存続期間が満了した後、借地権者が土地の使用を継続するときも、建物がある場合に限り、前項と同様とする。引用:e-Govポータル「借地借家法第5条第2項」

つまり、契約期間が切れていても、借地上に建物があって、借地人が土地の使用を継続していれば、同一条件で契約が更新されたとみなされます。

しかし、このようなトラブルが起きないためにも、なるべく契約更新時には常に新しい契約書を交わすように徹底しましょう。

更新後は新法借地権になると言われた

1992年8月1日に借地借家法が施行され、それ以降の新規契約には新法が適用されるようになりました。なお、旧借地法・旧借家法のもとで結ばれた既存の契約には、引き続き旧法が適用されます。

新法借地権(借地借家法) 1992年8月1日以降に契約された借地権
旧法借地権(借地法) 1992年7月31日以前に契約された借地権

借地借家法の大きな特徴は、旧法借地権と比較して更新期間が長くなった「普通借地権」と、法律で決められた期間が満了になると契約更新せずに終了となる「定期借地権」がそれぞれ定められたことです。更新期間や契約の取り扱いが大きく変わっており、借地借家法と借家法では借地契約の内容も異なるケースが多いです。

旧法借地権で契約していた人のなかには、「借地借家法になったから、更新後の契約は旧法借地権じゃなくて新法借地権になる」と地主から言われるケースがあります。

しかし、旧法借地権として契約した内容を更新するときは引き続き旧法借地権が適用されるので、更新を期に新法借地権へ変わるという当該地主の認識は誤りです。旧法借地権のままで契約を更新できます。また、「新法借地権が適用されるから契約を終了したい」と言われても、その要求に応じる必要はありません。

ただし地主または不動産会社から具体的な説明があり、借地人が納得して新法借地の適用に変更した場合は、新法借地権となります。

逆に具体的な説明ないまま、新法借地権に変更した場合は「借地人に不利な契約」として無効になる場合もあります。新法借地権への変更は借地人にとってメリットがほぼないため、無理に変更する必要もないでしょう。仮によく知らないまま借地借家法の定期借地権の借地契約に変更すると、借地人は満了時に更新できず土地を更地にして返還しなければなりません。

法定更新時の更新料支払いについて双方の意見が合わなかった

法定更新とは、借地権の存続期間満了後も借地人が土地を引き続き利用し、建物も存在しているときは、自動的に従前と同一条件で契約が更新されたとみなす法律上の仕組みです。

意外にも、この法定更新が適用されていることを地主側が認識していないケースもあり、「契約期間が切れたのだから更新料を払え」「契約は終わっている」といった主張につながることがあります。

法定更新時の更新料支払いが発生するかは、借地契約の内容次第です。借地契約の内容に「法定更新の際に更新料を支払う」と記載があれば、法定更新であっても更新料の支払いが必要です。

一方で、「契約が満了したときには両者の合意のうえで更新できる」といった、借地権の更新は合意更新が基本だと読み取れる契約だと、契約内容によっては法定更新の更新料は発生しないと解される場合があります。実際に、法定更新時の更新料は発生しないとした判例も存在します。

とはいえあくまで契約や状況ごとのケースバイケースであり、必ずしも同じ結果になるとは限りません。更新料の取り扱いについては、借地契約締結前に地主と借地人との間でしっかりと取り決めておきましょう。

3.借地権の売買に関するトラブル事例と対応法5選

借地権の売買は通常の不動産売買と手続きが異なるため、トラブルに発展することも多いです。

実際に弊社に寄せられる借地権関連のご相談でも、売買に起因するものは全体の3割前後を占めている印象です。

なかでも「地主から譲渡の承諾が得られない」「抵当権設定の許可がもらえず買主が購入できない」という2つのパターンが圧倒的に多く、この2点だけで売買トラブルの大半を占めています。

ここからは、代表的なトラブルについて解説します。

トラブルの内容 対応方法
譲渡の承諾を認めてもらえない 地主の代わりに裁判所に許可をもらうことで譲渡が可能です。ただし、裁判所を通した譲渡によって、地主と新しい借地人の不和を生むおそれも考えられます。弁護士に依頼して地主と交渉してもらうのが良いでしょう。
建物への抵当権設定の承諾がもらえない 地主との交渉を続けるか、地主の承諾なしでも融資を受けられる金融機関を探す必要があります。
売却したいのに借地権の契約書が見つからない 契約書がなくても、金融機関での振込通知書や地主からの領収書などの「地代の支払いを証明できるもの」、固定資産税の納税通知書などの「借地上の建物が借地人名義の登記であることを示すもの」の2つが揃えば売却可能です。
底地を第三者に売却されてしまう 地主が変わることで底地の売買や地代の値上げを交渉されるおそれがあります。あらかじめ地主に底地の買い取りの希望を伝えておく、売却先について相談しておくことでトラブルを防ぎましょう。
共有名義の借地権建物で売却が難しくなる 共有名義の不動産を売却するには共有者全員の同意が必要になるため、共有者の説得や交渉が売却するための鍵になります。交渉がまとまらないときは、共有物分割請求や自己共有持分のみの売却などを検討しましょう。

譲渡の承諾を認めてもらえない

借地権を第三者に譲渡するには、地主の承諾が必要です。

しかし、地主が第三者への譲渡を認めてくれない場合があります。

  • 譲渡承諾料の金額が高額で取引が成立しない
  • 「なんとなく嫌だ」という地主の感情的な問題

このとき、地主の承諾を得ずに借地権を譲渡すると、借地契約を解除される可能性もあるため、買主と話がまとまっていても絶対に取引を進めてはいけません。

そのときには、裁判所に地主の承諾に代わる許可(代諾許可)を求めることになります。

このことは借地借家法で規定されています。

(土地の賃借権の譲渡又は転貸の許可)
第19条 借地権者が賃借権の目的である土地の上の建物を第三者に譲渡しようとする場合において、その第三者が賃借権を取得し、又は転借をしても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。この場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、賃借権の譲渡若しくは転貸を条件とする借地条件の変更を命じ、又はその許可を財産上の給付に係らしめることができる。引用:e-Govポータル「借地借家法第19条」

地主に代わって裁判所が譲渡許可を与えられる

譲渡を認めても地主が不利にならない場合、裁判所が地主の代わりに譲渡許可を与えることが可能です。

地主にとって不利というのは、地代を支払うことも難しい人や、反社会的勢力の関係者などに譲渡されてしまう場合をいいます。

そのため、一般的な不動産を購入できるような資金力・社会的信用がある買主であれば、不利になるとは認められません。

また、代諾許可を得られる場合は「財産上の給付」にあたる承諾料の支払いを命じられることが多く、承諾料の相場は借地権価格の10%程度です。

弊社へのご相談でも「承諾料はいくらくらいが相場ですか?」というご質問は非常に多いですが、裁判所が命じる承諾料は概ねこの水準に落ち着きます。

ただし、借地非訟事件手続きで認められた譲渡承諾は、売却後の新しい借地人と地主との関係性が良好とはいえないため、今後もトラブルが起こりやすいです。また、裁判所を通すと手続きに時間も費用もかかります。

ですので、なるべく裁判所には頼らず、弁護士に依頼して地主との話し合いで解決するのが望ましいでしょう。

地主との任意交渉で承諾を得る場合、承諾料は借地権価格の10〜15%程度を求められるケースも珍しくありませんが、裁判手続きにかかる時間・費用やその後の関係性を考えると、多少上乗せしてでも任意の交渉でまとめた方がトータルでは有利になることが多いのが実務上の実感です。

建物への抵当権設定の承諾がもらえない

借地権の売買では譲渡に関する承諾だけでなく、借地上の建物への抵当権設定の承諾「ローン承諾」も必要です。

多くの金融機関で住宅ローンを組むときには、地主からの承諾を求められます。

しかし実務上、旧法の借地権で地主のローン承諾が取れない物件は、メガバンクやネット銀行の住宅ローン審査の土台にすら乗りません。結果として「現金一括で買える人」か「当社のような専門の買取業者」にしか売れなくなり、足元を見られて価格が大きく下がる原因になります。

また、ローン承諾(抵当権設定の承諾)については、裁判所に地主の代わりとなる許可(代諾許可)を求める制度自体が存在しません。地主が承諾しない限り、原則としてその金融機関でのローンは組めなくなります。

売却したいのに借地権の契約書が見つからない

借地権の売却にあたり、「手元に契約書がないから売れないのではないか」と立ち止まってしまう方は決して少なくありません

実際、親から借地権を相続したようなケースでは、「被相続人がどこに保管したかわからない」「昔からの地主との口約束だけで済ませていた」といった状況から売却活動をスタートする方が半数近くにのぼるのが実情です。

契約書が見つからなかったとしても、以下の2つの条件を満たしていれば、自分が借地人であることを証明できるので大丈夫です。

  1. 地代を払っていること
  2. 借地上の建物が借地人名義で登記されていること

地代の支払いの証明は、金融機関での振込通知書や地主からの領収書で十分です。

また、建物の登記については法務局で確認するか、毎年5月ごろに届く固定資産税の納税通知書で確認可能です。

そして、もし建物の登記名義人が借地人となっていない場合は速やかに登記するようにしてください。

相続で建物を取得時に登記を忘れていることがあり、建物が借地人名義でなければ地主が変わったときに借地権を主張できないからです。

底地を第三者に売却されてしまう

地主が底地を整理するために、不動産業者や投資家に売却するケースもあります。

底地を購入する不動産業者や投資家は再販や地代収入などによって利益を生み出すことを目的としていることが多いです。

そのため、底地の売買や地代の値上げ交渉などを持ちかけられてしまうことも考えられます。実際に、地主が変わった途端に地代の値上げ交渉や底地の買取要求がくるケースは少なくありません。

弊社でも「突然知らない業者から連絡がきて底地を買わないかと言われた」「地代を倍にすると通知がきた」といった内容のご相談を受けることがあります。

ここで重要なのは、地主が変わっても借地借家法上の借地人の権利は変わらないという点です。焦って不利な条件を受け入れる必要はないため、まずは冷静に状況を整理し、弁護士や不動産会社に相談してから対応を決めるようにしましょう。

なお、何度断ってもしつこく交渉してくる可能性もゼロではありません。

もし地主が底地の売却を検討していることに気づいたら、底地の買取を検討したり売却先について相談しておくことでトラブルを防ぐことができるかもしれません。

共有名義の借地権建物で売却が難しくなる

借地権建物が共有名義だと、売却自体が難しくなります。共有不動産を含む共有物の売却は、共有物の共有者全員の同意が必要であると民法で定められているからです。借地権建物の売却をする際に、ほかの共有者との交渉や連絡が取れない共有者の存在などのケースで、トラブルに発展する可能性があります。

一方、自分の共有持分(共有不動産における自分の所有権の割合)は、ほかの共有者の同意なく売却できます。もし自分だけでも手放したいときは、共有持分の売却も検討してみてください。ただし、共有持分のみの売却であっても地主の許可は必要です。

また、共有持分の売却を検討する際にもう一つ意識しておきたいのが、ほかの共有者への事前の連絡です。法律上の義務はありませんが、何も知らされないまま第三者が持分を取得すると、残された共有者との関係が感情的にこじれやすくなります。

結果として、買主側の交渉コストが上がり、査定額にも影響が出るケースがあるため、可能であれば事前に一言伝えておくのが実務上は得策です。

4.借地権の競売に関するトラブル事例と対応法

借地権者が建物に抵当権を設定して融資を受けた場合、債務不履行に陥ると抵当権が実行され、建物は競売にかけられます。

借地権の競売でよくあるトラブルは、新しい借地権者となる競落人に地主が借地権の譲受けを承諾しないというものです。

地主から承諾を得られなければ、借地権を買い受けても借地契約が解除になる恐れがあります。

そのような場合、裁判所に地主の承諾に代わる許可「代諾許可」を求めましょう。

競売における代諾許可の申立ては「競(公)売に伴う土地賃借権譲渡譲受許可申立」と呼ばれ、申立期限は建物の代金を支払って2カ月以内です。

また、裁判所から許可を得られなかった場合は「建物買取請求権」を用いて、地主に対して時価で建物を買い取るように請求できます。

建物買取請求権を行使すると地主は拒否できないので、取引は自動で成立することになります。

5.借地権のその他のトラブルと対応法5選

借地権のトラブルでは、地代に関するトラブルや、建て替え、土地の活用法に関するトラブルも存在します。

トラブルの内容 対応方法
地主から地代を上げたいと言われた 適正な地代とするための値上げであり、契約に「地代を増減しない」といった特約がない限りは値上げに応じる必要があります。値上げに納得できない場合は地主との話し合いをし、解決しない場合は調停、訴訟の順で地代を決めることになります。
地代を滞納してしまった 滞納による契約解除は、1~2回の支払い遅れであれば認められないケースが多いです。なお、解除通知の前に届く、地代の支払い請求に従ってすみやかに支払えば、契約を継続できます。
建て替えを許可してくれない 契約書に増改築特約が含まれている場合は、地主の許可が必要です。地主に承諾料を提示して、交渉してみましょう。建物の老朽化によって建て替えが必要な場合は、裁判所に許可してもらう方法もあります。
駐車場としての貸し出しを承諾してくれない 地主の代わりに裁判所に許可を求める方法もありますが、駐車場の貸し出しは転貸に該当するため、認められないケースがほとんどです。地主との交渉がうまくいかない場合、貸し出しは難しいでしょう。
借地上の建物が消滅した後に地主が交代して権利を主張できない 一定の条件を満たした看板等を立てれば2年間は対抗できます。2年間のうちに新しい建物を建て、かつ登記を完了させるようにしましょう。

上記のトラブルをそれぞれ詳しく解説していきます

地主から地代を上げたいと言われた

契約期間中、地主の事情が変わったり固定資産税が高くなったりといった理由で、地主から「地代を上げたい」と言われることがあります。

このとき、契約で「地代を増減しない」という特約がない限り、適正な地代とするための値上げであれば応じなければなりません。

地代を増減できる条件は、借地借家法で次のように定められています。

(地代等増減請求権)
第11条 地代又は土地の借賃(以下この条及び次条において「地代等」という。)が、土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間地代等を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。引用:e-Govポータル「借地借家法第11条」

3つの条件にあてはまるとき、地主は地代の増額を借地権者に請求できます。

  1. 土地の固定資産税・都市計画税の増額があったとき
  2. 地価の上昇があったとき
  3. 近隣の似た土地における地代と比較して不相当な地代となっているとき

ただし、借地権者が必ずしも言われたとおりの地代を支払わなければならないわけではなく、地主の請求に対して借地権者が承諾することで決定します。

もし地代の値上げ自体や値上げされた金額に納得ができないのであれば、話し合いを実施して、双方の合意点を探すこともできます。

話し合いで結論が出なければ調停、それでも決まらなければ訴訟という順序で最終的な地代が決まります

また、地主が「値上げした地代でなければ受け取らない」と受取拒否する場合、従前の地代を法務局の供託所に供託することで、債務不履行とはならず借地契約解除を避けられます。

この供託制度は借地人にとって非常に重要な手段ですが、実務上は制度自体を知らない方も多く、「地代を受け取ってもらえないのでどうすればよいかわからない」と焦ってしまうケースが見受けられます。地代の受取拒否を受けた場合は、まず供託の手続きを進めたうえで、弁護士に今後の対応を相談するのがよいでしょう。

地代を滞納してしまった

地代の支払いは借地権者の義務ですが、地代の未払いは地主とのトラブルでよくあるものです。

そして、何らかの事情で地代を滞納してしまい、契約解除されそうになった場合は、まず契約書の確認をするようにしましょう。

一般的には、契約解除の条項に地代の滞納が含まれているので、どのような場合に契約解除となるのかを確認します。

  • 地代の支払いを3か月以上怠ったとき
  • 地代の支払いの遅延が多く、地主との信頼関係を破壊したとき

1〜2回支払いが遅れてしまったとしても、地主との信頼関係を破壊したことにはならず、契約解除は認められない場合が多いです。

また、地代を滞納して即座に借地契約を解除されることは少なく、解除通知の前に地代を工面する期間として、約1週間を猶予とした地代の支払い請求が届きます。

そのため、この期間内に支払うことで借地契約を継続させることができます。

こうしたトラブルを起こさないためにも、地代を滞納しないように心がけましょう。

建て替えを許可してくれない

契約書に増改築特約が含まれている場合、建て替えや増改築を行う際に地主の許可が必要です。増改築特約は、借地人が建て替えや増改築を行うことにより、土地に不利益が生じるのを防ぐために設けられているもので、ほとんどの契約書にはこの特約が記載されています。

たとえ火事や地震などの災害で建物を失ったときでも、特約があるときは地主の許可を得なければ再建築は不可です。ただし災害の場合は、借地権の期間は地主の許可が出た日または建物の再建築の日から、20年間存続(合意があれば20年以上でも可能)します。

契約書に記載があり、地主が建て替えや増改築を許可してくれない場合は、承諾料などを提示して地主と交渉しなければなりません。

弊社へのご相談でも「建て替えの承諾料はいくらが妥当なのか」というご質問はよくいただきますが、一般的には更地価格の3〜5%程度が目安とされています。ただし、建物の構造変更(木造から鉄筋コンクリート造への変更など)を伴う場合は、借地条件の変更にも該当するため、承諾料がさらに高くなるケースもあります。

仮に増改築特約の記載がない場合も、建て替えや増改築を行う際には地主に一言伝えておくと、トラブルを防げるでしょう。

なお、建物の老朽化によって早急に建て替えが必要な場合などは、地主の代わりに裁判所の許可を得られれば建て替えが可能です。地主の許可がおりず、交渉も進まない場合は、裁判所への申立ても検討してみてください。

借地権にある建物の建て替えについては、下記の記事を参考にしてください。

駐車場としての貸し出しを承諾してくれない

借地にある建物を居住地として利用し、余ったスペースを駐車場として貸し出したい場合は、借地の転貸に該当するため、地主の承諾が必要です。民法にも定められていますが、地主の承諾を得ないまま貸し出しを行ってしまうと契約解除されるおそれもあります。

これは災害によって建物が消失し更地になった後、地主の承諾を得ずに駐車場とした場合も同様です。

(賃借権の譲渡及び転貸の制限)
第六百十二条 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
2 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。
引用元 e-Govポータル「 民法第612条」

地主の承諾が得られない場合は、裁判所への申し立てによって許可をとる方法もありますが、費用や時間がかかるうえ、許可を得るのは難しいとされています。地主の心証も悪くなるおそれがあるため、交渉しても地主が承諾してくれない場合は諦めた方が良い場合もあります。

借地の一部を駐車場として貸し出す際の注意点については、下記の記事で詳しく紹介しています。

借地上の建物が消滅した後に地主が交代して権利を主張できない

仮に借地上の建物が災害などで消滅した後、地主が交代してしまうと、その地主に対して借地権を主張できません。ただし、以下の内容を掲示する看板を土地上の見やすい場所へ設置すれば、2年間のみ第三者へ対抗できます。

  • 建物を特定するための必要な事項
  • 滅失があった日
  • 建物をあらたに建築する旨

(借地権の対抗力)
第十条借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。
2前項の場合において、建物の滅失があっても、借地権者が、その建物を特定するために必要な事項、その滅失があった日及び建物を新たに築造する旨を土地の上の見やすい場所に掲示するときは、借地権は、なお同項の効力を有する。ただし、建物の滅失があった日から二年を経過した後にあっては、その前に建物を新たに築造し、かつ、その建物につき登記した場合に限る。
e-Gov法令検索 借地借家法

なお、建物に関して滅失登記をしても借地権自体は失われません。

借地権のトラブルを解消する方法

借地権のトラブルが発生した場合、地主と借地権の2者間の話し合いでは解決できない場合もあります。トラブルを解消したい時は、下記のような方法も検討してみてください。

  • 不動産会社に相談する
  • 弁護士に依頼する
  • 地主に借地権を売却する

それぞれの方法について、詳しく解説していきます。

不動産会社に相談する

「底地を買い取りたい」「借地権を売却したい」といった場合は、借地権の取引実績がある不動産会社に相談すると良いでしょう。底地の査定や売却方法についての的確なアドバイスをもらえます。

買い取りの際は地主との価格面での調整が必要になりますが、不動産会社に相場を査定してもらったうえで話し合いに臨めば、根拠のある提示ができます。

借地権を売却する際は、不動産仲介業者に依頼して買主を探してもらう方法と、不動産買取業者に依頼して直接売却する方法があります。ただし、借地権の売却は簡単ではなく、時間を要します。買主側からすると借地権の扱いは面倒で、土地も建物もどちらも手に入れたいと考えるためです。

早めに借地権を売却したい場合は、借地権を専門に扱う不動産買取業者への直接売却も選択肢のひとつです。仲介で広く買主を募る方法と、買取業者に直接売却する方法にはそれぞれメリット・デメリットがあるため、自身の状況や希望スケジュールに合わせて比較検討すると良いでしょう。

なお、借地権の売却には地主の承諾が必要です。承諾に関する交渉で困った場合は、弁護士など法律の専門家に相談することをおすすめします。

弁護士に依頼する

借地権に関するトラブルが発生し、地主との話し合いが上手くいかない場合は、弁護士に依頼する方法もあります。

借地権にまつわるトラブルは多岐にわたり、地主、借地人双方に専門知識がないことで話がまとまらない場合もあります。その点、借地権を含む不動産に詳しい弁護士に依頼すれば、専門知識をもってスピーディーに解決に導いてくれます。今後起こりうるトラブルへのアドバイスなどももらえ、適切な対処ができます。

また、借地人の代理人として地主と交渉してくれるため、地主と直接やり取りする必要がなくなり、ストレスなどからも解放されるでしょう。

地主に借地権を売却する

相続などで借地権を得て、その土地に居住していない場合は、借地権を手放したいと考える人もいるでしょう。借地権の売却は不動産会社だけではなく、地主に直接売却することも可能です。

実は地主側も「底地のまま持っていても地代収入は安いのに、相続税の評価額は高くて割に合わない」と悩んでいるケースが多々あります。地主の代替わりのタイミングなどで交渉を持ちかけると、想像以上にスムーズに買い取ってもらえる可能性もあります。

ただし、売却時には建物を解体して更地にすることを求められることがほとんどです。解体費用は発生するものと考えておいた方が良いです。

また、価格面での交渉に難儀する可能性も考えられます。売却相手が地主であっても、価格面で損をしないよう、借地権に詳しい不動産会社に相場の査定を依頼したうえで交渉に臨むと良いでしょう。

借地権のトラブルを未然に防ぐ方法

借地の契約は長期にわたるため、地主との信頼関係を築いておくことが重要です。良好な関係であれば、建て替えや借地権の売却などに関する地主の承諾も得やすく、トラブルが発生しにくいといえます。

また、土地を買い取る場合は、底地の相場や土地の境界線などについて事前調査をしておき、計画的に進めることで、トラブルを防いで交渉にあたれるでしょう。

地主と良好な関係を築いておく

借地権のトラブルの多くは、地主と借地人の関係性が良好であれば発生しません。

実際に借地権に関する相談を受けるなかでも、日頃から地主とコミュニケーションをとっていた方は、建て替えの承諾や売却の相談がスムーズに進む傾向があります。

地主の承諾が必要である建て替えや借地権の売却、契約期間満了後の更新なども、地主と信頼関係を築けていれば、スムーズに進む可能性が高いといえます。

借地契約は数十年と長期にわたる契約期間になるため、できるだけ良い関係を築けるように心がけましょう。近隣に地主が住んでいる場合は顔を合わせる機会もあるため、挨拶をしたり、コミュニケーションをとったりしておくとお互いに気持ちの良い関係でいられます。地主が遠方に住んでいる場合は、年賀状や暑中見舞いのハガキを出すなど、ちょっとした工夫でコミュニケーションがとれるでしょう。

なお、土地を買い取りたい気持ちがある場合は、事前に地主に「売却する際は、買い取りも検討するので教えてほしい」と伝えておくのがおすすめです。

ここで大事なのは、伝えるタイミングです。地主との関係が良好なうちに、あくまで「将来的な話として」さりげなく伝えておくのがポイントです。切羽詰まった状態で「買いたい」と切り出すと、足元を見られて不利な条件を提示されるリスクもあります。

普段から地主とコミュニケーションをとって良好な関係を築けていれば、地主側から売却話をもちかけてくれる場合もあります。

土地を買い取る場合は事前調査をしておく

地主から土地を買い取る場合は、事前調査や準備が重要です。地主が買い取りを了承したからといって焦って交渉にあたると、地主からの心証を損ねたり、不利な条件になったりするおそれがあります。

まず、土地の価格相場をきちんと調べておきましょう。土地の買い取りでは価格交渉があるため、相場を知っておくことが重要です。高すぎる額を提示すれば地主が不信感をもつ可能性があります。もちろん低すぎる額では損をすることになるでしょう。不動産会社に依頼し、相場を調査したうえで地主に提示するなど、双方が納得できるように交渉を進めると良いでしょう。

また、借地に何軒か建物が建っている場合は土地が1筆になっていて、買い取った際に分筆登記が必要になる場合もあります。境界線が曖昧なまま買い取りすれば、後々トラブルが発生するおそれもあります。こういった土地では土地家屋調査士へ依頼し、地主と借地人で境界を確認するといった作業が発生することを覚えておきましょう。

借地権トラブルを回避するための基本知識まとめ

借地権トラブルを回避するには、地主・借地人ともに借地権に関する基本的な知識を知っておくのが近道です。お互いに借地権について理解していれば、不法な契約や主張を無理にすることもなくなるでしょう。

借地権は、「旧法借地権か新法借地権か」「どの種類の借地権を設定しているか」によって、契約期間や更新面などで違いが出てきます。最後に、借地権トラブルを回避するための借地権の基本知識をまとめました。

普通借地権と定期借地権の種類と違いを知る

新法借地権では、普通借地権と定期借地権の2種類が存在します。加えて、旧法借地権の借地契約を結んでいるときは、原則としてこれからも旧法借地権が適用されます。借地権の種類は更新関係のトラブルにかかわってくる部分なので、しっかり内容を確認しておきましょう。

普通借地権は原則として更新する

普通借地権は、旧法借地権と同じく契約の更新ができる借地権です。契約期間は30年以上で設定でき、契約期間を定めていないときは30年になります。また、30年未満の契約だと無効になります。

両者の合意や正当な理由による更新拒否がなければ、半永久的に土地の更新がおこなわれるのが原則です。1回目の更新は契約期間20年以上、2回目以降は10年以上で設定します。

定期借地権は「50年以上」「10~50年未満」で契約終了とできる

定期借地権は、借地借家法にて新しく制定された「一定期間を経たら更新せずに地主へ土地を返還する借地権」です。一定期間が経ったら契約更新せずに地主の元へ土地が返ってくるので、地主側にとって有利な借地権と言えます。

また原則として、借地人が「建物買取請求権(借地人が地主に対して建物を時価で買い取るよう請求する権利)を行使できない」「建物の再建築による期間延長ができない」という旨を定めます。

定期借地権は、主に「一般定期借地権」と「事業用定期借地権」の2種類です。

一般定期借地権
契約期間を50年以上で定める定期借地権です。借地上の建物は、居住用・事業用のいずれの用途にも活用できます。

事業用定期借地権
用途が事業用のみに限定される代わりに、契約期間を10年~50年未満の間で設定できる定期借地権です。契約期間を30年~50年未満で設定すると、特約を付与しないときには借地人が建物買取請求権や再建築による期間延長などができます。

また上記のほかにも、建物譲渡特約付定期借地権や、一時使用目的定期借地権も存在します。

旧法借地権は建物の構造や期間の定めによって契約期間が変わる

旧法借地権の場合だと、新法借地権における定期借地権が存在せず、原則として借地権の更新は半永久的に継続します。契約期間は、借地上の建物構造や期間の定めの有無で変わります。

契約期間 更新後の契約期間
堅固建物(鉄筋コンクリート造)
期間の定めあり
30年以上で定めた期間 30年
堅固建物(鉄筋コンクリート造)
期間の定めなし
60年 30年
非堅固建物(木造)
期間の定めあり
20年以上で定めた期間 20年
非堅固建物(木造)
期間の定めなし
30年 20年

借地権の相続・売買価格の相場は低めになる

借地権の相続税評価額や売買価格は、一般的な不動産と比較すると相場が低くなります。借地権における土地は1つに対して「借地人の権利」と「地主の権利」の2つが存在しており、借地権はあくまで借地人側の権利のみだからです。

たとえば更地における借地権の相続税評価額は、自用地評価額に対して借地権割合が乗じられます。もし借地権が60%だと、自用地評価額1,000万円でも、借地権の評価額は600万円になります。

また借地権は、「完全所有権の土地を得られない」「地主とのトラブルが想定される」などの理由で需要が低く、売買価格も低めになるのが一般的です。

実際に弊社の実務でも、借地権付き建物の売買価格は、同等条件の所有権付き物件と比べて2〜4割程度低くなるケースが多い印象です。さらに、地主との関係が悪化しているケースや、契約書が残っていないケースでは、買い手がさらに限定され、価格がより下がりやすい傾向があります。

地代の相場は土地価格の2~5%が目安になる

借地権が設定されている土地の地代(借地料)は、固定資産税・都市計画税の合計額の3〜5倍程度が目安です。更地価格を基準とする場合は、1.5〜3%程度(住宅地の場合)となります。

弊社へのご相談でも「今の地代が適正なのかわからない」というお声は非常に多いです。

地代の相場は周辺の地代水準や固定資産税の額をもとに判断するのが一般的ですが、長期間据え置きになっているケースでは、相場と大きくかけ離れていることもあります。

地代が適正かどうか不安な場合は、周辺の類似物件の地代を不動産会社に確認してもらうだけでも、交渉の材料になるでしょう。

まとめ

借地権においては地主の立場が強いため、地主の決定には必ず従わなければならないと感じますが、決してそういうわけではありません。建て替えや売却などは地主の承諾が必要になりますが、借地借家法(旧法)は立場の弱い借地人を保護する内容になっているため、地主が無理な立ち退きを迫るなどはできません。

法律上、借地人の権利も認められているので、弁護士を通して地主と交渉したり、裁判所に判断を仰ぐことで不利益を被る事態は避けられます。

「地主が言うからきっとそうなのだろう」と思い込んで、要求を受け入れることで思わぬ損をしてしまうおそれもあります。

実際に弊社に寄せられるご相談でも、「地主の要求をそのまま受け入れた結果、後から不利な条件だったと気づいた」というケースは少なくありません。筆者の体感では、借地権のトラブルで最初に専門家に相談していれば防げたであろうケースは、全体の半数以上にのぼる印象です。

借地権のトラブル発生時、自己判断が難しいときや困ったときは、状況が悪化する前に不動産会社や弁護士へ早めに相談しましょう。

借地権の問題は放置するほど選択肢が狭まりやすいため、「まだ大丈夫」と思っているうちに動き出すことが、結果的に最善の対処につながります。

借地に関するコラムはこちら

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    更新日 : 2025年11月07日
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