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共有名義の抵当権抹消登記は共有者の1人から申請できる?申請書の書き方も解説

共有名義の抵当権抹消登記は共有者の1人から申請できる?申請書の書き方も解説

ローン完済後にすぐにやっておきたい抵当権抹消登記。共有名義不動産をお持ちの場合、「誰が登記手続きを行えばいいの?」「1人で申請しても問題ない?」など疑問に思う方もいるでしょう。

共有名義不動産であっても、共有者であれば1人から抵当権抹消登記が可能です。抵当権抹消登記は、共有者が不利益を被る行為ではなく「保存行為」にあたるため、法律上は共有者の同意を得る必要がないのです。

とはいえ当然ながら、所有していない不動産に関与することは不可能です。建物のみ土地のみなど、ご自身が不動産の一部しか所有していない場合は、1人で不動産全体の抵当権を抹消する手続きは行えません

司法書士へ依頼するときも、共有者のうち1人の委任状があればOKですが、自身が所有権を持っている不動産である必要があります。また共有者全員の意思確認を求められるケースがあり、司法書士へ依頼することで共有者の合意を得る手間が発生することも知っておきましょう。

この記事では、抵当権抹消登記を共有者の1人から申請できるケースに加え、必要書類や手続きの流れ、申請書の書き方についても解説します。ローンを完済し抵当権抹消登記を行う予定の方は、ぜひ参考にしてください。

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共有名義不動産の抵当権抹消登記を1人でもできるケース

不動産の抵当権抹消登記は、抵当権設定者(不動産の所有者=債務者)と抵当権者(お金を貸した金融機関など=債権者)の共同で行う申請手続きです。これは「保存行為」にあたるため、ケースによっては共有者のうち1人から申請を行うことができます

※ここからわかりやすいように、抵当権者を「金融機関」として表記

  • 共同所有する不動産全体の抵当権を抹消するケース
  • 自己の共有持分に設定されている抵当権を抹消するケース

上記のケースでは、司法書士へ依頼する際も共有者1人の委任状があればOKです

とはいえ、共有者全員の合意なしで手続きを進めることは賢明ではありません。意見の食い違いからトラブルへ発展する恐れもあるため、可能であれば共有者全員へ登記申請を行う旨を伝え、合意を得てから始めるようにしましょう。

ここでは、共有者1人で申請手続きを行えるそれぞれのケースについて解説します。

共有者全員が不動産全体に設定されている抵当権を抹消するケース

不動産全体に設定されている抵当権を抹消するときは、共有者であれば1人から申請できます

ただし金融機関と共同で申請をすることには変わりないため、実質は共有者1人と金融機関で抵当権抹消登記を行うこととなります。

たとえば、1つの不動産をAとBの2人で共有しているケースでは、申請手続きを行える組み合わせは以下のとおりです。

  1. Aと金融機関
  2. Bと金融機関
  3. AとBと金融機関

AとBはどちらか1人でも抹消登記の手続きを実施できます

自己の共有持分に設定されている抵当権を抹消するケース

共有持分とは、共有名義不動産において共有者一人ひとりが持つ所有権のことです。共有持分は共有者個人の所有物であるため、ほかの共有者の合意を得ることなく自由に処分できます

これは抵当権抹消登記においても同じです。登記を行うときにほかの共有者の同意は必要なく、ローン完済後にご自身のタイミングで手続きを行えます。

当然ではありますが、抵当権が設定された共有持分の所有者以外は手続きを行えません。

たとえば、AとBで共有している共有名義不動産に対して、銀行がAの共有持分にのみ抵当権を設定したと想定します。

このケースでは、抵当権抹消登記を行えるのはAのみです。Bは抵当権の抹消に関与することはできません。

共有名義不動産の抵当権抹消登記を1人ではできないケース

抵当権抹消登記は、1人で行えないケースがあることを把握しておきましょう。以下2つのケースでは、ほかの人と協力する必要があります。

  • 抵当権抹消の申請者がその不動産を所有していないケース
  • 司法書士に依頼したケース

上記について詳しく解説していきます。

抵当権抹消の申請者がその不動産を所有していないケース

不動産の所有者が、土地と建物で異なるケースがあります。たとえば、以下のようなパターンです。

土地 建物
ケース① 夫と妻
ケース②
ケース③ 夫と妻

抵当権抹消登記は所有者しか手続きを行えないため、土地と建物で所有者が分かれるときは1人だけで手続きを完了できない可能性があることに注意してください。

ケース①では、夫なら不動産全体の抵当権抹消登記を1人で行えますが、妻は建物分の抵当権しか抹消の申請を行えません。

ケース②では、夫と妻どちらも1人では不動産全体の抵当権抹消登記を行うことはできません。夫は土地のみ、妻は建物のみの抵当権なら抹消の申請が可能です。もし一括で申請を行いたい場合は、夫婦共同で申請を行う必要があります。

ケース③では、1人で申請を行えるのは妻のみとなります。夫は土地に設定された抵当権のみ関与できます。

上記は夫婦を例に挙げましたが、親子や兄弟(姉妹)であっても同じです。「不動産の所有者のみが抵当権抹消登記を行える」と覚えておくと理解しやすいでしょう。

司法書士に依頼したケース

司法書士へ依頼する場合は、共有者全員の意思確認が求められることに注意です。法律上は共有者1人の委任状があれば問題ありませんが、実務上は共有者全員の協力が必要となります。

もし何かしらの理由により共有者からの同意を得られない場合は、その旨を司法書士に相談するのも一つの手。登記手続きの代行だけでなく、共有者から合意を得るためのアドバイスを求めることもできます。

専門的な視点からアドバイスを受けることで、共有者の合意を得る糸口を見つけられるかもしれません。

共有名義の抵当権抹消登記の必要書類

抵当権抹消登記に必要な書類を以下の表にまとめました。必要な書類は、主に金融機関や法務局から取得することができます

必要書類 取得できる場所
登記識別情報(または登記済証) 抵当権者である金融機関
登記原因証明情報(解除証明や弁済証書など) 抵当権者である金融機関
会社法人等番号 抵当権者である金融機関または法務局
代理権限証明情報(委任状) 抵当権者である金融機関
抵当権抹消登記申請書 法務局
登記謄本(登記事項証明書) 法務局

参照:法務局

上記のうち、登記識別情報(または登記済証)・登記原因証明情報(解除証明や弁済証書など)・代理権限証明情報(委任状)は、ローン完済後に金融機関から送付されるものです。

ここからは、各書類の内容について解説します。

登記識別情報(または登記済証)

不動産の名義人へ通知される書類で、お金を借りていた金融機関などからローン完済後に発行されます。平成17年以前は「登記済証」が発行されていましたが、不動産登記法改正時に登記済証の代わりに発行されるようになりました。

書類には、名義人ごとに定められた12桁のパスワード(アラビア数字と符号の組み合わせ)が記載されており、登記申請時の本人確認のために使用されます。

登記原因証明情報(解除証明や弁済証書など)

何が原因で登記が行われるのかを証明する書類です。抵当権抹消登記の場合は、抵当権が抹消される理由を証明するものとなります。

書類は、「解除証明」や「弁済証書」といったものが該当します。抵当権解除の旨を記した文章や、印鑑が押された契約書で代用される場合もあるので覚えておきましょう。

会社法人等番号

12桁の数字で構成される法人を識別するための番号です。登記申請書の義務者の欄に金融機関名とあわせて記載する必要があります。番号は、金融機関から送られてくる書類から確認可能です。

代理権限証明情報(委任状)

抵当権抹消登記は、不動産の共有者と金融機関の共同で行うものですが、金融機関から申請手続きを委任されるケースが多いです。その際に送付されるのが、「代理権限証明情報(委任状)」と呼ばれる書類です。

委任状が送付された場合は、不動産の所有者のみで抵当権抹消登記を進められます。

抵当権抹消登記申請書

抵当権抹消の申請を行うための書類です。登記申請を行うときには、本申請書と金融機関から送られた抵当権抹消登記書類一式を法務局へ提出することになります。

申請書は、法務局のホームページからダウンロードできます。

WordとPDFの2種類の形式が用意されており、好きな方を選択可能です。PCで作成をするならWord、プリントアウトして直接書き込みたいならPDFを選ぶといいでしょう。

ただし直接書き込む場合は、記載ミスをすると全部書き直しとなるため、WordをダウンロードしてPCで作成する方が効率的です。

参照:法務局

登記簿謄本(登記事項証明書)

不動産番号や所在、所有権に関する事項など、不動産に関する情報が記載された書類です。登記申請書の「不動産の表示」項目を記入する際の参考資料となります。

登記簿謄本と登記事項証明書は、簡単に言えば、アナログかデジタルかの違いです。登記簿(原本)の内容を手書きで書き写したものが登記簿謄本と呼ばれ、データ化された登記簿情報が印刷されたものを登記事項証明書と呼びます。

現在では登記簿はデータ化されているため、古い登記簿情報を取得する場合を除いて、登記事項証明書を取得することになるでしょう。取得する際は、管轄の法務局で問い合わせください。

共有名義の抵当権抹消登記の流れ

共有名義不動産の抵当権抹消登記は、以下の流れで申請を行います。

  1. 金融機関から書類を受け取る
  2. 必要に応じて必要書類を準備する
  3. 登記申請書を作成する
  4. 管轄の法務局へ提出
  5. 登記完了証を受け取る

各手順の詳細や注意点について解説していきます。

金融機関から書類を受け取る

ローンを完済すると、抵当権抹消登記書類一式が金融機関から送付されます

  • 登記識別情報(または登記済証)
  • 登記原因証明情報(解除証明や弁済証書など)
  • 会社等法人番号
  • 代理権限証明情報(委任状)

書類を受け取ったら、まずは不備がないか確認しましょう。送付書類のリストが同封されているときは、リストと書類を一つひとつ突き合わせて不足がないか確認してください。

書類の記載漏れがあることも考えられます。登記原因証明書の日付や不動産等の記載漏れや、委任状の日付などの記載漏れを発見したときは金融機関へ確認する必要があります。

紛失した場合には再発行を依頼できますが、別途手数料がかかることを知っておきましょう。手数料は、金融機関やローンを完済した時期などによって異なります。

必要に応じて使用する書類を用意する

引っ越しや結婚などによりローン返済中に住所や氏名が変更になった場合は、抵当権抹消登記を行う前に住所または氏名の変更登記を実施する必要があります

令和8年4月1日より義務化されることになり、変更した日から2年以内に手続きを行わなければならなくなります

住民票と戸籍謄本が必要なため、該当する場合は管轄の役所で取得するようにしてください。

登記申請書を作成する

書類が一通り揃ったら、抵当権抹消登記の申請書を作成しましょう。申請書のテンプレートは、先述したとおり法務局のホームページからダウンロードできます。

  • 日付
  • 権利者と義務者
  • 申請する人の氏名
  • 不動産の所在

など、金融機関から送られてきた抵当権抹消登記書類を参考にしながら記入してください。記入例もダウンロードできるので、そちらを参照するとスムーズです。

申請書の書き方については、後ほど詳しく解説します。

管轄の法務局へ提出する

登記申請書を作成したら、金融機関から送られてきた「抵当権抹消登記書類一式」とあわせて管轄の法務局の窓口へ提出します

書類の提出は郵送でも可能ですが、書類に不備があった場合に大きな手間が発生してしまうため、可能であれば直接窓口に持って行く方が効率的です。

管轄の法務局は、法務局のホームページから調べられます。

参照:管轄のご案内

登記完了証を受け取る

特に不備や問題がなければ登記が完了され、法務局から「登記完了証」が発行されます。文字どおり登記が完了したことを証明する書類で、管轄の法務局で受け取ることができます。

抵当権抹消登記が完了すると、登記謄本(登記事項証明書)の抵当権の欄に下線が引かれます。登記完了証が発行されたら、登記謄本(登記事項証明書)を取得して確認しておきましょう。

共有名義の抵当権抹消登記申請書の書き方

登記申請書は、登記謄本(登記事項証明書)や金融機関から届く抵当権抹消の関連書類などを参考に必要事項を記載します。登記申請書へ記入する項目と書き方を表にまとめましたので、参考にしてください。

項目 書き方
登記目的 「抵当権抹消」の文言と順位番号を記載
原因 抵当権が解除された日と原因を記載
例)「令和○年△月◻︎日解除」
権利者 現在の不動産所有者の住所と氏名を記載
義務者 抵当権を設定した金融機関などの住所・名称・会社法人等番号・代表者氏名を記載
登記識別情報を提供することができない理由 登記識別情報(登記済証)を提供できない場合は、該当する理由にチェックを入れる
申請年月日と申請する法務局 申請する日と申請する法務局(または地方法務局や出張所)を記載
申請人兼義務者代理人 金融機関などから登記申請を委任された、現在の不動産所有者の住所と氏名を記載
登録免許税 抹消登記の場合は、建物1個あたり1,000円(20個以上を一括で登記するときは、20,000円が上限)
不動産の表示 登記簿謄本(登記事項証明書)のとおりに記載

まとめ

共有名義不動産であっても、不動産全体を所有する共有者であれば、1人からでも抵当権抹消登記を実施できます。法律上、共有者の同意は必要ありませんし、誰かが被害を被るような行為でもないため、ローン完済後はすぐに実施するのがおすすめです。

ローン完済から時間が経つと、手続きが複雑化してしまう恐れがあるので注意してください。特に、金融機関などから届く抵当権抹消登記書類を紛失してしまった場合は、再発行のために余分な時間と手間とお金が発生します。

「忙しくて時間に余裕がない」「専門的な書類ばかりで1人では大変」そのような方は、司法書士へ依頼するのがおすすめです。共有者全員の意思確認を求められるデメリットはありますが、もし合意を得られない場合でも相談に乗ってもらえます。

まずは、必要書類を集めることから始めていきましょう。

共有名義不動産の抵当権抹消登記に関するよくある質問

共有名義の抵当権を抹消しないとどうなる?

抵当権抹消登記を行わない場合は、以下のデメリットを被る可能性があります。

■買い手が見つからず、不動産を売却できない
抵当権付き不動産は、債務者の支払いが滞ったときに差し押さえになる可能性があり、買い手にとっては大きなリスクとなります。このような物件をわざわざ購入したい人はいないため、売却することは非常に難しいです。

■抵当権付き不動産を担保にして融資を受けにくい
抵当権の効力は、登記した順番で決定されます。2番目に融資した債権者は、債務回収できないリスクが高まるため、抵当権付きの物件に対する融資は拒否されることが珍しくありません。

いざ融資を受けたいときに慌てて手続きを行わなくて済むように、抵当権抹消登記を早めに行っておきましょう。

■書類の紛失や金融機関の合併・倒産などにより、手続きが複雑化する恐れがある
時間の経過とともに、準備する書類や手続きが増えたり、余分に手数料が発生したりする可能性が高まります。

たとえば、抵当権抹消登記に必要な書類を紛失した場合、法務局や金融機関から取得しなおさなければならず、余分な手間や費用が発生します。

また、金融機関の合併や倒産、商号の変更などが発生することも考えられます。この場合は、通常の必要書類に加えて、合併や商号変更を証明できる書類が必要です。

このように、ローン完済後から時間を置いて登記手続きを行うと、抵当権抹消登記以外の手続きが発生しかねません。

信頼できる司法書士の選び方は?

共有名義不動産の抵当権抹消登記には必要な書類が多く、手続きの流れを把握することも専門知識がない人にとっては簡単とは言えません。司法書士に依頼した方が手間がかからず、確実に手続きを完了させられます。

司法書士へ依頼するときは、料金が明確になっているところを選びましょう。料金体系が曖昧だと契約後に見積もりよりも高くなったり、契約後に追加費用が発生したりすることも考えられます。

また、相談のしやすさや説明のわかりやすさも重要です。親身になって話を聞いてくれたり、専門用語を使わず簡潔に説明してくれたりするなど、素人目線に立った配慮ができる司法書士の方が安心です。

司法書士は、地域問わず依頼できます。現在では、抵当権抹消登記のオンライン申請が可能なため、対応エリアが決まっている司法書士でない限りは遠方でも対応してくれます。

司法書士事務所の場所を気にしすぎることなく、依頼しやすいと感じたところへ相談するのがいいでしょう。

ただし遠方の場合は、対面での相談が難しいため、直接会って相談したい人はお近くの司法書士事務所へ問い合わせてください。各都道府県の司法書士会ごとにホームページが用意されているので、そちらから相談するのがスムーズです。

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更新日 : 2025年01月22日
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