自分名義の土地だけを売る方法
共有名義の土地全体を売却するときは、原則名義人全員の同意が必要になります。
そもそも、持分は対象の不動産について所有権を持っている割合のことです。
そのため、他人も所有している土地を、自分も所有権を持っているからといって自由に売却できません。
ただし、自分名義の持分のみであれば、他の共有者に同意をもらわなくても売却可能です。
自分名義の土地を売る方法は主に2つあります。
- 自分名義の共有持分のみを単独で売却する
- 土地を分筆して売却する
次の項目からそれぞれの方法についてわかりやすく解説していきます。
自分名義の共有持分のみを単独で売却する
さきほども説明したように持分のみであれば自分の意思で自由に売却可能です。
他の共有者からの同意も必要なければ、連絡も必要ありません。
共有者とは独立した取引となるため、他の共有者に知られることなく自分名義の土地における売買契約を結べるでしょう。
ただし、共有名義の土地のまま自分名義のみを売却する場合、実際の相場よりも安価になってしまう傾向があります。
共有持分のみの売却価格は「不動産全体の価格×持分割合」よりも低くなる
共有持分は共有者の同意なしで自由に売却できる一方で、「不動産全体の価格×持分割合」よりも安くなってしまいます。
例えば、3,000万円の土地の持分を1/2持っていたとしても、1,500万円で売却することは難しいのが実状です。一般的に、1,500万円からさらに30~50%ほど減額された価格になります。
価格が安くなってしまう大きな理由は、共有持分のみの所有では、不動産全体を自由に活用できないことにあります。
あくまで不動産全体を複数人で共有している状態なので、利用方法によりますが、建築や売却、賃貸、改装といった不動産に大きな変更を加えたり処分したり、管理したりする行為においては、独断でおこなうことができません。
もし実行したい場合は、共有者全員または過半数の同意を得る必要があります。(以下の表参照)
行為 |
内容 |
同意の条件 |
処分・変更行為 |
・建物の売却 ・建物の増改築 ・建物の解体 ・不動産への抵当権設定 |
共有者全員の同意が必要 |
管理行為 |
・建物の改装(改造に至らない程度のもの) ・宅地の整地 ・賃貸契約 |
共有持分の過半数分の同意が必要 |
保存行為 |
・建物の修繕 ・無断で土地を使用している人への明け渡し要求 ・無権利者の抹消登記 |
共有者の合意は必要なし |
たとえば、共有名義の土地の上に新しく建物を建てようとすると、共有者全員の同意が必要となります。
また土地を賃貸するのであれば、持分価格の過半数の同意がなければ認められません。(1人が1/2を超える持分を所有している場合、単独の判断で土地の賃貸借契約を結ぶことは可能)
もし同意が得られたとしても、共有持分の過半数の合意のみだと賃貸できる期間は5年までと決められています。5年を超えて賃貸する場合は、共有者全員の同意を得なくてはいけません。
このように、共有状態の土地は活用に制限があるのです。
共有持分の買取相場については、以下の記事も参考になります。買取事例をもとに相場価格を紹介しているので、より詳細な情報を知ることができます。
共有持分の売却相場を徹底解説!実際の買取事例や査定ポイントも紹介
土地を分筆して売却する
共有名義の土地を「分筆」することで共有状態が解消され、単独名義の土地となります。
分筆・・・共有名義となっている土地を持分割合に応じて分割し、別の土地として登記しなおすこと。
その結果、所有権を自分のみが持っている状態になり、他の共有名義人から同意をもらわなくとも売却可能です。
買主も購入後は通常の土地と同じように自由に利用できるため、売却価格も共有持分のときより高くなることが期待できます。
共有名義の土地を分筆して売却する方法については、以下の記事でもわかりやすく解説しているため、参考にしてみてください。
ただし、分筆するときには注意点があり、単純に土地の面積と持分割合を一致させればいいわけではありません。
分筆によって評価額に差が出る
分筆をおこなう際、土地の面積が同じでも接道状況によっては評価額に差が出てしまいます。
例えば、兄弟2人の持分がそれぞれ1/2ずつだとしましょう。面積だけに着目して分筆してしまうと、道路に接している土地と接していない土地にわかれてしまうことがあります。
道路に接していない土地は「再建築不可物件」とよばれ、建築基準法で定められた接道義務を満たさないため、建物の建て替えや新築ができなくなります。
参照:e-Govポータル「建築基準法第43条」
接道義務を満たしていない土地において再建築できない理由については、以下の記事を参考にすることでより理解が深まるでしょう。
そのため、同じ面積で分筆したとしても、接道義務を満たしていない土地の資産価値は大幅に下がる傾向にあります。土地を分筆する場合は「面積」ではなく「分筆後の評価額」が持分割合に一致しているかが重要です。
また最低敷地面積にも注意してください。
これは建物を建てられる敷地の最低面積のことで、地域によって定められる大きさは異なります。
最低敷地面積より小さい土地には建物を建てられないため、売却が困難になってしまいます。もし土地の面積が小さい場合は、分筆前に最低敷地面積も把握しておきましょう。
自分名義の土地だけを売るときの買主候補
自分名義の土地だけを売却したいのであれば、分筆して単独名義にすることで売却が比較的容易になります。
しかし、さまざまな事情により分筆が難しく、共有名義のまま自分の持分だけを売却しなければならないケースもあるでしょう。
もし共有名義のまま持分を売ることになった場合、「だれに売るか」で売却手続きの簡単さや売却価格の高さが異なります。
売却先である主な買主候補は以下のとおりです。
他の共有者
自分の持分を売却する際に、他の共有者に買い取ってもらえないか交渉するのが手段の一つです。
他の共有者から土地の分筆や土地全体の売却を反対された場合、その共有者は「現状の土地面積を維持しつつ所有していたい」と考えているのかもしれません。
交渉次第ではありますが、自分名義(持分)の土地を売却できる可能性はあります。
とはいえ当然ながら、共有者に購入する意思がない場合や、購入できるだけの資力がない場合は交渉を成立させることはできません。
購入の意思や資力があったとしても、価格が折り合わずに共有者間の人間関係が悪化することもあり、個人間での取引だからこそスムーズに進まないことも考えられます。
また売却するときには、以下のような場面で専門的な知識が求められることも知っておきましょう。
個人間で不動産を売買する際は、契約書を作成する義務はありません。しかし、「合意の意思」や「合意した内容」の証拠を書面に残すことで後のトラブルを回避できるため、作成しておく方が安全です。
そのほか、契約書には「契約不適合責任の免責」「設備修復義務の免責」に関する条項を設けることが一般的とされています。
契約不適合責任 |
不動産の引渡し後に、種類や品質・数量など、契約内容に適合しない不具合や欠陥が発覚したときに売主が買主に負う責任 |
設備の修復義務 |
不動産の引渡し後に、設備に何かしらの故障や不具合が見つかったときに、売主が買主に負う責任 |
上記2つの免責事項を契約書に明記し、売主の責任範囲を限定することで、不動産を引渡した後のトラブルを未然に防ぐことができます。
また、売買成立後は、持分移転登記も必要になります。
持分移転登記:共有持分の名義変更をするときに必要な登記手続き。登記する持分の権利者が変わることの証明となる
登記をおこなわなければ持分の名義が変更されないため、買主は所有権を主張することができません。これにより、不動産を担保にお金を借りたり、売却したりと活用できなくなります。
また売主にとっては、引き続き固定資産税の請求書が届いてしまいます。
共有持分のみの売買では専門的な知識が必要不可欠です。共有者同士のみで取引を進めてしまうと、トラブルに発展するリスクが大きいため不動産会社に仲介を依頼する方が効率的です。
第三者の投資家
持分のみを購入した後、その持分を売却(転売)・活用して利益を得る投資家も存在します。
投資家が持分のみを購入して利益を得る方法は大きく4つあります。
- 取得した持分を他の共有者に売却する
- 他の共有者の持分を買い取り、通常の土地として売却・活用する
- 分筆後に土地を売却・活用する
- 賃貸している土地であれば、持分に応じた地代を請求する
投資家が購入した持分から利益を出すには、他の共有者との交渉が不可欠です。
交渉には時間や労力もかかるため、投資家の希望買取価格もある程度低くなるでしょう。
土地全体の評価額に持分割合をかけて、そこからさらに1~2割程度での取引になる可能性もあります。
また、他の共有者に対して強引な方法で買取を提案したり、相場より安値で持分を買い取ろうとしたりする悪質な投資家がいることにも注意しなければいけません。
このような投資家の行動により、他の共有者との関係が悪化することもあるため、その投資家がどのような人か見極めることも大切です。
専門の買取業者
自分名義の土地だけをなるべく早く売りたいのであれば、専門買取業者に直接買い取ってもらうことも検討してみましょう。
共有不動産を扱っている専門買取業者であれば、相場に近い価格で買い取ってくれるケースも多いです。
当社クランピーリアルエステートでは、共有者とのトラブルを抱えている物件でも積極的に買取しております。
また、弁護士や司法書士などの士業専門家と提携を結んでおり、専門知識と経験を持ち合わせた専門スタッフも多数在籍しているため「最短12時間の高額査定・最短48時間のスピード買取」が可能です。
当社なら、自分名義の土地だけでもトラブルなく買い取ります。実際に売却するときはもちろん、土地の扱いについて悩んでいる段階でもお気軽にご相談ください。
最短48時間のスピード買取で
不動産を現金化
「高く・早く・トラブルなく」
売却したいなら
共有持分買取専門の
当社にお任せください!
自分名義の土地売却は住宅ローン残債が影響する
住宅を購入するときに夫婦でペアローンを組むケースもあり、負担した金額の割合に応じて持分が設定されます。
仮に離婚することになり財産分与で自分の持分だけを売りたい場合、ローン残債の状況によっては売れなくなる可能性もあります。
次の項目から「ローンを完済している場合」と「ローンの残債がある場合」において土地売却に対してどのような影響があるのかを見ていきましょう。
住宅ローンを完済している場合は問題なく売却可能
離婚時に住宅ローンを完済しているのであれば、対象の不動産に設定された抵当権を抹消できるため問題なく売却が可能です。
ただし、ローンを完済したときに抵当権抹消登記を申請することが必要でしょう。
なぜなら、抵当権はローンを完済すれば自動的に消えるわけではないからです。
抵当権抹消登記は自分でおこなうことも可能ですが、もしも「仕事で忙しくて手続きできない」「手続きの方法がよくわからなくて不安」という場合は、1万円程度で代行してくれる司法書士などの専門家に依頼するとよいでしょう。
手続きの方法や必要書類などについては以下の記事で詳しく解説しているため、参考にしてみてください。
住宅ローンの残債がある場合、売却と同時に完済できるのであれば問題なし
一方で、自分名義の土地だけを売りたいと思っていても、住宅ローンの返済が途中という場合もあるでしょう。
住宅ローンを返済中でも、売却価格が住宅ローン残債よりも高く、売却と同時に完済できるのであれば、抵当権の抹消が可能なため問題ありません。
ただし、自分の借入分(ローン)が返済できるとしても、配偶者の残債も完済しなければ抵当権をすべて抹消できないため、売却が不可能となってしまいます。
売却利益を返済に当てたとしても完済できない場合、自己資金でまかなう必要があります。
配偶者の住宅ローン残債を代わりに支払うと贈与とみなされ、税金が課せられる可能性もあるため注意してください。
まとめ
共有名義となっている土地は、その持分を取得しても活用するには共有者の同意が必要になります。
そのため、買主が見つかりにくく、売却できたとしても非常に安い価格になってしまうでしょう。
少しでも高く売りたいのであれば、土地を分筆することも検討してください。
分筆することで自分の意思だけで活用できる通常の土地となり、相場に近い価格での売買が可能となるかもしれません。
また、共有不動産を扱っている専門買取業者に買い取ってもらうことも、選択肢の一つです。
自分名義の土地における売却に疑問や不安がある人などは、信頼のできる不動産業者に相談することが大切です。
共有の土地売却でよくある質問
共有持分を高く買い取ってくれる業者はありますか?
はい、あります。一般的な物件を扱う大手不動産会社よりも「共有持分を専門としている買取業者」へ売却したほうが高額となる可能性があります。また、離婚などで共有者どうしがトラブルになっている共有持分は、弁護士と連携している専門買取業者への売却がおすすめです。→
共有持分専門の買取査定はこちら
共有持分だけの買取相場っていくらぐらいになりますか?
共有持分の買取価格相場は通常不動産の半額程度、もしくはさらに低い価格となる場合がありますが、売却先によっては相場に関わらず比較的高い価格で買取していることもあります。そのため、買取相場が明確に決まっているわけではありません。
「いろいろな不動産会社に買取を断られてしまった・・・」こんな共有持分・不動産でも売れるの?
不動産の買取自体を断られている物件でも売却できます。共有不動産は権利関係が複雑でコストもかかるので買取を積極的におこなっていない会社もあります。そういった場合も「共有持分の専門買取業者」へ売却すると良い結果が得られることが多いです。
訳あり不動産の売却でお悩みなら
今すぐご連絡ください
- 北海道・東北
-
- 関東
-
- 東海
-
- 関西
-
- 北陸・甲信越
-
- 中国・四国
-
- 九州・沖縄
-