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共有名義の土地に関する基礎知識!持分割合の決まり方や共有のメリットデメリットも解説

土地などの不動産を複数人の名義にした状態を「共有名義」といいます。複数人いる名義人は「共有者」と呼び、共有者それぞれがもつ所有権は「共有持分」と呼びます。

基本的には相続によって親族で共有名義になるケースが圧倒的に多く、他には夫婦や親子で不動産を共同購入した場合や、離婚時の財産分与で共有名義になるケースもあります。

土地を共有名義にすることには、下記のようなメリットやデメリットがあります。

メリット デメリット
・購入費用を複数人で分けられるため、一人当たりの負担額が小さくなる
・共有者それぞれが住宅ローン控除を受けられる
・土地を売却したときに3,000万円の特別控除をそれぞれ受けられる
・相続税の負担を軽減できる
・相続で共有名義人が増えて権利関係が複雑になりやすい
・不動産全体の売却や賃貸などをする際に共有者の同意が必要
・持分だけで売却すると安くなる
・利用していないのに固定資産税などの負担が発生するなど不公平が起こりやすい
・持分だけでは相続税の物納ができない

このようにメリットとデメリットがそれぞれありますが、実際には共有名義の恩恵を受けられるのは購入や相続の時など限定的です。

一方で、売却や賃貸といったことをするには他の共有者の同意が必要ですから、単独の意思で扱えないといった不自由さがありますし、自分は使用していないのに維持費だけがかかるといった負担が付きまといます。

そのため、基本的には共有状態を解消することをおすすめしています。

共有名義の解消方法は下記の7つが挙げられます。

方法 ポイント(内容・メリット・注意点)
共有者全員の同意で物件全体を売却 相場で売れるが、1人でも反対・所在不明・判断不能者がいると進まない。
自分の持分だけを第三者へ売却 共有者の同意不要。 ただし、買い手は専門業者が中心で価格は市場相場より低い。
自分の持分を他の共有者へ売却 第三者への売却より高く売れやすい。 相手の資力が必要で、安く売ると贈与税の可能性。
他の共有者の持分を買い取り、単独名義にする 資金が必要で、価格交渉や「売りたくない」といった対立が起こり得る。
自分の持分を放棄し、他の共有者へ移す 単独で可能。 ただし売却益は得られず、放棄後に登記してもらわないと税通知が来る恐れ。
分筆(土地を複数に分けて単独名義にする) 共有者の過半数同意、境界確定、数十万円の費用が必要。価値が下がる場合も。
共有物分割請求訴訟 裁判所の判断で共有を解消。確実だが時間・費用がかかり、関係が悪化しやすい。 結果が希望通りになるとは限らない。

このように、それぞれの良し悪しがありますので、ご自身の状況に合わせて、適切な方法を選ぶと良いでしょう。なお、「手間をかけずに、共有名義の土地を素早く手放したい」といった場合は、共有持分専門の買取業者に売却するのもおすすめです。

本記事では、共有名義の土地に関する基礎情報から共有状態の解消方法、できるだけ高く売却するためのコツなどを網羅してお届けしております。すでに共有されている方も、これからされる方にも有用な情報となっておりますので、ぜひご覧ください。

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共有名義の土地は「複数人で一つの土地を共有」している状態

共有名義とは

「共有名義の土地」というのは、1つの土地を複数人が共同で所有している状態の土地のことをいいます。つまり、土地の所有権を複数の人が持っている状態です。

一般的には、夫婦、親子、相続によって兄弟・親戚と共有名義となっていることが多いです。そして、名義人それぞれが持っている所有権の割合を持分といいます。

共有名義の土地の持分割合は原則として土地取得の負担額の割合で決まる

持分の割合は、基本的に土地を所有するために出した金額の割合に応じて決まります。

共有名義の持分の割合は「土地取得のための負担額の割合」で決まる

たとえば、5,000万円の土地を所有するために、あなたが1,000万円、父親が4,000万円出して購入したとしたら、持分はあなたが1/5、父親が4/5です。

登記簿には、共有名義人の名前だけでなく、持分割合も記載されています。

具体的には、登記簿の「権利者その他の事項」のところに次のような形で登記されます。

共有名義人
 東京都○○区○○
 持分5分の4
田中 太郎

東京都○○区○○
 持分5分の1
田中 一郎

また共有名義の土地は、共有名義人がそれぞれ持分割合で土地の所有権を持っていますが「Aさんが50㎡・Bさんは25㎡」のように持分に応じた範囲の土地を所有している訳ではありません。

例えば、土地HをAさん、Bさん、Cさんの3人がそれぞれ持分1/3で所有していたとします。

このとき、土地をX・Y・Zに3等分して、AさんがXの部分、BさんがYの部分、CさんがZの部分を所有しているということではありません。

共有名義の土地であっても、すべての共有者が土地の全体を使用できます。

これは民法第249条でも、以下のように認められています。


(共有物の使用)
第二百四十九条 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
引用元 e-Gov法令検索 民法第249条

そのため、もし1/100程度の少ない持分割合であっても、共有名義人であれば土地の全体を使用できます。

ただし、土地を貸して地代を得ている場合、その収益は持分の割合に応じて受け取ることになります。

土地が共有名義になる理由

土地が共有名義になる主な理由は次の3パターンです。

  • 相続によって不動産を共有した
  • 夫婦・親子で土地を共同購入した
  • 離婚時の財産分与で共有状態になった

はじめから共有名義で土地を共同購入する場合はもちろん、もともと単独だった土地を共有名義で相続するケースもあります。

それぞれのケースについて、くわしく見ていきましょう。

相続によって不動産を共有した

土地が共有名義になる場合、もっとも多い理由は「相続による財産分与」です。

例えば、遺産分割協議で話がまとまらないときや、相続人同士の争いを避けたいときに、とりあえず法定相続分に従って分けたような場合です。

弊社にも「遺産分割がまとまらず、ひとまず法定相続分で登記した」という方からのご相談が少なくありません。相続時点では揉めたくないという気持ちから共有名義を選ぶ方が多いのですが、数年後に売却や活用の話になって初めて意見が割れる、というのがよくあるパターンです。

相続による財産で共有持分を取得する場合、持分割合は法定相続分に応じて決まります。

相続による財産分与の持分割合

また稀に、遺産の公平な分割方法だと思って、共有名義にするように遺言書で指定される方もいます。

夫婦・親子で土地を共同購入した

1人では購入資金が足りないなどの理由で、複数人でお金を出し合って土地を購入した場合、共有名義となります。

夫婦でペアローンを組んでマイホームを購入したり、親子で2世帯住宅を購入したりするときに共同購入することが多いです。

土地を共同購入した場合、持分割合は出資した金額に応じて決まります。

夫婦・親子で共同購入した場合の持分割合
例えば、3000万円の土地を購入するのに夫A・妻Bで半分ずつお金を出した場合、それぞれの持分は1/2ずつです。

・Aの持分=1/2
・Bの持分=1/2

離婚時の財産分与で共有状態になった

財産分与では、本来「どちらかが不動産を取得する」または「売却して現金を分ける」方法が一般的です。

しかし、状況によっては双方が不動産を単独では取得しづらく、話し合いの落としどころとして共有名義にするという選択がとられることがあります。

例えば次のような事情です。

  • 当面は売却せず、適切なタイミングで処分したい
  • 住宅ローンの残債があり、一方が単独で引き受けることが難しい
  • 子どもの生活環境を優先し、片方が引き続き住むため共有にしておく
  • 不動産の評価額や他の財産との按分で合意がまとまらず、一時的に共有を残す

このように、財産分与の一つの手段として共有を選ぶ例は多くはないものの、一定数存在します。

ただし、離婚後も共有状態が続くと、将来的な売却・持分調整・固定資産税の負担などについて再度協議が必要になるため、後のトラブルにつながる可能性もあります。

特に注意が必要なのが、住宅ローンの連帯債務・連帯保証です。「家は妻が住み、ローンは夫が払う」という取り決めをしたとしても、ペアローンや連帯債務で組んだ住宅ローンの契約は、離婚しても自動的に外れることはありません。これは連帯債務・連帯保証が夫婦間の合意ではなく金融機関との契約であるためです。つまり、夫がローンの支払いを滞納した場合、金融機関は連帯債務者・連帯保証人である妻に対して残債の全額を請求できます。

弊社の所感としても、離婚時に共有名義のまま残した不動産については、離婚後数年が経ってから「売りたいが相手が応じない」「連絡が取れなくなった」といった形で問題が表面化するケースが目立ちます。住宅ローンが残っている場合はなおさらリスクが大きいため、離婚時にローンの借り換えや売却による完済など、連帯債務を解消する方法をあわせて検討することが重要です。

共有名義の土地のメリット

相続で共有名義の土地を所有していたり、離婚予定の配偶者と共有名義の土地があったりする場合、「このまま共有名義の土地を所有していてよいのか」と迷う場合もあるでしょう。

土地の取り扱いを考える前に、まずは共有名義のメリット、デメリットを把握しておきましょう。

共有名義のメリットは、土地の購入資金はもちろん税金などの費用を抑えられる点です。

具体的には、下記のとおりです。

  • 土地購入費用の負担額が小さくなる
  • 共有者それぞれが住宅ローン控除を受けられる
  • 土地を売却したときに3,000万円の特別控除をそれぞれ受けられる
  • 相続税の負担を軽減できる

まずは、それぞれのメリットをくわしく解説していきます。

土地購入費用の負担額が小さくなる

共有名義で土地を取得するということは、共同購入するということです。

そのため、たとえば1,000万円の土地を購入するときに、2人で共同購入すれば、1人あたりの負担額は500万円ずつになります。

共有者それぞれが住宅ローン控除を受けられる

住宅ローン減税は、住宅ローンを利用してマイホームを新築・購入した際に受けられる減税措置です。土地のみの購入では適用されませんが、その土地に家を建てる前提であれば、土地代金も含めたローン残高が控除の対象となります。

毎年末の住宅ローン残高または自宅の取得費のどちらか少ない方の金額の0.7%最長13年間、所得税から控除されます。

夫婦でペアローンを組んでいる場合には、それぞれがローン契約をしているので、その住宅ローン残高に応じて、夫婦どちらも減税措置を受けられます。

参照:住宅ローン減税 | 国土交通省

土地を売却したときに3,000万円の特別控除をそれぞれ受けられる

マイホームを売却したときに譲渡所得から最高3,000万円の控除を受けられる特例があります。これは、マイホームの土地を売却するときにも適用されます。

つまり、夫婦や親子で自宅を共同購入して、売却するときに売却益が出たら、その共有名義人の数だけ特別控除を受けられるということです。

ただし、マイホームの売却で6,000万円を超える利益が出るケースは多くはありません。そのため、2人分の控除枠を実際にフル活用する場面は限定的です。とはいえ、都市部で長期保有していた不動産では高額な譲渡益が出ることもあり得るため、控除の存在自体は知っておいて損はないでしょう。

住宅ローンの特別控除については、こちらの記事を参考にしてください。

相続税の負担を軽減できる

共有名義の場合、単独名義よりも相続税の負担を軽減できる場合があります。

例えば、夫の単独名義の不動産の場合、夫が亡くなった際に不動産全体の評価額が課税の対象となります。一方、夫婦共有名義の不動産の場合、夫は亡くなった際に課税の対象となるのは、夫の持分のみです。

相続税の基礎控除は「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」であるため、「単独名義だと基礎控除を超えるけれど、共有名義だと基礎控除内に収まる」といったケースでは、節税になるでしょう。

共有名義の土地のデメリット

共有名義の場合、単独名義のように自由に土地を扱えません。

具体的には、下記のようなデメリットがあります。

  • 相続で共有名義人が増えて権利関係が複雑になりやすい
  • 売却がしづらい
  • 持分だけで売却すると安くなる
  • 使用していなくても固定資産税などの維持費がかかる
  • 持分だけで相続税の物納ができない

それぞれのデメリットを解説していきます。

相続で共有名義人が増えて権利関係が複雑になりやすい

共有名義の状態で相続が発生すると、さらに遺産分割で共有名義人が増えていくことになります。

たとえば、兄弟で1つの土地を共有名義で持分1/2ずつ所有していたとします。兄が亡くなって、配偶者とその子ども2人に相続が発生したときには、共有名義の土地は次のような状態になります。

相続で共有名義が増える例
兄の配偶者:持分4分の1
兄の子どもA:持分8分の1
兄の子どもB:持分8分の1
弟:持分2分の1

さらにそこから弟も亡くなって弟の配偶者と子ども1人に相続が発生したとします。すると、

兄の配偶者:持分4分の1
兄の子どもA:持分8分の1
兄の子どもB:持分8分の1
弟の配偶者:持分4分の1
弟の子どもA:持分4分の1

となって、共有名義人の数が5人まで増えます。

このように共有名義のまま土地を所有していると、相続が発生した時にネズミ算式に共有名義人が増えていき、持分が細分化されます。

その結果、権利関係も複雑になっていき、共有名義人全員の意見をまとめるということが非常に難しくなります。

実務上は、共有者が5人を超えたあたりから全員の合意形成が格段に難しくなる印象があります。連絡先がわからない方、認知症で判断能力が低下している方が1人でもいると、それだけで手続き全体が止まってしまうことも珍しくありません。

人が増えることで、所在不明の共有者が出てくることも考えられるでしょう。共有者が行方不明である場合の不動産売却については、「共有名義人が行方不明でも売却できるケース」で詳しく紹介します。

売却がしづらい

共有名義の土地を売却するときには、共有名義人全員の同意が必要です。そして、売買契約を結ぶときには、全員の身分証明書と実印、印鑑証明書を準備することになります。

持分割合によらず、誰か1人でも共有名義人が売却に反対すると売却できないデメリットがあります。

親子での共有名義の場合、共有者である親が認知症になり、売却の同意を得られないといったリスクも考えられます。その場合、成年後見人を立ててから売却の手続きを進める必要があります。

なお、成年後見人に弁護士や司法書士などの専門職が選任された場合、月額2万〜6万円程度の報酬が発生し、これは本人(被後見人)が亡くなるまで続きます。報酬額は家庭裁判所が本人の財産額や事務内容に応じて決定しますが、仮に月3万円としても年間36万円、10年続けば360万円の負担になります。「売却のために後見人をつけたが、売却後も後見制度を終了できない」という状況に陥ることもあるため、制度を利用する際はこうしたランニングコストも含めて慎重に検討してください。

共有名義人の親が認知症になった際の不動産売却や、成年後見制度については下記記事を参考にしてみてください。

持分だけで売却すると安くなりやすい

土地の売却について、共有名義人の合意がとれないときは、持分を売却することもできます。

しかし、持分のみでは買主を見つけることも難しく、売却価格も土地の持分割合に応じた市場価格よりも安くなりやすいです。

例えば、市場価格1,000万円の共有名義の土地の共有持分1/2を売却するとします。

この場合、共有持分の売却価格は1,000万円の1/2である500万円という訳ではありません。

一般的に市場価格よりも安く買い叩かれてしまうケースが多いです。

あくまで目安ですが、共有持分のみの売却価格は、持分相当額(この例では500万円)のおおむね5割〜7割程度になることが多く、この例でいえば250万〜350万円程度が現実的な価格帯です。

対処法としては、共有持分の取扱いに慣れた不動産会社に相談することで、仲介・買取それぞれの方法で、より有利な条件を見つけやすくなります。

使用していなくても固定資産税などの維持費がかかる

共有名義の不動産は、実際に利用しているかどうかにかかわらず、共有者それぞれが負担しなければならない維持費が発生します。

代表的なものが固定資産税で、持分割合に応じて支払うのが原則です。建物がある場合は都市計画税や修繕費、空き家であれば草木の管理や防犯対策など、継続的な管理費用が必要になることもあります。

問題となりやすいのは、自分は一切使っていないのに費用だけが発生し続ける状況です。

共有者同士の関係が悪い場合や連絡がとれない場合、費用分担の話し合いすら進まず、結果的に一部の共有者が負担を抱え込むことも珍しくありません。

さらに注意すべきなのが、固定資産税の「連帯納付義務」です。地方税法第10条の2の規定により、共有名義の不動産にかかる固定資産税は、持分割合にかかわらず共有者全員が全額について連帯して納付する義務を負います。つまり、他の共有者が滞納した場合、自治体は支払い能力のある共有者に対して全額を請求することができ、最悪の場合は自分の持分が差し押さえられるリスクもあります。

弊社への売却相談でも、「自分は住んでいないのに毎年固定資産税だけ払っている」という理由で持分の売却を検討される方は約3割程度いらっしゃいます。金額としては年間数万〜十数万円が多いですが、何年も続くと無視できない負担になります。

また、相続した実家などが空き家になっている場合は、さらに大きなリスクがあります。2023年12月施行の改正空家等対策特別措置法により、「特定空き家」だけでなく「管理不全空き家」に指定された場合も、住宅用地の特例(固定資産税が最大1/6に軽減される措置)が解除され、固定資産税が最大6倍に跳ね上がる可能性があります。共有者間で管理の押し付け合いをしているうちに空き家が荒廃し、指定を受けてしまうケースもあるため、早めの対応が重要です。

また、共有名義の場合、誰か一人が無断で住み続けていても、他の共有者が簡単に退去させることはできません。

共有者には「共有物を使用する権限」があるため、たとえ自分の持分を使っていなくても、占有している共有者を単独の判断で追い出すことは法律上難しく、裁判による対応が必要になる場合もあります。

このように、共有名義の不動産は、使っていなくても支出が続くだけでなく、管理・使用をめぐってトラブルが発生しやすい点が大きなデメリットです。

相続税の物納に持分が利用できない

相続税を納めるときに、現金での納税が難しいと認められたときには現金以外の財産を物納できます。

一般的には土地も物納として認められるのですが、共有持分のみでの物納は「管理処分不適格財産」に該当する可能性が高く、原則として認められません。

もし共有名義の土地を物納するときには、売却と同じように共有名義人全員が物納に同意することが必要です。

共有名義を解消する7つの方法

このように、共有名義の土地はメリットよりもデメリットの方が多いです。そのため、共有名義はできるだけ早く解消することをおすすめします。

具体的に解消する主な方法は次の7つです。

方法 ポイント(内容・メリット・注意点)
共有者全員の同意で物件全体を売却 相場で売れるが、1人でも反対・所在不明・判断不能者がいると進まない。
自分の持分だけを第三者へ売却 共有者の同意不要。 ただし、買い手は専門業者が中心で価格は市場相場より低い。
自分の持分を他の共有者へ売却 第三者への売却より高く売れやすい。 相手の資力が必要で、安く売ると贈与税の可能性。
他の共有者の持分を買い取り、単独名義にする 資金が必要で、価格交渉や「売りたくない」といった対立が起こり得る。
自分の持分を放棄し、他の共有者へ移す 単独で可能。 ただし売却益は得られず、放棄後に登記してもらわないと税通知が来る恐れ。
分筆(土地を複数に分けて単独名義にする) 共有者の過半数同意、境界確定、数十万円の費用が必要。価値が下がる場合も。
共有物分割請求訴訟 裁判所の判断で共有を解消。確実だが時間・費用がかかり、関係が悪化しやすい。 結果が希望通りになるとは限らない。

これらの中から適切な方法を選ぶことで共有名義を解消し、トラブルを避けられるでしょう。

共有者全員の同意で物件全体を売却

共有者全員の同意で物件全体を売却

全部売却は共有名義人全員で土地を売却する方法です。共有名義人が得られるお金は、売却価格から売却にかかった諸費用を除き、持分割合に応じて分けられます。

たとえば、土地の売却益が3,000万円だったとします。そして、その土地をAさん、Bさん、Cさんがそれぞれ1/3ずつの持分で共有していた場合、1,000万円ずつに分ける、ということです。

全部売却はその土地の市場価格で売却でき、あとから紹介する一部売却に比べてもそれぞれの手元に残るお金は大きくなります。そのため、共有名義を解消する方法の中でも理想的な方法の1つです。

ただし、全部売却は共有名義人全員が土地の売却に同意していることが条件になります。たとえ1人でも売却に反対していると、その方の持分割合にかかわらず全部売却の方法は取れません。

共有者全員で売却する際の流れについては、下記記事でも紹介しています。

自分の持分だけを第三者へ売却

自分の持分を共有名義人以外の第三者に売却する方法です。

自分の持分のみの売却であれば、他の共有名義人の承認や同意は必要ありません。持分の範囲内であれば、自由に売却できます。しかし、持分のみを購入しても買主は土地を自由に使えるわけではありません。

そのため、一般の個人の方が購入することはまずありません。投資家か買取業者が買主になります。そして、どちらに売却するにしても、持分のみの売却価格は市場価格よりもかなり安いです。

持分売却については、下記記事も参考にしてみてください。

自分の持分を他の共有者へ売却

自分の持分を他の共有者へ売却

自分の持分を共有名義人に売却する方法です。

たとえば、共有名義人のうちの1人が、土地を売るのに反対だったとしても、持分を買取るなら問題ないというときには、この方法が有効です。

持分移転するときの注意点は、「買い取ってもらえるなら何円でもいい」と市場価格よりも非常に安く売却してしまわないことです。

市場価格と売却価格の差が大きかったときには、税務署から贈与とみなされて、買い取った共有名義人に贈与税が課せられる可能性があります。

例えば、「もう揉めたくないから」と、時価1,000万円相当の自分の持分を兄に100万円で売却してしまった場合、差額の900万円が「みなし贈与」として扱われ、買い取った兄に贈与税が課される可能性があります(相続税法第7条)。この場合の贈与税額は数百万円に達することもあるため、安易な低額売却は避けるべきです。

そのため、共有名義人へ持分を売却するときには、不動産鑑定士に土地の評価をしてもらい、その価格に近い価格で売却するようにしてください。

他の共有者の持分を買い取り、単独名義にする

他の共有者の持分を買い取り、単独名義にする

共有名義人の持分を買い取って、不動産の所有者を自分1人にする方法です。

共有名義人が複数いたとしても、全員から適正価格で持分を買取ることができれば共有名義を解消できます。

持分を買い取ったあとも自分でその土地を使用する予定があり、買取れるだけの資金力があるか、融資を受けられるのであれば有効な方法です。

持分買取のときも、先ほどの持分移転と同様に贈与とみなされないように、市場価格に近い適正価格で買取ることが大切です。この方法で共有名義を解消する場合でも、不動産鑑定士に土地の評価を依頼するようにしましょう。

共有者から持分を買い取る方法については、下記記事も参考にしてみてください。

自分の持分を放棄し、他の共有者へ移す

自分の持分を放棄し、他の共有者へ移す

持分放棄は、そのまま持分を「放棄」することです。これは売却とは異なります。

持分放棄の意思表示自体は、他の共有名義人の承諾や同意がなくても単独で行えます。ただし、登記手続きは放棄した側と持分を受け取る側の「共同申請」が原則です。相手が登記に協力しない場合には、「登記引取請求訴訟」を起こす必要があるため、「放棄すれば終わり」とはならない点に注意が必要です。
また、持分を放棄したあとは、その持分は他の共有名義人に帰属します。

たとえば、あなたを含む3人で土地を共有名義で所有していて、持分割合がそれぞれ1/3ずつだった場合は次のようになります。あなたが放棄した1/3の持分は、残り2人に帰属し、それぞれの持分割合に従って、放棄された持分が分配されます。


この場合は、放棄された持分1/3が、残り2人に1/6ずつ分配され、それぞれの持分割合が1/2になるということです。

また、持分放棄によって他の共有者が持分を取得した場合、その取得分に対して贈与税が課される可能性があります。放棄する側に税負担はありませんが、受け取る側に思わぬ負担が生じ得る点は見落としやすいポイントです。

そして持分放棄の登記は「持分放棄を登記原因とする所有権移転登記」を申請します。


(共同申請)
第六十条 権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない。
引用元 e-Gov法令検索 不動産登記法第60条

参照:No.4402 贈与税がかかる場合 | 国税庁

分筆(土地を複数に分けて単独名義にする)

分筆(土地を複数に分けて単独名義にする)

分筆は、1つの土地を登記簿上で2つ以上の土地に分けることです。

分筆することによって、1つの土地を登記簿上で複数の土地に分けることができます。ただし、分筆しただけでは各筆に同じ共有関係が残るため、分筆後に共有者間で持分を交換する所有権移転登記を行うことで、はじめて単独名義になります。

単独名義になれば、売却も土地活用も自分のみの意思で行えるようになります。

このとき、土地評価額が持分割合に応じたものとなるように土地を分けることがポイントです。たとえば、2人で2,000万円の土地を共有名義で所有していたときは、分筆後、それぞれの所有する土地の評価額が1,000万円になるようにするということです。

「1つの土地を2つに分ける」といっても、その方法は色々あります。

ここでは、AとBの2つの図をつかって説明します。

分筆で土地を分ける際の例

Aの分け方であれば、基本的には土地の評価額は同じです。しかし、Bの分け方をした場合、面積は同じでも、道路に接していない土地の方は評価額が低いです。

そのため、このような場合はAの形で分けるということになります。

ただ、共有名義人が3人以上いる場合や立地によっては、評価額を同じになるように分筆することが難しい場合もあります。

そのときは、持分以上の評価額の土地を取得した共有名義人から、持分未満の評価額の土地を取得した共有名義人に、その金額を渡して調整します。

なお、分筆には測量や境界確定が必要なため、費用として数十万円〜100万円程度かかるケースが一般的です。弊社でも分筆による解消をご検討の方には、まず提携する土地家屋調査士に費用感を確認いただくようご案内しています。

共有名義の土地の分筆については、下記記事でも詳しく解説しています。

共有物分割請求(訴訟)

共有物分割請求(訴訟)

共有状態をほぼ確実に解消できる手段として、共有物分割請求があります。まず協議によって請求する方法と、協議がまとまらなかった場合には訴訟を起こし裁判所の判決により強制的に共有状態を解消する方法があります。

分割方法には下記のようなものがあります。

分割方法 説明
① 換価分割(売却して代金を分ける) 不動産を第三者に売却し、売却代金を持分に応じて分配する方法。公平で現金化されるため紛争が起きにくい。ただし売却に時間がかかる・占有者がいると売りにくい場合がある。
② 代償分割(一方が取得し代償金を支払う) どちらか一方が不動産を取得し、他方に代償金を支払って共有を解消する方法。共有関係を維持せずに済むが、代償金の準備が必要で評価額を巡る争いが生じやすい。
③ 現物分割(不動産を物理的に分ける) 土地を分筆するなどして物理的に分ける方法。双方が不動産を取得できる利点がある一方、建物ではほぼ不可能で、土地でも分筆手続や測量費、接道義務などの制約があるため実行が難しいことが多い。

2023年4月施行の改正民法により、裁判所が選択できる分割方法が明確に整理されました。現物分割と代償分割(全面的価格賠償)が同列の第1順位として検討され、いずれも困難な場合に限り、競売による換価分割が命じられます。つまり、以前のように「まず現物分割ありき」ではなく、事案に応じて裁判所が柔軟に判断する形に変わっています。


(裁判による共有物の分割)
第二百五十八条 共有物の分割について共有者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、その分割を裁判所に請求することができる。
2 裁判所は、次に掲げる方法により、共有物の分割を命ずることができる。
一 共有物の現物を分割する方法
二 共有者に債務を負担させて、他の共有者の持分の全部又は一部を取得させる方法
3 前項に規定する方法により共有物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。
引用元 e-Gov法令検索 民法第258条

現物分割は土地の分筆のことで、代償分割は持分移転・持分買取のことです。つまり、ここまで紹介した共有名義人同士で共有名義を解消する方法の中で、どれが適切かを判断する方法とも言えます。

また、もし競売にかけられるということになると、そのときの落札価格は市場価格よりも非常に低くなってしまいます。

土地を売却してしまうことは同じなのに、全部売却したときよりも、売却価格が安くなってしまうデメリットがあります。

そのほか、共有物分割請求訴訟は当事者同士で解決する場合より、費用も時間もかかります。

「共有物分割請求をすれば希望通りに分けてもらえる」と思われがちですが、裁判所の判断は必ずしも申立人の希望どおりにはなりません。競売による換価分割になってしまうケースもあり、費用も弁護士費用だけで数十万円〜、期間も半年〜1年以上かかることが多いため、最終手段として慎重に判断する必要があります。

どうしても当事者同士で話がまとまらない場合のみ、不動産問題に強い弁護士へ相談するようにしてください。

共有物分割請求訴訟の詳しい内容については、下記記事も参考にしてみてください。

共有名義の土地の持分をできるだけ高く売却するコツ

ここまで共有名義の土地を解消する方法について解説しました。しかし、さまざまな事情で共有持分の状態のまま売却しなければならないこともあるでしょう。

そのような場合に、できるだけ高く売却するコツは3つあります。

  • 共有名義人全員が同意していることを不動産会社に伝える
  • 売却に反対している共有名義人の説得を不動産会社に依頼する
  • 共有持分の売却実績が豊富な不動産会社へ依頼する

それぞれ詳しく解説していきます。

1.共有名義人全員が同意していることを不動産会社に伝える

不動産会社にとっても、共有名義人の全員が売却に同意しているかどうかは重要です。もし売却の同意が取れていない場合は、そこから始めなければならず、不動産会社の手間も負担も大きいです。

また売買成立の直前になって、共有不動産の売却に反対している人がいると分かったら取引がなくなってしまいます。不動産会社の利益は、売買契約を成立させたことによる仲介手数料です。

そのため、売却活動をして話をまとめたのに、取引がなくなる可能性が高ければ、積極的に動いてはくれません。その結果、手間をかけず売却するために、相場よりも安い価格で売却活動を進める場合もあります。

できるだけ高く売却するためには、不動産会社が全力で売却活動に取り組めるような状態にすることが大切です。

2.売却に反対している共有名義人の説得を不動産会社に依頼する

共有名義人の中に1人でも売却に反対している方がいれば、全部売却はできません。

その方を説得できなければ、持分のみでの売却となって、売却価格は市場価格よりも大きく下がってしまいます。

しかし、反対されている方も何か理由があるはずです。

その理由を不動産の専門家に聞いてもらうことで、より良い解決策が見つかるかもしれません。

また不動産会社の担当者に査定結果などの客観的な資料を準備してもらえば、気持ちが変わるかもしれません。

そのため、共有名義人の中に反対されている方がいる場合でも、不動産会社に説得してもらえないか相談することをおすすめします。

共有持分の売却における仲介や買取については下記記事を参考にしてみてください。

3.共有持分の売却実績が豊富な不動産会社へ依頼する

共有持分を売却するときは、不動産会社選びがとても重要です。
共有持分の売却は、単独名義の不動産を売却する場合と手続きが異なり、共有者全員の同意や委任状の準備など、専門的な対応が求められます。

そのため、共有持分の売却に不慣れな不動産会社に依頼してしまうと、価格が安くなるだけでなく、取引がスムーズに進まないこともあります。
相談時には、共有不動産の売却実績があるかどうかを必ず確認しておきましょう。

共有名義の土地の共有名義人が行方不明でも売却できるケース

まず、自分の持分のみであれば、共有名義人が行方不明であっても問題なく売却できます。しかし、土地のすべてを売却したいときには特別な対応が必要になります。

同意していない共有名義人が1人でもいれば、土地のすべてを売却することはできないからです。このことは、共有名義人が行方不明であっても例外ではありません。

そのため、まずは行方不明の共有名義人を捜すことから始まります。知り合いや実家に連絡し、それでもわからない場合には住民票の追跡調査などを行います。

通常、住民票の開示には本人の委任状が必要です。ですが、正当な使用目的があると役所が認めた場合には委任状がなくても開示してもらえます。そして、土地売却の同意を得るためということであれば認められる場合が多いです。

ただ、実際には住民票の追跡調査を行っても行方不明の共有名義人を見つけるのは難しいです。

そこで、共有名義人がどうしても見つからないときには、不在者財産管理人を選任します。そうすることで売却が可能になります。

不在者財産管理人は行方不明者の財産を管理する人

不在者財産管理人とは、家庭裁判所によって選任された行方不明になっている方の財産を管理・保全する人のことをいいます。

裁判所が不在者財産管理人をつけてもよいと認めるのは、その人物が「容易に帰来する見込みのない」ときだけです。

一般的には1年以上連絡がつかないような場合に認められることが多いです。2~3カ月連絡が取れないだけでは認められないケースがほとんどですが、法令上は明確な期間の定めがあるわけではなく、「容易に帰来する見込みがない」かどうかで個別に判断されます。


(不在者の財産の管理)
第二十五条 従来の住所又は居所を去った者(以下「不在者」という。)がその財産の管理人(以下この節において「管理人」という。)を置かなかったときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、その財産の管理について必要な処分を命ずることができる。本人の不在中に管理人の権限が消滅したときも、同様とする。
引用元 e-Gov法令検索 民法第25条

そして、不在者財産管理人になるのに必要な資格はありませんが、一般的にはその行方不明者の親族が選ばれます。

ただし、共有名義人のような行方不明者と直接的な利害関係がある場合には認められない可能性が高いです。

その場合には他の親族か、家庭裁判所が弁護士や司法書士などの中から選ぶことになります。

不在者財産管理人については、こちらの記事でも紹介しています。

不在者財産管理人が土地を売却するには家庭裁判所の許可が必要

不在者財産管理人を選任しただけでは土地を売却することはできません。

なぜなら、不在者財産管理人に認められた権限は、財産を適切に管理・保全することまでで、行方不明者の財産を処分することは認められていないからです。

つまり土地の売却は権限を越えた行為となるため、権限外行為許可の申立てを家庭裁判所におこない、許可を得る必要があります。

このとき、土地の売却が不在者である共有名義人の不利益とならないように、土地の売却予定価格が、市場価格に沿った適正な価格であることを示します。

市場価格を示すときには、不動産鑑定士に土地の鑑定を依頼することをおすすめします。

不在者財産管理人の選任から権限外行為の許可を得るまでには、トータルで半年〜1年程度かかるのが一般的です。また、管理人への報酬や予納金(数十万円程度)も必要になるため、時間的にも費用的にも余裕をもって動き始めることが大切です。

失踪宣告の制度を利用する方法もある

共有名義人が行方不明になっている土地を売却するときには、不在者財産管理人を選任する以外に、失踪宣告の制度を利用する方法があります。

この制度は、行方不明の期間が7年以上になっている場合に、失踪宣告することで、行方不明者を死亡したものとみなします。

その結果、行方不明者の財産は相続人へ相続され、その相続人の同意を得られれば土地を売却できるというわけです。

また行方不明者に相続人がいない場合は、持分の放棄と同等の扱いとなり、他の共有名義人に帰属することになります。

そのため、行方不明者を除いた共有名義人の同意で土地を売却できるようになります。

まとめ

共有名義の土地は相続によって権利関係が複雑になったり、共有者全員の同意を得られず売却が難しくなったりといったリスクが考えられます。

面倒だからと共有名義のまま土地を所有していても良い方向に進むことはまずないため、できるだけ早く共有状態を解消しましょう。

共有者同士での話し合いが難しい場合は、不動産会社や弁護士への相談も検討してみてください。

弊社にも「もっと早く相談すればよかった」というお声をいただくことが少なくありません。弊社の実感として、共有名義の問題は放置するほど関係者が増えたり連絡が途絶えたりして、解決の難度が上がる傾向にあります。気になることがあれば、早めに専門家や不動産会社へ相談してみることをおすすめします。

共有持分に関するコラムはこちら

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    更新日 : 2025年11月07日
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