【共有持分の譲渡方法】税金や共有者以外への売却方法も解説

共有持分

共有とは、一つの物を複数の人が共同で所有している関係を言います。

共有関係が生じる代表的な場合としては、マイホームなどを夫婦が住宅ローンを組んで共同で購入する時のように、自分たちの意思で共有とする場合のほか、相続の際に複数の相続人がいることで、複数の所有者が生じる場合などがあります。

財産分与で遺産を相続した時に騒動に巻き込まれて、身近な問題として抱え込んでしまった人も少なくはないでしょう。

共有の場合、共有物の利用や管理、変更や処分等において、他の共有者との関係で様々な制限を受けるなど、単独所有とは異なる難しい問題やトラブルが生じる可能性もあります。

そこでこの記事では、そのような共有関係を解消する手段として、共有持分を譲渡する方法、譲渡において、どのような問題が生じるかについて見ていきます。

1.共有持分を譲渡するときは共有者の同意は不要

共有持分譲渡
子が父母から遺産分割で不動産を相続するケースはよくあります。その所有者同士の譲渡について解説します。

(1)共有の法律関係

最初に、共有の法律関係について確認しておきましょう。

民法は、共有物に変更を加える場合には共有者全員の同意が必要であると定めています(民法第251条)。

その結果、共有物全体を他に譲渡する等の処分をする場合には、共有者全員の同意を得なければなりません。また、処分等以外の管理行為を行う場合にも、保存行為に該当するものを除いては、共有持分の過半数を有する共有者の同意が必要とされています(民法第252条)。

参照:電子政府の総合窓口 

(2)共有持分の処分

共有関係においては、各共有者はそれぞれ目的物に対する共有持分という権利を有しています。これは、目的物に対する権利の割合として「何分の何」という形で示され、不動産の登記上にも記載されます(不動産登記法第59条第4号)。

この共有持分は、共有者との関係で制限を受けるものの、その本質は所有権です。従って、各共有者は単独で、自分が有する持分を自由に処分することができ、その処分について他の共有者の同意を得る必要はありません。よって、個人の判断で、相続した不動産が共有持分だとしても、自由に譲渡できます。ただし、ローンの残債があるなど、抵当権が設定されていれば、その限りではありません。

2.共有持分を共有者に譲渡する方法

(1)売買および贈与

共有持分の売買・贈与

上述のように、共有持分は各共有者が自由に処分することができます。譲渡についても、役所への申請を要するなど、特段の制限はありません。特例はなく、普通に処分できます。対価を得て売買する方法でも、無償で贈与する方法でも可能で、所有権を譲渡する通常の方法と何も変わりません。

ただ、他の共有者に自分の持分を取得させる方法としては、通常の持分の売却や贈与のほか、持分の放棄や共有物の分割などの特殊な方法が認められています。具体的に見ていきましょう。

(2)持分の放棄

共有持分の放棄

民法は、共有者の1人が自分の持分を放棄したときは、持分は他の共有者に帰属すると定めています(民法第255条)。

つまり、共有持分を有する共有者は、売買や贈与という方法ではなく、共有持分を放棄することによって、自己が有していた共有持分を他の共有者に帰属させ、共有関係を解消することが可能となります。

この方法のメリットは、売買や贈与が相手方との契約行為であるため、買主や贈与を受ける者との間で合意が必要である点です。従って、相手方が共有持分の買取や贈与を受けることに同意しない場合には、共有持分を譲渡できません。

これに対して、共有持分の放棄は、共有持分を有する者が単独で行える行為ですので、相手方がこれに合意する必要がなく、共有持分を放棄する共有者のみの意思で行えるのです。この方法は、価値がなく、利用も困難な土地を共同相続によって取得した場合などにおいて、共有関係を解消する方法として有効でしょう。資産価値のない土地を相続してしまうと、固定資産税のみを支払い続けることになるおそれがあります。利用者のいないマンションも同様です。財産分与の形を取りながら、実際には負債になる資産を放棄できるのです。

持分放棄の手続きに関しては、本来は相手方のいない単独行為とされていますが、現実的なやり方としては、持分を放棄する旨の意思表示が他の共有者に対して行われます。

(3)共有物の分割

共有持分 代価分割

民法は、各共有者はいつでも共有物の分割を請求することができると定めています(民法第256条第1項)。

共有物分割の方法としては、現物分割、第三者に売却してその代金を分割する代価分割の他に、自分の持分を他の共有者に移転して得られる代価を、当該持分を取得した共有者から受領する価格賠償などの方法が認められています。この価格賠償の場合、共有物の分割という形をとりますが、結果的に、共有持分を他の共有者に移転することになります。

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3.共有持分の譲渡にかかる税金

税金
共有持分を譲渡すると、いくつかの税金を支払わなければいけません

(1)売買による譲渡の場合

共有持分を売買によって移転する場合は、通常の所有権の売買と同じ扱いとなります。つまり、共有持分を譲渡した者については、受け取った譲渡代金に対して、譲渡所得税がかかるケースがあります。一方、共有持分を購入した譲受人は、不動産を購入したものとして、取得した共有持分について登録免許税と不動産取得税がかかることになります。

(2)持分贈与による譲渡の場合

贈与の場合には、贈与側は対価等を一切取得しないため、税金は発生しません。一方、贈与を受けた者には、贈与税がかかります。また、名義変更が伴えば登録免許税も支払う必要があります。

(3)持分放棄の場合

共有持分放棄の場合には、放棄した者は対価として何も得ていないため、贈与と同様に税金はかかりません
一方、共有持分の放棄によって、その持分を取得することになった他の共有者については、共有者の一人が勝手に自分の持分を放棄することによって、他の共有者が意図せずに共有持分を新たに取得することになりますから、当事者間の契約である「贈与」とは異なります。
しかし、税法上の取り扱いとして、この場合も共有持分を取得した者は、対価の支払いを行うことなく、所有権の一種である共有持分を新たに取得することになるため、贈与と見なされ、登録免許税と贈与税の対象となります。

(4)共有物分割

判例では、共有物分割については「持分権の売買又は交換」としています(最高裁判決昭和42年8月)。

その結果、共有物分割の方法として代価賠償の方法がとられ、共有持分を他の共有者に移転した場合については、売買と同様の扱いとなります。

すなわち、分割によって代価を受領した者には、譲渡所得税がかかります。また、共有持分を取得した者には、不動産取得税がかかることになります(地方税法第73条の2)。名義変更が伴えば登録免許税も発生します。

参照:裁判所サイト判例検索

(5)持分を譲り受けた者が譲渡する場合の取り扱い

共有持分の贈与を受けた場合と、放棄された共有持分を新たに取得した場合において、持分を取得した者は、いずれも贈与税が課されることは前述の通りです。この点では、いずれの方法でも相違ありません。その後、不動産を他に売却する場合、課税関係に違いが出てくる可能性があるので注意が必要です。

売却する者は譲渡によって取得する代金について、譲渡所得税を納めることになり、譲渡所得税は、譲渡代金から当該不動産を取得した際の費用を差し引いた残額に課せられます。取得費用の算定に関しては、贈与と放棄ではそれぞれ違いがあります。譲渡所得税の算定に際して、贈与を受けた者は、贈与者が支出した取得費を改めて引き継ぐことになります。つまり、贈与者が持分取得に際して最初に支出した費用と、新たな共有者が支出した費用の合計を取得費用とします。

これに対して、放棄を受けた場合には、贈与者が持分取得に際して最初に支出した費用と、放棄を受けた際の共有持分の時価評価額を合わせて、取得費用とします。その結果、放棄は譲渡代金から控除される金額が、贈与を受けた場合よりも大きくなり、その分、譲渡所得税も少なくなります

具体的に見てみましょう。
AとBが共同で1,000万円の土地を取得(それぞれの取得費用は各500万円)し、それぞれ1/2の持分を有していたとします。
その後、Aは持分を放棄または贈与して、当該土地はBの単独所有となり、その後、Bはこの土地を2,000万円で売却した場合を考えてみます。

共有持分の贈与と放棄

Aの持分のBへの移転が贈与であった場合
1.BはAの持分取得時に贈与税を支払うことになります。
2.当該土地を単独所有として売却した場合に、以下の算式によって、譲渡所得に対する譲渡所得税を支払うことになります。
譲渡所得=売却代金(2,000万円)―取得費用(取得時にAとBが支出した費用の合計金額1,000万円)=1,000万円

共有持分の贈与

共有持分の贈与税と譲渡取得税

Aの持分のBへの移転が放棄であった場合
1.BはAの持分取得時に贈与税を支払います。この点は上記①の場合と同じです。
2.当該土地を第三者に売却した場合の譲渡所得は、以下のように算定されることになります。
譲渡所得=売却代金(2,000万円)―取得費用(Bが当初取得した時の費用500万円+Aから放棄を受けた際の共有持分の時価評価額1,000万円)=500万円

共有持分の放棄

共有持分の贈与税と譲渡取得税

このように、贈与と放棄は、贈与税の支払いは同じです。しかし、共有持分を売却する場合の譲渡所得税の取り扱いについては、譲渡代金から控除できる取得費用の総額により、大きな違いがあると認識しておきましょう。

つまり、放棄を受けた時点の共有持分の時価評価額を取得費用とできる分、放棄の方が譲渡所得金額を減らせるのです。

また不動産売買に伴う不動産売買契約書には、金額に応じて収入印紙を貼付するので、印紙税も発生します。

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4.共有物分割禁止特約について

共有物について、共有者はいつでも理由を問わず、分割を請求できるとされています(民法第256条第1項本文)。土地の共有持分が1/2ずつの場合、土地を分筆して2分割にすることとなります。

民法でも、物件の共有状態が、本来の所有権の形からすると、いびつなものであるとされています。そのため、共有者はいつでも分割を請求して、単独での所有に戻せるようにした制度だと考えられます。ただ、一方で、共有者間で合意して契約を締結した場合には、分割をしない旨の契約をすることができるとしています(民法第256条第1項但書)。

これは、共有者間で合意した場合の意思を尊重したものです。ただ、その場合でも、分割禁止期間は5年以内に限られています。また、契約内容の変更も可能とされていますが、その場合でも、期間は5年以内とされています(民法第256条第1項但書、第2項)。

不分割契約は登記することができ(不動産登記法第59条)、登記されると、共有持分を譲り受けた第三者などに対抗できることとなります。

5.共有持分を共有者以外の第三者に売却する方法

共有持分売却
共有持分は所有権としての性質を有しています。従って、共有持分は、他の共有者に対して譲渡できるだけではなく、状況に応じて、全くの第三者に対して譲渡することも可能です。

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第三者には一般的な売買か贈与で譲渡する

この場合、一般的な売買、または贈与のいずれかの方法をとることになりますが、共有者間での持分移転の方法として可能であった放棄や共有物分割などの方法は使えません。共有持分を共有者以外の第三者に売却する場合については、現実問題として、様々な問題があります。
まず、共有持分を譲り受けた者は、他の共有者との共有関係にたつことになりますので、変更・処分については、他の共有者の同意を得なければなりません。管理についても、過半数の同意を得て行うなどの制限を受けることになります(民法第251条、第252条)。

利用についても、他の共有者との関係で、制限等を受ける場合があります(民法第249条)。共有持分を譲り受ける前に、共有者間で不分割契約が締結され、登記がなされている場合(不動産登記法第59条第6号)には、共有持分を譲り受けた者も、拘束を受けることになります。

これらの理由から、共有持分の取得は、将来的に、他の共有者から持分を取得する目的がある場合を除いて、あまり大きなメリットがある取引ではありません。その結果、共有者以外の第三者で、共有持分の購入を希望する人は、基本的にあまりいないというのが実情です。

しかし、共有持分を専門的に扱う不動産会社もあるので、速やかに譲渡したいときは専門業者に相談してみると良いでしょう。

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共有持分の売却をご検討の方は、お気軽にご相談ください。

まとめ

以上、共有持分の譲渡方法、税金の取り扱いを中心に整理しました。
共有関係というのは、民法自体も一時的な権利状態としており、権利行使等において様々な制限が加わることから、できるだけ速やかに解消することが好ましいとされています。その意味では、共有持分の譲渡などを通じて、速やかに共有物を一つにまとめる努力をするべきだといえます。

ただ、その場合には、税金の問題等も含めて、具体的にどのような形で共有関係の解消を図るのか、考える必要があります。放置していますと、余計な税金を納めなければならないなど、不利益を被ることにもなりかねません。

弁護士や税理士などの専門家、不動産会社に相談をして、早期に共有関係を解消することをオススメします。

最終更新日:

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