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共有持分の放棄をプロが徹底解説!早いもの勝ちと言われる理由も分かりやすく説明

共有持分の放棄はいち早く手放すのに有効?早いもの勝ちの理由や手続き方法を解説

共有名義の不動産を持っているものの、「固定資産税の負担が重い」「他の共有者と意見が合わない」「とにかく手放したい」と悩む方は少なくありません。

自分だけの判断で自由に売却や活用ができないことから、共有持分の放棄を検討する人もいるでしょう。

共有持分の放棄とは、自分が持っている持分を無償で他の共有者に帰属させる行為です。他の共有者からの同意を得ずに単独で成立するほか、共有持分の放棄には下記のようなメリットがあります。

  • 金銭的な負担から解放される
  • 共有者同士のトラブルを避けられる
  • 将来的な相続問題を事前に回避できる
  • 相続放棄のように他の財産まで手放さなくてよい
  • 手続きが比較的簡単である

ただし、登記を行う際には他の共有者の協力が必要になるため、実務上は単独で完結するわけではありません。また、持分の放棄は放棄先が存在しなければ成立しないため、他の共有者の全員が先に持分を放棄してしまった場合は単独所有扱いとなり、放棄によって手放すことが難しくなります。

そのため、持分の放棄は早い者勝ちとも言われているのです。この記事では、共有持分の放棄の仕組みや注意点から、かかる費用まで、実務の現場から分かりやすく解説します。

とはいえ、結論からお伝えすると共有持分の放棄は、持分の価値が極端に低いなど特別な事情がない限りおすすめできません。

そもそも前述した「負担の軽減」や「トラブル回避」などのメリットは、「持分放棄」という方法に限らず、共有状態を解消することによって得られます。そのため特別な理由がない限り、わざわざお金が一円も戻らず、登記手続きや税務上のトラブルに発展する可能性もある放棄よりも、別の方法から検討することをおすすめしています。

私が実務の現場でおすすめしているのは、持分の売却です。売却であれば、他の共有者の同意を得ずに単独で進められるうえ、現金化によって経済的なメリットも得られます。

もちろん、他の共有者に買い取ってもらうことも可能ですが、相手側に買い取る意思と資金力があることが前提です。それが難しい場合は、私たちのような共有持分の買取を専門とする業者へご相談ください。通常の不動産会社では断られるような複雑な持分でも、法的手続きを踏まえて適正価格で買取が可能です。

ただし、買取業者によって査定額には大きな差があります。より高く、より早く共有状態を解消するには、複数社へ査定を依頼して比較することが重要です。

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共有持分の放棄とは所有する共有持分を他の共有者に無償で帰属させること

共有持分の放棄とは、複数人で不動産を共有している場合に、自分が保有する共有持分のすべてを無償で手放す行為です。民法255条に基づき、放棄した共有持分は他の共有者に無償で帰属します。

第二百五十五条
共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。
引用元 民法 | e-Gov 法令検索

放棄者以外の共有者が2人以上いる場合は、残りの共有者全員のそれぞれの持分割合に応じて帰属します。共有持分の放棄は、複数人で共有している不動産の共有関係から抜け出すための有効な手段の1つです。

実務上では、共有状態から生じる負担やトラブルから一刻も早く抜け出したい場合や、共有不動産全体や共有持分の売却が困難である場合の最終手段として利用されるケースが多いです。

実際に、「使っていない土地の管理が面倒」「税金だけ払い続けている」「売るに売れない共有持分を手放したい」という理由で、持分放棄を検討する方は多くいます。

共有持分の放棄は単独行為にあたるほか、意志表示の方法にも法的な決まりはありません。そのため、他の共有者の同意を得なくても、放棄の意思を示すだけで放棄自体は行えますが、それだけでは法的効力は生じません。

なぜなら、持分放棄の意思を示しても登記上の名義人は自動的に変わらず、共有不動産にかかわる法的義務や責任が残り続けるためです。放棄した共有持分が他の共有者に移転したことを公的に確定させるためには、法務局で持分移転登記の手続きが必要になります。

つまり、放棄自体は単独で成立しても、登記を完了させるには他の共有者の協力が不可欠というのがポイントになります。

実際の現場でも、「放棄するって言われても困る」「贈与税がかかるのでは」といった理由で他の共有者が登記に協力してくれず、手続きが止まるケースが少なくありません。
このような場合、法的には「登記引取請求訴訟」で進めることも可能ですが、時間も費用もかかります。そのため、事前に共有者とよく話し合い、納得を得てから放棄手続きを進めることを強くおすすめしています。

最後の1人になると共有持分の放棄ができないので「早いもの勝ち」と言われる

もし他の共有者全員が先に持分を放棄し、自分だけが最後に残った場合、その時点で放棄は認められません。

民法第255条では「放棄した持分は他の共有者に帰属する」と規定されていますが、この条文が適用されるためには「他の共有者」が存在していることが前提です。

全員が放棄して1人だけが残ると、その不動産は単独所有となり、単独所有不動産は放棄できないというルールが適用されます。

最後に残った人は、嫌でも単独所有者として管理や税金の負担を引き継ぐことになるため、「共有持分の放棄は早いもの勝ち」と言われるのです。

ただし、放棄によって残る共有者に過度な負担がのしかかる場合、裁判所が「権利の濫用」と判断して放棄を無効とする可能性もあります。

実際、東京地方裁判所令和3年7月14日の判決では、土地の管理体制が整っていない状況で「自分だけ役割から解放されたい」という目的で放棄した事案について、著しく相当性を欠くとして放棄を認めませんでした。

民法第239条には「所有者のいない不動産は国庫に帰属する」と規定されています。ただしこの適用は、所有者が死亡し相続人も存在しない場合など、法的に所有者がいなくなったケースに限られます。

つまり、放棄はあくまで「正当な理由のもと、他の共有者に不当な負担を与えない形」で行う必要があることも頭に入れておきましょう。

共有持分の放棄のメリット

共有持分を放棄の意思を示した後、持分移転登記の手続きを完了させれば、放棄者は不動産の共有状態から解消できます。その結果として、以下の5つのメリットがあります。

  • 金銭的な負担から解放される
  • 共有者同士のトラブルを避けられる
  • 将来的な相続問題を事前に回避できる
  • 相続放棄のように他の財産まで手放さなくてよい
  • 手続きが比較的簡単である

ここからは、それぞれのメリットについて1つずつ詳しく解説していきます。

金銭的な負担から解放される

共有不動産を所有している間は、固定資産税や都市計画税、修繕費、管理費などのコストがかかります。これらのコストは、共有者全員が持分割合に応じてそれぞれ負担するのが法律上の原則です。

第二百五十三条
各共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負う。
引用元 民法 | e-Gov 法令検索

たとえ共有不動産を使用していなくても、所有権を持っている限り、共有不動産にかかわる金銭的な負担からは逃れられません。

実際に、弊社と提携している買取業者にも「名義だけ残っていて毎年税金だけ払っている」「使ってもいない土地の草刈りや管理費が負担」といった相談がよく寄せられます。

こうした状況で持分の放棄が公的に成立すれば不動産の所有者ではなくなるため、固定資産税や都市計画税といった税金、さらには修繕費・管理費などの支払い義務から完全に解放されます。

共有者同士のトラブルを避けられる

共有不動産を所有している間は、以下のようなことがきっかけとなり、共有者同士でトラブルが生じるケースも多々あります。

実際、「兄弟と意見が合わない」「管理の負担を押し付けられている」「売りたくても誰も同意してくれない」といった相談が日常的に寄せられます。

共有関係では、次のような対立が典型的です。

  • 不動産の活用や処分方針を巡って意見が対立する
  • 近くに住む共有者ばかり草刈りや清掃などの日常的な管理を押し付けられ、不公平感が生じる
  • 持分価格の過半数の同意が得られず、不動産の賃貸ができない
  • 共有者全員の同意が得られず、不動産の売却やリフォームが行えない
  • 固定資産税や管理費などの費用負担で揉める
  • 特定の共有者が不動産を占有し、他の共有者に賃料を支払わない
  • 共有物分割訴訟を起こされ、共有者の望まない形で共有状態が解消されてしまう
  • 相続によってさらに権利関係が複雑化し、合意形成がより困難になる

現場での経験からいうと、たとえ親族であっても不動産の価値や将来の扱いについての意見が一致しないケースは少なくありません。ひとりでも反対する共有者がいると、売却やリフォームは一切進まないため、時間だけが過ぎて資産価値が下がっていくケースもあります。

共有持分を放棄して共有名義から離脱すれば、共有不動産の管理責任や金銭的な負担からも解放されます。「揉め事の火種を根本から断つ」ことができるため、共有者同士のトラブルに巻き込まれる心配もありません。

将来的な相続問題を事前に回避できる

共有不動産をそのまま放置していると、相続のたびに共有者が雪だるま式増え、権利関係が複雑化していきます。たとえば、親の代では2人だった共有者が、子や孫の代では10人、20人に増えることも珍しくありません。

基本的に共有者が増えるほど、それぞれの立場・生活環境・考え方が違うため、不動産の活用や売却を巡る合意形成は極めて難しくなります。

さらに相続が繰り返されて共有者同士の関係性が薄れていくと、下記のような事態に陥り、管理も売却もできない不動産になってしまうことがあります。

  • 他の共有者の連絡先がわからない
  • 共有者の一部が所在不明・海外在住
  • 意見が割れて話し合いが成立しない

必要な合意が得られなければ、不動産を活用・処分できないまま、固定資産税や管理費などのコストを負担し続けることになってしまいます。その結果、「次の世代に負担を押し付ける」形になることも少なくありません。

こうした状況を避けるためには、生前のうちに共有関係を整理しておくことが重要です。
共有持分を放棄しておけば、将来的に自分の相続人が新たな共有者として加わることはありません。

つまり、相続が発生してもその不動産に関しては一切関与せず、次世代へのトラブルの連鎖を断ち切ることができます。

実務の現場でも、「子どもに迷惑をかけたくない」「将来の相続争いの火種を残したくない」という理由で、放棄や持分売却を選ぶ方が増えています。

とくに、複数の相続人が関わる見込みがある場合や既に共有者の関係が希薄な場合は、早い段階で共有持分を整理しておくことが最も賢明な相続対策といえるでしょう。

相続放棄のように他の財産まで手放さなくてよい

共有持分の放棄は、特定の不動産に関する権利だけを手放す手続きです。そのため、他の財産まですべて失うことはありません。

一方で「相続放棄」は、被相続人(亡くなった方)の一切の財産を相続しないという手続きです。現金・預貯金・車・株式・不動産など、プラスの資産もマイナスの負債もすべて放棄することになります。

つまり、「この土地の持分だけ放棄したい」といった部分的な相続放棄はできないのです。
これまでにも、相続した不動産が共有状態になってしまい、「管理が大変な持分だけ抜けたい」という相談が寄せられたこともありました。

そのような場合、共有持分の放棄を選べば対象の不動産の持分だけを手放し、預貯金・車・他の不動産などその他の財産はそのまま保持することが可能です。

このように共有持分の放棄は、相続放棄とはまったく性質が異なります。「問題のある不動産だけを整理したい」ときに有効な方法であり、相続後のリスクを最小限に抑えつつ、自分や家族の負担を軽くできる現実的な選択といえるでしょう。

手続きが比較的簡単である

共有持分の放棄は、売買や贈与など他の方法と比べると手続きが比較的簡単です。売買や贈与の場合は、売却先や贈与先の相手を探したり、条件について話し合ったり、契約を結んだりする必要があるため、その分手続きが複雑で時間もかかります。

特に、共有不動産全体を売却する場合には、共有者全員の同意が必須となるため、話し合いがまとまらずに取引が進まないケースも少なくありません。

一方、共有持分の放棄は、放棄者の意思表示のみで法的効力が生じる単独行為です。相手を探したり、相手の同意を得たりする必要がないため、売買や贈与と比べて手続きに労力や時間がかかりません。

ただし、前述した通り放棄の意思を示しただけでは、登記簿上の名義は自動的に変わりません。放棄した持分を他の共有者に移転するためには、法務局で「持分移転登記」の手続きを行う必要があることも頭に入れておきましょう。

共有持分の放棄のデメリット

共有持分の放棄は、比較的簡単な手続きで共有状態を解消できるメリットがある一方で、多くのデメリットも存在します。共有持分を放棄するデメリットとしては、以下の6つが挙げられます。

  • 他の共有者とのトラブルになる可能性がある
  • 共有持分の現金化ができない
  • 持分移転登記のために他の共有者の協力が必要
  • 他の共有者に贈与税が課される可能性がある
  • 共有持分の一部だけを放棄することはできない
  • 放棄のタイミングによっては固定資産税が課される可能性がある

ここからは、それぞれのデメリットについて1つずつ詳しく解説していきます。

他の共有者とのトラブルになる可能性がある

共有持分の放棄は、法的には放棄者の一方的な意思表示だけで成立する単独行為です。つまり、他の共有者の同意がなくても成立します。ただし、これが原因で他の共有者との関係が悪化するケースが少なくありません。

前述したように、放棄された持分は民法第255条により、自動的に他の共有者へ持分割合に応じて帰属します。一見、他の共有者の持分が増えるため「得をする」ようにも思えますが、実際にはその分だけ固定資産税や修繕費、管理責任などの負担も増加します。

言い換えれば、共有持分の放棄とは放棄者の一方的な都合で、他の共有者に経済的な負担や責任を押し付ける行為であるともいえます。

そのため、事前相談もなしに突然持分放棄の意思を伝えると、他の共有者から不満や怒りが生まれ、深刻なトラブルに発展するケースも少なくありません。実際、他の共有者に持分放棄を一方的に伝えたところ、「勝手に決めるな」「贈与税はどうするんだ」と反発され、登記に協力してもらえなくなったという事例もあります。

持分放棄の意思表示のみであれば単独でも実行できますが、権利を法的に確定させるための持分移転登記には他の共有者全員の同意と協力が必要です。他の共有者との間でトラブルが勃発してしまうと、持分移転登記がスムーズに進まなくなってしまいます。

持分放棄の手続きをスムーズに進めるためにも、可能であれば他の共有者に相談し、あらかじめ同意を得ておくのが望ましいです。

共有持分の現金化ができない

共有持分の放棄では、他の共有者に共有持分を無償で移転させるため、売買とは違って金銭的な対価を一切得ることができません。共有持分は需要が限定的で、売却価格は市場価格よりも大幅に安くなるものの、それでも売却すればある程度まとまったお金が手に入ります。

売却にかかる諸費用や税金も、売却によって手にした現金から支払えるため、結果的にプラスで終えられるケースも多いです。一方、共有持分の放棄では1円にもならないどころか、固定資産税や登録免許税、登記申請を依頼する司法書士費用などの支払いでむしろマイナスとなってしまいます。

そのため、共有状態を解消したい場合は、まず他の共有者や第三者への売却を検討するのが基本です。共有持分の放棄は、売却してもほとんど利益が得られない場合や、他の方法ではどうしても共有状態を解消するのが難しい場合の最終手段として検討したほうがいいでしょう。

持分移転登記のために他の共有者の協力が必要

前述したように、放棄した共有持分を他の共有者に移転させ、権利関係を法的に確定させるためには、法務局で持分移転登記を申請する必要があります。この登記をもってはじめて、放棄した持分が正式に他の共有者に帰属したことが法的に確定するのです。

この持分移転登記を申請する際には、共有者全員の実印と印鑑証明書の提出が必要になるため、他の共有者の協力が不可欠です。持分移転登記が完了しなければ、共有持分の登記上の名義人は放棄者のままであるため、共有不動産の法的な義務やリスクも負い続けることになります。

実際に、「放棄したつもりだったのに税金の通知が届き続けている」といったご相談もいただきます。よくよく調べると、登記が未完了のままで放棄の効力が登記簿上に反映されていないケースが大半です。

放棄を一方的に伝えたことで他の共有者が不信感を抱き、登記に必要な書類を出してもらえず手続きが止まってしまうこともあります。このように、協力関係が崩れると放棄が未完のまま宙に浮く状態になるのが実情です。

そのため、放棄を検討している段階で、できるだけ他の共有者に事前説明し、理解を得ておくことが非常に重要です。もし他の共有者との関係が悪化している場合は、共有持分の買取業者を介して第三者に売却する方が、結果的に早く・確実に共有状態を解消できるケースも少なくありません。

放棄を検討する際は、他の共有者の協力体制と人間関係を十分に考慮したうえで進めるのが良いでしょう。

登記に協力してくれないと「登記引取請求訴訟」が必要になる

登記引取請求訴訟とは、登記申請すべき当事者の1人が手続きに協力しない場合に、裁判所の判決によって登記できるようにする訴訟です。訴訟で勝訴判決が得られれば、他の共有者の協力を得なくても、申立人は単独で登記申請を行えるようになります。

しかし、登記引取請求訴訟では判決が下されるまでに半年~1年以上かかるうえ、100%勝訴判決が得られるとは限りません。また、裁判費用や弁護士費用などで50~100万円程度の費用が発生するため、経済的な負担が非常に大きく、費用倒れになるリスクもあります。

被告となる共有者との関係性も、訴訟という強硬的な手段を取ることで悪化する懸念もあります。

このように、登記引取請求訴訟は勝訴判決を得られれば確実に登記申請ができるというメリットがある一方で、時間や費用、人間関係における大きなデメリットやリスクが伴います。

まずは、協力が得られるまで地道に説得を続け、どうしても協力が得られない場合の最終手段として登記引取請求訴訟を検討するようにしましょう。

登記引取請求訴訟を起こす際は、「内容証明郵便などで共同申請が必要な旨を相手に伝えておく」「訴訟を提起するに足りる理由や立証に必要な証拠を揃えておく」などの準備を進めておきましょう。相手共有者との交渉や訴状の作成、法廷での弁論には専門知識が必要になるため、基本的には弁護士に対応を依頼します。

他の共有者に贈与税が課される可能性がある

共有持分を放棄すると、他の共有者に贈与税が課される可能性があります。放棄した共有持分は、他の共有者に無償で帰属することになります。

これは税法上、実質的に共有持分を無償で贈与したものとしてみなすため、他の共有者に帰属した共有持分は贈与税の課税対象となります。

この贈与税の納税義務は、贈与を受けた側(放棄された共有持分を取得した共有者)にあります。贈与税には年間110万円の基礎控除があるため、1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の合計額が110万円以内であれば贈与税の申告・納税義務は発生しません。

もし、110万円を超えてしまった場合は、その超過分に対して贈与税が課せられます。放棄された持分の取得によって贈与税が発生した共有者は、自身の住所地を管轄する税務署で贈与税を申告・納税しなければなりません。

実際に税務署で納める贈与税額の算出方法については、こちらで詳しく解説しています。

共有持分の一部だけを放棄することはできない

共有持分を放棄する際は、共有持分のすべてを手放す必要があります。「固定資産税の負担を減らしたいから持分割合を減らしたい」「親が残してくれた実家だから少しだけ共有持分を残しておきたい」といった理由で、共有持分の一部だけを放棄することはできません。

共有持分を一部だけ処分したい場合は、他の共有者や第三者への売却や贈与を検討する必要があります。実際の現場でも、「税負担を軽くするために少しだけ持分を手放したい」「全共有者へ平等に帰属したい」というご相談をよく受けます。

その場合、やはり放棄する方法はとれないため、持分の一部を他の共有者や第三者に売却・贈与する方法で手放すのが基本です。

放棄のタイミングによっては固定資産税が課される可能性がある

共有持分を放棄したタイミングによっては、放棄した後も固定資産税が課されるケースがあります。固定資産税は、毎年1月1日時点の登記上の名義人または固定資産課税台帳に所有者として登録されている人に対し、その年の4月1日から始まる年度分の税として課税される税金です。

そのため、1月1日時点で名義が残っている人は、たとえその後に持分を放棄したとしても、その年度分(4月~翌年3月まで)の固定資産税を支払う義務が生じます。

たとえば、2025年10月1日に共有持分を放棄したとしても、2025年1月1日の時点では登記上の名義人となります。そのため、2025年度(2025年4月1日~2026年3月31日)の固定資産税は放棄者も負担しなければなりません。

このように、共有持分の放棄を検討する際は、登記のタイミングをずらさないことが重要です。特に年末から年始にかけて放棄手続きを進める場合は、「登記が1月をまたぐとその年の税金がかかる」点に注意しましょう。

実務上も、「年度が変わる前に登記を済ませておけば税負担を避けられたのに…」というご相談は少なくありません。費用面での無駄を防ぐためにも、固定資産税の課税時期を意識して放棄手続きを行うことが大切です。

共有持分の放棄手続きの具体的な流れ

共有持分の放棄手続きの具体的な流れは、以下の通りです。

  1. 他の共有者に対して放棄の意思表示をおこなう
  2. 共有持分に関する持分移転登記を申請する
  3. 他の共有者が登記に協力しないときは登記引取請求訴訟を提起する

他の共有者に対して放棄の意思表示をおこなう

共有持分を放棄する場合は、他の共有者がその意思を確認できる形で伝えることが重要です。法律上は口頭で伝えても効力は生じますが、実務では後々のトラブル防止のために書面で意思表示を行うのが基本です。

特に、後に「言った・言わない」の争いを防ぐためにも、内容証明郵便で放棄の意思を通知しておくと安心でしょう。

内容証明郵便は「いつ・誰が・誰に・どのような内容を送ったか」を郵便局が証明してくれるため、仮に後日「登記引取請求訴訟」に発展した場合でも、確実な証拠として活用できます。

ただし、いきなり内容証明を送ると、「なぜ突然そんな書類を?」と相手を驚かせ、関係がこじれることもあります。そのため、まずは口頭や電話で一度伝えてから、正式な書面を送るという手順を取るとスムーズです。

登記手続きを司法書士や弁護士に依頼する場合は、内容証明郵便の文案作成や発送手続きも依頼できます。法的に正確な文面を作成してもらえるため、誤解や不備を避けたい場合は専門家への依頼がおすすめです。

共有持分に関する持分移転登記を申請する

共有持分の放棄の意思表示をした後は、他の共有者と協力して共同申請で持分移転登記を進めます。登記の申請場所は、共有名義不動産の所在地を管轄する法務局です。

持分移転登記の申請に必要な書類を、放棄者・他の共有者別にまとめました。

放棄者が準備する書類 入手場所
登記申請書 法務局の窓口や公式サイト
登記原因証明情報 ・自分で作成する、または司法書士に作成を依頼する
・放棄の目的、原因、日付、当事者などの情報を記載
固定資産評価証明書 不動産の所在地を管轄する市区町村役場の窓口や市税事務所
放棄者の印鑑証明書 放棄者が住む地域の市区町村役場の窓口やコンビニ
実印 本人所持
代理人申請の場合は委任状 自分で作成
他の共有者に準備してもらう書類 入手場所
他の共有者の住民票 市区町村役場やコンビニ
本人確認書類 他の共有者の運転免許証やマイナンバーカードなど
認印 他の共有者が所持

登録免許税の納付方法は、まず登録免許税に相当する金額を金融機関や税務署で支払います。その後、領収書を登記申請書に貼り付けて法務局に提出します。オンライン申請なら、電子納付も可能です。

他の共有者が登記に協力しないときは登記引取請求訴訟を提起する

他の共有者が登記に協力しないときは、登記引取請求訴訟を提起します。提起場所は、提起する人または協力しない共有者の住所地を管轄する地方裁判所、または家庭裁判所です。

登記引取請求訴訟の提起で準備するものは、次の通りです。

登記引取請求訴訟で必要なもの 概要
訴状 裁判所に提出するものと、登記に協力しない共有者へ送る用を準備する
手数料 ・固定資産評価額の1/2を訴額として以下の手数料がかかる
・訴額100万円まで:10万円ごとに1,000円
・訴額500万円まで:20万円ごとに1,000円
・訴額1,000万円まで:50万円ごとに2,000円
・訴額1億円まで:100万円ごとに3,000円
郵便費用 ・裁判所ごとに決められた金額の郵便切手
・訴状1枚あたり6,000~7,000円前後
添付書類 登記事項証明書や固定資産評価証明書など
証拠書類の写し 意思表示の内容証明郵便のコピーなど
弁護士費用 弁護士事務所にもよるが着手金や成功報酬で合計数十万円

登記引取請求訴訟は、原告側が勝訴するケースが多いのが実情です。なぜなら、原告側が「共有持分の放棄の意思表示をした事実」を立証できれば、協力する必要ありとほぼ判断されるからです。

とはいえ、必ず勝訴できるわけではなく、半年~1年以上の期間や数十万円規模の費用負担も発生します。また、訴訟によって共有者との関係がさらに悪化してしまうことも少なくありません。

そのため、登記引取請求訴訟は最後の手段として考え、まずは共有者への粘り強い説明や話し合いを重ね、それでも解決できない場合に弁護士へ相談するのが望ましいです。

共有持分の放棄にかかる費用・税金

共有持分の放棄では、持分を放棄した共有者・新たに持分を取得した共有者それぞれに費用や税金がかかります。

発生する費用・税金 かかる費用 負担する人
登録免許税 固定資産税評価額×共有持分割合×2% 原則として放棄者
司法書士費用 1件あたり3万~10万円 原則として放棄者
固定資産税など 【固定資産税】
固定資産税評価額×共有持分割合×1月1日から放棄する日までの日数÷365日×1.4%
【都市計画税】
固定資産税評価額×共有持分割合×1月1日から放棄する日までの日数÷365日×0.3%
放棄者
贈与税 {(固定資産税評価額×共有持分割合)-110万円} × 税率 - 控除額 共有持分を受け取る共有者
不動産取得税 固定資産税評価額×共有持分割合×3% 共有持分を受け取る共有者

以下では、共有持分の放棄をみなし贈与扱いとする場合に、発生する費用を解説します。なお、共有持分の放棄は手放す際に売却益が発生しないため、譲渡所得税や住民税は発生しません。

金額計算に使用する「固定資産税額」とは、各市区町村が算定した基準額です。固定資産税の納税通知書に付いている課税明細書や、市区町村役場などで取得できる固定資産税評価証明書などで確認できます。

登録免許税:持分移転登記の際に発生

登録免許税とは、登記手続きの際に国へ納める税金です。共有持分を放棄する場合も、放棄によって他の共有者へ持分が移転するため、「持分移転登記」に登録免許税がかかります。

<持分移転登記の登録免許税の計算式>
固定資産税評価額×共有持分割合×税率

登録免許税の税率は、次の通りです。

共有持分の種類 税率
土地 2%
建物 2%

参考:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表

たとえば、固定資産税評価額3,000万円の土地で共有持分30%の場合、登録免許税は「3,000万円×30%×2%=18万円」となります。

登録免許税を支払うのは、共有持分を放棄する側になるケースが多いです。受け取る側の意思に関係なく放棄できるため、放棄する側が負担したほうが他の共有者との摩擦が少ないからだと考えられます。

ただし、当事者同士の合意があれば、負担者を自由に決めることも可能です。たとえば、他の共有者が「代わりに費用を負担する」と申し出た場合には、その合意内容に基づいて登録免許税を支払っても問題ありません。

登記を司法書士に依頼するときは追加で司法書士費用がかかる

持分移転登記手続きを司法書士に依頼するときは、1件あたり3万~10万円の司法書士費用がかかります。

ただし、共有持分の放棄は複数の共有者に対してそれぞれ登記手続きを行う必要があるため、共有者の人数が多い場合には、登記件数に応じて費用が増える点に注意が必要です。

司法書士費用を支払うのは、登録免許税と同じく放棄者になるケースが多いです。ただし登録免許税と同じく、共有持分を受け取る人が代わりに支払うことも可能です。

詳細な金額は司法書士事務所ごとで異なるため、依頼前に事務所へ直接確認しておくのがよいでしょう。

固定資産税など:1月1日から手放すまでの分が発生

固定資産税とは、毎年1月1日時点で不動産を所有している人へ課せられる税金です。地域によっては、都市計画税も課せられます。

共有持分の放棄者は、その年の1月1日から放棄する日までの日数に応じた固定資産税や都市計画税の支払いが必要です。

<固定資産税の計算方法>
固定資産税評価額×共有持分割合×1月1日から放棄する日までの日数÷365日×1.4%(※)
<都市計画税の計算方法>
固定資産税評価額×共有持分割合×1月1日から放棄する日までの日数÷365日×0.3%(※)
市区町村ごとによっては異なる場合あり

たとえば、固定資産税評価額3,000万円の土地で、共有持分30%、放棄するまでの日数73日だった場合、固定資産税は「3,000万円×30%×73日÷365日×1.4%=2万5,200円」となります。都市計画税は、3,400円になります。

このように通常は、共有持分を放棄した場合でも、1月1日時点で所有者として登記されていれば、その年の固定資産税は全額負担しなければなりません。

しかし、なかには放棄によって持分を引き継ぐ共有者と協議し、日割りで精算する取り決めを行うケースもあります。ただし、これはあくまで当事者間の任意の取り決めであり、市区町村に対する納税義務が免除されるわけではありません。

なお、固定資産税の課税基準日は毎年1月1日のため、翌年度の課税を避けたい場合は、前年中に登記手続きを完了させることが重要です。

参考:総務省「固定資産税
参考:総務省「都市計画税

【持分の取得者】贈与税:贈与扱いになるため発生

贈与税とは、個人から何かしらの財産を一定以上もらったときに課せられる税金です。課税方法は、「暦年課税」と「相続時精算課税」からどちらかを選択します。本記事では、主に暦年課税のケースを解説します。

共有持分の放棄によって、他の共有者が無償でその持分を取得した場合、税法上は「贈与」とみなされます。つまり、放棄者に対して金銭の支払いがなくても、他の共有者が経済的利益を得たと判断されるため、贈与税の課税対象になるのです。

そして、受け取った共有持分が高額であるほど、税率が上がって贈与税が高額になります。

<暦年課税での贈与税の計算方法>
{(固定資産税評価額×共有持分割合)-基礎控除110万円}×贈与税率-控除額

贈与税率は、父母や祖父母などの直系尊属から贈与されたときは「特例税率」、それ以外の人から贈与されたときは「一般税率」の適用です。共有持分の放棄の場合、原則として一般贈与財産用の税率になります。

基礎控除後の課税価格 一般贈与財産の税率 一般贈与財産の控除額
200万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円
基礎控除後の課税価格 特例贈与財産の税率 特例贈与財産の控除額
200万円以下 10%
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

参考:国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)

以下では、共有持分の放棄によって発生する贈与税のシミュレーションをおこないました。

<シミュレーションの条件>
・一般贈与財産用の税率を適用
・固定資産税評価額3,000万円の土地
・放棄する共有持分割合30%
・他の共有者の共有持分割合A50%、B25%

<シミュレーション>
(3,000万円×30%)=900万円
共有者Aの贈与税={(900万円×50/75)-110万円}×30%-65万円=82万円
共有者Bの贈与税={(900万円×25/75)-110万円}×10%=19万円

なお、贈与税の申告期間は、贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までです。贈与税は金額や関係性によって課税額が大きく変わるため、放棄の内容や共有関係によっては課税の有無や金額がケースごとに異なることもあります。

特に共有持分の放棄は「贈与」と「負担調整」が複雑に絡むケースも多いため、事前に税理士へ相談し、贈与税が発生するかどうかを確認しておくのがおすすめです。税理士に相談しておくことで、後から思わぬ追徴課税や申告漏れのリスクを防げます。

【他の共有者】不動産取得税:放棄によって共有持分を取得したことで発生

不動産取得税とは、不動産を贈与や購入などで取得した場合に、取得者へ課せられる税金です。共有持分の放棄はみなし贈与扱いであるため、共有持分を受け取った人へ不動産取得税が課せられます。

<不動産取得税の計算方法>
固定資産税評価額×共有持分割合×税率3%(※)
※本来の税率は4%だが土地と住宅に関しては軽減税率3%が適用されている

以下では、共有持分の放棄によって発生する贈与税のシミュレーションをおこないました。

<シミュレーションの条件>
・軽減税率3%
・固定資産税評価額3,000万円の土地
・放棄する共有持分割合30%
・他の共有者の共有持分割合A50%、B25%

<シミュレーション>
(3,000万円×30%)=900万円
共有者Aの不動産取得税=(900万円×50/75)×3%=18万円
共有者Bの不動産取得税=(900万円×25/75)×3%=9万円

実際、放棄によって共有関係を整理した後に「想定外の不動産取得税が発生した」というケースもあります。特に、住宅ではなく事業用地や貸地の場合は税率が4%になるため、想定より負担が大きくなるケースも少なくありません。

そのため、共有持分を放棄する際は「放棄する側」だけでなく、「受け取る側の税負担」も事前に確認しておくことが大切です。

参考:総務省「不動産取得税

共有持分の放棄を検討すべきケース

ここまでで解説した共有持分の放棄で得られるメリットは、「持分放棄」という方法に限らず、共有状態を解消すること自体に得られるメリットです。そのため以下のような特別な理由がない限り、わざわざお金が一円も戻らず、登記手続きや税務上のトラブルに発展する可能性もある放棄よりも、別の方法から検討することをおすすめしています。

  • 不動産の価値が著しく低く売却したところで利益がほとんど得られない
  • 第三者へ他の共有者への売却が困難

上記に当てはまらない場合は、まずは以下のように持分放棄以外の他の方法で共有状態を解消することを検討してみてください。

共有名義の解消方法 内容 メリット デメリット 合意の必要性 費用目安 おすすめなケース
共有持分を第三者に売却する 自分の持分を共有者以外の第三者に売却する方法。 ・売却する際、法的には共有者の同意は不要 ・「不動産全体の価格×持分割合」よりも売却価格が安い傾向にある 他の共有者の合意は不要。 ・登録免許税:持分価格×2%
・司法書士への報酬:5〜10万円程度
※買取業者への売却の場合
・他の共有者と関わることなく共有名義から抜け出したい場合
・価格が割安になっても共有持分を素早く売却したい場合
共有者間で共有持分を売却する 共有者の1人が共有持分を買い取り、単独名義にする方法。 ・「不動産全体の価格×持分割合」の金額で売りやすい
・他人に売ることによるトラブルのリスクが低い
・相手が買い取る資金を用意できないと成立しない
・買い手が専門の買取業者などに限られる
売買を行う共有者間の合意のみ必要。
当事者以外の共有者の合意は不要。
・登録免許税:持分価格×2%
・司法書士への報酬:5〜10万円程度
・単独でその不動産を活用・所有したい人がいる場合
・共有者と円満に話し合える関係の場合
共有者全員で共有不動産を売却する 共有者全員の同意を得て共有不動産を売却する方法。
基本的に売却益は持分割合に応じて分配する。
・所有者全員が現金を手にできる
・共有持分のみの売却より、高額で売れる可能性がある
・共有者全員の合意が必要になる
・売却までに時間がかかる場合もある
共有者全員の合意が必要。 ・仲介手数料:売却価格の約3%+6万円+税
・登記関連費用:10万円前後
・共有者全員が不動産の売却に同意している場合
・共有不動産に誰も住んでおらず、活用方法に困っている場合
・市場価格で不動産を売却することを希望している場合
共有不動産を切り分ける(土地の場合) 1つの土地を複数に切り分けて単独名義にする方法。 ・単独名義になることで自由に売却・活用できる
・相手との関係性が継続していても管理が明確になる
・土地の形状や法的条件によって分筆できないこともある
・測量費用などのコストがかかる
共有者の過半数の合意が必要。 ・登録免許税:1,000円(1筆)
・土地家屋調査士への報酬:30~80万円程度(規模・地形による)
・司法書士への報酬:5~10万円程度
・共有持分の過半数が土地の分筆に同意している場合
・土地が狭すぎず、分筆しても建物を建てるなど土地を利用できる余地がある場合
・正方形や長方形など、分筆に適した形状をしている場合
共有持分を放棄する 自分の持分を放棄して他の共有者に帰属させる方法。 ・共有者の同意は必要なく、単独で手続きができる ・自分の資産が減る
・他の共有者に贈与税が発生する可能性がある
他の共有者の合意は不要。
登記には協力してもらう必要あり。
・登録免許税:持分価格×2%
・司法書士への報酬:3〜8万円程度
・持分の現金化が不要な場合
・共有名義の煩わしさから早く抜け出したい場合
・他の共有者が持分放棄の登記に協力してくれる場合
共有物分割請求訴訟を起こす 裁判の判決によって土地を分割し、共有名義を解消する方法。 ・共有者と話し合いができない場合でも共有名義を解消できる
・裁判所の判断で不動産売却や分筆が進められる
・弁護士費用や時間、手間がかかる
・共有者全員に対し訴訟を起こすため、関係が悪化しやすい
他の共有者の合意は不要だが、
共有者全員を訴訟に巻き込むことになる。
・裁判費用:5万円〜
・不動産鑑定費用:20〜100万円
・弁護士費用:着手金30万円+報酬金5%
・他の共有者と話し合える状態にない場合
・強制的にでも共有名義を解消したい場合
・裁判費用や時間がかかっても問題ない場合

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共有持分を手放すなら放棄よりも売却がおすすめ

共有持分の放棄には、「権利を手放す」という効果しかありません。 一方で、共有持分を売却すれば、共有状態を解消できるうえに現金化もできます。

実際、「放棄して終わり」ではもったいないケースは多く、現金化できる選択肢がある以上、放棄よりも売却による解決を選ぶ方が圧倒的に合理的です。

まず検討すべきは、他の共有者への売却です。他の共有者であればすでに物件の一部を所有しているため、購入によって単独所有になったり、持分が増えて単独でできることが増えたりと、管理・利用がしやすくなるメリットがあります。

そのため、買い取る意思と資金力がある共有者がいる場合には、最もスムーズな解決方法といえるでしょう。しかし、実際は「買い取る余裕がない」「関係が悪化して交渉が進まない」といった理由で、共有者間での売買が難しいケースも少なくありません。

その場合は、共有持分の買取を専門とする業者への売却を検討するのが有効です。共有持分専門の買取業者であれば、通常の不動産会社では断られるような「持分だけ」の状態でも積極的に買取っています。

また、売却にあたって他の共有者の同意は不要なため、トラブルを避けながらスピーディーに現金化することが可能です。買取業者とは、依頼者から不動産を買い取った後、買い取った不動産を活用して利益を得る業者です。

現金化できる以外にも、共有持分専門の買取業者への売却を、放棄よりもおすすめする理由は次の通りです。

共有持分を専門の買取業者へ売却するメリット
概要

一般的な不動産仲介では売却できない共有持分でも買い取ってくれる
共有持分専門の買取業者なら、他の不動産会社や個人では取り扱えない共有持分でも買い取ってくれる

放棄と同じようにスピーディーに手放しやすい
数日~1週間程度で現金化できる

共有持分であっても適切に査定してくれる
共有持分に関する専門知識と経験を基に、他の不動産会社や個人では気づかない評価ポイントを適切に査定し、買取価格に反映してくれる

放棄と同じようにほかの共有者の同意なしで手放せる
共有持分単体の処分になるため、他の共有者の同意が必要ない

持分移転登記の際は共同申請とする必要がない
登記義務者が自分、登記権利者が買取業者になるため、他の共有者の協力がなくても持分移転登記が進められる

買取業者へ売却する際の相場の目安は、「共有名義不動産の市場価格×共有持分割合×1/2~1/3」です。市場価格2,000万円、共有持分割合30%なら、200万~300万円が目安です。詳細な査定額は、不動産の立地、築年数、権利関係、周辺施設などを考慮して決定します。

放棄は一見シンプルですが、税金の問題や登記の処理を含めると、あとからトラブルになることもあります。一方で、買取なら手放した瞬間に現金化でき、権利関係もすべて整理されます。

経験上、「早く・確実に・安心して手放したい」なら、放棄より売却のほうが結果的にメリットが大きいです。

一般的な不動産仲介では売却できない共有持分でも買い取ってくれる

共有持分は、一般の人が単体で持っていても「他の共有者の同意がないと不動産の活用に制限がかかる」「費用負担や管理方針について他の共有者と衝突する」など、さまざまなリスクを抱え込むことになります。そのため、不動産仲介で一般の買い手を探しても見つかる可能性は低いです。

実際、「仲介会社に相談したけれど、買い手がつかないと言われた」というご相談はよくあり、共有持分を一般の仲介で個人に売るのはほぼ不可能に近いのが実情です。

その点、共有持分専門の買取業者であれば、権利関係が複雑な物件や共有者同士のトラブルを抱えた案件でも買い取るノウハウを持っています。取得した持分をもとに共有者との交渉や買取整理を行い、最終的に不動産全体の活用・売却へつなげる仕組みを確立しているのです。

仲介では売れないとされた共有持分でも、専門業者であれば現金化できる可能性が高いということです。

放棄と同じようにスピーディーに手放しやすい

買取業者へ売却する場合、相談、査定、契約締結、現金化まで、平均で数日~1週間程度で済みます。一般の人が買主となるの不動産仲介では、買主を探す必要があるため、現金化までに3〜6か月、長いときは1年以上かかることも珍しくありません。

しかし買取業者は、自社が直接買い取るため、買主探しの期間が不要です。さらに、司法書士や税理士と連携しており、契約から登記、入金までをワンストップで進められる体制が整っているケースが多い点もスピードの理由です。

つまり、買取業者は「査定→契約→登記→入金」という一連の流れを社内完結できるため、他の方法と比べても圧倒的に早く現金化できます。スピードに自信がある買取業者なら、即日査定・現金化が可能です。

現場では「とにかく早く手放したい」という方が多いです。放棄してもお金は一円も戻りませんが、買取なら即日で現金が手に入るケースも多いです。

弊社と提携している業者もこのスピード感を何より大切にしており、査定から契約、登記、入金までをすべてワンストップで支援できる体制を整えています。「今日相談して、今週中に現金化したい」というようなご要望にも、できる限り柔軟に対応しています。

共有持分であっても適切に査定してくれる

共有持分専門の買取業者なら、共有持分であっても適切に査定できます。一般的な不動産会社では、共有持分の取り扱いに慣れていないことが多く、「共有不動産=売りにくい=安く買うしかない」と判断されがちです。

しかし、実際には共有持分にもその不動産ごとの立地条件や収益性、再販可能性など、評価すべきポイントが数多くあります。

共有持分専門の買取業者は、これまでに数百件単位で共有不動産を扱ってきた経験から、単なる持分割合だけでなく、現地の状況や共有者構成、将来的な活用の可能性まで含めて総合的に評価します。

共有持分を扱ったことがない仲介業者や一般の買主の場合、「評価額がつかない」「そもそも取り扱えない」と断られてしまうケースも少なくありません。

しかし、共有持分専門の買取業者であれば、そうした見えない価値を適正に評価し、他では提示されない金額での買取が期待できるのです。

放棄と同じように他の共有者の同意なしで手放せる

共有持分だけの売却なら、放棄と同じく他の共有者の同意なしで進められます。これは、民法第206条で以下のように定められているためです。

第二百六条
所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。
引用元 民法 | e-Gov 法令検索

つまり、自分の持分の範囲であれば、誰に売却するかは自由に決められます。売却先が買取業者であれば、他の共有者に贈与税や不動産取得税などの税負担が発生することもありません。

手続きも放棄と同じようにシンプルで、売主と買取業者の間で持分移転登記を行うだけで完結します。

ただし、注意したいのは「他の共有者が持分のみの売却にも反発する」ケースです。たとえば、「知らない第三者が共有者になるのは困る」といった理由から売却に反対されトラブルに発展することもあります。

法律上は自由に処分できるとはいえ、関係悪化を防ぐためには、事前に「売却を検討している」という意思を伝えておくのが理想です。実際の現場でも、「家族や親族に知られずに持分を手放したい」というご相談は多くあります。

基本的に、売却後の他の共有者とのやり取りは新たな共有者となった買取業者が行いますが、売却後も共有者とかかわりがある場合、トラブルに発展する可能性もあります。

そのため、後々トラブルを避けるためにも、できる範囲で事前に話しておくほうが結果的にスムーズです。

持分移転登記の際は共同申請とする必要がない

共有持分を買取業者へ売却し登記する場合、登記義務者は自分、登記権利者は買取業者の2者のみになります。そのため持分移転登記の際は、放棄のように他の共有者全員との共同申請とする必要がありません。

登記に関して他の共有者へ協力を依頼することもなければ、登記引取請求訴訟を提起する機会も原則としてなくなります。その結果、登記引取請求訴訟のような手間やトラブルに発展するリスクもほとんどなく、スムーズに所有権の移転が進められます。

ただし、登記が完了すると共有持分の所有権があなたから買取業者へ移動するため、他の共有者にとっては「突然、知らない業者が共有者になった」と困惑する可能性があります。共同申請が必要なくても、所有者が代わる旨は他の共有者へ事前告知しておくことをおすすめします。

まとめ

共有持分の放棄は、自分の共有持分を他の共有者全員に帰属させることで、共有状態を解消する方法です。帰属させる割合は、他の共有者の共有持分割合に応じるのが基本です。放棄は自分の意思表示のみで実施できるため、他の共有者の同意を得る必要がないメリットがあります。

ただし、持分移転登記の際には他の共有者との共同申請になるため、他の共有者との協力が必要です。もし協力を得られないときは、登記引取請求訴訟を起こし、単独申請を認めてもらえるよう進めます。放棄によって共有持分を得た共有者には贈与税や不動産取得税が課せられるため、意思表示する前に他の共有者へ相談しておくと、トラブルを防ぎやすくなるでしょう。

ただし、共有持分の放棄では現金化ができないため、現金を得たいときは売却での処分をおすすめします。共有持分専門の買取業者への売却なら、さまざまな問題を抱える共有持分であっても、適切に査定し買い取ってくれるはずです。

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共有持分の放棄に関するQ&A

農地といった特殊な不動産の共有持分も放棄できますか?

共有持分を他の人へ譲渡や売却する場合は、農地法で定められている農業委員会の許可が必要になります。

共有持分の放棄と「相続放棄」「贈与」との違いはなんですか?

共有持分の放棄と似た言葉として「相続放棄」や「贈与」があります。いずれも共有持分を処分できるという点では共有持分の放棄と共通していますが、それぞれ法律上の性質や発生する税金などが大きく異なります。

相続放棄とは、被相続人の財産を相続する権利を放棄し、最初から相続人ではなかったものとしてみなす法的な手続きです。共有持分の放棄と相続放棄には、以下の点に違いがあります。

項目 共有持分の放棄 相続放棄
放棄の対象となる財産 自分がすでに保有している特定の共有持分のみ 被相続人のすべての財産を相続する権利
法的手続きの有無 不要 家庭裁判所での申述が必要
手続きの期限 いつでも好きなタイミングで可能 相続が発生したことを知った日から3ヶ月以内
共有持分の帰属先 他の共有者全員 他の法定相続人(他の共有者に帰属するのは、相続人が1人もいない場合のみ)

贈与とは、特定の相手との贈与契約に基づき、自分の財産をその相手に無償で移転させる手続きです。「すでに保有している自分の共有持分を相手に無償で移転させる」という点においては共有持分の放棄と共通していますが、以下の点が大きく異なります。

項目 共有持分の放棄 贈与
共有持分の帰属先 自動的に他の共有者全員へ帰属する(相手は選べない) 贈与者が指定した相手
成立要件 放棄者の一方的な意思表示のみで成立する 贈与者と受贈者の双方の合意がなければ成立しない
相手に渡す共有持分の割合 所有する共有持分をすべて手放す必要がある 贈与者が自由に決められる
贈与税の負担 他の共有者全員 受贈者のみ
不動産の取得費 登記完了日を新たな取得日、贈与税の課税時点の時価を新たな取得費とする 贈与者の取得日・取得費を引き継ぐ
登記のタイミング 他の共有者全員に持分放棄の意思表示を示した後 贈与契約の締結後

共有持分に関するコラムはこちら

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更新日 : 2025年11月07日
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