借地権の更新に伴う更新料については、法律上の支払義務は原則としてありません。しかし、場合によっては支払いが求められることがあります。
以下の表は、更新料の支払い義務が裁判でも認められる可能性が高い代表的なケースをまとめたものです。
| 支払い義務が認められるケース |
内容 |
| 契約書に明記されている場合 |
借地権契約書に更新料の金額や支払い条件が記載され、借地人・地主双方が合意(押印)している場合。裁判でも支払い義務が認められる可能性が高いです。 |
| 合意更新の場合 |
更新契約の一部として更新料の支払いが合意されている場合。合意内容により裁判で認められることがあります。 |
| 過去に支払い実績がある場合 |
以前の更新時に借地人が更新料を支払っていた場合。ただし、過去の支払い実績のみで義務が生じるわけではなく、総合的に判断されます。 |
一方、契約書に明記がなく、口頭合意や過去の支払い実績もない場合、法定更新による更新料請求は原則として裁判で認められていません。そのため、法的には必ずしも支払い義務があるとはいえませんが、「義務がない=支払わなくてよい」と単純に考えるのは注意が必要です。更新料の支払いを拒否したことで地主との関係が悪化し、将来の建て替え承諾や借地権の売却時に協力が得られなくなるケースは実務上少なくありません。法的義務の有無だけでなく、ご自身の契約内容や地主との関係性を踏まえて総合的に判断されることをおすすめします。
更新料の金額は地域や契約条件により異なりますが、一般的には借地権価格の5%程度が目安とされています。場所によっては3%程度から10%程度まで幅がありますが、東京都内では更地価格の2〜3%、あるいは借地権価格の5%前後で算定されるケースが多く見られます。借地権価格は、国税庁の公表する「路線価」と「借地権割合」に土地の面積を掛け合わせて算出できます。
例えば、借地権価格が600万円で更新料の割合が5%であれば、更新料は30万円となります。
更新料の支払いが困難な場合は、地主に分割払いや延納を相談することが考えられます。どうしても支払えない場合は、地主の承諾を得たうえで借地権を第三者に売却する方法もありますが、住み替えなど大きな決断が必要となります。
更新料の適正な金額や法的な判断について不安がある場合は、弁護士や不動産の専門家に相談することで、裁判上のリスクや交渉方法について適切なアドバイスを受けることが可能です。
本記事では、契約上の支払い義務や裁判で認められるケース、更新料の計算方法や支払いが難しい場合の対処法まで、借地権の更新料に関する基本的な知識をわかりやすく解説します。これを読めば、更新料に関するトラブルや疑問を未然に防ぐためのポイントが理解できますので、ぜひご覧ください。
借地権の更新料とは
借地権の更新料とは、借地の賃貸契約の更新時に支払うお金を指します。
更新料の支払いは法律で義務づけられたものではありません。しかし、契約書に更新料の支払いが明記されていたり、貸主と借主の間で合意していたりする場合は、更新料を支払わなければなりません。
なお、賃貸契約の更新の時期は「借地法」「借地借家法」で異なります。
平成4年7月31日以前に契約した借地には「借地法」が適用され、堅固な建物は30年、それ以外は20年ごとに更新が必要となります。
平成4年8月1日以降に契約した借地には「借地借家法」が適用され、初回の契約期間は30年、1回目の更新後は20年、2回目以降は10年ごとに更新が必要となります。
貸主と借主の間で上記期間より長い期間を定めた場合にはその期間が適用されます。更新料の取り決めがあれば、それぞれの更新のタイミングで更新料の支払いが発生します。
なお、実務上は借地法が適用される古い契約が多く、契約書に更新料の定めがないまま長年続いているケースも珍しくありません。そのような場合に更新時期が近づいて初めて「更新料を支払うべきか」が問題になるご相談は、不動産の現場でもよく見られます。
借地権の更新料の支払いに法的義務はない
更新料とは、期間満了となった契約を更新する際、借主が貸主に支払う金銭です。
借地法や借地借家法では、更新料の支払いは法律で義務付けられているものではありません。そのため、更新料は必ずしも払う必要はないというのが法的な解釈になります。
しかし、実務ではこの原則どおりに判断されるケースばかりではありません。
たとえば、契約書に更新料の定めがある場合や、これまでの更新時に支払いが行われてきた場合には、更新料の支払いが前提として扱われることも多くあります。
また、更新時は地主との関係性や、建て替え・売却といった今後の利用にも影響するため、単に「払うか・払わないか」だけで判断すると、後のトラブルにつながる可能性もあります。
弊社の所感としても、「更新料は法律上払わなくてもよい」という情報だけが一人歩きしてしまい、結果として地主との関係が悪化してご相談に来られる方が一定数いらっしゃいます。法的義務がないことと、実務上払わなくてよいかは別の問題ですので、ご自身の契約内容や地主との関係性を踏まえて判断されることをおすすめします。
借地権の更新料の支払いが認められるケース
裁判所の判例などを見ると、更新料を支払わなければならないケースもあります。
次の3つのケースでは、更新料を支払わなければならない可能性が高いです。
- 契約書に更新料の支払いが明記されているケース
- 両者に支払いの合意があるケース
- 過去に更新料の支払いがあるケース
上記の3つが代表的なケースですが、たとえば明確な書面がなくても、当事者間の行動や経緯から「黙示の合意」があったと裁判所に認定される場合もあります。いずれにしても、更新料の取り扱いは個別の契約内容や経緯に左右されるため、契約時には貸主・借主間でしっかり確認をしておくことが重要です。
各ケースについて、詳しい内容を解説していきます。
1.契約書に更新料の支払いが明記されているケース
貸主・借主両者の署名と押印のある契約書に更新料の支払いが明記されている場合、更新料を支払うことに合意していると判断されます。
そのため、契約書に更新料の支払いが明記されているケースでは更新料を支払う必要があります。
弊社が提携する司法書士によると、借地権の契約書は古いものだと手書きで記載されていることもあり、「更新料に関する条項を見落としていた」というケースは実務上珍しくないとのことです。特に相続で引き継いだ方は、契約書の読み方自体がわからないこともあるため、専門家に確認してもらうことを推奨されています。
トラブルを防ぐためにも、契約する際には契約書をきちんと確認しておきましょう。
2.両者に支払いの合意があるケース
契約書に更新料の支払いの明記がない場合でも、合意更新などで両者に支払いの合意がある場合は、更新料を支払います。
原則として、支払いの合意は口約束でも成立しますが、証明できるものがないとトラブルの原因となりかねません。
実務上注意が必要なのは、契約書に「相当の更新料を支払う」とだけ記載されているケースです。東京高裁の判例でも、このような曖昧な表現では金額についての確定的な合意があるとはみなされず、支払い義務が認められないと判断された事例があります。
弊社への相談でも、「契約書には更新料の記載があるが金額が書いていない」というケースは非常に多いのが実情です。こうした場合は提携する弁護士を通じて契約内容の法的な位置づけを確認することをおすすめしています。
更新料について貸主・借主で話し合い、書面で取り決めを明確にしておきましょう。
3.過去に更新料の支払いがあるケース
「過去に支払った実績」だけで、次回の更新料の義務が決まるわけではありません。法律上、更新料の支払い義務は「慣習」ではなく「合意(契約)」に基づきます。まずは手元の賃貸借契約書に更新料に関する条項があるかを確認しましょう。契約書に記載がないのに請求された場合は、過去の経緯にかかわらず、改めて話し合いや交渉の余地があります。
借地権の更新料を支払ったほうがよいケース
借地権の更新料を自主的に支払うことで、メリットを得られるケースもあります。
例えば、次のような場合では、借地権の更新料を支払うことをおすすめします。
- 裁判などのトラブルを避けたい場合
- 貸主との関係を良好にしておきたい場合
「訴訟回避」と「良好な関係の構築」が重要だと考える場合、更新料を支払ったほうがよいでしょう。
1.裁判などのトラブルを避けたい場合
1つ目の理由は、訴訟回避です。
借地契約では、地主が更新を拒絶するには正当事由が必要であり、更新料の未払いだけで直ちに契約が終了するわけではありません。しかし、更新料を支払うことで地主との関係が円滑になり、更新拒絶をめぐるトラブルや訴訟のリスクを実質的に低減できるという側面があります。更新料には「円満な契約継続を担保するための実務的な役割」があるといえるでしょう。
借地人が知っておきたいトラブルについては、下記の記事でも紹介しています。
2.貸主との関係を良好にしておきたい場合
もう1つの理由が、貸主との良好な関係の構築です。
借地借家法17条・19条によると、借主が建物の増築・改築・建て替え、または借地権の譲渡や転貸などを行う場合には、原則として貸主(地主)の承諾が必要であると定められています。
(借地条件の変更及び増改築の許可)
第十七条2 増改築を制限する旨の借地条件がある場合において、(中略)地主の承諾を得ることができないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、地主の承諾に代わる許可を与えることができる。
引用元 e-Gov法令検索 借地借家法第17条
(土地の賃借権の譲渡又は転貸の許可)
第十九条 借地権者が賃借権の目的である土地の上の建物を第三者に譲渡しようとする場合において、(中略)地主がその賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、地主の承諾に代わる許可を与えることができる。
引用元 e-Gov法令検索 借地借家法第19条
地主との関係が良好であれば承諾がスムーズに得られやすく、結果として手続きにかかる時間やコストを大幅に抑えることができます。逆に関係が悪化している場合、承諾が得られず裁判所への代諾許可申立てが必要になることもあり、時間的・金銭的な負担が増す可能性があります。こうした将来の手続きを見据えて、更新料を支払うことで良好な関係を維持しておくことには実務上大きな意味があります。
弊社の実務経験からも、地主との関係が良好なケースほど、借地権の売却や建て替え承諾といった場面でスムーズに進む傾向があります。逆に、「更新料を支払わなかったことで地主との関係が悪化し、建て替えの承諾がもらえなくなった」という経験をお話しされる方もいらっしゃいます。借地権を維持しながら長期的に住み続ける場合、増改築や建て替えのタイミングで地主の承諾が必要になる場面は想像以上に多いものです。
借地権の更新料の価格相場と計算方法
更新料の価格相場は、借地権価格の5%程度といわれています。具体的には下記のような計算式で相場を割り出せます。
更新料の相場=路線価×地積(土地の面積)×借地権割合×5%程度
計算方法や計算例を詳しく紹介します。
借地権の更新料の価格相場は借地権価格の5%程度
更新料の計算方法には、法律で決まったものはありません。
借地権価格の5%程度が一般的な相場とされていますが、東京都内では更地価格の2〜3%を基準に算定されることもあります。東京地裁平成27年8月18日判決でも「更地価格の2〜3%」を基準に算定した事例があり、地域や算定方法によって金額が変わる点には注意が必要です。実際のご相談でも、「提示された更新料が適正なのかわからない」という声は多く、まずはこの計算式をもとにおおよその目安を確認されることをおすすめします。
借地権の更新料における価格相場の計算方法
借地権の更新料における相場は、以下の計算式で算出できます。
更新料の相場=路線価×地積(土地の面積)×借地権割合×5%程度
路線価と借地権割合は、国税庁のホームページにある路線価図で調べられます。
都道府県をクリックし、該当する宅地の住所を選択すれば、その土地の路線価図を開くことができます。
路線価とは、その道路に面する土地1㎡あたりの価格のことです。路線価図の道路に記載されている数字が路線価です。
数字の横に記載されているA~Gまでのアルファベットは、借地権割合を表します。路線価図の上部にAなら90%、Bなら80%というように借地権割合が表示されています。
参照:「路線価図・評価倍率表」(国税庁 )
借地権割合については、下記の記事も参考にしてみてください。
借地権の更新料の計算例
では、具体例で更新料の相場を計算してみましょう。
路線価20万円、地積(土地の面積)200㎡、借地権割合60%の場合
更新料の相場=路線価20万円×地積200㎡×借地権割合60%×概ね5%程度=120万円
上記の方法はあくまで相場を簡便的に計算するものです。
貸主との関係など、個別の状況で考慮しなければならないこともあります。そのため、あくまで目安の算出方法と考えてください。
借地権の更新料の支払い方法と期限
貸主と借主で更新料を支払うことに合意すれば、借主は更新料を支払います。
支払い方法についても貸主との合意で決まり、金額によっては分割払いとなるケースもあります。また、更新料は契約期間満了前に支払うのが一般的です。
借地権の更新料の支払い方法
更新料の支払い方法については、更新料の金額や、貸主と借主の関係性などで大きく変わります。
更新料の金額が大きくない場合は、更新の前月や翌月に、地代と一緒に支払うことが多いです。
更新料の金額が高額になる場合は、貸主との相談が必要ですが、分割払いになるケースも少なくありません。
その場合は、地代と分割した更新料を毎月一緒に支払うことになります。
借地権の更新料を支払う期限
借地契約の更新は、当事者間の合意(合意更新)または借地借家法の規定(法定更新)によって成立します。更新料の支払いは更新に伴って行われるものであり、「更新料を支払ったから更新が成立する」という関係ではない点に注意が必要です。実務上は、更新の合意と併せて更新料の支払い条件を取り決めるケースが一般的ですが、更新料の支払いそのものが更新の成立要件となるわけではありません。
そのため、現在の契約期間が切れる前に更新料を支払います。
また、賃貸契約時の契約書に更新料の支払い時期が記載されている場合は、その記載された時期が支払う期限です。
例えば、契約書に「更新の翌月に地代と一緒に支払うこと」と明記されていれば、それが支払い期限となります。
支払い期限までに更新料を支払えない場合は、貸主と期限の延長や分割払いなどを相談する必要があります。
更新料を支払わずにいると、建物の増改築や借地権の売買において貸主の承諾が得られにくくなる可能性があります。また、不払いの期間が長期に及んだり、支払いの合意があるにもかかわらず正当な理由なく拒否し続けた場合には、信頼関係の破壊を理由に賃貸借契約の解除に至るおそれもあります。
最高裁昭和59年4月20日判決では、更新料の支払いが賃料の補充や契約継続の対価として「契約の重要な要素」となっている場合、その不払いは契約解除の原因となり得ると判示されました。
ただし、更新料の不払いが直ちに解除に直結するわけではありません。裁判では、不払いに至った経緯や不払い額の大きさ、それまでの当事者間の信頼関係などを総合的に考慮して、解除の可否が判断されることになります。
貸主としっかりコミュニケーションをとり、誠意をもって相談しましょう。
借地権の更新時に高額な更新料を請求されたときの対処法
借地権における更新料の相場について見てきましたが、あきらかに高額な更新料を請求された場合はどうなるのでしょうか。
弊社にご相談いただく更新料関連のお悩みの中でも、「地主から相場をはるかに超える更新料を請求された」というケースは体感として5割程度に上ります。高額請求を受けた方の多くは「これは従うしかないのか」と不安を抱えていらっしゃいますが、相場を大きく超える更新料については交渉の余地がある場合が多いのが実態です。
更新料の金額が不当に高額かどうかの判断基準として、建物賃貸借に関する最高裁判決(平成23年7月15日)が参考になります。同判決は、消費者契約法10条との関係で「更新料条項は、更新料の額が賃料の額や更新の期間等に照らし高額にすぎるなどの特段の事情がない限り有効」と判示しました。この判決は建物賃貸借(アパート等)に関するものであり、借地権の更新料に直接適用されるわけではありませんが、更新料の有効性を考える際の重要な指針として実務上も広く参照されています。
また、借地権に関する最高裁判決(昭和51年10月1日)では、更新料を支払う慣習があるとしても、慣習を根拠とした更新料の支払い義務は認められないとしています。
つまり、地域の慣習を根拠とする更新料請求については、慣習だけでは支払い義務が認められません。一方、合意に基づく更新料であっても、その金額が賃料や契約期間に照らして不相当に高額である場合には、減額や無効が認められる余地があります。
したがって、相場からかけ離れた高額な更新料については、基本的にそのまま受け入れる必要はないといえます。ただし、「高額かどうか」の判断は賃料の額や契約期間、地域の相場など個別の事情によって異なるため、自己判断で支払いを拒否するのではなく、弁護士などの専門家に相談のうえ対応されることをおすすめします。
価格の交渉や話し合いなどで、円満解決を目指すことも重要
ただし、ここで注意しなければならないのが貸主との関係です。
高額な請求でも、更新料の支払いを一方的に拒否すると、貸主との関係が悪化して生活しにくいなどのトラブルが起こるかもしれません。
一方的に拒否するのではなく、価格の交渉や話し合いをするなど、円満に解決する方法を探っていくことが重要となります。
ただし、一人で解決方法を見つけていくのは限度があり、法律の知識がない場合は適切な対処が難しいといえます。
弊社にも「弁護士に相談したら地主との関係がさらに悪化するのでは」と心配される方がいらっしゃいますが、実務上はむしろ逆です。弁護士が間に入ることで感情的な対立を避け、冷静な交渉が可能になります。弊社が提携する弁護士の所感としても、更新料の交渉は「こじれる前に相談してもらうのが一番」とのことで、早い段階での相談が選択肢を広げるポイントです。
参照:「平成23年7月15日判例」(最高裁判所)
参照:「昭和51年10月1日判例」(最高裁判所)
参照:「昭和59年4月20日判例」(最高裁判所)
まとめ
借地権の更新料について、法律上の規定はありません。しかし、契約書に更新料の支払いが明記されていれば、支払いが発生します。更新料の支払いに合意した場合や、過去に更新料の支払いがある場合も同様です。
更新料の支払いは、貸主との無用のトラブルを避けられるメリットもあるため、支払いに応じるのが無難といえます。自分であらかじめ更新料の相場を計算しておき、両者が合意できる更新料を支払うのが良いでしょう。
仮に、相場からかけ離れた高額な更新料を請求された場合、貸主との交渉が難しそうな場合は、不動産に詳しい弁護士への相談も検討してみてください。
一方で、更新料の支払いを避けたい場合や、更新料が高額で納得できない場合は、借地権を手放す選択肢も考えられます。弊社が提携する弁護士や不動産鑑定士からも、「更新料のトラブルは知識不足から生じるケースが大半」という声を聞きます。本記事の内容を参考にしていただきつつ、ご自身の契約内容に不安がある場合は、早めに専門家へ相談いただくのが最善です。特に、契約書の解釈や支払い義務の有無は個別事情によって結論が変わりうるため、一般論だけで判断されないことをおすすめします。地主への返還や第三者への売却など、状況に応じた方法がありますので、不動産の専門家や弁護士に相談しながら検討するのがよいでしょう。
借地権の更新料に関するよくある質問
借地法、借地借家法のどちらが適用されるのかわかりません。
平成4年7月31日以前に契約した借地には借地法が、平成4年8月1日以降に契約した借地には借地借家法が適用されます。
元々は借地法があったところに、新たに借地借家法が制定されたので、借地法は旧法・借地借家法は新法とも呼ばれます。
借地法と借地借家法には大きな違いがありますが、借主の権利がより強く守られているのは、実は旧法である「借地法」のほうです。
旧法は「一度貸すと土地が返ってこない」と言われるほど借主に有利な内容で、更新拒絶には非常に厳しい条件が必要でした。これに対し、平成4年に施行された借地借家法(新法)は、過度な借主保護を見直し、貸主と借主の権利バランスを整えるために制定されました。
例えば、新法では正当事由の判断要素(当事者双方の土地使用の必要性、借地の経過、土地の利用状況、立退料の申出等)が明文化され、借主保護の枠組みが整えられました。さらに「定期借地権」が導入され、契約期間満了時に更新なく確定的に契約が終了する借地権の設定が可能になるなど、土地を貸し出しやすい仕組みへと改善されています。
借地法、借地借家法それぞれの契約期間はどのくらいですか?
借地法、借地借家法の契約期間は下記の通りです。
| 種類 |
契約期間 |
| 借地法 |
・非堅固建物は20年
・堅固建物は30年
(期間の定めがある場合) |
・非堅固建物は30年
・堅固建物は60年
(期間の定めがない場合) |
| 借地借家法 |
・一律30年 |
それぞれの契約期間について、順番に見ていきましょう。
借地法の契約期間は20〜60年
借地法では、木造などの非堅固建物と鉄筋コンクリート造などの堅固建物で異なる契約期間を定めています。
期間の定めがある場合、非堅固建物は20年、堅固建物は30年となります。最初の契約が終了して更新した後の契約期間は、非堅固建物が20年以上、堅固建物が30年以上です。
上記より契約期間が短い場合や期間の定めがない場合、非堅固建物は30年、堅固建物は60年となります。
借地借家法の契約期間は一律30年
借地借家法では、非堅固建物や堅固建物の区別はありません。
原則として、借地借家法の契約期間は一律30年です。
ただし、30年より長い契約をしたい場合はその期間となります。
また、最初の契約が終了した後、契約を更新した場合の契約期間は、1度目と2度目以降で長さが異なります。1度目は20年以上、2度目以降は10年以上です。
借地法、借地借家法で更新手続きの違いはありますか?
借地法も借地借家法も原則、次の3つの場合に更新することができます。
| 合意更新 |
貸主と借主の合意による更新 |
| 更新請求による更新 |
借地権者から契約更新の請求を受けた場合による更新 |
| 法定更新 |
貸主に更新拒絶の正当事由がない場合の自動的な更新 |
上記のなかで問題になるのが、法定更新です。
貸主が契約更新を拒否できる正当事由について、借地法でも規定はあるものの、具体的な考慮要素が明記されていないため、裁判などでの争いが起こりやすいです。
借地借家法では、正当事由の判断要素が以下のように明文化されており、借主保護の枠組みが整えられています。
- 貸主が土地の使用を必要とする場合
- 借地に関するこれまでの経過
- 土地の利用状況
- 立退料の支払いなど
ただし、判断要素が明文化されているとはいえ、個別のケースにおける正当事由の有無は総合的に判断されるため、新法適用の場合でも争いが生じることはあります。不安がある場合は、借地権に詳しい弁護士に相談されることをおすすめします。