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共有物分割請求の弁護士費用はどれくらいかかる?費用内訳・算出方法・節約の方法など徹底解説

共有物分割請求の弁護士費用はどれくらいかかる?費用内訳・算出方法・節約の方法など徹底解説

不動産を共有している人のなかには、共有状態の解消を望んでいる人もいることでしょう。そして、共有状態を解消する方法として、共有物分割請求を検討している人もいるかもしれません。

そのような場合、「共有物分割請求の弁護士費用はどれくらいかかるのだろう」と考える人もいると思います。

結論から述べれば、共有物分割請求の弁護士費用は一概に言うことはできません。弁護士費用は自身の共有持分の地価や依頼する弁護士、相談する時間など、さまざまな要因によって変動するためです。

あくまで目安に過ぎませんが、共有物分割請求の弁護士費用は20万円〜50万円程度が相場とは言われています。しかし、状況次第では100万円以上かかるケースも少なくはありません。

共有物分割請求の弁護士費用を知りたい場合、まずは弁護士費用の内訳を確認したうえで、自身の状況に照らし合わせつつ「大体どれくらいの費用がかかるのか」を調べるのが無難です。

当記事では、共有物分割請求の弁護士費用の内訳や、状況に合わせた費用のシミュレーションを紹介していきます。

また、共有物分割請求の弁護士費用を抑えるための対策についても解説していくため、共有物分割請求を検討している場合には参考にしてみてください。

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共有物分割請求の弁護士費用は20万円〜50万円程度が相場

前提として、共有物分割請求にかかる弁護士費用は、依頼する法律事務所によって変わります。また、共有物分割請求によって利益が得られた場合、その一部も弁護士費用として原則支払わなければなりません。

依頼先や共有している不動産などに応じて費用は変わるため、「共有物分割請求にかかる弁護士費用は⚪︎円」のように断言することはできません。

あくまで目安にすぎませんが、共有物分割請求の弁護士費用は20万円〜50万円程度が相場と言われています。そのため、共有物分割請求を弁護士に依頼する場合、少なくとも20万円程度の費用がかかると考えておくのが無難でしょう。

共有物分割請求訴訟に発展すると弁護士費用がさらにかかる

あくまで共有物分割請求は、共有している不動産の分割について他の共有者と話し合うための請求です。弁護士に依頼をしたとしても話し合いにすぎないため、話し合いで解決できなければ共有物分割請求をしても不動産の分割は難しいです。

この場合、共有物分割請求訴訟を申し立てることで、裁判によって強制的に共有不動産の分割が可能です。共有物分割請求訴訟に発展した場合、さらに手続きが必要になるため、基本的には弁護士費用もその分高くなります。

共有物分割請求訴訟にかかる弁護士費用も依頼先などによって変動します。一般的に、共有物分割請求の費用は訴訟になった場合の60%〜70%程度とも言われていることを踏まえれば、訴訟にかかる弁護士費用は30万円〜80万円程度になると考えられます。

共有物分割請求を検討している場合、弁護士に依頼をしても共有不動産の分割が難しいような状況であれば、弁護士費用がさらにかかることを踏まえておくようにしましょう。

共有物分割請求にかかる弁護士費用の内訳

一概に弁護士費用といっても、共有物分割請求を依頼する際にはさまざまな支払いが必要です。前述した弁護士費用の相場はこれらの支払いをまとめた総額ですが、それぞれの支払いでどの程度の費用がかかるのかを把握しておくことも大切です。

共有物分割請求にかかる弁護士費用の内訳と金額の相場をまとめましたので、参考にしてみてください。

弁護士費用 費用相場
相談料 1時間につき1万円程度
着手金 20万円〜30万円程度
報酬金 20万円〜30万円程度

共有物分割請求にかかる弁護士費用の大部分は、着手金と報酬金が占めるのが一般的です。そして、共有物分割請求に関して弁護士に相談をする場合、基本的にはその時間に応じて費用がかかります。

ここからは、共有物分割請求にかかる弁護士費用について、それぞれの費用を詳しく解説していきます。

相談料:1時間につき1万円程度

共有物分割請求に限った話ではありませんが、弁護士に依頼する場合、基本的にはまず相談が必要です。多くの法律事務所では「1時間⚪︎円」「30分⚪︎円」のように、時間で相談料を定めている傾向があります。

具体的な料金は法律事務所が設定しているため相談料を一概に言うことはできませんが、一般的には1時間につき1万円が相場であると言われています。この場合、共有物分割請求に関して弁護士に3時間相談をすれば、相談料だけで3万円がかかります。

なお、法律事務所によっては、「初回1時間のみ相談料が無料」としているケースも少なくはありません。共有物分割請求の弁護士費用を少しでも抑えたい場合、初回相談が無料になる事務所を選ぶのも得策です。

着手金:20万円〜30万円程度

共有物分割請求を弁護士に依頼するには、基本的に着手金を支払わなければなりません。

着手金とは、弁護士に依頼をした段階で支払う費用のことです。着手金を0円として、その分報酬金を高く設定している事務所も少数存在しますが、多くの弁護士事務所では着手金としての金額が設定されています。

共有物分割請求の手続きを進める場合、専門的な知識が必要になるうえに労力もかかります。着手金は手続きを進めるために必要な費用でもあるため、共有物分割請求を依頼する場合には基本的に支払いが必要になるのです。

具体的な料金は法律事務所によって異なりますが、共有物分割請求を依頼する場合であれば着手金のみで20万円〜30万円程度であるのが相場です。

ただし、詳しくは「共有物分割請求の弁護士費用を算出する方法」の見出しで解説しますが、着手金の算出方法は法律事務所によって異なり、多少複雑な計算が必要です。

「算出方法がわからない」ということにもなりかねないため、すぐに着手金の料金を知りたい場合、まずは弁護士事務所に相談をしてみるのが得策です。

報酬金:20万円〜30万円程度

弁護士費用における報酬金とは、依頼した案件の結果に応じて支払う成功報酬のことです。

弁護士に共有物分割請求を依頼した場合、何かしらの結果に至ります。共有不動産においては、協議や調停での話し合いだけで共有不動産の分割が決まったり、訴訟によって裁判所の判断で強制的に分割されたりといった具合です。

報酬金はこの結果に応じて支払う金額が決定する費用です。共有物分割請求であれば、共有持分の時価によって報酬金が決まります。

詳しい算出方法は「共有物分割請求の弁護士費用を算出する方法」の見出しで解説しますが、報酬金の目安としては20万円〜30万円程度が一般的です。

共有物分割請求の弁護士費用を算出する方法

着手金と報酬金は依頼する法律事務所や共有不動産によって変動するため、共有物分割請求の弁護士費用は一概に断言できません。

前述した相場はあくまで目安にすぎず、実際の金額とは異なることも大いに考えられるため、共有物分割請求の弁護士費用を知っておきたい場合には、着手金と報酬金の算出方法を把握しておくのもよいでしょう。

共有物分割請求の弁護士費用である着手金と報酬金は、自身が所有する共有持分の時価に比例し、下記2つのパターンで算出されます。

  • 共有持分の時価の1/3をもとにする算出方法
  • 共有持分の時価の5%~10%を報酬金とする算出方法

ここからは、共有物分割請求の弁護士費用を算出する2つのパターンについて、それぞれシミュレーションをしながら解説していきます。

共有持分の時価の1/3をもとにする算出方法

着手金と報酬金を算出するパターンとして、共有持分の時価の1/3をもとにする方法があります。少し踏み込んで説明をすれば、自身が所有する共有持分の時価の1/3を経済的利益の額として、その金額の一部を着手金や報酬金として支払います。

共有物分割請求における経済的利益とは、協議や調停、訴訟によって、最終的に依頼者が得られた権利利益の合計額のことです。

共有物分割請求によって共有不動産を分割できた場合、不動産全体または共有持分に応じた現金や財産を得られるのが一般的です。この得られた不動産や現金などが経済的利益に該当します。

共有持分の時価の1/3をもとにする算出方法を採用している法律事務所では、経済的利益の額に応じて着手金や報酬金を算出する割合が定められています。割合は法律事務所によって異なりますが、一般的には下記のように定められている傾向があります。

経済的利益の額 着手金 報酬金
300万円以下 8% 16%
300万円を超え3,000万円以下 5%+9万円 10%+18 万円
3,000万円を超え3億円以下 3%+69万円 6%+138万円
3億円を超える 2%+369万円 4%+738万円

ここからは、上記の割合を参考にしつつ、共有持分の時価の1/3をもとにするパターンで着手金と報酬金のシミュレーションをしていきます。共有持分の時価が「1,000万円」「3,000万円」「5,000万円」の3パターンでシミュレーションしていくため参考にしてみてください。

なお、法律事務所によっては、着手金や報酬金を算出する割合が公式サイトに掲載されていることもあります。依頼する法律事務所が決まっている場合は公式サイトを確認して、「共有持分の時価の1/3をもとにする算出方法が採用されているか」「その場合には割合はどうなっているのか」を確認しておくとよいでしょう。

共有持分の時価が1,000万円の場合のシミュレーション

ここでは、共有持分の時価が1,000万円と想定したうえで、共有持分の時価の1/3を経済的利益の額とした場合の着手金と報酬金をシミュレーションしていきます。

時価の1/3をもとにする算出方法であれば、共有持分の時価が1,000万円の場合、経済的利益の額は約333万円となります。その場合、着手金と報酬金は下記のように算出できます。

  • 着手金:約333万円 × 5% + 9万円 = 約25.6万円
  • 報酬金:約333万円 × 10% + 18万円 = 約51.3万円
  • 合計:約76.9万円

※シミュレーションであるため実際の金額とは異なる場合があります。目安として参考にしてみてください。

共有持分の時価が1,000万円の場合、着手金は約25.6万円、報酬金は約51.3万円との結果になりました。

共有持分の時価が3,000万円の場合のシミュレーション

ここでは、共有持分の時価が3,000万円と想定したうえで、共有持分の時価の1/3を経済的利益の額とした場合の着手金と報酬金をシミュレーションしていきます。

時価の1/3をもとにする算出方法であれば、共有持分の時価が3,000万円の場合、経済的利益の額は1,000万円となります。その場合、着手金と報酬金は下記のように算出できます。

  • 着手金:1,000万円 × 5% + 9万円 = 59万円
  • 報酬金:1,000万円 × 10% + 18万円 = 118万円
  • 合計:約177万円

※シミュレーションであるため実際の金額とは異なる場合があります。目安として参考にしてみてください。

共有持分の時価が3,000万円の場合、着手金は59万円、報酬金は118万円との結果になりました。

共有持分の時価が5,000万円の場合のシミュレーション

ここでは、共有持分の時価が5,000万円と想定したうえで、共有持分の時価の1/3を経済的利益の額とした場合の着手金と報酬金をシミュレーションしていきます。

時価の1/3をもとにする算出方法であれば、共有持分の時価が5,000万円の場合、経済的利益の額は約1,666万円となります。その場合、着手金と報酬金は下記のように算出できます。

  • 着手金:約1,666万円 × 5% + 9万円 = 約92.3万円
  • 報酬金:約1,666万円 × 10% + 18万円 = 約184.6万円
  • 合計:約276.9万円

※シミュレーションであるため実際の金額とは異なる場合があります。目安として参考にしてみてください。

共有持分の時価が5,000万円の場合、着手金は約92.3万円、報酬金は約184.6万円との結果になりました。

共有持分の時価の5%~10%を報酬金とする算出方法

報酬金を算出するパターンとして、共有持分の時価の5%〜10%を報酬金とする方法があります。このような法律事務所であれば、弁護士への着手金は30万円程度と設定されている傾向があります。

この算出方法における報酬金を決定する割合は法律事務所によって異なり、5%〜10%の範囲内で設定されています。そのため、簡単にいえば、割合が小さい法律事務所であれば、弁護士への報酬金がその分抑えることが可能です。

ここからは、共有持分の時価の5%〜10%を報酬金とする算出方法でシミュレーションをしていきます。共有持分の時価が「1,000万円」「3,000万円」「5,000万円」の3パターンでシミュレーションしていくため参考にしてみてください。

共有持分の時価が1,000万円の場合のシミュレーション

ここでは、共有持分の時価が1,000万円と想定したうえで、共有持分の時価の5%〜10%を報酬金とした場合のシミュレーションをしていきます。なお、着手金については、一般的な相場である30万円を想定していきます。

  • 着手金:30万円
  • 報酬金:50万円〜100万円
  • 合計:80万円〜130万円

※シミュレーションであるため実際の金額とは異なる場合があります。目安として参考にしてみてください。

共有持分の時価が1,000万円の場合、報酬金は50万円〜100万円で、着手金と合わせれば80万円〜130万円程度の費用がかかる結果となりました。

共有持分の時価が3,000万円の場合のシミュレーション

ここでは、共有持分の時価が3,000万円と想定したうえで、共有持分の時価の5%〜10%を報酬金とした場合のシミュレーションをしていきます。なお、着手金については、一般的な相場である30万円を想定していきます。

  • 着手金:30万円
  • 報酬金:150万円〜300万円
  • 合計:180万円〜330万円

※シミュレーションであるため実際の金額とは異なる場合があります。目安として参考にしてみてください。

共有持分の時価が3,000万円の場合、報酬金は150万円〜300万円で、着手金と合わせれば180万円〜330万円程度の費用がかかる結果となりました。

共有持分の時価が5,000万円の場合のシミュレーション

ここでは、共有持分の時価が5,000万円と想定したうえで、共有持分の時価の5%〜10%を報酬金とした場合のシミュレーションをしていきます。なお、着手金については、一般的な相場である30万円を想定していきます。

  • 着手金:30万円
  • 報酬金:250万円〜500万円
  • 合計:280万円〜530万円

※シミュレーションであるため実際の金額とは異なる場合があります。目安として参考にしてみてください。

共有持分の時価が5,000万円の場合、報酬金は250万円〜500万円で、着手金と合わせれば280万円〜530万円程度の費用がかかる結果となりました。

共有物分割請求をする際には弁護士費用以外にもお金がかかるケースがある

共有物分割請求をする場合、弁護士費用以外にもお金がかかることもあります。話し合いで共有不動産の分割方法が決まればほかの費用はかからない傾向がありますが、訴訟に発展した場合は下記のような費用がかかるのが一般的です。

  • 裁判費用:5万円程度
  • 不動産鑑定費用:20万円~30万円程度

共有物分割請求訴訟にかかる弁護士費用の相場が30万円〜80万円であることを踏まえれば、訴訟に発展した場合の費用総額の目安は55万円〜115万円程度といえます。

ここからは、共有物分割請求をする際に弁護士費用以外にかかる可能性がある費用について、それぞれ解説していきます。

裁判費用:5万円程度

共有物分割請求を弁護士に依頼をしても話し合いでは解決できない場合、訴訟に発展するケースがあります。この場合、前述したように弁護士費用がさらに高くなるのが一般的ですが、さらに裁判費用を支払わなければなりません。

裁判費用の内訳は主に印紙代と郵便切手代であり、それぞれの概要や費用相場は下記のとおりです。

裁判費用 概要 費用相場
印紙代 裁判を申し立てる際には、訴状に印紙を貼らなければならないため、訴訟の際には印紙代が必要。 共有している不動産の固定資産税評価額によって変動するが、3万円~5万円程度が相場。
郵便切手代 訴訟になった場合、共有者全員に裁判所から書面が送られる。その書面の郵便切手は基本的に原告が払う必要がある。 他の共有者の人数で変動する。

共有者1人なら6,000〜8,000円程度、人数が1人増えるごとに2,000円程度加算される。

共有物分割請求訴訟における裁判費用は、不動産の固定資産税評価額や共有者の人数などによって変動します。あくまで目安ですが、裁判費用として5万円程度の費用がかかると考えておくとよいでしょう。

不動産鑑定費用:20万円~30万円程度

共有物分割請求訴訟に発展した場合、共有している不動産の正確な価値を把握するために、裁判官から不動産鑑定を命じられるケースがあります。不動産鑑定をするには鑑定士に依頼をしたうえで、鑑定費用を支払わなければなりません。

不動産鑑定費用は、鑑定の難易度や鑑定士などによって異なるため一概にいえません。あくまで一般的な目安ですが、不動産鑑定費用は20万円〜30万円が相場です。

共有物分割請求の弁護士費用を少しでも抑えるための対策

ここまでで解説したように、共有物分割請求の弁護士費用は決して少額とはいえない金額になることが多いです。共有物分割請求を検討している場合「弁護士費用を少しでも抑えられないか」のように考える人もいることでしょう。

共有物分割請求の弁護士費用を少しでも抑えたい場合、下記のような対策を講じてみてください。

  • 相談料がかからない法律事務所を選ぶ
  • 着手金や報酬金が比較的安い弁護士に依頼する
  • 弁護士ではなく司法書士に依頼する

ここからは、共有物分割請求の弁護士費用を少しでも抑えるための対策について、それぞれ詳しく解説していきます。

相談料がかからない法律事務所を選ぶ

共有物分割請求を弁護士に依頼するには、まずは担当の弁護士に相談することから始まります。前述したように、弁護士に相談すると1時間につき1万円程度の費用がかかるのが一般的ですが、なかには相談料を無料に設定している法律事務所もあります。

そのような法律事務所に依頼すれば相談料がかからないため、その分共有物分割請求の弁護士費用を抑えることが可能です。

たとえば、1時間1万円の相談料がかかる法律事務所に依頼したとします。共有物分割請求についてであれば相談が1回〜2回程度になるのが一般的であるため、この場合は1万円〜2万円の相談料がかかります。

そこで、相談料が無料の法律事務所であれば、この1万円〜2万円の費用を抑えられるのです。

相談料がかかるのかどうかについては、法律事務所の公式サイトに記載されているのが一般的です。共有物分割請求の弁護士費用を抑えたい場合、公式サイトを参考にして相談料がかからない法律事務所がないかを探してみるのがよいでしょう。

着手金や報酬金が比較的安い弁護士に依頼する

着手金や報酬金の金額は、法律事務所がそれぞれで定めています。法律事務所によってこれらの金額には差があるため、着手金や報酬金が比較的安い事務所を探すことも共有物分割請求の弁護士費用を抑える対策になります。

着手金と報酬金は、共有物分割請求の弁護士費用の大部分を占める費用です。そのため、これらの金額を抑えれば抑えるほど、共有物分割請求の弁護士費用を大きく節約できるといえます。

着手金や報酬金については公式サイトにも記載されていることがありますが、依頼者の状況によって変動するため、基本的には弁護士に相談して直接費用を尋ねるのが得策です。

弁護士ではなく司法書士に依頼する

共有物分割請求の依頼先は、弁護士だけではありません。1件につき140万円までの案件であれば、司法書士に共有物分割請求を依頼することが可能です。

司法書士であれば、弁護士よりも費用が抑えられるのが一般的です。具体的な金額は依頼者の状況や司法書士によって異なるため、相談の際に尋ねておくのが無難です。

「共有持分が140万円以内で弁護士費用を抑えたい」といった場合、弁護士ではなく司法書士に依頼することも視野に入れておくとよいでしょう。

共有物分割請求の弁護士費用が用意できないときは法テラスの立替制度を検討する

ここまでで解説したように、共有物分割請求の弁護士費用は少額とはいえない金額であり、場合によっては合計100万円以上かかることもあります。そのため、「共有物分割請求を依頼したくても弁護士費用を用意するのが難しい」と言う人もいるかもしれません。

共有物分割請求の弁護士費用が用意できないときは、法テラスに相談することも1つの手です。

法テラスとは、国が設立した法的トラブルを解決するための総合案内所のことです。法テラスにはさまざまな制度がありますが、そのなかの1つに「代理援助」があります。

代理援助とは、経済的に余裕がない人に対して、弁護士費用の立替を行うための援助のことです。簡単にまとめれば、弁護士費用を用意するのが難しい人に対して、一時的な費用の肩代わりをする制度といえます。

法テラスの代理援助で立て替えてもらえた弁護士費用は、援助開始が決まってから分割で支払っていきます。利用後は原則3年以内に支払いが完了するように月々分割で支払いとなり、共有物分割請求で問題が解決するまでは5,000円〜1万円程度を月々返済していきます。

そのため、代理援助を利用すれば、費用を一括で用意できない場合であっても、共有物分割請求を弁護士に依頼することができるのです。

ただし、代理援助を利用できるのは、下記のような条件を満たしている場合です。

  • 収入と資産が一定以下であること
  • 裁判に発展した場合は勝訴の可能性があること
  • 報復や宣伝などの目的ではないこと

参照元:法テラス「民事法律扶助業務

法テラスでは、制度などに関する相談を電話でも受け付けています。

立替制度の条件や申請方法などを詳しく知りたい場合には、法テラスに電話で問い合わせてみるのもよいでしょう。その際には、法テラスの公式サイトを参考にしてみてください。

共有物分割請求以外に不動産の共有状態から抜け出す方法

共有物分割請求を検討している人のなかには、「共有状態から抜け出したい」のように考えている人もいるかもしれません。共有状態を抜け出す方法は共有物分割請求以外にもあるため、その場合には下記のような方法も検討してみてください。

  • 共有持分を買取業者に売却する
  • 共有持分をほかの共有者に買い取ってもらう
  • 共有者全員からの同意を得て共有不動産全体を売却する
  • 共有持分を放棄する

ここからは、共有物分割請求以外に不動産の共有状態から抜け出す方法について、それぞれ詳しく解説していきます。

共有持分を買取業者に売却する

共有持分を売却すれば、不動産の共有状態から抜け出せます。そのため、不動産の共有状態から抜け出したい場合、共有持分を買取業者に売却することも1つの手です。

なお、「ほかの共有者からの同意がないと売却できないのでは」のように考える人もいるかもしれませんが、共有持分だけであれば所有者が単独かつ自由に売却できます。

これには民法の第206条と249条が関わっており、簡単にまとめれば「自分の所有物であれば、そのすべてを自由に使用・処分ができる」ということです。

第二百六条 所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。
第二百四十九条 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
引用元 e-Gov「民法」

共有持分は共有者がそれぞれで持っている所有権割合であり、個人の所有物としてみなされます。そのため、共有持分だけであれば、ほかの共有者の同意がなくても自由に処分できるのです。

「共有者が反対していて不動産全体を売却できない」のような状態で、共有状態から抜け出すことを考えている場合には、共有持分の売却を検討してみてもよいでしょう。

共有持分を売却するなら専門の買取業者への依頼も検討しておく

共有持分は所有権割合であるため、通常の物件のように購入したとしてもその不動産全体を自由に単独で活用することはできません。そのため、通常物件よりも需要が低くなりやすく、一般の人に共有持分を売却するのは難しいです。

買取業者であっても必ず買い取ってもらえるとは限らないため、共有持分を売却する場合には専門業者に依頼することも検討するのがよいでしょう。

不動産買取業者のなかには、共有持分を専門とする買取業者もあります。このような買取業者であれば、買い取った共有持分を活用するノウハウがあるため、他社よりも積極的に共有持分を買い取ってもらえることに期待できます。

また、スピーディーな買取にも期待でき、早ければ2日程度で共有持分を買い取ってもらえる専門業者もあります。

「共有持分を売却して共有状態から抜け出したい」と考えている場合には、専門業者に依頼するのが得策です。

共有持分をほかの共有者に買い取ってもらう

前述したように、共有持分を一般の人に買い取ってもらうのは難しいです。しかし、ほかの共有者であれば、共有持分を買い取ってもらえる可能性は0ではありません。

民法252条では、共有物を「管理」する場合、共有者の持分価格の過半数が必要と定められています。共有状態の不動産においては、「賃貸借」「不動産の小規模な増改築」などが管理に該当します。

つまり、共有持分を過半数有していると、共有不動産の使用方法の決定や賃貸借契約の締結・解除などを自由に行えるようになるのです。

そのため、共有持分を買い取ることで持分価格の過半数を得られる共有者がいれば、その人に対して買取の交渉をすることで、共有持分を売却できる可能性があるといえます。

とはいえ、共有持分の買取には財力が必要です。さらに、そもそも関係性が良好でなければ共有持分の売却に関する交渉さえできないことも考えられます。

共有持分をほかの共有者に買い取ってもらうのであれば、まずは関係性が良好な共有者に相談をすることからはじめてみるのがよいでしょう。

共有者全員からの同意を得て共有不動産全体を売却する

共有物分割請求を検討している人にとっては稀なケースかもしれませんが、共有者全員から同意が得られるのであれば、共有不動産全体を売却するのも1つの手です。当然ですが、共有不動産全体を売却すれば、共有状態は解消されます。

ただし、 民法第251条で定められているように、不動産を共有している場合、物件売却の際には共有者全員からの同意が原則必要です。

そのため、共有者のうち誰か1人でも売却に反対する人がいれば、不動産全体の売却はできません。ほかの共有者と話し合いができる状態であれば、弁護士に依頼する前に共有不動産全体の売却についても話しておくのがよいでしょう。

共有持分を放棄する

自身が所有している共有持分を手放すことで、共有状態から抜け出すことが可能です。手放す方法には売却だけではなく、放棄という方法もあります。

共有持分の放棄は「持分を放棄します」と意思表示するだけで成立します。そのため、ほかの共有者に同意がない場合であっても、共有状態から抜け出すことが可能です。

放棄された共有持分は、「帰属」という形でほかの共有者のものとなります。

共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。
引用元 e-Gov「民法第255条」

なお、放棄自体は自分の意思で行えますが、持分放棄の際には名義変更の手続きが必要です。名義変更の手続き時には、ほかの共有者の協力が必須なため注意が必要です。

ほかの共有者から協力を得られなければ、登記引取請求訴訟を起こす必要があり、費用と手間がさらにかかってしまいます。

まとめ

共有物分割請求を弁護士に依頼する場合、費用相場は20万円〜50万円程度といわれています。しかし、共有持分の地価や依頼する弁護士などによって費用は変わるため、相場よりも弁護士費用が高額になるケースも少なくありません。

また、共有物分割請求訴訟に発展した場合には、さらに弁護士費用が高くなるうえに、裁判費用がかかります。場合によっては不動産鑑定費用もかかることもあり、総額100万円以上の費用が必要になることも珍しくありません。

そのため、共有物分割請求を依頼する場合、弁護士にどの程度の費用がかかるのかを最初の相談時に尋ねておくのが無難です。そのうえで、費用を比較検討して依頼する法律事務所を探すのもよいでしょう。

なお、不動産の共有状態を解消する方法は、共有物分割請求以外にもあります。なかには弁護士を通さずに共有状態の解消に期待できる方法もあるため、共有者と話し合いができる状態であれば、そのような方法を取ることも相談してみてください。

共有物分割請求の弁護士費用に関するFAQ

共有物分割請求をした場合、どのように不動産は分割されますか?

主には、「換価分割」「代償分割」「現物分割」という方法で不動産を分割します。換価分割は不動産全体を売却してその売却金額を分配する方法、代償分割は共有者の1人が不動産を取得して、共有持分に相当する精算金を分配する方法、現物分割は共有名義の不動産を物理的に分割する方法というものです。

共有物分割請求は弁護士に依頼しなくても行えますか?

簡単にいえば、共有物分割請求は「不動産の分割に関して共有者間で話し合うための請求」であるため、個人で行うことも可能です。しかし、専門的な知識が必要になるため、基本的には法律専門家に依頼するのが無難といえます。

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更新日 : 2024年11月26日
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