共有物分割請求の弁護士費用の目安
前提として、共有物分割請求にかかる弁護士費用は、依頼する法律事務所によって変わります。また、共有物分割請求によって利益が得られた場合、その一部も弁護士費用として原則支払わなければなりません。
依頼先や共有している不動産などに応じて費用は変わるため、「共有物分割請求にかかる弁護士費用は⚪︎円」のように断言することはできません。
あくまで目安にすぎませんが、共有物分割請求の弁護士費用は20万円〜50万円程度が相場と言われています。
ただし、この金額は比較的シンプルなケースを前提とした水準であり、以下のような事情がある場合には費用が増加する傾向があります。
- 共有者間の対立が大きい
- 不動産の評価額に争いがある
- 調停や訴訟に発展する
実務上も、相続をきっかけとした共有トラブルでは、「実家に住み続けたい共有者」と「早期に売却して現金化したい共有者」とで意向が対立したり、「提示された売却価格に納得できない」といった理由から協議が進まなくなったりするケースが多く、結果として交渉が長期化する傾向にあります。
共有物分割請求訴訟に発展すると弁護士費用がさらにかかる
あくまで共有物分割請求は、共有している不動産の分割について他の共有者と話し合うための請求です。弁護士に依頼したとしても、話し合いで解決できなければ共有物分割請求をしても不動産の分割は難しいです。
この場合、共有物分割請求訴訟を申し立てることで、裁判によって強制的に共有不動産の分割が可能です。ただし、訴訟では裁判所の判断に委ねられるため、必ずしも希望どおりの分割方法になるとは限らない点にも留意が必要です。共有物分割請求訴訟に発展した場合、さらに手続きが必要になるため、基本的には弁護士費用もその分高くなります。
共有物分割請求訴訟にかかる弁護士費用も依頼先などによって変動します。目安としては30万円〜80万円程度とされることが多いですが、事案によってはさらに高額となるケースもあります。
共有物分割請求を検討している場合、弁護士に依頼をしても共有不動産の分割が難しいような状況であれば、弁護士費用がさらにかかることを踏まえておくようにしましょう。
共有物分割請求にかかる弁護士費用の内訳
一概に弁護士費用といっても、共有物分割請求を依頼する際にはさまざまな支払いが必要です。前述した弁護士費用の相場はこれらの支払いをまとめた総額ですが、それぞれの支払いでどの程度の費用がかかるのかを把握しておくことも大切です。
共有物分割請求にかかる弁護士費用の主な内訳と、一般的な目安は以下のとおりです。
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弁護士費用
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費用相場
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相談料
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30分〜1時間あたり5,000円〜1万円程度
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着手金
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20万円〜30万円程度(事案により変動)
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報酬金
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20万円〜30万円程度、または経済的利益に応じた割合
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共有物分割請求にかかる弁護士費用の大部分は、着手金と報酬金が占めるのが一般的です。そして、共有物分割請求に関して弁護士に相談をする場合、基本的にはその時間に応じて費用がかかります。
ここからは、共有物分割請求にかかる弁護士費用について、それぞれの費用を詳しく解説していきます。
相談料:30分〜1時間あたり5,000円〜1万円程度
共有物分割請求に限った話ではありませんが、弁護士に依頼する場合、基本的にはまず相談が必要です。多くの法律事務所では「1時間⚪︎円」「30分⚪︎円」のように、時間で相談料を定めている傾向があります。
具体的な料金は法律事務所が設定しているため相談料を一概に言うことはできませんが、一般的には30分〜1時間あたり5,000円〜1万円程度が目安です。この場合、共有物分割請求に関して弁護士に3時間相談をすれば、相談料だけで3万円程がかかります。
なお、法律事務所によっては、「初回1時間のみ相談料が無料」としているケースも少なくありません。共有物分割請求の弁護士費用を少しでも抑えたい場合、初回相談が無料になる事務所を選ぶのも得策です。
着手金:20万円〜30万円程度(事案により変動)
共有物分割請求を弁護士に依頼するには、基本的に着手金を支払わなければなりません。
着手金とは、弁護士に依頼をした段階で支払う費用のことです。着手金を0円として、その分報酬金を高く設定している事務所も少数存在しますが、多くの弁護士事務所では着手金としての金額が設定されています。
共有物分割請求の手続きを進める場合、専門的な知識が必要になるうえに労力もかかります。着手金は手続きを進めるために必要な費用でもあるため、共有物分割請求を依頼する場合には基本的に支払いが必要になるのです。
具体的な料金は法律事務所によって異なりますが、共有物分割請求を依頼する場合であれば着手金20万円〜30万円程度が相場です。
ただし、詳しくは「共有物分割請求の弁護士費用を算出する方法」の見出しで解説しますが、着手金の算出方法は法律事務所によって異なり、多少複雑な計算が必要です。
「算出方法がわからない」となりかねないため、すぐに着手金の料金を知りたい場合、まずは弁護士事務所に相談をしてみるのが得策です。
報酬金:20万円〜30万円程度
弁護士費用における報酬金とは、依頼した案件の結果に応じて支払う成功報酬のことです。
弁護士に共有物分割請求を依頼した場合、何かしらの結果に至ります。共有不動産においては、協議や調停での話し合いだけで共有不動産の分割が決まったり、訴訟によって裁判所の判断で強制的に分割されたりといった具合です。
報酬金はこの結果に応じて支払う金額が決定する費用です。共有物分割請求であれば、共有持分の時価によって報酬金が決まります。
詳しい算出方法は「共有物分割請求の弁護士費用を算出する方法」の見出しで解説しますが、報酬金の目安としては20万円〜30万円程度、または経済的利益に応じた割合が一般的です。
共有物分割請求の弁護士費用を算出する方法
着手金と報酬金は依頼する法律事務所や共有不動産によって変動するため、共有物分割請求の弁護士費用は一概に断言できません。
前述した相場はあくまで目安にすぎず、実際の金額とは異なることも大いに考えられるため、共有物分割請求の弁護士費用を知っておきたい場合には、着手金と報酬金の算出方法を把握しておくのもよいでしょう。
実務上、共有物分割請求における弁護士費用(着手金・報酬金)は、依頼者が得る「経済的利益」を基準に設定されることが多く、主に以下のような算出パターンが見られます。
- 共有持分の時価の1/3をもとにする算出方法
- 共有持分の時価の5%~10%を報酬金とする算出方法
ここからは、共有物分割請求の弁護士費用を算出する2つのパターンについて、それぞれシミュレーションをしながら解説していきます。
共有持分の時価の1/3をもとにする算出方法
一部の法律事務所では、共有持分の時価の1/3を「経済的利益」とみなして費用を算出する方法が採用されています。
これは、共有物分割請求によって得られる利益が不確定であることから、一定の基準として「時価の1/3」を便宜的に用いる考え方です。
共有物分割請求における経済的利益とは、協議・調停・訴訟の結果として、最終的に依頼者が取得した財産的価値(現金・不動産持分など)を指します。
たとえば、共有不動産の売却によって現金を取得した場合や、単独所有となった場合の不動産価値などがこれに該当するのです。
この算出方法を採用している場合、経済的利益の額に応じて着手金や報酬金の割合が設定されます。
なお、以下のような割合は、現在も一部事務所で参考基準として用いられることがありますが、旧弁護士報酬基準(廃止済)に由来する目安であり、すべての事務所に当てはまるものではありません。
割合は法律事務所によって異なりますが、一般的には下記のように定められている傾向があります。
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経済的利益の額
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着手金
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報酬金
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300万円以下
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8%
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16%
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300万円を超え3,000万円以下
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5%+9万円
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10%+18 万円
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3,000万円を超え3億円以下
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3%+69万円
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6%+138万円
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3億円を超える
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2%+369万円
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4%+738万円
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ここからは、上記の割合を参考にしつつ、共有持分の時価の1/3をもとにするパターンで着手金と報酬金のシミュレーションをしていきます。共有持分の時価が「1,000万円」「3,000万円」「5,000万円」の3パターンでシミュレーションしていくため参考にしてみてください。
なお、法律事務所によっては、着手金や報酬金を算出する割合が公式サイトに掲載されていることもあります。依頼する法律事務所が決まっている場合は公式サイトを確認して、「共有持分の時価の1/3をもとにする算出方法が採用されているか」「その場合には割合はどうなっているのか」を確認しておくとよいでしょう。
共有持分の時価が1,000万円の場合のシミュレーション
ここでは、共有持分の時価が1,000万円と想定したうえで、共有持分の時価の1/3を経済的利益の額とした場合の着手金と報酬金をシミュレーションしていきます。このシミュレーションは、旧弁護士報酬基準を参考にした一例であり、実際の費用は依頼先の法律事務所や事案の難易度によって大きく異なります。
時価の1/3をもとにする算出方法であれば、共有持分の時価が1,000万円の場合、経済的利益の額は約333万円となります。その場合、着手金と報酬金は下記のように算出できます。
- 着手金:約333万円 × 5% + 9万円 = 約25.6万円
- 報酬金:約333万円 × 10% + 18万円 = 約51.3万円
- 合計:約76.9万円
※シミュレーションであるため実際の金額とは異なる場合があります。目安として参考にしてみてください。
共有持分の時価が1,000万円の場合、着手金は約25.6万円、報酬金は約51.3万円との結果になりました。
共有持分の時価が3,000万円の場合のシミュレーション
ここでは、共有持分の時価が3,000万円と想定したうえで、共有持分の時価の1/3を経済的利益の額とした場合の着手金と報酬金をシミュレーションしていきます。
時価の1/3をもとにする算出方法であれば、共有持分の時価が3,000万円の場合、経済的利益の額は1,000万円となります。その場合、着手金と報酬金は下記のように算出できます。
- 着手金:1,000万円 × 5% + 9万円 = 59万円
- 報酬金:1,000万円 × 10% + 18万円 = 118万円
- 合計:約177万円
※シミュレーションであるため実際の金額とは異なる場合があります。目安として参考にしてみてください。
共有持分の時価が3,000万円の場合、着手金は59万円、報酬金は118万円との結果になりました。
共有持分の時価が5,000万円の場合のシミュレーション
ここでは、共有持分の時価が5,000万円と想定したうえで、共有持分の時価の1/3を経済的利益の額とした場合の着手金と報酬金をシミュレーションしていきます。
時価の1/3をもとにする算出方法であれば、共有持分の時価が5,000万円の場合、経済的利益の額は約1,666万円となります。その場合、着手金と報酬金は下記のように算出できます。
- 着手金:約1,666万円 × 5% + 9万円 = 約92.3万円
- 報酬金:約1,666万円 × 10% + 18万円 = 約184.6万円
- 合計:約276.9万円
※シミュレーションであるため実際の金額とは異なる場合があります。目安として参考にしてみてください。
共有持分の時価が5,000万円の場合、着手金は約92.3万円、報酬金は約184.6万円との結果になりました。
実際に当社へご相談いただくケースでも、同じ持分価格であっても「交渉のみで解決するか」「調停・訴訟に発展するか」によって見積もりが大きく変わることが多く、事前に複数の事務所で費用感を確認することが重要です。
共有持分の時価の5%~10%を報酬金とする算出方法
実務上、共有持分の時価に対して一定割合(目安として5%〜10%程度)を報酬金として設定する料金体系を採用している法律事務所も見られます。
このような料金体系では、着手金はあらかじめ定額(例:20万円〜40万円程度)で設定されているケースが多く、報酬金は最終的に得られた経済的利益に応じて変動する仕組みです。
報酬金の割合は法律事務所ごとに異なり、5%〜10%の範囲で個別に設定されるのが一般的です。
そのため、同じ事案であっても、依頼先によって最終的な費用総額に差が生じる点には注意が必要です。実際に当社へご相談いただくケースでも、「報酬割合が低い事務所を選んだものの、着手金や最低報酬の条件により、結果的に想定より費用が高くなった」という声も一定数見られます。
また、割合が低く設定されている場合でも、最低報酬額が定められているケースや、着手金が高めに設定されているケースもあるため、単純に「割合が低い=費用が安い」とは限りません。
ここからは、このような算出方法の一例として、共有持分の時価が「1,000万円」「3,000万円」「5,000万円」の場合を想定したシミュレーションを紹介します。
共有持分の時価が1,000万円の場合のシミュレーション
ここでは、共有持分の時価が1,000万円と想定したうえで、共有持分の時価の5%〜10%を報酬金とした場合のシミュレーションをしていきます。なお、着手金については、一般的な相場である30万円を想定していきます。
- 着手金:30万円
- 報酬金:50万円〜100万円
- 合計:80万円〜130万円
※シミュレーションであるため実際の金額とは異なる場合があります。目安として参考にしてみてください。
共有持分の時価が1,000万円の場合、報酬金は50万円〜100万円で、着手金と合わせれば80万円〜130万円程度の費用がかかる結果となりました。
共有持分の時価が3,000万円の場合のシミュレーション
ここでは、共有持分の時価が3,000万円と想定したうえで、共有持分の時価の5%〜10%を報酬金とした場合のシミュレーションをしていきます。なお、着手金については、一般的な相場である30万円を想定していきます。以下はあくまで一例であり、実際の費用は法律事務所ごとの料金体系や事案の難易度によって変動します。
- 着手金:30万円
- 報酬金:150万円〜300万円
- 合計:180万円〜330万円
※シミュレーションであるため実際の金額とは異なる場合があります。目安として参考にしてみてください。
共有持分の時価が3,000万円の場合、報酬金は150万円〜300万円で、着手金と合わせれば180万円〜330万円程度の費用がかかる結果となりました。
共有持分の時価が5,000万円の場合のシミュレーション
ここでは、共有持分の時価が5,000万円と想定したうえで、共有持分の時価の5%〜10%を報酬金とした場合のシミュレーションをしていきます。なお、着手金については、一般的な相場である30万円を想定していきます。
- 着手金:30万円
- 報酬金:250万円〜500万円
- 合計:280万円〜530万円
※シミュレーションであるため実際の金額とは異なる場合があります。目安として参考にしてみてください。
共有持分の時価が5,000万円の場合、報酬金は250万円〜500万円で、着手金と合わせれば280万円〜530万円程度の費用がかかる結果となりました。
共有物分割請求をする際には弁護士費用以外にもお金がかかるケースがある
共有物分割請求をする場合、弁護士費用以外にもお金がかかることがあります。話し合いで共有不動産の分割方法が決まれば大きな費用が発生しないケースがありますが、訴訟に発展した場合は下記のような費用がかかるのが一般的です。
- 裁判費用:数万円〜十万円前後
- 不動産鑑定費用:20万円~30万円程度(※ケースによる)
共有物分割請求訴訟にかかる弁護士費用の相場が30万円〜80万円であることを踏まえれば、訴訟に発展した場合の費用総額の目安は55万円〜115万円程度といえます。
ここからは、共有物分割請求をする際に弁護士費用以外にかかる可能性がある費用について、それぞれ解説していきます。
裁判費用:数万円〜十万円前後
共有物分割請求を弁護士に依頼をしても話し合いでは解決できない場合、訴訟に発展するケースがあります。この場合、前述したように弁護士費用がさらに高くなるのが一般的ですが、加えて、裁判費用を支払わなければなりません。
裁判費用の内訳は主に印紙代と郵便切手代であり、それぞれの概要や費用相場は下記のとおりです。
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裁判費用
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概要
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費用相場
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印紙代
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裁判を申し立てる際には、訴状に印紙を貼らなければならないため、訴訟の際には印紙代が必要。
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共有している不動産の固定資産税評価額によって変動するが、3万円~5万円程度が相場。
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郵便切手代
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訴訟になった場合、共有者全員に裁判所から書面が送られる。その書面の郵便切手は基本的に原告が払う必要がある。
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他の共有者の人数で変動する。
共有者1人なら6,000〜8,000円程度、人数が1人増えるごとに2,000円程度加算される。
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共有物分割請求訴訟における裁判費用は、不動産の固定資産税評価額や共有者の人数などによって変動します。あくまで目安ですが、裁判費用として数万円〜十万円前後の費用がかかると考えておくとよいでしょう。
不動産鑑定費用:20万円~30万円程度(※ケースによる)
共有物分割請求訴訟に発展した場合、共有している不動産の正確な価値を把握するために、裁判官から不動産鑑定を命じられるケースがあります。不動産鑑定をするには鑑定士に依頼をしたうえで、鑑定費用を支払わなければなりません。
実際に当社へご相談いただく事例でも、当初は「当事者同士の話し合いで解決できる」と考えていたものの、いざ協議を進めると不動産の評価額をめぐって意見が対立し、交渉が停滞するケースが多く見受けられます。
たとえば、一方は「固定資産税評価額や路線価を基準にすべき」と主張するのに対し、もう一方は「実勢価格(市場価格)で評価すべき」と譲らず、金額に数百万円単位の差が生じることもあります。このように評価基準の違いが解消されない場合、最終的には裁判所を通じて不動産鑑定士による鑑定が必要となり、その結果として鑑定費用(20万円〜30万円程度)が新たに発生します。
さらに、鑑定結果を前提に再度協議や審理が行われるため、解決までの期間も長期化しやすく、弁護士費用も含めた総額が当初の想定を上回るケースが少なくありません。こうした背景から、共有物分割請求においては、評価方法の違いが費用増加の大きな要因となる点に注意が必要です。
不動産鑑定費用は、鑑定の難易度や鑑定士などによって異なるため一概にいえません。あくまで一般的な目安ですが、不動産鑑定費用は20万円〜30万円が相場です。
共有物分割請求の弁護士費用を少しでも抑えるための対策
ここまでで解説したように、共有物分割請求の弁護士費用は決して少額とはいえない金額になることが多いです。共有物分割請求を検討している場合「弁護士費用を少しでも抑えられないか」のように考える人もいることでしょう。
共有物分割請求の弁護士費用を少しでも抑えたい場合、下記のような対策を講じてみてください。
- 相談料がかからない法律事務所を選ぶ
- 着手金や報酬金が比較的安い弁護士に依頼する
- 弁護士ではなく司法書士に依頼する
ここからは、共有物分割請求の弁護士費用を少しでも抑えるための対策について、それぞれ詳しく解説していきます。
相談料がかからない法律事務所を選ぶ
共有物分割請求を弁護士に依頼するには、まずは担当の弁護士に相談することから始まります。前述したように、弁護士に相談すると、30分〜1時間あたり5,000円〜1万円程度の費用がかかるのが一般的ですが、なかには相談料を無料に設定している法律事務所もあります。
そのような法律事務所に依頼すれば相談料がかからないため、その分共有物分割請求の弁護士費用を抑えることが可能です。
たとえば、1時間1万円の相談料がかかる法律事務所に依頼したとします。共有物分割請求についてであれば相談が1回〜2回程度になるのが一般的であるため、この場合は1万円〜2万円の相談料がかかります。
そこで、相談料が無料の法律事務所であれば、この1万円〜2万円の費用を抑えられるのです。
相談料がかかるのかどうかについては、法律事務所の公式サイトに記載されているのが一般的です。共有物分割請求の弁護士費用を抑えたい場合、公式サイトを参考にして相談料がかからない法律事務所がないかを探してみるのがよいでしょう。
着手金や報酬金が比較的安い弁護士に依頼する
着手金や報酬金の金額は、法律事務所がそれぞれで定めています。法律事務所によってこれらの金額には差があるため、着手金や報酬金が比較的安い事務所を探すことも共有物分割請求の弁護士費用を抑える対策になります。
着手金と報酬金は、共有物分割請求の弁護士費用の大部分を占める費用です。そのため、これらの金額を抑えれば抑えるほど、共有物分割請求の弁護士費用を大きく節約できるといえます。
着手金や報酬金については公式サイトにも記載されていることがありますが、依頼者の状況によって変動するため、基本的には弁護士に相談して直接費用を尋ねるのが得策です。
また提携先の弁護士事務所によると、共有物分割請求は相手方が完全に無視を決め込んだり、行方不明であったりする場合、裁判手続きが長期化・複雑化し、結果として、着手金だけ支払って問題が解決しないリスクもあるようです。
そのため、費用面だけでなく、解決の見込みを初回の無料相談で明確に示してくれる弁護士を選ぶことも重要です。
弁護士ではなく司法書士に依頼する
共有物分割請求の依頼先は弁護士だけでなく、司法書士も選択肢の一つです。ただし、司法書士が代理人として対応できるのは、簡易裁判所の管轄となる「経済的利益が140万円以下の案件」に限られます。
ここでいう経済的利益とは、共有物分割請求によって依頼者が得る利益の額を指し、共有持分の価格や分割内容によって変動します。そのため、単純に「共有持分の価格が140万円以下であるかどうか」だけで判断できるわけではありません。
司法書士に依頼する場合、弁護士と比較して費用を抑えられる傾向がありますが、対応できる案件の範囲には制限があります。請求額が140万円を超える場合や、地方裁判所での対応が必要となるケースでは、弁護士への依頼が必要です。
費用を抑えたい場合には有力な選択肢となりますが、まずは自身のケースが司法書士で対応可能かどうかを確認することが重要です。
共有物分割請求の弁護士費用が用意できないときは法テラスの立替制度を検討する
ここまでで解説したように、共有物分割請求の弁護士費用は少額とはいえない金額であり、場合によっては合計100万円以上かかることもあります。そのため、「共有物分割請求を依頼したくても弁護士費用を用意するのが難しい」と言う人もいるかもしれません。
共有物分割請求の弁護士費用が用意できないときは、法テラスに相談することも1つの手です。
法テラスとは、国が設立した法的トラブルを解決するための総合案内所のことです。法テラスにはさまざまな制度がありますが、そのなかの1つに「代理援助」があります。
代理援助とは、経済的に余裕がない人に対して、弁護士費用の立替を行うための援助のことです。簡単にまとめれば、弁護士費用を用意するのが難しい人に対して、一時的な費用の肩代わりをする制度といえます。
立替を受けた費用は、援助決定後に月々分割で返済していく仕組みで、返済額は収入や資産の状況に応じて個別に設定されます。一般的には月5,000円〜1万円程度となるケースが多いものの、あくまで目安であり一律ではありません。
そのため、代理援助を利用すれば、費用を一括で用意できない場合であっても、共有物分割請求を弁護士に依頼することができるのです。
ただし、代理援助を利用できるのは、下記のような条件を満たしている場合です。
- 収入と資産が一定以下であること
- 裁判に発展した場合は勝訴の可能性があること
- 報復や宣伝などの目的ではないこと
参照元:法テラス「民事法律扶助業務」
法テラスでは、制度などに関する相談を電話でも受け付けています。
立替制度の条件や申請方法などを詳しく知りたい場合には、法テラスに電話で問い合わせてみるのもよいでしょう。その際には、法テラスの公式サイトを参考にしてみてください。
共有物分割請求以外に不動産の共有状態から抜け出す方法
共有物分割請求を検討している人のなかには、「共有状態から抜け出したい」と考えている人もいるかもしれません。共有状態を抜け出す方法は共有物分割請求以外にもあるため、その場合には下記のような方法も検討してみてください。
- 共有持分を買取業者に売却する
- 共有持分をほかの共有者に買い取ってもらう
- 共有者全員からの同意を得て共有不動産全体を売却する
- 共有持分を放棄する
ここからは、共有物分割請求以外に不動産の共有状態から抜け出す方法について、それぞれ詳しく解説していきます。
共有持分を買取業者に売却する
共有持分を売却することで、不動産の共有状態から離脱することが可能です。そのため、共有状態から抜け出したい場合には、共有持分を専門の買取業者に売却する方法も有効な選択肢となります。
「ほかの共有者の同意がなければ売却できないのでは」と考える方もいますが、共有持分のみであれば、他の共有者の同意がなくても単独で売却することが可能です。
これは、民法第206条と249条に基づき、所有者は法令の制限内でその財産を自由に処分できるとされているためです。共有持分は各共有者が個別に有する財産であり、自己の持分については単独で処分権を持ちます。
第二百六条 所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。
第二百四十九条 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
引用元 e-Gov「民法」
ただし、共有持分のみの売却は一般的な不動産売却と比べて買い手が限られるため、市場価格よりも低い金額での売却となるケースが多い点には注意が必要です。
「他の共有者と折り合いがつかず、不動産全体を売却できない」といった場合には、スピード重視で共有状態から離脱できる方法として検討する価値があります。
共有持分を売却するなら専門の買取業者への依頼も検討しておく
共有持分は所有権割合であるため、通常の物件のように購入したとしてもその不動産全体を自由に単独で活用することはできません。そのため、通常の物件よりも需要が低くなりやすく、一般の人に共有持分を売却するのは難しいです。
買取業者であっても必ず買い取ってもらえるとは限らないため、共有持分を売却する場合には専門業者に依頼することも検討するのがよいでしょう。
不動産買取業者のなかには、共有持分を専門とする買取業者もあります。このような買取業者であれば、買い取った共有持分を活用するノウハウがあるため、共有持分を買い取ってもらえる可能性があります。
また、スピーディーな買取にも期待でき、早ければ2日程度で共有持分を買い取ってもらえる専門業者もあります。
「共有持分を売却して共有状態から抜け出したい」と考えている場合には、専門業者に依頼するのが得策です。
共有持分をほかの共有者に買い取ってもらう
前述したように、共有持分を一般の人に買い取ってもらうのは難しい場合があります。しかし、ほかの共有者であれば、共有持分を買い取ってもらえる可能性は0ではありません。
民法252条では、共有物を「管理」する場合、共有者の持分価格の過半数が必要と定められています。共有状態の不動産においては、「賃貸借」「不動産の小規模な増改築」などが管理に該当します。
つまり、共有持分を過半数有していると、共有不動産の使用方法の決定や賃貸借契約の締結・解除などを自由に行えるようになるのです。
そのため、共有持分を買い取ることで持分価格の過半数を得られる共有者がいれば、その人に対して買取の交渉をすることで、共有持分を売却できる可能性があるといえます。
とはいえ、共有持分の買取には財力が必要です。さらに、そもそも関係性が良好でなければ共有持分の売却に関する交渉さえできないことも考えられます。実際に当社へご相談いただくケースでも、「兄弟間で共有している不動産について、長男が単独所有を希望していたものの、提示された買取価格に次男が納得できず交渉が決裂した」「そもそも相続時の感情的対立が原因で話し合い自体が進まない」といった事例は少なくありません。このように、価格面だけでなく人間関係の問題が障壁となり、スムーズに売却できないケースも多く見受けられます。
共有持分をほかの共有者に買い取ってもらうのであれば、まずは関係性が良好な共有者に相談をすることからはじめてみるのがよいでしょう。
共有者全員からの同意を得て共有不動産全体を売却する
共有物分割請求を検討している人にとっては稀なケースかもしれませんが、共有者全員から同意が得られるのであれば、共有不動産全体を売却するのも1つの手です。当然ですが、共有不動産全体を売却すれば、共有状態は解消されます。
ただし、 民法第251条で定められているように、不動産を共有している場合、物件売却の際には共有者全員からの同意が原則必要です。
そのため、共有者のうち誰か1人でも売却に反対する人がいれば、不動産全体の売却はできません。ほかの共有者と話し合いができる状態であれば、弁護士に依頼する前に共有不動産全体の売却についても話しておくのがよいでしょう。
共有持分を放棄する
自身が所有している共有持分を手放すことで、共有状態から抜け出すことが可能です。手放す方法には売却だけではなく、放棄という方法もあります。
法律上、共有持分の放棄は自分の意思だけで行うことができます。しかし実務上は、放棄した持分を他の共有者へ移す「持分移転登記」を行うために、他の共有者の協力(実印や印鑑証明書の提供)が不可欠となります。
もし同意や協力が得られない場合は「登記引取請求訴訟」などの裁判手続きが必要となり、費用や手間がかかるため、相手の同意がなくても簡単に抜け出せると安易に考えるのは危険です。
放棄された共有持分は、「帰属」という形でほかの共有者のものとなります。
共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。
引用元 e-Gov「民法第255条」
なお、放棄自体は自分の意思で行えますが、持分放棄の際には名義変更の手続きが必要です。名義変更の手続き時には、ほかの共有者の協力が必須なため注意が必要です。
ほかの共有者から協力を得られなければ、登記引取請求訴訟を起こす必要があり、費用と手間がさらにかかってしまいます。
まとめ
共有物分割請求を弁護士に依頼する場合、費用は数十万円程度が目安となりますが、事案の内容や不動産の価値、依頼する法律事務所によって大きく変動します。そのため、場合によっては相場を上回る費用がかかるケースも少なくありません。
また、話し合いで解決せず訴訟に発展した場合には、弁護士費用が増加するだけでなく、裁判費用や不動産鑑定費用などの追加負担が発生する可能性があります。結果として、総額で100万円以上となるケースも珍しくありません。
こうした費用面のトラブルを避けるためにも、依頼前の段階で「どのような費用が・どのタイミングで・いくらかかるのか」を具体的に確認しておくことが重要です。複数の法律事務所に相談し、費用や対応方針を比較検討したうえで依頼先を選ぶとよいでしょう。
また、不動産の共有状態を解消する方法は、共有物分割請求だけではありません。共有持分の売却や共有者間での買取、全体売却など、状況によっては弁護士を介さずに解決できるケースもあります。
そのため、「費用を抑えたい」「早期に共有関係を解消したい」といった場合には、自身の状況に適した方法を見極めたうえで、早い段階から専門家に相談することが解決への近道となります。
共有物分割請求の弁護士費用に関するFAQ
共有物分割請求をした場合、どのように不動産は分割されますか?
主には、「換価分割」「代償分割」「現物分割」という方法で不動産を分割します。換価分割は不動産全体を売却してその売却金額を分配する方法、代償分割は共有者の1人が不動産を取得して、共有持分に相当する精算金を分配する方法、現物分割は共有名義の不動産を物理的に分割する方法というものです。
共有物分割請求は弁護士に依頼しなくても行えますか?
共有物分割請求は、弁護士に依頼せずに本人が行うことも可能です。共有者間での協議により分割方法がまとまれば、必ずしも弁護士を介する必要はありません。
しかし、
共有物分割請求は、協議だけでなく調停や訴訟に発展するケースも多く、法律や不動産評価に関する専門的な知識が求められます。
特に、共有者同士で意見が対立している場合や、不動産の評価額に争いがある場合には、手続きが複雑化しやすいため、
トラブルを円滑に解決するためにも、弁護士などの専門家に依頼するのが一般的です。