不動産売却を高くスムーズに!
空き家・訳あり不動産も対応

共有名義から単独名義に変更する5つの方法!手続きの流れや費用を徹底解説

共有名義から単独名義に変更する方法!手続きの流れや注意点を解説

相続や共同購入などをきっかけに、不動産が共有名義となるケースは少なくありません。

しかし、共有名義のままでは、売却や大規模なリフォーム、賃貸などの重要な手続きを行う際に共有者の同意が必要となる場面が多く、意見が一致しないことで手続きが滞ってしまうこともあります。

こういったことから「将来的なトラブルを避けるために、単独名義に変更したい」と考える方も多いのではないでしょうか。

共有名義から単独名義に変更する主な方法には、以下の5つがあります。

方法 向いているケース 注意点
共有者間で持分を売買 ・買い手に資金的な余裕がある場合
・売り手が持分を現金化したい場合
・売買する共有者間で合意が取れている場合
・時価より安い取引は贈与扱いになる可能性あり
・売却益が出る場合は譲渡所得税が発生する場合あり
共有者間で持分を贈与 ・持分の受け手に資金がない場合
・手放す側が無償譲渡でも良い場合
・持分の評価額によっては贈与税が発生する
共有持分を放棄 ・無償で良いのでとにかく持分を手放したい場合 ・登記は他の共有者との共同申請が必要
・受け取る側に贈与税が課される場合あり
分筆(土地の場合) ・土地が広く独立して利用したい
・共有者の過半数が同意している
・測量・登記費用がかかる
・資産価値が下がる場合あり
・分筆後の登記には各々対応が必要
共有物分割請求 ・話し合いで合意できない場合 ・訴訟の場合は多くの時間と費用がかかる
・希望通りに単独名義化できない場合あり(他共有者の持分を買い取り単独名義化・分筆・不動産を売却して現金を分配、のいずれか)

このように、共有名義の不動産を単独名義にする方法にはいくつかの選択肢があり、それぞれに適したケースや注意点があります。表の内容を参考にしながら、ご自身の状況に合った方法を検討するとよいでしょう。

もっとも、いずれの方法を選ぶ場合でも、専門家の意見を踏まえて進めることが重要です。なぜなら、手段ごとに手続きや法的・税務上の取扱いが異なり、専門的な知識が不可欠となるからです。

具体的には、売買に関する相談は不動産会社、登記手続きは司法書士(または弁護士)、共有者間で紛争がある場合は弁護士、税金が関係する場合は税理士といったように、内容に応じて適切な専門家へ相談することをおすすめします。

本記事では、共有名義の不動産を単独名義に変更するメリットや代表的なケースを整理したうえで、売買・贈与・放棄・分筆・共有物分割請求といった具体的な方法と、それぞれの注意点をわかりやすく解説します。あわせて、住宅ローンが残っている場合や、話し合いが難しいケースでの対処法についても紹介します。

なお、弊社では士業のご紹介ならびに、共有名義不動産・共有持分の買取りを行っております。共有名義不動産の単独名義化や、売却をご検討の方はぜひ弊社にご相談ください。

訳あり不動産の売却でお悩みなら
今すぐご連絡ください

イエコンで訳あり不動産に強い
買取業者を探す

共有名義から単独名義に変更するメリット

共有名義の不動産を単独名義に変更する最大のメリットは、自分の判断だけで不動産を活用できるようになることです。

共有名義のままでは、売却・リフォーム・賃貸など多くの行為に共有者全員の同意が必要です。共有不動産には、以下のような法律上の制約があり、単独で行える範囲は限られています(民法251条・252条)。

行為 詳細 共有者の同意
変更(軽微な変更) ・砂利道のアスファルト舗装
・建物の外壁・屋上防水などの修繕
・土地の分筆や合筆
持分の過半数の同意が必要
変更(軽微な変更以外) ・抵当権の設定
・売却や贈与
・建物の解体
・建物の増築や改築
・長期間の賃貸借契約
全員の同意が必要
管理 ・短期間の賃貸借契約
・賃貸契約の解除
・建物のリフォーム・リノベーション
・共有宅地の整地
持分の過半数の同意が必要
保存 ・不動産の現状維持のための修繕
・不法占拠者への明け渡し請求
・無権利者名義の抹消登記請求
・法定相続登記
・地役権設定登記請求
・共有不動産の使用
各共有者が単独で可能

このように、共有名義不動産は単独で行えることが制限されています。そのため、たとえ家族や親族であっても意見が食い違えば話が進まず、場合によっては深刻なトラブルに発展することもあるでしょう。

さらに、共有者の誰かが亡くなるたびにその持分は相続人に引き継がれ、世代を重ねるごとに共有者の数が増えていきます。その結果、売却や管理などの意思決定に必要な合意を取り付けることがますます難しくなり、不動産の取り扱いが複雑になってしまうのです。

単独名義に変更すれば、こうした問題を避けられます。

所有者が1人で利用や処分について意思決定できるようになるため、不動産を売却したり、リフォームや賃貸などの活用を迅速に進めたりすることが可能になります。また、相続が発生した場合も、名義が一本化されていれば手続きが格段にシンプルになり、残された家族の負担の軽減が可能です。

もっとも、単独名義にする際には登記にかかる費用が発生するほか、これまで共有者全員で分担していた固定資産税や維持管理費を1人で負担しなければならないといったデメリットもあります。

それでも、将来にわたるトラブルを未然に防ぎ、不動産を自在に扱えるようになるという点で、総じてメリットの方が大きいといえるでしょう。

共有名義から単独名義に変更する主なケース

共有名義を単独名義に変更する理由は人それぞれですが、多くは次のような状況で発生します。

ケース 具体例・状況
離婚で共有名義を解消したい 財産分与の一環として、不動産の持分を整理する必要があるケース
親子の共有名義を子へまとめたい 生前贈与や二世帯住宅など、親から子へ名義を一本化したいケース
兄弟相続の不動産を1人にまとめたい 共有者が増えることで管理・売却が難しくなるため、単独名義に整理したいケース

これらはいずれも、共有状態を解消してスムーズに管理・売却できるようにするための名義変更です。

以下では、それぞれのケースごとに、具体的な方法と注意点を解説します。

離婚によって夫婦の共有名義を解消したい

夫婦でマイホームを共有名義にしている場合、離婚時には財産分与の一環として名義を整理するケースが多く見られます。

共有名義のままでは売却や再利用が難しく、離婚後のトラブルにつながるおそれもあるため、早めにどちらの名義にするかを決めておくことが大切です。

一般的には、次の2つの方法があります。

不動産を売却して財産を分ける ・最もシンプルで公平な方法。
・売却代金で住宅ローンを完済し、残りを公平に分ける。
・売却益が出た場合は譲渡所得税が課される可能性がある(国税庁No.3105)。
・売却価格がローン残高を下回る場合は、自己資金で補うか、金融機関と相談して任意売却を検討する必要がある。
・共有名義のままでは売却できないため、全員の同意が必要。
夫婦どちらか一方の名義に変更する ・一方がそのまま住み続ける場合の方法。
・名義を譲り受ける側が、相手に不動産の価値に応じた代償金を支払うのが一般的。
・代償金を支払わないと贈与とみなされ、贈与税が課される場合がある(国税庁No.4402)。
・住宅ローンが残っている場合は、金融機関の承諾が必要。連帯債務や連帯保証があると名義変更が認められないケースもある。

どちらの方法を選ぶかは、住宅ローンの残高や今後の生活設計によって異なります。

金融機関の承諾が得られない場合や、どちらも住み続ける意思がない場合には、売却して清算する方法が現実的でしょう。

夫婦共有名義の不動産を財産分与する場合の名義変更の流れについては、離婚にともなう不動産の名義変更の進め方をご覧ください。

親子で共有している不動産を子の名義にしたい

親子で共有している不動産を子の単独名義に変更したいという相談は少なくありません。二世帯住宅の建築や生前贈与などをきっかけに共有名義となった不動産を整理したい場合に検討されます。

名義を子にまとめる方法はいくつかありますが、主なものは次の2つです。

贈与によって名義を移す ・親が無償で子に持分を譲り渡す方法。
・贈与税が課される可能性があり、課税方式(暦年課税・相続時精算課税)によって負担額が変わる場合がある。
・相続発生後の名義変更を避けられるため、相続対策として利用されるケースもある。
※詳しくは「贈与にかかる費用・税金」を参照。
親子間で売買して名義を移す ・子が親の持分を買い取る方法。
・売買代金の設定が時価より極端に低いと、差額が贈与とみなされるおそれがある。
・親側には譲渡所得税が発生する場合もあり、税務上の判断が求められる。
※詳しくは「売買にかかる費用・税金」を参照。

どちらの方法にも税務上の注意点があるため、実際に名義を移す際は税理士などの専門家に相談しながら進めるのが安心です。

なお、住宅ローンが残っている場合は、金融機関の承諾を得なければ名義変更はできません。

親から子へローンを引き継ぐ際には、借り換えや担保変更などの追加手続きが必要になるほか、新たな審査や保証人の変更を求められる場合もあります。

名義変更の条件や必要な手続きは金融機関ごとに異なるため、早めに相談して確認しておくことが重要です。

兄弟で相続した不動産を単独所有にしたい

共有名義のままだと、売却やリフォームなどの際に兄弟全員の同意が必要となり、意見が分かれると手続きが進まない場合があります。また、次の相続で共有者が増えると、権利関係が複雑になり管理や処分が困難になるおそれもあります。

単独名義にするには「代償分割」という方法を用いるのが一般的です。「代償分割」とは、兄弟のうち1人が不動産を取得し、その代わりに他の兄弟へ代償金を支払う方法です。

代償金の金額が不当な場合は贈与税が課されるおそれがあるため、評価額の算定や協議内容は慎重に行う必要があります。

資金調達が難しい場合は、売却して現金を分ける「換価分割」や、土地を分筆して分ける「現物分割」を検討することも可能です。詳しくは「遺産相続時に共有名義を防いで相続する方法」をご覧ください。

どの方法を選ぶ場合でも、兄弟全員でしっかり話し合い、不動産の評価を正確に行うことが大切です。税金や登記の扱いも関わるため、税理士や司法書士などの専門家へ相談して進めるとよいでしょう。

所有している共有名義不動産を単独名義に変更する5つの方法

「共有名義を解消して、自分一人の名義にしたい」と考えても、その方法は1つではありません。共有者との関係や資金状況、土地の条件などによって、選ぶべき方法や手続きが変わります。

共有名義の不動産を単独名義に変更するには、主に次の5つの方法があります。

方法 向いているケース 注意点
共有者間で持分を売買 ・買い手に資金的な余裕がある場合
・売り手が持分を現金化したい場合
・売買する共有者間で合意が取れている場合
・時価より安い取引は贈与扱いになる可能性あり
・売却益が出る場合は譲渡所得税が発生する場合あり
共有者間で持分を贈与 ・持分の受け手に資金がない場合
・手放す側が無償譲渡でも良い場合
・持分の評価額によっては贈与税が発生する
共有持分を放棄 ・無償で良いのでとにかく持分を手放したい場合 ・登記は他の共有者との共同申請が必要
・受け取る側に贈与税が課される場合あり
分筆(土地の場合) ・土地が広く独立して利用したい
・共有者の過半数が同意している
・測量・登記費用がかかる
・資産価値が下がる場合あり
・分筆後の登記には各々対応が必要
共有物分割請求 ・話し合いで合意できない場合 ・訴訟の場合は多くの時間と費用がかかる
・希望通りに単独名義化できない場合あり(他共有者の持分を買い取り単独名義化・分筆・不動産を売却して現金を分配、のいずれか)

ここからは、各方法の具体的な流れと注意点を順に解説します。

共有者間で持分を売買する

共有者間で持分を売買

共有者のうち、単独名義にしたい人が、他の共有者からその共有持分を買い取り、所有権をすべて集めて単独名義にする方法です。売主と買主の間で合意ができており、買主に資金の余裕がある場合に適しています。

ただし、取引価格が時価より著しく低い場合は、「みなし贈与」と判断されて贈与税が課されるおそれがあります。時価の半分程度を下回るような取引は、課税対象とみなされる場合もあるため、不動産鑑定士や不動産会社に査定を依頼して、適正価格を把握しておくとよいでしょう。

共有者間での売買は、主に次の手順で進めます。

手順 内容
①売買価格の決定 共有者間で話し合い、市場価格や固定資産税評価額などを参考に価格を決める
②売買契約の締結 契約内容を明記した売買契約書を作成し、当事者が署名・押印する
③所有権移転登記の申請 登記原因を「売買」として、法務局に登記申請書と必要書類を提出する
④所有権移転登記の完了 法務局での審査後、名義変更が反映され手続きが完了する

なお、共有不動産に住宅ローンなどの抵当権が設定されている場合は、売買前に抹消手続きや金融機関の承諾が必要になることがあります。抵当権が残ったままでは登記手続きが完了しないため、事前に金融機関へ確認しておきましょう。

費用や税金の詳細については、売買にかかる費用・税金を参考にしてください。

共有者間で持分を贈与する

共有持分の贈与

共有者のうち、自分の持分を無償で他の共有者に譲り渡すことで、単独名義にする方法です。売買のように資金を用意する必要がなく、共有者間の合意だけで進められるため、比較的シンプルな手続きといえます。

ただし、贈与税の基礎控除額は年間110万円までで、これを超える場合は課税対象となります。「持分の評価額が110万円を超えたら必ず課税される」というわけではなく、その年に受け取ったすべての贈与(複数の人からの贈与も、不動産以外の贈与も含む)を合計して110万円を超えた場合に課税対象となります。

特に親族間の贈与は税務署から確認を受けやすいため、固定資産税評価額などをもとに適正な評価額を算定しましょう。

また、課税方式(暦年課税・相続時精算課税)は、将来の相続も見据えて慎重に選ぶことが重要です。

共有者間で持分を贈与する場合の一般的な手続きは、次のとおりです。

手順 内容
①贈与契約書の作成 共有者間で合意した内容をもとに贈与契約書を作成する。契約書には日付・当事者名・対象不動産の表示などを明記する
②所有権移転登記の申請 登記原因を「贈与」として、法務局に登記申請書と必要書類を提出する
③贈与税の申告 贈与された持分の評価額が110万円を超える場合、翌年2月1日~3月15日の間に贈与税の申告を行う

贈与では譲渡所得税は発生しませんが、評価額が大きい場合は贈与税の負担が重くなるおそれがあります。

税金や登記の判断に迷う場合は、税理士や司法書士などの専門家に相談すると安心です。

共有持分を放棄する

共有持分の放棄

共有持分の放棄とは、自分の持分を放棄し、その権利を他の共有者に帰属させる方法です。民法第255条により、共有者は自由に自分の持分を放棄できます。

持分を放棄すると、その持分は残っている共有者の持分割合に応じて自動的に分けられます。

【具体例】
A・B・C が「A:5/B:3/C:2」の割合で共有している場合、Cが持分(2)を放棄すると、Cの持分は A:B=5:3 の割合 に応じて分配されます。

【増加する持分】
・A:5→6.25に増加
・B:3→3.75に増加


【最終的な持分割合】
・A:6.25(全体の 62.5%)
・B:3.75(全体の 37.5%)

放棄された持分が、元の割合に応じてそのまま上乗せされる仕組みです。

なお、共有持分の放棄自体は、他の共有者の同意がなくても一方的な意思表示で法律上は成立します。しかし、登記をしない限り、第三者へは効力が及びません。

そのため、登記をしないと次のような問題が生じます。

  • 登記簿上は放棄した人の名前が残り続ける
  • 固定資産税の納付書も放棄者に届き続ける
  • 放棄者が第三者に対し、自分がまだ権利を持っているように振る舞う余地が残る
  • 買主・金融機関・裁判所などの第三者は「登記簿の名義」を基準に判断するため、放棄後の権利関係が証明できない

つまり、法律上の効果(共有者間の内部関係)と、登記上の効果(対外的効力)にズレがあるため、放棄の「実務上の完了」には所有権移転登記が必須となります。

そのため、放棄した持分の登記を反映するには、取得する共有者との共同申請が不可欠です。

共有持分を放棄する一般的な流れは、次のとおりです。

手順 内容
①放棄の意思表示 内容証明郵便などで、他の共有者へ放棄の意思を通知する
②所有権移転登記 放棄により持分を取得する共有者と共同で、法務局へ登記申請する
③贈与税の申告 無償取得した持分の評価額が110万円を超える場合、取得者が贈与税を申告

放棄では現金の授受がないため譲渡所得税は発生しませんが、受け取った共有者には贈与税が課される場合があります。費用や税金の詳細は、放棄にかかる費用・税金をご参照ください。

なお、他の共有者が登記に協力しない場合は、登記引取請求訴訟を提起して、裁判所を通じて持分移転登記を進めることができます。ただし訴訟は時間や費用がかかるため、弁護士に相談し、話し合いでの解決や和解の可能性も含めて検討するのが現実的です。

土地の場合は分筆する

土地の分筆

分筆とは、登記上1つの土地を複数の区画に分け、それぞれを独立した地番として登録する「分筆登記」を行うことを指します。

分筆は土地を対象とする手続きであり、建物そのものを分筆することはできません。

法的には共有者の持分の過半数の同意で決定できますが、登記は共有者全員の申請が必要です。そのため、実際の手続きでは共有者全員の協力が得られなければ、分筆登記を進めることはできません。

分筆登記では正確な測量と書類の作成が求められるため、土地家屋調査士に依頼して進めるのが一般的です。なお、分筆後に各区画を単独名義に変更する際は、司法書士が所有権移転登記を代行するケースもあります。

分筆すれば、各共有者が自由に土地を利用・処分することが可能です。一方で、測量や登記に時間と費用がかかるうえ、分け方によっては接道義務を満たさなくなり、土地全体の資産価値が低下するおそれがあります。形状や日照条件の不均衡により、利用価値に差が生じる場合もあるでしょう。

こうした負担やリスクを考慮すると、分筆は土地が十分に広く、各共有者が独立して利用したい場合に限り、有効な方法といえます。

分筆の一般的な手続きの流れは、次のとおりです。

手順 内容
①専門家への相談 土地家屋調査士に相談し、分筆の可否・概算費用・スケジュールを確認する
②必要書類の準備 登記記録・地積測量図・公図など、法務局で必要な書類を取得する
③現地調査・測量 土地家屋調査士が現地で境界を確認し、必要に応じて隣地所有者と立会いのうえ境界を確定する
④分筆登記の申請 確定した境界に基づき登記申請書を作成し、法務局に分筆登記を申請する

分筆にかかる費用や税金の詳細は、分筆にかかる費用・税金で詳しく解説しています。

共有物分割請求をする

共有物分割請求訴訟

共有物分割請求とは、共有関係を解消するために、他の共有者に不動産の分割を求める手続きです。

不動産の分割方法には、一般的に次の3種類があります。

分割方法 内容
現物分割 不動産そのものを物理的に分け、各共有者が取得する方法。
代償分割 特定の共有者が不動産を取得し、代わりに他の共有者へ金銭を支払って精算する方法。
換価分割 不動産を売却し、売却代金を共有者で按分して分け合う方法。

※分割方法については、遺産相続時に共有名義を防いで相続する方法をご参照ください。

まずは共有者間で話し合い(協議分割)を行い、これらの分割方法のうちどれを選ぶかを検討するのが基本です。しかし、合意できない場合は、裁判で分割を求めることになります。

裁判では、共有者の意見や不動産の状況を踏まえて、裁判所がいずれかの分割方法を選択します。

ただし、判決は裁判所の裁量により決定されるため、必ずしも希望どおりの結果になるとは限りません。実務上は、現物分割や代償分割が難しい場合が多く、換価分割で代金を分配する形になるケースが一般的です。

換価分割では、裁判所を通じて競売で売却されることが多く、市場価格より2〜5割ほど安くなる傾向があり、その分受け取れる金額も減少します。

また、共有物分割請求訴訟は、弁護士費用や裁判費用がかかるうえ、共有者全員を相手に訴える必要があるため、人間関係が悪化するリスクもあるでしょう。そのため、弁護士に相談し、話し合いで解決できないかを検討してから判断するのが望ましいです。

共有物分割請求の一般的な手続きの流れは、次のとおりです。

手順 内容
①共有者間での協議 分割方法について話し合いを行い、合意に至らなかった場合はその経緯を記録に残す。
②弁護士への相談 共有物分割請求の実績がある弁護士に相談し、訴訟の方針を検討する。
③裁判所への訴訟提起 必要書類を揃えて、不動産所在地または被告住所地を管轄する地方裁判所へ訴訟を提起する。
【主な提出書類】訴状(正本・副本)/全部事項証明書/固定資産評価証明書/収入印紙・郵券
④裁判の進行 訴状が被告へ送達された後、口頭弁論で主張・立証を行う。
⑤判決・登記 判決が確定したら、その内容に基づき登記手続きを行う。

共有物分割請求にかかる費用・税金の詳細は、共有物分割請求にかかる費用・税金で詳しく解説しています。

【ケース別】相続や離婚で共有名義を単独名義にするには?

不動産が共有名義の場合、売却や住宅ローンの手続き、リフォームなどが自由に行えず、将来的なトラブルの原因となるおそれがあります。

そこで、売却や相続などの手続きを見据えて、早めに単独名義へ変更しておくことを検討しましょう。

ここでは、次の2つのケース別に手続きの流れや注意点を解説します。

  • 遺産相続時に共有名義を防いで相続する方法
  • 離婚にともなう不動産の名義変更の進め方

遺産相続時に共有名義を防いで相続する方法

親が亡くなり、実家を兄弟姉妹など複数の相続人で相続すると、遺産分割が決まるまで不動産は共有名義になります。共有名義のまま放置すると、売却や修繕、管理の判断が難しく、後々トラブルに発展する恐れがあります。

こうしたトラブルを防ぐには、生前に遺言書で「誰が不動産を相続するか」を明確にしておくことも有効です。

遺言がない場合は、相続の話し合い(遺産分割協議)の段階で、共有名義にしない方法を検討するようにしましょう。

相続財産を共有にせず、単独名義で相続する方法としては、主に次の3つが挙げられます。

分割方法 内容
現物分割 財産を現金化せず、土地を分筆したり、種類ごとに分けたりして、相続人が分け合う方法
代償分割 1人が不動産を取得し、他の相続人に持分に応じた代償金を支払う方法
換価分割 財産を売却して現金化し、その代金を相続分に応じて分配する方法

ここからは、それぞれの分割方法について詳しく解説します。

現物分割│財産を現金化せず、土地を分筆したり、不動産・預貯金などを現物のまま分ける

現物分割

現物分割は、相続財産を現金化せず、土地を分筆したり、不動産や預貯金をそのままの形で相続人に分けたりする方法です。

たとえば、兄弟A・Bがそれぞれ60%・40%の持分で共有していた100㎡の土地を、60㎡と40㎡に分筆し、それぞれ単独名義にするケースが典型例です。

このように現物のまま取得することで共有状態を避けられ、将来の管理や売却もスムーズになります。

換価分割│不動産を売却して現金化し、分配する

換価分割

換価分割は、相続した不動産を第三者に売却し、得られた売却代金を法定相続分や遺産分割協議で決めた割合に応じて分配する方法です。

たとえば、兄弟A・B・Cがそれぞれ50%・30%・20%の持分で共有していた不動産を3,000万円で売却した場合、Aは1,500万円、Bは900万円、Cは600万円を受け取る計算になります。

不動産を所有しないため、将来の維持管理費や固定資産税の負担、意見の食い違いといった問題も解消できます。

とくに、不動産の利用を希望する人がおらず、公平に財産を分けたい場合に適した方法です。

代償分割│1人が不動産を取得し、他の相続人に代償金を支払う

代償分割

代償分割は、相続人のうち1人が不動産を単独で取得し、その代わりに自分の資金から他の相続人に対して、持分に見合った金額(代償金)を支払う方法です。

たとえば、兄弟A・Bが相続した実家(評価額3,000万円)を50%ずつ共有していた場合、Aが不動産を取得し、Bには持分に応じた1,500万円を支払うケースが該当します。

代償金の金額は、不動産の評価額に基づいて相続人全員で話し合って決めます。現金のほか、他の相続財産で調整することも可能です。

離婚にともなう不動産の名義変更の進め方

離婚時には、夫婦で共有している不動産をどちらが取得するかを決め、財産分与の内容に沿って名義変更の手続きを行う必要があります。この際、離婚協議書を作成し、公正証書にしておくと証拠力が高まり、手続きもスムーズです。

ここでは、住宅ローンが残っていない場合と残っている場合の名義変更について解説します。

住宅ローンが残っていない場合の名義変更

住宅ローンを完済している場合は、名義変更の手続きが比較的スムーズに進めやすいケースが多いです。

まず、夫婦間でどちらが不動産を取得するかを話し合い、財産分与の内容を定めた離婚協議書などを作成します。

その後、その協議書をもとに法務局で名義変更の登記を申請します。不動産を取得する側が単独名義になるよう、所有権移転登記を行う流れです。

なお、住宅ローンを完済していても、金融機関の抵当権が登記簿上に残っている場合は、先に抵当権抹消登記を済ませる必要があります。抹消が完了してから、所有権移転登記(名義変更)を進めるようにしましょう。

登記の原因は「離婚による財産分与」となります。離婚協議書や公正証書を添付書類として提出すると、法務局での審査がスムーズに進みます。

登記は本人でも行えますが、書類の不備や登記原因証明の誤りなどで補正を求められる場合もあるため、司法書士に依頼するとよいでしょう。

所有権移転登記には、固定資産評価額の原則2%の登録免許税がかかり、司法書士に依頼する場合は5〜10万円ほどの報酬が目安となります。

詳しい必要書類の一覧や取得方法は、「ステップ1|必要書類を収集する」で解説しています。

住宅ローンが残っている場合は金融機関の承諾が必要

住宅ローンが残っている状態で名義変更を行う場合は、必ず事前に金融機関へ相談し、承諾を得なければなりません。

多くの住宅ローン契約には「担保不動産の名義変更禁止特約」が含まれており、金融機関の同意なしに名義を変えると契約違反とみなされるおそれがあるためです。契約違反になると残りのローンを一括返済するよう求められたり、追加の保証を求められたりする可能性があります。

金融機関は、共有名義の不動産を担保として融資する際、夫婦それぞれの収入や信用情報を確認し、返済能力があるかどうかを審査したうえで融資を実行しています。そのため、名義変更を行う場合も改めて返済能力などの審査が行われ、結果によっては希望どおり進められないケースもあるでしょう。

金融機関が承諾した場合は、名義変更(引き継ぐ側がローンを支払い続ける)か、借り換えによって新たに契約を結ぶ形で手続きを進めるのが一般的です。

一方で、承諾が得られない場合は、不動産を売却してローンを完済する方法も検討が必要です。売却価格がローン残高を下回る(オーバーローン)ときは、差額を自己資金で補うか、金融機関の同意を得て任意売却を行うケースもあります。

なお、離婚に伴う名義変更では、手続き内容や承諾条件が金融機関によって異なるため、早めに契約先へ相談しておくことが大切です。

共有者の事情により名義変更が進められない場合の対応

共有名義の不動産を単独名義にするには、共有者全員の同意や手続きへの協力が不可欠です。自分の持分だけを第三者に売却する場合と異なり、共有者同士で持分を売買・贈与するなど、相手の意思が関わる手続きであるためです。

しかし、共有者のなかに所在がわからない人や、認知症などで意思表示ができない人などがいると、通常の話し合いや契約だけでは手続きを進めることができません。

このような場合は、民法の特別な制度や家庭裁判所の手続きを利用して進める必要があります。

共有者の事情により名義変更が進められない主なケースは、以下のとおりです。

  • 共有者が連絡を拒否している場合
  • 共有者が所在不明の場合
  • 共有者が認知症で意思表示ができない場合
  • 共有者が一時的に意思能力を喪失している場合
  • 共有者が未成年の場合
  • 共有者が海外在住の場合
  • 共有者が破産している場合

それぞれの状況に応じた対応方法を解説します。

共有者が連絡を拒否している場合

共有者の所在がわかっていても、話し合いを拒否されたり、名義変更に同意してもらえなかったりする場合、当事者間の協議だけで手続きを進めることはできません。

まずは、内容証明郵便を送って正式に協議を求めた記録を残しておくことが重要です。内容証明郵便とは「いつ・誰に・どんな内容を送ったか」を郵便局が公的に証明してくれる郵便です。法的拘束力はありませんが、後に調停や訴訟へ進む際の交渉経緯を示す証拠として有効です。

それでも協議に応じてもらえない場合は、家庭裁判所に「共有物分割調停」を申し立てます。共有物分割調停とは、家庭裁判所で中立の調停委員が間に入り、双方の主張を整理しながら合意を目指す手続きです。

調停では、不動産の分割方法や持分の買取金額など、具体的な条件を話し合い、当事者が合意すれば「調停調書」が作成され、判決と同じ効力を持ちます。

それでも合意に至らなければ「共有物分割訴訟」によって裁判所の判断を仰ぐことになります。

ただし、訴訟は費用や時間の負担が大きいため、最終手段として慎重に判断することが大切です。訴訟の流れは、「共有物分割請求をする」の項で詳しく解説しています。

共有者が所在不明の場合

これまでは、共有者の一部が行方不明や連絡不能の場合、他の共有者が手続きを進めることはできませんでした。しかし、共有関係の整理が進まないケースが多かったことから、2023年4月施行の改正民法で、所在不明共有者の持分を法的に処理できる2つの制度が新設されています。

それぞれの概要は以下のとおりです。

制度名 概要 利用できる人 特徴
所在等不明共有者の持分取得制度(民法第255条の2 家庭裁判所に申し立てを行い、所在不明の共有者の持分を他の共有者が取得できる制度。 他の共有者 ・裁判所が定めた時価相当額を供託して取得
・単独名義化など、共有関係の整理に有効
所在等不明共有者の持分譲渡制度(民法第255条の3 家庭裁判所の許可を得て、所在不明共有者の持分を第三者に譲渡できる制度。 共有者(譲渡人) ・第三者への譲渡が可能
・柔軟に共有関係を解消できる

これらの制度を利用する場合は、家庭裁判所に申し立てを行い、裁判所が定めた金額を供託したうえで所有権移転登記を申請する流れが一般的です。ただし、申し立てには期間や費用、証拠資料の準備が必要となるため、弁護士などの専門家へ相談して進めることをおすすめします。

共有者の認知症が進行している場合

成年後見制度

共有者が認知症などにより、意思能力を失っている、または判断能力が著しく低下している場合は、その人との間で売買や贈与の契約を締結することはできません。

このような場合は、成年後見制度の利用を検討することになります。

成年後見制度とは、家庭裁判所に申し立てを行い、成年後見人を選任してもらうことで、本人の財産管理や契約締結などを代行してもらう制度です。制度の目的は、判断能力が不十分になった人の権利を保護し、財産を適切に管理することです。

成年後見人には、配偶者や子どもなどの親族のほか、弁護士や司法書士などの専門職が選ばれるケースもあります。後見人が選任されると、代理人として認知症の共有者に代わり、持分を買い取ったり、不動産全体の売却手続きを進めたりすることが可能になります。

なお、成年後見制度は本人の利益になる場合でなければ承認されないため、必ずしも持分の買取が認められるとは限りません。

選任までに数ヵ月を要することもあるため、余裕を持って準備を進めることが大切です。

共有者が意思能力を一時的に喪失している場合

病気や事故による昏睡や脳疾患などで、共有者が一時的に意識を失ったり、判断能力が低下しているときは、契約が無効となるおそれがあります。そのため、回復を待たずに売買や贈与を進めるのは避け、状態が安定してから改めて協議や契約を行うのが基本です。

一方で、判断能力の低下が長期化するおそれがある場合には、成年後見制度の利用を検討しましょう。後見開始の要否は、医師の診断書などをもとに家庭裁判所が判断します。

判断能力の程度や回復の見通しによって対応が異なるため、状況を見極めて慎重に判断することが大切です。

共有者が未成年の場合

共有者が未成年の場合

共有者が未成年の場合、その本人が単独で売買や贈与などの契約を行うことはできません。

民法第5条により、未成年者が法律行為を行うには親権者の同意が必要です。

親権を持つ人がいない、または病気や行方不明などで親権を行使できない場合は、家庭裁判所が選任した未成年後見人が代理人となって手続きを行います。

未成年後見人には、祖父母などの親族のほか、弁護士や司法書士といった専門職が選ばれるケースもあります。

ただし、親が子どもの持分を買い取るケースなど、親権者と未成年者の間で利益が相反する場合には、家庭裁判所に「特別代理人」の選任を申し立てなければなりません。特別代理人とは、親が未成年者の代理人になると利益が衝突する場面で、代わりに行為を行うために裁判所が選任する人のことです。特別代理人も、親族や弁護士、司法書士などのなかから選ばれます。

未成年の共有者が関わる場合は、家庭裁判所での手続きや書類準備が必要になることも多いため、事前に流れを把握しておくとよいでしょう。

共有者が行方はわかるが海外在住の場合

共有者が海外に住んでいる場合は、連絡や同意の取得が難しいうえ、日本と同じ形式で署名や押印などの手続きを行うことはできません。このようなときは、日本にいる代理人に手続きを委任することで、名義変更や売却を進めることが可能です。

その際に必要となるのが「委任状」です。委任状には、次の内容を明記します。

  • 署名・日付
  • 具体的な委任内容(売却、登記申請など)
  • 代理人の氏名・住所

委任状は通常、日本で作成したものを海外在住者に送付し、本人が署名したうえで、現地の日本大使館または領事館で署名証明(サイン証明)を受けます。署名証明を受ける際は、事前に在外公館への予約が必要で、本人が直接出向き、職員の面前で署名を行う必要があります(代理手続きは不可)。

署名証明付きの委任状を提出すれば、日本の法務局でも正式な委任書として受理され、登記や売却の手続きを進めることが可能です。

代理人には、家族・親族のほか、手続きの内容に応じて司法書士や弁護士を選任するケースが多いです。

手続きや必要書類は国や地域によって異なるため、郵送や認証のやり取りに数週間を要する場合もあります。売却や登記のスケジュールには、余裕をもって準備することが大切です。

共有者が破産している場合

共有者のうち破産手続中または破産済みの人がいる場合、その人の持分は破産財団に組み入れられ、破産管財人が管理・処分を担います。

破産財団とは、破産者の財産のうち、債権者への配当や処分の対象となる財産です。

この段階では破産者本人に処分権はなく、破産財産に属する不動産の名義変更や売却は、管財人の関与と裁判所の許可を前提に進みます。

破産管財人とは、破産者の財産を管理し、売却などによって現金化したうえで債権者に配当さに裁判所が選任する人です。多くの場合、弁護士が選任されます。

管財人は債権者への配当を目的に持分を売却でき、他の共有者による買い取りも可能です。この場合は、管財人と価格や条件を協議し、裁判所の許可を得て契約・登記を行います。

破産手続が終結したあとに注意すべき点として、持分の処理が完了していない場合があります。そのような場合は、管財人からの処分報告や破産終結決定の内容を確認したうえで、登記手続きを進めましょう。

また、破産者が死亡しても手続は原則継続し、管財人が売却などにより現金化して債権者への配当を行います。破産財団から放棄された場合や、未処分のまま終結して管理処分権が戻った段階で、相続人が共有者として権利を引き継ぐことになります。

なお、登記名義の変更や相続関係の確認など、必要に応じて家庭裁判所への申立てや登記書類の補正が求められる場合があります。事前に登記要件を確認し、適切に対応することが重要です。

共有名義から単独名義に変更する登記手続きの流れ

共有名義の不動産を単独名義に変更するには、名義変更の手続きとして法務局で「持分移転登記」を行う必要があります。この登記によって名義変更が法的に確定し、第三者に対しても所有権を証明できるようになります。

単独名義に変更する登記手続きの流れは以下のとおりです。

  1. 必要書類を収集する
  2. 登記申請書を作成する
  3. 法務局に申請する

手続きに不備があると法務局から補正(内容の訂正を求められること)を求められるため、事前に全体の流れや必要書類を確認しておきましょう。

ステップ1|必要書類を収集する

登記の申請は、書類に不備があると受理されないため、あらかじめ必要書類を揃えておくことが大切です。

共有名義から単独名義へ変更する場合に必要な主な書類は、次のとおりです。

書類名 主な内容・目的 取得先
登記申請書(自分で作成) 登記の目的・権利者・義務者など、申請内容を記載する基本書類 法務局(様式あり/HPからダウンロード可)
登記原因証明情報(自分で作成) 名義変更の理由(売買・贈与・離婚など)を証明する書類
※売買契約書や贈与契約書、離婚協議書などが該当。
原則として、当事者双方の署名・実印が必要。
契約当事者が作成・保管
登記済権利証/登記識別情報 以前の登記で法務局から交付された、所有権を証明する書類 本人が保管(紛失時は司法書士へ相談)
住民票 単独名義となる人(登記権利者)の住所を確認するための書類 市区町村役場・コンビニ
※マイナンバーカード対応市区町村のみ
印鑑登録証明書 実印を使用した本人確認のための書類(発行から3ヵ月以内) 市区町村役場・コンビニ
※マイナンバーカード対応市区町村のみ
固定資産評価証明書 不動産の評価額を証明する書類。登録免許税の算出に使用。 市区町村役場

名義変更の方法によっては、上記に加えて次の書類も必要です。

名義変更の方法 追加で必要な書類 入手方法
売買 売買契約書(売買内容を証明する書類) 不動産会社または当事者で作成
贈与 贈与契約書(無償で持分を移転する内容を記載) 当事者で作成
離婚による名義変更 主な書類
・離婚協議書(財産分与の内容を明記)
・調停調書または判決書(裁判手続の場合)
・戸籍謄本(離婚成立の確認用)
・ 離婚協議書:当事者で作成
・ 調停調書・判決書:家庭裁判所で交付
・戸籍謄本:市区町村役場で取得

書類の作成や登記に不安がある場合は、司法書士や弁護士に相談するとよいでしょう。

登記申請の代理は司法書士の専門分野ですが、離婚・相続・共有者間のトラブルなど法的な要素を含むケースでは、弁護士によるサポートが必要になる場合もあります。

ステップ2|登記申請書を作成する

必要書類を揃えたら、登記申請書を作成します。

申請書には、登記の目的や権利関係、添付書類の内容などを正確に記載する必要があります。不備があると補正を指示される場合もあるため、慎重に確認しながら進めましょう。

法務局のWebサイトでは、不動産登記の申請書様式が公開されています。テンプレートをダウンロードして利用できるため、初めての方は参考にするとよいでしょう。

不動産の所在地を管轄する法務局が申請先となるため、事前に確認しておくことが大切です。

法務局:不動産登記の申請書様式について

登記申請書の書き方の例

登記の目的には「持分全部移転」または「持分一部移転」と記載します

また、原因欄には「令和◯年◯月◯日 売買」や「令和◯年◯月◯日 贈与」など、登記の根拠となる日付と行為を記入します(※契約書に記載された成立日を用います)。

【記載例】

※用紙の上部は約5〜7cmほど空けておく
※住所・氏名は住民票や登記簿と完全に一致させる(略字不可)
※黒インクまたは黒ボールペンを使用(鉛筆は不可)

登記申請書

登記の目的:◯◯(持分を手放す人の氏名)持分全部移転

原因:令和◯年◯月◯日◯◯(売買、贈与、放棄など該当の原因を記載)

権利者:単独名義になる人の住所・氏名(住民票記載どおり)

義務者:持分を手放す人の住所・氏名(住民票記載どおり)

添付情報:登記識別情報(または登記済証)・登記原因証明情報・印鑑証明書・住所証明書・代理権限証書(委任の場合)

令和◯年◯月◯日申請 ◯◯法務局

代理人:(委任の場合に代理人の住所・氏名・印鑑・電話番号を記載)

課税価格:移転した持分の価格 金◯◯万円

登録免許税:◯円

不動産の表示:(登記事項証明書の記載内容を転記)

上記のとおり申請します。

令和〇年〇月〇日申請

〇〇法務局(又は〇〇地方法務局〇〇支局・出張所)御中

申請人兼義務者代理人
(住所)[正確な住所]
(氏名)[正確な氏名]              [押印]
(連絡先電話番号)[電話番号]

登記権利者とは「持分を取得する人」登記義務者とは「持分を譲渡する人(所有権を失う人)」です。それぞれの氏名・住所・持分割合を正確に記入しましょう。

「課税価格」には、固定資産評価証明書に記載された評価額のうち、対象となる持分割合に応じた金額を記載します。

登録免許税は、課税価格に税率0.4%をかけて計算し、100円未満は切り捨てます(登録免許税法第18条)。

「不動産の表示」欄には、登記事項証明書の記載内容をそのまま転記しましょう。土地の場合は「所在」「地番」「地目」「地積」、建物の場合は「所在」「家屋番号」「種類」「構造」「床面積」を記載します。

代理人が登記申請を行う場合は「委任状(代理権限証書)」の添付が必要です。申請人本人が直接行う場合は不要ですが、司法書士などに依頼する際には必ず添付しましょう。

電話番号は任意記載ですが、補正の連絡などを受けやすくなるため、記入しておくと安心です。

すべての項目を記入し、添付書類を確認したら提出の準備完了です。提出前に内容を再確認し、不備のない状態で法務局へ申請しましょう。

ステップ3|法務局に申請する

書類の収集と作成が完了したら、不動産が所在する地域を管轄する法務局に申請します。申請方法は、直接窓口に持参するほか、郵送やオンライン申請にも対応しています。

法務局での審査にかかる期間は、混雑状況によって異なりますが、一般的には1〜2週間程度です。登記完了予定日は、申請時に法務局の窓口や受付票で案内されます。完了後は「登記完了証」または「登記識別情報通知書」が交付されます。

郵送やオンライン申請の場合は、登記完了予定日以降に「登記識別情報通知書」が郵送される仕組みです。

無事に申請が受理されると、法務局から登記識別情報通知書が発行されます。この書類を受け取れば、単独名義への変更手続きが完了です。

登記識別情報通知書は、以前の「権利証」に代わるもので、単独名義の登記が完了したことを証明する重要な書類です。受け取ったら大切に保管しましょう。

【方法別】名義変更にかかる費用・税金

共有名義不動産を単独名義に変更する際には、前項で紹介した方法(売買・贈与・放棄・分筆・訴訟)によって、かかる費用や税金の内容が異なります。

登記申請を司法書士に依頼する場合や、税金の計算を税理士に相談する場合は、専門家への報酬も発生するため、あらかじめ把握しておくとよいでしょう。

ここでは、それぞれの方法における主な費用や税金、その計算方法や相場を解説します。

売買にかかる費用・税金

共有持分を売買によって単独名義に変更する場合は、譲渡所得税・登録免許税・印紙税・不動産取得税など、複数の税金や手数料が発生します。売買による名義変更では、税金だけでなく登記や契約書作成に伴う専門家報酬なども発生します。

以下で、主な費用・税金とその負担者・計算方法を整理して確認しましょう。

項目 計算方法(相場) 概要 負担者
譲渡所得税 譲渡所得(売却益)×税率 ・売却して利益が出た場合に課税
・所有期間5年以下:39.63%/5年超:20.315%(復興特別所得税含む)
売主
登録免許税 固定資産評価額 × 税率2.0% ・所有権移転登記にかかる税金
・課税対象は固定資産税評価証明書の評価額
・契約内容により負担割合を定めることも可能
買主(単独名義になる人)
印紙税 契約金額に応じた税額 ・売買契約書に貼付する収入印紙代
・契約金額により200円~48万円
・軽減措置あり(2026年3月31日まで)
・契約書1通ごとに課税(正本・副本がある場合は2通分必要)
一般的に折半(売主・買主)
不動産取得税 固定資産評価額 × 税率3.0%(住宅)または4.0%(非住宅) ・取得時に一度だけ課税
・住宅用地の場合は1/2軽減措置あり
買主
司法書士報酬 3万〜15万円 ・登記を依頼する専門家への報酬
・事務所や案件内容により変動
依頼者(多くは買主)

譲渡所得税は、共有持分を売却して利益(売却益)が出た場合に課される税金です。

売主(譲渡人)が負担し、所有期間が短いほど税率が高くなる仕組みです。譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年以下なら「短期譲渡所得」39.63%、5年を超える場合は「長期譲渡所得」20.315%が適用されます。

印紙税は、売買契約書に貼付する収入印紙のことで、契約金額によって税額が異なります。

以下は、国税庁が定める本則税率と軽減税率の一覧です(2026年3月31日まで軽減措置あり)。

契約金額 本則税率 軽減税率
10万円超〜50万円以下 400円 200円
50万円超〜100万円以 1,000円 500円
100万円超〜500万円以下 2,000円 1,000円
500万円超〜1,000万円以下 1万円 5,000円
1,000万円超〜5,000万円以下 2万円 1万円
5,000万円超〜1億円以下 6万円 3万円

引用:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置

売買にかかる税金・費用のシミュレーション例

たとえば、共有者Aが所有する持分(1/2)を、共有者Bが買い取るケースを想定した場合の概算例です。

固定資産評価額が3,000万円の場合に、買主(B)へ発生するおおよその税金・費用は次のとおりです。

項目 計算式 概算額
登録免許税 3,000万円 × 1/2 × 2.0% 約30万円
不動産取得税 3,000万円 × 1/2 × 3.0% 約45万円
印紙税 契約金額1,500万円 → 軽減税率5,000円 約5,000円
司法書士報酬 実費 3万〜15万円程度

一方、売主(A)には、売却で利益が出た場合に譲渡所得税が課されます。

譲渡益が300万円の場合、長期所有(20.315%)なら約60万円、短期所有(39.63%)なら約120万円が目安です。

また、売主も契約書の控えを保管するため、同様に収入印紙5,000円が必要です。

※上記は一例であり、実際の税額は評価額や所有期間、特例の有無によって異なります。

このように、売買によって共有名義から単独名義へ変更する場合、買主側では税金・専門家報酬を含めて約80万〜100万円前後、売主側でも利益額に応じて60万〜120万円程度の税負担が発生する可能性があります。

税金や費用の負担をあらかじめ確認し、契約書で明確に定めておくことで、後のトラブルを防ぎやすくなるでしょう。

贈与にかかる費用・税金

共有持分を贈与によって単独名義に変更する場合には、贈与税・登録免許税・印紙税・不動産取得税など、複数の税金や費用が発生します。売買と異なり対価の授受がないため、受贈者側の税負担が中心です。

費用・税金 計算方法(相場) 概要 負担者
贈与税 (贈与財産の価格 − 110万円)× 税率 ・ 不動産を無償で譲渡した際に課税。税率は10〜55%の累進課税で、基礎控除110万円を超えた分に課税される
・ 相続時精算課税制度(最大2,500万円非課税)を選択することも可能
受贈者(単独名義になる人)
登録免許税 固定資産評価額 × 税率2.0% ・登記にかかる税金
    ・贈与の場合は軽減措置が適用されない
受贈者
印紙税 一律200円 贈与契約書1通あたりに課税 受贈者
不動産取得税 固定資産評価額 × 税率4.0%(住宅3.0%) 取得時に1度だけ課税。住宅用地の場合は1/2軽減措置あり。 受贈者
司法書士報酬 2〜8万円 登記を依頼する専門家報酬。売買登記よりやや低め。 依頼者(多くは受贈者)

贈与税は、受贈者が負担する税金で、基礎控除110万円を超える部分に課税されます。贈与額が大きいほど適用される税率も高くなり、最大で55%が課されます(一般税率の場合)。

基礎控除110万円を超えた金額に対して、以下の税率が適用されます(暦年課税・一般税率の場合)。

課税価格(控除後) 税率 控除額
200万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円

※父母や祖父母から18歳以上の子・孫への贈与などには、特例税率(軽減税率)が適用される場合もあります。詳細は国税庁の公式サイトをご確認ください。

引用:国税庁「贈与税の速算表」

なお、相続時精算課税制度を利用すれば、2,500万円までの贈与が非課税になります。ただし、60歳以上の親や祖父母から18歳以上の子・孫への贈与に限定され、選択後は暦年課税に戻すことはできません。

また、将来の相続時に贈与分が相続財産に加算されるため、相続税の負担が増える可能性もあります。

印紙税は贈与契約書1通あたり200円で、司法書士報酬も売買より低めに抑えられる傾向があります。

贈与にかかる税金・費用のシミュレーション例

共有者Aが所有する持分(1/2)を、共有者Bに贈与したケースを想定します。固定資産評価額が3,000万円の場合、贈与財産の評価額は1,500万円です。

基礎控除110万円を差し引いた1,390万円が課税対象です。

贈与税は(1,500万円-110万円)×45%-175万円=約450万円となります。これに加え、登録免許税(約30万円)不動産取得税(約45万円)印紙税200円、司法書士報酬(数万円)がかかります。

したがって、合計負担額はおおよそ500万円前後が目安です。

なお、相続時精算課税制度を選択した場合、贈与税は非課税(2,500万円以内)です。

※上記は一例であり、実際の税額は評価額や課税方式、軽減措置の有無によって異なります。相続時精算課税制度は1度選択すると暦年課税に戻せないため、制度選択に迷う場合は税理士など専門家への相談をおすすめします。

放棄にかかる費用・税金

共有持分を放棄して他の共有者に所有権を移す場合、法的には贈与とみなされることが多く、同様の費用や税金が発生します。

ただし、住宅ローンなどの債務付き不動産がある場合や、放棄によって経済的利益がない場合は、贈与税が課されないケースもあります。

費用・税金 計算方法(相場) 概要 負担者
贈与税 (放棄した持分の価格 − 110万円)× 税率 ・持分放棄により他の共有者が無償で利益を得たと判断されると課税対象
・基礎控除110万円以内なら非課税
単独名義になる人(受贈者)
登録免許税 固定資産評価額 × 税率2.0% ・登記にかかる税金
・贈与と同様の税率が適用され、軽減措置はなし
単独名義になる人
不動産取得税 固定資産評価額 × 税率4.0%(住宅3.0%) ・取得時に1度だけ課税
・住宅用地など一定の条件で軽減措置あり
単独名義になる人
印紙税 一律200円 ・持分放棄に関する契約書を作成した場合に課税
・契約書がなければ課税対象外
単独名義になる人
司法書士報酬 2〜8万円 ・登記を依頼する専門家報酬
・内容が複雑な場合や贈与登記扱いとなる場合は高額になる傾向
依頼者(多くは単独名義になる人)

放棄による贈与税は必ずしも発生するとは限りません。ただし、登録免許税や不動産取得税は登記を行う限り必ず発生するため、数十万円規模の費用負担が生じます。

放棄後に不動産を単独で所有する共有者が、これらの税金や費用を負担するのが一般的です。

放棄にかかる税金・費用のシミュレーション例

共有者Aが持分(1/2)を放棄し、共有者Bが単独名義になるケースを想定します。

不動産の固定資産評価額が3,000万円の場合、Bが無償で1,500万円分の利益を得たと判断されると、贈与税の課税対象になります。

(1,500万円 − 110万円)× 45% − 175万円 = 約450万円(贈与税)。

このほか、登録免許税(約30万円)、不動産取得税(約45万円)、司法書士報酬(数万円)が発生します。

※上記は一例であり、実際の税額は評価額や課税方式、放棄の経緯によって異なるため、税理士や司法書士への相談をおすすめします。

分筆にかかる費用・税金

共有名義の土地を分筆してそれぞれ単独名義にする場合には、測量費用や土地家屋調査士への報酬などの実費が発生します。また、分筆登記には登録免許税がかかります。

費用は筆数や隣地との境界の確定状況によって変動するため、事前の見積もりを取ることが大切です。

費用・税金 相場 概要 負担者
土地家屋調査士報酬 10万〜80万円 ・分筆登記に必要な測量や境界確認の費用
・確定測量を行う場合は高額になりやすい
・隣接地の立会いや地形条件によっても変動
各共有者(取得筆ごとに按分)
登録免許税 不動産1筆につき1,000円 ・登記にかかる税金
・固定資産評価額にかかわらず定額
各共有者
測量図・図面作成費 数万円〜10万円前後 ・登記添付用の地積測量図などの作成費用
・筆界未確定地では地積更正登記が必要となる場合もある
各共有者

土地の分筆費用は、登記依頼の有無や確定測量の要否によって大きく変わります。とくに、古い地図をもとにしている土地や、境界杭が失われている土地では、隣接地所有者との立会や追加測量が必要になることもあります。

そのため、境界が明確な土地に比べて費用が高くなる傾向があるでしょう。

分筆に要する費用は全体作業に対して発生するため、共有者それぞれが取得する筆の面積や持分割合に応じて負担するのが一般的です。

分筆にかかる費用のシミュレーション例

たとえば、300㎡の共有土地を2筆に分け、それぞれ単独名義にするケースを想定します。

項目 概算費用 備考
確定測量費用 約40万円 隣接地4件・境界杭設置含む
土地家屋調査士報酬 約25万円 登記申請・図面作成含む
登録免許税 2筆 × 1,000円 = 2,000円 定額
測量図・図面作成費 約5万円 地積測量図や分筆後の図面作成費を含む

※上記は一例であり、個々の案件により異なります。

合計費用はおおよそ60万〜70万円前後が目安となります。ただし、境界が確定している場合や簡易測量で済む場合には、20万円台に抑えられるケースもあります。

分筆後の土地利用(売却・建築・相続対策など)を見据えて、どの程度の精度で測量を行うかを判断することが重要でしょう。

共有物分割請求訴訟にかかる費用・税金

共有者間の協議がまとまらず、裁判で共有物分割を求める場合には、主に次のような費用が発生します。

費用・税金 相場 概要 負担者
裁判所費用 3万〜5万円前後 ・印紙代:共有持分の固定資産税評価額によって変動
・郵便切手代:6,000円~8,000円程度/人(共有人数が増えるごとに約2,000円ずつ加算)
原告
弁護士費用 60万〜150万円前後 ・相談料:無料〜1時間5,000円前後
・着手金:20〜50万円前後
・報酬金:経済的利益の10〜20%
・訴訟が長期化・複雑化する場合は100万円を超えるケースも多い
弁護士に依頼した共有者
不動産鑑定費用 20万〜60万円程度 不動産の時価鑑定費用。原告が立替し、最終的には判決で按分。 原則は原告(後に按分)

訴訟全体の費用相場はおおむね50万〜150万円前後となります。なかでも最も負担が大きいのは弁護士費用で、案件の難易度や審理期間によっては200万円を超える場合もあります。

共有物分割請求訴訟は専門的な法的判断を伴うため、早い段階で弁護士へ相談し、費用見積もりを確認しておくと安心でしょう。

共有物分割請求訴訟にかかる費用のシミュレーション例

共有者A・Bの2人が共有する土地(固定資産評価額3,000万円、持分各1/2)を、Aが単独名義にするために共有物分割請求訴訟を起こしたケースを想定します。

項目 概算費用 備考
裁判所費用 約4万円 印紙代+郵便切手代(相手1名分)
弁護士費用 約100万円 着手金30万円+報酬金70万円(経済的利益700万円の場合)
不動産鑑定費用 約30万円 裁判所の鑑定命令が出た場合

※上記は一例であり、実際の費用は案件の内容や訴訟の進行状況によって異なります。

合計費用はおおよそ130万円前後が目安です。ただし、鑑定が複数回行われる、訴訟が長期化する、共有者が複数いる場合などは、総額が200万円を超えるケースもあります。

訴訟に進む前に、弁護士へ費用見積もりを依頼し、示談や調停とのコスト比較を行っておくとよいでしょう。

共有名義から単独名義に変更する際の注意点

共有名義の不動産を単独名義に変更する際は、共有者の同意や登記内容、税金の扱いなど、いくつか注意すべきポイントがあります。

これらのポイントを理解しておくことで、手続きをスムーズに進め、トラブルを防ぐことができるでしょう。

主な注意点は次の3つです。

  • 共有者の同意が必要(※放棄・訴訟を除く)
  • 登記申請書の書き方が一般的な移転登記と異なる
  • 名義変更の方法によって税金の種類や課税額が異なる

それぞれの注意点を詳しく解説します。

共有者の同意が必要(※放棄・訴訟を除く)

共有名義の不動産を単独名義に変更するには、他の共有者との合意が欠かせません。ただし、どの手続きを選ぶかによって、必要となる同意の範囲が異なります。

共有名義から単独名義にするためには、原則として他の共有者が保有する持分をすべて取得しなければなりません。

持分の取得方法としては売買・贈与などがありますが、これらは「当事者同士の合意(持分を渡す人と受け取る人)」だけで成立します。しかし、最終的に単独名義にするには全員から持分を取得しなければならないため、結果として共有者全員との合意が必要です。

一方、土地を分筆する場合は、民法上は共有者の持分の過半数で決定できますが、実務では測量・境界確定・登記のために全共有者の同意が求められます。

また、共有者同士の話し合いがまとまらない場合には、自分の持分だけを第三者に売却するという選択肢もあります。自己の共有持分を売却する場合は、民法上、他の共有者の同意は不要です(民法249条)。

共有持分のみを売却する方法については、共有状態を解消するなら共有持分のみ売却する方法もあるで詳しく解説します。

登記申請書の書き方が一般的な移転登記と異なる

共有持分を単独名義に変更する場合、登記申請書の「登記の目的」欄は、一般的な所有権移転とは異なる記載になります。

一般的な不動産の場合 単独名義に変更する場合
所有権移転 持分全部移転(例:2分の1 → 全部)

また、登記申請書には、持分を取得する人(権利者)だけでなく、持分を手放す人(義務者)の住所・氏名も記載します。併せて、登記の原因となる事由(売買・贈与・持分放棄など)や日付も必要です。

単独名義化の登記は、一般の移転登記よりも記載項目が多いため、原因の書き間違い・義務者の住所の不一致・日付の誤記など、些細なミスでも法務局から補正(訂正)を求められることがあります。

補正になると再提出や追加書補正になると再提出や追加書類が必要となり、登記完了が数日〜数週間遅れることもあるため、事前の確認が重要です。

登記申請書の詳しい記入方法は、「ステップ2|登記申請書を作成する」で解説しています。

名義変更の方法によって税金の種類や課税額が異なる

共有名義から単独名義に変更する方法(売買・贈与・持分放棄・分筆・訴訟)によって、発生する税金の種類や負担額は変わります。

たとえば、売買では買主に不動産取得税や登録免許税がかかり、売主に譲渡益があれば譲渡所得税が生じます。一方、贈与や持分放棄では、不動産の評価額に応じて贈与税が課されるケースもあるでしょう(持分放棄は、他の共有者が無償で利益を受けると判断される場合に「みなし贈与」と扱われることがあります)。

また、分筆や共有物分割請求訴訟では、税金よりも測量・鑑定費用や専門家報酬といった実費負担の方が大きくなる傾向にあります。

このように、名義変更の手段によって負担内容は大きく異なります。どの方法を選ぶか検討する際は、税金だけでなく実費や専門家費用も含めて比較することが重要です。

各名義変更方法で発生する具体的な税金については、 【方法別】名義変更にかかる費用・税金で詳しく解説しています。

まとめ

共有名義から単独名義へ変更すると、権利関係が整理され、不動産を売却・賃貸・リフォームなど自由に活用できるようになります。名義変更には売買・贈与・持分放棄など複数の方法があり、選ぶ手段によって必要書類や同意の範囲、登記手続きが大きく異なります。

また、名義変更の方法によっては税負担(譲渡所得税・贈与税など)や専門家報酬が発生することもあるため、費用や税金を事前に把握し、自分に合った方法を選ぶことが大切です。

共有名義から単独名義に変更する際によくある質問

単独名義への変更手続きは自分でできますか?

共有名義から単独名義への変更手続きは、司法書士に依頼せず自分で行うことも可能です。法務局のWebサイトには登記申請書の様式や記載例が掲載されているため、これらを参考に必要書類を揃えて申請できます。

ただし、登記原因証明情報の記載内容や添付書類の選定を誤るケースは多く、記載漏れや不備があると法務局から補正を求められ、手続きが滞る場合があります。

また、売買契約書・贈与契約書、離婚協議書、遺産分割協議書などの内容に不備があると、後から無効を主張されたり、合意内容と登記内容が食い違って権利関係のトラブルに発展したりするおそれがあります。たとえば、日付や持分割合の記載があいまいなまま手続きを進めてしまうと「本当はこんな内容では合意していない」と争いになるケースもあるでしょう。

さらに、相続や離婚を伴う名義変更では必要書類が増え、書類の整合性や記載方法の判断が難しい場合も少なくありません。

そのため、書類作成の負担やミスによるトラブルを避けたい場合は、司法書士に依頼することをおすすめします。司法書士であれば、必要書類の確認から登記申請書の作成、法務局とのやり取りまで一括して任せられるため、スムーズかつ安心して名義変更を進められます。

単独名義にするために取得時効の利用はできますか?

取得時効とは、一定期間、他人の不動産を自己のものとして占有し続けると、その所有権を取得できる制度です。

取得時効には、民法162条により、以下の継続占有が必要とされています。

  • 善意・無過失の場合:10年間
  • 悪意または過失がある場合:20年間

共有名義の不動産でも、他の共有者が一切利用していない状態で、自分のみが所有者として排他的に管理・利用していたと認められる場合には、取得時効を主張できる可能性があります。

しかし、共有不動産の場合、取得時効が成立するハードルは非常に高いです。

理由は次のとおりです。

  • 他の共有者から黙示的に利用を許されていただけと判断されやすい
  • 自分だけで排他的に占有していた事実を証明するのが難しい
  • 時効取得を認めてもらうには、訴訟で判断を得る必要があるケースが多い

また、取得時効が完成したと判断できても、確定判決や他の共有者の承諾書などがなければ、単独名義への登記を行うことはできません。

そのため、取得時効の利用を検討する場合は、要件を満たしているか、どのような証拠が必要かについて、弁護士に相談することをおすすめします。

共有者が死亡した場合の名義変更はどうなりますか?

共有者が死亡した場合、その人が持っていた共有持分は相続の対象となり、相続人が承継します。法定相続分に従って相続人全員が共有者となるケースのほか、遺言書や遺産分割協議によって特定の相続人が単独で持分を取得するケースもあります。

2024年4月からは相続登記が義務化されており、相続が発生したら原則3年以内に相続登記(名義変更)を行わなければなりません。相続人が行方不明であるなど「正当な理由」がない限り、過料が科される可能性があるため、期限内に手続きを済ませることが重要です。

また、相続登記を放置すると、相続人が増えて権利関係が複雑になり、売却や管理の手続きが困難になるおそれがあります。トラブルを防ぐためにも、相続が発生した段階で早めに話し合い、名義変更の手続きを進めることが重要です。

共有持分に関するコラムはこちら

条件を変えて検索する
条件を変更する
  • 訳あり不動産に強い買取業者を探す

    掲載業者
    703
    更新日 : 2025年11月07日
    買取業者を探す

    共有持分の売却でお悩みなら
    今すぐご連絡ください