底地とは「地主がほかの人(借地人)に貸している土地」
底地には通常の土地と異なる権利関係が存在しますが、相続や贈与で取得した人のなかには底地のことをよく知らないまま保有しているケースも珍しくありません。売却について解説するにあたり、「底地とはどのような不動産か」という基本的な部分をあらためて紹介します。
底地とは、「地主がほかの人(借地人)に貸している土地」です。借地人が建物を建てて活用する代わりに、底地の地主は借地人から地代(借地料)を受け取って収益を得ます。借地人からの視点だと、底地を「借地」と呼びます。
底地は、通常の土地と同じく底地のままで売却が可能です。しかし、収益性・利便性やそのほかの権利関係の複雑さから、底地の売却価格は低くなる傾向にあります。底地の売却価格相場については、記事内底地を売却する5つの方法!それぞれの詳細・相場などを解説をご覧ください。
以下では、底地や借地権について解説します。
借地権には、借地借家法上のものと、民法上のものが存在します。本記事では、借地借家法における借地権が設定された底地について解説しています。
借地人は地代を支払って「借りた土地で建築」「建物を使った事業」などができる
ある土地について地主が借地契約を結ぶと、契約対象の土地における借地権が発生します。借地権を行使できるのが、借地人(借地権者)です。借地人は地主へ地代を支払う代わりに、借りた土地の上に建物を建築できる権利を得ます。
底地の建物は借地人が自由に活用でき、マイホームを建てて居住する以外にも、事業用の建物を営んで収益を得ることも可能です。
たとえば2024年には、キオクシアが不動産会社大手のヒューリックへ底地を売却した事例があります。底地にはキオクシアの工場が建っていましたが、工場は引き続きキオクシアが運営し、ヒューリックへ地代を支払うという借地契約が結ばれています。キオクシアが借地人、ヒューリックが地主です。
一般的に借地権は借地人に有利な権利とされていますが、万能ではありません。一般的に設定される借地権の「賃借権」には、地主だけでなく借地人にも制限が課せられます。地主・借地人双方の主な制限内容は次の通りです。
底地における地主の制限 |
底地における借地人の制限 |
貸した土地は実質的に自分では使えない |
建てた建物の売却、増改築、名義変更などには地主の承諾が必要 |
双方の合意がない限り借地契約の途中解約が原則できない |
承諾を得るには一般的に承諾料の支払いが必要 |
上記の制限があるとはいえ、「土地を活用したくてもできない地主」や「土地がほしいけど購入するほど予算が少ない人」にとって、借地契約にはさまざまなメリットがあります。
借地契約が終了して借地人が地主へ土地を返還するときは、特約がない限りは建物を取り壊して更地にして返すのが原則です。
上記で解説した賃借権以外には、借地人が非常に強い権利を有する「地上権」
が存在します。しかし一般的な借地契約において、地上権が設定されることは稀です。
半永久的に貸す「普通借地権」と契約期間を決める「定期借地権」の違い
底地に設定されている借地権は、発生した時期によって適用法律が変わります。1992年7月まで設定された借地権は旧借地法、1992年8月以降に設定された借地権は借地借家法が根拠です。
旧法・新法の借地権のいずれも、まず法律に定められた範囲の契約期間(存続期間)が設定されます。契約期間が終了したら、更新・再契約するか、終了して土地を更地にして返還するかのいずれかをおこないます。
新法の借地権の特徴は、「普通借地権」のほかにも「定期借地権」が定められた点です。
普通借地権とは、借地人が希望する限り借地契約が更新され続ける借地権です。契約の更新を拒否するには、地主側が拒否をする正当な理由を主張しなければなりません。地主と借地人の合意の下で終了するときは、更新せずに借地契約を終了できます。
一方で定期借地権とは、決められた契約期間が経過すると、契約が更新されずに土地を地主へ返還する借地権です。地主からすると、一定期間後に確実に土地が返ってくるメリットがあります。もし借地人と地主の同意があれば、同じ内容の契約をもう一度交わすといった「再契約」という形で借地契約を継続できます。
借地権の種類と、それぞれの契約期間は次の通りです。
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概要 |
契約期間 |
普通借地権 |
更新を前提としている借地権
一回目の更新は20年、2回目の更新は10年の契約期間になる |
30年以上 |
一般定期借地権 |
居住・事業問わずさまざまな用途で使える定期借地権
更新なし・延長なし・建物買取請求権なしの特約を付与できる
書面または電磁的記録で契約を締結
(上記の特約を付与するときは公正証書) |
50年以上 |
事業用定期借地権 |
・専ら事業用に供する建物を所有する場合に使える定期借地権
・30年以上の契約期間の設定なら建物買取請求権なしなどの特約が付与できる
・30年未満の契約期間の設定ならさまざまな借地借家法の適用が免除される
・必ず公正証書で契約を締結 |
10~50年未満 |
建物譲渡特約付借地権 |
・契約終了後に借地人の建物を地主が買い取る定期借地権
・契約締結方法に指定はないが書面を残すのが一般的 |
30年以上 |
一時使用目的の借地権 |
臨時設備の設置や工事といった一時的な使用時に設定される定期借地権 |
規定はないが10年未満が多いと言われる |
旧法借地権 |
1992年7月以前に設定された借地権 |
・非堅固建物は20年以上
・堅固建物は30年以上 |
参考:e-Gov法令検索「借地借家法」
設定されている借地権の種類や契約内容によって、底地の売却価格に影響が出る可能性があります。底地を売却する場合は、借地権の種類も確認しておきましょう。借地権についての詳細は、以下の記事で詳細を解説しています。
普通借地権は残存期間によって評価額はそこまで変化しない
普通借地権は更新が可能であるため、契約期間が満了になっても借地人が望めばさらに借地契約を続けられます。そのため、残存期間が短くても借地人・地主双方にとってそこまで影響はありません。普通借地権の評価額も、残存期間から受ける影響は少なくなります。
これは普通借地権の目的となっている底地も同じで、借地権の残存期間によって底地の評価額は大きく変わらない傾向があります。
定期借地権の売却金額は残存期間によって変化する
定期借地権は、契約の残存期間が終了に近づくほど価値が下がるのが一般的です。契約満了時点で地主と再契約をしないと、更地にして返還する必要があるからです。定期借地権の購入者からすれば残存期間=土地を活用できる期間であり、短いほど使える時間が少なくなります。
しかし底地の目線で見ると、定期借地権の残存期間が短い場合は「もうすぐ土地が返ってきて自由に使える」と判断できます。そのため、底地の価値として見ると逆に売却金額が高くなる可能性も考えられるでしょう。
底地の評価額はおおまかに言うと、「更地価格価格-借地権価格」です。借地権の価値が低いほど、底地の価値が上昇する傾向にあります。
無償で貸し出している場合は「使用貸借」になる
土地の賃貸借契約には、地主が無償で貸付しているケースがあります。無償で土地を貸し出して自由に活用してもらう場合は、借地契約ではなく「使用貸借契約」に該当します。たとえば「会社経営者が個人の土地を会社へ貸す」「親族へ自分の土地を貸す」といったケースが挙げられるでしょう。
使用貸借契約の土地は、借地借家法の影響を受けません。借地権なども発生しておらず、土地に関する権利は地主がほとんど有しています。そのため、使用貸借契約の土地は借地契約の底地よりも返還を要求しやすく、以下に該当する土地はすぐに返還請求できます。
- 試用期間や目的も定めていない使用貸借契約を結んでいる
- 契約期間が終了している
- 使用収益の目的が果たされている
- 使用貸借契約を結んだ地主が亡くなり相続した(相続後も契約を続ける特約が含まれている場合は除く)
使用貸借契約の目的となっている土地の売却相場は、すぐに返還を求められる状態ならほぼ更地価格になります。一方、契約期間が終了していない、目的が果たされていないなどすぐの返還が難しいときは、更地価格の40〜80%に減少するのが一般的です。
底地の売却は難しい!市場から人気がない4つの理由
底地は通常の不動産の比較して需要・価格ともに低く、納得いく売却とするのは難しいのが実情です。底地の売却が難しい理由は次の4つです。
- 土地が自由に使えないうえに一方的な契約解除ができないから
- 金融機関からの担保評価が低く融資を受けづらいから
- 地代収入だけだと底地の所有者側の収益性が低いから
- 借地人・土地の共有者とのトラブルが発生しやすいから
上記の理由から、原則として底地を一般の人へ売却することはほぼありません。以下では、詳細を見ていきましょう。
土地が自由に使えないうえに一方的な契約解除ができないから
借地人は地代を支払って「借りた土地で建築」「建物を使った事業」などができるで解説した通り、底地は借地人が自由に建物を建てて活用している状態です。もし底地を購入しても、底地の購入者は土地を自由に使えません。
借地契約は一方的な契約解除が認められておらず、自分のタイミングで土地を変換してもらうのも困難です。更新拒絶や中途解約をするには、以下に示した正当な理由が求められます。
- 借地人が何度も地代滞納・用途外利用などを繰り返している
- 建物が空き家となっており、長期間使われておらず借地人にとっても必要性がない
- 地主側に土地が必要な強い理由がある
仮に契約満了後に更地で返ってくる定期借地権でも、多くの場合は数十年単位の契約期間が設定されています。普通借地権だと、借地人との合意がないと契約期間は更新される可能性が高いです。土地を自由に活用できるのが数十年先になる、土地を返還してもらうために交渉の必要があるなど、底地ならではの面倒事は買手を遠ざけてしまうでしょう。
とくに「自分で建物を建てて事業をしたい」「駐車場として使いたい」といった人が、底地を購入することはないと考えられます。
金融機関からの担保評価が低く融資を受けづらいから
底地の売却が難しい理由の1つに、金融機関からの担保評価が低く、融資を受けづらい点が挙げられます。
底地は市場からの需要・売却価格ともに低く、住宅ローンや不動産担保ローンなどの担保とするには評価が芳しくありません。融資先の返済が滞っても、担保が底地だと現金化できる保障がなく、売却できても返済分を補填できるほどの現金化は期待できないからです。実際に金融機関は、底地を担保に融資するケースは少ないのが実情です。
つまり底地購入に関して住宅ローンが組めないため、底地を購入しようとする人は、原則として自己資金で一括購入する必要があります。ローンが組めないうえに購入しても活用が難しいとなると、購入リスクが高いと判断されてなかなか買手も付きづらくなります。
地代収入だけだと底地の所有者側の収益性が低いから
地主が設定する地代の金額は、原則として相場を基に決定します。底地の地代相場は、その土地の固定資産税・都市計画税の3〜5倍です(商業利用の倍は5~8倍)。相場を基に、「底地が住宅地か商業地か」「底地があるエリアの人気はどうか」といった要素を考慮して決定されます。
一見、土地を貸すだけで収益を得られるため、底地購入のメリットは大きいように見えるでしょう。しかし、底地の収入源はほぼ地代収入のみです。地代収入だけだと事業収入のような大きな収益を期待するのは難しく、底地の収益性は比較的低いと言われています。
ほかには建物の売却・増改築などの承諾料が更地価格の3%~10%を目安に設定できるものの、地代のように毎月発生する定期収入にはなりません。加えて固定資産税や土地の管理費なども継続的に発生し、手元に残るお金はより少なくなります。
利回りで考えると、底地の年2~4%と、25~50年は貸しておかないと投資分の回収が難しくなります。もし借地人が地代の支払いを滞納すると、法的措置などの各種対応でさらに時間とお金が取られるリスクも考えられるでしょう。
このように底地は、複雑な権利関係を有するにもかかわらず、費用対効果が低いと判断されやすい土地です。売却価格も、低くなる傾向にあります。
借地人・土地の共有者とのトラブルが発生しやすいから
底地は借地人と地主の両者に対して権利が発生している状態であり、借地人と地主との間でトラブルが起こりやすい土地です。買手側は借地人とのトラブルを警戒して底地の購入を避けるため、底地は売却自体が難しくなる傾向にあります。借地人と地主で起こりえるトラブルの例は次の通りです。
- 地代を値上げしたいときに揉める
- 借地人が借地契約外の活用をしようとする
- 借地人が無断で建物の売却や増改築をしようとする
- 正当な理由があって明け渡し請求をしたものの借地人が応じない
底地が共有状態(1つの底地を複数人が所有している状態)にあると、さらに共有人同士のトラブルのリスクも存在します。共有人同士のトラブルの例は次の通りです。
- 地代の配分で揉めたり集めた地代を独占したりなどが発生する
- ほかの共有者が自分の共有持分を売却して、知らない第三者と底地の共有状態になる
- 自分以外の共有者と借地人とのトラブルに巻き込まれる可能性がある
底地に関するトラブルが発生したときは、地主は対応を強いられるでしょう。相手側が感情的になっていると、論理的な話ができず問題が長引く可能性も考えられます。このような理由から、底地は市場において売却が難しくなってしまうのです。
底地・借地権に関するトラブルは、以下の記事も参考にしてみてください。
底地を売却する5つの方法!それぞれの詳細・相場などを解説
底地の売却は難しい一方、売却自体は可能です。売却方法を工夫すれば、スムーズに売却できる可能性が上がります。底地は売却方法によって取引価格相場が変わるので、売却を検討している場合はぜひ一度確認してみてください。
底地を売却する5つの方法は、主に次の通りです。
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概要 |
売却相場 |
売りやすさ |
借地人への売却 |
底地の借地人へ売却し完全所有権にしてもらう |
更地価格の50% |
借地人に購入意思がなければ不可 |
同時売却 |
地主の底地と借地人の借地権を一緒に第三者へ売却する |
通常の更地価格のうち底地の評価額 |
借地人に売却意思がなければ不可
買手を見つける必要がある |
買取業者への売却 |
不動産の買取業者に直接買い取ってもらう |
更地価格の10~20% |
買取業者と合意すればすぐに売却可能 |
第三者への売却 |
不動産仲介を通じて第三者へ売却する |
更地価格の10~20% |
仲介を通じて買手を見つける必要がある |
等価交換して分割後に売却 |
等価交換によって借地人・地主がそれぞれ完全所有権を得てから売却する |
等価交換後の面積等に応じた更地価格 |
借地人に売却意思がなければ不可 |
以下では、それぞれの売却方法について詳細を解説します。
底地のまま売却する際の相場が高いのは「借地人への売却」
底地のままで売却する際に、一番相場が高いのは「借地人への売却」です。借地人が底地を買い取ると、借地人は自分の借地権分と合わせて、完全所有権の土地を得られます。完全所有権の土地を得られる、借地人側のメリットは次の通りです。
- 地代や承諾料を支払う必要がなくなる
- 売却、建て替え、増改築、賃貸借契約などをおこなうのに地主の許可が必要なくなる
- 借地人自身が土地を手放したいときに売却がしやすくなる
このように借地人にとって底地を買い取るメリットは大きいため、借地人が完全所有権を求めているときは、第三者へ売るよりも売却価格が高くなる傾向にあります。借地人からの需要があるときは、借地人への売却を検討してみてください。
ただし、借地人は必ずしも買い取りを希望しているわけではありません。「金銭的な余裕がない」「無理に完全所有権にする理由がない」といった借地人だと、売却は難しくなるでしょう。一方、少しでも買い取りに興味がありそうなときは、交渉によっては売買契約を結べる可能性があります。
交渉タイミングとしては、「建て替え・増改築など建物に関する変更があるとき」「借地契約が終了して更新・再契約するとき」など、長期間土地を活用する意思が借地人から見えたときが挙げられるでしょう。
借地人へ売却するときでも、不動産仲介を通じての売却をおすすめします。仲介業者は客観的な査定、交渉の取りまとめ、売買契約書作成の代行などのサポートをしてくれるため、個人間だけで進めると起こり得るトラブルを未然に防げます。
借地人に売却する場合の底地の価格目安:更地価格の50%程度
借地人へ底地を売却する場合の売却価格の目安は、更地価格の50%程度です。原則として底地は完全所有権の関係で借地人からの需要が高く、第三者へ売却するよりも価格を高額に設定しやすくなっています。
もし借地人との交渉がまとまらないときは、弁護士に交渉のサポートをしてもらうのもおすすめです。相続やそのほか複雑な権利関係が絡むときは、弁護士に権利関係を整理してもらったり、代理で交渉してもらったりなどを依頼できます。
借地人も売りたがっているなら「同時売却」
もし借地人も底地にある建物を売りたがっているときは、地主の底地と借地人の借地権を、第三者へ同時売却する方法があります。
底地と借地権のセット売却は、1つの完全所有権の土地を売却するのとほぼ同義です。そのため、底地・借地権をそれぞれ単独売却するよりも、高額で売却しやすくなるメリットがあります。同時売却なら購入と同時に完全所有権を得られることから、一般の人からの需要も期待できるでしょう。
同時売却するときは、借地人との意思統一が必要不可欠になります。借地権売却の意思が借地人にないときは、同時売却は不可能です。もし無理に売却を迫ってしまうと、借地人の関係悪化につながり、その後の借地契約に支障をきたすリスクがあります。
同時売却の価格目安:通常の更地価格とほぼ同等
借地権・底地の同時売却なら、合計で通常の更地価格とほぼ同等で買い取ってもらえる可能性が高いです。そこから、借地人と売却益を分配することになります。売却価格の分配割合については、借地人と事前にしっかりと話し合っておきましょう。
トラブルなくスムーズに進めたいなら「買取業者への売却」
「借地人による買取や、同時売却には期待できない」「とにかくすぐに底地を売却したい」という場合は、不動産の買取業者に買い取ってもらうのがよいでしょう。不動産の買取業者とは、底地、共有持分、相続不動産といった一般的に買手が付きづらい不動産を買い取り、自分たちで活用して収益を得る事業者です。
買取業者への売却は、ほかの売却方法よりも手間がかからずスムーズに進められるという大きなメリットです。買取業者への売却がスムーズになる理由は次の通りです。
- 買取業者が直接買い取ってくれるので、買手を探す必要なく数日~1か月程度で売却できる
- 底地といった一般的な需要が見込めない不動産でも、適切に査定して買い取ってくれる
- 契約不適合責任免責がある買取業者なら、売却後に瑕疵が見つかっても買取業者に対応を任せられる
とくに底地を含めた「訳あり物件専門の買取業者」なら、底地に関するノウハウや買取実績から、適切に査定して買い取ってくれるでしょう。
逆に悪質な買取業者だと、売買契約後の売却価格の減額、売却後に借地人への無理な営業といったトラブルが発生するリスクがあります。買取業者へ依頼するときは、買取業者の底地の買取実績、事業者の評判などをしっかりと確認することを忘れないでください。
買取業者については、以下の記事で詳細を解説しています。
買取業者へ売却する場合の価格目安:更地価格の10~20%程度
買取業者へ底地を売却する場合の価格目安は、更地価格の10~20%です。買取業者は「安く購入して高額売却・賃貸をする」が基本的なビジネスモデルであるため、適正価格で査定を心がけつつも、安く抑えたい心理がどうしても働いてしまいます。そのため、売却相場も高額とは言えない金額となっています。
とはいえ底地の単独売却だと、「底地を適切に査定できない」「買い取りを断られた」という事例も珍しくありません。買取実績や専門家による正確な査定体制がある買取業者なら、ほかの売却方法よりも高額で買い取ってくれる可能性もあります。
弊社「クランピーリアルエステート」なら、複雑な権利関係の底地でも高額買取が可能です。底地といった訳あり物件を積極的に買い取っていますので、ぜひ無料コンサルティングなどから気軽にお声がけください。
底地の高額買取なら訳あり物件買取専門のクランピーリアルエステートへ!
高い収益性を見込める土地なら「第三者への売却」
底地のなかにも、「人気エリアにある」「設定している地代が高め」といった理由で、高い収益性を見込める土地があります。もし収益性や将来的な値上がりを期待できる底地なら、不動産仲介を利用し、投資家・事業者といった第三者へ売却する方法があります。
買取業者と同じく不動産会社を利用した方法ですが、買取業者との大きな違いは最終的な売却価格を売手・買手の合意で決めることです。買手が売却予定の底地に大きな価値を感じているときは、価格相場よりも高額で売却できる可能性が上がります。実際に不動産投資のなかには「底地投資」という手法も存在しており、底地を積極的に購入している投資家が高額で買い取ってくれるかもしれません。
一方で不動産仲介には、利用しても買手が見つからないリスクがあります。また、売買契約が成立しても、売買金額に応じて売買金額の3〜5%+消費税の仲介手数料支払いが必要です。「この底地は絶対に相場価格以上で売却できる」という確信がないときは、ほかの売却方法を検討するのがよいでしょう。
不動産仲介など第三者へ売却する場合の価格目安:更地価格の10~20%程度
不動産仲介などを利用して第三者へ売却する場合の価格目安は、買取業者と同じく更地価格の10~20%程度です。買取業者よりも高額で売却できる可能性がある反面、相場よりも低額になる、売却できず現金化できないといったデメリットも存在しています。
投資家へ売却するときのコツは、地代収入について事前に対策しておくことです。底地投資は地代収入を得るのが目的であるため、投資家が地代に納得いかないと売買契約が成立しません。現在の地代が適正価格か、地代の値上げの余地がないかを確認し、可能であれば売却前に地代を見直しておくのがよいでしょう。
両者に完全所有権を持たせたいなら「等価交換して分割後に売却」
底地の売却方法として、等価交換を利用する方法があります。等価交換とは、「価値の等しいものを交互に交換すること」です。不動産の場合、「デベロッパーと出資者が出資比率に応じて不動産を所有する」「同じ価値の建物Aと土地Bを交換する」などが挙げられます。
そして底地と借地権の等価交換とは、「地主が底地の一部分を借地人へ譲渡する」「借地人が地主に底地の一部分を返還する」という方法で、1つの土地を2つに分割することを意味します。等価交換ならそれぞれの権利部分を交換することで、地主・借地人がお互いに完全所有権の土地を持ち合うことが可能です。
等価交換後の完全所有権の土地なら、通常の土地と同じように売却できます。借地人にとっても、借地契約のない完全所有権の土地を手に入れられるメリットがあります。さらに、借地権と底地の等価交換の場合、要件に該当すれば「譲渡をなかったことにして課税対象外にする」という、「固定資産の交換の特例」の適用対象です。
ただし、適切な等価交換には不動産に関する専門知識が必要になり、専門家なしで進めるのはハードルが高くなります。もし等価交換を進めるなら、不動産に強い弁護士にサポートを依頼することを検討しましょう。
また、等価交換は土地を分筆するため、交換した分だけ双方が所有できる土地の面積が少なくなるデメリットがあります。分割後の土地が狭すぎると土地利用に支障をきたすため、狭い土地での等価交換は借地人から断られる可能性があります。
参考:国税庁「No.3505 借地権と底地を交換したとき」
等価交換後に売却する場合の価格目安:等価交換後の面積等に応じた更地価格
等価交換後に土地を売却する場合の価格目安は、等価交換後の面積等に応じた更地価格になります。たとえば300㎡の底地を5:5で等価交換した場合は、それぞれ150㎡:150㎡の土地の所有です。そのため、売却価格も150㎡を基に算出されます。
底地における売却価格の目安を知る方法
底地の売却を検討する際、売却するかの判断基準として売却価格の目安を知りたい人もいるでしょう。底地の売却価格の目安は、以下2つの方法が挙げられます。
- 自分で相続税評価額を計算して出す
- 不動産鑑定士や買取業者に査定を依頼する
「おおまかな金額を知りたい」という場合は相続税評価額の計算、「詳細な目安を知っておきたい」という場合は専門家への査定依頼がおすすめです。それぞれの方法の詳細を解説します。
方法1.自分で相続税評価額を計算して出す
相続税評価額とは、相続税や贈与税の計算をするときの基準となる金額です。相続税評価額=その財産の一般的な価値を表すわけではありませんが、取引価格を知る1つの目安として使われるケースがよくあります。底地の相続税評価額を計算すれば、底地のおおまかな売却価格を予想しやすくなります。
底地の相続税評価額がわかれば、そこからより取引価格に近い「実勢価格」や、売却先ごとの売却相場を考慮した金額なども計算が可能です。以下では、底地の相続税評価額の計算方法をまとめました。
相続税評価額と実際の売買価格は、取引相手や需要によって大きく乖離することもあります。あくまで一般的な目安だという点に注意してください。
路線価と借地権割合を用いて「借地権の評価額」を計算する
底地の相続税評価額を計算するには、以下のステップを踏んでいきます。
- 路線価や借地権割合を確認する
- 路線価と借地権割合で、自用地評価額の借地権部分の相続税評価額を計算する
- 自用地評価額から借地権部分を引いて、残った部分を底地の相続税評価額とする
底地の相続税評価額を計算するには、計算対象の底地の「路線価」や「借地権割合」の確認が必要です。
路線価とは、国税庁の路線価図に記載されている「道路に面する土地の1㎡あたりの価格を1,000円単位で表したもの」です。そして路線価の後ろに付いているアルファベットが、借地権割合を表しています。
たとえば路線価が「300D」と書いてある場合を見ていきましょう。まず、その道路に接している土地はまず300×1,000円=30万円と計算できます。この30万円が土地における自用地評価額です
アルファベットのDは、「借地権割合60%」を表しています。「その自用地の60%が借地権」ということなので、自用地評価額に借地権割合を乗じれば、借地権の相続税評価額の計算が可能です。実際に30万円×60%の計算式を立てると、その土地における借地権は18万円と計算できました。
借地権割合はアルファベットA~Gで表され、30~90%で決められています。
借地権が18万円ということは、残りの土地部分は底地の相続税評価額となります。つまり、自用地評価額-借地権評価額=底地の評価額です。30万円-18万円で計算すると、底地の相続税評価額は12万円となります。底地の相続税評価額の計算式をまとめたものが以下の通りです。
自用地評価額(更地)=底地の相続税評価額=自用地評価額×(1-借地権割合)
路線価が設定されていない地域は、国税庁の「評価倍率表」の割合と固定資産税評価額を使って底地の相続税評価額を計算できます。評価倍率表を使った、自用地評価額の計算式は次の通りです。
評価倍率表を使った自用地評価額=固定資産税評価額×評価倍率表に記載された倍率
なお正確に相続税評価額を計算するには、奥行価格補正率などの補正が必要です。また、定期借地権の場合は、借地権の相続税評価額はもっと複雑な計算をしなければなりません。底地の評価額の計算は以下の記事で詳細を解説していますので、興味がある場合はぜひご覧ください。
0.8を割り戻して1.1倍しておおまかな実勢価格を算出する
相続税評価額をより実際の売却相場に近い数値にするには、実勢価格(市場などで実際に取引される土地の価格)を算出します。実勢価格は、底地の相続税評価額を0.8割戻し、さらに1.1倍します。
底地の実勢価格=底地の相続税評価額÷0.8×1.1倍
0.8で割り戻す理由は、路線価が公示価格の約8割であることを考慮しています。また、1.1倍するのは土地の実勢価格が公示価格の約1.1~1.2倍になるのが根拠です。
方法2.不動産鑑定士や買取業者に査定を依頼する
売却前の時点で詳細な底地の評価額を知りたいときは、不動産鑑定士や買取業者などの専門家に査定を依頼するのが確実です。専門家なら、不動産鑑定評価基準や現時点での周辺地域の相場などを用いた、より専門的な計算で査定してくれます。
たとえば、不動産鑑定士が使う不動産鑑定評価基準の計算式は次の通りです。
不動産鑑定評価基準の計算式 |
概要 |
原則法 |
現時点での価格で土地の造成・新築すると仮定し、再調達にかかる金額で評価する方法 |
取引事例比較法 |
評価対象の底地に類似した土地の取引事例を収集し、事例を基に評価する方法 |
収益還元法 |
評価対象の底地が将来生み出す収益を予測し、予想値を基に現在の査定価格で評価する方法 |
専門家は上記の計算式を含め、複数の計算式や要素を組み合わせて評価します。とくに定期借地権が設定されている底地は計算式が複雑になるため、専門家に査定を依頼することをおすすめします。
地主が底地を売却すると金銭面やトラブル回避の面でメリットがある
地主が底地を売却すると、以下のメリットがあります。
- 収益化とコストカットの両方が達成できる可能性がある
- 底地にまつわるさまざまなトラブルを回避できる
- 相続させるよりも相続前に売却したほうが相続税対策になる
以下では、詳細を見ていきましょう。
収益化とコストカットの両方が達成できる可能性がある
底地を売却すると、底地の売却益が得られることに加えて、固定資産税や土地の管理費などのランニングコストもカットできるメリットがあります。
「底地の売却価格は安い」とは言われる一方、そもそも土地は全体的に高い価値を持っていることから、底地売却でも手元に入ってくる金銭は十分高額になる可能性が高いです。一般的な宅地の底地であっても、数千万円以上で売却されている事例は多数存在します。
また、底地を売却できればさまざまなランニングコストの支払いがなくなるのもメリットです。もし固定資産税や管理費の値上がりによって地代収入の割合が減っているときは、思い切って売却したほうが、売却益+コストカットでキャッシュフローが楽になる可能性があります。資金面で余裕が出れば、新しい不動産への投資も検討しやすいでしょう。
底地にまつわるさまざまなトラブルを回避できる
底地の所有で大きなリスクとなるのが、やはり底地にまつわるさまざまなトラブルです。とくに借地人関係のトラブルは、人間関係や借地人の感情などに大きく左右されます。地代滞納、契約違反、嫌がらせなどが積み重なり、地主側が精神的に疲弊することも珍しくありません。
底地を売却できれば、こうした底地にまつわるトラブルをすべて回避できます。もし底地が共有不動産なら、自分の共有持分だけを売却すれば共有人とのトラブルも避けられるでしょう。
底地にまつわるトラブルについては、以下の記事で詳細を解説しています。
相続させるよりも相続前に売却したほうが相続税対策になる
底地を相続によって取得した場合、底地における売却価格の目安を知る方法で解説した相続税評価額を基にした相続税がかかります。しかし相続税評価額は一般的に、同じ底地を売却したときよりも高額になります。
たとえば相続税評価額を算出する場合、借地権割合が60%なら、底地の評価額は自用地評価額(更地)の40%です。一方、底地を買取業者や投資家などの第三者へ売却すると仮定した場合は、自用地評価額(更地)の10~20%になります。
つまり、底地を相続すると更地価格の40%分の相続税が取られるのに、相続後に売却すると更地価格の10~20%分のお金しか手に入らないというギャップが発生します。具体的な数値にすると、「売却価格は1,000万~2,000万円の価値しかないのに、相続税は4,000万円分で評価された金額を支払っている」ということになるのです。
そのため底地は、相続税評価額が高い状態で相続させるよりも、相続前に底地を売却して現金化したほうが、相続人が支払う相続税を少なくできます。売却した現金をほかの投資に回せれば、相続税として納税するよりも有効に活用できるでしょう。
底地の売買の注意点!トラブルなく売るためのポイント
底地は通常の土地と比較すると権利関係が特殊であるため、売買時にはいくつかの注意点が存在します。底地をトラブルなく売るためのポイントは次の通りです。
- 底地の所有権をあらためて確認しておく
- 借地人に内緒で話を進めず事前告知しておく
- 買取業者への売却は複数社に見積もりをお願いする
それぞれの詳細を見ていきましょう。
底地の所有権や契約内容をあらためて確認しておく
底地の売却を進める前に、底地の所有権や借地契約の内容がどうなっているかをあらためて確認しておきましょう。底地の名義人と売主が一致しないと、売買契約を締結できません。底地の所有権で考えられるトラブルは次の通りです。
- 相続で底地を取得したが、名義人が親や祖父母から変わっていなかった
- 借地権が知らない間に又貸しされていることになっていた
- 底地の売却価格より相続税のほうが高くなる可能性がある
- 底地が共有名義で、底地の売却時にほかの共有者の同意を得る必要があった
上記は売買契約に大きな影響を及ぼす部分であるため、後から発覚してトラブルになる前に、しっかりと確認しておいてください。
借地人に内緒で話を進めず事前告知しておく
底地売却後のトラブルを避けるためには、借地人に内緒にしたまま底地の売却を進めるのは避けるべきです。借地人には、底地を売却するつもりである旨を事前告知しておきましょう。
原則として、底地の売却に借地人の同意は不要です。しかし借地人の立場から見れば、ある日突然地主が変わると不安や混乱に陥るでしょう。「なぜ地主が変わることを黙っていたんだ」と、借地人から直接抗議される可能性があります。地主が変われば土地の運用ルールが変わることも考えられるため、借地人からしても今後のルールについて地主変更前に話し合いたい気持ちがあるはずです。
トラブルなく売却を進めるためにも、底地を売却する意思はあらかじめ伝えておいてください。
買取業者への売却は複数社に見積もりをお願いする
底地の売却を買取業者へ依頼するときは、複数の買取業者へ見積もりを依頼するのがおすすめです。買取業者の複数見積もりのメリットは次の通りです。
- 一番高額で買い取ってくれる買取業者を選べる
- サービス内容、査定の根拠、担当者の質などを比較検討できる
- 悪質な業者を見分けやすくなる
売却先の買取業者によって、底地の売却が成功するか否かが大きく左右されます。誠実さや実績のない買取業者を選んでしまうと、安値で買い取られるだけでなく、契約トラブルや借地人との関係悪化などが懸念されます。1社だけを信じ切ってしまわず、複数社に見積もりをお願いしてから最後の1社を絞るようにしましょう。
底地売却後は税金に注意!計算方法や確定申告について
底地の売却が成立した場合は、底地売却に関係するさまざまな税金の支払いが発生します。売却に際して発生した税金は、滞納せず期日までに支払うようにしましょう。底地売却で発生する税金の種類は次の通りです。
|
概要 |
税額 |
譲渡所得税 |
底地の売却益にかかる所得税・住民税 |
課税所得×税率
・長期譲渡所得なら税率15.315%・住民税率5%
・短期譲渡所得なら税率30.63%・住民税率9% |
登録免許税 |
底地に抵当権が設定されているときの抹消登記などにかかる費用
売手側は原則として抹消登記がある場合のみ負担
相続で取得し名義人を変更していないときは相続登記の費用が必要 |
不動産1つにつき1,000円 |
印紙税 |
売買契約にともなって作成した売買契約書に課せられる税金 |
売却金額に応じて変動
100万超~5億円以下なら2,000~10万円
原則として売主・買主が平等に負担
一般的には底地に対応する金額分を売主が負担 |
上記の税金のうち譲渡所得税は、売却益を得た翌年の2月16日~3月15日の間に自分で確定申告をして納税しなければなりません。底地を売却するうえでは避けては確定申告は通れないので、確定申告の概要や申告方法はあらかじめ確認しておいてください。
以下では、底地売却時の確定申告の詳細を解説します。
底地売却による譲渡所得税の計算方法
譲渡所得税とは、不動産を含めた財産・権利などを譲渡(売却、財産分与、法人への現物出資など)したときに発生する譲渡所得に課せられる税金です。底地を売却して利益が出たら、その利益に対して譲渡所得税がかかります。底地の売却益はほかの所得とは別計算になる分離課税が適用されるので、事業収入や給与の税金と合算しないように注意してください。
【分離課税】
ほかの所得と合算せず、独自の所得と税率で納税する課税方式。土地・建物等・株式等で発生した譲渡所得、退職所得、山林所得などが該当。
【総合課税】
ほかの所得と合算し、合算した金額に応じた所得と税率で納税する課税方式。事業所得、給与所得、一時所得、雑所得などが該当。
以下では、譲渡所得税の計算方法を簡単に解説します。
1.譲渡所得を計算する
売却価格がそのまま譲渡所得になるわけではなく、底地の取得にかかった取得費や、仲介手数料・印紙代・建物の取り壊し費用など売却時に発生した譲渡費用などを考慮します。売却時に多くの費用がかかったときは、その分だけ譲渡所得も低くなる計算です。ただし、差し引けるのは取得費・譲渡費用のうち、底地部分に相当するところのみです。
また、適用できる特別控除があれば、特別控除も差し引けます。とはいえ、底地売却で適用できる特別控除はほとんどないので、そこまで考える必要はありません(マイホーム売却時の特別控除などが該当するため)。
譲渡所得の計算式は次の通りです。
底地売却の譲渡所得※1=底地の売却価格-(取得費※2のうち底地部分+譲渡費用のうち底地部分)-特別控除
※1 譲渡所得の金額に1,000未満の端数が出たときは全額切り捨て
※2 「取得費がわからない」「取得費が売却価格の5%より少ない」などに該当する場合は、取得費用を概算取得費(売却価格の5%)とみなす
<計算例>
・底地売却価格:2,000万円
・取得費用:100万円(取得費250万円のうち底地部分にかかる金額)
・譲渡費用:120万円(譲渡費用300万円のうち底地部分にかかる金額)
・特別控除:なし
底地の譲渡所得=2,000万円-(100万円+120万円)-0円=1,780万円
2.譲渡所得に税率を乗じて譲渡所得税・住民税を算出する
底地の譲渡所得が計算できたら、譲渡所得に税率を乗じて譲渡所得税と住民税を算出します。
譲渡所得の適用税率は、底地の所有期間の長さによって変わります。売却した年の1月1日時点で所有期間5年超なら「長期譲渡所得」、売却した年の1月1日時点で所有期間5年以下なら「短期譲渡所得」として計算しましょう。
|
1/1時点での底地所有期間 |
譲渡所得税
(復興特別所得税含む) |
住民税 |
合計 |
長期譲渡所得 |
5年超 |
15.315% |
5% |
20.315% |
短期譲渡所得 |
5年以下 |
30.63% |
9% |
39.63% |
<計算例>
・底地が長期譲渡所得に該当する場合
1780万円×20.315%=361万6,070円(譲渡所得税272万6,070円+住民税89万円)
・底地が短期譲渡所得に該当する場合
1780万円×39.63%=705万4,140円(譲渡所得税545万2,140円+160万2,000円)
参考:国税庁「No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」
参考:国税庁「No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法」
譲渡所得税の確定申告に必要なもの
底地における譲渡所得、譲渡所得税の納税額、売却価格、取得費・譲渡費用などは、すべて確定申告書に記入し、税務署へ申告する必要があります。これが譲渡所得税の確定申告です。譲渡所得税の確定申告をすれば、ほかの所得税のときと同じく住民税の申告は不要になります。
以下では、譲渡所得税の確定申告に必要なものをまとめました。
必要なもの |
入手場所 |
確定申告書第一表・第二表 |
国税庁の公式サイト・税務署 |
確定申告書第三表(分離課税用) |
国税庁の公式サイト・税務署 |
譲渡所得の内訳書 |
国税庁の公式サイト・税務署 |
底地取得・売却に関する書類
↓
売買契約書
登記事項証明書
取得費・譲渡費用を証明できる領収書 |
登記関係の書類は登記所やオンライン申請
売買契約書や領収書を紛失したら再発行の手続きが必要 |
本人確認書やマイナンバーカード |
手持ち |
なお、売買契約書や取得費・譲渡費用関係の書類はなくても確定申告は可能です。その場合、底地の取得費は売却金額の5%で計算されます。
確定申告書の提出先は、納税地の税務署です。納税地の税務署の場所が知りたいときは、国税庁公式サイトの税務署の所在地などを知りたい方にて検索してください。
もし確定申告期間である2月16日~3月15日の間に確定申告ができなかったときは、追徴課税による追加の納税が必要になる可能性があります。底地を売却して確定申告が必要になったときは、早めに準備を進めておきましょう。
底地の売却は買取業者「クランピーリアルエステート」へ!
底地は一般的な買手が付きづらく、不動産会社によっては取り合いを断られる可能性があるほど売却に工夫が必要な土地です。底地をスムーズかつ適正価格で売却したいときは、買取業者へ依頼するのがおすすめです。
弊社「クランピーリアルエステート」では、底地を始めとするさまざまな訳あり物件を専門に買い取り業務をおこなっています。底地の売却先でお悩みなら、ぜひご相談ください。クランピーリアルエステートへ買取依頼をするメリットは次の通りです。
- 数多くの底地を査定・買取した実績から、訳ありの底地でも適正価格で売却できる
- 全国1,500以上の士業と連携しており、法的な問題にも適切に対処できる強みがある
- 都道府県問わず、全国の底地の買取に対応している
- 年間3,000件以上の相談実績や、数千万円以上の買取実績を基にした信頼感あるサポートができる
「まだ底地を売却するか決めていない」「一度査定を受けてから考えたい」とお悩みの地主様向けに、本格依頼前の無料コンサルティングや無料査定にも対応しています。底地を売却すべきかまだ検討中の場合も、ぜひ気軽にお声がけください。
まとめ
借地権が設定済みの土地である底地でも、売却は可能です。しかし底地は「自由に活用できない」「借地人とのトラブルが想定される」「収益化を見込むのが難しい」といった理由から、市場需要や売却価格が低くなる傾向にあります。
とはいえ、土地の価値自体がそもそも高額であり、売却先からの需要や底地の収益性の高さによっては、数千万円以上での売却も十分に見込めます。本記事で紹介した、5つの底地売却先と売却相場は次の通りです。
- 借地人への売却:更地価格の50%
- 借地権と同時売却:更地価格のうち底地部分
- 買取業者への売却:更地価格の10~20%
- 不動産仲介を通じた第三者への売却:更地価格の10~20%
- 等価交換して分割後に売却:分割後の面積に応じた更地価格
売却するときは、「借地人に購入意思があるのか」「借地権との同時売却ができないか」「高く買ってくれそうな投資家がいないか」など、売却先候補の情報をしっかりと確認しておきましょう。またトラブルを避けるために、底地の所有権の確認や借地人への事前告知などの注意点も忘れないようにしてください。
もし買取業者への売却を検討しているときは、訳あり物件専門の買取業者「クランピーリアルエステート」が無料コンサルティング・無料査定から対応いたします。
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