
夫婦や親戚と共有名義の不動産をもっている人のなかには、共有名義を解消したいと考えている人も少なくありません。
なぜなら、共有名義の不動産は管理や処分に共有者との話し合いが必須であるため、売却や相続でトラブルが起こりやすいからです。
共有名義を解消する方法には、共有持分の売却といった「個人で解消できる方法」と、不動産全体の売却といった「共有者の協力が必要な方法」があります。
基本的には共有者と協力したほうが得られる利益も大きくなりますが、すぐに共有名義を解消したいなら、最短48時間でい共有持分の買取が可能な当社へぜひご相談ください。
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共有名義を解消する5つの方法
共有名義を解消する方法はいくつかあります。
以下にあげるリストは、共有名義を解消するにあたって代表的な5つの方法です。
- 1.共有持分の売却・買取
- 2.共有持分の放棄
- 3.共有物分割請求訴訟
- 4.土地の分筆
- 5.不動産全体を第三者へ売却
ちなみに、共有持分とは「その人が共有名義の不動産に対してどれだけ所有権を持っているか」という割合を示したものです。持分の割合は不動産登記簿に記載されています。
基本的には不動産の取得費用の負担によって決定し、相続や譲渡によって増減します。
【方法1】共有持分の売却・買取
共有持分は共有者それぞれの所有権であるため、他共有者の許可を得なくても売買が可能です。
そのため、自分の持分を他の共有者に売却する(持分移転)か、他の共有者の持分を自分が買い取ることで、共有名義を解消できます。
ただし、持分売買の場合、住宅ローンの融資を受けられません。通常、購入者が現金などの自己資金を用意する必要があります。
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共有持分は、共有者間だけでなく第三者へ売却もできます。共有者が売買に応じない場合、第三者への売却も検討するとよいでしょう。
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【方法2】共有持分の放棄
持分放棄とは、文字どおり自分の共有持分を放棄することです。放棄した持分は他の共有者に帰属するので、一人を残して他の共有者が持分放棄をすれば、共有名義が解消されます。
持分の売却・買取と異なる点は、持分放棄には代金の支払いが発生せず、無償でおこなわれることです。
持分放棄そのものは本人の意思表示のみで成立しますが、放棄に伴う持分移転登記は、共有者全員で法務局に申請する必要があります。
また、持分放棄は「みなし贈与」とされ、持分が帰属される人に贈与税が課税される点に注意しましょう。

【方法3】共有物分割請求訴訟
共有物分割請求訴訟とは、裁判所の裁定により不動産の共有名義を解消する訴訟のことです。
金銭による解消など、合理的な共有名義の解消方法を裁定してくれます。
共有者同士でトラブルが起こった場合や、話し合いでは共有名義の解消ができない場合に有効な方法です。
不動産所有者の1人が裁判所に提訴することで、共有物分割請求訴訟が開始されます。

【方法4】土地の分筆
共有名義の不動産が土地の場合は、分筆という方法で共有名義の解消をすることができます。分筆とは、1つの土地を共有者の数に応じて、2つ以上の土地に分けることです。
分筆が完了すると、共有名義が解消され、共有者の各人が分割した土地それぞれの単独所有者となります。
分筆する際は、土地の面積ではなく、持分に応じた価値で分ける必要があります。
土地の価値は、同じ面積でも形状や日当たり、接道面積など複数の要素で変動するので注意しましょう。

【方法5】不動産全体を第三者へ売却
手もとに不動産は残りませんが、不動産を買取業者などの第三者に売却し、現金を持分に応じて分けることで共有名義を解消する方法もあります。
ただし、共有名義不動産を第三者へ売却するには、共有者全員の同意が必要となります。共有者が1人でも反対している場合、売却できないので注意しましょう。
共有者との話し合いが難航している場合、弁護士に交渉を代行してもらうとよいでしょう。当事者だと感情的になってしまう場合でも、弁護士を挟むことで冷静に話し合える可能性があります。
共有者が「認知症」や「連絡が取れない」場合の共有持分の解消方法
ここまでは、一般的な共有名義を解消する方法について確認しました。
しかし、共有名義の解消には、一般的な方法では解決できないケースも多くあります。
ここからは、そうした特殊なケースについて見ていきましょう。
共有者が認知症の場合は「成年後見制度」を活用する
高齢化社会の現代において、認知症は身近な問題です。共有者が認知症になることも当然考えられます。認知症になった場合、不動産売却などの法律行為はできなくなります。
共有者が認知症になった場合は、成年後見制度を利用しましょう。成年後見制度とは、認知症などさまざまな理由で判断能力が不十分な人を、法律的に支援・保護するための制度です。
成年後見制度には、「任意後見制度」と「法定後見制度」の2つがあります。本人の意思決定能力や判断力の度合いによって、どちらの制度を利用するのかが決まっています。

1.任意後見制度とは?
任意後見制度は、認知症になる恐れがある場合や、認知症になっていても本人に意思決定能力や判断力が残っている場合に利用する制度です。
本人があらかじめ後見人を選び、任意後見契約を結びます。その後、意思決定能力や判断力が低下したら、後見人が契約にしたがって代理業務をおこないます。
任意後見契約を利用すれば、自身が認知症になった後、共有名義について家族・共有者を困らせるリスクがなくなります。
2.法定後見制度とは?
法定後見制度は、本人の意思決定能力や判断力が低下してから後見人を選び、さまざまな業務を代行する制度です。家庭裁判所が後見人を選任します。
被後見人の症状に応じて後見のレベルも変わり、軽度な順に「補助」「保佐」「後見」の3つのタイプに分かれます。
各タイプの後見人をそれぞれ「補助人」「保佐人」「後見人」と呼び分け、症状が重くなるにつれ後見人がおこなえる業務の範囲も広がります。
任意後見制度は「被後見人になる(予定の)人が自主的に準備する制度」ですが、法定後見制度は「家族など周囲の人が申請しておこなわれる制度」です。
共有者の所在はわかるが連絡が取れない場合は「共有物分割請求訴訟」を利用する
次に、共有者と連絡が取れない場合について解説します。共有者と疎遠になっている場合や、離婚などのトラブルを抱えている場合は、連絡しても返事がないときがあるでしょう。
共有者と話し合いができなければ、共有名義を解消できません。
解決方法としては、裁判所への訴訟となります。裁判所に共有物分割請求訴訟を提起し、裁定により共有名義を解消しましょう。
行方不明で連絡が取れない場合は「不在者財産管理人」を選任する
共有者と連絡が取れないもう1つのケースが、共有者が行方不明となっている場合です。しばらく連絡が取れず所在がわからない場合は、戸籍などから共有者の住所や居所を確認します。
それでも行方がわからない場合、家庭裁判所に対して不在者財産管理人の選任を申し立てます。
不在者財産管理人とは、家庭裁判所の監督のもと、不在者の所在や居所がわかるまで代わりに財産を管理する人のことです。財産目録を作成し、管理状況を裁判所に報告します。
共有名義を解消するためには、不在者財産管理人選任の後、裁判所に不動産売却の許可を取る必要があります。
生死が7年以上わからなければ「失踪宣告」を申し立てる
行方不明者の生死が7年以上不明の場合は、家庭裁判所に失踪宣告の申し立てをするという方法もあります。
失踪宣告をすれば、不在者は死亡したものとみなされるので、相続(遺産分割)という形で共有名義を解消できます。
また、失踪の理由が戦争や船舶の沈没、震災などの場合は、生死がわからなくなってから1年で失踪宣告が可能です。

参照:裁判所「失踪宣告」
共有者が死亡した場合の共有持分の取り扱い
次に、共有者が死亡した場合の共有持分の取り扱いについて見ていきましょう。
共有者が死亡した場合、共有者が所有していた財産はすべて相続財産になります。共有不動産の持分についても、同じく相続財産です。
つまり、相続人が共有持分を引き継ぐことになります。
相続のおおまかな流れ
共有者が死亡し、相続が起こった場合のおおまかな流れは次のとおりです。
- 相続人の確認
- 被相続人の財産の確定
- 財産の評価と遺産分割協議
- 名義変更の手続き
- 相続税の申告と納付
上記の手続きは、すべて相続人がおこないます。
友人同士、もしくは仕事上の付き合いなど、共有者との関係が親戚関係でなければ、相続に関わることはありません。「相続によって共有持分を取得した人」が、新しい共有者になるだけです。
ただし、亡くなった共有者に相続人が1人もいない場合、共有持分は他共有者へ帰属されます。
民法第255条
共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。出典:e-Govポータル「民法第255条」
1.相続人の確認
相続が開始されたら、相続人(財産を引き継ぐ人)が誰かを確定する必要があります。
相続人は、被相続人(亡くなった人)の配偶者や子供、親や兄弟姉妹が対象です。
また、被相続人の遺言で上記以外の人が相続人になることもあります。

2.被相続人の財産の確定
被相続人が、財産をどれだけもっていたかを確定します。
被相続人の財産が不明瞭な場合は、銀行の通帳や郵便物、自宅に保管している書類などから調査しなければなりません。
また、プラスの財産だけでなく、負債も相続対象です。借用書や督促状もないか確認しましょう。
3.財産の評価と遺産分割協議
相続人と財産が確定したら、次にその財産をどのように分割するのかを協議します。不動産などがある場合、分割方法を決めるために不動産の価値を評価しなければなりません。
相続人の全員が分割協議に合意すれば、遺産分割協議書を作成します。
ちなみに、遺言書が遺されていた場合、原則としてその内容どおりに遺産分割をおこないます。
ただし、相続人全員が遺言書の内容とは異なる分割を希望すれば、その限りではありません。

4.名義変更の手続き
遺産が不動産の場合、相続登記によって名義を変更する必要があります。
名義変更に期限はありませんが、不動産を死亡した人の名義にしたままだと、将来的に処分などできなくなるので、忘れず登記申請しましょう。
名義変更の登記は自分でもできますが、司法書士に依頼したほうがミスなく登記できるのでおすすめです。

5.相続税の申告と納付
相続開始から10カ月以内に、相続税の申告書を作成し、税務署へ相続税の申告と納付をおこないます。
相続税も自分で申告可能ですが、税理士と相談しながら申告書を作成したほうが確実でしょう。
間違いがあると追徴課税を課されるかもしれませんし、税理士なら個別のケースにあわせて最適な節税方法を提案してくれます。
共有名義を解消するためには遺産分割協議が重要
共有者が死亡した場合、共有名義を解消するためには、遺産分割協議が最も重要となります。
相続で「共有持分を発生させない」「共有者を増やさない」ためには、相続人が複数人いても1人に不動産や共有持分を相続させなければいけません。
しかし、相続財産の内訳によっては、綺麗に分割できない場合もありえます。
「共有者を増やさないために」と考えて妻が不動産すべてを相続しすると、子供の相続分を侵害することになってしまいます。
上記の場合、妻が子供へ相続分に応じた代償金(1,500万円)を支払えば話は解決します。しかし、そもそも子供も不動産が欲しいと言い出せば、遺産分割は余計にこじれてしまうでしょう。
遺産分割協議がまとまらない場合、調停や審判といった法定での手続きが必要となります。

相続税の納付額にも注意が必要
共有者が死亡した場合、共有持分は相続財産になります。相続財産を引き継ぐ場合には相続税がかかります。
ただし、実際には「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の基礎控除があるため、この基礎控除を超えた場合にのみ相続税が課されます。
相続税が発生すると、遺産の金額に応じて10~55%の税金がかかってきます。遺産の金額によっては、想定以上に大きな金額の相続税を納付する必要が出てくることもあるでしょう。

まとめ
共有名義を解消する方法には、さまざまなものがあります。大事なのは、自分に合った方法を選択するということです。
しかし、共有名義の解消には多くの手続きや注意点があり、不動産知識のない人にとってはむずかしく感じるでしょう。そこで、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
また、弁護士や司法書士に依頼しづらい場合は、不動産会社に相談するという手もあります。
弊社クランピーリアルエステートでも、弁護士と連携して他の共有者とトラブルにならない方法を提案できます。ぜひお気軽にご相談ださい。
共有持分のよくある質問
共有持分とは共有不動産における「共有者ごとの所有権割合」を表したものです。持分の権利割合は1/3などの数字で表記します。ちなみに共有不動産は「他人と共有している不動産そのもの」を指します。
はい、売却可能です。自分の共有持分であれば、共有者の同意がなくても売却できます。ただし、共有している不動産自体をまるごと売却するときは共有者の許可が必要です。
はい、あります。一般的な物件を扱う大手不動産会社よりも「共有持分を専門としている買取業者」へ売却したほうが高額となる可能性があります。また、離婚などで共有者同士がトラブルになっている共有持分は、弁護士と連携している専門買取業者への売却がおすすめです。→ 【弁護士と連携!】相続物件・共有持分の買取窓口はこちら
共有持分を放棄する方法があります。また、共有している不動産が土地なら、分筆という方法で土地を切り分けるのもよいでしょう。
共有持分のみの売却なら、共有者の同意は不要なので問題なく可能です。共有不動産全体の売却など、各共有者の意思確認が必須な方法は、成年後見制度を利用することで共有名義の解消ができます。