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共有名義の抵当権抹消登記は共有者の1人から申請できる?申請書の書き方も解説

共有名義の抵当権抹消登記は共有者の1人から申請できる?申請書の書き方も解説

結論から申し上げますと、共有名義不動産であっても、共有者であれば1人から抵当権抹消登記を申請できます。抵当権抹消登記は、共有者が不利益を被る行為ではなく「保存行為」にあたるため、法律上は共有者の同意を得る必要がありません。

とはいえ当然ながら、所有していない不動産に関与することは不可能です。建物のみ土地のみなど、ご自身が一部の不動産しか所有していない場合は、1人で全ての不動産の抵当権を抹消する手続きは行えません

司法書士へ依頼するときも、自身が所有権を持っている不動産に限り、共有者のうち1人の委任状があれば依頼できます。

抵当権抹消登記の申請は、主に以下の手順で進めることになります。

  1. 金融機関から書類を受け取る
  2. 必要に応じて必要書類を準備する
  3. 登記申請書を作成する
  4. 管轄の法務局へ提出
  5. 登記完了証を受け取る

登記申請書の具体的な書き方については共有名義の抵当権抹消登記申請書の書き方にて詳しく解説しています。

なお、抵当権抹消登記はローン完済後すぐに対応しなくても罰則はありませんが、長期間放置することでリスクが生じる可能性があります。具体的には、金融機関から届いた書類の紛失や住所変更・金融機関の合併などによって、手続きが複雑化するケースがあるので注意しましょう。

この記事では、抵当権抹消登記を共有者の1人から申請できるケースに加え、必要書類や手続きの流れ、申請書の書き方についても解説します。ローンを完済し抵当権抹消登記を行う予定の方は、ぜひ参考にしてください。

経堂司法書士事務所 高橋朋宏
監修
経堂司法書士事務所
高橋 朋宏(司法書士)

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共有名義不動産の抵当権抹消登記を1人でもできるケース

不動産の抵当権抹消登記は、原則として抵当権設定者(不動産の所有者)と抵当権者(お金を貸した金融機関など)の共同で行う申請手続きです。これは「保存行為」にあたるため、共有者のうち1人が金融機関と共同で申請を行うことができます

※ここからわかりやすいように、抵当権者を「金融機関」として表記

  • 共有不動産全体の抵当権を抹消するケース
  • 自己の共有持分に設定されている抵当権を抹消するケース

上記のケースでは、司法書士へ依頼する際も共有者全員の委任状は不要であり、申請を行う共有者1人の委任状で対応できるケースが一般的です

ここでは、共有者1人で申請手続きを行えるそれぞれのケースについて解説します。

共有不動産全体に設定されている抵当権を抹消するケース

不動産全体に設定されている抵当権を抹消する場合でも、共有者であれば1人で申請手続きを進められます

もっとも、抵当権抹消登記は金融機関と共同で申請をすることには変わりないため、実質は共有者1人と金融機関で抵当権抹消登記を行うこととなります。

たとえば、1つの不動産をAとBの2人で共有しているケースでは、申請手続きを行える組み合わせは以下のとおりです。

  1. Aと金融機関
  2. Bと金融機関
  3. AとBと金融機関

AとBはどちらか1人でも抹消登記の手続きを申請できます

実務上も、共有者全員が手続きに関与できるとは限りません。共有者が遠方に住んでいたり、相続後に疎遠になっていたりするケースでは、代表者1人がまとめて対応することも多くあります。

自己の共有持分に設定されている抵当権を抹消するケース

共有持分とは、共有名義不動産において共有者一人ひとりが持つ所有権のことです。共有持分は共有者個人の権利であるため、ほかの共有者の合意を得なくても、売却や抵当権設定・抹消などを行えます

これは抵当権抹消登記においても同じです。登記を行うときにほかの共有者の同意は必要なく、ローン完済後にご自身で手続きを行えます。

当然ではありますが、抵当権が設定されていない共有者は、自己の持分について抵当権抹消登記を申請できません。

たとえば、AとBで共有している共有名義不動産に対して、銀行がAの共有持分にのみ抵当権を設定したと想定します。

このケースでは、抵当権抹消登記を行えるのはAのみです。Bは抵当権の抹消に関与することはできません。

なお、金融機関によっては完済後の書類発送先を、契約者本人に限定している場合もあります。実際に手続きを進める際は、必要書類の受領方法などを事前に確認しておくとスムーズです。

共有名義の抵当権抹消登記の必要書類

抵当権抹消登記に必要な書類と情報を以下の表にまとめました。必要な書類は、主に金融機関や法務局から取得できます

必要書類 取得できる場所
登記識別情報通知(または登記済証) 抵当権者である金融機関
登記原因証明情報(解除証書や弁済証書など) 抵当権者である金融機関
会社法人等番号 抵当権者である金融機関または法務局
代理権限証明情報(委任状) 抵当権者である金融機関
抵当権抹消登記申請書 法務局
登記簿謄本(登記事項証明書) 法務局

参照:法務局

上記のうち、登記識別情報通知(または登記済証)・登記原因証明情報(解除証書や弁済証書など)・代理権限証明情報(委任状)は、ローン完済後に金融機関から送付されるものです。

ここからは、各書類の内容について解説します。

登記識別情報通知(または登記済証)

抵当権設定登記の際、法務局から抵当権者へ発行される書類です。ローン完済後、お金を借りていた金融機関などから受け取ることができます。以前は「登記済証」が発行されていましたが、不動産登記法改正時に登記済証の代わりに発行されるようになりました。

書類には、12桁の英数字からなる「登記識別情報」が記載されており、登記申請時の本人確認に利用される重要な情報です。

登記原因証明情報(解除証書や弁済証書など)

抵当権を抹消する原因を証明する書類です。抵当権抹消登記の場合は「ローンを完済したこと」や「抵当権を解除したこと」を証明する資料として提出します。

書類は、「解除証書」や「弁済証書」といったものが該当します

なお、実務上は、金融機関ごとに書類名称や書式が異なることも珍しくありません。たとえば、解除証書と委任状が一体化した様式や、印鑑が押された抵当権設定契約書などを登記原因証明情報として取り扱うケースもあります。

会社法人等番号

12桁の数字で構成される法人を識別するための番号です。登記申請書の義務者の欄に金融機関名とあわせて記載する必要があります。

番号は金融機関から送られてくる書類、または法務局で取得できる金融機関の登記事項証明書から確認可能です。

なお、近年は法務局のオンラインサービスや法人番号公表サイトなどで確認するケースも増えています。具体的には、国税庁が提供している「法人番号公開サイト」や「登記・供託オンライン申請システム」などで確認できます。

国税庁「法人番号公開サイト」

登記・供託オンライン申請システム

代理権限証明情報(委任状)

抵当権抹消登記は、不動産の共有者と金融機関による共同申請が原則ですが、実務上は金融機関から申請手続きを委任される形が一般的です。その際に送付されるのが、「代理権限証明情報(委任状)」と呼ばれる書類です。

委任状が送付された場合は、不動産の所有者が金融機関の代理人として、抵当権抹消登記を進められます。

抵当権抹消登記申請書

抵当権抹消の申請を行うための書類です。登記申請を行うときには、本申請書と金融機関から送られた抵当権抹消登記書類一式を法務局へ提出します。

申請書は、法務局のホームページからダウンロードできます。

WordとPDFの2種類の形式が用意されており、好きな方を選択可能です。PCで作成をするならWord、プリントアウトして直接書き込みたいならPDFを選ぶといいでしょう。

もっとも、実務上は修正や再提出の手間を避けるため、WordをダウンロードしてPCで作成するケースが一般的です。特に共有不動産では、不動産表示や受付情報の転記ミスが起きやすいため慎重に確認する必要があります。

参照:法務局

登記簿謄本(登記事項証明書)

不動産番号や所在、所有権に関する事項など、不動産に関する情報が記載された書類です。登記申請書の「不動産の表示」項目を記入する際の参考資料となります。

以前は紙の登記簿を謄写した「登記簿謄本」が発行されていましたが、現在は登記情報が電子化されており「登記事項証明書」が発行されています。

現在では登記簿はデータ化されているため、古い登記簿の情報を取得する場合を除いて、通常は登記事項証明書を取得することになります

登記簿謄本の取得は、法務局の窓口やオンライン請求により取得できます。オンライン請求の場合は「かんたん登記・供託申請」を利用できます。

共有名義の抵当権抹消登記の流れ

共有名義不動産の抵当権抹消登記は、以下の流れで申請を行います。

  1. 金融機関から書類を受け取る
  2. 必要に応じて必要書類を準備する
  3. 登記申請書を作成する
  4. 管轄の法務局へ提出
  5. 登記完了証を受け取る

共有不動産であっても、抵当権抹消登記自体は一般的な不動産と大きく流れは変わりません。ただし、共有者間で住所変更の有無や持分内容が異なるケースも多く、事前確認に時間がかかることがあります。

各手順の詳細や注意点について解説していきます。

金融機関から書類を受け取る

ローンを完済すると、金融機関から抵当権抹消登記書類一式が送付されます

  • 登記識別情報通知(または登記済証)
  • 登記原因証明情報(解除証書や弁済証書など)
  • 会社法人等番号
  • 代理権限証明情報(委任状)

書類を受け取ったら、まずは不備がないか確認しましょう。送付書類のリストが同封されているときは、リストと書類を一つひとつ突き合わせて不足がないか確認してください。

書類の記載漏れがあることも考えられます。登記原因証明情報の日付や不動産等の記載漏れや、委任状の日付などの記載漏れを発見したときは金融機関へ確認する必要があります。

紛失した場合には再発行を依頼できる書類もありますが、別途手数料がかかる可能性のあることを知っておきましょう。手数料は、金融機関やローンを完済した時期などによって異なります。

なお、登記識別情報通知(または登記済証)は原則として再発行できません。もし紛失した場合は、事前通知制度や司法書士等による本人確認情報の提供など、代替手続きによって登記を進めることになります。

必要に応じて使用する書類を用意する

引っ越しや結婚などによりローン返済中に住所や氏名が変更になった場合は、抵当権抹消登記を行う前に住所または氏名の変更登記を申請する必要があります

たとえば、登記簿上の住所と現在の住所が異なる場合は、住民票や戸籍謄本などを添付して変更登記を申請します。

また、住所または氏名の変更登記は令和8年4月1日より義務化されており変更した日から2年以内に申請する必要があります

登記申請書を作成する

書類が一通り揃ったら、抵当権抹消登記の申請書を作成しましょう。申請書のテンプレートは、先述したとおり法務局のホームページからダウンロードできます。

  • 日付
  • 権利者と義務者
  • 申請する人の氏名
  • 不動産の所在

など、金融機関から送られてきた抵当権抹消登記書類を参考にしながら記入してください。記入例もダウンロードできるので、そちらを参照するとスムーズです。

申請書の書き方については、共有名義の抵当権抹消登記申請書の書き方にて詳しく解説しています。

参照:法務局「登 記 申 請 書」

参照:法務局「抵当権抹消 記載例」

管轄の法務局へ提出する

登記申請書を作成したら、金融機関から送られてきた「抵当権抹消登記書類一式」とあわせて管轄の法務局の窓口へ提出します

ここで注意すべきなのが「私道持分」や「ゴミ置き場の持分」の抹消漏れです。実務上、戸建ての場合はメインの土地と建物だけでなく、私道持分など複数の不動産に抵当権が設定されているケースがあります。

金融機関から送られてくる書類をよく確認し、すべての不動産をもれなく申請書に記載するよう注意しましょう。

書類の提出は郵送でも可能ですが、書類に不備があった場合に大きな手間が発生してしまうため、可能であれば直接窓口に持って行く方が効率的です。

管轄の法務局は、法務局のホームページから調べられます。

参照:管轄のご案内

登記完了証を受け取る

特に不備や問題がなければ登記が完了し、法務局から「登記完了証」が発行されます。文字どおり登記が完了したことを証明する書類で、管轄の法務局で受け取ることができます。

抵当権抹消登記が完了すると、登記簿謄本(登記事項証明書)の抵当権の欄に下線が引かれます。登記完了証が発行されたら、登記簿謄本(登記事項証明書)を取得して確認しておきましょう。

共有名義の抵当権抹消登記申請書の書き方

登記申請書は、登記簿謄本(登記事項証明書)や金融機関から届く抵当権抹消の関連書類などを参考に必要事項を記載します。登記申請書へ記入する項目と書き方を表にまとめましたので、参考にしてください。

項目 書き方
登記の目的 「抵当権抹消」の文言を記載。必要に応じて順位番号も記載します。
原因 抵当権が消滅した日と原因を記載
例)「令和○年△月◻︎日解除」
権利者 原則として共有者全員の住所と氏名を記載し、実際に手続きを行う共有者の氏名の横に「(申請人)」と追記します。
義務者 抵当権を設定した金融機関などの住所・名称・会社法人等番号・代表者氏名を記載
添付情報 登記申請書に添付する書類や情報を記載
申請年月日と申請する法務局 申請する日と申請する法務局(または地方法務局や出張所など)を記載
申請人兼義務者代理人 金融機関などから登記申請を委任された、申請人の住所・氏名・電話番号などを記載
登録免許税 抹消登記の場合は、不動産1個(土地・建物)につき1,000円(20個以上を一括で登記するときは、20,000円が上限)
不動産の表示 登記簿謄本(登記事項証明書)のとおりに記載

実務上は「不動産の表示」の転記ミスや、金融機関名の旧商号・合併前名称の記載漏れなどで補正になるケースもあります。特に古い住宅ローンでは、現在の銀行名と登記上の名称が異なっていることもあるため、送付書類をよく確認して記載することが大切です。

まとめ

抵当権抹消登記は「保存行為」にあたるため、共有名義不動産であっても、共有者であれば1人からでも抵当権抹消登記を申請できます。法律上、共有者の同意は必要ありませんし、誰かが被害を被るような行為でもないため、ローン完済後はすぐに実施するのがおすすめです。

抵当権が残ったままでも直ちに大きな不利益が生じるとは限りませんが、売却や相続、借り換えなどの場面では、抹消登記が済んでいないことで手続きが止まってしまうケースがあります。

実際に弊社でも「完済していると思っていたが、登記簿を見ると抵当権が残ったままで今になって手続きが複雑化している」というご相談を伺うことがあります。

特に、金融機関などから届く抵当権抹消登記書類を紛失してしまった場合は、再発行のために余分な時間や手間、費用が発生します。そのため、ローン完済後はできるだけ早めに抵当権抹消登記を進めることが大切です。

なお、抵当権抹消登記を進めるにあたって、「私道持分」や「ゴミ置き場の持分」の抹消漏れにも注意しましょう。金融機関から送られてくる書類をよく確認し、すべての不動産をもれなく申請書に記載するのが確実な方法です。

「忙しくて時間に余裕がない」「専門的な書類ばかりで1人では大変」そのような方は、司法書士へ依頼するのがおすすめです。

まずは、必要書類を集めることから始めていきましょう。

共有名義不動産の抵当権抹消登記に関するよくある質問

共有名義の不動産の抵当権を抹消しないとどうなる?

抵当権抹消登記を行わない場合は、以下のデメリットを被る可能性があります。

■買い手が見つからず、不動産を売却できない
抵当権付き不動産は、債務者の支払いが滞ったときに差し押さえになる可能性があり、買い手にとっては大きなリスクとなります。このような物件をわざわざ購入したい人は通常いないため、売却することは非常に難しいです。

■抵当権付き不動産を担保にして融資を受けにくい
1つの不動産に複数の抵当権が設定されている場合、どの債権者が優先して弁済を受けられるのかは、登記した順番で決定されます。2番目に登記した債権者は、債務回収できないリスクが高まるため、抵当権付きの物件に対する融資は拒否されることが珍しくありません。

いざ融資を受けたいときに慌てて手続きを行わなくて済むように、抵当権抹消登記を早めに行っておきましょう。

■書類の紛失や金融機関の合併・倒産などにより、手続きが複雑化する恐れがある
時間の経過とともに、準備する書類や手続きが増えたり、余分に手数料が発生したりする可能性が高まります。

たとえば、抵当権抹消登記に必要な書類を紛失した場合、法務局や金融機関から取得しなおさなければならず、余分な手間や費用が発生します。

また、金融機関の合併や倒産、商号の変更などが発生することも考えられます。この場合は、通常の必要書類に加えて、商号変更を証明できる書類が必要になったり、合併による抵当権移転登記が必要になったりします。

このように、ローン完済後から時間を置いて登記手続きを行うと、抵当権抹消登記以外の手続きが発生しかねません。

信頼できる司法書士の選び方は?

共有名義不動産の抵当権抹消登記には必要な書類が多く、手続きの流れを把握することも専門知識がない人にとっては簡単とは言えません。司法書士に依頼した方が手間がかからず、確実に手続きを完了させられます。

司法書士へ依頼するときは、料金が明確になっているところを選びましょう。料金体系が曖昧だと依頼後に見積もりよりも高くなったり、依頼後に追加費用が発生したりすることも考えられます。

また、相談のしやすさや説明のわかりやすさも重要です。親身になって話を聞いてくれたり、専門用語を使わず簡潔に説明してくれたりするなど、素人目線に立った配慮ができる司法書士の方が安心です。

司法書士は、地域問わず依頼できます。現在では、抵当権抹消登記のオンライン申請が可能なため、対応エリアが決まっている司法書士でない限りは遠方でも対応してくれます。

司法書士事務所の場所を気にしすぎることなく、依頼しやすいと感じたところへ相談するのがいいでしょう。

ただし遠方の場合は、対面での相談が難しいため、直接会って相談したい人はお近くの司法書士事務所へ問い合わせてください。各都道府県の司法書士会ごとにホームページが用意されているので、そちらからお近くの司法書士事務所を探して相談するのがスムーズです。

共有持分に関するコラムはこちら

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    更新日 : 2025年11月07日
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