共有持分の譲渡方法!かかる税金や共有者以外への売却方法も解説

共有持分 譲渡

本記事では共有持分の譲渡ついて解説します。

共有不動産は管理・処分に制限があるため、思うように活用できず、維持費を負担に感じる人も少なくありません。そのため「自分の共有持分を誰かに譲渡したい」と考える人も多いでしょう。

自分の共有持分なら、いつでも自由に譲渡可能で、売却・贈与・放棄といった方法があります。とはいえ、共有持分を無償で譲渡するのは勿体ないので、売却することをおすすめします。

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共有持分とは

共有持分とは、1つの不動産に対し複数人で共同所有している状態における、各共有者が有する断片的な所有権です。

物理的に土地や建物を区分けしているわけではなく、共有者それぞれの所有権が何割かを表す言葉です。例えば、土地を2人で共有しているときに、所有権を半分ずつ持っているのであれば、それぞれの共有持分は1/2となります。

上記の場合、1000万円の価値のある土地であれば、単純に考えれば1人あたりの共有持分の価値は500万円となります。しかし、共有持分には使用や処分に制限があり、持分の価値そのままでは売りにくいと覚えておきましょう。

共有持分には処分や管理に制限がある

不動産を共有する状態について、法律上の考えを確認しておきましょう。

民法第251条は、共有物の処分や大きな変化を加える場合は、共有者全員の同意が必要であると定めています。

そのため、共有物全体を第三者に譲渡する場合には、共有者全員の同意を得なければなりません。

また、民法第252条において、短期の貸し出しや建物のリフォームなどの管理行為は、共有持分における過半数の同意が必要とされています。

参照:e-Govポータル「民法第251条、第252条」

他の共有者に知らせることなく自分の持分を処分できる

共有状態の不動産は、各共有者が不動産に対する共有持分という権利を有しています。これは、目的物に対する所有権の割合がどれほどなのかを示します。

この共有持分は、共有者との関係で制限を受けるものの、その本質は所有権です。

したがって、各共有者は自分が有する持分については、自由に処分可能です。他の共有者への通知も必要ありません。

ただし、ローンの残債があるなど、抵当権が設定されていればその限りではありません。

共有持分を共有者に譲渡する3つの方法

上記のように、共有持分は各共有者が自由に処分できます。通常の不動産を譲渡するときとなにも変わりません。

それでは、不動産を譲渡する方法にはどのようなものがあるでしょうか?

有償か無償か、譲渡する相手が共有者か第三者かによって、その方法は変わります。

この項目では、相手が共有者である場合を想定して、持分譲渡のやり方を解説します。

売買および贈与

共有持分の売買・贈与
通常の不動産譲渡と同じように、共有持分の売買や譲渡が可能です。

売買は有償の譲渡方法で、共有持分の代わりに金銭などの対価をもらいます。

贈与は無償の譲渡方法で、対価なしに共有持分を譲ることです。

売買は売却した方に利益が出たとき譲渡所得税が課され、贈与は受け取った方に贈与税が課せられます。

持分の放棄

共有持分の放棄

民法第255条では、共有者の1人が自分の持分を放棄したときは、持分は他の共有者に帰属すると定めています。

参照:e-Govポータル「民法第255条」

つまり、共有持分を有する人は、売買や贈与という方法ではなく、共有持分を放棄して他の共有者に帰属させることで、共有関係の解消が可能となります。

この方法のメリットは、共有持分を放棄するときに相手の同意は必要なく、共有持分を放棄する人の意思のみでおこなえる点です。これとは逆に売買や贈与は契約行為であるため、相手方との合意が必要になります。

この方法は、利用が困難で価値のない不動産を共有しているときにおいて、共有関係を解消する方法として有効でしょう。

資産価値のない不動産を持っていると、固定資産税のみを支払い続けることになります。

ただし、実際の持分放棄は登記申請する上で共有者の協力が必要になります。現実的には、共有者と一切関わらずに放棄することはできないでしょう。

共有物の分割

共有持分 代価分割

不動産を所有しているとき、どの共有者も共有物分割を請求する権利をもっています。協議からはじまり、話がまとまらなければ裁判での強制的な決着を求めることも可能です。

共有物分割の方法としては、現物分割や第三者に売却してその代金を分割する代価分割の他に、自分の持分を他の共有者に代金を支払って取得する価格賠償という方法が認められています。

共有物の分割方法が価格賠償になれば、結果的には共有持分を他の共有者に譲ることになります。

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共有物の分割を禁止する特約について

民法において、共有者はいつでも理由を問わずに「共有物の分割」を請求できるとされています。

民法第256条
1 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。
2 前項ただし書の契約は、更新することができる。ただし、その期間は、更新のときから五年を超えることができない。出典:e-Govポータル「民法第256条」

法律の上でも物件の共有状態は、本来の所有権の形から外れたいびつなものと解釈されます。民法第256条は、共有者はいつでも分割を請求して単独での所有に戻せるようにした制度です。

一方で、共有者間で合意して契約を締結した場合には、分割をしない旨の契約をすることができるとしています。

これは、共有者間で合意した場合の意思を尊重したものです。ただし、分割禁止期間は5年以内に限られており、更新する場合はその都度、共有者全員の同意が必要です。

不分割契約は登記することができ、登記されると、共有持分を譲り受けた第三者などに対抗できることになります。

登記をしておかないと、分割禁止を決めたあとに譲渡などで新しく共有者になった人に対し、分割禁止の取り決めを引き継がせることができなくなります。

共有持分を共有者以外の第三者に譲渡する方法

ここまでは、共有持分を共有者に譲渡する方法について解説してきました。

次は、共有者以外の第三者に譲渡する場合を見ていきましょう。

第三者に持分のみを譲渡する場合、取れる方法は売買か贈与のいずれかです。共有者間の譲渡にあった持分放棄や共有物分割などの方法は使えません。

放棄はほかに共有者がいるときに可能です。放棄したあとの分配先に第三者を指定することはできませんし、不動産を単独所有している場合はそもそも放棄自体が許されていません。

共有物分割については、共有者同士で共有状態を解消するための制度であり、第三者に持分を譲渡する場合は関係ありません。

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第三者に共有持分を売却するなら専門の買取業者がおすすめ

共有持分を譲り受けた者は、先の項目で解説したとおり不動産の「変更・処分・管理」において制限を受けます。共有物分割禁止の特約が登記されていた場合、その取り決めも引き継がなかればいけません。

これらの理由から、共有持分の購入を希望する第三者は少ないため、なかなか売れずに売却相場も低くなりやすいです。

しかし、共有持分の専門買取業者であれば、自社で共有持分を買い取るため、一般的な不動産会社よりも早く・高値で共有持分を売却できます。

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共有持分を売却するか、まだ決めかねている場合でも、遠慮なくご相談ください。

共有持分の譲渡にかかる税金

共有持分を譲渡すると、いくつかの税金を支払わなければいけません。

上記の譲渡方法を基準に、それぞれにかかる税金を見ていきましょう。

売買による譲渡の場合

共有持分を売買によって譲渡する場合は、通常の不動産売買と同じ扱いとなります。

つまり、共有持分を譲渡した者については、受け取った譲渡代金の利益に対して、譲渡所得税がかかります。

一方、共有持分を購入した者は、取得した共有持分について登録免許税と不動産取得税がかかります

持分贈与による譲渡の場合

贈与の場合には、贈与側は対価を取得しないため、税金は発生しません。

一方、贈与を受けた者には、贈与税がかかります。また、名義を変更するときに登録免許税も支払う必要があります。

贈与による持分譲渡は「相続税対策」が主な目的

第三者へ贈与する主な理由に、生前贈与などの相続税対策があります。一年ごとに110万円の基礎控除がある贈与税の制度を利用し、財産を分散贈与して非課税にする「暦年贈与」という方法があります。

ただし、暦年贈与は「贈与契約を毎年結ぶ場合」に認められるものであり、最初からまとまった金額を分散して贈与する契約になっていると、贈与税が発生するので注意が必要です。

例えば、贈与をする方と受ける方で「1,100万円を贈与するために毎年100万円ずつ、10年にわけて贈与する」という契約書があると、その契約を結んだ年に贈与全額の1,100万円が課税対象になります。これでは、贈与税の基礎控除も1回しか使えません。

暦年贈与で非課税にするには、あくまで「毎年110万円の贈与契約を結んで、結果的にそれが10年続いた」という形式を取る必要があります。

贈与税についてはほかにも節税に使える制度がありますが、個々の状況に応じて使えるものが変わります。詳細は税理士に相談するとよいでしょう。

持分放棄の場合

共有持分放棄の場合には、放棄した者は対価としてなにも得ていないため、贈与と同様に税金はかかりません。

一方、共有持分の放棄によってその持分を取得することになった者は、税法上の取り扱いとして贈与と見なされ、登録免許税と贈与税の対象となります。

原則としては贈与と放棄は別ものですが「新たに持分を取得して資産が増える」という結果が同じであるため、課税対象となっています。

共有物分割

通常、共有物分割については「持分権の売買又は交換」と解釈されます。

そのため、価格賠償によって共有持分移転した場合については、売買と同様の扱いとなります。

つまり、分割によって代価を受領した者には、譲渡所得税がかかります。

また、共有持分を購入した者には、取得した共有持分について登録免許税と不動産取得税がかかることも売買と同様です。

贈与か持分放棄によって取得した共有持分を「さらに売却する場合」の取得費の取り扱い

無償で取得した持分をさらに他へ売却する場合、取得費に違いが出てくるので注意が必要です。

取得費とは「不動産を取得したときの費用」です。通常、不動産の代金や取得時にかかった税金などが取得費にあたります。

譲渡所得税は「売却価格から取得費と売買経費を差し引いた利益」に課税されます。つまり、取得費の価格は譲渡所得税に大きな影響があるといえるのです。

取得費用の算定に関しては、贈与と放棄で違いがあります。

贈与を受けた者は、贈与者が支出した取得費を改めて引き継ぐことになります。つまり、贈与者が持分取得に際して最初に支出した費用と、贈与を受けたときにかかった取得費用と合わせたものになります。

放棄を受けた持分は、贈与者の支出取得費を引き継ぎません。持分放棄時の時価を取得費として、譲渡所得を計算します。

その結果、持分放棄は譲渡代金から控除される金額が、贈与を受けた場合よりも大きくなり、譲渡所得税も少なくなります。具体的に見てみましょう。

贈与で取得した持分を売るときの課税

例えば、AとBが1,000万円の土地を、それぞれ500万円ずつ負担して取得したとします。取得費を折半したので、持分もそれぞれ1/2です。

その後、Aは持分を時価1,000万円のときに贈与して、土地はBの単独所有となりました。Bはこの土地を2,000万円で売却できたとして考えてみましょう。

BはAの持分取得時に1,000万円を対象に課税されます。

共有持分の贈与

土地を単独所有として売却した場合に、以下の式で出した譲渡所得を対象に課税されます。

■Aの贈与によりBが単独所有となった場合の譲渡所得の計算
譲渡所得=売却代金2,000万円-取得費用(A・B両者の持分取得費1,000万円)=1,000万円

共有持分の贈与税と譲渡取得税

Bは「Aからの取得した持分」について、贈与税と譲渡所得税の二重課税となります。

放棄で取得した持分を売るときの課税関係

上記と同じく、AとBが1,000万円の土地をそれぞれ500万円ずつ負担して取得したとします。

その後、Aは持分を時価1,000万円のときに放棄して、土地はBの単独所有となりました。Bはこの土地を2,000万円で売却できたとしましょう。

BはAの持分取得時に1,000万円を対象に課税されます。

共有持分の放棄

土地を第三者に売却した場合の譲渡所得は、以下の式で出した譲渡所得を対象に課税されます。

■Aの持分放棄によりBが単独所有となった場合の譲渡所得の計算
譲渡所得=売却代金分2,000万円-取得費用(Bの持分取得費500万円+Aの持分放棄したときの時価1,000万円)=500万円

共有持分の贈与税と譲渡取得税

Bは「Aからの取得した持分」について、贈与税は課されますが、譲渡時の所得税は課されません。

このように、贈与と持分放棄では課税対象額が大きく変わります。

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共有持分を譲渡するときは持分移転登記を行う

共有持分を譲渡する際は、名義変更のために持分移転登記が必要です。法務局で持分移転登記を申請します。

売却も贈与も、登記申請の方法に大きな違いはありません。売却の場合は売買契約書、贈与の場合は贈与契約書を提出します。

詳しい登記の方法や費用については下記の関連記事でも解説しているので、ぜひ参考にしてください。

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登記は「譲渡する人」「譲渡を受ける人」双方の協力が必要

登記申請では、譲渡する人を「義務者」、譲渡を受ける人を「権利者」と呼びます。共有持分を譲渡した場合には、義務者と権利者の双方の協力が必要です。

それぞれで用意する書類があるため、片方のみで登記を進めることは原則できません。

ただし、「売買契約は成立しているのに登記だけ拒否されている」といった場合のみ、訴訟を通して登記することが可能です。

なお、登記申請にも専門的な知識が必要なうえ、申請書の作成や役所へ行く手間など負担も多いため、専門家である司法書士に依頼することをおすすめします。

まとめ

以上、共有持分の譲渡方法、税金の取り扱いを中心に整理しました。

共有関係とは法律上「一時的な権利状態」でおり、権利行使においてさまざまな制限が加わることから、できるだけ速やかに解消することが好ましいとされています。

その意味では、共有持分の譲渡などを通じて、速やかに共有物を一つにまとめる努力をするべきだといえます。

ただし、その場合には税金の問題なども含めて、具体的にどのような形で共有関係の解消を図るのか、考える必要があります。

放置していますと、余計な税金を納めなければならないなど、不利益をこうむることになりかねません。

弁護士や税理士などの専門家、もしくは不動産会社に相談して、早期に共有関係を解消することをおすすめします。

共有持分のよくある質問

共有持分とは?共有不動産との違いは?

共有持分とは共有不動産における「共有者ごとの所有権割合」を表したものです。持分の権利割合は1/3などの数字で表記します。ちなみに共有不動産は「他人と共有している不動産そのもの」を指します。

自分の持分だけを売却したいのですが可能ですか?

自分の持分だけを売却することは可能です。設定した自分の持分割合分は共有者の許可無く売却できます。ただし、共有している不動産自体をまるごと売却するときは共有者の許可が必要です。

共有持分を高く買い取ってくれる業者はありますか?

はい、あります。一般的な物件を扱う大手不動産会社よりも「共有持分を専門としている買取業者」へ売却したほうが高額となる可能性があります。また、離婚などで共有者どうしがトラブルになっている共有持分は、弁護士と連携している専門買取業者への売却がおすすめです。→ 共有持分専門の買取査定はこちら

共有者に共有持分を譲渡することはできますか?

はい、可能です。共有者への譲渡は、売却のほかに贈与や放棄、共有物の分割といった方法があります。

共有持分の譲渡にはどんな税金がかかりますか?

売却や共有物分割では、譲渡したほうに譲渡所得税が課せられます。贈与や放棄の場合は、受け取ったほうに贈与税が課せられます。

最終更新日:
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