親が亡くなったり老人ホームに入ったりすると、実家が空き家になる可能性が出てきます。空き家になった、または空き家になる実家に今後も住む予定がないときは、実家の処分を検討しましょう。
田舎の実家を処分したいときは、以下4つの方法が考えられます。
田舎の実家の処分方法 |
概要 |
売却する |
まとまった金額で現金化できる
買取・仲介・空き家バンクの利用が一般的 |
貸し出す |
実家の所有権を完全に手放さず収益化できる
借地契約、賃貸契約のいずれかの方法が一般的 |
相続放棄をする |
原則として自分の意志だけで実家を手放せる
相続開始を知った日から3か月以内に手続きをする |
寄付する |
自治体に有効活用してもらう
各自治体との手続きが必要になる |
田舎の実家を処分せずに放置することには、さまざまなリスクが懸念されます。たとえば固定資産税・都市計画税や維持管理費などのランニングコストがかかる、特定空家に指定されて固定資産税最大6倍・行政代執行(建物が解体され費用を請求される)などが発生する可能性がある、近隣住民とのトラブルが発生するなどが挙げられます。
「実家が遠方の田舎にあるからとりあえず放置してもよいか」と軽く考えていると、想定を超える支出や損害賠償請求などにつながるかもしれません。田舎の実家の処分は、早めに動き始めることをおすすめします。
トラブルなく実家を処分するには、「親が生きているうちに実家を売却する」「共有名義にならないように相続する」の2つを意識するのがよいでしょう。共有者や相続人同士で争う可能性が低くなり、実家の処分がスムーズに進みます。
もし売却によって田舎の実家の処分を検討するときは、訳あり物件専門の買取業者である弊社「クランピーリアルエステート」へご相談ください。相続関係や老朽化などの問題を抱える不動産でも、適切に査定して買取します。全国対応していますので、全国どの地域にある不動産でも対応可能です。
本記事では、田舎の実家の処分方法の詳細、相続した田舎の実家を処分せずに放置するリスク、トラブルなく田舎の実家を処分するためのポイントを解説します。
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田舎の実家を処分するときに考えられる4つの方法
田舎の実家を処分するときには、「親の遺産や存命中の両親の私物整理」「実家を手放した後の取り扱い」など、さまざまなことを考慮する必要があります。所有権の状態、権利関係、現金化などを踏まえると、田舎の実家の処分で考えられる方法は以下4つです。
- 不動産を売却する(買取/仲介)
- 他者へ貸し出しする
- 相続放棄をして手放す
- 自治体へ寄付する
いずれの方法も一長一短ありますが、田舎の実家を処分する方法としては一般的です。あなたに合う処分方法を検討してみてください。以下では、それぞれの処分方法について詳細を解説します。
1. 不動産を売却する(買取/仲介)
田舎の実家は、一般の人や不動産会社からの需要があれば売却できます。売却方法は、不動産会社を活用する「買取」と「仲介」の2種類に加え、自治体が運営するサービス「空き家バンク」を合わせた3種類が挙げられます。
田舎の実家の売却方法 |
概要 |
買取 |
不動産会社が不動産を直接買い取るサービス |
仲介 |
不動産会社が売手と買手を仲介して売買契約を成立させるサービス |
空き家バンク |
自治体や自治体から委託を受けた民間企業が主体で運営するサイトなどにて、買手・貸主と売手・借主をつなげるサービス
登録した空き家情報を自治街が公開し田舎への移住を検討する買手にアプローチ |
田舎の実家を売却で処分する最大のメリットは、売買契約が成立次第、すぐに現金が手に入ることです。実家を貸し出すことで収益を得る方法もありますが、まとまったお金が一気に入ってくるのは売却ならではの特徴です。
ただし買手が見つからないまま時間が経つと、固定資産税・都市計画税や維持管理費などが継続的にかかるので注意しましょう。田舎の実家は都市部の不動産よりも買手が見つかりづらい可能性があるため、「買手から見て購入したいと思わせる魅力的な不動産であるか」を事前に分析することが大切です。
以下では、買取・仲介・空き家バンクのそれぞれのメリット・デメリットを見ていきます。
田舎の実家を買取で売却するメリット・デメリット
田舎の実家の売却を、買取業者を利用して売却するメリット・デメリットは次の通りです。
<メリット>
- 仲介のように買手を探す必要がないので数日~1か月程度のスピード売却ができる
- 老朽化や相続関係など訳あり物件でもそのまま買い取ってくれる業者が多い
- 契約不適合責任免責で売却後の修繕対応や損害賠償などのトラブルが起こらない
<デメリット>
- 仲介よりも売却価格が低くなる傾向がある
- 売却価格相場よりも低く査定される可能性がある
- 買取に対応している不動産会社が仲介よりも数が少ない
スムーズかつスピーディーに売却したい、老朽化や権利関係で問題を抱えて悩んでいるなどのケースなら、買取での売却を検討してみてください。現金化できる点や実家の状態にかかわらず売却しやすい点などを考慮すると、不動産買取による売却は、田舎の実家の処分方法としてとくにおすすめです。
田舎の実家を仲介で売却するメリット・デメリット
田舎の実家を仲介で売却するメリット・デメリットは次の通りです。
<メリット>
- 買取よりも高額で売却できる傾向にある
- 買手との交渉次第で売却価格を柔軟に変更できる
- 販促活動や売買契約などについてサポートしてくれる
<デメリット>
- 売却できるまで3~6か月以上かかる可能性がある
- 仲介手数料が発生する
- 不動産会社や老朽化・権利関係などによっては取り扱いを断られる可能性がある
田舎の実家をできる限り高額で売却したいときは、仲介での売却を検討してみてください。
田舎の実家を空き家バンクで売却するメリット・デメリット
田舎の実家を空き家バンクで売却するメリット・デメリットは次の通りです。
<メリット>
- 無料で登録・利用ができる
- 不動産情報の公開に関して自治体のサポートを受けられる
- 田舎への移住を検討している人にアプローチできる
<デメリット>
- 不動産会社が間に入らない個人間取引の場合は売買条件や契約手続きなどでトラブルになる可能性がある
- 買手が見つからないと売却できるまでに時間がかかる
- 販売活動の範囲が限定的で物件情報の周知が難しい
空き家バンクの利用は、個人間の取引なら仲介手数料はかからず、不動産会社が運営を担当する自治体は仲介手数料がかかる可能性があります。空き家バンクの詳細は、各自治体へお問い合わせください。
2. 他者へ貸し出しする
田舎の実家は、売却だけではなく他者へ貸し出して処分する方法もあります。自分が所有する不動産を貸し出す方法として、「借地(底地)」と「賃貸」の2つの手段があります。
田舎の実家の貸出方法 |
概要 |
借地 |
建物や設備を解体・撤去して更地として他者に貸し出す借地契約を結ぶ
借地人(借主)から定期的に地代を受け取る |
賃貸 |
建物を居住用の借家として他者に貸し出す賃貸借契約を結ぶ
入居者から定期的に家賃を受け取る
依頼すれば管理を管理会社に任せられる |
田舎の実家を他者へ貸し出すメリットは、実家の土地や建物の所有権を残したまま収益化できる点です。契約内容にもよりますが、必要になったときに自分の下へ実家の土地や建物を戻せる可能性があります。
また一時金として売却代金を得られる売却に対し、貸し出しは貸出期間中なら継続的に収益が出るという特徴があります。
一方で、貸し出しする相手が見つからないと収益化が一切ができないデメリットがあります。また借地・賃貸ともに、相手との契約内容や権利関係によっては、契約の解約や不動産の返還が困難になる可能性があるので注意しましょう。
すでにある程度資金に余裕がある人、田舎の実家を完全に手放すのは避けたい人などに向いている処分方法と言えます。
貸し出しをするか否かを決めるときは、「田舎の立地でも貸し出しに適しているか」「契約前後にて契約内容や入居者についてしっかりと管理できるか」などを慎重に検討してみてください。以下では、借地と賃貸それぞれのメリット・デメリットを解説します。
田舎の実家を借地にして貸し出すメリット・デメリット
田舎の実家を借地にして貸し出すメリット・デメリットは次の通りです。
<メリット>
- 更地にして貸し出すため建物・設備関係の維持管理費がかからなくなる
- 貸し出してから敷地内に建築した建物関係の管理を借地人に任せられる
- 定期借地権などで貸し出せば一定期間が経過すると自分の元に不動産が確実に戻ってくる
<デメリット>
- 建物・設備の解体費用が必要になる
- 普通借地権で契約すると実質半永久的の貸し出し、定期借地権でも数十年単位の貸し出しなど戻って来るまで時間がかかるうえに途中解約も難しい
- 土地だけを利用したい人に需要が限定されるため一般の第三者と契約を結ぶのが難しい
借地による貸し出しは、数十年単位の長期的な収益を得たい人、建物関係の維持管理を任せたい人などにおすすめの方法です。
借地とするために土地を更地にすると「住宅用地の特例」が外れて固定資産税・都市計画税が数倍に跳ね上がるので注意が必要です。
田舎の実家を賃貸にして貸し出すメリット・デメリット
田舎の実家を賃貸にして貸し出すメリット・デメリットは次の通りです。
<メリット>
- 借地として貸し出すより高い収益性を期待できる
- 住居用・事業用問わず活用の幅が広くまた短期契約もしやすいので柔軟性が高い
- 空家になった実家を取り壊さずそのまま活用できる
<デメリット>
- 賃貸物件の維持管理費や修繕・リノベーション・リフォーム代などがかかる
- 入居者との建物の取り扱いや契約関係でトラブルが起きやすい
- 入居者の使い方によっては老朽化が早まったり修繕が必要になったりする
賃貸による貸し出しは、数年程度で高い収益を挙げたい人、実家が賃貸としての需要が見込める人などにおすすめの方法です。
3. 相続放棄をして手放す
田舎の実家を相続で取得したときは、相続放棄によって実家を処分する方法があります。相続放棄とは、被相続人から相続した財産を資産・負債問わずすべて放棄し、相続人としての権利をなくすことで始めから相続人ではなくなる手続きです。
活用できるのが相続時のみと限定的ですが、自分の意思だけで手続きが完結するのが売却や貸し出しと大きな違いになります。相続放棄は、自分への相続開始を知ってから3か月以内に被相続人(ここでは実家の所有者である親)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所にて手続きが必要です。
田舎の実家を相続放棄で処分するメリット・デメリットは次の通りです。
<メリット>
- ほかの相続人の意思に左右されない、実家の売却・賃貸先を探す必要がないなど、実家の所有権をスムーズに放棄しやすい
- 親の借金や未納金などのマイナスの資産も相続しなくてよくなる
- 相続時の相続税や継続的にかかる固定資産税・都市計画税などの費用が一切支払わなくてよくなる
<デメリット>
- 現金・株式・ほかの不動産などプラスの相続財産もすべて放棄する必要がある
- 亡くなった親の負債がほかの相続人に回されるので人間関係が悪化する可能性がある
- 一度相続放棄の手続きをおこなうと撤回ができなくなる
親からの相続財産がトータルでマイナスのほうが大きい、とにかく実家の管理から開放されたいという人は、相続放棄を検討してみてください。
自分しか相続人がいない、ほかの相続人も相続放棄したなどで相続人が存在しなくなったときは、最終的に実家は国庫に帰属します(民法第239条)。
4. 自治体へ寄付する
第4の選択肢として、自治体へ寄付することで田舎の実家を処分する方法があります。 田舎の実家を自治体へ寄付するメリット・デメリットは次の通りです。
<メリット>
- 売買契約の内容や受贈者への贈与税・不動産取得税などを気にせずに処分できる
- 自治体の公益につながる可能性がある
<デメリット>
- 寄付の前提が「建物や土地を自治体で活用できること」であり実家の状態によっては寄付が断られる
- 寄付のために必要な手続きに労力がかかる
自治体へ寄付できれば固定資産税やそのほか維持管理費から開放される反面、自治体が受け付けてくれる寄付のハードルは高いのが実情です。現金化もできないため、売却や賃貸ができるならそっちのほうがおすすめです。
寄付のほかには、相続時に国へ実家の土地を返還できる「相続土地国庫帰属制度」もあります。ただし「土地のみにしなければ受け付けてくれない」「制度利用のための要件を満たした土地しか対象にならない」「負担金がかかる」といった、さまざまな条件をクリアする必要があります。
相続した田舎の実家を処分せずに放置しておくデメリット
田舎の実家を相続したとき、「処分方法が決まらずに放置してしまっている」という人は少なくありません。クランピーリアルエステートが実施した全国の男女1,000人を対象にしたアンケートでは、「実家が空き家になったらどうする?」という質問に対し、過半数の52.9%が「まだ決めていない」と回答していました。
しかし、田舎の実家を処分せずに放置すると、金銭面や管理面でのトラブルが発生する可能性が高くなります。ケースによっては、近隣住民からの損害賠償請求に発展するかもしれません。相続した田舎の実家を処分せずに放置しておくデメリットは次の通りです。
- 固定資産税や都市計画税がかかり続ける
- 特定空き家に指定されると固定資産税が6倍になる可能性がある
- 家のメンテナンスや修繕などの維持費がかかる
- 近隣トラブルに発展し、損害賠償請求を受ける可能性もある
それぞれの詳細を見ていきましょう。
固定資産税や都市計画税がかかり続ける
田舎の実家を所有し続けると、実家に対してかかる固定資産税がかかり続けます。実家が市街化区域内にある場合は、都市計画税も発生します。固定資産税・都市計画税は毎年1月1日時点で所有しているだけで発生するため、所有年数が長くなるほど多くの税金を支払わなければなりません。
地方税の種類 |
計算方法 |
固定資産税 |
実家の固定資産税評価額✕税率(原則は1.4%) |
都市計画税 |
実家の固定資産税評価額✕税率(原則は0.3%) |
たとえば、実家の固定資産税評価額が2,000万円だったときの固定資産税・都市計画税は次の通りです。
<固定資産税・都市計画税の計算例>
・2,000万円✕1.4%=固定資産税28万円
・2,000万円✕0.3%=都市計画税6万円
※住宅用地の特例が適用されているときは固定資産税が最大1/6、都市計画税が最大1/3になる
固定資産税評価額は3年に1回更新されるため同じ金額とはならないものの、実家を所有しているだけで毎年数十万円の納税が必要になるとわかります。
実家が住宅用地の特例の適用を受けているときは、固定資産税・都市計画税ともに減額措置が適用されます。ただし次で解説する特定空家に指定されて勧告を受けたり、更地にしたりなどをおこなうと住宅用地の特例の対象外になるので注意しましょう。
参考:総務省「固定資産税」
参考:総務省「都市計画税」
特定空家に指定されると固定資産税が6倍になる可能性がある
「実家を相続したけど、場所が田舎で遠いし管理が面倒くさい」と処分せずに放置していると、特定空家に指定されて固定資産税が6倍になる可能性があります。
特定空家とは、そのまま放置していると「倒壊などの保安上危険となるおそれがある状態」「著しく衛生上有害となるおそれのある状態」「適切な管理がおこなわれていないことによって著しく景観が損なっている状態」「そのほか周辺生活環境の保全を図るために放置することが不適切であると思われる状態」が認められる空き家等のことです。
空家等対策特別措置法に基づいて指定されます。
<特定空家に指定される例>
- 建物自体が破損・老朽化して崩れる可能性がある
- 汚物やゴミの放置による異臭、害虫、害獣が発生している
- 立木の繁殖、ゴミの蓄積、破損状態の放置など周囲の景観を害している
- 不審者や浮浪者の溜まり場になっている、野生の動物が住み着き鳴き声や糞尿が発生している
要するに、「管理もせずに放置したせいで危険性や有害性が発生している空き家」が特定空家です。特定空家に指定されると、以下のデメリットがあります。
- 自治体から勧告を受けると住宅用地の特例から外されて固定資産税が6倍になる
- 自治体からの是正命令にしたがわないと最大50万円の過料が課せられる
- 行政代執行(強制執行)がおこなわれると強制的な解体・撤去等および解体費用の負担となる
クランピーリアルエステートが実施したアンケートでは、「空き家を放置すると固定資産税が6倍になる可能性があることを知らなかった」と回答したのが1,000人中773人で77.3%、多くの人が知らないという結果となりました。実家の固定資産税が突然6倍になったと慌てないよう、事前に特定空家となる条件等について知っておくことが大切です。
特定空家に指定されたときは、指摘された問題点を改善されれば解除されます。万が一田舎の実家を放置して特定空家となったときは、速やかに対応しましょう。
法改正によって、特定空家に指定される前に「このままだと特定空家になる」と判断された空き家は「管理不全空家」に指定されるようになりました。管理不全空家に指定されても、住宅用地の特例の対象外になる可能性がああります
参考:NPO法人空家・空地管理センター「特定空家とは」
参考:e-Gov法令検索「空家等対策の推進に関する特別措置法」
家のメンテナンスや修繕などの維持費がかかる
田舎の実家の周辺住民とのトラブルや特定空家・管理不全空家の指定を避けるには、実家のメンテナンスや修繕などが必要です。
しかし、維持管理費として発生する費用は原則として所有者の負担となります。加えて空き家の管理には時間・労力もかかるため、実家から遠いところに住んでいる人にとっては維持管理だけでも大きな負担となるでしょう。
空き家の維持管理費として発生する税金以外の支出の例は、主に次の通りです。
費用項目 |
概要 |
相場 |
水道光熱費 |
契約が残っていると基本料金や漏えい分の料金が発生する |
年間3万円前後 |
火災保険料 |
火災に備える際に発生する |
保険の種類にもよるものの戸建ては年間1~6万円 |
地震保険料 |
地震に備える際に発生する |
建物の構造や都道府県によって年間7,300~4万1,100円が基準(保険金額1,000万円のとき) |
各種メンテナンス費用 |
除草・剪定などを依頼する際に発生する |
シルバー人材センターなら1回あたり5,000円程度
民間業者なら1回あたり1万~10万円程度 |
修繕費用 |
空き家の倒壊等を防ぐための定期的な修繕の際に発生する |
修繕の規模や施工内容によって数万円~数十万円 |
管理費用 |
空き家管理サービスなどに外部委託する際に発生する |
月額5,000~1万5,000円程度 |
ゴミの処分費 |
残っているゴミや不法投棄されたゴミの撤去で発生する |
数千円~数万円 |
交通費 |
実家から遠い場所に住んでいるほど発生する |
数千円~数万円 |
税金とトータルで考えると、空き家の所有にかかるランニングコストは年間30万~60万円程度と見積もっておくとよいでしょう。
近隣トラブルに発展し、損害賠償請求を受ける可能性もある
空き家になった実家を管理せずに放置し続けると、老朽化・破損などによる倒壊、不審者・浮浪者の滞在や不法行為、犯罪者の隠れ場所としての活用、放火といったさまざまなリスクが発生します。そのため、空き家の周辺で住んでいる住民からのクレームといった近隣トラブルに発展することも珍しくありません。
もし所有する空き家が原因の事故で他者に損害を与えると、民法第717条に基づき所有者が損害賠償責任を負います。命の危機にさらされるなどの損害となると、数千万~数億円の損害になる可能性もあります。
第七百十七条 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
2 前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。
3 前二項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。
e-Gov法令検索 民法第717条
田舎の実家をトラブルなく処分するためのポイント
田舎の実家をトラブルなく処分するためのポイントは、以下の2つです。
- 親が生きているうちに実家を売却する
- 相続するときに複数名義にすることをは避ける
それぞれの詳細を解説します。
親が生きているうちに実家を売却する
田舎の実家に親が住んでいるなど、親がまだ生きているうちに実家の売却を検討するとトラブルを防げる可能性が高くなります。親が生きているうちに田舎の実家を売却するメリットは次の通りです。
- 老朽化の進行を抑えた状態で売却できる
- 相続税や相続後の固定資産税・都市計画税を支払わずに済む
- 相続前に親と話し合えるので相続や遺品関係を事前に整理できる
- 田舎の実家が遠方にあっても親と電話などでコミュニケーションを取りながら準備を進められる
「親が老人ホームに入る、または入る予定がある」「親しか住んでいなくて親自身が売却を検討している」「相続予定の人の関係が芳しくなくトラブルが予想される」などのケースは、親が生きているうちに田舎の実家を売却することをおすすめします。
相続するときに複数名義にすることは避ける
田舎の実家を相続するときに相続人が複数存在すると、実家に対して複数人が所有権を有する共有名義になる可能性があります。もし実家が共有名義になると、以下のトラブルが想定されます。
- 実家の売却、賃貸、リフォームなどをおこなうにはほかの共有人の同意が必要になるため、共有人同士でトラブルに発展する可能性がある
- 共有名義のまま孫世代の相続になると、さらに共有者が増えて処分が難しくなる可能性がある
相続時の共有名義を避けるためには、「生前に親と話し合って単独名義となるよう遺言書を残してもらう」「遺産分割協議で単独名義になるように相続財産を分配したり代償分割・換価分割としたりする」などの対処法が考えられます。
共有名義になったとしても自分の分の所有権(共有持分)だけならほかの共有者の同意なく売却できます。
まとめ
田舎の実家を処分する方法は、「買取や仲介、空き家バンクを利用して売却する」「借地や賃貸として貸し出す」「相続放棄で手放す」「自治体に寄付する」の4つが挙げられます。いずれの方法もメリット・デメリットがあるため、実家の状況やあなたの希望を事前にしっかりと確認して決めることが大切です。
実家を空き家のまま放置すると、「年間30万~60万円以上の維持管理費がかかる」「近隣トラブルや損害賠償請求に発展する」などのリスクが発生します。そのため、田舎の実家は速やかに処分することをおすすめします。
処分を検討する際には、「親が生きているうちに売却すること」「共有名義にならないよう相続すること」を意識すると、無用なトラブルを避けやすくなるでしょう。
弊社「クランピーリアルエステート」では、相続不動産や老朽化物件、空き家などの訳あり物件を専門に買取をおこなっています。もし田舎の実家の処分についてお悩みであれば、ぜひ無料相談や無料査定から気軽にご利用ください。
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